LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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今回からついに天狼島編です。

リリカルキャラを絡ませる為に少々原作を改変しました。ご了承ください。

感想お待ちしております。


天狼島編
ベストパートナー


 

 

 

 

「……と言う訳なのよミラさん!!! カナってば理由も言わないし!!!」

 

 

ギルドのカウンター席にて、慌てた様子でミラジェーンにそう訴えるルーシィ。

 

 

先日……自宅でシャワーを浴びていたルーシィだが、その浴槽にはいつの間にか同じギルドの魔導士であり、同年代の中では一番の古株であるカナ・アルベローナが浸かっていたのであった。

 

最初は驚いたルーシィだが、ナツたちの度重なる不法侵入ですっかり慣れてしまった為にルーシィはすぐに落ち着きを取り戻し、そのまま一緒にお風呂に入ったのだ。

 

だがその際のカナは元気がなく、どうしたのかとルーシィが尋ねると……

 

 

『私……ギルドをやめようと思うんだ』

 

 

と言い放ったのであった。

 

そして現在、ルーシィはその言葉の真意を確かめるためにミラジェーンに相談を持ちかけたのである。

 

 

「クス」

 

 

しかしミラジェーンは特に慌てた様子も無く、グラスを磨きながら微笑む。

 

 

「大丈夫よ。この時期になるとカナはいつもそうやって言い出すの」

 

 

「ええ!!?」

 

 

まさかあの意味深な言葉が毎年の事とは思わず、驚愕と同時に少し安堵するルーシィ。すると……

 

 

「仕事仕事ォ~!!!」

 

 

「あいさ~!!」

 

 

「ちょっと!! 仕事ならあたしも……」

 

 

「悪い!! この時期は1人で行くんだ!!!」

 

 

そう言って、ナツとハッピーは妙に張り切りながら仕事へと出かけていった。

 

 

「仕事に行ってきます!!!」

 

 

「あ、ティアナ!! あたしも一緒に…」

 

 

「この時期は1人で行くって決めてるの!! アンタもたまには1人で行きなさい!!!」

 

 

ルーシィにそう言いながら、ティアナも慌しく仕事へと向かった。するとそんなティアナと入れ替りで、グレイが仕事から帰ってきた。

 

 

「ただいまァ!!!」

 

 

「おかえり! グレイ服は?」

 

 

「それどころじゃねえ!! 次の仕事だ!!!」

 

 

今さっき帰ってきたばかりだと言うのに、グレイはさっさと次の仕事に出かけてしまった。上半身裸で。

 

 

「ミラちゃん!! 私この仕事行って来るね!!!」

 

 

「ミラさん!! 私はこの仕事を!!!」

 

 

「私らヴォルケンリッターはこの仕事をお願いな!!!」

 

 

そんなグレイに続くように、なのはとスバル、そしてはやて率いるヴォルケンリッターも仕事の受注をさっさと済ませて仕事へと出かけていった。

 

 

「仕事仕事~!!」

 

「うおおおっ!!!」

 

「オイてめえ、それはオレが先に…」

 

「知るかよ!!」

 

「どけやたわけがっ!」

 

「「チームシャドウ・ギアはこの時期解散だぁ!!!」」

 

 

すると仕事の受注の為に受付係であるミラジェーンのもとに多くのギルドメンバー殺到する。その全員が、何やら鬼気迫るような顔付きをしていた。

 

 

「何事なの~~?」

 

 

「時期にわかるわよ」

 

 

戸惑うルーシィにそう言いながら、ミラジェーンは受付の仕事を進めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第137話

『ベストパートナー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 

「うわ……すごい人数」

 

 

「ギルドのメンバーほとんどが集まってるみたいだよ」

 

 

ルーシィとスバルの言うとおり、ギルドには溢れんばかりの魔導士たちで賑わっていた。

 

 

「何の騒ぎだ?」

 

 

「さあな」

 

 

「アタシも知らねえ。ルールーは?」

 

 

「知らない」

 

 

「マスターから何か重大発表があるんだって」

 

 

「何の発表だろう?」

 

 

「イベントか何かかな?」

 

 

「興味ないわ」

 

 

「まあまあシャルル」

 

 

「(ソワソワ)」

 

 

「ジッとしてなさい」

 

 

「ナツ、落ち着きなよ」

 

 

「パパ、ママ、なにかあるの~」

 

 

「ふふっ、もうすぐわかるよ」

 

