LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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いつにいよいよとうとうあの御方が登場です!!!イエーイ!!!

今回でずっと書きたかったあの人が登場です、テンションに身を任せて原作とアニメを交互に見ながら書いたので、色々と雑なところはあると思いますが、暖かい目で見守ってください。

そして次回からエドラス編に突入です。そちらもお楽しみに。

感想お待ちしております!!!


ギルダーツ

 

 

 

 

 

 

ヴィヴィオの事件から約数週間の時が流れた……先の戦いでキズを負った者たちはすでに完治し、何事もなかったかのようにいつも通りギルドで騒いでいた。

 

そんなある日の事。

 

 

「どう? 4人ともこのギルドに慣れてきた?」

 

 

「はい」

 

 

「毎日がすっごく楽しいです♪」

 

 

「本当に入ってよかったです、妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

 

「女子寮があるのは気に入ったわ」

 

 

「そう、それはよかったわ」

 

 

ルーシィの問い掛けに化猫の宿(ケット・シェルター)からの移転組の4人がそう答え、それを聞いたティアナは微笑みながらそう返した。

 

 

「そういえばルーシィさんは何で寮じゃないんですか?」

 

 

「女子寮の存在、最近知ったのよ。てか寮の家賃って10万Jよね……もし入ってたら払えなかったわ今頃……」

 

 

「あんたは家賃7万でも毎月ヒーヒー言ってるものね。真面目に仕事すればすぐに溜まる額なのに」

 

 

「あたしが真面目にやっても、ナツたちが色んなモノ壊すから報酬金が減らされるのよ!!!」

 

 

「だったら1人で行けばいいのに」

 

 

「……そ、そういえばエリオはナツの家に居候してるのよね?」

 

 

「(……逃げたわね)」

 

 

ティアナは露骨に話題をすり替えたルーシィをジト目で睨むが、それ以上何も言わなかった。

 

 

「はい、食費は自腹ですけどそれ以外は快適ですよ」

 

 

「でもアイツの家って……基本的にすごい汚いのよね」

 

 

「そうなんですか?」

 

 

「ナツとハッピーが整理整頓できるような奴に見える」

 

 

「なるほど……」

 

 

「えーっと……」

 

 

「あはは……」

 

 

「無理ね」

 

 

ティアナの一言で妙に納得してしまったルーシィとキャロ、そしてウェンディとシャルルであった。

 

 

そして彼女たちがそんな会話をしていると……

 

 

「大変だーーーっ!!!!」

 

 

1人のギルドメンバーが慌てた様子で駆け込んできた。それと同時に……

 

 

ゴーーーン…ゴゴーーーン……

 

 

「何!?」

 

 

「鐘の音…!!?」

 

 

「でも…聞いた事のない鳴らし方です」

 

 

聞いた事のない鐘の鳴らし方に、戸惑う新人組。そこへスバルが駆け寄ってくる。

 

 

「ティア!! この鐘の鳴らし方って……!!!」

 

 

「ええ……間違いないわ!!!」

 

 

どことなく嬉しそうな表情でそう言うティアナとスバル。いや…彼女たちだけではない。

 

 

「おおっ」

 

 

「まさか!!!」

 

 

「来たんだねっ!!」

 

 

「主はやて!!!」

 

 

「間違いねえよ!!! やっぱりこれって……!!!」

 

 

「うん…あの人や……!!!」

 

 

上からエルフマン、グレイ、なのは、シグナム、ヴィータ、はやて……全員が嬉しそうな表情でそう声を漏らす中、テーブルから立ち上がったナツがひと際大きな声で叫んだ。

 

 

 

「ギルダーツが帰ってきたァ!!!!」

 

 

「あいさー!!!」

 

 

 

その言葉を皮切りに、他のギルドメンバーたちも大いに盛り上がり始める。そんな中、新人メンバーだけが首を傾げていた。

 

 

「ギルダーツ?」

 

 

「誰なんですか?」

 

