X736年……今から48年前の
「オ…オレが三代目の、
「小僧にならできる」
「小僧言うな!! もう40だっての!!」
「お前は仲間を愛し…信じる事のできる人間だ。きっといいギルドにしていける」
第144話
『魔道の真髄』
天狼島へと襲来した
「ここから先へは行かせんぞ。フヌウ!!!」
ドゴォ!!!!
マカロフはその巨大化した拳を、魔導艇に叩き込む。
「!」
「ぐお!」
「ウーウェ」
「右舷大破!!」
「強化装甲がいとも簡単に」
「なんて事だ」
船が破壊された事で、内部にいたギルドメンバーたちに動揺が走る。そしてマカロフは、続けてもう1発叩き込もうと拳を振りかぶる。
「速度を上げろ!!」
しかしそれは残った左舷の機動力により間一髪で回避されてしまう。
「魔導集束砲ジュピター、撃てーい!!!!」
するとグリモアの魔導艇に備えられた砲台から、魔力による砲撃が発射される。
その砲撃を…なんとマカロフは左腕一本でガードする。
「ほう」
それを見たハデスは小さく感心の声を上げる。
「かあっ!!!」
そしてジュピターを受けきったマカロフは、思いっきり右足を振り上げて、魔導艇を粉々に大破させる。
「船が…何て奴だ!!! これがマカロフ!!!」
「ウルティア」
「はっ」
船が壊されたにも関わらず、ハデスは冷静にウルティアに指示を出し、それを受け取ったウルティアは自身の魔法を発動させる。
「時のアーク〝レストア〟」
その瞬間…大破したハズの船が、まるで時が遡ったかのように一瞬で元に戻ってしまった。
「カプリコ、全員をあの島へ連れて行け」
「ハデス様は?」
「私はマカロフを片付けよう」
「了解」
ハデスの命令を聞いたカプリコは、勢い良く両手をパンッと叩く。その瞬間、その場にいたハデスとカプリコ以外の全員の姿が消える。
「お気をつけて」
そして残ったカプリコも、魔力で動くハンググライダーを背負って船から飛び立ち、天狼島へと向かって行った。
「どこへ逃げても無駄じゃ。
そう言うと、マカロフは両手に膨大な魔力を集中し始める。
「1つ」
「術者が敵と認識した者全てを討つ超魔法、
「2つ…」
刻一刻と猶予の時間が過ぎる中で、甲板に現れたハデスは、ただただ冷静にそれを見据えていたのであった。
◇◆◇◆◇◆◇
「ウェンディ!! キャロ!! しっかりしろ!!!」
「酷いキズ……!!」
「リリー!! シャルル!! リニス!! アギト!! 何で4人がここにいるんだよう、しっかりしてよ!!!」
その頃…アズマと交戦し、敗れたウェンディたちの下にナツたちが合流し、彼女たちの傷ついた姿を見て驚愕していた。
「くそっ!! 誰にやられたんだ!!」
「ナツ、あれ!」
そう言ってティアナが指差す先には、同じく傷つき倒れているメストの姿があった。
「お前か? オイイ!! コノヤロウ!!」
そんなメストの胸倉を掴んで起こし上げ、怒りの表情で睨むナツ。
「(記憶操作の魔法が解けたか…)」
〝記憶操作〟とは、他人の記憶に自分の存在を追加させる魔法である。しかし、その魔法を人に見抜かれた時点で解除されてしまうのだ。
「ダメですよナツさん…」
「その人は評議院の人です」
「いいコートだね…」
気がついたウェンディとキャロの言葉に、ナツはすぐに手のひらを返して彼の服装を正す。
「……て!! 評議院が敵なのかーーー!!?」
「あいやーーーー!!!」
「バカ。もしこの人が敵だったら、ここで傷ついて倒れてる訳がないじゃない」
「その通りよ」
ティアナの言葉に同意するように、気がついたシャルルがそう言う。そして同じく気がついたアギトとリニスが口を開く。
「いつつ……敵は
「闇ギルドです」
「グリモアハート?」
「闇の三大組織、バラム同盟の一角じゃないか!!」
「どうしてそんなギルドがこの島に!!?」
2人の言葉を聞いて、ナツは疑問符を浮かべ、ティアナとハッピーは驚愕する。すると、倒れていたリリーが空を見て何かに気がつく。
「あれは何だ?」
その場にいた一同はそんなリリーの視線を追って空を見上げる。
するとそこには、魔力式のハンググライダーで飛び回りながら、島中に何やら小さな球体をバラ撒いているカプリコの姿があった。しかもその球体の中には、武器を持った人間が内蔵されている。
そしてその球体は、島のあちこちにいる
当然、ナツたちとは違う場所にいるグレイチームとカナチームのもとにも球体が落ちてきた。
「何でしょう? アレは……」
エリオの疑問に誰も答えられず、一同は呆然と降ってくるその球体を眺める。そしてその球体の1つがルーシィの眼前で割れると……
ドカッ!!!!
