スバル達を連れ戻しに来たエルザとなのはが新たにメンバーに加わった。
そして同時刻…遺跡内部では……
「情けない…残ったのはお前だけか?」
「おおーん」
リオンは遺跡内の玉座に座りながら、唯一の帰還者であるトビーにそう言った。
「
「オレが自爆ったのはナイショの方向で頼みます」
「……………」
「……ハァ」
トビーの自爆発言にリオンは何も言わず、彼の隣にいたギンガは呆れたように溜め息をついた。すると……
「これではデリオラの復活も危ういかもしれませんな」
「いたのか、ザルティ」
突然どこからか現れた初老の男…ザルティが口を開いた。
「今宵…月の魔力は全て注がれ、デリオラが復活する。しかし
「くだらん…最初からオレかギンガが手を下せばよかっただけのこと」
「おおーん。めんぼくない」
リオンの言葉にトビーが申し訳無さそうな顔をする。
「相手は
「相変わらず情報が早いな。だがオレには勝てん。ウルをも超える氷の刃にはな」
「私も…たとえエルザさんとなのはさんが相手だろうと……デリオラに復讐するまでは負けません」
リオンとギンガがそう言うと、ザルティは感心したような声を出す。
「それはそれは、頼もしい限りですな。では…私めも久しぶりに参戦しますかな」
「お前も戦えたのかよっ!!?」
「はい……〝
「〝
「フン。不気味な奴だ」
聞き慣れない魔法にギンガは首を傾げ、リオンがそう言ったその時……
スゴゴゴゴ…
「「!」」
「地震!?」
突然遺跡全体が揺れ始める。そして……
ズゴォォオオ!!
「こ、これは!?」
「遺跡が崩れ……」
「違う!! 傾いてるのよっ!!」
なんと…突如として遺跡が左側に大きく傾いてしまったのである。
「早速やってくれましたな。ほれ…下にいますぞ」
「何!!?」
「あいつ!!!」
ザルティが崩れた床の下を指差す。そこには……
「普段知らねえうちに壊れてることはよくあっけど、壊そうと思ってやるとけっこう大変なんだな」
「貴様……何のマネだ…」
「建物曲がったろ? これで月の光は地下の悪魔に当たんねーぞ」
建物と傾かせた張本人…ナツが立っていたのだった。
第十五話
『罰』
「何てことをしやがる……
そんなナツをリオンは怒りを込めた目で睨みつける。
「ダメだ!! 何がどうなったのか全然わかんね!!」
「この遺跡を傾かせたのよ」
「遺跡を支える支柱を半分ほど破壊し、傾かせたことで月の光をデリオラまで届かせない作戦でしょう。見かけによらずキレ者でございますな」
「ごちゃごちゃうるせえよ!!」
ザルティが説明を終えたと同時に、ナツの両足に炎が灯る。
「足に炎!!?」
「気をつけて!! ナツ君は体のいたる所からから炎を出す魔導士よ!!」
「かあーーーーっ!!!」
ギンガがリオンに警告すると同時に、足の炎を使ってナツが飛び上がってくる。そしてそのままリオンに直撃する。だが…
ピキピキ…パリィィィン!!
何とリオンの体が粉々に砕け散る。どうやら氷で造った身代わりのようだ。
「こっちだ。空中じゃよけれまい」
そう言ってリオンは氷で造った鳥の大群をナツへと放つ。それに対してナツは上に向かって炎を吹き、それをブースターのように利用して地面に倒れるように避ける。
「残念! よけれるぞ」
そう言って得意げな笑みを浮かべるナツ。すると……
「ハァァア!!」
「っ、ギンガ!!」
リボルバーナックルを装着したギンガがナツに殴りかかる。
「悪ぃが、お前の相手はオレじゃねえんだよ!!」
「なっ…ぐぅぅ!!」
そう言ってナツはギンガの拳を後ろに倒れこむように避けると、そのままサマーソルトキックのようにギンガを蹴り飛ばす。
「まだまだぁ!!」
さらにナツはその体勢のまま両足をリオンに向け、強力な炎を噴き出す。それをリオンはしゃがんで避ける。
「よっ」
しかしナツの行動はまだ終わらず、そのまま逆立ちして炎を噴き出しながらブレイクダンスのように回り始める。
「こんなデタラメな魔法が……くっ」
リオンは咄嗟に飛んで避ける。
「空中じゃ避けられねえんじゃなかったか?」
「!!!」
「火竜の咆哮!!!」
ナツの灼熱のブレスがリオンに向かう。だがその時…傍観していたザルティが手を翳す。その瞬間……
ガラガラガラッ!!