 

「あたしも会った事ないんだけど……妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の魔導士なんだって……」

 

 

「最強!!!?」

 

 

「「うわぁ♪」」

 

 

ルーシィの言葉にエリオは食いつき、ウェンディとキャロも感嘆の声を上げる。

 

 

「どうでもいいけど、この騒ぎよう何!?」

 

 

「お祭りみたいだねシャルル、キャロちゃん」

 

 

「うん!」

 

 

「ホント、騒がしいギルドね」

 

 

「みんなが騒ぐのも無理ないよ」

 

 

「ユーノ!」

 

 

疑問符を浮かべている新人組に、ユーノが説明する。

 

 

「ギルダーツが帰ってくるのは3年ぶりになるからね……」

 

 

「3年も!!? 何してたんですか!?」

 

 

「仕事だよ。S級クエストの上にはSS級クエストっていうさらに上級のクエストがあるんだけど、そのもう一つ上に10年クエストって言われている仕事があるんだ」

 

 

ただでさえ危険と言われているS級クエストに、さらに2つも難易度が上のクエストがあると初めて知ったルーシィは静かに目を見開く。

 

 

「10年間、誰にも達成できなかったクエスト……それが10年クエスト」

 

 

「もしかして、ギルダーツさんはその10年クエストに?」

 

 

「ううん、違うよ」

 

 

エリオの問いに対してユーノは首を横に振りながら答えると、さらに驚愕的な言葉を口にした。

 

 

 

 

 

「ギルダーツはそのさらに上……100年クエストに行っていたんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百二話

『ギルダーツ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギルダーツだぁ!!!』

 

 

『ギルダーツが帰ってきたぞォ!!!』

 

 

《マグノリアをギルダーツシフトへ変えます。町民のみなさん!! 今すぐ所定の位置へ!!! 繰り返します》

 

 

ギルダーツが帰ってきたという報せに、ギルドだけでなくマグノリアの町民たちも騒然とし、慌しく走り回っている。

 

 

「100年クエスト……100年間…誰にも達成できなかった仕事って事ですか…!?」

 

 

「それにしても騒ぎすぎじゃないかしら?」

 

 

「それに、さっきの放送で言ってたギルダーツシフトって……?」

 

 

「それは外に出てみたらわかるよ」

 

 

ユーノの言葉に従い、新人組はギルドの出入り口から街の様子を覗き込んだ。すると……

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

 

マグノリアの街全体に地響きのような振動が響くと共に、なんと街の民家や大聖堂などが移動し始める。

 

 

「う……うそ!?」

 

 

その光景を見たルーシィは目を疑った。何故なら……

 

 

「街が……割れたーーーっ!!!!」

 

 

マグノリアの街の中心が真っ二つに割れ、ギルドへの一本道が完成したのである。

 

 

「ギルダーツは触れたものを粉々にする〝クラッシュ〟って言う魔法を使うんだけど、ボーっとしてると民家も突き破って歩いて来るんだ」

 

 

「どんだけバカなの!!?」

 

 

ユーノの説明に思わずそう叫ぶルーシィ。

 

 

「と言う事は…その為に街全体を改造したって事ですか?」

 

 

「すごいねシャルル!!」

 

 

「ええ…すごいバカ…」

 

 

ウェンディとキャロとシャルルがそんな会話をしている間に、そのギルドへの1本道に1人の男が歩いて来ていた。

 

 

「来たーーーっ!!!!」

 

 

それを見たナツがいの一番にそう叫び、他のギルドメンバーたちも、彼が帰ってくるのを今か今かと待ち構えている。

 

 

そしてついに……その男がギルドに姿を現した。

 

 

体全体を覆うマント姿で、オールバックの髪型…髭面が特徴の中年男性……この男こそ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の魔導士……『ギルダーツ・クライヴ』である。

 

 

「ふう」

 

 

ギルドに着いて早々、気だるそうに息を吐くギルダーツ。

 

 

