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「何だあの桜頭は!!? おい桃色!!! あれはうぬの仲間ではないのか!!?」
「違いますよ!!! いくら髪の色がちょっと似てるからって言いがかりですー!!!」
突然乱入してきたナツを見て、そんな言い合いをするハヤテとピンクの髪の少女。すると……
「動かないで」
「「!!」」
そんな2人の後頭部に、シャルルに運ばれているティアナがクロスミラージュを突きつける。
「とりあえず今は、あんな奴を呼び出したアンタたちを敵と見なすわ。少しでも動いたら容赦しないわよ」
「あらー…ずいぶんと物騒なのね」
「チッ……力が戻っていれば貴様なぞ……」
そんなティアナに対して軽い態度を取る少女と、忌々しげに舌打ちをするハヤテ。
「単刀直入に聞くわ。私たちをこの世界に呼んだのはアナタたち?」
「何の話だ? 王たる我が貴様などを呼び出して、何の意味がある?」
「……どうやらこっちのハヤテは知らないみたいね」
「誰がハヤテだ白ネコ!!! あんな子鴉と同じ名で呼ぶでないわ!!! 我の名は偉大なる王『
シャルルがハヤテと呼んだ瞬間に怒鳴られる。どうやらこちらのハヤテはディアーチェと言う名前のようである。
そしてハヤテが知らないと知ると同時に、ティアナは銃口をディアーチェから下ろす。
「あら……ひょっとしてあなたたち、異世界の迷い人さん?」
「!!」
「アンタ……!!!」
少女が口にした言葉に、ティアナとシャルルが反応する。
「私の名前はキリエ・フローリアン。よろしくね、迷い人さん♪」
ティアナたちがこの世界へとやって来た原因を知っていそうな口振りの少女……キリエは茶目っ気たっぷりの顔でそう言い放ったのであった。
第百二十二話
『砕け得ぬ闇』
「ヴェスパーリング」
ナツとU-Dの戦いで、最初に動き出したのはU-D。リング状の赤黒い魔法弾をナツに向かって放つ。
「ハッピー!!」
「あいさ!!!」
それをナツを抱えているハッピーが空中を旋回しながら回避し、U-Dへと接近して行く。
「火竜の鉄拳!!!!」
そしてそのまま炎を纏った拳をU-Dに叩き込むが、先程と同じように魔力のシールドで防がれてしまう。
「と…鉤爪!!!!」
さらに炎を纏った蹴りを放つが、やはりシールドで防がれてしまう。
「くそっ…硬ェ……」
「ナツの攻撃が通じないなんて……」
攻撃がことごとく防がれてしまう事に毒づくナツ。すると今度はU-Dが反撃に出る。
「ハァァアア!!!」
「うおっ!!?」
「なにあれ!!?」
U-Dの背後の赤い翼……『
しかしナツはそれを見て驚きつつも引いたりはせず……
「火竜の……砕牙!!!!」
負けじと炎を纏った爪を振るい、その巨大な手にぶつけた。
「うおらあああっ!!!」
「!!?」
そしてナツの攻撃が押し勝ち、巨大な腕を弾き飛ばした。
「火竜の……」
そのままナツは両腕に炎を纏い……
「翼撃!!!!」
「うあああっ!!!」
それを横薙ぎに振るい、灼熱の炎がU-Dを襲った。
そしてその戦いを見ていたはやてとリインフォースは愕然としていた。
「すごい……あの巨大な手の攻撃を押し返すやなんて……」
「ええ……しかも体の様々な箇所から炎を吹き出すなんて……あんな魔法は見た事がありません」
「一体、何者なんやろ?」
そんなはやてとリインフォースとは別に、エリオとリニスはU-Dの力を測っていた。
「あの子……強いね」
「はい。特に防御力が硬さが半端ではありません……事実ナツさんでも、まだあの防御を一度も破れていないのですから」
「そうだね。でも大丈夫だよ、ナツさんなら」
そう言いながら、エリオとリニスはナツの戦いを見据えていた。
「何なのだ…あやつは……」
「うわー……」
一方ディアーチェとキリエも、ナツの戦いを見て驚いていた。
「まさか砕け得ぬ闇を押すとは……」
「けど、あまり効いてはいないみたいですね」
「うむ。あの防御力に攻撃力……流石は砕け得ぬ闇と言ったところか……」
「それはどうかしら?」
そんなディアーチェとキリエに対し、ティアナが口を開く。
「あのバカの破壊力を甘く見てたら、痛い目に遭うわよ」
そして視点は戻りナツの攻撃を喰らったU-Dだが、当の彼女はケロッとした様子で佇んでいた。
「くっそー…頑丈だなあいつ……」
「防御力が半端じゃないよ。ナツ、どうするの?」
「決まってんだろ、殴って殴って殴りまくってやる!!!!」
「決まってるんだそれ……」
ナツの言葉にハッピーは呆れたようにそう言う。すると、U-Dが動き出す。