「うおっ!」
「なっ!?」
「ひーっ!」
球体が割れた瞬間に中の入っていた人間が元のサイズに戻り、それと同時に武器を振り下ろしてきた。そして落ちてきた球体の中から、次々と武器を持った人間が現れる。
「空から人が……!?」
「天気予報見とくんだった」
「いや…さすがにこれは予測できないよ」
「敵……」
「って……ちょっと待ってください……まさか」
「あれが全部敵なのか!!!?」
未だに空から降り続けている球体が全部敵が入っているモノだと理解したグレイたちは驚愕する。
そしてそれは、他の面々がいる場所でも起きていた。
「ミラ姉、スバル」
「うん」
「わかってる」
ミラジェーンとリサーナとスバルがいるベースキャンプ。
「うう……もう来たんだ…」
「とにかく今は、隠れてやり過ごす方が先決」
傷ついたガジルを運んでいるレビィとルーテシア。
「シャマル!! さっさと片付けてはやて達と合流すんぞ!!!」
「ええっ!!」
ベースキャンプから離れ、はやて達を探して森を走っていたヴィータとシャマル。
「漢たる者、侵略者は許さん!!」
「めんどくさいわ……両方とも」
「文句は後にしろ。来るぞ」
そう言って敵と対峙するエルフマン、エバーグリーン、ザフィーラの3人。
「少し数が多いか?」
「少しどころではないぞ、将。これはさすがに骨が折れそうだ」
「せやけど、私らの聖地に無断で踏み入ったアホどもには相応の罰を与えなアカンな」
険しい顔付きで敵の群生を見据えるはやて、シグナム、リインフォース。
「なんという数だ」
「これが全部敵だなんてね」
「まだ空から落ちてきます」
3人で背中合わせになって敵と対峙するエルザとなのはとジュビア。
そしてその振ってきた敵の中には……
「やれやれ……騒々しい連中が到着したかね」
「ヒャッホーーー!」
「捧げよ、妖精の
「任務開始」
「ウ……ウーウェ」
「やっと会えるのね…ゼレフ…」
「さあ……始めよう」
「妖精の島にオレ参上!! なんてなっ」
「天狼島への上陸を確認。これより敵、及び目標の捜索を開始します」
「行こう、ディード」
「ええ…オットー」
そして……
「……ゼレフ」
「わかってるよ、ユーリ。また争いが…始まるのか」
ゼレフとユーリ……この2人も、これから起こる戦いを予感していたのであった。
◇◆◇◆◇◆◇
場所は戻り、天狼島海上……そこではマカロフが与えた猶予が終わろうとしていた。
「……3つ。そこまで」
魔力を両手をパンッと叩き合わせ、その魔力を解放する。
「
「やめておけ」
そして魔法を発動させようとした瞬間、ハデスの声が聞こえ、マカロフはそちらへと視線を向ける。
「
そこには……マカロフと同じように両手に膨大な黒い魔力を集中させたハデスの姿があり、それを見たマカロフは驚愕する。
「この魔法は抑止力だ、無闇に解き放ってはならん。それでも互いに引かぬというのなら、それは双方にとって最悪の結末となるぞ」
それを聞いたマカロフは両手の魔力を霧散させると同時に、信じられないようなモノを見る顔付きへと変わる。
「そ…そんな…まさか……」
そんなマカロフの脳裏を横切るのは……自分が先代マスターから三代目ギルドマスターに任命された日の光景。
『私は旅に出る……いいギルドにしなさい』
『待ってくれマスター!!』
『マスター? マスターはお前だ、マカロフ』
その光景に出てきた先代マスターと、目の前に存在するハデスの顔が……重なった。
「久しいな、小僧」
「マスター……プレヒト……」
「なぜ…あなたが……」