「ギルダーツ!!! オレと勝負しろォォォーーーー!!!」

 

 

「いや、まずは私と勝負だギルダーツ!!!」

 

 

「「いきなりソレかよ」」

 

 

早速ギルダーツに勝負を申し込むナツとシグナムに、エルフマンとヴィータがツッコム。

 

 

「おかえりなさい」

 

 

「この人がギルダーツ」

 

 

そんなギルダーツをミラジェーンが笑顔で迎え入れ、ルーシィは初めて見るギルダーツに視線を向けている。

 

 

「む…お嬢さん、確かこの辺りに妖精の尻尾(フェアリーテイル)ってギルドがあったハズなんだが…」

 

 

「ここよ。それに私、ミラジェーン」

 

 

「ミラ? ずいぶん変わったなァお前!!! つーかギルド新しくなったのかよーーーっ!!!」

 

 

「外観じゃ気付かないんだ…」

 

 

今頃ギルドが新しくなった事に気付いたギルダーツに、ルーシィが小さくツッコミを入れる。

 

すると、痺れを切らしたナツがギルダーツに向かって駆け出す。

 

 

「ギルダーツ!!!」

 

 

「おおっ!!! ナツか!!! 久しぶりだなァ」

 

 

「オレと勝負しろって言ってんだろー!!!!」

 

 

そう言って意気揚々とギルダーツに殴り掛かるナツだが……

 

 

「また今度な」

 

 

「ごぱっ」

 

 

片手で軽くあしらわれ、天上に減り込む。

 

 

「ならば私と勝負だ、ギルダーツ!!!」

 

 

「おっ…シグナムか? ずいぶんと別嬪になったなァ」

 

 

「ハァァア!!!」

 

 

シグナムはレヴァンティンを横薙ぎに振るうが、ギルダーツはそれを一歩後退するだけで回避する。そして剣を振り切った状態で隙ができたシグナムに向かって手を伸ばし……

 

 

「お前ともまた今度だ」

 

 

「あうっ」

 

 

ビシッ!! と…強烈なデコピンを喰らい、シグナムは尻餅をついた。

 

 

「や…やっぱ…超強ェや」

 

 

「フフ……敵わんな」

 

 

軽くあしらわれたナツとシグナムは、嬉しそうに言葉を口にする。

 

 

「さすがギルダーツ!!」

 

 

「相変わらずね」

 

 

「変わってねえなオッサン」

 

 

「本当に♪」

 

 

「漢の中の漢!!」

 

 

その様子を見ていた他の面々も、変わってないギルダーツを見て嬉しそうに頬を緩める。

 

 

「いやぁ見ねえ顔もあるし……ホントに変わったなァ」

 

 

新しくなったギルドを見回しながらそう言葉を口にするギルダーツ。すると……

 

 

「ギルダーツ!!!」

 

 

突然はやてがギルダーツに飛びついた。

 

 

「おっと……お前はやてか? 大きくなったなァ」

 

 

「ギルダーツも相変わらず渋くて素敵やわ~♪」

 

 

「オヤジ!!!」

 

 

「ヴィータ、お前も大きく…なったな?」

 

 

「何で疑問系なんだよ!!?」

 

 

「冗談だっ、がっはっはっは!!!」

 

 

「へへっ♪」

 

 

ヴィータの頭を撫でながら豪快に笑うギルダーツ。そして頭を撫でられたヴィータはとても嬉しそうな顔をしていた。

 

 

「他の3人も元気にしてんのか?」

 

 

「もちろんっ!! お陰様で私らヴォルケンリッター、全員息災やっ!!!」

 

 

「はっはっは、そいつは良かった。3人にもよろしく言っといてくれ」

 

 

そう言って今度ははやての頭をポンポンと撫でるギルダーツ。すると、そんなギルダーツにマカロフが声を掛けた。

 

 

「ギルダーツ」

 

 

「おおっ!! マスター!!! 久しぶりーっ!!!!」

 

