LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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今回は新たなエドリリカルキャラの登場です。どんなキャラにするかスッゲェ悩んだぜ……

前回と同じようにエドリリカルキャラの簡単な設定をあとがきにて公開します。

あ、それと明日は1日中バイトの為、更新できないかもです。ご了承ください。

感想お待ちしております。


ファイアボール

 

 

 

 

 

自分たちと同じくエドラスへとやって来ていたアースランドのティアナとルーシィの2人と合流したナツたち。

 

その後一行は次なる街である『シッカの街』のホテルで休息を取っていた。そしてナツたちが部屋でのんびりしていると……

 

 

「見ろよ!!」

 

 

「「「!」」」

 

 

「こいつとあたし、体までまったく同じだよ!!」

 

 

「だーーっ!!! そんな格好で出てくなー!!!」

 

 

風呂に入っていたエドルーシィが素っ裸の姿で出てきて、慌ててルーシィが彼女にバスタオルを巻く。

 

 

「エドルーシィさん!! ナツさんやエリオ君がいるんですよー!!!」

 

 

「別にあたしは構わないんだけどね」

 

 

「かまうわー!」

 

 

「賑やかだね、(ダブル)ーシィ」

 

 

「それ……うまい事言ってるつもり?」

 

 

「エリオ君見てないよね!!?」

 

 

「み…見てない!! 見てないよっ!!!」

 

 

「もぐもぐ」

 

 

「あんたも目を逸らす位はしなさい!!」

 

 

2人のルーシィを中心に騒いでいると、急にナツが噴出した。

 

 

「ぷ」

 

 

「な…何がおかしいのよ。そぉかぁ……あたしよりエドルーシィの方がスタイルいいとかそーゆーボケかましたいのね?」

 

 

「自分同士で一緒に風呂入るなよ」

 

 

「「(言われてみれば!!!)」」

 

 

ナツの一言に妙に納得してしまった2人のルーシィであった。

 

 

「それにしても、見分けがつかないほど瓜2つですね」

 

 

「こっちの私たちは大人の姿だったもんね~」

 

 

「まさかケツの形まで一緒とはな」

 

 

「そーゆー事言わないでよ!!!」

 

 

「鏡のモノマネ芸できるじゃねーか!!」

 

 

「「やらんわ!!!」」

 

 

「息もピッタリですね」

 

 

「悲しいわね」

 

 

「てか、さっさと服着なさいよ」

 

 

「オマエ……確か髪をいじってくれる星霊とやらがいるんだよな」

 

 

「うん…キャンサー?」

 

 

エドルーシィの頼みにより、ルーシィは蟹座の星霊…キャンサーを召喚する。

 

 

「こんな感じでいかかでしょうかエビ」

 

 

「うん、これでややこしいのは解決だな」

 

 

そしてキャンサーの手によって、エドルーシィの髪型はショートカットにしてもらった。

 

 

「本当によかったの?」

 

 

「ん? アースランドじゃ髪の毛を大事にする習慣でもあるのか?」

 

 

「まぁ……女の子はみんなそうだと思うエビ」

 

 

「女の子ねぇ」

 

 

照れ臭そうに笑いながら、エドルーシィは言う。

 

 

「こんな世界じゃ、男だ女だって考えるのもバカらしくなってくるよ。生きるのに必死だからな」

 

 

「でも、こっちのギルドのみんなも楽しそうだったよ」

 

 

「そりゃそうさ、無理にでも笑ってねえと心なんて簡単に折れちまう。それに、こんな世界でもあたしたちを必要としてくれている人たちがいる。だから…たとえ闇に落ちようとあたしたちはギルドであり続けるんだ」

 

 

そんなエドルーシィの言葉に、アースランド組は共感を示したように笑みを浮かべる。

 

 

「けど……それだけじゃダメなんだよな」

 

 

「え?」

 

 

「いや……何でもねーよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百六話

『ファイアボール』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日。

 

 

「信じらんないっ!!!! 何よコレーー!!!」

 

 

「うるさいわねー……」

 

 

「朝からテンション高ぇーな」

 

 

「どうしたんですか? ルーシィさん」

 

 

ルーシィのホテル全体に響くような怒声に、眠い目を擦りながら起き上がるナツたち。

 

 

