それはそうと、今回はvsイグニールの回です。PSPの『ゼレフ覚醒』しかイグニールとの戦闘ネタがなかったので苦労しました。
感想お待ちしております!!!
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!」
大気を振るわせるほどの咆哮を上げる、暴走した闇の欠片から生み出された1体の生物。その生物を見た管理局組を初めとしたメンバーは愕然としていた。
「な…なんだあの生物は……?」
「怪獣…なんやろか?」
「ドラゴン……じゃないかな?」
「まさか…アルザスの飛竜?」
「でも、キャロのフリードとは全然違う……何ていうか…怖い」
「ええ……凄まじい覇気を感じます」
「今のエルトリアにも、あそこまで凶暴な奴はいないわよ……」
クロノ、はやて、ユーノ、トーマ、ヴィヴィオ、アインハルト、キリエが口々にそう言う。
「赤い…ドラゴン……ってまさか……!!」
「ナツ、あれってもしかして……」
目の前に存在する赤いドラゴンを見て、エリオは驚嘆し、ティアナがナツに声を掛けると……ナツはゆっくりと口を開く。
「イグニール……イグニールなのか……!!!」
そしてそう言うと、ナツは勢いよく駆け出し、鉄柵を飛び越えてビルの屋上から落ちていった。
「ナツ!!?」
「「「!!?」」」
それを見たハッピーを初めとした面々が飛び降りていったナツを視線で追った。
一方ビルから飛び降りたナツは、足から炎を噴出してその推進力で落下スピードを緩め、そのまま難なく地面に着地すると、一直線に赤いドラゴンへと向かって駆け出した。
「イグニール!!!!」
そして赤いドラゴンの目の前で立ち止まると、声を震わしながら口を開いた。
「その姿……間違いねえ……イグニールなんだな……」
そう……闇の欠片で再生された赤いドラゴン……その正体はナツの育ての親であり、7年前に姿を消したドラゴン……イグニールであった。
「イグニール……!!!」
ずっと捜し求めていたイグニールの姿を見て、ナツは目尻に涙を溜める。
しかし……
「グルルル……グオオオオオオオッッ!!!!」
「なっ!!?」
ズドォォォォオオン!!!!
なんと……イグニールは雄叫びを上げながら、ナツに向かってその巨大な手を振り下ろしたのであった。
ナツは驚愕しながら間一髪その攻撃をかわしたが、その一撃により地面が大きく抉られていた。
「何しやがんだイグニール!!?」
「グオオオオオオッ!!!!」
ナツの抗議の言葉も聞かず、イグニールはただ雄叫びを上げながら巨大な手をナツに向かって振るい続ける。対するナツはそれをかわしながらも、イグニールに向かって叫ぶ。
「やめろイグニール!!! オレだ!!! ナツだ!!!」
「グルオオオオッ!!!!」
必死にそう叫ぶナツだが、イグニールの攻撃は止まらない。
「何でだよ……オレがわかんねえのかよ!!? イグニール──父ちゃん!!!!」
ナツがそう叫んだその瞬間……イグニールが横薙ぎに振るった手が、ナツに直撃した。
「がッ……!!!」
それを喰らったナツは大きく吹き飛ばされ、ビルの壁に強く叩きつけられたのであった。
第132話
『イグニール』
「ナツ!!!」
「どうして……あのドラゴンがイグニールなら、どうしてナツさんに攻撃を!!?」
「わからないわよ……それにあのイグニールの様子もおかしいわ……」
ビルに叩きつけられたナツを見てハッピーが声を上げ、エリオとティアナは疑問の言葉を口にする。すると、そんなエリオにディアーチェが問い掛ける。
「おいエリオ、どういう事だ? うぬらはあの竜の事を知っておるのか?」
その問い掛けに対し、エリオはしばらくの沈黙のあと、ゆっくりと口を開いて答えた。