 

「仕事の方は?」

 

 

「がっはっはっはっは!!!!」

 

 

マカロフの問い掛けに、ギルダーツは豪快に笑ったあと……

 

 

 

「ダメだ、オレじゃ無理だわ」

 

 

 

と…答えたのであった。

 

 

「何!?」

 

 

「ウソだろ!!?」

 

 

「あのギルダーツが…」

 

 

「クエスト失敗……!!?」

 

 

「(妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の魔導士でも無理って…何なのよ…100年クエストって……)」

 

 

当然それを聞いたギルド全体が騒然となり、特にルーシィが内心で戦慄していた。

 

 

「100年クエストはまだ早い。やめておけ」

 

 

「あっれー? わくわくしてるように見えましたぁ!!?」

 

 

ルーシィはエルザの的外れな言葉にツッコミを入れる。

 

 

「そうか…主でも無理か…」

 

 

「スマネェ、名を汚しちまったな」

 

 

「いや……無事に帰ってきただけでよいわ。ワシが知る限り、このクエストから帰ってきたのは主が初めてじゃ」

 

 

「オレは休みてえから帰るわ。ひ~疲れた疲れた」

 

 

そう言ってギルダーツは自宅へ帰ろうと歩き始める。

 

 

「ナツぅ、後でオレん()来い」

 

 

「!」

 

 

「みやげだぞ~っ、がははっ」

 

 

「?」

 

 

ナツは疑問符を浮かべながらも、みやげという言葉に期待の籠った表情をする。

 

 

「んじゃ失礼」

 

 

「ギルダーツ!!! 扉から出てけよ!!!」

 

 

そしてそのままギルダーツは何故かギルドの壁を破壊しながら出て行ったのであった。

 

 

「へへっ、みやげって何かなぁ? 楽しみだなーっと!!!」

 

 

「あんたもマネするなバカナツ!!!」

 

 

そう言ってナツもギルダーツのマネをして壁を破壊し、ギルドから出て行った。

 

 

「ハッピー、早く行くぞー!」

 

 

「あいさー!!」

 

 

「あっ、僕も連れてってください!!!」

 

 

そう言ってエリオも、ナツの跡を追いかけていったのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「みやげって、外国の珍しい〝炎〟とかかなぁ」

 

 

「何だろうね」

 

 

「外国のおみやげ…楽しみですね!」

 

 

そんな会話をしながらギルダーツの家へと向かうナツ、ハッピー、エリオの3人。

 

 

「つーか、何でエリオも着いて来たんだ?」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の魔導士って呼ばれてるギルダーツさんに興味があるんです。会って話をしてみたいなぁっと思いまして……」

 

 

「ふーん」

 

 

そんな会話をしているうちに、ギルダーツの自宅へと到着した。

 

 

「よォ」

 

 

「「おじゃまします」」

 

 

「来たか、ナツ、ハッピー。ん? そっちの小せェのは?」

 

 

「初めまして!! 妖精の尻尾(フェアリーテイル)の新人魔導士のエリオ・モンディアルです!!!」

 

 

そう言って礼儀正しく頭を下げながら、ギルダーツに自己紹介をするエリオ。

 

 

「そうか、オレはギルダーツだ。よろしくな」

 

 

「はい!!!」

 

 

「がっはっは、元気のいい奴だ。昔のナツにそっくりだな」

 

 

そう言いながら豪快に笑うギルダーツ。

 

 

「で、みやげって何だ?」

 

 

「それはともかく……オメェ、結局ティアナとリサーナ…どっちにするか決めたのかよ?」

 

 

「はぁ?」

 

 

「てぇ~れやがってぇ、がははははっ」

 

 

そう言って意地の悪い顔をしながら笑うギルダーツだが、ナツは冷静に告げた。

 

 

「ティアはともかく……リサーナは死んだよ、2年前に」

 

 

それを聞いたギルダーツは笑うのを止め、絶句する。

 

 

