LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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正直、コレがやりたくて今回のシリーズを始めたと言っても過言ではありません。


感想お待ちしております


最後の闇の欠片

 

 

 

 

 

 

U-Dこと……ユーリの暴走も収まり、彼女を抱えて白い空間から脱出したディアーチェ。

 

 

「おーーい!!!」

 

 

「お2人とも、ご無事ですか?」

 

 

そんな2人を、シュテルとレヴィが出迎えた。

 

 

「シュテル…レヴィ……」

 

 

「おお、うぬらか。見ての通り、我もユーリも無事ぞ」

 

 

そう言うとディアーチェは抱えているユーリを2人に見えるように少し前に差し、シュテルとレヴィは彼女の顔を覗き込んだ。

 

 

「よかった~」

 

 

「ご無事で何よりです」

 

 

そして2人の無事を確認し、安堵の息を吐いた。

 

 

「そうだ、今の内にうぬらから託された魔力を返しておくとしよう」

 

 

ディアーチェは思い出したようにそう言うと、朱色と蒼色の魔力をそれぞれシュテルとレヴィに流し込み、それを終えると同時に、彼女の背の翼が元の黒翼へと戻った。

 

 

「……おや?」

 

 

「どうしたのシュテるん?」

 

 

「いえ……心なしか、王に託す前より魔力が増えているような……」

 

 

「え? あ、ホントだ」

 

 

「王…もしや……」

 

 

「さあな、我は何も知らんぞ。気のせいではないのか?」

 

 

「……クスッ。では、そう言う事にしておきます」

 

 

疑問符を浮かべているシュテルとレヴィに対して、そっぽを向きながらそう言い放つディアーチェ。そんな彼女の様子を見たシュテルは全てを察し、小さく笑みを零した。

 

 

「それより、ナツたちはどうしたのだ?」

 

 

「彼らなら……」

 

 

「うおーーーいっ!!!」

 

 

ディアーチェの問い掛けにシュテルが答えようとしたその時、彼女たちを呼ぶ声が響き、そちらへと視線を向けるとそこには、こちらへと向かって来るナツたち妖精組の姿があった。

 

 

「上手くいったみてえだな!」

 

 

「あい!」

 

 

「うぬらのお陰よ。ほれユーリ、うぬからも何か言わぬか」

 

 

「あ…はい……」

 

 

ディアーチェは抱えていたユーリを降ろし、そのまま前に押し出すと、ユーリは恥ずかしそうにモジモジしながらナツたちの前に立った。

 

 

「えっと…ユーリ・エーベルヴァインです。ご迷惑をおかけしました……」

 

 

「オレはナツだ」

 

 

「オイラはハッピーだよ」

 

 

「エリオ・モンディアルです」

 

 

「リニスです」

 

 

ユーリの自己紹介に応える様にナツたちも彼女に自身の名を告げる。

 

 

「みなさん…ありがとうございました!!」

 

 

そしてユーリは感謝の言葉と共に、ナツたちに頭を下げた。

 

 

「気にすんな。それにオレたちはお前を助ける手伝いをしただけだからな。な、ハッピー」

 

 

「あい。実質助けたのはディアーチェだしね」

 

 

「目立ったケガもなくてよかった」

 

 

「エリオ、あなたはもう少し自分の心配をしてくださいね」

 

 

そんなユーリに対して笑顔を浮かべながらそう言葉を返すナツたち。

 

 

「それに、これでまたお前と戦えるしな!!!」

 

 

「え…?」

 

 

すると、ナツが続けて言い放った言葉に、ユーリは表情を強張らせる。

 

 

「ナツ、またユーリと戦うの?」

 

 

「ったりめーだろ。最初ん時は決着ついてねーし、さっきの勝負も1対1じゃねーから無効みてーなモンだからな!! 今度こそ決着つけてやんよ!!」

 

 

「あう……」

 

 

「たわけ!! ユーリが怯えておるだろう!!!」

 

 

ハッピーの問いに答えながら心底楽しそうな表情でシャドーボクシングをしながらそう言うナツを見て、ユーリは困ったようにオロオロと戸惑っている。そしてそんなユーリを庇うようにディアーチェが怒鳴る。

 

 

「大丈夫だって、ちゃんとユーリが回復するまで待っててやっから」

 

 

「そういう問題ではないわ阿呆!!!」

 

 

「ユーリもめんどくさいのに目を付けられちゃったね」

 

 

「えっと……あはは」

 

 

ナツの言葉にディアーチェが怒鳴り、ハッピーの同情に似た言葉にユーリは苦笑を浮かべた。

 

 

そしてそんな彼らの傍らでは……

 

 

「モグモグ…ゴクン……ふう、ごちそうさま」

 

 

「おーっ!! スゴイスゴイ!! 本当にボクの雷を食べちゃった!!!」

 