 

「黙って待ってろ」

 

 

「やっと秘密がわかる」

 

 

「秘密っていう程じゃないけどね」

 

 

「ジュビア、ドキドキします。グレイ様を見てると」

 

 

「あんたもう帰れば」

 

 

事情を知る者と知らない者……それぞれがそんな会話をしながらマスターからの重大発表を今か今かと待ち望んでいる。

 

 

すると、ステージに掛かっていた垂れ幕が落ち……そこにはマスターマカロフを中心として、エルザ、ミラジェーン、ギルダーツ、クロノが並んで立っていた。

 

 

「マスター!!!」

 

「待ってました~!」

 

「早く発表してくれー!」

 

「今年は〝誰〟なんだー!?」

 

 

ギルドメンバーたちが騒ぎ立てる中、マカロフはコホンっと小さく咳払いをして、ゆっくりと口を開く。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)古くからのしきたりにより、これより──

 

 

 

──S級魔導士昇格試験出場者を発表する」

 

 

 

「「「オオオオオオオオッ!!!!」」」

 

 

「S級魔導士昇格試験!!?」

 

 

「燃えてきたぞォーーーーー!!!!」

 

 

マカロフの発表と同時にギルドメンバーたちは歓声を上げ、事情を知らないルーシィは驚愕した。

 

 

「今年の試験会場は、天狼島。我がギルドの聖地じゃ」

 

 

再びギルドメンバーから「おおーっ!」と歓声が上がる。それを聞きながら、ルーシィは近くにいたメンバーたちに問い掛ける。

 

 

「試験って何するの?」

 

 

「それはもちろん毎年違うけど」

 

 

「ハードな事には変わりあらへんで」

 

 

「なんせ合格者はS級魔導士に昇格だからな!」

 

 

ルーシィの問い掛けに答えたスバル、はやて、ヴィータもやる気に満ち溢れていた。

 

 

「各々の力…心…魂……ワシはこの1年見極めてきた。参加者は10名」

 

 

そしてついに……その試験に参加する10名のメンバーが、マカロフの口から発表された。

 

 

 

『ナツ・ドラグニル』

 

 

 

「おっしゃあ!!!!」

 

 

「やったねナツ!!」

 

 

 

『グレイ・フルバスター』

 

 

 

「やっとこの時が来た」

 

 

 

『高町なのは』

 

 

 

「やったぁ!! 選ばれたの!!!」

 

 

 

『ジュビア・ロクサー』

 

 

 

「え? ジュビアが?」

 

 

 

『エルフマン』

 

 

 

「漢たるもの、S級になるべし!!!!」

 

 

「頑張ってエルフ兄ちゃん!」

 

 

 

『八神はやて』

 

 

 

「ついに来た!!! 私の時代やーーっ!!!」

 

 

 

『カナ・アルベローナ』

 

 

 

「……………」

 

 

 

『フリード・ジャスティーン』

 

 

 

「ラクサスの後を継ぐのは……」

 

 

 

『レビィ・マクガーデン』

 

 

 

「私……とうとう」

 

 

「「レビィがキター!!!」」

 

 

 

『メスト・グライダー』

 

 

 

「メストだ!!」

 

 

「昨年は惜しかったよなー」

 

 

以上……10名の参加者が発表された。

 

 

「くぅ……今年もダメだった……!!」

 

 

「私も~」

 

 

「来年があるよ、2人とも」

 

 

選ばれなかった事に肩を落として落胆するティアナとスバルを、同じく選ばれなかったユーノが慰める。

 

 

「はやてが選ばれたぞーー!!!」

 

 

「おめでとうございます、我が主」

 

 

「それでこそ、我らのリーダーです」

 

 

「やったわねはやてちゃん♪」

 

 

「さすがです」

 

 

「任しとき!! この調子で絶対にS級に上がったる!! それでようやく……あの人と肩を並べられるんや」

 

 

ヴォルケンリッターの祝福を受けながらもそう言うはやての目には、強い覚悟が映し出されていた。

 

 

「そっか……このメンバーに選ばれたいから、みんな自分をアピールしてたのね」

 

 

「うわぁ♪ みんながんばれー!」

 

 

ようやく先日の慌しい仕事ラッシュに合点がいって納得したルーシィと、選ばれたメンバーに声援を送るウェンディ。

 

 

「うああ~…そうだと知ってたらもっと仕事に行ってたのに~」

 

