LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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原作の対戦カードの変更は中々大変でしたが、楽しく書けました。

感想お待ちしております。


堕ちていく妖精

 

 

 

 

 

 

悪魔の心臓(グリモアハート)の煉獄の七眷属の1人であり、炎の滅神魔導士(ゴッドスレイヤー)のザンクロウと交戦したナツ。

 

ザンクロウの操る神の炎に苦戦を強いられるが、最後は自らが喰らった神の炎と自身の竜の炎を合わせるという荒業によってザンクロウを撃破したのであった。

 

そして激闘の末に勝利したナツは、ボロボロの姿で満身創痍になりながらも、自信の背後でティアナに支えられているマカロフに向かって口を開いた。

 

 

「じっちゃん、戦おう。引かなきゃいけない時もあるってのはわかるよ、ギルダーツが教えてくれたんだ。

 

だけど今はその時じゃねえ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)を敵にした奴等に、思い知らせてやるんだ。

 

全身全霊をかけた、ギルドの力を!!!!」

 

 

力強くそう言って、鼓舞するように片手の拳を高々と掲げるナツ。

 

 

「戦おう…じっちゃ……」

 

 

「ナツ…!」

 

 

「ナツ!!」

 

 

そこまで言うと、ナツはその場でドサリと音を立てて倒れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第146話

『堕ちていく妖精』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォオオオン!!!!

 

 

「ぐぁああ!!」

 

 

「リインフォース!!」

 

 

その頃、森で煉獄の七眷属の1人…アズマと出会ってしまったシグナムとリインフォースは、彼の爆発魔法により苦戦を強いられていた。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

「くっ…あぁ、平気だ。だが将…コイツは強いぞ」

 

 

「……そのようだな」

 

 

先程の爆発でキズを負ったリインフォースを気にかけながら、アズマを睨むシグナム。

 

 

「子供や女ばかりではまるで力が出せんね」

 

 

そしてアズマが肩を竦めながらそう言い放った言葉に、2人はピクリと反応した。

 

 

「ネコと子供……まさか、ウェンディやハッピーの事か?」

 

 

「貴様……我らの仲間に何をした!?」

 

 

「知らずともよい事だと思うがね。君達もここで私に倒されるのだから」

 

 

「やれるものなら…やってみろォ!!!」

 

 

すると、レヴァンティンを構えたシグナムがアズマへと向かって駆け出す。それに対してアズマは彼女に向かって手をかざす。

 

 

「ブレビー」

 

 

ドゴォォオオオン!!!

 

 

「将!!!」

 

 

その瞬間シグナムの周囲が爆発し、彼女の体が爆炎に包まれる。だがしかし……

 

 

「ナメるなぁーーーっ!!!!」

 

 

舞い上がる爆炎を斬り裂き、雄叫びを上げながら現れるシグナム。

 

 

「なに!!?」

 

 

そんなシグナムの行動に驚愕しながらも、アズマは彼女が横薙ぎに振るうレヴァンティンの一振りを後ろに飛んで回避する。

 

 

「……驚いたね、まさか爆炎を斬り裂くとは……」

 

 

そう語るアズマの頬には、一筋の赤い線が刻まれていた。

 

 

「我が愛剣…レヴァンティンは炎を司る魔剣だ。爆炎を斬る事など造作もない」

 

 

「炎の魔剣士……なるほどね。お前があの〝烈火の将〟シグナムか」

 

 

そう言うと、アズマの表情が僅かに緩む。

 

 

「お前となら、楽しい戦いが出来そうだね」

 

 

「奇遇だな……私もそう思っていたところだ」

 

 

それに対してシグナムも、好戦的な笑みを浮かべていた。

 

 

「「……………」」

 

 

両者は静かに睨み合いながら、ジリジリと互いの距離を測る。そして……

 

 

「ハァッ!!!」

 

 

最初に動き出したのは、レヴァンティンを構えたシグナムであった。

 

彼女が力強く振るったレヴァンティンの一太刀を、アズマは体を屈ませて回避する。

 

そしてアズマが手をかざすと、彼の足元から樹木が触手のように伸び、シグナムの足首を掴む。

 

 

「!!」

 

 

「フン!」

 

 

「くっ!!」

 

 

そのまま勢いよく投げ飛ばされるシグナムだが、すぐに空中で態勢を建て直し、飛ばされた先にあった大木に足をつけ、そのまま勢いよく蹴り出して再びアズマへと向かう。

 

 

「紫電一閃!!!!」

 

 

そして刀身に炎を纏ったレヴァンティンを構えながら一気にアズマへと接近し、そのまま横一線に剣を振るった。

 

 

「甘いね」

 

 

ドゴォォオオオ!!!