 

「同じ属性のモノを食す事で力を増幅させる滅竜魔法……本当に興味深いです」

 

 

エリオがレヴィの出した蒼色の雷を食した事で、レヴィは目を輝かせ、シュテルは興味津々の様子で観察していた。

 

 

「エリオ、体調の方はどうですか?」

 

 

「うん、レヴィのお陰でだいぶ体力が戻ってきたよ。ありがとうレヴィ」

 

 

「遠慮はいらないぞ、エリおんは恩人だからなー」

 

 

「いや…恩人っていう程じゃ……」

 

 

「いいえ、エリオは誰よりも率先して戦い、私たちを守ってくれました。十分恩人ですよ」

 

 

「そうだぞエリおん!!」

 

 

「あ…えっと…その……」

 

 

「あらあら♪」

 

 

シュテルとレヴィのその台詞に、エリオは照れた様に言葉を失い、その様子をリニスは微笑ましくみていたのだった。

 

 

すると……

 

 

「王様ーー!!!」

 

 

「この声は……」

 

 

「チッ……無粋な奴等が来おったわ」

 

 

突然聞こえてきた声にナツは反応し、ディアーチェは舌打ちをして顔をしかめながらその声のした方向へと視線を向けた。

 

 

そこには…なのは、フェイト、はやて、クロノ、ヴォルケンリッターの面々の管理局組、そしてアミタとキリエのフローリアン姉妹にヴィヴィオとアインハルトとトーマ(inリリィ)の未来組の姿があった。

 

 

そして彼らが到着すると、まずははやてが口を開いた。

 

 

「王様!! U-Dは!!?」

 

 

「遅かったな子鴉とそのお供ども。もう全部終わったぞ」

 

 

「「「ええぇーーーっ!!?」」」

 

 

はやての問いに答えたディアーチェの言葉に、やって来た全員が驚愕する。

 

 

「せ…せっかく新しいシステムとか色々用意してきたのに……」

 

 

「無駄になったようですね」

 

 

なのはの漏らした言葉に、シュテルがバッサリと言い放つ。

 

 

「レヴィたち、どこかケガとかは……」

 

 

「ないぞっ!! エリおんが守ってくれたからなー」

 

 

「我らもユーリも目立った外傷はない。ナツやエリオも手傷は負っておるが、意外とピンピンしておるわ」

 

 

フェイトの問い掛けにレヴィとディアーチェが答えると、なのはがある事に気がついた。

 

 

「ユーリって……?」

 

 

「こやつの名よ。そう呼べ」

 

 

「ユ…ユーリ・エーベルヴァインです」

 

 

「ユーリ……ディアーチェがつけてあげたの?」

 

 

「はやてちゃんが、リインフォースさんに名前をあげたのと一緒だね」

 

 

「阿呆が、違うわ。ユーリは元々こやつの名前で……いや、いい。説明が面倒だ」

 

 

なのはとフェイトの言葉を否定し、ユーリの名前について説明しようとしたディアーチェだが、途中で面倒になって止めてしまった。

 

 

「えー? 聞きたい。王様がナツさんたちを名前で呼ぶほど親しくなってる理由も含めて」

 

 

「黙れ子鴉。ナツやエリオたちは我らにとって恩人であり仲間なのだから、名で呼ぶのは当然であろう」

 

 

「それやったら、私の事もちゃんと名前で」

 

 

「貴様と仲間になった覚えはないし、子鴉など子鴉で十分だ」

 

 

「王様ひどいー!」

 

 

ディアーチェの辛辣な言葉に、はやては若干涙目である。因みにそんな2人のやり取りを間近で見ていたユーリは、クスクスと笑みを浮かべていた。

 

 

「しかし、とんだ肩透かしをくらったものだな」

 

 

「だよな、せっかくこっちは気合いれてきたっつーのによ」

 

 

「そう言うな。たいした被害が出る事も無く終わったんだ。最良の結果だ」

 

 

そう言って不満気な声を漏らすシグナムとヴィータを諭すリインフォース。

 

 

「かーっかっかっか!!! これで一件落着だなハッピー!!」

 

 

「あい!」

 

 

「これで元の世界に──もがっ!?」

 

 

そう言いかけたナツであったが、その瞬間誰かの手がナツの顔面を鷲掴みにして言葉を遮った。

 

 

「元の世界に帰る前に……私に何か言う事があるんじゃないかしら──ナツ?」

 

 

「ティ…ティア……」

 

 

その人物とは……満面の黒い笑顔を浮かべ、額には血管を浮かべているティアナであった。因みにその背には彼女を抱えて飛んでいるシャルルの姿もある。

 

 

「この世界で勝手な行動をするなって言ったわよね?」

 

 

「ご…ごぺんなざい……」

 

 