「おおっ!?」
突然のナツがいた床が崩れ、その穴に落ちたナツの炎は上に逸れた。
「ちっ」
「おやおや……運がよかったですなですな零帝様」
「オレがくらってるのはナイショの方向で」
何気にトビーが炎をくらっていたが、全員無視した。
「貴方……何したの?」
すると、先ほどナツに蹴り飛ばされたギンガがザルティに尋ねた。
「はて?」
「とぼけるな……床が崩れ落ちたのは貴様の魔法だろう」
「さずが零帝様にギンガ様、お見通しでしたか。ですがわかってくだされ。デリオラを復活させるまで貴方を失うわけにはいかないのです」
「オレがあんな炎をくらった位で死ぬと?」
ザルティの言葉が癇に障ったのか、リオンは冷たい冷気を放つ。すると、彼を中心に段々と部屋が凍りついていき、巨大な氷の壁に囲まれた。
「出て行け。こいつはオレ一人で片付ける。オレはデリオラを倒せる唯一の魔導士、零帝リオンだ。こんな小僧を消せんようでは名が廃る」
「リオン君…」
唯一氷の壁の中に残ったギンガはリオンの名を呟く。
「デリオラを倒す?」
そしてナツはリオンの言った言葉に疑問を覚える。
「もう半分倒されてるようなモンじゃねーか。わざわざ氷から出してあいつと勝負してーのか? 変わった奴だなお前」
「全てはウルを超えるため……夢の続きを見るためだ!!!」
そう言って大氷で造った鳥の大群をナツ向かって放つリオン。
「だったらウルと直接戦えばいいんじゃねーの?」
「聞いていないのか? ウルはすでに死んでいる」
ナツはリオンの攻撃を避けながらグレイの言葉を思い出す。
―オレに魔法を教えてくれた師匠、ウルが命をかけて封じた悪魔だ―
「あれは死んだってことだったのか…」
「グレイのせいでなっ!!!」
リオンがそう叫ぶと、一匹だけ残っていた氷の鳥がナツに直撃する。だがナツは、ギリギリでそれを腕でガードしていた。
「過去に何があったかは知らねえが、今お前がやろうとしてる事で迷惑してる奴がたくさんいるんだ。いい加減目覚ましてもらうぞ!! 熱~~いお灸でな!!!」
そう言ってナツは手に炎を纏い、再びリオンと戦闘を開始した。
◆◇◆◇◆◇◆◇
一方その頃、グレイやスバル達は遺跡の前にやって来ていた。
「い…遺跡が…」
「傾いて…る?」
「どうなってんだー!?」
体を傾けさせ、遺跡が傾いていることに驚くスバルとルーシィとハッピー。
「ナツだな」
「うん、きっとそうだね」
これがナツの仕業だと悟るグレイとなのは。
「どうやったか知らねぇがこんなでたらめするのはアイツしかいねえ。狙ったのか偶然か…どちらにせよこれで月の光はデリオラに当たらねえ」
「待て!! 誰かいる」
森の中から草木が揺れる音が聞こえ、一同は足を止めた。そしてそこから姿を現したのはリオンたちと一緒に儀式を行っていた者たちであった。
「見つけたぞ!
その人数はとても多い。
「うわあっ!!」
「変なのがいっぱい!!」
ぞろぞろとやって来る一味に驚愕するルーシィとハッピー。
「行け」
「ここは私達に任せて」
だがエルザとなのははそいつらに体を向き合った。
「エルザ…」
「なのはさん…」
その姿に目を見開くグレイとスバル。
「リオンとの決着をつけてこい」
「スバルも、ギンガの目を覚まさせてあげて」
その言葉に、グレイとスバルは小さく頷く。そして二人は遺跡に向かって走った。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「チィッ!」
「ぬおぉっ!!」
その頃、ナツとリオンの戦いは激化していた。
「…………」
そしてギンガは静かにその戦いを見守っていた。すると……
ピキッ…
「「「!」」」
突然氷の壁に亀裂が走る。
「なんだ!?」
ナツが困惑している間にも、亀裂は段々と大きくなっていく。そして……
パキィィン!!
氷の壁が砕け、そこからグレイとスバルが姿を現した。
「ナツ…こいつとのケジメはオレにつけさせてくれ」
「テメェ!! 一回負けてんじゃねーか!!!」
「次はねえからよ。頼む」
グレイの気迫にナツは押し黙る。
「ギン姉……」
「……………」
そしてスバルとギンガも静かにお互いの姿を見据える。
「たいした自信だな」
「10年前…ウルが〝死んだ〟のはオレのせいだ。だが…仲間を傷つけ…村を傷つけ…あの氷を溶かそうとするお前だけは許さねえ」
グレイはゆっくりとそう語ると……
「共に〝罰〟を受けるんだ。リオン」
体の前で両腕をクロスさせる構えを取る。
「そ…その構えはっ!!?」
それを見て驚愕するリオン。
果たしてグレイの言う〝罰〟とは……?
つづく