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最強最悪の黒魔導士ゼレフと、その彼に付き添う謎の少女ユーリ。
そうとは知らずに試験中に彼らと出会ってしまったナツたち。
「あのヤロウ…イグニールのマフラーをこんなんにしやがって…」
「ナツ…」
ゼレフの放った命を喰らう黒い波動によって、真っ黒に染まってしまった大切なマフラーを見て、怒りの篭った声で口を開くナツ。
「黒い服に黒いマフラーってどうなんだよファッションとして!!」
「あいつ……コーディネイトに気を遣ってたのか……」
「意外ね…」
「その割には、いつも同じ服なのだがな」
意外とファッションを気にしていたナツに対してエルフマンたちはそう呟く。
「ねえ……試験どうする?」
「そうね……私が会った女の子もそうだけど、ナツたちが会った不気味な男の事も気になるし……そんな奴等がウロウロしてるのなら、もうそれどころじゃないわね」
ハッピーの問い掛けにティアナがそう答えると、ナツとエルフマンが喰い付く。
「それどころじゃなくはない」
「漢として、この試験は譲れん!!!!」
「「ム」」
謀らずも意見が一致した事で、ナツをエルフマンは顔を見合わせて睨みあう。
「オレはギルダーツと約束した」
「オレだって姉ちゃんの弟だ!! S級になる義務がある」
「「ぬ」」
「落ち着けお前たち」
そう言って睨みあう2人を、ザフィーラが宥める。
「確かに不気味な奴だったけど、敵意はなかったような気がするなー」
「あきれたー」
「……ま、言って聞くような奴等じゃないしね」
そんなナツとエルフマンに、呆れたようにため息をつきながらそう言うティアナとエバーグリーン。
「試験続行だ!!!!」
「いいけどその代わり、試験が終わったらちゃんとマスターに報告するのよ」
「おし!!!! 行くぞザフィーラ! エバーグリーン!」
「やれやれ」
「だから私に指図するなって言ってんでしょ!」
そして彼らの独断により、試験は続行する事となったのであった。
第142話
『
一方その頃……雲の上の遥か上空に浮かぶ1隻の魔導艇。
闇ギルドの中でも最強のギルド〝
「ついにこの時が来たか、伝説の黒魔導士ゼレフ復活の日。鍵は全て我が手中にある。我々がゼレフの中にあるものを目覚めさせるのだ」
玉座のような席でそう言い放つのは
そんなハデスに対し、ウルティアが口を開く。
「ただし、問題が1つあります。今やフィオーレ最強の座に着く魔導士ギルド〝
そう言って不安要素の1つとして
「な~になによ!! そんなのたいした事ねぇーってよ!! そんな奴はよォ、全部オレっちが灰にしてやるからよォ! ウハハハハハ!!」
そう高らかに笑いながら全身に黒い炎を纏う男……ザンクロウ。
「敵を侮るべからず。
胸に手を当て祈るようにそう言い放つヤギのような外見の男……カプリコ。
「解き放て…オレたちの
ナルシスト且つキザな言い回しでそう言うリーゼントに眼鏡が特徴の男……ラスティローズ。
「じ…じ…じぶもそな気がしま」
「早口すぎだよっ!」
「解読『自分もそんな気がします』」
「ウ…ウーウェ」
聞き取れないほどの早口でそう言う真っ白な肌の太った大男……華院=ヒカル。
「メルディ、戦える?」
「……戦い……うん」
ウルティアの問い掛けに小さくそう頷く物静かな少女……メルディ。
「ところでよォ、何でこの船によそ
そう言いながら睨むような視線を送るザンクロウの視線の先には……厚いローブを纏い、被ったフードで顔を隠した5人の人物がいた。
「ああん? よそ者ってのはオレたちの事か?」
「他に誰がいるんだってよ。人造人間ってのはそんくれぇもわかんねぇのか?」
「ケンカ売ってんのかテメェ……!!」
「落ち着け、エスターテ」
「けどよぉインヴェルノ」
「クールになれ。オレたちはこいつらと争う為に来たんじゃない」
ザンクロウの挑発的な言葉に憤慨するエスターテと呼ばれた男を、インヴェルノと呼ばれた男が制する。
「あなたも彼らを挑発するのはやめなさいザンクロウ。今回の作戦において彼らのギルドと私たちは正式に協力関係を結んだ仲なのよ」
