LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

112 / 240
明日はいよいよ待ちに待ったゴッドイーター2の発売日!!

おそらくやり込んでしまうと思いますので、明日から更新がかなり遅くなると思います。

そのお詫びと言う訳ではないのですが、今日は3話まで更新いたします。前回と同じように1時間置きに投稿されます。短めのものもありますが、ご了承ください。


やり込むと言っても、執筆を全くしないという訳ではありませんので、どうか皆さん見捨てないでください!!!


感想お待ちしております。


終焉の竜鎖砲

 

 

 

 

 

その頃…エドラス王都。

 

そこではナツとルーシィが遊園地にて、ヒューズとバイロをの2人を撃破した。

 

その後グレイが竜鎖砲の鍵を巡ってシュガーボーイと交戦。鍵を壊そうとするグレイに対して、竜鎖砲は魔水晶(ラクリマ)にされたギルドの仲間を元に戻す事が出来るとシュガーボーイは説得するも、あえなくグレイは竜鎖砲の鍵を破壊し、シュガーボーイをも撃破した。

 

 

「イ…イカレてるぜアイスボーイ……ほ…本当に鍵を壊す…とは……あの鍵があれば仲間を助けれたというのに」

 

 

「オレは、氷の造形魔導士だ」

 

 

「な………………!!!!」

 

 

「何でも造れる」

 

 

そう言い放つグレイの手には、氷で造られた竜鎖砲の鍵が握られていたのであった。それを見たシュガーボーイは驚愕しながらも、そのまま意識を手放した。

 

 

「グレーイ!!!」

 

 

「ナツ」

 

 

すると、ナツがどたどたと慌てた様子で駆け寄ってきた。そして気絶しているシュガーボーイの胸倉を掴みながら叫ぶ。

 

 

「鍵はどうしたーー!? お?」

 

 

「もう大丈夫だ、少し事情が変わったがな。ルーシィは?」

 

 

「はさまってる」

 

 

「何だそりゃ……それよりナツ、この鍵は使える。仲間を助けられるぞ」

 

 

「何!!?」

 

 

「本来、奴等の狙いは竜鎖砲をワイヤーにしてエクスタリアにぶつける事だった。だが滅竜魔法が濃縮された竜鎖砲を直接魔水晶(ラクリマ)にぶつければ、みんなを元に戻せる」

 

 

「よくわからねえが、元に戻せるんだな!!!!」

 

 

「竜鎖砲はこの先だ」

 

 

「おお!!!」

 

 

「けど1つだけ問題がある。その部屋に入る方法がねえ」

 

 

「そんなの突き破ればいいだろ!!」

 

 

「そうもいかねえ、頑丈な扉らしい」

 

 

ナツとグレイがそんな話し合いをしていると……

 

 

ガシャ…

 

コツ…

 

 

と…2つの足音が聞こえた。そして2人がそちらへと視線を向けて見るとそこには……

 

 

「ハァ、ハァ、こんな所にいたのか…」

 

 

「探しました……」

 

 

ボロボロの姿になったエルザと、ナノハの姿があった。

 

 

「エルザ!!! なのは!!!」

 

 

「いや待て!!! こいつはエドラスのエルザ……それにこっちのなのはとは、ティアナが戦っていたハズ……」

 

 

「オレたちのエルザとティアが……負けた…のか……」

 

 

ドカッ!!!

 

 

そしてエドエルザとナノハによって気絶させられたナツとグレイは、縛られた状態で竜鎖砲の部屋へと引き摺られていた。

 

するとそんなエドエルザとナノハの姿を見た門番が、慌てた様子で2人に駆け寄る。

 

 

「ご無事でしたかナイトウォーカー隊長、スタークス様」

 

 

「ど…どこか無事なモンか!!? お2人ともどうしたんです? そのケガ」

 

 

「たいした事はない」

 

 

「こっちも同じです」

 

 

「そ…その者たちは!?」

 

 

「竜鎖砲の鍵だ」

 

 

「か…鍵!!?」

 