「エドラスのあたし、逃げちゃったの!!!」

 

 

「メモ?」

 

 

そう言ってルーシィが差し出したメモには……

 

 

『王都へは東へ3日歩けば着く。あたしはギルドに戻るよ。じゃあね、幸運を!』

 

 

と、書かれていた。

 

 

「手伝ってくれるんじゃなかったのー!? もォーー!! どーゆー神経してんのかしら!!」

 

 

「ルーシィと同じじゃないの」

 

 

「うるさい!!!」

 

 

そう言って怒鳴り散らすルーシィをウェンディとキャロが宥める。

 

 

「まぁまぁルーシィさん」

 

 

「しょうがないですよ……元々戦う気はないって言ってましたし」

 

 

「だな」

 

 

「とりあえず王都までの道は教えてくれたんだし、それでいいんじゃないの?」

 

 

「あたしは許せない!!! 同じあたしとして許せないの!!!」

 

 

「まあいいじゃねーか」

 

 

「よくないっ!! ムキーッ!!」

 

 

その後も、中々機嫌が直らないルーシィであった。

 

 

 

 

 

そして一方、ナツたち一行から離脱したエドルーシィは急いでギルドへと戻っていた。

 

 

「(あいつらなら世界を変えてくれるかもしれねーだと? 何甘えた事を考えてるんだあたしは……

 

本当に世界を変えたければ…自分たちの手で変えずにどうする!!!

 

あいつらだけの力で仲間を救出できればそれでいいけど…王国相手にそれは難しいな。

 

だからあたしはギルドのみんなを説得してみるよ!!!

 

みんな……立ち上がってくれ!!!! 共に戦う為に!!!!)」

 

 

そんな想いを胸に……エドルーシィはギルドへと急いだのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃…同じくシッカの街にある、とあるバー。

 

そこではガジルがカウンター席に座りながら、周囲の客の話を聞いていた。因みにルーテシアとアギトは子供の為、外で待機している。

 

すると、テーブル席に座っている団体の会話が聞こえてくる。

 

 

「おい聞いたか? 2日後に例の魔水晶(ラクリマ)の魔力抽出を始めるらしいぜ」

 

 

「あぁ、よくわかんねーけど他所の世界の魔力をゴッソリ持って来たとかって話だろ?」

 

 

「本当に大丈夫なのかなぁ? おかしな事になんなきゃいいけど……」

 

 

「何だ? お前国王様のやり方にケチつける気かよ?」

 

 

「いやいや!! そんなつもりはないけどよぉ……」

 

 

「国王陛下に任せときゃ大丈夫さ」

 

 

その会話を聞いていたガジルは席から立ち上がり、ゆっくりとそのテーブルへと近づく。するとその時、ガジルとは別の人物も、同時にそのテーブルへとやって来ていた。

 

 

「「その話…もっと詳しく聞かせてくれねえか?(もらえませんか?)

 

ん? ギヒッ?」」

 

 

これがアースランドのガジルと、エドラスのガジルとの出会いであった。

 

 

そして一方…バーの外でガジルを待っていたルーテシアとアギトも……

 

 

「アハハハハッ!!! 見てよアギト!!! この子私にすっごくそっくりー!!! おもしろーい!!!」

 

 

「……うるさい」

 

 

「ああっ、ごめんなさいごめんなさい!!! うちのルールーが大変なご迷惑を!!! ごめんなさいごめんなさい!!!」

 

 

「いやまぁ、気にしてねえからよ……とりあえず道端で土下座すんのやめてもらえるか?」

 

 

やたらテンションの高いルーテシアと土下座をして謝り倒している気弱そうなアギト……エドラスの自分たちと遭遇していたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃、ホテルから出発したナツたちアースランド組はシッカの街を歩いていた。

 

 

「~~~♪」

 

 

朝の怒りがウソのように上機嫌な様子で1冊の本を抱えているルーシィを先頭に置いて……

 

 

「うわ……もう機嫌直ってる」

 

 

「珍しい本を見つけて嬉しいんだろーね」

 

 

「確か、エドラスの歴史書を見つけたって……」

 

 

「ホント…現金よね」

 

 

本1冊ですっかり機嫌を直してルーシィに呆れるハッピーとティアナ。

 

 

「あんたたち、この世界について少しは知ろうと思わない訳?」

 

 

「別に」

 

 

「歴史書が物語ってるわ、この世界っておもしろい!! たとえばここね、今から100年以上前だけど……エクシードっていう一族がいたのね」

 

 

「興味ねえって」

 

 

本当に興味が無さそうに返すナツ。すると……

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!