「……ナツさんの言葉が正しければ、あのドラゴンの名前はイグニール……僕たちの世界のドラゴンで……ナツさんの──育ての親だよ」
「「「育ての親!!?」」」
目の前にいるドラゴンが、ナツの育ての親だという事を聞いて、妖精組以外の全員が驚愕する。
「ナツって、あのドラゴンに育てられたのか!!?」
「あい。ナツは小さい時に、森でイグニールに拾われて育てられたんだ。ナツだけじゃなく、エリオもね」
「エリおんも!!?」
ヴィータの問いにハッピーが答え、ナツだけでなくエリオもドラゴンに育てられたという事実を聞いて、さらに驚愕する。
「僕の場合は、ボルテウスっていうドラゴンなんですけどね。そして僕もナツさんも育ての親であるドラゴンから言葉や文化、魔法なんかを教わったんです」
「そんな話、信じられる訳……」
「信じる信じないは好きにしなさい。それよりも問題は、そのイグニールよ」
そう言って、ティアナは視線をイグニールへと戻す。
「あのイグニールがナツの記憶から再生された闇の欠片なのは間違いないわ。でも、これまで出会った兄さんやラクサスの闇の欠片にはちゃんとした自我を持っていた……けどあのイグニールにはそれが感じられない。まるで何も分からず、本能のままに暴れてるみたいだわ」
「ドラゴンなのだから、それが当然ではないのか?」
「いえ…ドラゴンはみんな高い知能を持っているんです。人間の言葉を理解し、話せるほどに。だからあのイグニールにもちゃんと言葉は通じる……ましてやナツさんの言葉が、通じないハズがないんです」
「じゃあどうしてあのドラゴンは、ナツさんに攻撃を?」
ティアナの言葉にシグナムが問い掛け、その問いにエリオがそう答えると、なのはが首を傾げながら疑問符を浮かべた。
「おそらく……あの闇の欠片が不完全だからでしょう」
「ユーリ?」
その疑問に答えたのは、静かにイグニールを見据えているユーリであった。
「闇の欠片は本来、私の
「ということは…あのイグニールというドラゴンは、ナハトヴァールよりも脅威だというのか?」
ユーリの説明に対してリインフォースが驚愕しながらそう問い掛けると、ユーリは頷きながら説明を続ける。
「しかし…消滅しかけた闇の欠片をムリヤリ繋ぎ合わせて再生した為、知性も自我も持たない不完全体で再生されてしまった。再現率は……2割とみていいでしょう」
「たった2割か」
「もはやあのドラゴンはティアナさんの言う通り、何も分からずに本能のままに暴れる怪物同然です。その証拠に……アレを見てください」
ユーリはそう言ってイグニールを指差すと、全員が視線をイグニールへと移動させる。
「グルルルル……!!!」
そこには威嚇するように唸り声を上げているイグニールの姿があった。
しかしよく見ると……そのイグニールの体から、何やら粒子のようなものが僅かに放出されていた。
「躯体を完全に維持できず、内部から少しずつ崩壊し始めています。このまま放っておいても、自然に消滅するでしょう」
ユーリのその言葉に、その場にいた全員が僅かに安堵の表情を浮かべる。
「では無理に戦わず、結界を破られないように牽制しながら自然消滅を待つという方向でいくか」
「そうだね、それが一番確実だと思う」
クロノの立案にフェイトが同意し、他の面々のその作戦に賛同するように頷いた。
「グルル……!!」
だがその時……イグニールが短い唸り声をあげる。そして……
「GAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!」
再び大気を震わせるような咆哮を上げる。その咆哮は、先程よりも大きく、まるで地震が起きたかのように大地を震撼させた。
だが……それだけではない。
ビキビキッ…ガラガラガラガラッ!!!!
ドガァァァアアアアアン!!!!
ズドォォォォオオオオン!!!!