 

「まあまあ」

 

 

「来年があるよ、エリオ君」

 

 

試験の事をまったく知らなかった事にエリオは悔やみながら落ち込み、そんな彼をリニスとキャロが慰めた。

 

 

「なのは、グレイ、おめでとう」

 

 

「おめでとー!」

 

 

「ありがとうヴィヴィオ、フェイトちゃん。でも意外だなぁ……フェイトちゃんが選ばれないなんて」

 

 

「だな。フェイトは確実に選ばれると思ってたんだが……」

 

 

「うん、私も残念。だから2人とも、私の分までがんばってね!」

 

 

選ばれなかったフェイトはグレイとなのはの2人にそんな声援を送った。

 

 

「な…なぜオレが入ってねえんだ……ジュビアが入ってんのに……」

 

 

「………(コクコク)」

 

 

「お前のギルドでの立ち位置は聞いたぞ。信用されてないようだな」

 

 

「いや違う!!! 言えねえけどそれはねえ!!!」

 

 

まさか大鴉の尻尾(レイブンテイル)の二重スパイをやっているとは言えない為、そう言うしかないガジル。

 

 

「エルザにだよ。ま、色々とやらかしたからな」

 

 

「フフ…まだ早い」

 

 

「クソ!!!」

 

 

意地の悪い笑みを浮かべながらそう言ってくるエルザに対して、ガジルは毒づく事しかできなかった。

 

 

「今回はこの中から合格者を1名だけとする。試験は一週間後、各自体調を整えておけい」

 

 

「1人だけ!!?」

 

「本命はフリードか!?」

 

「メストだろ」

 

「ナツとグレイもいんぞ」

 

「なのはとはやてもだ」

 

 

マカロフの言葉に、再びメンバーたちがざわつく。

 

 

「初めての者もおるからのう、ルールを説明しておく」

 

 

するとマカロフの言葉を引き継ぐように、ミラジェーンが試験のルール説明を始めた。

 

 

「選ばれた10人のみんなは、準備期間の1週間以内に〝パートナー〟を2人決めてください」

 

 

「パートナー!!?」

 

 

「3人1組のチーム戦って事だろ」

 

 

「仲間との絆、それも試験で試されることの1つなのさ」

 

 

「パートナー選択のルールは2つ。1つ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーである事。2つ、S級魔導士はパートナーにできない」

 

 

「つまり、エルザやミラジェーン、クロノやギルダーツとはチームを組めないという訳か」

 

 

「エルザさんと一緒なら最強すぎるもんね」

 

 

「だね…」

 

 

エルザの説明に、リリーとウェンディとキャロが納得の声を上げる。

 

 

「試験内容の詳細は天狼島についてから発表するが、今回もエルザが貴様等の道を塞ぐ」

 

 

「「「ええ~~~っ!」」」

 

 

「今回は私も、みんなの邪魔する係やりまーす♪」

 

 

「当然僕も、今回の試験管を勤めさせてもらう」

 

 

「「「えええ~~~~っ!」」」

 

 

エルザやミラジェーン、そしてクロノが立ち塞がる壁として参加する事に、ギルドメンバーたちは驚愕の声を上げる。

 

 

「も…もしかしてエルザやミラさんたちを倒さなきゃS級にはなれないわけ~?」

 

 

「まあ、ある程度手は抜いてくれるらしいんだけどね……」

 

 

「この試験がハードだって意味がわかっただろ?」

 

 

愕然としているルーシィに、スバルとヴィータがそう言う。

 

 

「ブーブー言うな。S級魔導士になる奴ァみんな通ってきた道だ」

 

 

「にゃっ!? ちょっと待って…」

 

 

「まさか…」

 

 

「ギルダーツも参加するのか!!?」

 

 

「嬉しがるなァ!!」

 

 

ギルダーツも妨害役として参戦すると聞き、選ばれたメンバーたち(ナツ以外)は戦慄する。

 

 

「選出された10名とそのパートナー2名は、1週間後にハルジオン港に集合じゃ。以上!!!!」

 

 

最後にマカロフがそう締めくくり、その場は解散となったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後、選出されたメンバーであるナツ、グレイ、なのは、はやて、エルフマン、ジュビアに加え…ティアナ、ルーシィ、ハッピー、ウェンディ、シャルル、キャロ、ユーノ、リサーナ、スバル、ヴィヴィオが1つのテーブルに集まり、さらにその隣りのテーブルではヴォルケンリッターとエリオとリニスが集まっていた。

