LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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突発的ににやってくる連続投稿。

本日は最新4話を一時間おきに1話ずつ投稿いたします。

しばらくバイトやら就活やらで忙しくなるのでその埋め合わせみたいなもんです。

感想お待ちしております。


運がいいのは誰?

 

 

 

 

 

 

 

S級魔導士昇格試験当日。

 

 

今……ハルジオンの港から妖精の尻尾(フェアリーテイル)の船が発った。

 

 

選ばれた10組の魔導士たちを乗せ……いざギルドの聖地〝天狼島〟へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第138話

『運が良いのは誰?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アツい!!! 冬だってのに何なのコレ…」

 

 

ギルドの面々を乗せた船には、夏のように暑い日差しが差し込んでいた。

 

 

「あたし、溶けちゃうかも。アイスになってハッピーに食べられちゃうんだ」

 

 

「まずそうだね」

 

 

「ルーちゃん、だらしないよその格好」

 

 

「ハッピーもよ」

 

 

「この辺は海流の影響で、年中この気候なんだとさ」

 

 

「それでもアツすぎるよね~」

 

 

あまりの暑さにほとんどの面々が薄着、もしくは水着姿であった。中には変わらない服装の者もいるが。

 

 

「ジュビア、アツくないの? その格好」

 

 

「そうよジュビアちゃん。日射病にでもなったら大変よ」

 

 

いつもと変わらない厚着のジュビアに、リサーナとシャマルが心配そうにそう問い掛けるが、それに対しジュビアは汗一つかかずに口を開いて答える。

 

 

「アツくはない。けど……しいて言うなら──グレイ様の裸体がアツい!!!!」

 

 

「あぢィ…」

 

 

そう言い放つジュビアの視線の先には、素っ裸でだれているグレイの姿があった。

 

 

「キモチ悪ィ~」

 

 

「ナツ!! こっちには来ないでくれるかな」

 

 

「あと絶対にキラキラしたモノをぶちまけないでくださいよ?」

 

 

「ウェンディがトロイアをかけてくれねーんだよ」

 

 

「仕方ありませんよ。ウェンディとキャロはメストさんのパートナーですし」

 

 

いつもの乗り物酔いで今にも吐きそうなナツを、遠ざけるようにそう言うロキとエリオ。

 

 

「やだやだ、これからみんな敵になるってのに馴れ合っちゃってさ」

 

 

「アチィ!」

 

 

「うむ……」

 

 

そう言って水着姿で自身を煽るエバーグリーンと、ふんどし姿で暑さに耐えるエルフマンとザフィーラ。

 

 

「アツい……もっとアイス食いてー」

 

 

「同じくです~」

 

 

「にゃはは…2人とも……」

 

 

テーブルでうな垂れながらアイスを求める水着姿のヴィータとスバルを見て、同じく水着姿のなのはが苦笑を浮かべていた。

 

 

「あの…主はやて……この水着は……」

 

 

「もちろん、私のコーディネイトや♪」

 

 

「少し露出が高すぎませんか?」

 

 

「あと…なぜ私はスク水なのですか?」

 

 

はやて厳選の露出度の高いビキニを着せられたシグナムと、なぜか紺のスク水を着せられたリインフォースは赤面しながらはやてに尋ねる。それに対してはやては……

 

 

「その方が萌えるからや!!!」

 

 

「「…………」」

 

 

と…サムズアップしながらそう言い切られた為、2人は何も言えなくなった。

 

 

「あ、見えてきたわ」

 

 

すると、水着姿のティアナが船の針路の先を指差しながらそう言うと、それを聞いた他の面々もそちらへと視線を向ける。

 

 

「おお、着いたのか!!!」

 

 

「あれが天狼島!!?」

 

 

「すげー形してんな」

 

 

「島の上に島!!?」

 

 

「すごい……ここからでも、島の魔力を感じるの」

 

 

「さすが、ギルドの聖地や」

 

 

「うぷ」

 

 

「ナツ!! もうすぐだよ」

 

 

