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ついに初代マスター・メイビスの墓を見つけ出したカナ。
しかし見つけたその墓は神秘的な輝きを放っており、その光によってその場所には特殊な結界が張られているのか、降り注ぐ雨を弾いていた。
「何? この光…」
カナはゆっくりとその墓に歩み寄り、光の発信源である墓石の中心部に手を伸ばすが……
バチィ!!
「うあ!」
まるで拒絶するように、カナの手は光に弾かれてしまった。
すると…墓石の前に文字が出現し、カナはゆっくりとそれを読み上げた。
「妖精三大魔法の1つ、
第152話
『
その頃…
「〝
「なんだよそれ……」
「そんなの聞いた事も……」
ズンッ!!
「ぐおああああああ!!」
「きゃあああ!!」
「ナツさん!!」
「ティアナ!!」
ブルーノートの問い掛けにそう答えた瞬間、彼の重力の魔法によって地面に叩き付けられるナツとティアナ。
「その輝きは敵の存在を許さない無慈悲な光」
「そんなの知らな…ぷぎゃ!」
「ハッピー! しっかりしなさい!!」
「オレはその魔法が欲しい」
「こんのヤロォォオ!!!!」
「ま…待ちなさいナツ!!」
すると魔法が解けて重力から解放されたナツが、ティアナの制止も聞かずに一直線にブルーノートへと駆け出す。
「メイビスの墓に封じられてるらしいな。その場所を教えてくれんかね」
そう言うと、ブルーノートは向かってくるナツへと手をかざし……
ドムッ!!!!
「がっ!!」
重力魔法によって勢いよく吹き飛ばし、岩壁に叩きつける。
「オレの話聞いてる?」
「あ……あ…あ……」
「ナツーーー!!」
「ナツさんが…そんな……」
「なんなのコイツ…」
「強すぎる……」
ブルーノートの圧倒的な力の前に、手も足も出ずに倒れ伏すナツたち。するとそんなブルーノートの目に、気を失っているマカロフが目に入る。
「お? そこでヨレてんのマカロフ? なーんだ、そいつに聞けばいいのか」
「じっちゃんに手を出してみろ!!!! ただじゃおかねえぞ!!!!」
「(コイツ…強すぎる……)」
「(どうしよう…どうしよう……)」
「(今の私の魔力じゃ…フリードもヴォルテールも召喚できない……)」
「(誰か……)」
◇◆◇◆◇◆◇
「私が欲しいのは魔法なんかじゃない!!!! 試験はどうなってんのよ!!!! マスター!!! どこにいるの!!!?」
メイビスの墓の前で1人そう叫ぶカナだが、当然それに答える者はいない。
「やっとここまでたどり着いたのに…やっとS級になれると思ったのに…この試験には私の12年が詰まってるんだ!!!」
そう言って叫ぶカナの脳裏には……これまでの12年間の思いが浮かんでいたのだった。
◇◆◇◆◇◆◇
12年前
病気で死んだ母の遺言で、私には父親がいる事がわかった。
私は父を探し……
父の名は……ギルダーツ。
『ん? お譲ちゃん、こんな所で何してんだ?』
『(お父……!!)』
『早くウチに帰んな。こんな所にいたら服が酒臭くなっちまうぜ』
『(あれ? 何で? 何で私に気づかないの?……言いそびれちゃった)』
父の帰りを待って何度も出入りしてるうちに、私は
お父さんはたまにしか帰ってこなくて、またすぐに仕事に出かけちゃう。
あの時言えなかった一言が……私の中で段々大きくなる。
お父さんはみんなの人気者で、ギルドの1番の魔導士で、私なんかとは比べ物にならないくらい、いつも輝いていた……
そして私がギルドに入って2年が経ち……あの子がギルドにやって来た。
『ギルダーツ~!!』
『うおっと…ハハッ、大きくなったな~はやて』
八神はやて……お父さんが仕事先からの帰り道で寄った町で出会い、その時に色々あってギルドにつれて来たという私と同年代の女の子。
はやてはお父さんがギルドにいる間はずっと一緒にいて、本当の親子みたいに仲がよかった。
そしてはやての守護騎士であるシグナム…リインフォース…ヴィータ…シャマル…ザフィーラも、お父さんを父親のように慕っていて、まるで本当の家族のようだった。
