LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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今日2話目の投稿です。今のうちに書けるだけ書かねば……11月14日以降は更新スピードが激減すると思いますから。

え? 何故かって? ゴットイーター2の発売日だからですけど何か?


まぁそれはさて置き、ついに今回からエドラス編です。

上記にも書きましたが、14日までに書けるだけ書くつもりですので、それまでかなりペースが速まると思います。ご了承ください。

感想お待ちしております。


エドラス編
消えゆく街


 

 

 

 

 

マグノリアの裏路地。

 

 

「違う!!! こいつも!! こいつも!!!!」

 

 

そこではガジルが、そこにいるネコたちを片っ端から捕まえては「違う!」と言い放っていた。

 

 

「ぐほっ」

 

 

しかもそれをここ数日飲まず食わずで行っていたのか、やつれた顔でフラフラと歩き、終いには落ちていたビンに足を取られて転んでしまった。

 

 

「ガジル…」

 

 

「おいおい、大丈夫かよ?」

 

 

そんなガジルに、ルーテシアとアギトが駆け寄る。

 

 

火竜(サラマンダー)や新入りのガキにネコがいて…何故同じ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)のオレにはネコがいねえ?」

 

 

そう……先程からガジルが探していたのは、ハッピーやシャルルのような己の相棒となりえるネコである。

 

 

「いや知らねーけど……それを言ったらエリオにもネコがいねえだろ」

 

 

「そこだっ」

 

 

「あん?」

 

 

「あの小僧が自分のネコを見つける前に、オレのネコを見つけて優位に立ってやるんだよ」

 

 

「何の対抗意識だよそれ?」

 

 

「……じゃあ、私がガジルのネコに」

 

 

「やめろルールー、友達としてやめてくれ」

 

 

ガジルの妙な対抗意識に呆れ、ルーテシアの呟きを必死に止めるアギト。実は元ファントム組の中でも中々の苦労人である。

 

すると……

 

 

「!」

 

 

そんなガジルの目の前に、1匹のネコの影が……

 

 

「お…おお……!」

 

 

それを見たガジルは、感嘆の声を漏らしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百三話

『消えゆく街』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の酒場。そこのテーブルの一角では、ルーシィと化猫からの移転組の4人が話し合っていた。

 

 

「777年7月7日?」

 

 

「私やナツさん、それにエリオ君に滅竜魔法を教えたドラゴンは、同じ日にいなくなってるんです」

 

 

「そう言えば前にナツが、ガジルの竜も同じ日に姿を消したって言ってたかも」

 

 

「どういう事なの?」

 

 

「その日に何かあったのかな?」

 

 

「遠足の日だったのかしら」

 

 

「ルーシィさんもたまに変な事言いますよね?」

 

 

ルーシィの的外れな発言に、苦笑いを浮かべながらそう言うキャロ。

 

 

「火竜イグニール、鉄竜メタリカーナ、天竜グランディーネ、雷竜ボルテウス。みんな…今どこにいるんだろう」

 

 

そんな会話をしているルーシィたちの近くのテーブルでは、ナツが爆睡しており、その側ではハッピーが自分の魚にリボンを巻いていた。

 

 

「シャルル~!!」

 

 

「!」

 

 

そしてそのリボンを巻いた魚を持って、笑顔でシャルルに駆け寄る。

 

 

「これ……オイラがとった魚なんだ、シャルルにあげようと思って」

 

 

「いらないわよ。私…魚嫌いなの」

 

 

「そっか……じゃあ何が好き? オイラ今度…」

 

 

「うるさい!」

 

 

そんなハッピーに、冷たく言い放つシャルル。

 

 

「私に付き纏わないで」

 

 

「ちょっとシャルル!!」

 

 

「言い過ぎだよ!!」

 

 

「フン」

 

 

ウェンディとキャロの言葉も無視して、シャルルは歩き去っていく。

 

 

「何もあんな言い方しなくても…ねえハッピー」

 

 

「シャルル!! ちょっと酷いんじゃないの!!?」

 

 