 

 

「今年はえらくハードルが高ェな」

 

 

「うん、まさかギルダーツさんまで参加するなんてね」

 

 

「去年まで妨害役はエルザさんだけやったからなぁ」

 

 

「オレは燃えてきた!!! 絶対S級になってやる!!!」

 

 

「意外ね、アンタたちみんな初挑戦なんて」

 

 

「大変そうですね」

 

 

「応援してます」

 

 

「ぬぉぉ、漢エルフマン!! S級への道が遠ざかる」

 

 

「みんな頑張ってね!」

 

 

上からグレイ、なのは、はやて、ナツ、ルーシィ、ウェンディ、キャロ、エルフマン、リサーナの順でそれぞれ口を開くと、ふとルーシィの視界に、フリードとビックスロー、そしてフェイトの姿が目に入った。

 

 

「よろしく頼む、2人とも」

 

 

「うん、任せて。フリードがS級になれば、ラクサスも喜んでくれると思う」

 

 

「それに、雷神衆の株も一気に上がるってモンだぜ!!」

 

 

3人のそんな会話を聞いて、ルーシィは苦笑いを浮かべる。

 

 

「フリードのパートナーはフェイトにビックスローなんだ……つ…強そうなチームね!! あははは……」

 

 

「うわー、下から目線」

 

 

顔を引きつらせながらそう言うルーシィに、ハッピーが呆れたようにそう言う。

 

するとルーシィは、思い出したように同じテーブルに座る面々に問い掛ける。

 

 

「そういえば、みんなもうパートナーって決まってるの?」

 

 

「オレはもちろんティアとハッピーだ」

 

 

「あい」

 

 

「ま、どっちかが選ばれたらそうするって約束だったしね」

 

 

ナツのパートナーは、どうやらティアナとハッピーの2人のようだ。

 

 

「ハッピーはズリィだろ!! もし試験内容がレースだったら、空飛べるなんて勝負にならねえ」

 

 

「別にいいんじゃない?」

 

 

「オレも別に構わねえよ。戦闘になったら困るだけだしな」

 

 

「実質3対2で戦うようなもんやな」

 

 

「ひどい事言うねグレイとはやて」

 

 

2人の辛らつな言葉に、ハッピーは負けじと言い返す。

 

 

「オイラは絶対ナツをS級魔導士にするんだ!!!!」

 

 

「私もパートナーになった以上、全力でナツをサポートするわ」

 

 

「こればかりは仲間といえど、絶対(ぜってー)ゆずれねえ!!!!」

 

 

3人は力強い言葉で、目の前の面々にそう言い放つ。

 

 

「こうしちゃいられねえー!! 修行だー!!」

 

 

「あいさー!!」

 

 

そう言って意気揚々とギルドを出て行くナツとハッピーを見送ったあと、リサーナが口を開く。

 

 

「私がいない2年の間に、ナツがS級の試験に参加するようになってるなんてね。ナツはね、一人前の魔導士になれば、イグニールに会えると思ってるの。ね、ティア?」

 

 

「ええ。だからこの試験にかける想いも人一倍なのよ」

 

 

「そっか…がんばれ!! ナツ」

 

 

リサーナとティアナの言葉を聞いて、ルーシィはもう姿の見えないナツに小さく声援を送った。

 

 

「じゃあ私のパートナーの1人は、スバルにお願いしようかな?」

 

 

「えっ!? 私ですか!!?」

 

 

「うん。お願いできるかな?」

 

 

「は…はい!! もちろん喜んで!!! なのはさんがS級魔導士になれるように、精一杯がんばりマス!!!」

 

 

憧れのなのはのパートナーに選ばれた事に、スバルは満面の笑顔でそれを了承した。

 

 

「あともう1人は……ヴィータちゃん、お願いできる?」

 

 

「おう、いいぞ。はやてのパートナー役はもうシグナムとリインフォースに取られちまったしな」

 

 

「取られたとは人聞きが悪いな」

 

 

「ちゃんと公平にジャンケンで決めた結果、私と将になったのだろう」

 

 

「期待してるで、2人とも」

 

 

「「お任せを」」

 

 

なのはのパートナーはスバルとヴィータ……はやてのパートナーはシグナムとリインフォースに決定したようである。

 

 

