今回別視点いれてます。分かる・・・よね?
「書類できたから、ここに置いておくぜ。」
「ああ」
最近は艦娘も順調に増えてきて、制圧した海域も広くなってきた。鎮守府近海だけでなく、製油所まで押さえられたことは俺の落ち着きに一役買っていた。
ちなみに今日の秘書艦は天龍。うちの秘書艦は持ち回り制である。
「くあー、疲れたなぁおい!」
「ふむ。こちらももうじき一段落する。この束が終わり次第休憩にするか」
時計はそろそろ三時頃を示そうとしている。一息つくにはちょうどいいだろう。
「そういえば天龍。お茶は淹れられるか?」
「お茶?お、お茶くらい淹れられるに決まってんだろ!」
「そうか。それなら俺のお茶を頼む」
「お、おう!」
そう言って天龍は湯沸室へ向かった。さて、残りの書類を片付けないとな・・・。
ヤバイヤバイヤバイ!つい勢いで淹れられるとか言っちまったけど、今まで一度もお茶淹れたこととかねえぞ・・・。
「どうすっかなぁ」
いつもそういうのは龍田がやってくれてたから、お茶の淹れ方なんてさっぱりだ。でも淹れられると言ったからには出さなきゃマズイ。
「うーん・・・。」
あ!そうか、龍田の奴に聞きゃあいいんだ!
俺たち天龍型には特有のヘッドセットがある。こいつは遠くにいても互いに連絡ができるすぐれものだ。まあ、世界水準軽く越えてるからな!
「龍田、聞こえるか?」
「あらぁ~、天龍ちゃんどうしたの~?」
「提督にお茶を出さなきゃいけねえんだけど、お茶の淹れ方がわかんねえんだ。助けてくれ!」
「あらぁ~?提督ったら、天龍ちゃんにお茶を汲めって言ったのかしらぁ~?」
そういうことにしておこう。
「そ、そうなんだよ!それで困っちまってさー」
「そうなの~?それはあとで提督とお話しないといけないわね~。お茶の方は~、私が言った通りにやってみて~。」
「あ、ああ・・・。」
龍田の指示通りにお湯を沸かし、蒸らし、濾す。
自分用のを一口飲んでみて、確かに美味しくできていた。龍田はいつもこんな面倒なことをさらっとやってたのか・・・。
「お茶いれたぜー」
「む、そうか。休憩にしよう。」
提督はそう言って机の書類を片付けた。提督の前に湯のみを置く。
「ふむ・・・。なかなかいいな。あれだけ大きく言うことはある」
提督はそう褒めてくれるが、正直罪悪感が半端じゃない。スマン提督、それほとんど龍田のおかげなんだ・・・。
提督が椅子の背もたれに体重を預けてゆったりしていたから、前から気になっていたことを聞いてみた。
「なあ提督、なんでうちの秘書艦はローテーションなんだ?俺は正直、前線行って剣振り回してた方が性に合ってんだけどよ。」
「まあ、たいした理由じゃない。いつ、何が起きても対応できるように。それと、全員をなるだけ平等に休ませるためだな。
そうだな、例えば俺が突然大本営に呼び出された時に、当然秘書艦も連れていくことになるわけだ。
もしそのタイミングで深海凄艦が襲ってきたとして、そのときに資材量を把握している奴がいないのは問題だな。
それだけでなく、戦後処理に関しても行わなければいかん。
当然、秘書艦が固定だと迅速な対応ができなくなる。
そして対応が遅くなれば―――」
「通常業務に支障が出る・・・ってことか。」
「そういうことだ。とはいえ、あくまでそれは副次的な理由に過ぎん。一番は、平等に休ませるためだ。
秘書艦に向かない、戦闘能力が低い。それは大した問題にはならん。だが、秘書艦が出来ない、戦闘したことがない。これは大問題だ。ここはあくまで戦場で、いつなにがあってもおかしくないんだ。全員に戦闘経験をつませ、そして充分に休ませる。
俺は、少なくともその方針が間違いではないと思っている。理解できたか?」
「思ってたより、ずっといろいろ考えてんだな。」
提督はフン、と鼻をならした。
「それが戦場に出られない俺の仕事だからな。・・・さて、休憩は終わりだ。お茶美味かったぞ。」
提督がそう言って書類を捌き始めた時、執務室に龍田が入ってきた。
「提督~、ちょっといいかしらぁ~?」
「む?遠征は終わったのか。だが、旗艦は夕立だっただろう?何かあったか?」
「大ありよぉ~?提督、天龍ちゃんにお茶汲みを命じたそうじゃな~い。どういうことかしらぁ~?」
「ああ、さっきいただいたよ。なかなかの味だった。さすがにお茶くらい淹れられると言うだけはある。俺も何度かお茶をいれたことはあるが、まだあれほどではないからな。それがどうかしたか?」
龍田がこっちを振り向く。笑顔だが眼が笑っていない。怖い!
「天龍ちゃ~ん?」
「ち、違うんだ龍田!俺は・・・」
「じーっくりお話を聞かせてね~?提督、ごめんなさいね~?」
そう言って俺の襟首をつかんで引きずっていく。
「提督助けてくれ!」
俺はそう叫んだが、提督は不思議そうな顔をしてこっちを見ているだけだ。
「ちっくしょぉー・・・。」
俺は部屋まで連れて行かれた・・・。
・・・なんだったんだ?
「提督さん、艦隊が戻ってきたっぽい!」
「ああ、お帰り。戦果の報告を頼む」
「作戦は大成功!戦果は上々っぽい?」
「ふむ、ご苦労だった。ゆっくり休むといい。」
「はーい!ところでさっき、龍田さんに天龍さんが引きずられていったけど、なにかあったっぽい?龍田さん、遠征中にも何か話してたし・・・。」
「さあな。俺にもよくわからん。」
次の日、天龍の目は泣き腫れていた。何をしたんだ龍田・・・。
天龍さんは龍田さんにン熱血指導ゥ!されました。
勝手に人のせいにしてはいけません。