もう一度ウェンディはシャルルに怒鳴るが、それでもシャルルは無視して歩き続ける。

 

 

「(何が〝幸せ(ハッピー)〟よ……何も知らないくせに……)」

 

 

その目に僅かな涙を滲ませながら……

 

 

「あ! 待ってシャルル~」

 

 

そんなシャルルを、ハッピーは慌てて追いかけて行った。

 

 

「前々から思ってたけど、シャルルってハッピーに対してだけ妙に冷たくないかな?」

 

 

「うん…元々の性格もあるんだろうけど、あそこまで冷たいのはちょっと……」

 

 

「どうしたんだろ……」

 

 

シャルルと付き合いの長い3人でも、シャルルのハッピーに対する態度には首を傾げていたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後…ギルドを飛び出してきたシャルルと、それを追いかけて来たハッピー。

 

 

「シャルル~」

 

 

「何よ。付き纏わないでって言ったでしょ」

 

 

「オイラ……何か悪い事したかなぁ」

 

 

「そーゆーのじゃないの」

 

 

しゅん…と頭をたれるハッピーに、シャルルは小さく溜息をついた後、口を開く。

 

 

「あなたにナツは守れない」

 

 

「え?」

 

 

「私はウェンディたちを守る。何があっても、絶対に3人を守る」

 

 

そう言って、再び歩き始めるシャルル。

 

 

「オ……オイラだって守れるよ!!!! ナツはオイラを仲間だって言ってくれるんだ!!!!」

 

 

「守れないわ。自分が何者か知らない猫には」

 

 

「(自分が……何者か……)」

 

 

シャルルの言葉にハッピーは何も言い返せず、ただ呆然と去っていく彼女の背中を眺めていた。

 

 

「!」

 

 

そしてその様子を、偶然見ていたガジルと目が合った。その顔には、無数の引っ掻きキズが……

 

 

「そのキズどうしたの?」

 

 

「うっせェ!!!!」

 

 

空は……暗い曇天に覆われていた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後……マグノリアには豪雨が降り注いでいた。

 

 

「シャルルー、やっと見つけたっ!!!」

 

 

「ウェンディ、キャロ、エリオ」

 

 

そんな雨の中、ギルドを出て行ったシャルルを探していたウェンディたち3人は、ようやくシャルルと合流する。

 

 

「アンタたち傘もささずに、カゼ引くわよ」

 

 

「シャルルもだろ」

 

 

シャルルの言葉にエリオがそう返すと、3人は何やら怒ったような表情でシャルルと目線を合わせる。

 

 

「シャルル…私たちギルドに入ったばかりなんだから」

 

 

「そうだよ、もっとみんなと仲良くしないとダメだよシャルルちゃん」

 

 

「必要ないわよ」

 

 

ウェンディとキャロの言葉に対し、プイッと顔を背けながらそう言うシャルル。

 

 

「アンタたちがいれば、私はいいの」

 

 

「もぉっ!! またそーゆー事ばかりっ」

 

 

そんなシャルルの言葉にウェンディが頬を膨らましながらそう言うと……

 

 

パシャ…パシャ……

 

 

「「「!」」」

 

 

「誰?」

 

 

水音が混じった足音が聞こえ、4人がそちらへと視線を向けると……降り注ぐ雨の向こうから、全身を覆い隠すような服装をした男性……

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のS級魔導士の1人……ミストガンが歩み寄ってきていた。

 

 

「ウェンディ、エリオ、キャロ」

 

 

「え…?」

 

 

「この声…」

 

 

「どこかで……」

 

 

「!!!」

 

 

ミストガンが自分たちの名を口にしたその声に、ウェンディたちは聞き覚えがあった。

 

 

「まさか君たちがこのギルドに来るとは……」

 

 

そう言ってミストガンは顔を隠していた覆面を外し、その素顔を露にした。そしてその素顔を見たウェンディたちは目を見開いて驚愕する。

 

 

「…………!!!」

 

 

「そ…そんなっ……あなたは!!!?」

 

 

「ジェラール!!!?」

 

 