「ホントどれだけ心配をかければ気が済むのかしらねアンタは。この頭の中はどうなってるの? カラなの? 一回割って調べてみようかしら?」

 

 

「ぐおおお……っ!!!」

 

 

「ナツ!! ヤバイよ!! 頭からスゴイ音が鳴ってるよ!!!」

 

 

「ティアナ!! 落ち着きなさい!! これはシャレにならないわ!!!」

 

 

「ティアナさん!!! ストップストーップ!!!」

 

 

「やり過ぎですよ!!!」

 

 

「ナツの頭メキメキいってるから!!! ホントに頭割れちゃうから!!!」

 

 

メキメキと音が鳴るほどアイアンクローでナツを締め上げているティアナを見て、ハッピーとシャルルが必死に説得し、ヴィヴィオとアインハルトとトーマが物理的に止めていた。

 

 

そんな様子を、少し離れた場所から眺めているのは、戸惑った表情のアミタと楽しげな表情のキリエであった。

 

 

「キリエ、あれは止めなくてもいいんでしょうか?」

 

 

「大丈夫よ。ヴィヴィオちゃんやトーマ君たちが止めてくれてるし、それにアレはきっとティアナちゃんの愛情表現みたいなものよ。私にこんなに心配かけてー的な♪」

 

 

「な…なるほど……ティアナさんのあの行動にはそんな意図が……」

 

 

「そういうこと」

 

 

「違うっつってんでしょうが!!!」

 

 

「いやん♪」

 

 

そんな会話をしていたキリエに向かって、ティアナは既にグッタリしているナツを投げつけるが、キリエは華麗に回避した。

 

因みに投げられたナツはハッピーによって救出されたが、頭部へのダメージのせいでピクピクと痙攣していた。

 

 

「シャマルー、ナツの治療をお願いするよ」

 

 

「あ、エリオもお願いします」

 

 

「はいはーい♪」

 

 

そのままハッピーとリニスはナツとエリオをシャマルのもとへと運び、彼女に治癒魔法をかけてもらった。

 

 

「さて子鴉。ナツたちもユーリもだいぶ消耗しておる……どこか休める場所に案内せい」

 

 

「はいはい」

 

 

ディアーチェの言葉に頷きながらそう答えるはやて。

 

 

全員が事件を解決したと思い……和気藹々としながら体の力を抜いたその時……突如として異変が起きたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第131話

『最後の闇の欠片』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!?」

 

 

「? ユーリ?」

 

 

その事にいち早く反応したのは、ユーリであった。彼女が突然ビクリと体を震わせたのを見て、ディアーチェが訝しげな表情を浮かべる。

 

 

「っ……このニオイ……」

 

 

「これは……!?」

 

 

「ナツ?」

 

 

「エリオ? どうしたのですか?」

 

 

そして次に反応したのはナツとエリオの2人。そんな2人を見て首を傾げるハッピーとリニス。

 

 

すると……

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 

 

「「「!!?」」」

 

 

「な…何や!!?」

 

 

突然地響きのような揺れが起こり、全員が戸惑う。

 

 

《クロノ!! みんな!! 緊急事態だ!!!》

 

 

「ユーノか!? どうした!!?」

 

 

すると、クロノを初めとした管理局メンバーに、ユーノからの通信連絡が入った。

 

 

《海鳴市に散らばっていた闇の欠片が、一箇所に集まり始めてる!!!》

 

 

「なんだと!!?」

 

 

ユーノの報告を聞いて、驚愕の声を上げるクロノ。そしてそれを聞いていたディアーチェが、ユーリに問い掛ける。

 

 

「ユーリ、どうなっておる!? 永遠結晶(エグザミア)の暴走が止まれば、闇の欠片も消滅するのではないのか!!?」

 

 

「そ…そのハズなんですけど……原因はわかりませんが、闇の欠片が暴走しているんです」

 

 

「なにぃ!!?」

 

 

闇の欠片の暴走と聞いて、ディアーチェは思わず大声を上げてしまった。

 

 

《とにかく、僕は現場に先行して結界を張ってくる。クロノたちもすぐに急行して!!!》

 

 

「わかった、任せたぞ」

 

 

その報告を最後に、ユーノからの通信が途切れた。

 

 

そしてその後……その場にいた全員で現場へと向かって行ったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「みんな、こっち!!」

 

 

海鳴市内にあるビルの屋上でユーノの姿を発見し、全員がビルの屋上へと降り立った。

 

 

「ユーノ、闇の欠片は?」

 

 

「……アレだよ」

 

 

「なっ!!? なんだアレは!!?」

 

 

そう言ってユーノが指し示す先には……巨大な闇色の球体があった。その大きさは、周囲のビルを優に超えるほどの大きさであった。

 

 

「で…デカい……アレは本当に闇の欠片なのか?」

 

 

「本当です」

 

 

