LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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うーむ…2週間近くも空くと思ったように書けなくなるモンですね。でもとりあえず書きたかった事は書けましたので、これでよしとします。

感想お待ちしております。


生きる者たちよ

 

 

 

 

 

 

「凍りつけ!!!!」

 

 

「ロキ!!!」

 

 

「待たせたね!!」

 

 

「燃えやがれ!! フレネンスヒューガ!!!」

 

 

「ガリュー、行って」

 

 

「(コクリ)」

 

 

「やー!」

 

 

森の中でハッピーとシャルルを守りながら王国兵の軍団相手に少数ながらも奮闘するグレイ、ルーシィ、アギト、ルーテシア、ココ…そしてルーシィとルーテシアによって召喚されたロキとガリュー。

 

すると、王国兵が放った1発の魔法弾がハッピーに向かって行く。

 

 

「うわー!」

 

 

「ハッピー危ない!!!」

 

 

そんなハッピーを庇い、シャルルがその魔法弾を受けて倒れてしまった。

 

 

「シャルルーーー!!!」

 

 

「やべ…エクシードに当てちまった!」

 

 

「バカヤロウ!! アレはオレたちの魔力になるんだぞ!!」

 

 

「シャルルしっかりして!! シャルルー!!!」

 

 

「クソ!! 数が多すぎる!」

 

 

敵の数はあまりにも多く、多勢に無勢。その事に対してロキは毒づく。

 

 

「うああっ!」

 

 

「うぐっ…」

 

 

敵の攻撃を喰らい、倒れるルーシィとルーテシア。

 

 

「まだまだァ!!!」

 

 

それでもなお、奮起するグレイだが……

 

 

「グオォォオオオオオ!!!」

 

 

「ぐああああ!」

 

 

「うあああ!」

 

 

「!!」

 

 

突如現れたレギオンの突進に、吹き飛ばされるグレイとロキとガリュー。

 

そしてさらに数匹のレギオンが加わり、王国側の士気が跳ね上がり、一斉に畳み掛けてくる。

 

 

「ぐはっ!」

 

 

「きゃああ!」

 

 

「ぐあっ!」

 

 

「ああっ!」

 

 

「くっ!」

 

 

「うあー!」

 

 

王国兵の猛攻により、ついに倒れてしまうグレイたち。

 

 

「このままじゃみんな死んじゃうよ……誰か……助けて…」

 

 

その光景を見て、ハッピーは涙を流し、懇願するようにそう呟く。するとその時……

 

 

ニョキッ

 

 

戦場に…小さな芽が芽吹いた。すると次の瞬間…その芽は巨大は木の枝となり、レギオンの首を掴み、締め上げる。

 

 

「な…何だこれは!?」

 

 

「木が…生き物みてーに」

 

 

それを見た王国兵が戸惑っている間にも、巨大な木の枝は次々とレギオンの首を締め上げていく。

 

すると……その木の枝が生えた所から、さらに大木のような建物が出現した。

 

 

「ま…まさか……」

 

 

「逃げてばかりの奴等が……」

 

 

そしてその建物には……1つのギルドマークの旗が掲げられていた。

 

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!!?」

 

 

 

そのギルドこそ……エドラスの妖精の尻尾(フェアリーテイル)であった。

 

 

「行くぞォォー!」

 

 

「オオッ!」

 

 

「オレたちだっていつまでも逃げてばかりじゃない!」

 

 

「仲間との絆の力、見せてやろーぜ!」

 

 

「行けぇー!」

 

 

「王国軍を薙ぎ倒せー!」

 

 

「ウォオオ!」

 

 

そしてそのギルドから、エドルーシィを筆頭にしたギルドメンバーたちがそれぞれ武器を手に王国軍へと立ち向かっていく。

 

 

「すまねえ、遅くなったなアースルーシィ」

 

 

「エドルーシィ」

 

 

思わぬ援軍の登場に、涙を浮かべながらも喜ぶルーシィとハッピー。

 

 

「行くよナッツ」

 

 

「アースランドの妖精の尻尾(フェアリーテイル)が戦ってるんだ、僕たちだって戦うんだ」

 

 

そう言って剣を片手に王国軍へと向かって行くエドナツとエドティアナ。

 