その顔は、かつて幼少の頃の自分たちを救い、共に旅をして……先のニルヴァーナの事件で評議院に逮捕されたハズのジェラールの顔であった。

 

 

「ど…どういう事!? あんた確か捕まって……」

 

 

「それは私とは別の人物だ」

 

 

「そんな!!!」

 

 

「別人!!?」

 

 

「どう見たってアンタ、ジェラールじゃないっ!!!!」

 

 

目の前にいるジェラールは、逮捕されたジェラールとは別人と言うが、おいそれと信じられるものではなかった。

 

 

「私は妖精の尻尾(フェアリーテイル)のミストガン」

 

 

「ミスト…ガン……?」

 

 

「それって確か……妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の男の1人……」

 

 

「7年前はこの世界(・・・・)の事はよく知らず、君たちにはジェラールと名乗ってしまった」

 

 

「え?」

 

 

「(この世界!?)」

 

 

「じゃあ…まさか……」

 

 

「本当に……」

 

 

コクリと頷くジェラールを見て、ウェンディたちは目の前の人物が自分たちがずっと探していたジェラールだと確信する。

 

 

「あ、あなたが7年前の…あの時のジェラールさん……」

 

 

「僕たちを救ってくれた……僕たちの恩人……」

 

 

「ずっと…ずっと会いたかったんだよ」

 

 

上からキャロ、エリオ、ウェンディが目から大粒の涙を流しながら、恩人との再会を喜んだ。

 

 

「会いにいけなくてすまなかった。だが……今は再会を喜ぶ時間はない……」

 

 

「「「え?」」」

 

 

「今すぐこの街を離れるんだ」

 

 

そう言うと、ミストガンはその場で肩膝をつく。

 

 

「「「ジェラール(さん)!!!!」」」

 

 

「私の任務は失敗した…大きくなりすぎた〝アニマ〟は、もはや私と…私の友の力では抑えられない

 

 

間もなくこの街(マグノリア)は消滅する」

 

 

それを聞いた全員が、目を見開いて絶句する。

 

 

「ど…どういう事ですか?」

 

 

「この街が……消えるって……」

 

 

「ぜんぜん意味わかんない…」

 

 

「終わるんだ。消滅はすでに確定している」

 

 

ミストガンの言葉は……現実味を帯びていた。

 

 

「せめて……君たちだけでも……」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)は!!?」

 

 

「ギルドのみんなはどうなるんですか!!!?」

 

 

声を張り上げながらそう問い掛けるウェンディとエリオに対し……ミストガンはゆっくりと口を開いた。

 

 

 

「全員……死ぬという事だ」

 

 

 

それを聞いたウェンディ、エリオ、キャロは踵を翻して走り始めた。

 

 

「ウェンディ!! エリオ!! キャロ!!」

 

 

「みんなに知らせなきゃ!!」

 

 

「行ってはいけない!!! 君たちだけでも街を出るんだ!!!」

 

 

「嫌ですっ!!!」

 

 

「僕たちだけでなんてありえない!!!」

 

 

「私たちはもう、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員なんだから!!!」

 

 

3人はそう言い放って、急いでギルドへと駆け出していった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方…妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

 

「雨やまないね~ヴィヴィオ?」

 

 

「ね~?」

 

 

雨が降る街を窓を覗き込みながらそう言うなのはとヴィヴィオ。

 

 

「雨の日は彼氏とデートに限るね」

 

 

「彼氏って……それお酒……」

 

 

「カナ…お客さんに出す分の彼氏は残しておいてね」

 

 

酒樽を彼氏と言い張るカナにフェイトは呆れ、ミラジェーンはコートを羽織ながら注意を促す。

 

 

「あれ? こんな日にどっか行くのかい? ミラ」

 

 

「うん、ちょっと教会まで」

 

 

「あ…そっか、もうすぐあの日だよね……」

 

 

ミラジェーンが教会に行く理由を察したフェイトは、僅かに表情を曇らせる。

 

 

「漢なら強くなれ!!! そんなんじゃレビィを守れんぞ!!!!」

 

 

「お…おう」

 

 

「わかってるよ」

 