「「「!!!」」」
さらにその咆哮によって起こった空気の振動は衝撃波となり、それによってイグニールの周囲にあったビルが次々と倒壊していき、さらにはコンクリートの地面も剥がされ、その際に出来た瓦礫さえも吹き飛んでいった。
「マズイ!!! みんな空に逃げろォ!!!!」
それを見たクロノは危機を察知し、叫ぶように全員に指示を出した。それを聞いた面々は、慌てて現在立っているビルから上空へと飛び上がる。その瞬間、彼らが立っていたビルも粉々に倒壊した。
そして気がつけば……海鳴市の街が消し飛び、辺り一帯が更地と化していたのであった。
「ウ…ウソやろ……何の冗談や…コレ……」
「海鳴市が……」
「私たちの街が……消えた……」
ものの数秒で街が消し飛び、更地の荒野と化してしまった光景を見て、はやて、フェイト、なのはを初めとした面々は戦慄した。
「……結界を張っていなかったらと思うと、ゾッとするな」
「その結界も危なかった……もう少しで壊れてしまうとこだった」
クロノとユーノは結界を張っていた事と、結界が壊れなかった事に、僅かに安堵する。
「っていうか、何コレ!!? 吼えただけで街が消し飛んじゃった!!!」
「ありえません……こんなの……!!!」
レヴィとシュテルも、あまりの光景に愕然としている。
「おいユーリ!!! あのドラゴンの力は、2割しか再生されていないのではないのか!!?」
「はい……それは間違いありません……」
「たった2割でこれ程とは……」
「ありえねーだろ……」
「本物は一体、どれだけの強さだというのだ」
ディアーチェの問いに対してユーリは愕然としながらもそう答え、それに続くようにシグナムとヴィータとザフィーラも、驚嘆の言葉を口にする。
「ユーリ、奴が自然消滅するまでどのくらいだ?」
「えっと……少なく見ても30分は掛かるかと」
「30分か……長いが、結界を破られないように何とか奴を牽制して足止めするんだ!!」
クロノがそう指示を出すと、管理局組が了承するように頷き、それぞれデバイスを構えて戦闘態勢を取った。いや…彼らだけではない。
「私たちも手伝います!!」
「元々、そのつもりでここまで来たのですから」
「八神司令の故郷を守るために…」
《私たちも戦います!!》
ヴィヴィオたち未来組や……
「当然、私たちも全力でお手伝いします!!!」
「ユーリの時は、オイシイところをマフラー君たちに取られちゃったしね」
アミタとキリエのフローリアン姉妹……
「仕方あるまい……我らも手を貸そう。アレは元々我らと1つだったのだからな」
「王様がそう言うんなら、ボクたちも戦うよ!」
「王の意思は、我らの意思ですから」
ディアーチェが率いるマテリアルズ……そしてもちろん……
「やるしかないわね」
「乗り掛かった船です!」
「あい」
「しょうがないわね」
「エリオはあまり無茶してはダメですよ」
ティアナたち
「すみません……私も戦いたいのですが、まだ力が戻らなくて……」
「よい、気にするなユーリ。ハッピー、ユーリを頼む」
「あい」
先の戦いの影響で魔法が使えない状態となってしまっているユーリは申し訳なさそうにそう言う。そんな彼女をディアーチェが慰めるようにそう言うと、抱えていた彼女の体をハッピーに預けた。
そんな彼らに感謝の意を伝えると、クロノは再び全員に指示を出す。
「ユーノとシャマルは、2人で結界の強化にあたってくれ」
「うん!」
「わかったわ!!」
「敵は不完全体とはいえ強敵だ!! 結界が破壊されれば、それこそ大惨事になる!! 牽制して奴の動きを封じつつ、奴が自然消滅するまでの30分間を持ちこたえる……可能ならば撃破するんだ!! 行くぞ!!!」
「「「おおっ!!!」」」
「「「はいっ!!!」」」
クロノの言葉に非戦闘員以外の全員が意気揚々と返事を返したその時……ハッピーがポツリと疑問を口にする。
「ところでさ……ナツはどうなっちゃたの?」
その瞬間……全員の動きと空気がピシリっと凍った。
「「「…………」」」
全員が一斉に先ほどナツが叩き付けられていたビルの方へと視線を向けるが、当然そこにビルはなく、あるのはビルの成れの果てである瓦礫の山だけであった。
「「「わ…忘れてたぁーーー!!!!」」」
そして……全員が一斉に声を張り上げたのであった。
するとその時……
ドガァァアアアアアン!!!!