 

「見て、シャルル。妖精の尻尾(フェアリーテイル)が助けに来てくれたよ。オイラたちの想いが、この世界を動かしてるんだ」

 

 

ハッピーの言葉を聞き、ゆっくりと目を開いたシャルルは、倒れながらも横目で戦場を見る。そこには……

 

 

「「オレ!!? つーか服……脱げよ(着ろよ)」」

 

 

「グレイが2人とかありえない!! ジュビア、ピンチ」

 

 

「な…なんて羨ましい」

 

 

「は?」

 

 

王国兵にヘッドロックをかけているエドジュビアと、それを羨ましがっているエドグレイと呆れているアースグレイ。

 

 

「オラァ!! 誰でもいいからかかってこいやァー!!!」

 

 

「エリオ暑苦しい」

 

 

手当たりしだいに王国兵を殴り飛ばしているエドエリオと、そんなエドエリオに対してボソリと呟くエドキャロ。

 

 

「ナツ!! しっかり!!」

 

 

「ありがと、リサーナちゃん」

 

 

「むっ…リサーナ!!! ナッツに色目使うの禁止ーー!!!」

 

 

「つ…使ってないよ!!」

 

 

エドナツを励ましていたリサーナと、そんな彼女に軽い敵意を向けながら絡んでいくエドティアナ。

 

 

「オレたち最強!!!」

 

 

「シャドウ・ギアーーー!!!」

 

 

「あんたたち、ルーシィより手柄とるよ!!!」

 

 

そう言いながら敵を薙ぎ倒していくエドラスのギルド最強チーム、シャドウ・ギアの3人。

 

 

アースランドもエドラスも変わらないギルドの様子を見たシャルルは、涙を浮かべながら呟く。

 

 

 

「どこに行っても、騒がしいギルドなんだから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百十六話

『』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐあ!」

 

 

「がはっ!」

 

 

「うぐっ!」

 

 

「ああん!」

 

 

その頃、ナツたち4人の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)は、黒天となったドロマ・アニムに苦戦を強いられていた。

 

 

『フハハハハハハ!!!! ドロマ・アニム黒天は魔法の出力を数倍にも引き上げる特殊装甲! 貴様らに勝ち目は無いぞォ!!!!』

 

 

ドドドドドドドッ!!!!

 

 

「きゃあああ!」

 

 

「うああああ!」

 

 

「うぎぃ!」

 

 

ドロマ・アニムの追撃に吹き飛ばされる4人。するとナツだけが持ち堪え、口を開く。

 

 

「みんな……魔力がねえって苦しんでるのに…王様ってのはずいぶん大量に持ってるんだな」

 

 

『王が民から国税を取るのは当然であろう。ドロマ・アニムは常に世界中の魔力を吸収し続ける究極の魔導兵器!!!! ゆえに禁式!!! 起動させたからには勝つ義務がある!!!! 世界の為に!!!!』

 

 

「何が世界よ」

 

 

「勝手に魔力を奪っておいて、よくそんな事が言えたモンだ」

 

 

「独裁思考も甚だしい」

 

 

「オレたちは生きる為にギルドに入ってるからな。世界の事なんか知った事じゃねえけど……

 

 

この世界で生きる者の為に、お前を倒すんだ」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃……空に浮かぶ1つの浮遊島の上では……

 

 

「天輪・三位の剣(トリニティソード)!!!!」

 

 

重力の槍(グラビティ・コア)!!!!」

 

 

アースランドのエルザとエドラスのエルザ……2人のエルザが激突していた。

 

 

氷炎の槍(ブルー=クリムソン)!!!!」

 

 

エドエルザが振るう炎と氷の2対の槍を、上に跳躍し、そのまま壁を蹴って回避するエルザ。

 

 

「換装……明星・光粒子の剣(フォトンスライサー)!!!!」

 

 

そして『明星の鎧』へと換装し、エルザは剣先から光線のごとき魔力を放出する。

 

 

封印の槍(ルーン・セイブ)!!!!」

 

 

しかしそれを、エドエルザはいとも容易く切り裂いた。

 

 

「魔法を切り裂いた!?」

 

 

音速の槍(シルファリオン)!!!!」

 

 

エルザが驚愕している間に、エドエルザは音速の速さで一気に彼女へと接近し、槍での一撃を放った。

 

 

「くっ」

 

 

それをなんとか剣で防いだエルザだが、その威力に耐え切れず、そのままいくつもの壁をブチ破りながら後方へと吹き飛ばされる。

 

 

「もらったァーーーー!!!!」

 

 

そんなエルザに向かってトドメと言わんばかりに槍を振り下ろすエドエルザ。しかし……

 

 

ガキィィイン!!!