 

「エルフマン、行くわよ」

 

 

近くでジェットとドロイを説教してたエルフマンに声をかけるミラジェーン。

 

 

「姉ちゃんからも言ってやってくれ。こいつら、この前仕事でヘマしやがってよォ。先に伸びちまって、結局レビィ1人で仕事を片付けたんだとよ」

 

 

「うう…耳が痛え」

 

 

「情けねえ……」

 

 

エルフマンの言葉に項垂れるジェットとドロイ。

 

 

「ジェットもドロイも頑張ってると思うわよ」

 

 

「「ミラちゃ~~ん!」」

 

 

「それなりに」

 

 

「「ひでぇ!!!」」

 

 

笑顔でさらっとトドメを刺すあたり、さすがである。

 

そしてその光景を見ていたルーシィが首を傾げる。

 

 

「こんな日にわざわざ教会に何だろう?」

 

 

「あ! そっか」

 

 

「もうすぐリサーナの命日だったね」

 

 

「リサーナ?」

 

 

「ミラとエルフマンの妹だよ。2年前に仕事中の事故で…ね」

 

 

「命日が近づくとあの2人、教会に通い出すんだ」

 

 

フェイトとカナの説明を聞き、ルーシィは何とも言えない表情で、そんな姉弟の背中を見送る。

 

 

「そういえばアンタ……リサーナにちょっと似てるわね」

 

 

「そーなの?」

 

 

「そう言われてみれば……雰囲気とかがちょっと似てるかも」

 

 

「あとナツやティアナと仲いいとことか」

 

 

「ふーん、ナツが昔ティアナ以外の女のコとね~」

 

 

3人にそう言われ、ルーシィは近くで未だに爆睡しているナツへと視線を向けながら、そう呟いたのだった。

 

 

一方、別のテーブルでは……

 

 

「ティーアー、何読んでるのー?」

 

 

「兄さんが残してくれた本よ」

 

 

スバルの問い掛けにそう答えながら、本のページを捲るティアナ。

 

 

「あぁ、確か新しい魔法が書かれてるんだっけ?」

 

 

「それだけじゃないけど……まぁそんな所よ。書かれてた3つのうち2つの魔法は習得したんだけど、最後の1つがクセモノなのよね。一筋縄じゃいかないわ」

 

 

「へぇ~…でも本を読んで魔法を覚えるなんて、私にはできないよ!!」

 

 

「アンタはどっちかっていうと感覚で覚えるタイプだものね。あと基本的にはバカだし」

 

 

「ティア、さらりと毒吐くのやめない?」

 

 

そしてまた、別のテーブルでは……

 

 

「お前さ、ベタベタしすぎなんだよ」

 

 

「(ガーン!)」

 

 

グレイの一言にショックを受けるジュビア。そんな彼らの手にはカラメードフランクがあった。

 

 

「もっと上手に食えねえのかよ」

 

 

「ジュビア…は…初めて食べるものだから……」

 

 

「カラメードフランクはこう食うんだ、こう! でけえ口を開けてだな」

 

 

「こうれふか」

 

 

グレイをマネて大口を開けてフランクにかぶりつくジュビア。

 

 

「元々上品に食うモンじゃねえんだ」

 

 

「でも服は脱がない方がいいと思う」

 

 

そう言いながら、グレイはすでに上半身裸であった。

 

 

「パパ~」

 

 

「ん? どうしたヴィヴィオ」

 

 

「雨がやまないからヒマなんだって」

 

 

そんなグレイとジュビアのもとに、なのはとヴィヴィオがやって来る。

 

 

「つっても、雨ばっかりはどうしようもねえだろ」

 

 

「ジュビアも雨を降らせることはできても、やませるのはちょっと……」

 

 

「わかってる。でもヴィヴィオと一緒に遊ぶことはできるよね?」

 

 

「ねー?」

 

 

「……まぁいいか、どうせヒマだしな」

 

 

「そうですね、ジュビアも遊びます!」

 

 

「わーい♪」

 

 