 

 

突然何やら轟音が響き、ナツたちの周囲が影に覆われた。

 

 

「何?」

 

 

「ん?」

 

 

「上よ!!」

 

 

ティアナの言葉に全員が視線を空へと向ける。

 

 

「あれは!!?」

 

 

「飛行船!!?」

 

 

その音と影の正体は、空を翔る巨大な飛行船であった。

 

 

「急げーー!!」

 

 

「すぐに出発するぞー!!」

 

 

その飛行船に向かって王国兵が走っていく様子から、どうやらその飛行船は王国軍の所有物のようである。

 

 

「王国軍だわ」

 

 

「ムッ」

 

 

「隠れるわよ!!」

 

 

ティアナとルーシィの指示により、一行はすぐさま近くの物陰に身を隠す。

 

 

「あの巨大魔水晶(ラクリマ)の魔力抽出がいよいよ明後日なんだとよー!」

 

 

「うひょー!」

 

 

「乗り遅れたら世紀のイベントに間に合わねーぞ!」

 

 

そんな会話をしながら飛行船に乗り込んでいく王国兵。

 

 

「巨大魔水晶(ラクリマ)って…」

 

 

「マグノリアのみんなの事だ」

 

 

「魔力抽出が2日後?」

 

 

「ここから歩いて3日も掛かるんじゃ間に合わないわね」

 

 

「魔力が抽出されたら、どうなっちゃうんだ?」

 

 

「魔力抽出が始まったら、もう…二度と元の姿には戻せないわよ」

 

 

「そんな!!」

 

 

シャルルの言葉に全員が顔をしかめ、どうするか考え込む。すると、ナツが1つの提案を口にした。

 

 

「あの船、奪うか」

 

 

その提案とは、目の前にある王国軍の飛行船の強奪であった。その提案に、ナツ以外の全員が目を丸くする。

 

 

「普通「潜入」でしょ」

 

 

「隠れんのヤダし」

 

 

「ナツが乗り物を提案するなんて珍しいね」

 

 

「ふふふ…ウェンディの「トロイア」があれば乗り物など」

 

 

「私たち、魔法使えませんよ」

 

 

「この案は却下しよう」

 

 

「自分で提案して自分で却下するなバカナツ」

 

 

一瞬で手のひらを返したナツにティアナがツッコミを入れる。

 

 

「あたしは賛成よ!!」

 

 

「僕もです。どうせこのままだと間に合わないんですから」

 

 

「でもどうやって?」

 

 

「あたしの魔法で♪ 知ってるでしょ? 今のあたし最強──って」

 

 

「…………」

 

 

「私も魔法使えるんだけど……ツッコんどいた方がいいのかしら?」

 

 

「ほっとけ」

 

 

「ルーエンの街で戦ってみてわかったのよ、どうやら〝魔法〟はアースランドの方が進歩してるんじゃないかってね」

 

 

「確かに体内に魔力がある分、有利かもしれないですね」

 

 

ルーシィの言葉にキャロが同意する。

 

 

「まあ見てなさい!!」

 

 

そう言ってルーシィは、意気揚々と王国軍の前に飛び出す。

 

 

「何者!?」

 

 

「開け!! 獅子宮の扉……ロキ!!!」

 

 

そしてルーシィは自分の最強の星霊であるロキを召喚しようとするが……

 

 

「申し訳ございません、姫」

 

 

「…ってあれーー!?」

 

 

「バルゴだ」

 

 

出て来たのは何故か処女宮のバルゴであった。

 

彼女の話によると、どうやらロキは現在デート中なので召喚できないらしい。

 

 

「どうしよう!? あたしの計算じゃロキなら全員やっつけられるかもって……」

 

 

「単純な計算ね」

 

 

「姫……僭越ながら私も本気を出せば……踊ったりも出来ます」

 

 

「帰れ!!!」

 

 

ルーシィは敵の目の前で踊るバルゴをさっさと帰らせた。そしてそんな事もお構いなしに、ルーシィたちを捕まえようと向かって来る王国兵。

 

 

「ルーシィ、アクエリアス!!」

 

 

「ここ…水ないし」

 

 

「タウロス!!」

 

 

「今は無理…」

 

 

「あーもー下がってなさい役立たず!!!」

 

 

見かねたティアナが、クロスミラージュを構える。

 

 

「クロスファイヤーシュート!!!」

 

 

ドガガガガガガッ!!!