 

「陛下は中か?」

 

 

「は…どうぞ」

 

 

エドエルザの問い掛けに答えながら、部屋の扉を開く門番。

 

 

「全ての準備は整いました」

 

 

「永遠の魔力は目の前に」

 

 

そう言って、エドエルザとナノハの2人は……竜鎖砲の部屋へと足を踏み入れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百十二話

『終焉の竜鎖砲』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エルザ!! 鍵を持ってきたというのは誠か!?」

 

 

「破壊されたようですがご安心を。こいつが鍵を造れます」

 

 

「うっ」

 

 

ファウストの前にグレイを放り投げ、その衝撃でグレイの意識が戻る。

 

 

「こやつは!?」

 

 

「アースランドの魔導士です。滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の仲間ですよ」

 

 

「ま…まさか広場の魔水晶(ラクリマ)が消えたのと関係が」

 

 

「その通りです」

 

 

「まあよい!! さっさと竜鎖砲を起動させろ」

 

 

エドエルザとファウストがそんな会話をしている間に、ナノハはハヤテとフェイトの元へと歩み寄る。

 

 

「王……遅くなりました」

 

 

「たわけ。今まで何をしておった?」

 

 

「すごくボロボロだよーナノハ」

 

 

「申し訳ありません。脱獄したアースランドの魔導士と交戦し、思いの外苦戦を強いられてしまいました」

 

 

「ほう……うぬが苦戦する相手とは珍しいな」

 

 

「はい。ですが、しかと殲滅しておきましたので、ご安心を」

 

 

「まあよい、今はしかと休め」

 

 

「はい」

 

 

そう言って、ナノハはハヤテの隣へと立った。そしてその間にエドエルザはナツの体を持ち上げ、その首に剣を突きつけた。

 

 

「立て、氷の魔導士。妙なマネはするなよ」

 

 

「くっ」

 

 

「竜鎖砲を起動させるんだ」

 

 

ナツを人質に取られてしまい、グレイは仕方なく竜鎖砲の前に立ち、氷で起動の鍵を造り出した。

 

 

「スゴイ!!! 氷で鍵を造っちゃった!!! 見た!? 王様!! あれがアースランドの魔法なんだー!!!」

 

 

「ええい喧しい!!! 黙って見ておれ!!!」

 

 

「はーい」

 

 

それを見て騒ぐフェイトをハヤテが叱咤して黙らせた。

 

 

「(チャンスは1度だ…起動したら素早く照準を変えて、竜鎖砲を直接魔水晶(ラクリマ)にぶち込む。そうすればオレたちの仲間を救える…!!)」

 

 

そう考えながら、グレイは鍵を差し込んで、竜鎖砲を起動させた。

 

 

「よし!! いいぞ」

 

 

「(照準はどうやって変える!!? どこだっ!!?)」

 

 

グレイが照準を変える為のモノを探すが、どこにも見当たらない。

 

 

「撃てーーーーーい!!!!」

 

 

「(くそ…!!!)」

 

 

そしてファウストの号令のもと、竜鎖砲が発射されると思われたその時……

 

 

「ここまでだ」

 

 

エドエルザがそう呟いた。そして……

 

 

「ナツ!!!」

 

 

「おう!!!」

 

 

エドエルザが声をかけた瞬間、気絶していたと思われていたナツが顔を上げる。

 

 

「!!?」

 

 

「な…何だ!?」

 

 

「火竜の…翼撃!!!!」

 

 

「ぐあああああ!」

 

 

「うあああああ!」

 

 

戸惑っている王国兵たちを、ナツが両手に纏った炎で薙ぎ払う。

 

 

「これは一体…!?」

 

 

「何が起こっている!!?」

 

 

あまりの状況に驚愕しているファウストとハヤテ。するとそんな2人の背後にエドエルザとナノハが回りこみ……

 

 

「動かないで!!!」

 

 

「発射中止だーーーっ!!!」

 

 