 

 

「なにっ!!?」

 

 

だがその爆炎と共に放たれた一太刀を、アズマは地面から地面から出現させた何本もの樹木でガードしていた。

 

 

「どうした烈火の将? この程度ではまだまだ本気は出せんがね」

 

 

「くっ……」

 

 

「ブレビー」

 

 

ドガァァアアアアン!!!

 

 

「ぐあああっ!!!」

 

 

「将ッ!!!」

 

 

表情を歪めるシグナムに対してアズマは再び手をかざして爆発を起こし、彼女の体を吹き飛ばす。しかし……

 

 

シュルルルッ

 

 

「!!?」

 

 

その瞬間、アズマの体にレヴァンティンから伸びた連結刃が巻き付いた。

 

 

「これは……!?」

 

 

「お返しだ」

 

 

そのまま連結刃を鞭のように振るい、アズマの体を持ち上げて空中へと投げ出す。そして……

 

 

「飛竜一閃!!!!」

 

 

「ぐほぉ!!」

 

 

炎を纏った連結刃による巨大な斬撃がアズマの体を斬る裂いた。そしてそれを喰らったアズマはダメージを受けながらも、態勢を立て直して地面に着地した。

 

 

「やるね烈火の将。やはりお前もオレと同じ人種だったか」

 

 

「?」

 

 

薄く笑みを浮かべながらそう言うアズマに、疑問符を浮かべるシグナム。

 

 

「戦いが全て、ただ強者(つわもの)を求めてきた者。強者との戦いに高揚感を感じる生粋の戦闘狂だね」

 

 

「………フッ」

 

 

アズマの言葉に対し、シグナムは小さく笑みを浮かべた。

 

 

「否定はせん。確かに私は強者との戦いでは胸を躍らせ、この上ない喜びと充実感を感じている。ギルドの仲間たちにもバトルマニアだとよく言われるよ。だが……戦いが全てだとは思っていない」

 

 

まっすぐと、一切の曇りの無い瞳でそう言い放つシグナム。

 

 

「私が戦うのは主と仲間を守る為……その皆が平穏で過ごせるのならば、戦いなどいらぬさ」

 

 

そんなシグナムの言葉に、目を丸くするアズマ。

 

 

「そして我らの仲間に手をかけた貴様には……楽しむ余裕すら与えん」

 

 

そう言うと、シグナムは自分の隣りに立つリインフォースに視線を向ける。

 

 

「リインフォース、ユニゾンだ」

 

 

「なに? しかし……」

 

 

「悔しいが、今の私の実力ではコイツには勝てん。しかしだからと言って、ここで尻尾を巻いて逃げ出せば他の仲間に危害がいく。コイツはここで倒さねばならんのだ!!」

 

 

「将……わかった」

 

 

シグナムの強い覚悟を孕んだ言葉に、リインフォースは頷いた。

 

 

「だが私と将のユニゾンの相性はあまり良くない。時間は限られるぞ」

 

 

「承知の上だ」

 

 

そして2人は頷き合うと、お互いの手を重ねあう。そして……

 

 

「「ユニゾン・イン!!!!」」

 

 

キーワードとなる言葉と同時に、2人の体が眩い光に包まれる。

 

 

「ムッ……これは〝融合(ユニゾン)〟……まさか融合(ユニゾン)魔導士がいたとはね」

 

 

片手で顔を覆いながら、多少驚愕したように呟くアズマ。

 

 

そして光が消えると……そこにはリインフォースと融合して服が黒生地に紫のラインが入ったものになり、瞳が薄紫、髪も薄いピンクとなったシグナムが佇んでいた。

 

 

《将、わかっているとは思うが長引けば不利になる。この状態は持って3分が限界だぞ》

 

 

「十分だ」

 

 

頭に直接響いてくるリインフォースの声にそう答えると、シグナムはレヴァンティンを構え、目の前のアズマを睨む。

 

 

「面白いね。さあ、存分に楽しもう」

 

 

