やあ。
最近みんなは良く寝られているかな?
ぐっすりだぜ!って人も、しっかり寝られてないなぁ、って人も聞いてほしい。
最近不思議なことが起きるんだ。
普段の俺はけっこう寝相が悪い。特に暖かくなってくると、掛け布団を蹴飛ばしていたり、腹が出ていることが当たり前になるんだ。
そして俺がいる柱島泊地というのは、俺の地元よりだいぶん南にあるのもあって、基本的にここに着任してからは、朝には掛け布団が散らかっていた。
そう。掛け布団はどっか行き、ひどいときには自分が敷き布団からはみ出して、畳の上に胸から下が転がっていたりしたんだ。
それがここ2、3日はそんなことがまったくない。
着衣が乱れていることもないし、敷き布団からはみ出していることもないし、掛け布団はしっかりとかけられている。
初めは叢雲のオカン属性が発動したのかと思って、本人に確認してみた。
しかし叢雲が言うには、叢雲はそんなことはしてないというし、大体の駆逐艦は夜はぐっすり寝てるので、駆逐艦じゃないと思うわ、とのこと。
なるほど。
駆逐艦は違うみたい、と。
うーん、叢雲か不知火あたりが第一候補だったんだよなぁ。
そうすると、皆目見当がつかない。
ゴーヤ、鳳翔さんの潜水艦寮と空母寮は、執務室の隣にある我が自室からは遠く離れているし、二人とも朝早くから活動するために夜は早い。
可能性としては重巡か軽巡か?
でも青葉なら新聞のネタにでもするだろうし。
摩耶様は相変わらず、俺には割りと悪態をついてきたりするし。
軽巡だと、夜戦大好き川内が候補か?
那珂ちゃんは「アイドルはお肌のケアも大事なんだよー!」とか言って、超が付くほどの健康的な生活をしてるし、神通も駆逐艦たちの教官で朝早い。
球磨型は良くわからん。
あとは長良と五十鈴か。
五十鈴はともかく、長良はスポーツ選手みたいな生活してるから、夜遅くまで起きているタイプじゃないし。
少なくとも俺が執務室を閉めるのは夜遅くだし、その後俺が寝た後というと深夜になる。
その時間まで起きている可能性があるとしたら、とりあえずは川内くらいか。
もしくは艦娘は全員寝てて、実は心霊現象だったり…。
もしもそうだったら、と考えるとブルッとくる。
あかんねん、俺そういう幽霊系苦手やねん。
何故かエセ関西弁みたいになりつつ、まあでも困ったり迷惑な訳じゃないので放置で。
これから夏にかけて、風邪をひかないようにしてくれているなら、めっちゃ心優しい親切な幽霊やね!
大井です。
最近私が管理してるお野菜の多くが芽を出しました。このままいけば、早くて夏にいくつかの野菜とすいかが収穫できそうです。
この鎮守府はまだまだ足りないものばかり。
艦隊の戦力も。錬度も。資源も、食糧も、人員も、設備も。
そんな中でも、提督は、まあ、私が認める程度には頑張っています。
私達にこまめに声をかけ、体調を気にかけ、コミュニケーションを大切にしています。
それでいて、書類は全て早めに終わらせて、今は潜水艦の寮だったかしら?
設備の補修をしたり。
ああ、そういえばドックの補修も提督がされたんですっけ。
本当、あの人は…。
私達にはしっかり休みを取れ、なんて言っておきながら。
ちゃんと自分は休んでいるのかしら。
そう思って、こっそり夜の12時過ぎに自室に失礼しようと思ったら、まだ電気がついてるじゃない。
しかも大体消灯するのはその時間。
まったく。
人に言う前に自分がしっかり休まないとダメじゃない。
そんなことを思いながら、こっそり提督の自室に失礼した。
これが、提督の匂い…。
はっ、いけないいけない。
私は、提督がちゃんと休んでいるか確認するために来てるの。
さて、提督は…。
あら。
布団はくちゃくちゃ、寝相もヒドイ。
そっと提督を起こさないように布団の上に戻して、布団をかける。
なんだかうなされているみたい。
やっぱり、大変なのかしら。
毎日のように眉間にしわを寄せて考え事をしているのも。私達に心配させないように、私達の前では気丈に振る舞っているのも。
提督。
私は、知ってるんですよ。
ゆっくりと提督の手を握る。
「提督…。私はここに居ますよ。
あなたのおそばに…」
提督の唸り声が無くなるまで、私は提督の手を握っていた。