 

 

「何!?」

 

 

何と……エルザは換装で取り出した双剣を足で構え、それでエドエルザの槍を止めたのであった。そしてそのまま足で剣を振るいながら体勢を立て直し、双剣を両手に持ってエドエルザに斬りかかる。

 

 

「スカーレットォ!!!!」

 

 

「ナイトウォーカー!!!!」

 

 

ゴォォォオオン!!!!

 

 

雄叫びを上げながら激突する両者の槍と双剣。その凄まじい衝撃に吹き飛ばされた2人は、一旦距離を取った。

 

 

「ここまで互角とはな…」

 

 

「互角? 違うな。貴様はまだテン・コマンドメンツの最終形態を知らん」

 

 

そう言うと、エドエルザは槍の形態を変化させていく。そして……

 

 

「聖槍レイヴェルト!!!!」

 

 

槍先がまるで剣のような槍へと変化した。

 

 

「エドラス最高の鍛冶屋が鍛えた聖なる槍。この一撃は天下を轟かす究極の破滅」

 

 

それに対しエルザは、鎧を換装し、神秘的な雰囲気を持つ鎧を身に纏った。

 

 

妖精の鎧(アルマデュラ・フェアリー)!!!! この鎧がギルドの名を冠する由来は言うまでもなかろう」

 

 

「最強の魔法という訳か、面白い!!」

 

 

「来い!!!」

 

 

そう言うと、両者は同時に駆け出す。

 

 

「「オオオォォォオオオオオオオ!!!!!」」

 

 

そして……

 

 

ドゴォォォォォオオオン!!!!

 

 

両者の攻撃が激突し、彼女たちがいた浮遊島が吹き飛んだ。

 

 

「レ…レイヴェルトが……」

 

 

「よ…鎧が……」

 

 

そして後に残ったのは、共に最強の鎧と槍を粉砕された2人のエルザであった。

 

 

「くっ!」

 

 

「なっ!?」

 

 

すると、彼女たちの足場がガクンっと落下を始める。

 

 

「今の衝撃で、浮遊島の浮力が失われた」

 

 

「もうお互いに魔力も残っていない…それでも!!!! 貴様を討つ!!!!」

 

 

「ぐっ!」

 

 

落下する足場を駆け、エルザに殴り掛かるエドエルザ。

 

 

「オオッ!」

 

 

「うぶっ!」

 

 

それに対して負けじと殴り返すエルザ。そして2人のエルザは、落下する足場の上で殴りあう。

 

 

「私は永遠の魔力の為に、負けられない!!!!」

 

 

「ぐあっ!」

 

 

エルザの頭を鷲掴んだエドエルザは、そのまま思いっきり地面に叩きつける。

 

 

「貴様の言う永遠はどれだけの一瞬の犠牲の上にある!」

 

 

「くっ」

 

 

そう言いながらエルザは巴投げの要領でエドエルザを引き剥がす。

 

 

「押さえつけ奪い、威圧して奪い、他を憎み、他を滅ぼし」

 

 

「それが人間だーーっ!!!!」

 

 

「人間はもっと人を愛するものだ!!!! 大切な者たちの為に立ち上がり、涙を流す者の為に剣を取る!!

 

お前はこの世界の悲鳴を感じないのか!!? ナイトウォーカー!!!!」

 

 

「世界の悲鳴など貴様より感じているに決まっているだろう!!!! 魔力の枯渇…その為に私は…」

 

 

「違う!!! 世界とは〝生きる者〟の事だ!!!!」

 

 

そう言ってエルザはエドエルザを地面に叩きつけるが、それでもエドエルザは止まらない。

 

 

「この世界は死にゆく世界、魔力が枯渇し、死に至る世界なのだ!