「………マ…マジかよ………そっか…それでミラの奴……うおお……ス…スマネェ、ナツ」

 

 

「そんな話なら帰んぞ」

 

 

「ナツさん」

 

 

「ナツってば」

 

 

すっかり興をそがれたナツはそう言って出て行こうとする。するとその時……ギルダーツがゆっくりと口を開いた。

 

 

「ナツ……仕事先で、ドラゴンに会った」

 

 

「「!!」」

 

 

その言葉に、ナツだけでなくエリオも反応する。

 

 

「お前の探してる赤い奴じゃねえとは思うがな。黒いドラゴンだ」

 

 

「黒……じゃあ、ボルテウスとも違う」

 

 

「ん? エリオもドラゴンを?」

 

 

「はい、僕もナツさんと同じく…ドラゴンに育てられた滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)です」

 

 

「そうか…お前も…」

 

 

「そ…そいつを…どこで…」

 

 

「霊峰ゾニア。おかげで仕事は失敗しちまったよ、チクショウ」

 

 

それを聞いたナツはすぐさま駆け出そうとする。

 

 

「行ってどうする」

 

 

「決まってんだろ!!! イグニールの居場所を聞くんだ!!!」

 

 

「もういねえよ。あの黒竜は大陸…あるいは世界中を飛び回ってる」

 

 

「それでも何か手掛かりがあるかもしれねえっ!!!!」

 

 

「ナツ、これを見ろ」

 

 

そう言ってギルダーツは、マントで隠していた自身の体を見せる。そしてそれを見たナツ、エリオ、ハッピーは言葉を失った。

 

 

何故なら……体には痛々しい程の包帯が巻かれており、左手足が義手で出来ていたのだから……

 

 

「ほとんど一瞬の出来事だった。左腕と左足、内臓もやられた。イグニールやエリオのドラゴンがどうだか知らねえが、あの黒いのは間違いなく人類の敵だ。そして…人間には勝てない」

 

 

「そ…それを倒すのが…滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だろ!!!! オレの魔法があれば…黒いドラゴンなんて……」

 

 

「本気でそう思ってるなら、止めはしねえよ」

 

 

ギルダーツのその言葉にナツは何も言い返せず、悔しそうに体を震わしながら押し黙る。

 

 

「くそ~~~~~っ!!!!」

 

 

「ナツさん!!!」

 

 

そして家を飛び出したナツを、慌ててエリオが追いかける。

 

 

「ナツ!! エリオ!!」

 

 

「ハッピー」

 

 

「!」

 

 

そんな2人を追いかけようとしたハッピーをギルダーツが呼び止める。

 

 

「お前がナツを支えてやれ。アレは人間じゃ勝てねえが、竜なら勝てるかもしれねえ。ナツなら、いつかきっと…」

 

 

そんなギルダーツの言葉を、ハッピーは黙って聞いていた。

 

 

「……さてと」

 

 

「どこ行くの?」

 

 

家を出て行こうとするギルダーツに、ハッピーが問い掛ける。

 

 

「みやげを渡さなきゃいけねえ奴が、もう1人いるんでな」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方…ギルダーツの家を飛び出したナツは、ただガムシャラに走っていた。そしてその後ろを、エリオが追いかける。

 

 

「くそっ、くそォ!!!」

 

 

悔しそうに声を荒げながら走り続けるナツ。

 

 

「ぐぉっ!? んがっ、ごあっ、ぼあっ」

 

 

バシャーーン!!