「「「!!!」」」
ナツが埋まっているであろう瓦礫の山が、突如噴出した炎によって吹き飛んだ。
「痛ってぇえーーーー!!!!」
そしてそこから、頭を抑えたナツが飛び出してきた。
「何で急に岩がこんなに落ちてくんだ!!? 頭打ったじゃねえか!!! タンコブできたらどうすんだよ!!! ア!?」
「いや…普通タンコブでは済まんだろ」
ナツの発言にディアーチェが小さくツッコミをいれ、それを聞いた全員が同意するように「うんうん」と頷いた。
「くっそぉ~~」
すると、ナツはギロリと目の前にいるイグニールを睨み……
「このイグニールのニセモン野郎!!! よくやりやがったなぁ!!!!」
と…頭に怒りマークを浮かべながらそう言い放った。
「あ…一応気づいてはいたのね」
「ったりめーだろ!!! さっきは懐かしくてつい油断したけど、よく見りゃオレの知ってるイグニールとは全然雰囲気が違うし、何よりラクサスやティーダん時と違ってイグニールのニオイがまったくしねえんだよ!!!」
ティアナの呟きが聞こえていたのか、叫ぶようにそう言うナツ。
「ふざけやがって……ニセモンごときが、イグニールを汚してんじゃねえぞっ!!!!」
そう言うと、ナツは文字通り怒りの炎を燃やして、イグニールへと突撃して行く。
「オラァァアアア!!!!」
そしてそのまま炎を纏った拳を構え、イグニールへと飛び掛る。しかし……
「グオオオオッ!!!」
「っ…ぐはっ!!!」
その拳が届く前に、ナツはイグニールの巨大な手によって、まるで払い落とすかのように地面に叩き付けられた。
「くっそぉ……」
「ナツ!!!」
「ナツさん!!!」
すると、起き上がったナツの両隣にティアナとエリオが降り立つ。
「一緒にやりましょう。たった1人で勝てる相手じゃない」
「私とクロノさんたちでイグニールの気を引くから、ナツとエリオはその間に強力な一撃をブチかましなさい!!!」
「任せろ!!!」
「はい!!!」
「期待してるわよ、
そう言うと、今度はナツとエリオの2人でイグニールへと立ち向かっていく。
「みんなお願い!!! ナツとエリオの援護を!!!」
「わかった!! みんなかかれーーっ!!!」
ティアナの頼みとクロノの指示を聞き、全員が一斉に空からイグニールへと向かって行く。
「ディバインバスター!!!」
「プラズマスマッシャー!!!」
「クラウ・ソラス!!!」
「紫電一閃!!!」
「テトーリヒ・シュラーク!!!」
「牙獣走破!!!」
「ブラッディダガー!!!」
「ブレイズカノン!!!」
「「バルカンレイド!!!」」
「ブラストファイアー!!!」
「十文字斬りーー!!!」
「アロンダイト!!!」
「ソニックシューター!!!」
「空破断!!!」
「《クリムゾン・スラーッシュ!!!》」
「クロスファイアー…フルバースト!!!」
そしてイグニールの周囲を縦横無尽に飛び回りながら、魔法による砲撃や斬撃…打撃や魔法弾などを次々と命中させていく。
「グオオオオオッ!!!」
だがその一斉攻撃を受けながらも、イグニールは特にダメージを受けた様子もなく、雄叫びを上げながら周囲を飛び回るなのは達を叩き落とさんと暴れまわる。
「きゃっ!」
「くっ!」
「バケモノめ!!」
「私らの攻撃をあんだけ受けたのに、まだ平然としてやがる!!!」
なのはとフェイトはそのイグニールの攻撃を間一髪で回避し、シグナムとヴィータは未だ平然としているイグニールを見て毒づく。
「でもこれでイグニールの気を逸らせた……今よナツ!!! エリオ!!!」
そう言い放つティアナの視線の先には、イグニールに向かって駆け出しているナツとエリオの姿があった。