 

 

「ぐあっ」

 

 

「うあっ」

 

 

「ぎゃっ」

 

 

ティアナの発射した魔法弾の雨により、何人かの王国兵を倒す事に成功するが、それでも兵の数は減らない。

 

 

「くっ…数が多すぎる」

 

 

圧倒的な兵の数に舌打ちするティアナ。すると、ナツたちも武器を手に戦いに参加する。

 

 

「やるしかねえな!! こっちのルールで」

 

 

「武器の魔力は補充しましたし!!」

 

 

「もう使い方は大丈夫です!!」

 

 

「私も頑張ります!!」

 

 

ナツは炎の剣である『封炎剣』、エリオは雷の槍である『封雷槍』、ウェンディは空気の魔法弾を発射する『空裂砲』、キャロは竜の顔のような形を模した銃『竜魔銃』をそれぞれ構える。

 

 

「行くぞ!!」

 

 

「「「はいっ!!!」」」

 

 

そして王国兵へと向かって行くが……

 

 

「あれーーーー!!?」

 

 

「いーやぁー!!!」

 

 

「きゃーーー!!!」

 

 

エリオ以外の3人は一瞬でやられてしまった。

 

 

「ナツとウェンディとキャロが全然ダメだあ!!! ルーシィよりはマシだけど」

 

 

「ごめんなさーい!」

 

 

ハッピーの言葉に泣くルーシィ。

 

 

「みんな!! くっ……!!」

 

 

普段槍で戦い慣れているエリオは3人のように瞬殺こそされなかったが、それでも劣勢を強いられている。

 

 

「マズイわ!! 飛行船が!!」

 

 

「「「!!」」」

 

 

シャルルの声に全員が飛行船を見ると、すでに飛行船は離陸を開始していた。

 

 

「飛行船が行っちゃう!!!」

 

 

「あれに乗らなきゃ間に合わないのに……」

 

 

必死に抵抗しながら飛行船へと向かおうとするが、それを王国兵が許さない。

 

そして劣勢の末、ついに飛行船は飛び立ってしまい、ナツたちも次第に王国兵に取り押さえられていってしまった。

 

 

「くそ…くそォオオオオーーー!!!!!」

 

 

取り押さえられたナツの悔しそうな叫びが周囲に響き渡ったその時……

 

 

ヴォォオン…

 

 

「!?」

 

 

ヴォオン…ヴォォオオン…

 

 

「な…何だ!!?」

 

 

突然聞こえてくるエンジンのような音に、王国兵も含めて全員がその音のする先へと視線を向けた。

 

そして次の瞬間……

 

 

キキキキキィ!!!!

 

ドガガガガガガガッ!!!!

 

 

「「「うわぁぁあああああ!!!!」」」

 

 

突如現れた魔導四輪が、王国兵を蹴散らしながら現れた。

 

 

「魔導四輪!!?」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章だ!!!!」

 

 

現れた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章が刻まれた魔導四輪にナツたちが呆然としていると、車窓からゴーグルをかけた2人の男女が顔を出した。

 

 

「ルーシィから聞いてきた」

 

 

「さあ乗って、逃げるよっ!!」

 

 

「「「おおっ!!!」」」

 

 

それを聞いたナツたちはすぐさま魔導四輪に飛び乗る。

 

 

「飛ばすぜ、落ちんなよ」

 

 

 

「「GO!!! FIRE(ファイア)!!!!」」

 

 

 

2人の男女の掛け声と同時に、魔導四輪は勢いよく発進し、その圧倒的なスピードによりあっという間に王国軍を振り切ったのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方…バーでエドガジルと出会ったガジルは、2人のルーテシアとアギトと合流し、彼女たちでも入れるカフェへと場所を移して情報交換をしていた。

 

 

「すると……あなた方はそのミストガンさんと言う方に、こちらの世界に送り込まれた訳ですね?」

 