 

アースランドの貴様には分かるまい!!! 魔力が無くなる不安・恐怖・絶望! 私たちは永遠の魔力を手にしなければ生きられないんだ!!!!」

 

 

そう言ってエルザに何度も殴打するエドエルザ。そんな彼女の両手を掴んで、エルザが叫ぶ。

 

 

 

「私たちは生きているだろ、今!!!! 魔力が無くても生きている!!!!」

 

 

 

その言葉に、エドエルザは目を見開く。

 

 

「互いを見ろ!!!! 魔力などとうに尽きてる!!!! それでも人は死んだりしない!!!! 弱さも恐怖も全てを乗り越えていく強さがある!!!! それが生きる者だ!!!!

 

いいかエルザ!!!! お前の中には私の持つ邪悪も弱さもある!!!! だから人々を愛する心も必ずあるんだ!!!! 生きる者の声を一心に聴け!!!! 本当の声で語るんだ!!!!」

 

 

エルザの懸命な言葉を……エドエルザは愕然とした表情で聞いている。

 

 

「(これがエルザ…私……なのか? あれ……? 涙……?)」

 

 

そしてそんなエドエルザの目には、涙が溢れ出していた。

 

 

 

「お前は1人じゃない!!!!!」

 

 

 

その言葉を最後に、2人のエルザは地面に叩きつけられた。

 

そしてその際に出来て小さなクレーターの中で、お互いに仰向けに倒れている2人のエルザ。

 

 

「も…もう動く力も残っていない……」

 

 

「だが…生きて…るぞ」

 

 

「敵わんな。お前の勝ちだ、スカーレット」

 

 

「勝ちも負けもあるものか。同じエルザだ」

 

 

「……そうか」

 

 

そう言ってエドエルザは、憑き物が落ちたような優しい笑顔を浮かべたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方……地上にある丘の上。

 

 

「どうやらエルザの方は決着が着いたようだな」

 

 

「ぐっ…ハァ…ハァ……!!!」

 

 

そこには愛用の杖であるS2Uを片手に涼しい顔で佇むクロノと、苦しげに息を乱しているハヤテの姿があった。

 

 

「もうやめにしよう。キミでは僕には勝てない」

 

 

「……舐めるでないぞ塵芥ァ!!!!」

 

 

そう叫ぶと、ハヤテが手にしている闇の書と愛用の杖であるエルシニアクロイツが連動するように輝き、魔力を集束する。

 

 

「アロンダイトォ!!!!」

 

 

そしてそのままクロノに向かって、黒い砲撃魔法を放つ。

 

 

「やれやれ……」

 

 

しかしそれに対しクロノは嘆息しながら杖を持っていない逆の手のひらをかざし……

 

 

バチィィン!!!

 

 

なんと、それだけでハヤテの砲撃を受け止め、防いでしまったのだ。

 

 

「またしても我の魔法を片手で……!! 一体どうなっている!!?」

 

 

「簡単な事だ。僕はキミより圧倒的に強い……ただそれだけだ」

 

 

戸惑うハヤテに対して、力強くそう言い切るクロノ。

 

 

「何なのだ…何なのだ貴様はァ!!!?」

 

 

「言っただろう、僕はクロノ・ハラオウン。キミの兄であるミストガン……ジェラールの友だ」

 

 

「我とあやつは兄妹などではないっ!!! ジェラールはこの世界から逃げた裏切り者なのだからな!!!!」

 

 

「それは違う」

 

 

「貴様に何が分かる!!!!!」

 

 

ハヤテの言葉を否定するクロノだが、ハヤテはさらに声を荒げる。

 

 

「あの男がこの世界から姿を消したと知った時、我がどれだけ奴を失望したと思っている!!!!」

 

 

そう叫びながらクロノに魔法を放つハヤテ。対するクロノはそれを回避・防御しながら彼女の言葉に耳を傾けている。

 

 

「奴は昔から何でも出来る男だった!!! 文学・武術・魔道の全てをそつなくこなし、その有望さから兵や民に期待されていた!!! 我はそんな兄を持った事を誇り、尊敬すらしていた!!!