エドエルザがファウストの首に剣を…ナノハがハヤテのこめかみに銃をそれぞれ突きつけ、そう叫んだ。

 

 

「ナノハ!!?」

 

 

「エルザ…貴様!!」

 

 

「何のマネだうぬら!!!」

 

 

するとエドエルザとナノハの体が輝き出し、その光が止むとそこに立っていたのは……

 

 

「私はエルザ・スカーレット。アースランドのエルザだ」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士、ティアナ・ランスター。さっきまでの姿は、私の幻影魔法による変装よ」

 

 

アースランドのエルザとティアナが立っていた。

 

それを見たファウストとハヤテを含めた王国軍は驚愕を露にした。

 

 

「悪ィ、危なかった。機転を利かせてくれて助かった」

 

 

「かっかっかっ!!! これぞ作戦D!! 騙まし討ち(DAMASHIUCHI)の〝D〟だ!!!」

 

 

国王と王女であるファウストとハヤテの2人を人質に取った事で、この場の形成が逆転した。

 

 

「照準を魔水晶(ラクリマ)に合わせろ」

 

 

「言う事を聞くな!!! 今すぐ撃て!!!」

 

 

「我らの事は気にするでない!!!」

 

 

そう叫ぶファウストとハヤテだが、フェイトと兵たちの顔には迷いがあった。

 

 

「うう…」

 

 

「ど…どうする?」

 

 

「ムムム~!!! 人質なんてヒキョーだぞっ!!! 今すぐ王様と国王を放せーっ!!!」

 

 

「却下よ」

 

 

「オレたちは仲間の為なら何だってするからよォ」

 

 

フェイトの言葉に対して、ナツとティアナがそう言い返す。

 

 

「早くしないか」

 

 

「くそぉ……」

 

 

「やれ!!! 陛下と王女が危ない!!!」

 

 

「我らの事などよいと言うておろうがっ!!!!」

 

 

「撃て!!! エクシードを滅ぼす為に!!!!」

 

 

しかしそれでも、国王と王女を救う為に兵たちは竜鎖砲の照準を変え始める。

 

 

「照準変更!! 巨大魔水晶(ラクリマ)に変更だっ!!!」

 

 

「バカモノどもがーーっ!!! 我と父上の悲願をーー!!!」

 

 

「永遠の魔力をフイにする気かーーーっ!!!!」

 

 

そして竜鎖砲の照準が魔水晶(ラクリマ)を定めたその時……

 

 

「スカーレットォォオオ!!!」

 

 

「な!?」

 

 

「ナイトウォーカー!!」

 

 

城壁の上からエドエルザが飛び出し、エルザに向かって槍を振るった。当然エルザはそれを剣で防御するが、その隙にファウストが手元から離れてしまう。

 

 

「まだ終わってないぞォォ、スカーレットォ!!!!」

 

 

「ナイトウォーカー!!! こんな時に……!!!」

 

 

エドエルザの強襲に毒づくエルザ。

 

 

「エルザさん!!!」

 

 

ヒュン! ヒュン!

 

 

「!!?」

 

 

ティアナがそう叫んだ瞬間、突然どこからか朱色の魔法弾が彼女に向かって飛来した。

 

 

「くっ!!」

 

 

それを慌てて後ろに飛びながら回避するティアナ。しかし人質となっていたハヤテを放してしまった。

 

 

「お待たせしました……王」

 

 

「遅いわバカモノ!!!」

 

 

するとそこへ……ルシフェリオンを構えた本物のナノハが現れた。

 

 

「王様と国王の拘束が解けたよ!!! 早く照準(しょーじゅん)を戻すんだー!!!」

 

 

「マズイ!!!」

 

 

フェイトの指示により、竜鎖砲の照準がまた戻される。

 

 

「「撃てぇーーーーーい!!!!!」」

 

 

そしてファウストとハヤテの号令により、ガコンッと音を立てて発射ボタンが押され……無情にも竜鎖砲は、浮遊島の底へと向けて放たれてしまった。

 

 

ドゴォォオオン!!!