 

そう言ってメモを取りながらガジルの話を聞いている、後ろ髪をパーマにして耳には鉄のピアス、そして眼鏡とソフト帽にスーツを着用している好青年の雰囲気を持つエドラスのガジル。

 

 

「最小限の説明だけ受けてな。だからまだこっちの事はよくわからねえ」

 

 

「ふむふむふむ…すっごく興味深いお話だね!! ねっ、アギト!!!」

 

 

「う…うん……」

 

 

そう言いながら目を輝かせてガジルの話を聞いているのは…元気ハツラツ、天真爛漫と言う言葉がピッタリ当てはまりそうな雰囲気の、長い紫の髪をポニーテールにしているエドラスのルーテシア。

 

そしてそんな彼女に気圧され気味なのが、気弱な雰囲気を持ち、オロオロと落ち着かない様子のエドラスのアギトである。

 

 

「おい…こっちの世界のオレ」

 

 

「何でしょうか? そちらの世界の僕さん」

 

 

「エドラスじゃ、お前らはフリーの記者だそうだな」

 

 

「ええ…正確にはルーテシアとアギトは記者見習いですがね。世の中で起きている事の真相を調べ、記事にするのが仕事です」

 

 

「結構嫌ってる奴もいるらしいじゃねーか」

 

 

「アタシらも前の街で変な奴等に絡まれたしな」

 

 

「えぇ!!? そ…それは大変なご迷惑を!!! ごめんなさいごめんなさい!!!」

 

 

「落ち着いてアギト。まぁ確かに、私たちを目障りだと思う人も大勢いるよ。私たちは国王や政府にとって都合の悪い事も関係なく記事にするから」

 

 

「でも、ウソを記事にする訳にはいきません」

 

 

「……へっ」

 

 

真っ直ぐと迷いのない目でそう言うエドガジルとエドルーテシアを見て、ガジルはニッと口角を吊り上げた。

 

 

「しかし、元の世界とは色々と違うと聞かされていたが──」

 

 

すると、2人のガジルはがっしりと肩を組み……

 

 

「「そんなに違ってないよなっ(ないですねっ)!!!」」

 

 

妙に意気投合していた。

 

 

そして一同は店を出て、街の中を歩く。

 

 

「オメェの礼儀正しいトコとか、教養人っぽいトコなんか、オレそのまんまだよ!」

 

 

「あなたのワイルドでクールっぽい所も、僕にそっくりだと思います。因みに僕は歌や楽器が大得意なんですが」

 

 

「おおっ!! それもまったくオレと一緒だぜ!!!」

 

 

「「ギヒッ!!」」

 

 

そんな2人のガジルの会話を後ろで聞いていたアギトは呆れたように溜息をついた。

 

 

「どこがだよ……まったくの対極同士じゃねえか」

 

 

「そうだよね~、私と違ってそっちの私は全然しゃべらないし~」

 

 

「……あなたが騒がしいだけ」

 

 

「そんな事なもん!! キミがしゃべらなさ過ぎるだけだもん!!」

 

 

「…………」

 

 

「ムキー!! 私は虫と無視されるのが一番キライなんだぁー!!!」

 

 

「ウザイ」

 

 

「何をーーー!!!」

 

 

「あーもー!!! どっちのルールーもケンカすんなー!!!」

 

 

「ごめんなさいごめんなさい!!!」

 

 

「そっちのアタシも謝ってねえで止めろー!!!」

 

 

と…こちらの4人はガジルと違って自分同士の関係は良好ではなかった。

 

 

「オレらの仲間が何人かこっちに来てるハズだ。そのうち必ず騒ぎを起こすだろう。そうしたら……」

 

 

「ええ、すぐにお知らせします。僕たちの情報網は、王国やエクシードの内部にも張り巡らされていますので」

 

 

「どーんっと任せなさいっ!!!」

 

 

「頼むぜ、それに合わせてこっちも動く」

 

 

「お気をつけて」

 

 

「お前らもな。行くぞオメェら」

 

 

「うん」

 

 

「おう! またなーこっちのアタシたちー!」

 

 

「またねー」

 

 

「き…気をつけてくださいねー」

 

 