そう言ってヴィヴィオの相手をしているグレイとなのはとジュビアを、アルザックとビスカが羨望の眼差しで見ている。

 

 

「(どうやったらあの2人のように積極的に…)」

 

 

「(僕もいつかビスカと…)」

 

 

すると、アルザックとビスカはお互いに目が合うが、恥ずかしさからすぐに背けてしまう。

 

 

「あ…雨やまないわね」

 

 

「そ……そうだね」

 

 

そんな会話をしながら誤魔化していると、そんな2人の後ろから、エルザが声をかけた。

 

 

「お前たちは相変わらず仲がいいな」

 

 

「いや…そんな……」

 

 

「エルザさん」

 

 

「今を大切にするんだぞ、後悔しない為にな」

 

 

優しく微笑みながらそう言い放つエルザ。

 

 

「おいエルザ、ちっとォ」

 

 

「はい、マスター」

 

 

そしてマカロフに呼ばれ、そちらへと向かう。

 

 

「例の100年クエストの件なんじゃがな、色々検討したんじゃが…やっぱり他に回そうと思う。異論はないか?」

 

 

「妥当だと思います」

 

 

エルザとマカロフがそんな会話をしていると、近くのテーブルでぐでーっとだらけているルーシィが溜息をつく。

 

 

「ヒマだね」

 

 

「こんな雨だと仕事する気も起きないしね」

 

 

本に目を通しながら、ルーシィの言葉に答えるレビィ。

 

 

「何か面白い事起きないかなー」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃…街の危機をギルドのみんなに知らせる為、雨の中を必死で走るウェンディたち3人。

 

 

「きゃっ」

 

 

「ウェンディ!?」

 

 

「大丈夫!?」

 

 

その途中で転んでしまったウェンディを見て、立ち止まるエリオとキャロ。

 

 

「?」

 

 

すると、転んだウェンディは、地面の水溜りに映る奇妙な空を見て、天を見上げる。

 

 

「「!」」

 

 

それに釣られてエリオとキャロも空を見上げると、雲がまるで渦潮のように渦巻き、マグノリアの空を支配していた。

 

それを見た3人は再び急いでギルドへと走った。

 

 

「みんなー!!」

 

 

「大変なんです!!」

 

 

「空が……!!」

 

 

そしてようやくたどり着いたギルドの門を潜ろうとしたその時……

 

 

ゴオォォォォオオオオオ……!!!

 

 

「「「!!?」」」

 

 

目の前でギルドが……光の粒子となって、空の渦へと吸い込まれていった。

 

 

ギルドだけではない。マグノリアの民家が…大聖堂が…木が…川が…大地が…全て光の粒子となって吸い込まれていく。

 

 

「何これ!!」

 

 

「みんな!!」

 

 

バチィ!!!!

 

 

「きゃっ」

 

 

「うわっ」

 

 

その際に起きた衝撃に吹き飛ばされるウェンディとエリオ。

 

 

「ウェンディちゃん!! エリオ君!!!」

 

 

「キャロ!!」

 

 

「キャロちゃん!!」

 

 

そんな2人に向かって手を伸ばし、2人もキャロの手を掴もうと伸ばしたが……

 

 

キィィン!

 

 

「「!!?」」

 

 

そんな2人の目の前で、キャロが光に包まれ……消えた。

 

 

「キャロォォオオ!!!」

 

 

「キャロちゃん!!!!」

 

 

2人の悲痛な叫びは、周囲の轟音によって掻き消される。

 

 

 

そして全てが空へと吸い込まれ……跡には何も残らなかった。

 

 

 

「うそ?」

 

 

「そんな…」

 

 

ポツリとそう呟くウェンディとエリオの目の前には、何も無く…ただただ白い大地が広がっている光景だけであった。

 

 

「ギルドが…消えた……」

 

 

「街も…人も…何もかもが…全部…」

 

 

ウェンディとエリオは必死にあたりを見回すが、周囲には白い大地が広がっているだけ。

 

 

「一体…何が起きたの!!?」

 

 

「誰かいないんですか!!!? 誰か!!!?」

 

 