そう言うとアズマの足元からいくつもの樹木が触手のように伸び、その鋭く尖った切っ先を向けてシグナムへと向かっていく。

 

 

氷炎(ひょうえん)

 

 

それに対しシグナムは、レヴァンティンの刀身に冷たく燃える蒼い炎を灯らせる。

 

 

「煌竜!!!」

 

 

そして蒼炎を纏ったレヴァンティンの連結刃が繰り出す一撃が、向かってきた樹木を全て薙ぎ払った。

 

 

「ハァァアアッ!!!」

 

 

そのまま元の形態に戻ったレヴァンティンを構え、アズマに向かって駆け出していくシグナム。

 

 

葉の剣(フォリウムシーカ)!!!」

 

 

そんなシグナムに対して、アズマは無数の木の葉を手裏剣のように放つ。

 

 

「陣風!!!!」

 

 

それに対しシグナムはレヴァンティンを力強く振るい、その際に発生させた衝撃波で木の葉を全て吹き飛ばした。

 

 

「セェイッ!!!」

 

 

「ぬぐっ!!」

 

 

そしてアズマに一気に接近し、彼の体に斬撃を入れるが、アズマは苦痛よりも歓喜の表情を浮かべていた。

 

 

「これだ…!! この感覚……最高だね!!」

 

 

ギュルルルル!!

 

 

「!?」

 

 

アズマはそう言って手をかざし、シグナムの両手足を樹木で拘束する。

 

 

「チェインバースト!!!!」

 

 

「ぐあああっ!!」

 

 

さらにその状態から樹木を爆発させ、シグナムの体を吹き飛ばす。

 

 

「くっ……!!」

 

 

それでもシグナムは負けじと空中で態勢を整え、地面に着地すると同時にアズマへと斬りかかる。それに対してアズマも、接近戦で応戦する。

 

 

ドガガガガガガガガッ!!!

 

 

ぶつかり合うシグナムの斬撃とアズマの打撃。両者ともに相手の攻撃を防ぎ、喰らいながらも攻撃の手を休めない。

 

 

「強い!! やはり強い!!! これほどの高揚感は久しぶりだね!!!」

 

 

《マズイぞ将!!! もう残り時間が少ない!!!》

 

 

「わかっている!!!」

 

 

楽しげな笑みを浮かべているアズマとは対照的に、ユニゾンの残り時間が迫り、切羽詰るような表情を浮かべるシグナム。

 

 

「何をおしゃべりしてるかね!!!」

 

 

「くぁっ!!」

 

 

するとそのスキをアズマに突かれ、地面から出現した樹木により空中に打ち上げられるシグナム。

 

 

「バーストクロウ!!!」

 

 

「ぐうううっ!!!」

 

 

さらに追い討ちをかけるように、樹木による一撃が叩き込まれる。

 

 

「(こいつ…本当に強い……融合時間もあと僅か……これで決めるしかないっ!!!)」

 

 

内心でそう決意すると、シグナムはレヴァンティンを構えなおす。

 

 

「リインフォース!!! これで決めるぞ!!!!」

 

 

《ああっ!!!》

 

 

「《オオオオオオオオオオッ!!!!》」

 

 

そしてシグナムと、彼女と融合しているリインフォースが雄叫びを上げると、シグナムの体から膨大な魔力が溢れ出す。

 

そしてその魔力は蒼炎となって、レヴァンティンの刀身に纏われていく。

 

 

「閃刃!!!」

《氷華!!!》

 

 

そしてシグナムはアズマに向かって駆け出し、蒼く燃え盛るレヴァンティンを振りかぶり……

 

 

 

「《白竜一閃!!!!!》」

 

 

 

アズマに向かって強力な蒼炎の斬撃を放ったのだった。

 

 

ドガァァアアアアアアアン!!!!

 

 

その瞬間……轟音と蒼い爆炎がその場を支配する。

 

 

「ハァー…ハァー…ハァー……」

 

 

苦しげに息を乱しながら立ち込める煙幕を見据えるシグナム。

 

 

だがその煙幕が晴れた先に……アズマの姿はなかった。

 

 

「!!?……いない……だと!!?」

 

 

アズマの姿が消えた事に驚愕し、シグナムはすぐに周囲を見回すが、やはりアズマの姿は見えない。すると……

 

 

《将!!! 下だっ!!!》

 

 

「!!?」

 

 

ボゴォォオ!!!