震える声でそう問い掛けるマカロフ。しかしハデスはその問いには答えず、代わりに手から2本の魔力の鎖を出現させ、マカロフの体を掴む。
「ぐあっ!」
そのまま思いっきり引っ張られ、マカロフの巨大化した体が宙に浮き、島の地面に叩き付けられる。
そしてマカロフは巨大化を解き、元のサイズに戻って島に着地すると同時に聖十の紋章が刻まれたコートをその身に纏い、目の前に降り立ったハデスを睨みつける。
「なぜあなたが、闇ギルドに」
「表と裏とは何だろうな、マカロフ。この世は善と悪では計れぬものばかりぞ」
「善でも悪でも、
「はっはっは、言うようになったな、あの小僧が」
「小僧はよせやい。もうあんたは
「私もね……僅かながら心が痛むよ。
「ギルドはやらせんぞ!!!!」
「私にたてつくつもりか、小僧」
そんな言い争いのあと、マカロフとハデスは印を結び、お互いに魔法陣を展開するが、ハデスの魔法陣の方が数が多い。
「(天照二十八式魔法陣!!? この一瞬で!!?)」
「私には勝てんよ」
ドゴォオッ!!!!
その瞬間、ハデスの魔法陣から放たれた爆発がマカロフを包み込む。
「ぬぅぅ…はぁ!!!」
それをマカロフは自身の魔力で払い除ける。
「ふん」
「ぐほぉ!」
しかしその瞬間、再びハデスから放たれた2本の魔力の鎖がマカロフの体を捕まえる。そしてそのままマカロフの体を振り回し、周囲の木々へと叩きつける。
「私は魔法と踊る、自由自在に」
「がはっ!」
そして一際強く岩に体を叩き付けられるマカロフ。
「くぅぅ」
それでも負けじと立ち上がるマカロフだが……
「な…何じゃこれは…!!?」
そんなマカロフの周囲を、先ほどよりも多くの魔法陣が取り囲んでいた。
「最大防御魔法陣・三柱神!!!!」
「天照百式」
そして……
ドッゴォォォォォォオオオオオ!!!!!
天狼島全体を揺るがすほどの大爆発が巻き起こったのであった。
「フゥー、フゥー、フゥー」
直前に防御魔法陣を張っていたお陰か、無傷とは言わないが耐え切ったマカロフ。
「さすがは私の見込んだ男。48年もギルドを支えてきただけの事はある」
「うぐ……あ……」
そんなマカロフに賞賛の言葉を送るハデスだが、当のマカロフは突然苦しそうに胸を押さえ始める。
「ん? どこか悪いのか? マカロフ」
「ハア、ハア、ハア」
発作による苦しみに耐えながらも、マカロフはハデスを睨みつける。
「互いに老いたな…」
「うぐ……」
「違う道を歩いてきた者が交わる接点……
「ハア…ハア…あ…あなたは立派なマスターだった……ワシ等に〝和〟を説き…正しき道へと導いた。一体…何があったというのじゃ」
ドッ!!!
「ぐああっ!」
そう問い掛けた瞬間、マカロフは地面に叩き伏せられる。
「かつて〝魔法〟は闇の中で生まれた。その力は虐げられ、恐れられてきた。やがて〝魔法〟は日常化し、人々の文化とも言える時代になった…だが〝魔法〟の根源をたどり、ゼレフに行き着いた時……私は見た。魔道の真髄というものを」
そう語りながら、倒れるマカロフに背を向けるハデス。
「眠れ…
そしてそのままハデスは歩き去ろうとする。
だがその瞬間……最後の力を振り絞り起き上がったマカロフが、ハデスを行かせまいとして襲い掛かる。
しかしその行動も虚しく……ハデスの放った魔法が、マカロフの体を貫いたのであった。
「(まだ……終われぬ……届け……ワシの跡を継ぐ者よ……)」
そんな想いと共に……マカロフは敗れ去ったのであった。
「何だ、この胸騒ぎは」
だがマカロフの最後の想いは……彼の血を継ぐ者に確かに届いたのであった。
つづく