彼らの視線の先には……中心にまるで小島のような大樹を生やした巨大な島があった。

 

それそこ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の聖地〝天狼島〟である。

 

 

「あの島にはかつて、妖精がいたと言われていた。そして妖精の尻尾(フェアリーテイル)初代マスター、メイビス・ヴァーミリオンの眠る地」

 

 

そう言って現れたのは、短パンにアロハシャツというラフな格好をしたマカロフであった。

 

 

「何だよその服!!」

 

 

「だってアツいんだもん」

 

 

「とりあえずグレイはせめてパンツを履いてほしいの」

 

 

マカロフの服装にツッコミをいれるグレイだが、全裸の彼に言われても説得力は皆無であった。

 

 

「これより、一次試験の内容を発表する」

 

 

「一次試験?」

 

 

「試験って何回もあるんですか?」

 

 

「だいたい毎年、何段階かに分かれるんだ」

 

 

首を傾げるウェンディとキャロに、メストが説明する。

 

 

「島の岸に煙が立っておるじゃろう、まずはそこへ向かってもらう。そこには〝10の通路〟があり、1つの通路には1組しか入る事はできん。そして、通路の先はこうなっておる」

 

 

そう説明した後で、マカロフは魔法で自身の横に映像を映し出す。

 

 

するとそこには……2つの〝闘〟という文字と、同じく2つの〝静〟という文字…そしてエルザたち現役S級魔導士の顔ともに描かれた4つの〝激闘〟という文字が、通路の先に記されていた。

 

 

「ここを突破できたチームのみが、一次試験合格者じゃ。〝闘〟のルートはこの10組のうち2組がぶつかり、勝った1組のみが通れる。〝激闘〟は現役S級魔導士を倒さねば進めぬ、最難関ルート。〝静〟は誰とも戦う事無く、この一次試験を突破できるルート。一次試験の目的は〝武力〟そして〝運〟!」

 

 

「「「(〝運〟て──)」」」

 

 

マカロフの言葉に、全員が内心でツッコんだ。

 

 

「運ならいけるかも!」

 

 

「〝静〟を当てる確率は2/10しかないのよ」

 

 

「理論的には、最大8組が合格できる訳だね」

 

 

「ム…無理だ!! ギルダーツやエルザのいる道は突破できねえ!!」

 

 

「確かにあの2人を相手するんは厳しいなぁ……」

 

 

「私は願ったり叶ったりですが」

 

 

「将、これは主の試験だぞ」

 

 

「最悪の場合は5組しか突破できないのか……」

 

 

「面白ェ!」

 

 

一次試験の内容を聞いて、口々にそう言うメンバーたち。

 

 

「さあ始めい!!!! 試験開始じゃ!!!!」

 

 

すると、マカロフの口から開始の合図が出された。しかし船はまだ島には着いておらず、海の真ん中で止まっていた。

 

 

「は?」

 

 

「開始って……」

 

 

「ここ……海の上じゃないか」

 

 

グレイとエリオとロキの疑問に対し、意味ありげにニカッと笑うマカロフ。

 

 

「なるほどっ」

 

 

「そう言う事か、ティア!! ハッピー!! 先に通路を選ぶんだー!!!」

 

 

「あいさー!」

 

 

いち早くマカロフの意図を察したナツはハッピーと共に空へと舞い上がり、ティアナもそれを追うようにクロスミラージュの2つの銃口をブースターにして空へと飛び立つ。しかし……

 

 

「んが!」

 

 

「な!?」

 

 

「えっ!?」

 

 

そんな3人の行く手を、見えない壁が阻んだ。

 

 

「これは術式……って事は……」

 

 

そう言うユーノの視線の先には、術式の結界を張った張本人であるフリードが、パートナーであるビックスローとフェイトと共に、島へと向かっている姿があった。

 

因みにフリードは闇の文字(エクリテュール)で翼を生やして空を。ビックスローは自慢のトーテムポールのような人形の上に乗って同じく空を。そしてフェイトは〝音速(ソニックムーブ)〟で水面を走っていた。

 

 