 

 

シグナムの足元から樹木が出現し、そのまま彼女の体を拘束してしまう。

 

 

「惜しかったね。一瞬地面に逃げ遅れていたら危なかった」

 

 

するとシグナムを拘束している樹木から、まるで生えてくるようにアズマが姿を現す。

 

 

「ぐっ……」

 

 

キィイイン!!!

 

 

シグナムが悔しそうに表情を歪めると、彼女の体から融合を解除したリインフォースが飛び出してくる。

 

 

「ハァァア!!!」

 

 

「フン」

 

 

そしてそのままアズマに向かって拳を振るうが、その攻撃はパシッと片手で軽々と受け止められてしまう。

 

 

「くっ……!!!」

 

 

「これで終わりだね」

 

 

アズマがそう言い放った次の瞬間……

 

 

 

「タワーバースト!!!!!」

 

 

 

「「ぐあぁぁああああああああっ!!!!!」」

 

 

アズマを中心に凄まじい大爆発が巻き起こり、巨大な爆炎と炎の塔が、シグナムとリインフォースを飲み込んだのであった。

 

 

そして爆炎が止むと、そこにはシグナムとリインフォースがボロボロの姿で力無く倒れている姿があった。

 

 

「久々に楽しかったね。礼を言うよ、烈火の将と祝福の風」

 

 

そんな2人の姿を確認したアズマは、そう言い残してその場を去って行ったのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃…ベースキャンプ。

 

 

ドゴォオオオン!!!

 

 

「うあっ!」

 

 

「きゃあっ!」

 

 

「ぐうっ!」

 

 

鳴り響く轟音と爆発により、吹き飛ばされるリサーナ…ミラジェーン…スバルの3人。

 

そんな3人の目の前には、ボーイッシュな髪形と気だるそうな顔が印象的な少女…ナンバーズのオットーが立っていた。

 

 

「たった3人でよく戦った。だけどもう終わり。僕のIS『レイストーム』の前では、抵抗は無意味だ」

 

 

そう言いながら、オットーは手のひらに緑色の球体を生成する。

 

 

「ミラ姉!! サタンソウルを!!」

 

 

「……そう何度も使える魔法じゃないのよ」

 

 

リサーナの言葉に対し、そう答えるミラジェーン。どうやら先の試験の際にサタンソウルを使ったのが響き、魔力が残り少ないようである。

 

 

「IS発動『レイストーム』」

 

 

ドガァァアアアン!!!

 

 

「「きゃああああああっ!!」」

 

 

オットーが放った緑色の光は5条の光線となってリサーナとミラジェーンに襲いかかる。

 

 

「こんのぉぉおおお!!!!」

 

 

すると、いつの間にか背後に回っていたスバルがオットーに向かってリボルバーナックルを装着した拳を振るおうとする。しかし……

 

 

「ディード」

 

 

オットーがそう呟くと同時に、スバルのさらに背後から栗色のストレートヘアの少女…ナンバーズのディードが現れた。

 

 

「IS『ツインブレイズ』」

 

 

そしてディードは赤い刃の双剣でスバルの背中を斬り付けた。

 

 

「があっ……!!!」

 

 

「フンッ」

 

 

ボゴォオッ!!!

 

 

「うあぁぁああああああああっ!!!」

 

 

斬られたスバルはさらに追い討ちをかけるようにディードに腹部を蹴られ、そのまま勢い良く森の奥へと吹き飛ばされてしまった。

 

 

「あぁっ!」

 

 

「スバル!!」

 

 

森の中へと消えていったスバルを見て、悲痛な声を上げるストラウス姉妹。

 

 

「(敵は2人…逃げられそうにない……だったら……)」

 

 

すると……ミラジェーンは最後の魔力を振り絞ってサタンソウルを発動させる。

 

 

「「!!?」」

 

 

ミラジェーンの悪魔のような姿を見て、僅かに目を見開くオットーとディード。

 

 

「(魔力が…もちそうもないけど…やるしかない!!!!)」

 

 

ドゴッ!! ドガッ!!

 

 

「がっ…!!」

 

 

「くっ…!!」

 

 

そして一瞬でオットーとディードに接近し、2人にそれぞれ打撃を叩き込むミラジェーン。

 

 

「ハァッ!!」

 

 

しかしすぐに立て直して双剣を振るってくるディードの攻撃を、ミラジェーンは腕でガードする。

 

 

ドガガガガガガガッ!!!