 

 

そして竜鎖砲はによって発射された巨大な魔力の鎖は、浮遊島の底を捉えた。

 

 

「接続完了!!!」

 

 

「エクスタリアにぶつけろォ!!!!」

 

 

「やめろォーーーーっ!!!!」

 

 

ナツの絶叫に似た叫びが響いたその時……

 

 

「みんなー!!」

 

 

「「「!」」」

 

 

空から声が聞こえ、その声を方を見るとそこには……

 

 

「乗って!!!」

 

 

「ルーシィ!!?」

 

 

巨大な魔獣レギオンに乗ったルーシィが現れた。

 

 

「レギオンだと!!?」

 

 

「何故あの小娘がレギオンを!!?」

 

 

「私のレギオンです」

 

 

「(ココ……!!)」

 

 

そう言ったのは、ルーシィと共にレギオンに乗っているココであった。

 

 

「こいつで止められんのか!?」

 

 

「わかんない!!! でも行かなきゃ!」

 

 

そしてナツたちは急いでレギオンの背に乗り込み、そのまま魔水晶(ラクリマ)のある浮遊島へと向かったのであった。

 

 

「スカーレットォ……」

 

 

エドエルザは去っていくエルザを憎々しげに睨みつけると、持っていた短剣で己の長い髪の毛を切り落とす。

 

 

「追うぞ!! 第二魔戦部隊、レギオン隊全軍出撃!!!」

 

 

そしてそのままエルザたちを追う準備の為に、城の中へと向かって行った。

 

 

「塵芥どもなんぞに邪魔はさせん……!!! 我らも出るぞ!!! ついて来いナノハ!!! フェイト!!!」

 

 

「はい」

 

 

「おーっ!!!」

 

 

エルザだけでなく、ハヤテ、ナノハ、フェイトの3人も出撃準備を行なう。

 

 

「ワシも行こう。ドロマ・アニムを用意せい」

 

 

「あ…あれは禁式です!!! 王国憲章第23条……」

 

 

「用意せい!!!!」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方、竜鎖砲を接続された浮遊島では……

 

 

「何だこれ……」

 

 

「島が……動いてる!!?」

 

 

「これが我が軍の作戦なのだ」

 

 

「この魔水晶(ラクリマ)をエクスタリアにぶつけて、双方を消滅させます」

 

 

「そんなっ!!!」

 

 

それを聞いたハッピーの目に、涙が浮かぶ。

 

 

「何で…何でそんなヒドイ事ができるんだよぉ……」

 

 

その瞬間、浮遊島の動くスピードが加速し始める。

 

 

「加速しやがった!!?」

 

 

「うあっ!」

 

 

「マズイですよ!! このままじゃ!!!」

 

 

「エクスタリアにぶつかる!!!」

 

 

するとその時……ナツたちが乗ったレギオンが浮遊島に体当たりをした。

 

 

ドゴォオン!!!

 

 

「頑張って!!! レギピョン!!」

 

 

「グオオオオ!!」

 

 

ココの声に応えるように浮遊島を押し返そうとするレギオンだが、浮遊島のスピードは緩まない。

 

 

「ダメだ!!! 全然止まる気配がねえ!!!」

 

 

「私たちも魔力を解放するんだ!!」

 

 

「ぶつけさせる訳にはいかないわ!!!」

 

 

「お願い!!! 止まってぇ!!!」

 

 

「うおおおおおおっ!!!!」

 

 

すると、ナツがレギオンの体を伝って前へと出ると、素手で浮遊島の壁を押し始める。

 

 

「ナツー!!!」

 

 

「ハッピー!!!」

 

 

「オイラ…あのさ…」

 

 

「ア?」

 

 

何か言おうとしたハッピーだが、ナツはそれよりも早く……

 

 

「手伝えよ相棒!!!!」

 

 

と言い放った。

 

 

「……あいさ!!!!」

 

 

それを聞いたハッピーは、喜んでナツのもとへと向かい、浮遊島を押し始めた。

 

 