2人は周囲に叫ぶように呼びかけるが、その返事が返ってくることは……なかった。

 

 

「誰か…」

 

 

「…………」

 

 

そしてその場に膝をつく2人。

 

 

「あれ? 何で私とエリオ君だけ、ここにいるの?」

 

 

「街もギルドも、キャロも消えてしまったのに……どうして僕たちだけがっ!!!?」

 

 

全てが吸い込まれたにも関わらず、自分たちだけが残ってしまったという絶望感に、涙を流す2人。

 

 

すると……

 

 

もぞっ……ボコッ

 

 

「!」

 

 

「ひっ」

 

 

突然近くの地面が盛り上がり、悲鳴を上げるウェンディと、彼女を守るように前に立つエリオ。そしてその盛り上がった地面から……

 

 

「な……何だぁ!!?」

 

 

「「ナツさん!!!」」

 

 

なんと、ナツが顔を出した。

 

 

「ウェンディ…エリオ…あれ? ここどこだ?」

 

 

「(私たち以外にも残ってた…)」

 

 

まだ残っていた人間が居た事に、嬉し涙を流すウェンディ。

 

 

「ナツさん、何も憶えてないんですか?」

 

 

「寝てたからな」

 

 

エリオの問いに対してそう答えるナツ。

 

 

「ここ…ギルド…ですよ」

 

 

「は?」

 

 

ウェンディの言葉に首を傾げるナツ。こんな真っ白な更地がギルドだと言われても、信じられる訳が無かった。

 

 

「突然空に穴が開いて…ギルドも街も…みんな吸い込まれちゃったんです」

 

 

「?」

 

 

「本当なんです!! 残ったのは僕たち3人だけみたいなんです!!!」

 

 

「お前ら…どっかに頭ぶつけた? エライこっちゃ」

 

 

「「ちがーう!」」

 

 

説明する2人の頭の心配をするナツ。

 

するとそんな2人の脳裏に、1つの推測が生まれた。

 

 

「もしかして!!」

 

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だけが残された!!?」

 

 

「そうよ」

 

 

そんな2人の疑問に答えたのは、羽を生やして飛んできたシャルルであった。

 

 

「シャルル!!」

 

 

「よかった!! 無事だったんだね」

 

 

「まぁね。滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の持つ特殊な魔力が幸いしたようね。よかったわ、あなたたちだけでも無事で」

 

 

「「シャルル……」」

 

 

「そりゃ聞き捨てならねえなぁ、他のみんなはどうでも…………って本当に消えちまったのか!!?」

 

 

ようやく状況を理解したナツに、ウェンディが頷く。

 

 

「消えたわ。正確に言えば、アニマに吸い込まれて消滅した」

 

 

「アニマ……」

 

 

「ジェラールさんが言っていた……」

 

 

「さっきの空の穴よ。あれは向こう側の世界〝エドラス〟への門」

 

 

「お前さっきから何言ってんだよ!!! みんなはどこだよ!!?」

 

 

「ナツさん!! 落ち着いてください!!!」

 

 

シャルルに怒鳴りながら突っかかるナツを、エリオが抑える。

 

 

「ねえシャルル、何か知ってるの? そう言えば、何でシャルルは無事だったの?」

 

 

「……………」

 

 

ウェンディの問い掛けにシャルルが黙り込んでいると……

 

 

「ナ~~ツ~~、何これ~!!! 街がぁ~!!!」

 

 

「ハッピー」

 

 

「ハッピーも無事だったんだ」

 

 

街が消えて慌てた様子のハッピーが、文字通り飛んできた。そしてそれを見計らったようにシャルルが、先程の問いに答える。

 

 

「私は向こう側の世界〝エドラス〟から来たの」

 

 

「「「「え?」」」」

 

 

「そこのオスネコもね」

 

 

「!!!」

 

 

「ど…どういう事……?」

 

 

そしてシャルルは、しばらくの沈黙のあと……衝撃的な言葉を言い放った。

 

 

 

 

 

「この街が消えたのは、私とオスネコのせいって事よ」

 

 

 

 

 

つづく

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