 

 

「ナツさん!!?」

 

 

すると、ナツは足元の石に躓き、そのまま坂を転げ落ちて川へと落っこちてしまった。

 

 

「ナツさん、大丈夫ですか?」

 

 

「……おう」

 

 

エリオの問い掛けに短く答えたナツは、プカーっと川に浮かんで空を仰ぎながら、ポツリと呟くように口を開いた。

 

 

「元気かな…父ちゃん(イグニール)

 

 

ナツのそんな呟きを聞いていたエリオも、釣られるように空を見上げながら口を開く。

 

 

「……ホント、今どこにいるんだよ……父さん(ボルテウス)

 

 

そんな2人の呟きは、青空の向こうへと消えていった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

場所は移り……カルディア大聖堂にある墓地。

 

そこではティアナが3年ぶりにギルダーツが帰ってきた事を報告する為に、ティーダの墓参りに来ていた。

 

 

「………………」

 

 

ティーダの墓の前で静かに黙祷するティアナ。すると……

 

 

「やっぱりここにいたか、ティアナ」

 

 

「! ギルダーツ!!?」

 

 

そこへ小さな花束を持ったギルダーツが現れた。

 

 

「久しぶりだな。お前もちょっと見ねえ間に、いい女になったな」

 

 

「そう言うギルダーツは全然変わってないけどね──そのマントの下以外は」

 

 

「!! がははっ、鋭い奴だ」

 

 

ティアナの言葉に一瞬呆気に取られたギルダーツだが、すぐに笑みを浮かべて笑う。

 

 

「リサーナの事はナツから聞いた。オメェも辛かったろ? あいつはお前にとって一番の親友だったからな」

 

 

「………うん」

 

 

「あとナツを巡る恋のライバルだったからな、見てて面白かった」

 

 

「台無しよ」

 

 

ティアナの睨みを「がははっ」と笑いながらかわし、ギルダーツは持っていた花束をティーダの墓前に添える。

 

 

「……………」

 

 

そしてしばらく黙祷したあと、ゆっくりと口を開いた。

 

 

「ティーダはオレから見ても優秀な魔導士だった。仲間想いで情に厚く……そして何より妹に甘い奴だった。オレはあいつの事を……誇りに思ってるよ」

 

 

「……ギルダーツにそう言ってもらえて、兄さんも喜んでると思うわ。兄さんは、ギルダーツに憧れてたから」

 

 

「「………………」」

 

 

それからしばらくの沈黙のあと、ギルダーツがおもむろに口を開いた。

 

 

「ティアナ」

 

 

「?」

 

 

星の創造主(スタークリエイター)って言葉……知ってるか?」

 

 

「!!?」

 

 

ギルダーツのその言葉に、ティアナは目を見開いて反応する。

 

 

「……その様子じゃあ、知ってるみてえだな。だったら話は早え」

 

 

そう言うと、ギルダーツはマントの下から1冊の薄めの本を取り出した。

 

 

「……これは?」

 

 

「ティーダからお前にと、預かっていた本だ」

 

 

「!!」

 

 

「もし自分の身に何かあって…いつかお前が星の創造主(スタークリエイター)の事を知る時が来たら、渡しておいてくれと頼まれていた」

 

 

「……………」

 

 

ギルダーツから渡されたティーダからの本を、無言のまま震える手で受け取る。

 

 

「その本にはティーダがお前に教えそびれた魔法と、星の創造主(スタークリエイター)の事が記されている。オレも少し読ませてもらったが、半端な内容じゃなかった」

 

 

「………………」

 

 

ギルダーツの言葉を聞きながら、無言で本を見据えるティアナ。それを見たギルダーツは「フッ…」と笑みを浮かべながら、ティアナに歩み寄る。

 

 

「だがそいつには……ティーダからお前へのメッセージも込められていた。兄貴からの最後の言葉だ……受け取ってやれ」

 

 

そしてそう言ってすれ違い様に、その大きな手をティアナの頭の上にポンッと置くと、そのまま手を軽く振りながら去って行った。

 

 

「……兄さん」

 

 

そしてその場に残されたティアナは、本を強く握り締め、何かを決心したかのような顔付きになったのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

 

そこではマカロフが1人、酒を飲みながら呟いていた。

 

 

「このギルドに、4人の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)…そしてランスターの少女……

 

ポーリュシカ、主の言った通りじゃ……運命は動き出そうとしている」

 

 

 

 

 

つづく

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