「こんな奴等必要ねーってよ。ゼレフを手に入れるなんざ、オレたちだけで十分だってよ」
ウルティアの静止の言葉も聞かずにさらにそう言い放つザンクロウ。
「安心しろ、そちらの邪魔になるような事はしない」
「あぁ?」
「我々のマスターはゼレフには興味がない。今回の目的は新しく稼動した我々5人の戦闘記録を取る事と、あの島にある〝あるもの〟を回収する為だ。もし我々が先にゼレフを発見し捕らえた場合、速やかにそちらに引き渡す事を約束しよう」
インヴェルノと呼ばれた男はそこまで言うと、一呼吸置いてから、今度は高らかに言い放った。
「我ら〝
「……チッ」
そんなインヴェルノの言葉に対してザンクロウは舌打ちをしたが、その後は何も言わなかった。
「ごめんなさいね」
「いえ…お気になさらず」
ザンクロウの代わりに謝罪の言葉を口にするウルティアにそう言うと、インヴェルノはエスターテを含む他の4人に視線を向ける。
「間もなく妖精の島にて戦闘に入る。セッテ…オットー…ディード…エスターテ…準備はいいな?」
新生チーム『シーズン』
〝冬季のインヴェルノ〟
「当然だぜ!! アツくなってきやがった!!!」
新生チーム『シーズン』
〝夏季のエスターテ〟
「問題ありません、インヴェルノ兄様」
チーム『ナンバーズ』
NO.7 セッテ
「大丈夫」
チーム『ナンバーズ』
NO.8 オットー
「同じく」
チーム『ナンバーズ』
NO.12 ディード
インヴェルノの問い掛けに、全員が問題なく答える。
すると、ハデスが玉座からゆっくりと腰を上げる。
「面白い、面白いではないか。奴等はまだ本当の闇を知らん、深淵に潜む絶対なる闇を。今宵は悪魔と欲望と妖精の戯れ。喰って誇るか喰われて散るか。
決戦だ、
悪魔と欲望を乗せた船は……着実に妖精の島へと向かっていたのであった。
◇◆◇◆◇◆◇
その頃…カナ、ルーシィ、ユーノの3人はメイビスの墓の在り処について考えていた。
「2人ともなんかわかった?」
「ダメー」
「僕もさっぱりだ。さすがにノーヒントでお墓の在り処を探すのは無理があると思うよ」
「そこが引っかかるのよね」
「「?」」
「本当にヒントは無いのかな? 私は過去4回も試験に参加してるからなんとなく思うんだけど、今まで理不尽な試験は1回もなかった気がする。きっとどこかにヒントが隠されてると思うのよ」
カナの推測に、ルーシィとユーノは納得する。
「なるほど、二次試験の内容は『知力』って事ね」
「となるともしかしたら、言葉そのものに意味があるのかもしれないね」
「言葉?」
「たとえば〝墓〟の事を僕たちは〝場所〟だと思い込んでいるけど、もっと別の意味で解釈してみるんだ」
「〝人生の終焉〟とか?」
「うわっ!! 暗っ!!」
ルーシィの解釈に対して引き気味にそう言うカナ。
「もっとルーシィらしい連想があるだろーが?『人は死んだら星になる』とかさ」
「「……………」」
カナが何気なく言った言葉に、顔を見合わせるルーシィとユーノ。
「それだ」
「そういうことだったんだ」
そしてお互いに小さくそう呟くと、勢いよくその場から立ち上がる。
「わかったよカナ!!!」
「あたしたち、お墓の場所わかっちゃったかも!」
「何!!?」
「さっそく行こう!!」
「ついてきて!!」
「おお!! さすが!」
そう言うと、カナチームの3人は墓のある場所と思われるところへと向かって行った。
そんな彼女たちの背後の草むらに潜む、3人の影。
「さすがルーシィとユーノ」
「お墓の場所がわかったんですね」
「こいつはラッキーだぜ」
その3人とは…グレイ、ロキ、エリオのチームであった。
「オレ的にはこの二次試験で試されるのは……『知識と貪欲さ』だと思う。つー訳で跡をつけるぞ」
「OK」
「了解です」
そう言ってグレイたち3人は、こっそりとカナたちの跡を着いて行ったのであった。
◇◆◇◆◇◆◇
一方……レビィチーム。
「んだよこの試験つーのはよォ!! 道を選べだの墓を探せだの!」
「あーうるさい」
「……………」
試験に対して大声で不満を漏らすガジルと、そんなガジルに対し不快そうな表情をするレビィ。そしてルーテシアはいつも通りの無表情。