「フリード!! 私たちも!!!」

 

 

「グオオオオ!」

 

 

「ルールー!!! アタシたちと行くぞ!!!」

 

 

「うん」

 

 

それを見たキャロとアギトとルーテシアは、フリードの背に乗って、共に浮遊島を押し始める。

 

 

「ひとまず休戦だ黒ネコ!」

 

 

「こっちもです! えっと……リニス!!」

 

 

「逃げる気か!?」

 

 

「逃げも隠れもしねえよ! こいつを止めた後決着をつける!」

 

 

「この竜鎖に繋がれた巨大な浮遊島を止めるの言うのですか!!?」

 

 

「無駄な事を!!! オレたちに後なんか無い!!! もう何も残らんのだ!!!」

 

 

後で(・・)引き摺ってでもギルドに連れて帰る。そしてオレのネコにするのだ。ギヒヒ……」

 

 

「リニスも、絶対に僕の相棒にするからね!!」

 

 

そう言ってガジルとエリオの2人も、浮遊島を押し始めた。

 

 

「ダメだ!!! ぶつかるぞ!!!」

 

 

「うあっ!」

 

 

「こらえろォーーー!!!!」

 

 

「おおおおおおっ!!!!」

 

 

「うあああああっ!!!!」

 

 

エクスタリアの端の部分が衝突し削られるが、それでも負けじとナツたちは浮遊島を押し返す。

 

 

「ガジル!!! エリオ!!! なぜ私たちのようにみんなを元に戻さん!!!」

 

 

「黒ネコが邪魔するんだヨ!」

 

 

「人間エクシードが邪魔するんです!」

 

 

「どちらにしろ、今からじゃ時間が掛かりすぎる!!!!」

 

 

「止めるしかないわ!!! 私たちの力で!!!!」

 

 

「てか絶対止めてやるんだから!!!!」

 

 

「フリードも頑張って!!!」

 

 

「グオオオオオ!」

 

 

「ルールー!! 白天王……は無理でも、ガリューを喚べ!!! 今は少しでも人手がいるんだ!!!」

 

 

「わかった……!!」

 

 

そう言って、全員一丸となって浮遊島を押し返そうと奮起する。

 

 

「ココ……!」

 

 

「なぜお前が……」

 

 

「リリー…リニス……気付いちゃった! 私…永遠の魔力なんていらない、永遠の笑顔がいいんだ!!」

 

 

「何てバカな事を!!!」

 

 

「早く逃げなさいココ!!! この浮遊島は、何があっても止まらないのですよ!!!!」

 

 

ココに向かってそう言い放つリリーとリニスだが、その言葉に対してナツが声を上げた。

 

 

 

「止めてやる!!!! 体が砕けようが魂だけで止めてやるぁアァァァ!!!!!」

 

 

 

そう叫びながら、ナツたちはさらに力を込めて浮遊島を押し返し始めた。

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そして一方エクスタリアでは……

 

 

「アナタ…」

 

 

「かーーーっ!! 何の騒ぎだよチクショウ!」

 

 

町外れに住んでいるラッキーとマールは目前まで迫ってきている浮遊島を見て驚愕し……そして街の方では……

 

 

「王国軍が攻めてきたー!」

 

 

「人間が攻めてきたぞー!」

 

 

「人間のくせにー!」

 

 

「エクシードに逆らうつもりかー!」

 

 

「女王様の力を知らない人間どもめ!!!」

 

 

「今日こそ思い知るがいい!!!」

 

 

「きっともうすぐ出るぞ!!! 女王様の魔法が!!!」

 

 

「でも……やるなら早く反撃してほしいな」

 

 

「ビビる事はねえ!!! オレたちには女王様がついてる!!!!」

 

 

迫る浮遊島を見て、口々にそう言うエクシードたち。

 

 

魔水晶(ラクリマ)がぶつかった……」

 

 

「まだよ!! 島の縁で止まってるみたい」

 

 

「ごめんねシャルル…こんなハズじゃ…」

 

 

「何言ってんの!!! まだ諦めちゃダメ!!!」

 

 

そう言ってシャルルは、もう一度エクシードたちの説得を試みる。

 

 

「みんな聞いて!!!」

 

 

「まだいたのか!! 堕天め!!!」

 

 

「!」

 

 

しかし再び石を投げつけようとするエクシードを見て、シャルルはビクリと身構えるが……

 

 

ガンッ!