「安心しろ、5分後に解けるようになっている」

 

 

「ずーっと閉じ込めとけばいいじゃねーか」

 

 

「それじゃ試験にならないよ」

 

 

そう言いながら、3人はいち早く島へと向かったのであった。

 

 

「オイ!! じーさん!! あんなのアリかよ!!」

 

 

「まあレースじゃないし」

 

 

「フリードさんを先行かせたら島中術式だらけにされてまうやん!!」

 

 

「どわーーっ! くそーーー!!!」

 

 

「そうだ!! レビィなら」

 

 

「うん、書き換えられるよ」

 

 

そう言ってフリードの術式を書き換え始めるレビィ。それを見た他の面々は感嘆の声を上げ、これで出られるかと思いきや……

 

 

「でも私とガジルとルーテシアだけ!!!!」

 

 

「何ィー!!?」

 

 

「ギヒヒ」

 

 

「…………」

 

 

レビィは自分とパートナーだけを通行可能にし、3人揃って海へと飛び込んだ。

 

 

「じゃあねー、みんなお先ー」

 

 

「コノヤロ~~~」

 

 

意気揚々と島へと泳いでいくレビィたちを、ナツは恨みがましく睨んでいた。

 

 

「フフ、私もフリードと付き合いが長いからね」

 

 

「エバーグリーン」

 

 

「書き換えられるのか?」

 

 

「ええ、これくらいの術式の書き換えくらいできるわ」

 

 

そう言うと、エバーグリーンも術式の書き換えを行った。当然、自分達だけが通れるように。

 

 

「さあ行くわよエルフマン!!!! ザフィーラ!!!!」

 

 

「ああっ!」

 

 

「おおおおおお漢ォォォ!」

 

 

そしてエルフマンたちも海へ飛び込み、泳いで島へと向かって行った。

 

 

「ふふん♪ 夜天の書を使えば、術式の書き換えなんて朝メシ前や!!」

 

 

すると、はやても夜天の書に記された術式の魔法を使い、術式を書き換えた。もちろん先の2組と同じように。

 

 

「ほな行くで!! シグナム!! リインフォース!!!」

 

 

「「はいっ!!!」」

 

 

そのまま海へと飛び込み、はやてたちも島へと泳いで行った。

 

 

「くそォ!!」

 

 

「あと何分足止め?」

 

 

「まだあと4分です」

 

 

「じゃあレビィの奴、たった1分で術式を……」

 

 

「完全に出遅れちゃったの」

 

 

残ったメンバーは成す術なく、術式が解けるまで待つしかなった。

 

 

そして5分後。

 

 

「解けた!!」

 

 

「行くわよルーシィ!!! ユーノ!!!」

 

 

「うん!!」

 

 

「ああ!!」

 

 

「ロキ、エリオ、行くぞ!!」

 

 

「その前に服を着てください」

 

 

ようやくフリードの術式が解除され、残ったチームは一斉に動き出す。

 

 

「ハッピー!!! ティア!!!」

 

 

「あいさー!!」

 

 

「わかってるわよ!!」

 

 

ナツチームの3人は先程と同じ方法で、空から島へと飛び立つ。

 

 

「アイスメイク…〝(フロア)〟!!!!」

 

 

「わっ!! 海面を氷に…」

 

 

グレイチームの3人は、グレイが凍らせた海面をスケートのように滑りながら島へと向かっていく。

 

 

「スバル!!」

 

 

「はい!! ウィングロード!!!」

 

 

なのはチームはスバルが生成したウィングロードを渡って、島へと走って向かう。

 

 

「リサーナさん、シャマルさん、ついてきてます!?」

 

 

「もちろん!!」

 

 

「大丈夫よ!!」

 

 

ジュビアチームの場合は…ジュビアは水となって海と一体化し、リサーナは得意魔法である〝動物の魂(アニマルソウル)〟で魚に変身して最速のスピードで泳いでいき、そんな2人を風魔法で浮遊したシャマルが追いかけるように着いて行った。

 

 