 

 

そこからミラジェーンとディードによる激しい攻防戦が始まる。ミラジェーンの拳とディードの双剣……両者の攻撃が幾度と無くぶつかり合い、火花を散らす。

 

 

バキィ!

 

 

「ぐあっ!」

 

 

すると、ミラジェーンの拳がディードの頬に直撃し、彼女は地面に倒れる。

 

 

「もらった!!!」

 

 

そんなディードに追い討ちをかけようとするミラジェーン。だがその時……

 

 

「ストップ」

 

 

「!!」

 

 

背後から聞こえてきたオットーの声により、その攻撃は止まった。そしてゆっくりと顔をオットーの方に振り向かせるとそこには……

 

 

「ミラ姉……!!」

 

 

「リサーナ!!?」

 

 

オットーの緑色の光線がバインドのように巻き付き、拘束されているリサーナの姿があった。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のS級魔導士…魔人ミラジェーン。確かに強いけど、すでに対策は出来ている。君の弱点は兄妹愛……こうやって妹の方を捕まえてしまえば、もう手出しはできない」

 

 

「卑怯者!!!」

 

 

「何とでも言えばいい。僕たちはドクターの任務の為なら何だってする」

 

 

ミラジェーンの罵倒に対し、無表情で淡々とそう述べるオットー。

 

 

「因みにこの拘束は、遠隔操作で爆破する事もできる」

 

 

「きゃっ!!」

 

 

「リサーナ!!!」

 

 

そう言ってオットーは拘束したままのリサーナをその場に投げ捨て、ディードのもとへと歩く。そしてサタンソウルを解除し、リサーナのもとへ駆け寄るミラジェーン。

 

 

「これで終わり…『レイストーム』」

 

 

そんな2人に向かって手を翳し、手のひらに緑色の光を集束するオットー。

 

 

「ごめん…」

 

 

「え?」

 

 

拘束されたリサーナの体を抱きしめながら謝罪の言葉を口にするミラジェーン。

 

 

「くやしいけど、この状況であいつらを倒すのは私には無理だわ」

 

 

「ミラ姉」

 

 

「でも私は信じる。アイツらを倒せる人がギルドに必ずいるって信じる」

 

 

「なに…言ってんのよ、ミラ姉…」

 

 

「だからお姉ちゃんは降参しちゃうけど……心配しなくていいわ、リサーナ」

 

 

そして……オットーの手から5条の光線が放たれた。

 

 

「あなただけは二度と死なせない」

 

 

「ミラ姉ーーーーー!!!!」

 

 

ドゴォォォオオオオオオオッ!!!!

 

 

そのまま光線は2人を飲み込み……大爆発を起こしたのだった。

 

 

「まずは3人……排除完了」

 

 

「これより探索を再開する」

 

 

それを見たオットーとディードは、そのまま踵を翻して歩き去っていったのであった。

 

 

そして2人が去ったあとその場に残ったのはリサーナと……彼女の体を守るように抱きしめ、意識を失っているミラジェーンであった。

 

 

「ミラ姉…やだよ…ねえ…起きて…ミラ姉……」

 

 

そんなリサーナの声が…虚しくその場に響いたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「くっ…コイツ……!!!」

 

 

「強い…わね……!!!」

 

 

その頃…森で無限の欲望(アンリミテッドデザイア)のチーム・シーズンの1人……冬季のインヴェルノと交戦をしていたヴィータとシャマルは劣勢に陥っていた。

 

 

「どうした紅の鉄騎、お前の力はそんなものか?」

 

 

「んな訳ねェだろ!!!」

 

 

深く被ったフードで顔は見えないが、インヴェルノの挑発的な言葉にヴィータはすぐさまグラーフアイゼンを構える。

 

 

「テートリヒ・シュラーク!!!」

 

 

「フン」

 

 

そしてヴィータが振るったグラーフアイゼンによる強烈な一撃を、インヴェルノは片腕でガードする。

 

 

「コイツ…またアタシのアイゼンを片手で…!! なんつー頑丈な体してやがる……」

 

 

「忘れたのか? 我ら無限の欲望(アンリミテッドデザイア)のメンバーのほとんどは戦闘機人で構成されている事を。オレも例外ではない!!!」

 

 