そう言って2組のガジル一行は、それぞれのやるべき事の為に動き出したのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後……ナツたちを乗せた魔導四輪は街を飛び出して岩場の道を走っている。

 

 

「助かったわ」

 

 

「えぇ、あのままじゃ本当に危なかったもの」

 

 

「「「ありがとうございます」」」

 

 

「お…おおお……」

 

 

助けてくれた運転席に座る少年と、その助手席に座る少女に感謝の言葉を口にするルーシィとティアナ、ウェンディたち3人。そしてナツはいつもの乗り物酔い。

 

 

「あなたたち王都へ行くんでしょ? だったら飛行船より彼の魔導四輪の方が圧倒的に速いわ」

 

 

「クク…妖精の尻尾(フェアリーテイル)最速の男……」

 

 

そして運転席の少年がゴーグルを額まで押し上げて外すと……

 

 

「ファイアボールのナツとは、オレの事だぜ」

 

 

その顔はまさに……自分たちのよく知るナツの顔であった。

 

 

「「ナツーーーーー!!!?」」

 

 

「オ…オレ!?」

 

 

少年の正体がナツだと知ったティアナとルーシィとナツは当然驚愕する。そしてそれを見たエリオは、助手席の少女へと視線を向ける。

 

 

「じゃ…じゃあ!! こっちの女の人って……!!?」

 

 

「私? 私は……」

 

 

そう言って少女はゴーグルを下げて首に掛けると、その顔を露にした。

 

 

「彼の相棒であり、魔導四輪専門メカニックのティアナよ♪」

 

 

「わ…私ーー!!?」

 

 

「「「やっぱりー!!!」」」

 

 

それを見た全員(特にティアナ)は、先程のナツの時と同様に驚愕した。

 

 

「ナツとティアナ…!? こっちの……エドラスの2人!?」

 

 

「ルーシィが言ってた通りホントそっくり!! それで、キミがアースランドの私だね♪」

 

 

「ど…どうも……」

 

 

エドティアナの明るい雰囲気にやや気圧されるティアナ。

 

 

「で…アレがそっちのオレかよ? 情けねえ」

 

 

「お…おお……」

 

 

乗り物酔いで苦しんでいるナツを一瞥しながらそう言うエドナツ。そんな彼にウェンディが説明する。

 

 

「こっちのナツさんは乗り物が苦手なんです」

 

 

「それでも「オレ」かよ? こっちじゃオレは、ファイアボールって通り名の運び専門の魔導士なんだぜ」

 

 

「うぷ」

 

 

どうやらエドナツはアースランドのナツとは違って乗り物に平気どころか、それを専門とした魔導士のようである。

 

すると、エドティアナが2人のナツの顔を見比べながら口を開く。

 

 

「んー…確かに似てるけど……やっぱり私はこっちのナッツの方が好き♪」

 

 

「「「!!?」」」

 

 

「うおっ!? おいティア!! 運転中にくっ付くなっていつも言ってんだろ!!!」

 

 

「はーい! ごめんねナッツ~♪」

 

 

と言ってまったく悪びれた様子もなく人懐っこい笑みを浮かべるエドティアナ。そんな彼女を見て、ナツ以外のアースランド組は目を点にした。

 

 

「ナッツって……」

 

 

「ナツさんの愛称でしょうか?」

 

 

「という事は、あの2人は愛称で呼び合う仲なんだね」

 

 

「こっちのティアナさん、大胆です」

 

 

「でぇきてぇる」

 

 

「次にそれ言ったらヒゲ抜くわよハッピー」

 

 

自分たちの知っているティアナとエドティアとのギャップに全員が呆然としていると、エリオがとある事に気がついた。

 

 

「そう言えばこの魔導四輪って、SEプラグがついてないんですね」

 

 

「「SEプラグ?」」

 

 

SELF(セルフ)ENERGY(エナジー)プラグ。運転手の魔力を燃料に変換する装置よ」

 

 

首を傾げているウェンディとキャロにそう説明するシャルル。それを聞いたルーシィとティアナが納得したように声を上げる。

 

 

「そっか……こっちじゃ人が魔力を持ってないから、SEプラグは必要ないんだ」

 

 

「完全に魔法のみで走ってるって事ね」

 

 

「何よ…車に関してはアースランドより全然進んでるじゃないの」

 

 

シャルルが呟くようにそう言うと……

 

 

キキィィーーー!!!