「ちょっとカナ!! あたしたち一番遅れてるわよ!」

 

 

「まだメストとウェンディとキャロが残ってるわ!」

 

 

「どこに!?」

 

 

「消えた!!?」

 

 

「そう言えば、さっきからいなかったような……」

 

 

メストチームの3人は、いつの間にか船上から姿を消していた。

 

 

「急がないと通路を選べなくなっちゃうよ!」

 

 

「ひえ~」

 

 

「とにかく急ごう!」

 

 

そしてカナチームである3人は、急いで島へと泳いでいったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方、島へと到着したナツたちは地面へと降り立つ。

 

 

「……こうやって立ってみると、すごいわねこの島」

 

 

「大地からすごい魔力を感じる」

 

 

「ああ」

 

 

天狼島から溢れる魔力を感じて、気を引き締めなおす3人。

 

 

「行くぞォォォォーーーーーっ!!!!!」

 

 

そして意気揚々と10の通路へと向かった。しかし……

 

 

Aルート封鎖

 

Bルート封鎖

 

Fルート封鎖

 

Hルート封鎖

 

Jルート封鎖

 

 

「──って…もう5コも塞がってる!!!」

 

 

すでに半分のルートが閉鎖されていた。

 

 

「私たちより先に来たのはフリードさんとレビィ…それからエルフマンとはやてさんのチーム……あれ? じゃああと1つは誰が?」

 

 

自分達より先に行ったチームの数と塞がっている通路の数が合わない事に疑問符を浮かべているティアナ。

 

 

「どこにするナツ」

 

 

「う~む…」

 

 

「……ま、いっか」

 

 

しかしナツとハッピーは特に気にした様子もなく、通路を選んでいる為、ティアナも気にしない事にした。

 

すると、ナツが選んだ通路を指差す。

 

 

「〝E〟だ!! あれはエルザ(ERZA)のEに違いねえ!」

 

 

「何でエルザを選ぶの!?」

 

 

「倒してえからに決まってる!!!」

 

 

「選ぶにしてももうちょっとマシな選び方しなさいよ!!!」

 

 

ナツの選び方にツッコミを入れるティアナだが、ナツの決定は変わらない。

 

 

「待ってろエルザー!!」

 

 

「うわ!! もう…ココにいるって決めつけてる」

 

 

「ったくもう……」

 

 

そんなナツに呆れながらも、彼らはEのルートへと入って行ったのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後……他のチームよりも一足遅れてやってきたカナチームの3人。

 

 

「〝×〟が9つ。やっぱり私たち一番最後」

 

 

「残ってるのはCルートだけだね」

 

 

「大丈夫よ!! 残り物には福があるって言うでしょ!! あたし、運だけはいいからね!」

 

 

カナを元気付けるように、明るくそう言うルーシィ。

 

 

「絶対S級になろうね、カナ」

 

 

「君の願いを叶える為にも…ね」

 

 

「うん、ありがとうルーシィ、ユーノ」

 

 

そして3人は、残された最後の通路へと足を踏み入れたのであった。

 

 

「思ったより明るいわね」

 

 

「雷光虫だよ。体を光らせるのが特徴の虫さ」

 

 

「本来は夏の虫なんだけどね」

 

 

そんな会話をしながら通路を歩いていく3人。すると……

 

 

「お! その声は」

 

 

「「「!!」」」

 

 

通路の奥からそんな声が聞こえてきた。

 

 

「誰!?」

 

 

「ここってまさか…」

 

 

「〝闘〟のルート!!」

 

 

そう言ってユーノの目に入ったのは、天井に吊るされた〝闘〟の文字が入った垂れ幕であった。

 

 

そしてその通路の先で待ち受けていたのは……

 

 

「やっぱり!! カナとコスプレの」

 

 

「ルーシィだよ、ビックスロー」

 

 

「お前たちと〝闘〟えという事か」

 

 

フリード率いるビックスローとフェイトのチームであった。

 

 

「残り物には、何だっけルーシィ」←フリードに手も足も出なかった人

 

 