「そう言えば、試験の間はグレイもなのはも留守にするんでしょ? ヴィヴィオはどうするの?」

 

 

「フェアリーヒルズの寮母のアイナさんに預けておくよ。アイナさんが忙しい日は、マカオさんにも面倒を見てもらうつもり。マカオさんなら、ロメオ君もいるしね」

 

 

ルーシィの問い掛けにそう答えながら、ヴィヴィオの頭を優しく撫でるなのは。

 

 

「ヴィヴィオ、私たちが留守の間は、ギルドのみんなに迷惑をかけないようにね?」

 

 

「うんっ!!!」

 

 

なのはの言いつけに対し、ヴィヴィオは満面の笑顔で頷いたのであった。

 

 

「あの、ジュビアはこの試験を辞退したい」

 

 

「ええ!? ジュビアちゃん、急にどうしたの!!?」

 

 

すると、突然試験を辞退したいと言い出したジュビアに、なのはが問い掛ける。

 

 

「だって………様の…パートナーに…なり…たい……」

 

 

「何だって?」

 

 

ボソボソと途切れ途切れの言葉を聞き取れず、グレイが聞き返す。

 

 

「だから…あの……ジュビアは……」

 

 

「ジュビアおねーちゃん、パパと一緒になりたいんだってー」

 

 

「ア?」

 

 

「ヴィ…ヴィヴィオちゃん!!?」

 

 

ヴィヴィオにそう言われ慌てるジュビアだが、グレイは特に気にした様子もなく言葉を続ける。

 

 

「悪ィがオレのパートナーの1人は決まってる」

 

 

「久しぶりだね、みんな」

 

 

「ロキ!!?」

 

 

そこに現れたのはルーシィの所有する星霊の1人である獅子宮のレオこと、ロキであった。

 

 

「昨年からの約束でな」

 

 

「ルーシィ、悪いけど試験期間中は契約を解除させてもらうよ。心配はいらない、僕は自分の魔力で(ゲート)をくぐってきた。だから君の魔法は使えなくなったりしないよ」

 

 

「なんて勝手な星霊なの?」

 

 

あまりに自由なロキに、ルーシィは唖然としながら呟いた。

 

 

「でもロキ、君はギルドの一員って事でいいのかい?」

 

 

ユーノがそう問い掛けると、ロキは上着を脱いで自身の背中に刻まれたギルドマークを全員に見せる。

 

 

「僕はまだ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だよ。ギルドの誇りにかけて、グレイをS級魔導士にする」

 

 

「頼りにしてるぜ」

 

 

「任せて」

 

 

「この2人って、こんなに仲がよかったっけ?」

 

 

そう言ってお互いに笑い合うグレイとロキを見て、ルーシィは首を傾げる。

 

 

「問題はあと1人のパートナーをどうするかだが……」

 

 

「あの……でしたら僕をパートナーにしてください!!!」

 

 

「エリオ?」

 

 

そう言ってグレイのパートナーに名乗りを上げたのは、エリオであった。

 

 

「今後の為にS級の試験を見ておきたいですし、もちろんグレイさんをS級にする為に全力で戦います!!! だからお願いします!!!」

 

 

頭を下げながら頼み込むエリオを見て、グレイはフッと笑みを浮かべる。

 

 

「もしかしたらナツと戦う事になるかもしれねーんだぞ?」

 

 

「むしろその方が願ったり叶ったりです!!!」

 

 

「よしっ……そう言う事なら、よろしく頼むぜエリオ」

 

 

「は…はいっ!!!」

 

 

こうしてグレイのパートナーは、ロキとエリオの2人に決定した。

 

 

「つー訳で、お前も本気で来いよ。久しぶりに熱い戦いをしようぜ」

 

 

「!」

 

 

グレイのその言葉に、ジュビアは目を見開く。

 

 

「(熱い……熱い愛撫(たたかい)!!!!!)」

 

 

「こらこらジュビアちゃん、変な妄想しちゃダメだよ~」

 

 

そして何やらピンク色の妄想を浮かべているジュビアを、なのはが戒めた。

 

 

「私がジュビアと組むわ」

 

 

すると、ジュビアのパートナーにリサーナが名乗り出た。

 

 

「本気かリサーナ!」

 

 

「私……エドラスじゃジュビアと仲良かったのよ。それにこっちのジュビア……なんか可愛いんだもん」

 

 

「だったらもう1人のパートナーは、私がなっちゃおうかな?」

 