「うおっ!!?」

 

 

そう言うとインヴェルノはグラーフアイゼンを押し返し、必然的にヴィータの体も押し返す。

 

 

「吹雪」

 

 

そしてそんなヴィータに向かって手をかざし、その手から氷と突風が入り混じった攻撃が放たれる。

 

 

「くっ…!!」

 

 

その攻撃を見て、ヴィータが自己防衛の為に身構えたその時……

 

 

「風の護盾(ごじゅん)!!!」

 

 

「!!?」

 

 

いつの間にかヴィータとインヴェルノの間に割って入ってきたシャマルが、風の盾でその攻撃を防御した。

 

 

「私がいる事も忘れないでくださいね!!!」

 

 

そう言うとシャマルは自身の指に嵌めたクラールヴィントを輝かせる。

 

 

「逆巻いて!!! 風の足枷!!!」

 

 

そして同時に、インヴェルノの周囲に小規模の竜巻を複数発生させて取り囲む。

 

 

「チッ」

 

 

それを見たインヴェルノは高く跳躍して、唯一の逃げ道である空中へと飛び上がる。

 

 

「今よヴィータちゃん!!!」

 

 

「おっしゃあっ!!! アイゼン、ラケーテンフォルム!!!」

 

 

するとヴィータのグラーフアイゼンのハンマー部分の形状がロケットのような形状に変わる。そしてそのロケットの噴射口から魔力が噴出され、その推進力で空中のインヴェルノへと向かって飛んでいく。

 

 

「ラケーテン・ハンマー!!!!」

 

 

そしてそのまま、ロケットによる推進力が上乗せされた強烈な一撃をインヴェルノへと放った。

 

 

「くっ…ぐあああっ!!!」

 

 

先ほどと同じようにガードを試みたインヴェルノだが、空中ではふんばりが効かない為、そのまま地面に叩き落されて地面に激突する。

 

 

「くそっ」

 

 

しかしすぐに起き上がり、2人から少し距離を取る。

 

 

「結構思いっきりやったのに、やっぱ頑丈だな」

 

 

「でも、効いてない訳じゃないわ」

 

 

そう言って目の前のインヴェルノを見据えるヴィータとシャマル。

 

 

「んじゃ、もっと強烈なモンをブチ込んでやっか。シャマル、サポートは頼むぜ」

 

 

「任せといて」

 

 

ヴィータの言葉にシャマルが頷くと、その瞬間ヴィータは自身の手に魔力の球体を作り出し……

 

 

「アイゼンゲホイル!!!!」

 

 

ドゴォォォオオオオン!!!

 

 

「!!?」

 

 

それを思いっきりグラーフアイゼンで叩くと、その瞬間周囲が眩い閃光と轟音で包まれる。

 

 

「くっ…目くらましか……!!」

 

 

あまりの眩しさと轟音に、たまらず耳と目を塞ぐインヴェルノ。

 

 

「クラールヴィント!!!」

 

 

「なっ!!?」

 

 

そのスキを狙ってシャマルが、ペンデュラム型となったクラールヴィントの魔力の糸でインヴェルノの体を拘束する。

 

 

「アイゼン!! ギガントフォルム!!!」

 

 

そしてヴィータはグラーフアイゼンの形態を、一回り大きなハンマーへと変形させる。

 

 

「喰らいやがれっ!!! ギガントハンマー!!!!」

 

 

そして視覚と聴覚と身動きを封じられたインヴェルノに向かって、ヴィータは渾身の力でグラーフアイゼンを振り下ろしたのだった。

 

しかし……

 

 

ガシャアァァアアン!!!!

 

 

「えっ!?」

 

 

「なにっ!!?」

 

 

なんとグラーフアイゼンの一撃を喰らったインヴェルノの体は、ガラスのように粉々に砕け散ってしまったのだ。

 

 

「これは……氷!!?」

 

 

「身代わりか!? いつの間に!!?」

 

 

ヴィータが砕いたそれはインヴェルノの氷で造られた身代わりだと分かり、いつの間に入れ替ったのか見抜けなかった事に驚愕するヴィータとシャマル。

 

 

「惜しかったな」

 

 

そんな2人の前に、木の影に隠れていたインヴェルノ本体が姿を現す。

 

 