「雷神衆…」←ロキとユーノがいなきゃビックスローにやられてた人

 

 

「元も含めて…ね」←昔からフェイトに一度も勝った事がない人

 

 

立ち塞がる雷神衆(元も含む)の3人に、戦慄するカナチーム。

 

 

「勝った1組のみがあの先に進めるらしーぜ」

 

 

「私としては仲間同士で戦うのは好きじゃないんだけど、試験じゃ仕方ないよね」

 

 

「悪いが、お前はここまでだカナ。ラクサスの後を継ぐのは、このオレなんだ」

 

 

そう言い放つフリードに対して、カナも負けじと言い返す。

 

 

「上等!! こっちだってS級にならなきゃいけない理由があるんだ!! やってやろうじゃないの!!」

 

 

カナがそう言い放った瞬間、その場にいた6人全員が臨戦態勢に入った。

 

 

「……の前に、服を着てはどうだろう?」

 

 

「そうだね、もし攻撃が水着に当たりでもしたら大変な事になっちゃう」

 

 

「このままの方がいいぜフリード」

 

 

「ダメだ! 気が散る」

 

 

そう言って少々頬を赤くしながら水着姿のカナとルーシィから目をそらすフリード。

 

 

「ほう、だったら…」

 

 

それを見たカナは、フリードに向かって自身の武器である魔法のカードを数枚投げつける。すると……

 

 

「セクシーお姉さんカード!!!!」

 

 

「な!?」

 

 

カナの魔法によって、そのカードに描かれていた若くスタイルのいい女性が数人飛び出してきて、フリードに纏わり着いた。

 

 

「カードからおねいさんが!!! なんてハレンチな!!」

 

 

「ちょっ…何してるのフリード!!? そんなイヤらしい事しちゃダメだよ!!!」

 

 

「したくてしているんじゃない!! こいつらが纏わり着いてくるんだ!!!」

 

 

「しっかりしろフリード!!!」

 

 

「うああああ!」

 

 

「と…とにかくフリードから離れてよ~!!」

 

 

お姉さんたちに纏わり着かれて身動きが取れないフリードと、そんなお姉さんたちをフリードから引き剥がそうと躍起になっているフェイト。

 

 

「どうなってるの!?」

 

 

「やっぱり!! あいつ、本当は女に弱いんだ!! ついでにフェイトまで封じれたのは好都合だけど」

 

 

「………………」

 

 

実は女性が苦手だというフリードの弱点を見抜いたカナ。ユーノだけは訝しげな顔をしていたが、これで残るはビックスローだけとなった。

 

 

「しゃあねぇ!! こうなったらオレが……」

 

 

「ルーシィ!!」

 

 

「うん!!! 開け、処女宮の扉! バルゴ!!!!」

 

 

「サービス精神全開ばあじょん」

 

 

そう言ってルーシィが召喚したのは、何故か水着姿のバルゴであった。

 

 

「ま…また1人増えたーーー!!!」

 

 

「もう水着はダメだよ!!!」

 

 

「オレには効かねーぜ。行きなベイビー!」

 

 

それに対して他の2人と違ってビックスローは特に動揺した様子も無く、自身が操る人形達を放った。

 

 

「バルゴの心得。〝バ〟バスルームの清掃もお任せあれ。〝ル〟ルーシィ様に今日もご奉仕。〝ゴ〟ゴミの分別大切です」

 

 

と…突然訳のわからない心得を言ったのち、人形たちの体当たりを喰らってバルゴは消えていった。

 

 

「弱っ!!!!」

 

 

「何であんなの呼んだの!!」

 

 

「なんとなく女の子がいいのかと」

 

 

「相変わらず個性的な星霊たちだね」

 

 

そんな漫才のようなやり取りをしている間にも、ビックスローの猛攻は続く。

 

 

「ひっ」

 

 

「くっ」

 

 

「おっと」

 

 

飛んでくる人形達の攻撃を、何とか回避する3人。

 

 

「あまり痛めつけたくねーんだ。早く眠ってくれ」

 

 