「オレは
「私の事はどうでもいい訳ぇ!?」
「んな事ァ言ってねぇだろーがよ!」
「だってガジルはみんなと戦う事ばっかで、全然…私の事なんか……」
「かまって欲しいのか小せぇ奴。だったらオレとまともに戦えるくれー強くなってくれよ」
レビィとの言い争いの末、バカにしたように彼女の頭をポンポンと叩くガジル。
「どうせ私は…弱いわよ、小さいわよ……もう知らない!!! ガジルのバカ!!!!」
「んだとコラァ!」
そんなガジルに対し嫌気がさしたレビィは、その場から走り去ってしまった。
「ったくあのチビ……」
「今のはガジルが悪い」
「うっせェ!!!!」
◇◆◇◆◇◆◇
一方ガジルとルーテシアから離れ、1人走り去ってしまったレビィは……
「(何よアイツ……ちょっといい奴になったと思ってたのに…やな奴…大嫌い!!! 大っ嫌い!!! 大っ嫌い!!!!)」
涙を浮かべながらただガムシャラに森の中を走るレビィ。
ガサッ
「!」
すると、そんな彼女の背後から草が揺れる音が聞こえ、レビィは走る足を止める。
「ガジル? ルーテシア?」
そして振り返ったその時……草むらから現れた謎の2人組みがレビィを襲った。
「え?」
突然の事態に愕然するレビィに、鎧武者の姿をした犬のような外見の男が、抜刀した刀を振るう。
「きゃあっ!」
間一髪レビィは後ろに倒れこみ、その一太刀をかわすが、身に着けていたヘアバンドが切られる。
「な…何……!? アンタたち!!!」
そんなレビィの背後から、ニワトリのような外見をした男が両手を封じ、そのまま彼女の体を地面に押さえつける。
「まずは1人」
「きゃああああああああ!!!」
そして押さえつけられたレビィに向かって、犬男が刀を振り下ろしたその時……
ドカッ!!!
ガキィイン!!!
そんなレビィを守るようにガジルとガリューが割って入り……ガジルが鋼鉄化した腕で刀を受け止め、ガリューがレビィを押さえつけていたニワトリ男を殴り飛ばす。
「大丈夫? レビィ」
「ルーテシア……」
少し遅れてガリューの召喚者であるルーテシアが、レビィに駆け寄る。
「小せェと探すのが大変なんだよ」
「……………」
「だからオレたちから離れんじゃねえ」
「……うん」
そんなガジルの言葉に、レビィは嬉しそうに頷いたのであった。
「で……何だコイツらは」
謎の2人組みに対してガジルがそう言い放つと、彼らの目に犬男の鎧とニワトリ男の首に刻まれた紋章が目に入る。
「あの紋章……見覚えがある」
「〝
敵の正体が
「マスターは試験内容に闇ギルドを配置してんのか?」
「そんな訳ないよ。こいつら……どっかから侵入したのよ」
「ま…仕事にはアクシデントはつきものだ、それがS級なら尚更。これくれぇのアクシデントを排除できねえようじゃ、S級の資格はねえとも言えるな」
「でもガジル……相手は
「バラム同盟の一角……私たちが独断で手を出す訳には……」
レビィがそう言うと、敵の2人組みが口を開く。
「ぬははははっ!!! これだから正規ギルドはっ!!! 規則規則!! 息が詰まるのう!!」
そう言って笑い飛ばす鎧武者姿に犬のような外見の男……ヨマズ。
「戦争にルールはないペロン。ペペペ」
奇妙な笑い方をするニワトリのような外見の男……カワズ。
「戦争だぁ?」
「あんたたちの目的は何なの!!?」
レビィがそう問い掛けると、ヨマズはニヤリと笑い……
「ここにいる妖精どもを狩る事なり!!!!」
そう言い放つと同時に刀を振るうと『轟』という文字が出現し、その瞬間凄まじい轟音が周囲に鳴り響く。
「!!」
「うっ……」
「耳が……」
あまりの轟音にたまらず耳を塞ぐ3人。
「文字から魔法が…お前と同じ魔法か!?」
「東洋の『
「くあぁ! うるせぇ!」
耳を塞ぎながら忌々しげにそう叫ぶガジル。するとそんなガジルの背後から、カワズが襲い掛かる。
「ガジル!! ガジルってば!!」
それを見たレビィはガジルに知らせようとするが、轟音で耳を塞いでる為、その声が聞こえていなかった。
「大丈夫……」
「!」
すると、そんなレビィの目の前を1つの影がヒュッと通り過ぎ……
「ガリューには通用しない」
ガシィッ!!!