 

 

「ぼきゅん!」

 

 

何とその石を、シャルルを庇ったナディが受けた。

 

 

「石は…投げたら……危ない…よ……」

 

 

「え?」

 

 

「ナディ様?」

 

 

「この人たちは、ぼきゅたちに危険を知らせてくれたんだよ。でも…誰も聞かなかったからこんな事になっちゃったんだ」

 

 

「何を言ってるんです!?」

 

 

「こんなの女王様の魔法があれば、全然へっちゃら!!!」

 

 

「怖くなんてないっス!!!」

 

 

「さあ…早く女王様ー!!!」

 

 

「えーと…その……」

 

 

エクシードたちの言葉にナディが言いよどんでいると……

 

 

「もういいのです、ナディ。時が来たのですよ」

 

 

そう言って現れたのは……後ろに年老いたエクシードたちを引き連れ、豪勢な服とアクセサリーで身を包んだ白い毛並みのエクシード……エクスタリア女王シャゴットであった。

 

 

「女王様ーー!!!」

 

 

シャゴットの登場に、一斉に頭を下げるエクシードたち。

 

 

「みなさん…どうかお顔を上げてください。そして落ち着いて、私の言葉を聞いてください」

 

 

「何で女王様がこんな所に…」

 

 

「きっとこれからすごい破壊の魔法を…」

 

 

「シ……!! 静かに」

 

 

そう前置きしてから、シャゴットは静かに語り始める。

 

 

「今…エクスタリアは滅亡の危機に瀕しています。もはやこれは抗えぬ運命……なので私は1つの決断をする事にしました」

 

 

「人間を全滅させるんですね!!!」

 

 

「オイ!! 黙って聞け!!!」

 

 

そしてシャゴットは……何と自身の身を纏っていた大きな服を、その場で脱ぎ始めた。

 

 

「え!!?」

 

 

「な…何を…女王様!!」

 

 

驚愕するエクシードたちを他所に、次々と服を脱ぎ捨て、見に纏っていたアクセサリーも外していく。

 

 

「真実を話しておかなければならないという決断です。私は、ただのエクシード。女王でも、ましてや神でもありません。みなさんと同じエクシードなのです。私には人間と戦う力などないのです」

 

 

そうして残ったのは……周囲のエクシードと比べたら余りにも華奢で、背中から生えた翼も片翼しかないシャゴットの姿であった。

 

そしてその姿を見たエクシードたちは、言葉を失った。

 

 

「隠してて本当に申し訳ありません。ウェンディさんとシャルルさんと言いましたね? あなたたちにもごめんなさい、全部私のせいです。どうかここにいるみなさんを恨まないでください」

 

 

「どういう事ですか?」

 

 

ウェンディが問い掛けると、シャゴットの後ろに控えていた年老いたエクシードたちが口を開いた。

 

 

「いえ……〝女王〟というものを作り出した我ら長老にこそ、責任がありますじゃ。私たちはとても弱い種族ですじゃ。大昔…人間たちにひどい事もたくさんされてきました。だから自分たちを守る為に、私たちには力があると人間に思い込ませたのですじゃ」

 

 

「そしてエクシード全体が自信を取り戻せるよう、エクスタリアの皆に対しても、神の力を信じさせました。初めは信じなかった人間たちも、やがて神の力に怖れを抱くようになってきた」

 

 

「神の力と言っても、その全部がワシら事情を知ってる一部のエクシードのハッタリじゃ。例えば殺す人間を決める「人間管理」、本当は全部後付です。私たちが殺す人間を決めてる訳ではないし、そんな力も当然ありません」