「行くぞエリオ!!! オレとお前の魔力を合わせるんだ!!!」
「はい!!!」
イグニールへと向かって駆け出しながら、ナツとエリオはお互いに向かってそれぞれ炎と雷を纏った手をかざす。
すると、2人がかざした手の中心に、炎と雷の魔力が混ぜ合わさり始める。
「オオオオオオオオッ!!!!」
「ハアアアアアアアッ!!!!」
2人が雄叫びを上げると、混ぜ合わされた魔力がさらに増幅されていく。
そして空からその様子を見ていたハッピーとシャルル、そしてリニスがポツリと呟くように口を開いた。
「ナツとエリオの魔力が混ぜ合わさっていく……もしかしてこれって……」
「炎と雷……2人の
「
そして次の瞬間……
「「
ナツとエリオによる炎と雷の合体魔法が放たれ……その魔力がイグニールの巨体を丸々と飲み込んだ。
ドゴォォォォォオオオオオオオオン!!!!!
それと同時に……魔力による爆発と衝撃が響き渡る。
「これならやったか……!?」
そう言って爆煙を見据えるクロノ。そして爆煙が晴れるとそこには……
「──ガオオオオオオオッ!!!!」
未だに平然と立っているイグニールの姿があった。
「そんな……!!」
「ウソだ!!! 今のは僕とナツさんの全力だった!!!」
「まったく効いてない!!?」
2人の
「まだだ……!!!」
そんな中で、ただ1人ナツだけが……闘志の宿った表情をしていた。
「だらぁぁぁあああああ!!!」
そしてもう一度、イグニールへと向かって駆け出していくナツだが……
「GAOOOOOOOOOOO!!!!」
イグニールは再び、凄まじい咆哮による衝撃波を発生させた。
「うおわぁぁああああ!!!」
「「「きゃああああああ!!!」」」
「「「うわぁぁああああ!!!」」」
その衝撃波はナツだけでなく、イグニールの周囲を飛び回っていたなのは達…さらには非戦闘員として後方で待機していたユーリやハッピー、ユーノやシャマルたちをも吹き飛ばし、地面へと叩き落した。
バサァァア!!!
そして咆哮を止めたイグニールは、その巨大な翼を広げて空へと羽ばたく。
「グルルル……」
空高く飛び上がったイグニールは、地面に倒れているナツたちを見下ろす。すると……
コォォォオオオ……
大きく息を吸い込み、肺を膨らませる動作を見せる。そしてそれを見たエリオが叫ぶ。
「マズイ!!! ブレスだっ!!! 僕たちを纏めて吹き飛ばすつもりなんだ!!!!」
「「「!!?」」」
その瞬間イグニールの口から……空一面を覆いつくすほど強大な灼熱のブレスが放たれた。
「回避だ!!!」
「ダメ!!! 回避も転送魔法も間に合わない!!!!」
「くっそぉお……!!!」
「ここまでか……!!!」
空から迫ってくる灼熱の炎に成す術がなく、全員が諦めかけたその時……
「させるかぁぁああああ!!!!」
「ナツ!!?」
「ナツさん!!?」
「「「!!?」」」
ナツが足に纏った炎をブースターにして、向かってくるブレスに向かって飛び上がる。
「仲間は……オレが守る!!!!」
そう力強く言い放ったその瞬間……ナツは灼熱のブレスに飲み込まれた。
「ナツ!!!」
「ナツさん!!!」
「ナツーーーー!!!!」
そしてハッピーとエリオ、そしてティアナの悲痛な叫びが、その場に響き渡ったのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
──熱い……
炎が熱ィなんて感覚……久しぶりだ……
熱すぎて…食える気もしねえ……
体が焼ける……もう……ダメなのか……
チクショウ……!!!