「ぺぺ!?」
背後からガジルを襲おうとしていたカワズの攻撃を、ガリューが受け止めた。
「ぺぺ」
するとカワズは一旦ガリューから距離を取ると、口からポポポポっと卵を吐き出した。
「エッグバスター!!!!」
そして卵が割れるとそこから飛び出した白身と黄身が拳の形になり、4人を襲う。
「ぐあっ!」
「きゃああ!」
「うぅっ…!」
そんな彼らを畳み掛けるように、カワズがガジルに向かって刀を振り下ろすが、ガジルはギリギリでそれをかわす。
「(くそっ!! 騒音のせいで足音すら聞こえねえ)」
忌々しげに内心でそう毒づきながら、敵の猛攻を回避するガジル。
「
すると、レビィが自身の魔法で『SILENT』の文字を作り出し、相手の『轟』の文字にぶつける。その瞬間、2つの文字が衝突し合い、轟音が鳴り止んだ。
「音が元に戻った」
「拙者の文字と打ち消しあったのか!?」
「聞こえた!! そこだ!!!!」
「ぐほぁ!」
そしてガジルはすぐさま反撃し、ヨマズの腹部に鋼鉄の棍棒を叩き込む。
「ぺぺぺぺぺ!」
「
一方レビィも、カワズが口から放った卵による攻撃を卵が割れる前に炎の文字で真っ黒に焼き尽くす。
「ガリュー!」
「(コクリ)」
「ぺぺ!?」
そこを狙ってすかさずガリューがカワズを拳で殴り飛ばす。
「おのれぃ!!!!」
それに対してヨマズは、自身の刀に『斬』の文字を乗せて、ガジルに向かって思いっきり刀を振るった。
「うおっ!?」
間一髪で回避するガジルだが、その攻撃範囲と切れ味は凄まじく、周囲にあった木々をことごとく斬り裂いた。
そして再び振るわれた刀を、今度は鋼鉄に変換させた腕でガードするガジルだが……
ズパッ!
「ぐあっ!」
なんとかなりの硬度を誇るガジルの鉄を、簡単に斬り裂いてしまった。
「ぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺ」
「
そしてカワズの卵攻撃を再び炎の文字で迎え撃とうとするレビィ。しかし……
「(多…!?)」
その卵の数は先ほどよりも圧倒的に多く、全てを焼き尽くす事は出来なかった。
「きゃああああああ!!」
「レビィ!」
そして再び卵から飛び出した白身と黄身の拳攻撃によって倒れたレビィ。そんなレビィに一瞬気を取られてしまったルーテシア。
「ぺぺーーーー!」
「!!」
「ヘビーエッグレイン!!!!」
「あああああっ!!!」
「!!!」
その一瞬のスキを狙って、カワズは上空に向かって無数の卵を打ち上げ、その卵は割れずにそのままルーテシアとガリューへと降り注いだ。
「ぐ…ぐあっ」
一方ガジルも、鉄の鱗を纏った腕でヨマズの刀をガードしようとするが、ことごとく斬り裂かれてしまう。
「(こいつ…オレの鉄の鱗を軽々と……)」
「ぬぅん!」
すると今度は、ヨマズの『貫』の文字を乗せた刀による突きがガジルを襲い、彼のわき腹を抉った。
「………!!!」
あまりの激痛に声を失うガジル。
「あ…う…あぐ…う……」
ガジルは血が噴き出るわき腹を抑えながら苦しげな呻き声を上げる。だがそんなガジルにも容赦なく、ヨマズは刀を構える。
「暗黒剣……」
「い…いや……」
「ダメ……!!」
「
「うおおおおお!!!!!」
そして『斬』の文字と共に襲った黒い太刀筋が……ガジルの体を斬り裂いたのであった。
「「ガジルーーーー!!!!」」
レビィとルーテシアの悲痛な叫び声を上げながら、力なく倒れたガジルに駆け寄る。
「この程度の奴等ばかりなら、本体が上陸する前に全て片付きそうだ」