「目くらましを喰らった時は少々驚いたが、視覚と聴覚は封じれても〝嗅覚〟までは封じれなかったな。お陰で見えず聞こえずの状態でも、どこから攻撃が来るかは容易に想定できた」

 

 

「嗅覚だと……? 訳分かんねー事言ってんじゃねえぞ!!!!」

 

 

インヴェルノの言葉に激昂したヴィータは、彼に向かって再びグラーフアイゼンを振るうが、彼はその一撃をまたもや片手で受け止める。

 

 

「訳が分からないは酷いな。少なくともお前たちは知っているハズだ。何故ならお前たちのギルドには、オレと同じ魔法を使う者が4人もいるのだから」

 

 

「私たちのギルドにいる……同じ魔法を使う4人って……」

 

 

「おい……まさか……!?」

 

 

インヴェルノのその言葉を聞いて僅かに動揺したのか、ヴィータのグラーフアイゼンを持つ力が緩む。

 

 

「フン」

 

 

「うあっ!!」

 

 

「ヴィータちゃん!!!」

 

 

そこを見逃さず、インヴェルノはヴィータを押し返し、シャマルのもとまで吹き飛ばす。

 

 

「これ以上この戦闘に時間は掛けられん。最後に……オレの魔法を見るがいい」

 

 

ビュォォオオオオオ!!!!

 

 

インヴェルノがそう言い放った瞬間、突然彼の体を中心に、冷たい吹雪が吹き荒れる。

 

 

そして……インヴェルノはその吹雪を吸い込むように自身の口の中へと集束させる。

 

 

「おい…ウソだろ……?」

 

 

「これって……!!」

 

 

その見覚えのある行動にヴィータとシャマルは驚愕し目を見開く。

 

そして……

 

 

 

 

 

「氷竜の咆哮ッ!!!!!!」

 

 

 

 

 

インヴェルノの口から……吹き荒ぶ吹雪のような竜のブレスが放たれたのだった。

 

 

「ぐあぁああーーー!!!!」

 

 

「きゃあぁぁあーーー!!!!」

 

 

そのブレスを喰らったヴィータとシャマルは吹き飛ばされ、ボロボロの姿で地面に叩きつけられたのであった。

 

 

「う…ぐっ……体が……」

 

 

「動か……ね…え……」

 

 

何とか起き上がろうと試みる2人だが、その意思に反して2人の体はピクリとも動かなかった。

 

 

「無駄だ、氷竜の息吹は全てを凍てつかせる。その冷え切った体では指一本動かせまい」

 

 

倒れているヴィータとシャマルにそう言い放つインヴェルノ。すると……先ほどのブレスで起きた衝撃のせいか、彼が被っていたフードがパサリと音を立てて外れる。

 

 

「な…に……!!?」

 

 

「ウソ……!!?」

 

 

そんなインヴェルノの顔を見たヴィータとシャマルは、驚愕で大きく目を見開く。

 

 

「テ…メェ……その…顔は……」

 

 

「……今のお前たちに答える義理はないな」

 

 

そう言いながら、再びフードを被り直して顔を隠すインヴェルノ。そしてさらに、片手に冷たい吹雪のような風を纏い始める。

 

 

「お前たちはもう……眠れ」

 

 

そしてそのまま、吹雪を纏った腕を高々と振り上げ……

 

 

「ゴ…メン……はやて」

 

 

そう謝罪の事を口にするヴィータへと──振り下ろしたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方……森の中を1人歩いている煉獄の七眷属の1人……時魔導士のウルティア。

 

 

「遠かった…ゼレフまでの道は…私には遠すぎた。だけど今日、やっと私の理想(ゆめ)が叶う。ゼレフが手に入れば…私は救われる」

 

 

1人森の中でそう語るウルティア。すると彼女の背後で、草木がガサッと揺れた。

 

 

「何者!!?」

 

 

ウルティアはその音にすぐさま警戒心を露にして振り返る。

 

 

「僕を探してるの?」

 

 

しかしその現れた人物を見て、ウルティアは驚愕で目を見開く。

 

 

「そうか……君たちが争いの種なんだね…」

 

 

そしてすぐに涙を浮かべ…さらに歓喜の表情を浮かべた。

 

 

「悲しい事だよ……僕を…怒らせるなんて……」

 

 

そんなウルティアの目の前には……彼女が探し求めていたゼレフが、怒りの表情を浮かべて立っていたのであった。

 

 

 

 

 

つづく

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