 

「シャマルまで!?」

 

 

「だってザフィーラもエルフ君と組むって言ってたから、私だけお留守番になっちゃうんだもん」

 

 

「そうなのか、ザフィーラ?」

 

 

「ああ。オレが主のパートナーとして選ばれなかった時は、エルフマンと組むというのが昨年からの約束なのだ」

 

 

「漢と漢の約束だ」

 

 

どうやらエルフマンのパートナーの1人は、ザフィーラに決まっていたようである。

 

 

「っと言うわけで、私とリサーナちゃんがジュビアちゃんのパートナーという事で」

 

 

「決定ね!!」

 

 

ジュビアの方のパートナーも、どうやらリサーナとシャマルの2人に決定したようだ。しかしそれに、エルフマンが異を唱える。

 

 

「ちょっと待てよリサーナ!! それじゃオレのあと1人のパートナーがいねーじゃねーか!!!」

 

 

「そう? さっきから熱い視線を送ってる人がいるわよ」

 

 

「へ?」

 

 

そう言ってリサーナが指差す先には、カウンター席からエルフマンの方をジッと見ているエバーグリーンの姿があった。

 

 

「エバーグリーン……」

 

 

「フリードがパートナーにフェイトとビックスローを選んだ事でむくれてるみたいね」

 

 

「熱い……ってより、石にされそうな視線じゃねーか!!!」

 

 

何はともあれ、こうしてエルフマンのもう1人のパートナーはエバーグリーンに決定したのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「レビィが選ばれたーー!!」

 

 

「すげーぞ!! S級魔導士になれるかもしれねぇ!!」

 

 

「「オレたちのレビィがS級にー!!!」」

 

 

同じチームシャドウ・ギアの中からレビィが選ばれた事で、本人よりも盛大に喜ぶジェットとドロイ。

 

 

「で!! もちろんパートナーはオレたちだよな!!?」

 

 

「当然さ!! チームシャドウ・ギアで、レビィをS級にするんだー!!!」

 

 

「……はあ」

 

 

すでに決まっているかのようにそう言う2人とは対照的に、小さくため息を漏らすレビィ。すると……

 

 

「本気でS級になりてぇんなら、オレたちが手を貸してやる」

 

 

「うん」

 

 

「ガジル!! ルーテシア!!」

 

 

いつの間にかレビィの背後に立っていたガジルとルーテシアが、そう言い放った。

 

 

「試験中は気に入らねぇ奴ぶっとばしてもいいんだろ」

 

 

凶悪な顔でそう言うガジルだが、レビィは暗い表情で俯く。

 

 

「私…体も小っちゃいし、何にも取り柄ないから、すぐ負けちゃうかもしれないよ」

 

 

「大丈夫……私とガジルがついてる限り、負けない」

 

 

「やる前からそんな弱気でどーすんだよ」

 

 

「あっ、やだ……おろして~」

 

 

そう言ってガジルはレビィの襟首を軽々と持ち上げる。

 

 

「オレがお前をでかくしてやるよ」

 

 

「……………」

 

 

そして力強くそう言い放つガジルの言葉を聞いて、レビィは淡く頬を朱に染めたのであった。

 

 

因みにその様子を見ていたジェットとドロイはしおしおと落胆し、アギトとリリーは笑みを浮かべていたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方その頃……雪の降るマグノリア。

 

そこではギルドから自宅への帰路を歩いているウェンディとキャロ、そしてシャルルの姿があった。

 

 

「どうしたのシャルル、朝からずっとおとなしいね」

 

 

「どこか具合でも悪いの?」

 

 

「ちょっとね。何かイヤな予感がするのよ…この試験とかいうやつ……アンタたちは絶対参加しちゃダメだからね。本当はエリオが参加するのも反対なんだけど……」

 

 

「エリオ君は強いから平気だよ~」

 

 

「それに私なんかパートナーにする人いないし、大丈夫だよ」

 

 

「それはどうかな? 天空の巫女と、真竜の巫女」

 

 

「「!」」

 

 

そんな彼女たちの前に、選出されたメンバーの1人であるメストが現れる。

 

 

「あ…えーと……」

 

 

「あなたは確か……」

 

 

「オレはメスト。ミストガンの弟子だった」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

場所は変わり、ナツとハッピーの家の近く…マグノリアの街が見渡せる岩場にナツは雪が降りしきる中、腰を降ろしていた。

 

 