「ユーリ」

 

 

クロノの問いに答えるように声を上げたのは、静かに闇の球体を見上げているユーリであった。

 

 

「アレは闇の欠片の集合体……暴走した闇の欠片が1つに集まって、私たちの記憶にあるものを再生しようとしているのです」

 

 

「ち…ちょお待って!! 記憶を再生って、あの大きさやで!! 何を再生させようっていうんや!!?」

 

 

「少なくとも、人間じゃあないわよね」

 

 

闇の球体を指差しながらそう言うはやてと冷静に呟くティアナ。彼女たちの言う通り、今までのような人間が再生されるとは到底思えなかった。

 

 

「わかりません……ですが、ここにいる誰かの記憶から再生される生物というのは間違いないです」

 

 

ユーリがそう言うと、それを聞いていたリインフォースがハッとした表情で、口を開いた。

 

 

「まさか……ナハトヴァール」

 

 

「「「!!!」」」

 

 

「ナハトヴァール?」

 

 

リインフォースが口にした名称に管理局組とマテリアルズは目を見開き、妖精組と未来組とフローリアン姉妹は疑問符を浮かべている。

 

 

「闇の書の闇とも呼ばれ、周囲に存在するもの全てを破壊し、喰らい尽くす危険な存在……これまで数々の惨劇と悲劇を引き起こしてきたものだ」

 

 

「ありえない話ではありませんね。私たちマテリアルや闇の欠片は、元を正せばナハトヴァールの破片から生まれた存在ですから」

 

 

リインフォースとシュテルの言葉を聞いて、管理局メンバーが表情を引き締める。

 

 

「また……アレと戦うんやな」

 

 

「大丈夫だよはやてちゃん」

 

 

「そうだよ。前も倒せたし、それに今はあの時よりも人数もいるから」

 

 

「艦長に連絡して、アルカンシェルの用意もしてもらっている。前回と同じ方法でいけば、問題ないだろう」

 

 

上からはやて、なのは、フェイト、クロノがそれぞれそう言葉を口にする。

 

 

「ディアーチェ……」

 

 

「ん? どうしたユーリ?」

 

 

「あの球体から、とても強い思念を感じます……」

 

 

「強い思念だと?」

 

 

「はい……これはまるで──〝怒り〟」

 

 

ユーリが呟く言葉に、ディアーチェは首を傾げることしか出来なかった。

 

 

「んー……」

 

 

「ナツ? どうしたの?」

 

 

「なに唸ってるのよ?」

 

 

「よくわからねえけど……あのデケー奴を見てから、何かスゲェ胸騒ぎすんだよ」

 

 

「「?」」

 

 

闇の球体を見据えながら、そう言うナツの言葉を聞いて、ティアナとハッピーは疑問符を浮かべる。

 

 

すると……

 

 

ピシッ…ピシピシッ……

 

 

「「「!!!」」」

 

 

今まで静かに浮かんでいた闇の球体に、突如大きな亀裂が入り始め、それを見た全員が身構える。それはまるで、何かが生まれる卵のようであった。

 

 

 

ガシャァァァアアアン!!!!

 

 

 

そして遂に、闇の球体が粉々に砕け散り……闇の欠片によって再生されたその生物が姿を現した。

 

 

ズシィィインっと地面を揺るがすような音を立てながら地面をへと降り立つその生物を見て、管理局組は目を見開いた。

 

 

「ナハトヴァールじゃ……ない?」

 

 

リインフォースが呟いたその言葉が小さく木魂する。そう……彼らの目の前に現れたのは、想像していたナハトヴァールなどではなかった。

 

 

巨大な尻尾のついた赤い体……

 

全身を覆う真っ赤に燃える炎のようなウロコ……

 

強靭な四肢から伸びた手足と鋭い爪……

 

口には全てを噛み砕けそうな鋭い牙……

 

背には大空を翔る為の翼……

 

そして……全てを威圧できそうな程の迫力を持った眼光……

 

 

まったく見覚えの無いその生物に、呆然とする管理局メンバーたち。

 

 

だが次の瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

その生物は、空気を…大地を…海鳴市全体をも揺るがすような咆哮を上げた。

 

 

「「「!!?」」」

 

 

その咆哮は衝撃波となり、ビリビリと空気全体を揺るがし、その場にいた全員が耳を塞いだ。

 

 

いや……全員ではない。

 

 

「………………」

 

 

彼らの中でただ1人……ナツだけが耳を塞ぐ事も無く、静かに佇んでいた。

 

 

しかし表情は驚愕に染まっており、まるで信じられないモノを見るような顔付きをしている。

 

 

さらに心なしか全身も小刻みに震えていた。

 

 

すると……ナツは震える唇をゆっくりと動かし……本当に小さな声で──呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──イグニール?」

 

 

 

 

 

つづく

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