 

だが奴は……その期待と尊敬を裏切ったのだ!!!!」

 

 

「くっ!!」

 

 

そう言って今度はエルシニアクロイツで殴り掛かって来るハヤテの攻撃を、クロノはS2Uで防ぐ。そしてそのまま押し合いをしながら、ハヤテは言葉を続ける。

 

 

「我は奴を憎み…恨み…呪いさえした!!! いつかこの手で葬る為の力をつける為に、我は王女という肩書きを捨て、魔戦部隊に入隊し、血反吐を吐きながらも総隊長にまで登り詰めた!!!

 

我は奴を絶対に許さぬ……あの裏切り者を……絶対に!!!!」

 

 

悲痛な声でそう言葉を紡ぐハヤテ。そんなハヤテに対し、クロノはゆっくりと口を開く。

 

 

「確かにキミから見れば、彼は裏切り者なんだろう……だが彼は、それも覚悟の上でその道を選んだんだ!!!!」

 

 

「ぐうっ!?」

 

 

そう言ってクロノは杖で押し合っていたハヤテを押し返す。

 

 

「彼は王国の企みであるコードETDを知った時、同時に彼の命の恩人である2人のエクシードの故郷の危機も知った。

 

彼はどれだけの汚名を被ろうと、裏切り者と罵られようと、命の恩人の故郷を守る為に世界(エドラス)を敵に回す事を決めた!!! それがジェラールの覚悟だ!!!!」

 

 

「ッ……黙れェ!!!!」

 

 

ハヤテがそう叫ぶと同時に、闇の書から黒い輝きが放たれる。

 

 

「見るがいい……闇の書の真髄である〝魔力蒐集〟!!! 周囲の魔力を吸収し、己の糧とする禁忌の力を!!!!」

 

 

すると、闇の書は周囲の魔力をドス黒い魔力へと染めて、己の中へと吸収する。そしてハヤテは、エルシニアクロイツを高々と掲げる。

 

 

「我が敵を射抜く剣の兵よ、闇の光の元、軍勢となりこの空を埋め尽くさん」

 

 

ハヤテが詠唱を始めると、ドス黒い魔力は彼女の頭上へと集まっていく。

 

 

「剣兵召喚、乱数展開」

 

 

そして詠唱を終えると、彼女の頭上には空一面を覆うほどの魔力の剣が円を描くように形成されていた。

 

 

「これで滅びよ……塵芥!!!!」

 

 

そしてハヤテは、合図を示すように、掲げていたエルシニアクロイツを振り下ろし……

 

 

 

「レギオン・オブ・ドゥームブリンガー!!!!!」

 

 

 

その魔力の剣全てをクロノ目掛けて発射した。

 

 

しかしそれに対しクロノは特に焦った様子もなく、懐から1枚のカードを取り出す。

 

 

「デュランダル……スタートアップ」

 

 

その瞬間、カードは蒼い杖…デュランダルへと変わり、クロノの手に収まる。

 

 

「悠久なる凍土…凍てつく棺のうちにて…永遠の眠りを与えよ」

 

 

そしてクロノはデュランダルを構えたまま、詠唱を唱える。その間にも、大量の魔力の剣がクロノへと迫っていく。

 

 

「凍てつけ……」

 

 

そして魔力の剣がクロノに当たるかと思われたその時……

 

 

 

「エターナルコフィン!!!!!」

 

 

 

次の瞬間には……全ての魔力の剣が凍りつき、その機能を停止していた。

 

 

「なっ…や…闇の書が!!?」

 

 

その氷は剣だけでなく、ハヤテの闇の書さえも凍て付かせていた。

 

 

「ストラグルバインド」

 

 

「うぐっ!!」

 

 

そして呆然としているハヤテを、クロノは拘束魔法で身動きを封じた。

 

 

「終わりだよ、ハヤテ・K・クローディア」

 

 

「ぐぅ…おのれ……おのれェ!!!!」

 

 

拘束されたハヤテは吼えるようにそう叫びながら憎々しげにクロノを睨みつける。

 

 

「我はまだ負けておらん!!! あの売国奴をこの手で葬るまでは、負ける訳にはいかんのだァ!!!!」

 

 