 

 

「うわっ」

 

 

「きゃっ」

 

 

突然急ブレーキを掛けて、停車した。

 

 

「ちょっと何よ急に!?」

 

 

「そうとも言い切れないのよねぇ……魔力が有限なら、車の燃料となる魔力も有限。しかも今はそれを手に入れるのも難しい状況なの」

 

 

「だからオレたちが連れてってやれるのはここまでだ。降りろ」

 

 

突然降りろと言い渡され、目を丸くするアースランド組。

 

 

「は…?」

 

 

「な……」

 

 

「そんな……」

 

 

「これ以上走ったら、ギルドに戻れなくなるんだ」

 

 

「また勝手にギルドの場所を移されちゃったからね~」

 

 

すると、いの一番にナツが車から降り、それと同時に回復した。

 

 

「うおおお~!! 生き返った~!」

 

 

「もう一人の「オレ」は物分りがいいじゃねえか。さ! 降りた降りた」

 

 

そう言ってエドナツはアースランド組全員を車から追い出した。

 

 

「王国とやりあうのは勝手だけどよォ、オレたちを巻き込むんじゃねえよ」

 

 

「今回はルーシィ…あ、あなたじゃない方ね、私たちの知ってるルーシィに頼まれて協力したの」

 

 

「だが面倒はゴメンだ。オレは、ただ走り続けてえ」

 

 

「私はそんなナッツについて行くだけ」

 

 

アースランド組にそう言い放つエドナツとエドティアナ。すると……

 

 

「おい」

 

 

「!」

 

 

「お前も降りろ」

 

 

「バ…てめ…何しやがる…」

 

 

突然ナツがエドナツを車から降ろそうと引っ張り始める。

 

 

「同じオレとして、一言言わせてもらうぞ」

 

 

「よ…よせ!! やめろ!! オレを降ろすな!!!」

 

 

そんなエドナツの抵抗も虚しく、ナツはエドナツを車から引き摺り下ろした。

 

 

「あーあ…降りちゃった」

 

 

そう言ってエドティアナも続いて車から降りる。するとナツは彼に問い掛けた。

 

 

「お前……何で乗り物に強え!?」

 

 

「そんな事かいーーー!!!」

 

 

「ハァ……このバカは……」

 

 

そんな質問の為にエドナツを引き摺り下ろしたナツにルーシィがツッコミ、ティアナは片手で頭を押さえながら呆れている。

 

 

「ひ…ひん……」

 

 

「「「?」」」

 

 

すると、突然エドナツが小さく悲鳴をあげ、それを聞いた一同は疑問符を浮かべながら彼の顔を覗き込む。

 

 

「ご…ごめんなさい……ボクにもわかりません」

 

 

そこには、エドナツが怯えたような表情で泣いていた。

 

それを見た一同は、先程までのエドナツの性格の違いに目を丸くする。そしてティアナがエドティアナに問い掛ける。

 

 

「ちょっと…あれどういう事?」

 

 

「ナッツって、車に乗ると性格が変わっちゃうのよ~♪」

 

 

「こっちが本当のエドナツだー!!!!」

 

 

「ひーーーっ! 大きな声出さないでっ!!! こ……怖いよう」

 

 

頭を抱えながら震えているエドナツを見て、ポカーンとしているナツ。

 

 

「鏡のモノマネ芸でもする?」

 

 

そんなナツにルーシィが今朝の仕返しも兼ねて言った。

 

 

「ねぇあんた……本当にあんなのがいい訳?」

 

 

「えー? だって車に乗ってる時のワイルドなナッツもいいけど~…こっちの気が弱いナッツも可愛いじゃな~い♪」

 

 

「あ…そう」

 

 

朱色に染まった頬に両手を当てて、うっとりした表情で体をクネらせながらそう言うエドティアナに、本気で引いたティアナであった。

 

 

それからしばらくしてエドナツが落ち着いたのを見計らって、全員その場に腰を据えて話し合った。

 

 

「ごめんなさいごめんなさい!! で…でもボクには無理です!! ルーシィさんの頼みだからここまで来ただけなんです」

 

 

「いえ……無理しなくていいですよ」

 

 

「そうですよ」

 

 