そう言ってさらに攻撃を仕掛けるビックスロー

 

 

「うわっ!! やめろーコイツら!」

 

 

「いい加減フリードから離れてよ~!!」

 

 

その後ろでは未だにお姉さんたちに動揺するフリードと、それを引き剥がすのに躍起になっているフェイトの姿があった。

 

 

「くそう!」

 

 

「チェーンバインド!!」

 

 

「当たらんよ!!」

 

 

「ああ!」

 

 

「カナ!! うわっ!!」

 

 

カナはカードを投擲し、ユーノは拘束魔法で人形を捕らえようとしたが、呆気なくかわされ、逆に反撃を喰らってしまった。

 

 

「こんな所で負けてたまるか! 祈り子の噴水!!!!」

 

 

しかしカナは負けじとそう言い放つと、1枚のカードを地面に叩きつける。その瞬間、そのカードから水が溢れ出し、そのまま人形達に向かってレーザーのような攻撃が放たれた。

 

しかし、その攻撃も人形達は軽々とかわしてしまう。

 

 

「また避けられた!!」

 

 

「水だ!!」

 

 

攻撃を避けられた事に毒づくカナだが、彼女の水を見てルーシィは好機という顔を浮かべた。

 

 

「ルーシィ!! ダメよ!! これは攻撃用の水!! さわったら危険…」

 

 

「大丈夫!!」

 

 

カナの忠告に対して自信満々にそう答えると、ルーシィは溢れ出す水の中に鍵を持った手を突っ込む。

 

 

「開け!!! 宝瓶宮の扉、アクエリアス!!!!!」

 

 

そして自身の最強の星霊の1体……アクエリアスを召喚した。

 

 

「うおおおおお!!!」

 

 

「また水着かーーー!!!」

 

 

「もうやめてぇーー!!!」

 

 

アクエリアスの登場に驚愕の声を上げるビックスロー。フリードとフェイトも別の意味で叫びを上げていたが……

 

 

「喰らいなァ!!!!」

 

 

そう言って手にしている瓶を高々と掲げるアクエリアス。

 

 

「カナ!! ユーノ!! 何かにつかまって!!!」

 

 

「えっ!?」

 

 

「何!?」

 

 

ルーシィの言葉に一瞬戸惑うカナとユーノだが、すぐさまルーシィと同じように近くの岩にしがみつく。

 

 

「オオオオオオオオオオオらァ!!!!!」

 

 

そしてアクエリアスが振るった瓶から洪水のような激流の水が溢れ出し、全てを飲み込んだ。

 

 

「「「あばばばばばばば!」」」

 

 

「「ぬああああああああ!」」

 

 

「きゃああああああああ!」

 

 

──敵味方問わず全てを。

 

 

そして水が引くと、あとに残ったのはぐったりと倒れている6人の姿であった。

 

 

「フン。水着で男の気を引こうなんざ、100年早いんだよ」

 

 

そう言い放つアクエリアスに、いち早く復活したカナが突っかかる。

 

 

「オイ!! テメェ!! 何てことしやがる!!!」

 

 

「あん?」

 

 

「敵と味方くらいわからねーのかよ!!」

 

 

「小娘はみんな敵だよ敵!! プリプリしてりゃ正義だと思ってんだろ! あー…そんなんだから彼氏できねーんだよ。0点だな、女として0点」

 

 

「男がいるくらいで上から目線かよ。底が知れる安い女だねぇ」

 

 

「なんか似てるわね…この2人」

 

 

「何となく声までそっくりだしね」

 

 

そんな2人の女の言い争いを見て苦笑を浮かべるルーシィとユーノ。

 

 

「それより見て」

 

 

「「!」」

 

 

そう言ってユーノが指差す先には、ぐったりと地面に倒れ伏しているフリード、ビックスロー、フェイトの姿があった。

 

 

「あの3人がのびてる」

 

 

「私たち…やったのか?」

 

 

「みたいだね。その証拠にほら、道が通れるようになってるよ」

 

 

すると、通路を塞いでいた格子がゆっくりと上がり、進めるようになった。

 