そう叫びながらハヤテはバインドを引き千切ろうとするが、クロノのバインドはビクともしない。するとそんなハヤテに対して、クロノはゆっくりと口を開いた。

 

 

「これは僕の推測なんだが……キミは口で言うほど、兄の事を恨んでいないんじゃないのか?」

 

 

「!!?」

 

 

その言葉を聞いて大きく目を見開くハヤテ。そしてクロノは、彼女が身に着けている×印のような髪留めを指差しながら言葉を続ける。

 

 

「その髪留め……それは彼からの贈り物なのだろう?」

 

 

「なっ……何故貴様がそれを知っておる!!?」

 

 

「キミの話は彼からよく聞かされていた。自分には勿体ないくらいのよく出来た妹がいると……キミが本当に彼を憎んでいるのなら、それを大事にしたりしないハズだ。それをまだ身に着けていると言う事は、キミはまだ兄の事を……」

 

 

「だ…黙れ黙れ黙れっ!!!!」

 

 

クロノの言葉を遮るように、ハヤテが声を大にして叫ぶ。

 

 

「そんな事はない!!! 我は奴を心の底から憎んでいる!!!! 奴は我の尊敬と信頼を裏切り…別れを告げる事無く…我の前から姿を消したのだから!!!! 我は…我はジェラールを本当に心から尊敬していた……あの強く優しい兄が大好きだった……だが……何故だ…何故だ…何故ッ!!!!!」

 

 

そして……

 

 

 

 

「何故……兄上は我も…共に連れて行ってくれなかったのだ……」

 

 

 

 

ハヤテはその場で力なく膝をつき、その目から大粒の涙を溢れ出しながら……悲しげにそう言った。

 

 

「連れて行かなかったんじゃない……連れて行けなかったんだ」

 

 

そんなハヤテに対して、クロノが彼女のバインドを解除しながらそう言い放った。

 

 

「なん…だと……?」

 

 

「アースランドへ行けば様々な危険が伴うし…何よりそうすればキミも王国を裏切る事になってしまう……王国だけじゃなく、キミの2人の友人も」

 

 

「!!」

 

 

その言葉を聞いたハヤテの脳裏には、自身の臣下であり幼馴染みとも言えるナノハとフェイトの顔が浮かんだ。

 

 

「彼はキミたち3人の絆を断ち切りたくはなかった……だからキミを連れて行けなかった。その証拠に、彼はこう言っていたよ」

 

 

クロノは以前ミストガンから聞かされた言葉を、そのままハヤテに伝える。

 

 

 

『もうハヤテには私がいなくても大丈夫だ。ハヤテの側には…あの子を懸命に支えてくれる掛け替えのない友達がいる。私はそんな妹を持った事を……心から誇りに思う』

 

 

 

「──とね。彼はずっと…妹であるキミの事を気にかけていたよ」

 

 

「……うっ…ぐっ……ひぐっ……」

 

 

それを聞いたハヤテは、再び両目からポロポロと涙を溢れさせる。

 

 

「兄…上……グスッ……兄上ぇ……!!!」

 

 

その涙を両手で拭いながら泣いているハヤテは、すでに戦意喪失していた。それを悟ったクロノはハヤテから視線を外し、王都の方面へと視線を向ける。

 

 

「(後は任せたぞ……ミストガン)」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

王都の城内にある…とある部屋。

 

その部屋にはミストガンと、彼に連れられてやってきたリリーとリニスの姿があった。

 

 

「ここは…アニマを造り出す部屋」

 

 

「王子……この部屋で一体何を?」

 

 

「私は長いことアースランドを見てきた。争いもあるが豊かな世界だった。きっと受け皿になってくれる」

 

 

「!!」

 

 

「ま…まさか!」

 

 

その言葉を聞いたリリーとリニスはミストガンの考えを察し、すぐに反論する。

 

 

「いくら何でもそれは暴論すぎる!!!!」

 

 

「そうですよ!! そんな事をすれば……」

 

 

「この世界の争いを根絶させる為にはこれしかない。人と人がきちんと向き合える世界を作るんだ」

 

 

そう言ってミストガンは、自身の考えを言い放った。

 

 

 

 

 

「アニマを逆展開し、この世界全ての魔力を消滅させる」

 

 

 

 

 

つづく

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