「ジャベリン!!!」
U-Dは手のひらから巨大な赤い槍を生成し、ナツに向かって投げつける。
「うおっ!?」
「わっ!!」
その飛んできた赤い槍を、ナツとハッピーは慌てて回避する。しかし、U-Dの攻撃は終わっていない。
「ヴェスパーリング!!!」
再び放たれるリング状の赤い魔法弾。しかも今度は1発ではなく、10発以上の連射である。
「避けろハッピー!!!」
「わかってるよ!!!」
その魔法弾を、ハッピーは持ち前のスピードによる機動力で空中を旋回しながら回避していく。そして全ての魔法弾の回避に成功したが……
「エターナル……セイバー!!」
「!!?」
「先回りされた!!?」
回避した先にはU-Dが待ち構えており、手のひらに赤い長剣を左右に広げた状態で出現させたU-Dはそのままナツとハッピーを挟み込むように振るって来る。
「チィッ!!!」
その攻撃を、ナツは咄嗟に両手で受け止めた。
「これで終わり」
「ぐうっ……!!!」
「ナツ!!!」
そう言ってU-Dは挟む力をさらに強め、ナツは顔を歪める。しかし……
「ナメんじゃねええええええ!!!!」
そう雄叫びを上げると同時に、負けじと腕に力を込めて剣を押さえる。
「火竜の……」
そしてそのまま大きく息を吸い込んで頬を膨らまし……
「咆哮ッ!!!!」
灼熱のブレスをU-Dに目掛けて放った。
「!!?」
予想もしなかった反撃にU-Dは一瞬呆気に取られるが、すぐに攻撃を中断してシールドを張り、ナツのブレスを防御する。
そしてブレスを防ぎ切ったのを確認すると、すぐさまナツとハッピーへと視線を戻すが……
「いない……!?」
そこにナツとハッピーの姿はなく、U-Dはキョロキョロと周囲を見回すが、それでも2人の姿は見つからない。
「オオオオオオオオッ!!!」
「!!」
頭上から雄叫びのような声が聞こえ、U-Dは空を見上げる。するとそこには、両手に炎を纏いながらU-Dに向かって猛スピードで急降下してきているナツとハッピーの姿があった。
「火竜の……」
あまりに突然の出来事とスピードに、U-Dは防御や回避などの対処ができなかった。そしてナツは両手に纏った炎を合わせて強大な炎へと変換し……
「煌炎!!!!!」
ドゴォォォオオオオオオン!!!!
そのままU-Dに叩きつけ、大爆発を起こしたのであった。
「動作不良……システム負荷増大……駆体動作……困難……」
そして爆炎の中から姿を現したのは、既に行動不能となったU-Dであった。
「なんとーーー!?」
「あのマフラー君強っ!? あの怪物を倒しちゃった!?」
「だから甘く見るなって言ったでしょ」
「ま、あれくらい当然よね」
「ホ…ホンマに倒してもうた……」
「あの男は一体……!?」
「さすがナツさんです!!!」
「やりましたね!!!」
その戦いを観戦していた面々は、ナツがU-Dを戦闘不能にした事に様々な反応を見せていた。
「し、しっかりせいUーD! 傷は浅いぞ!?」
「闇の書の構築体、マテリアルD……駆体……起動……?」
「そうとも。お主と同じく、駆体起動中だ」
「──ディアーチェ……ディアーチェですか?」
「そうとも。我が名は
「シュテルやレヴィも……?」
「ここに」
「ボクもいるよー!」
U-Dの問い掛けに答えるように、どこからかエドラスのナノハに似た少女とフェイトに似た少女が姿を現す。
「(やっぱりあの2人も居たのね、さすがに名前は違うみたいだけど。っていうかどっから現れたのかしら?)」
ティアナは現れたナノハ似の少女…シュテルとフェイト似の少女…レヴィを見て内心でそう呟く。
「会えて嬉しい──本当は、そう言いたいです」
「……なんと……?」
「だけど、駄目なんです……私を起動させちゃ」
「あの、お話が見えないんですが、それはどういう……?」
キリエがそう質問するとU-Dは表情を暗くしながら口を開く。
「みんなが私を制御しようとしました──だけど出来ませんでした。だから必死で沈めました──私に繋がるシステムを破断して、別のシステムで上書きして。闇の書に関わる全ての情報から、私のデータを抹消して。夜天の主と管制融合騎も知り得ない、闇の書が抱える本当の闇──それが──」
「っ……お前ら!!! 逃げろォ!!!!」
何か嫌な予感を感じたナツはU-Dの近くにいるディアーチェ達3人にそう叫ぶが……
「あああっ!!」
「うあぁぁぁっっ!!」
「ぐあああっっ!!」
「──私なんです」
時既に遅く、次の瞬間には……U-Dから発せられた赤い刃が3人の胸を貫いていた。
「え?」
「どうなって……!!?」
その光景に呆然と目を見開いているティアナとエリオ。