「ナツー、リニスがごはんできたってー」

 

 

するとそこへ、夕飯の知らせに来たハッピーがやって来る。しかしナツはそれに反応せず、ただ静かに岩場からマグノリアを見据えていた。

 

 

「どうしたのナツ」

 

 

ハッピーがそう問い掛けると、ナツはニッと口角を吊り上げながら、力強い言葉で言い放った。

 

 

「やっと巡ってきたチャンスだ。絶対S級になるぞ!!!!」

 

 

ナツのその言葉に、ハッピーも自然と笑みを浮かべたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「うわぁ、雪だぁ! マグノリアにも雪が降るんだね」

 

 

「この時期になると毎年ね。ここまで積もったのは珍しいけど」

 

 

そう言って雪の降るマグノリアを歩いているのはルーシィとユーノの2人。

 

あのあとギルドから自宅に帰ろうとしたルーシィを、ユーノが送っている最中なのだ。

 

 

「ん?」

 

 

「どうしたの? ユーノ」

 

 

「あれって……」

 

 

するとユーノは何かに気がつき、横道にあった狭い路地を指差す。

 

 

そこには……泥酔して酒瓶や酒樽と共に地面に転がって雪に埋もれているカナの姿があった。

 

 

「どこで泥酔してんのよォォ!!!!!」

 

 

そんなルーシィのツッコミが、その場に響き渡ったのであった。

 

 

その後、さすがにそのままにはしておけず、ルーシィはユーノと共にカナを自宅へと運んだのであった。

 

 

「いやぁ助かったよ。誰にも気づかれなかったら死んでたね」

 

 

毛布に包まり、すっかり体の暖まったカナはルーシィとユーノに感謝の言葉を述べる。

 

 

「もう! 最近ずっと様子おかしいよカナ」

 

 

「どうせミラから聞いてるんだろ? S級試験ノイローゼみたいなモンだよ」

 

 

「そう言えば、試験の時期になると決まってギルドをやめるとかどうとか言ってたよね」

 

 

「それと何か関係あるの?」

 

 

「んー…ユーノは知ってるかもしれないけどさ、もう5回目なんだ。4回も落選した期待ハズレな魔導士なのさ、私は」

 

 

ルーシィの問い掛けに答えながら、自分を卑下するようにそう言うカナ。

 

 

「何だぁ、そんな事かぁ。別に何回落ちてもいいじゃない」

 

 

「誰も期待ハズレだなんて思っちゃいないよ」

 

 

「4回も落ちてるのは私だけだよ。だから今回で最後にする。これでS級になれなかったら、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を抜ける」

 

 

「ちょっと……そんなにS級にこだわらなくても」

 

 

「私はS級にならなきゃいけないんだっ!!!!」

 

 

声を荒げながらそう言い放つカナを見て、ルーシィとユーノは目を見開く。

 

 

「S級にならなきゃ、あの人に会う資格はない。私は……」

 

 

そう言うと、カナは2人にどうしてもS級にならなければならない理由を話した。

 

 

涙を流しながら語るカナの話に、2人は驚愕し、言葉を失いつつも……カナの話に耳を傾けた。

 

 

「……という訳だ。今回S級になれなかったら、私はギルドを抜ける。もう決めたんだ」

 

 

その言葉を最後に、話を締めくくるカナ。すると、ルーシィとユーノは決心したような顔付きで頷き合うと、カナに向かって叫ぶ。

 

 

「あたしたちがカナのパートナーになる!!!!」

 

 

「絶対にギルドをやめさせたりはしない!!!!」

 

 

「「必ずカナをS級魔導士にするから!!!!!」」

 

 

「ルーシィ…ユーノ……」

 

 

2人の言葉を聞き、カナは再び涙を流したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それぞれの想いを胸に……S級魔導士昇格試験の日がやってきたのであった。

 

 

 

 

 

つづく




選出者チームのまとめ


ナツチーム:ティアナ&ハッピー

グレイチーム:ロキ&エリオ

なのはチーム:スバル&ヴィータ

ジュビアチーム:リサーナ&シャマル

エルフマンチーム:エバーグリーン&ザフィーラ

はやてチーム:シグナム&リインフォース

カナチーム:ルーシィ&ユーノ

フリードチーム:ビックスロー&フェイト

レビィチーム:ガジル&ルーテシア

メストチーム:ウェンディ&キャロ


総勢30人か……多いな。
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