「ペペロン」
ヨマズのその言葉を耳にしたガジルは、ピクリと体を震わせる。
「ほ…本体…だと?」
「まだ息があるペロ」
「我がギルド、
それを聞いた3人は、驚愕に目を見開く。
「そ…そんな……」
「ルーテシア…レビィ…逃げろ…」
「え?」
「ガジル?」
「これはただの戦争じゃねえ、想像を超えた事態になる」
「でも…私……」
「この事を一刻も早くみんなに知らせろ!!!! こんな奴等はオレ1人で十分なんだよ!!!!」
そんなガジルの必死の叫びを聞いた2人は、すぐにその場から駆け出した。
「行かせるかァ!!! うおっ!?」
「ガリュー……」
追おうとするヨマズの目の前に、ガリューが立ちはだかって足止めする。
「ガジル!!」
「何してやがる!! 早く行け!!」
するとガジルの目の前に、レビィの魔法で作り出された『IRON』の文字で出来た鉄の塊が出現する。
「(鉄…!?)」
「お願い、死なないで」
「おう」
「ガリュー…ガジルをお願い」
「(コクン)」
ガジルはレビィの置き土産である鉄の文字を喰らい、ルーテシアの頼みに静かに頷いてその場に残るガリュー。
「おのれ!! 女を2人逃がした!!」
「どっちでもいいペロン。狩りの楽しみが増えるペロ」
ゴッ!!!
「「!!」」
「
「た…立ち上がるのか……」
地面を力強く殴りながら、ゆっくりと立ち上がるガジル。
「似てるな…あの時に……」
そう呟くガジルの脳裏には、
「テメェらも同じ気分を味わえるぜ」
◇◆◇◆◇◆◇
一方……この非常事態をギルドのみんなに知らせる為に、レビィとルーテシアは必死に森の中を走っていた。
「
「理由はわからない……けど」
「みんなに知らせなきゃ、大変な事が起こる!!!!」
そう言いながら必死に森の中を駆けるレビィとルーテシア。
「わっ!」
「レビィ!?」
「きゃあああああっ!」
すると、むき出しになっていた木の根に躓き、勢いよく転んで地面に体を打ち付けてしまうレビィ。
「う…うう……」
そしてレビィがゆっくりと目を開けるとそこには……
「レビィ?」
「どうしたのレビィちゃん!? そのケガ……」
「ルーテシアちゃんまで……」
メストのチームを探していたエルザ、なのは、ジュビアが立っていた。
「エルザ…なのは……」
「ジュビア……」
偶然にも探していた仲間に巡り合えた事に、2人は安堵の表情と共に涙を浮かべたのであった。
◇◆◇◆◇◆◇
場所は戻り……ヨマズとカワズの2人と交戦するガジルとガリューは……
「鉄竜の…咆哮!!!!」
「防!!!!」
「!!」
ガジルが放った鉄の破片を含んだブレスは、ヨマズの『防』の文字の前に防がれてしまう。
「ぺぺーーー!! ヘビーエッグレイン!!!」
「!!!」
カワズが放つ無数の卵の雨を受けて、地面に膝をつくガリュー。
「つあっ!」
「くっ!」
ヨマズの刀による連続突き攻撃を、鋼鉄化した腕でガードするガジル。
「オレの鋼鉄が、テメェのナマクラなんかに、負けるかよォ!!!!」
「ぬう!!」
ガジルは鋼鉄の剣に変形させた腕を振るって反撃するが、ヨマズはその攻撃を刀で受け止める。
「ぺぺぺ!」
そんなガジルの背後から、カワズが攻撃を仕掛けようとするが……
「ガリュー!!!」
「ぺぺ!!?」
ガジルの声に応えるように、すぐさまガリューがカワズの目の前に立ち塞がり、カワズの腹部に強烈な拳を叩き込んだ。
しかし、ガリューの攻撃はまだ終わらない。
「!!!」
「ペ──」