「沈む事なき黒い太陽──影落とす月──ゆえに、決して砕かれぬ闇。私が目覚めたら──後には破壊の爪痕しか残らない──」
U-Dは悲しげにそう呟くと、どこかへ行こうとする。
「ヤミちゃん! あかん、待って!!」
はやてはU-Dを引き止めようとするが、U-Dは聞く耳を持たず、その場から立ち去ろうとする。
だがその時……
「コノヤロォ!!!」
「!?」
突然U-Dの前に、炎の拳を構えたナツが現れた。U-Dは驚きながらも、とっさにシールドでナツの拳を防いだ。
「仲間じゃなかったのか……その3人はお前の……仲間じゃなかったのかよ」
そう言うと同時に、ナツは怒りの形相でギロリとU-Dを睨む。
「仲間に手ェかけるたぁどういう了見だ? アァ?」
その迫力に、近くにいたはやてはビクリと肩を震わせた。
「何故あなたが怒るのですか? 貴方にとってディアーチェたちは、敵ではないのですか?」
「敵だとか味方だとかどうでもいいんだよ。お前は自分の心配をしてくれた仲間に手をかけた……オレはそいつが許せねえ」
「……そう…ですか……優しいんですね、あなたは」
「ア?」
U-Dの言葉にナツは訝しげな表情を浮かべる。
「ごめんなさい──さよなら──みんな──」
そう言い残すと同時に、U-Dはその場から姿を消した。
「待ちなさいっ! 私はあなたに用があるのっ! 全力追跡!! アクセラレイター!!」
「しまった!!」
それを追って、キリエも姿を消してしまった。そして彼女を見張っていたティアナは、U-Dに気を取られていたせいでキリエを逃がしてしまった事に顔を歪めた。
「逃げんなコラァ!!! オレの鼻から逃げられると思うなよ!!! ハッピー、あっちだ!!!」
「あいさー!!!」
そう言ってナツとハッピーもU-Dを追ってその場から猛スピードで飛んでいった。
「ナツさん!!! リニス、僕たちも!!」
「はい!!!」
「あーもーあのバカ!!! シャルル、ナツを追うわよ!!!」
「わかってるわよ!!!」
そんなナツを追って、エリオとリニス…ティアナとシャルルもその場から離れていった。
「我が主……! マテリアル達が……!」
「消えた……? まさか、消滅?」
「いえ。一度駆体維持を放棄して、どこかで再起動しているのかと」
「無事なんかな?」
「力を取り戻すまでは、時間がかかるでしょうが………」
残されたはやてとリインフォースがそんな会話をしていると、彼女たちに通信が入る。
「はやてちゃん! まずい状況になってきちゃいました!! 各地で思念体反応が多数出現!! もの凄い数です!! 今、シグナム達が迎撃に出てくれています!!」
◆◇◆◇◆◇◆◇
「くそっ!! ニオイが途中で消えちまった!!!」
あのあと、U-Dのニオイを頼りに彼女を追っていたナツたちだが、そのニオイが途中で途絶えてしまった為、空の上で立ち往生していた。
「ナツ~…オイラ、もう限界だよ~…羽が消えそう」
「私もです」
「私もよ」
すると、ハッピーとシャルルとリニスの3人が表情に疲労の色を露にしながらそう言う。
「さっきからずっと飛びっぱなしだったから仕方ないわね、あそこで休みましょ。いいわねナツ?」
「……おう」
そんな3人に見かねたティアナが近くのビルを指差してそう提案する。U-Dを追う事に専念していたナツも、仲間の為ならと了承した。
そしてナツたちは、ビルの屋上へと着地すると、その場に座り込んだ。
「ハァ~…何だか疲れましたね」
「色々ありましたからね。肉体だけでなく、精神的にも疲労してるんですよ」
「そうか? オレは全然だぞ」
「あんたはバカだからストレスとかとも無縁だからよ」
「あい、それがナツですから」
「アンタも一緒よハッピー」
ビルの屋上で体を休めながら、ナツたちはそんな会話を繰り広げる。
「とにかく、今日はもうここで一晩明かしましょう。幸い仕事帰りだったから寝具は一通り揃ってるし」
「そうですね、それがいいと思います」
「あい」
ティアナの提案に頷くエリオとハッピー。リニスとシャルルも声には出していないが、賛同するように頷いている。
「オレはあのチビを追いかけるぞ!!! まだ決着ついてねーし、何よりこんな得体の知れねー場所で眠れる訳ねーだろ!!!!」
ただ1人ナツだけがそう言って猛反対している。しかし……
「ぐがーー」
数分後には誰よりも早く寝息を立てていた。
「ホンット、こいつは本能の赴くままに生きてるわよね」
「あい」
「やっぱりケモノね」
「「あはは……」」
そんなナツに呆れながらも、ティアナたちも眠りについて、夜を過ごしたのであった。
つづく