 

 

「ただ1つ……シャゴットには少しだけ未来を見る力があります。人の死が見えるのです。それをあたかも女王の決定により殺してると思わせたのです」

 

 

エクシードの長老達により、次々と語られる真実。

 

 

「そんなのウソだ…」

 

「イヤだ…」

 

「女王様は神なんだ」

 

「早く人間をやっつけて……ぐす」

 

 

それを聞いて涙を流しながらも、女王の力を信じるエクシードたち。すると、シャルルが口を開く。

 

 

「詭弁だわ」

 

 

「シャルル」

 

 

「アンタに力があろうがなかろうが、私の仲間を殺すように命令した!!! それだけは事実!!!!」

 

 

「シャゴットはそんな命令はしておらん!! きっと女王の存在を利用した人間の仕業…」

 

 

「違う!!! 変な記憶を植え付け、私の心を操り、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)抹殺を命じたでしょ!!! 生まれる前から!!!!」

 

 

「それは…」

 

 

「ち…ちち……違うんだ!! これには話せば長くて深い事情が~~~!!」

 

 

「どんな事情があっても、これだけは許せない!!!!」

 

 

「シャルル!! 今はその話はよそうよ」

 

 

長老やナディの言葉にも耳を貸さず、そう怒鳴りつけるシャルル。するとシャゴットは、シャルルの前に抜き身の剣を投げ捨てる。

 

 

「シャルルさんの言い分はごもっともです。あなたには何の罪もない、なのに一番つらい思いをさせてしまった。私の罪は、あなたの手で裁いてください。人間もエクシードも両方愛せるあなたにこそ、その権利があります」

 

 

つまりシャゴットはその剣で自分を殺すように言ってきたのだ。

 

 

「シャルル、やめなさい!!」

 

 

「女王様ー!!!」

 

 

「うぁ~ん!!」

 

 

「女王様~!!!」

 

 

それを見たウェンディはシャルルにやめるように言い、エクシードたちは涙を流して悲しむ。

 

 

「さあ!!! みなさんはここは離れて!!! 私は滅び行くエクスタリアと共にします!!!!」

 

 

そう言ってエクシードたちに避難するように言い放つシャゴットだが…

 

 

「離れたくないよ…」

 

「僕もここにいる……」

 

「もうオレたちの歴史は終わるんだ」

 

「だから女王様は全てを話す気に……」

 

「でもあたし、女王様といたいです」

 

「オレも一緒にここで…」

 

 

それでもシャゴットを慕うエクシードたちは、そこを離れようとはしなかった。

 

 

「ダメよみんな!!! この国は滅びる運命なの!!!!」

 

 

それを聞いたシャルルは剣を拾い上げ、それを振り上げる。そして……

 

 

 

 

 

「簡単に諦めてるんじゃないわよ!!!!!」

 

 

 

 

 

それを地面に突き立てながら、そう言い放った。

 

 

「自分たちの国でしょ!!! 神や女王がいなきゃ何もできないの!!!?

 

今までウソをついてでも必死に生きてきたんじゃない!!! 何で簡単に諦めちゃうの!!!

 

弱くたっていいわよ!!!! みんなで力を合わせれば何だってできる!!!! この国は滅びない!!!!」

 

「私の故郷だもん!!!! なくなったりしないんだから!!!!!」

 

 

涙を流しながらも…必死にそう叫ぶシャルル。

 

 

「私は諦めない!!!! 絶対止めてやる!!!!」

 

 

「シャルル!!」

 

 

そしてそう言ってシャルルは、迫り来る浮遊島の方へと飛んでいった。

 

そしてシャルルの言葉と行動に、全員が呆然としていると……

 

 

「ぼ…ぼきゅも行ってくるよ……この国が大好きだから」

 

 

そう言ってナディも羽を広げて、浮遊島の方へと向かって行った。

 

 

 

 

 

シャルルの必死の言葉が……エクシードたちの心を動かした瞬間であった。

 

 

 

 

 

つづく

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