《ナツ》
!? 誰だ……?
《どうした? これしきの事で倒れるのか?》
いや……この声は……まさか……
《それでもイグニールの子か!!?》
イグニール!!?
《さあどうした? お前の力を見せてみろ》
そうは言ってもよ……体が動かねえんだ……もうどうしようもねえ……
《気持ちから負けてどうする!! お前が自分の力を信じずにどうする!!》
オレの……力……!!
《お前は
オレの……
そうだ……オレは炎の
ましてや、イグニールのニセモンなんかの炎に負けるかよォ!!!!
《そうだ。お前には本当の私が……このイグニールがついている!!!!》
◆◇◆◇◆◇◆◇
「オオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
「「「!!!」」」
「ナツ!!!」
炎の中から雄叫びが聞こえ、全員がそちらへと視線を向けると……そこには灼熱のブレスを吸い込むように食らっているナツの姿があった。
「ブハァ……ごちそーさま」
そして全ての炎を食い尽くしたナツは、ズシンッと音を立てて地面に着地する。
「あの炎を食い尽くすとは……!!」
「エリおんから聞いてたけど…これが……」
「炎の
そんなナツの姿を見て、マテリアルズの3人がそう呟く。
「ナツ…あんた、大丈夫なの?」
「おう!! 心配すんな、ティア!!」
ティアナの問い掛けに対してニカッと笑みを浮かべて答えるナツ。
「ニセモンとはいえ、さすがイグニールの炎だ。食ったら力が湧いてきた……今までで最高にだっ!!!!」
ドンッッ!!!!
「!!」
そう言うと、ナツは再び足の炎をブースターにして飛び上がる。しかも先ほどよりも勢いが増しており、あっという間に上空のイグニールの眼前へと躍り出た。
「ゴオォォォオオオ!!!!」
そんなナツを叩き落そうと、イグニールはナツに向かって腕を振り下ろす。
「だらああああああ!!!!」
それに対しナツは、強大な炎を纏った拳でイグニールの腕を迎え撃ち、互いの拳と腕が衝突する。
「アアアアアアアッ!!!!」
バチィイン!!!
そしてなんと……イグニールの腕をナツの拳が弾いた。
「オラァァア!!!」
ドゴォォオ!!!
そのまま一気に接近したナツは、イグニールの口の上顎目掛けて炎を纏った足で踵落としを叩き込む。
「まだまだァ!!!」
さらにイグニールの体を踏み台にしてさらに上空へと飛び上がったナツは、イグニールを背後を取った形になる。
そして自分の体以上に大きい巨大な炎を自身の拳に纏う。そして……
「落ちろォォォオオオオ!!!!」
ドガァァアアアアアアン!!!!
「ゴギャアアアアアアッ!!!」
ズドォォォオオオオン!!!!
その炎をイグニールの背に叩き込み、そのまま爆炎と共にイグニールを地上へと叩き落したのであった。
「す…スゴイ……!!!」
それを見ていた全員の気持ちを代弁するかのように、誰かがそう呟く。
そして、再びズシィインっと音を立てて地面に着地するナツ。
「ナツ……アンタ……!!!」
すると、その場にいたメンバーの中でただ1人……ティアナだけがナツの異変に気づいた。
その異変とは……ナツの体が淡い紅蓮の光に包まれ始め、さらには顔に鱗のような模様が浮かび上がっていたのである。
「(この現象……間違いない……ジェラールやマスターゼロとの戦いの時に見せたものと同じ……滅竜魔法の最終形態──)」
──ドラゴンフォース!!!!
つづく