「こんなのいても役に立ちそうにないしね」

 

 

「シャルルちゃん!」

 

 

「もしかしてウェンディさんですか?」

 

 

「こっちはエリオにキャロね。3人とも小っちゃくて可愛い~♪」

 

 

「そっちがアースランドのボクさんとティアちゃん」

 

 

「どこにさん付けしてんだよ」

 

 

「ちゃんって……ナツの顔で言われるとむず痒いわ……」

 

 

「オイラがハッピー、こっちがシャルルだよ」

 

 

「あたしは……もう知ってると思うけど……」

 

 

「ひーー!!! ごめんなさい!!! 何でもします!!!!」

 

 

「…………」

 

 

「お前さ…もっとオレに優しくしてやれよ」

 

 

「ああ…怯えてるナッツ可愛い……」

 

 

「もうツッコまないわよ」

 

 

ルーシィの顔を見て岩陰に隠れるエドナツにルーシィは言葉を失い、ナツはルーシィを諭し、それを見てうっとりしているエドティアナにティアナがそう言う。

 

 

「こっちのルーシィさんは……みなさんをここまで運ぶだけでいいって……だからボク…」

 

 

そう言ってエドナツが指差す先には……巨大な都市が広がっていた。

 

 

「これって……」

 

 

「もしかして王都!?」

 

 

「大きい」

 

 

「マグノリアの数倍はあるね」

 

 

「何だよ、着いてんならそう言えよ」

 

 

「うわわ~ん、ごめんなさい」

 

 

3日掛かるハズだった王都へたどり着いた事に、ナツたちは笑顔を浮かべる。

 

 

「いいぞ!!! こんなに早く着くとは思わなかった!!!」

 

 

「あのどこかに、魔水晶(ラクリマ)に変えられたみんなが……」

 

 

「魔力抽出まであと2日……それまでに見つけないといけないわね」

 

 

「さっさと行くわよ」

 

 

「ちょっとシャルルー」

 

 

「あんまり急ぐと危ないよー」

 

 

「待ってー」

 

 

「じゃ…ありがとな」

 

 

「あたしによろしく!」

 

 

「バイバーイ、そっちの私~!」

 

 

「ええ」

 

 

「あ…あの……」

 

 

そう言って王都へと向かおうとするナツを、エドナツが呼び止めた。

 

 

「本当に…王国と…戦うの?」

 

 

「どうかな? オレたちは仲間を救えればそれでいいんだけど、ただで返してくれねーようならそりゃ…もうやるしかねーだろ」

 

 

そう言うナツの言葉を聞いて、エドナツは搾り出すような声で言い放つ。

 

 

「お……王国軍になんて…勝てる訳ないよ」

 

 

その言葉に対して、ナツは何も言わず──ただ満面の笑みを浮かべたのであった。

 

 

それを見たエドナツは言葉を失い……去っていくナツの背中を呆然と眺めていた。そんなエドナツに、エドティアナが声を掛ける。

 

 

「ねえナッツ……」

 

 

「ティアちゃん」

 

 

「私はどこまでもナッツに着いていくよ。たとえナッツがどんな選択をしても……そこが地獄だったとしても……ね♪」

 

 

「……ありがとう……ティアちゃん」

 

 

そんな会話をしながら、2人はすっかり小さくなってしまったアースランド組の背中を……見送ったのであった。

 

 

 

 

 

つづく




エドリリカルキャラの簡単な設定です。


ルーテシア→明るくて元気ハツラツな少女。彼女と会った事のある人物は口を揃えて「喧しい」と言う。エドガジルのもとで記者見習い中。虫と人に無視されるのがキライ。ぶっちゃけリリなの原作のVividに登場するルーテシアです。


アギト→気弱でいつもオロオロしており、ちょっとした事でも土下座してペコペコと全力で謝り倒すほど。エドルーテシアと同じく、エドガジルのもとで記者見習い中。


ティアナ→エドナツの相棒であり、魔導四輪専門のメカニック。エドナツを「ナッツ」という愛称で呼んでいる。本来のティアナのツンデレの「ツン」の部分だけが反転して、エドナツにデレデレとなっている。ツインテールと首に掛けているエドナツとお揃いのゴーグルがトレードマーク。


エドティアナが大変な事になった(笑)
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