ガリューは腕から伸びる長大な爪を構える。そして……
―
「ぺぺーーーーーッ!!!!」
目にも留まらぬスピードで爪を振るってカワズの体を切り刻み、それを喰らったカワズはそのまま気絶したのであった。
「貫っ!!!!」
「つがぁ!!」
一方ガジルは、ヨマズの『貫』の文字を乗せた刀の突きを鋼鉄化した手のひらで受け止めようとするが、刀はガジルの手を軽々と貫き、それにより鋼鉄化していたガジルの腕に亀裂が入る。
「……ギヒッ」
それに対してガジルは……苦痛に耐えながらも小さく笑みを浮かべた。
「ま…負けられねえ……」
「コイツ……」
ガジルはそのまま自分の腕を貫いている刀を掴み、ヨマズを逃げられないようにする。
「オレは…負けられねえ!!!!!」
そう叫びながらガジルは……ギルド加入前のとある出来事を思い出していた。
◇◆◇◆◇◆◇
そして……とある廃村では、行き場を無くした3人の魔導士の姿があった。
「バリボリガジガジ」
「…………」
「ハァ~」
廃材の山の上で鉄クズを頬張るガジルと、彼に付き添うルーテシアとアギト。そんな3人の表情は、どことなく暗い印象を受けていた。
すると……
「よおー、旨いのかね、鉄ってのは」
「!」
「あ…アンタは……」
「マスターマカロフ」
そこへ現れたのはファントムと抗争を繰り広げた
「先日、ジュビアがウチのギルドに入ってのう」
「何だと!?」
「ジュビアが
「いや、お前さんたち3人の事もずいぶん心配しておったぞ」
「何考えてんだあの雨女!!」
かつて同じギルドに所属していたジュビアが、よりによって
「自ら闇に堕ちる事はない。どうじゃね、ウチのギルドへ来んか」
「ホントか!?」
「ああ、お前さんたちさえよければな」
「ちょうどいいじぇねえかガジル!! 入れてもらおうぜ!!」
「冗談じゃねえ!!! 本気で言ってんのかテメェ!!!!」
マカロフの誘いに乗り気なアギトに対して、ガジルは反発するようにそう言い放つ。
「世の中には孤独を好む者もおる。しかし孤独に耐えられるものは1人もおらん」
マカロフのその言葉に、ガジルは言葉を失う。
「……ガジルは孤独じゃない。私がいる」
「心の問題じゃよ。で、どうする?」
「オ…オレはアンタのギルドを壊したんだぞ」
「そんな事はもうえーわい。トドメさしたのはナツじゃし」
「アンタの仲間を…キズつけた」
「それは、たとえどんな事があろうと許さん」
その言葉と同時に放たれるマカロフの威圧感に、ガジルだけでなくルーテシアとアギトも畏怖する。
「だが……闇に堕ちようとする若者を放っておいたとなれば、ワシは自分をもっと許せなくなる」
そう言って、マカロフはガジルに向かって手を差し伸べる。
「これは〝救い〟ではない。明日へのただの
差し出されたその手を愕然とした表情で見据えるガジル。
そしてゆっくりと手を伸ばし……
その手をしっかりと……掴んだのであった。
◇◆◇◆◇◆◇
「オレは…」
「な…なんてパワーだ!!?」
「
力強くそう叫ぶと同時に……ガジルはヨマズの刀をへし折った。
「拙者の刀……拙者の魂がぁーーっ!!!」
刀の折られた音に愕然としながらショックを受けるヨマズ。
「滅竜奥義」
そんなヨマズに対してガジルは頭上で両手を合わせると、それを巨大な鋼鉄の剣へと変化させる。
そしてそのままヨマズへと向かって……
「
振り下ろしたのであった。
つづく
今回登場したオリキャラのエスターテとインヴェルノの名前はそれぞれ、イタリア語で『夏』と『冬』という意味です。