 

「……って事は…?」

 

 

「やったぁ!!!!」

 

 

「一次試験突破~!!!!」

 

 

一次試験を突破した事に喜び、ハイタッチを交わすカナとルーシィとユーノ。

 

 

「行こう2人とも!!」

 

 

「うん!!」

 

 

そして軽い足取りで通路の先へと進んでいったカナとルーシィ。しかしユーノだけはその場に留まり……

 

 

「聞こえてるかどうかはわからないけど……ありがとうね、3人とも」

 

 

倒れているフリードたちにそれだけ言うと、先に行った2人を追って通路を進んでいった。

 

 

そして3人の姿が見えなくなると、ビックスローがケロリとした様子で起き上がった。

 

 

「本当にこれでよかったのか、フリード」

 

 

「ああ」

 

 

それに続くように、フリードとフェイトも難なく起き上がる。

 

 

「他の奴等なら本気でやってたさ。カナとルーシィには借りがある。もし〝闘〟で当たったらこうしようと決めていた」

 

 

「でも、女の人が苦手って弱点設定は無理があったんじゃないかな?」

 

 

「そもそもフェイトをパートナーに選んでる時点でウソだってわかるけどな。実際ユーノには見破られてたみてーだし」

 

 

「だな」

 

 

「なんだよ~ラクサスの後を継ぐとか息巻いてたのによ~」

 

 

「大切なのは後を継ぐことじゃない、妖精の尻尾(フェアリーテイル)である事だ。ラクサスは必ず戻ってくるからな」

 

 

「……そうだね。いつかきっと…ね」

 

 

そう言い放つフリードの言葉に、フェイトが微笑みながら賛同する。

 

 

「……にしてもあいつら、オレたちとぶつかるとは……〝運〟がいいね~」

 

 

こうしてカナチームは一次試験を突破し、フリードチームは脱落したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでフリード、さっき女の人に囲まれて慌ててたのは本当に演技?」

 

 

「あ…当たり前だ! オレがあの程度で動揺するなぞありえん」

 

 

「ふ~ん……えいっ」

 

 

「なっ!?」

 

 

「ほら、私が抱きついただけで動揺してる。やっぱり演技じゃなかったんだ」

 

 

「ち、違う!! 今のは……!!」

 

 

「フリードのえっち」

 

 

「だから違うんだーー!!!」

 

 

「おめーら痴話喧嘩ならよそでやれよ~」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方その頃……ナツチームが進んだEルートでは……

 

 

「エルザ~!! 早く出て来い~!!! 勝負しろや~!!!!」

 

 

すでにこのルートにエルザがいると決め付けているナツはそう叫びながら通路を歩く。

 

 

「まだエルザがいると決まってないんだよ」

 

 

「いいや!! オレはERUZA(エルザ)のEに入った!!! この先にいるエルザを倒し、オレはS級魔導士になるんだ!!!!」

 

 

「はいはい。わかったからさっさと進むわよ」

 

 

自信満々にそう言い放つナツに呆れながら、ティアナは通路を突き進む。因みにすでに水着から普段着に着替え済み。

 

 

「ナツ!! 道が開けてきたよ」

 

 

「お、誰かいるぞ」

 

 

「誰?」

 

 

しばらくして、開けた道へと出た3人。するとそこには1人の人物が待ち受けていた。その人物とは……

 

 

 

「「ギルダーツ!!!!!」」

 

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の男……ギルダーツ・クライヴであった。

 

 

「ようナツ、運がなかったな」

 

 

「終わった」

 

 

ギルダーツの登場に、ハッピーは早々に諦めの言葉を口にする。

 

 

「オレぁ何事も、手ぇ抜くのは嫌ェでな」

 

 

ナツを見据えながらそう言い放つギルダーツ。

 

するとナツはブルブルと体を震わし、そして……

 

 

 

 

「燃えてきたぞ!!!!!」

 

 

 

 

闘志の篭った表情で、そう言い放ったのであった。

 

 

 

 

 

つづく

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