私にはそれがどうしようもなく羨ましかったが……はやての事を憎んだりはしなかった。話してみれば気さくで優しい子だったし、彼女の境遇を知れば、そんな気は起きなかった。
本当の事が言えないまま時が流れて……いつしか本当の事を伝えるのが怖くなっていた。
きっかけは、S級魔導士昇格試験。
『私が?』
『がんばれよ!』
『うん!』
決めたんだ!! これに合格したら、お父さんに真実を伝えようと。
だけど結果は4年連続不合格。
私より後にギルドに入ったエルザやミラが次々合格していく。
私は落ちこぼれなんだ……お父さんとはつりあわない……だから今回で最後にしようと決めた。
今回がダメなら、私はきっとギルダーツの娘である資格がない。
ギルドをやめて……街を出る……
『あたしたちがカナのパートナーになる!!!!』
『絶対にギルドをやめさせたりはしない!!!!』
◇◆◇◆◇◆◇
「!!」
思い出の中でルーシィとユーノの言葉を思い出したカナは、自身の腰に身に付けたカードホルダーが輝いているのが目に入った。
そして取り出したカードには、ルーシィの絵柄と共に『HELP』の文字が描かれていた。
そのカードは…一次試験を突破したあとにカナがルーシィに渡したカード。
『何? このカード』
『ルーシィの危険を私に知らせてくれる特注のカードさ。ユーノにも渡しておこうか?』
『僕はいいよ。その気になれば念話で助けを呼ぶからさ』
『そう。とにかく、もし試験中にこいつが光ったら、たとえどんなに離れていようと、私が助けに行くから』
そう思って渡したカードだが……実際のカナは、チームであるユーノを突き放して別々に行動させ…さらにはルーシィからメイビスの墓の在り処を聞いたあとは彼女を眠らせて置き去りにし、この場所に来た。
「何をやってるんだ…私は……うああああああああああっ!!!!!」
自分のやった行いを思い返したカナは、その場で膝をついて泣き崩れる。
「違う!!!! こんなハズじゃなかった!!!! 仲間を裏切るつもりなんてなかった!!!! 私はもう…ダメ……」
後悔の念を露にしたカナは、泣き崩れて蹲る。
「……S級魔導士になんてなれなくていい。お父さんに気持ちを伝えられなくてもいい」
しかしカナはそう言うと、ゆっくりと立ち上がり……
「私はそれ以上に………仲間を守りたいんだ!!!!!」
メイビスの墓の中心部に……手を伸ばした。
「もう何もいらない!!!! みんなが無事ならいい!!!! このギルドにいられなくてもいい!!!! 私がどこにいようと…心はいつも同じ場所にあるから!!!! だからお願い!!!! 私にギルドを守る力を貸して!!!!」
バチバチと光に拒絶されようと必至に手を伸ばし、懇願するようにそう言い放つカナ。
「私は……このギルドが大好きなんです」
そして……涙を流しながら、自分のギルドに対する強い想いを口にしたのであった。
するとその時……
《ならば何も怖れる事はない》
メイビスの墓石から、そんな優しい声が聞こえてきた。
《過ちは人の歩みを止める枷にあらず。心を育てる糧である》
同時に…カナの伸ばした右手が眩い光に包まれる。
「(この声……マスターメイビス)」
《さあ……行きなさい。
「はい」
そして墓の中心部から手を引き抜くと、カナの右手首にはギルドマークを模した紋章が刻まれていた。
「(私は一番大切なものの為に戦うんだ!!!!
これが私の最後の戦いになるかもしれない!!!!
12年分の恩返しをするからね!!!!
そしてカナは走り出す。妖精の輝きをその手に宿し……仲間を守る為に戦場へと……走り出したのであった。
◇◆◇◆◇◆◇
ドゴォォオオオン!!!
「ぐああああっ!!!」
一方その頃……ナンバーズのオットーとディード……その2人の相手をする事になってしまったユーノ。だが力の差は歴然で、ユーノは苦戦を強いられていた。
「この……チェーンバインド!!!」
「『ツインブレイズ』」
2人を拘束しようと魔力の鎖を放つユーノだったが、それはディードの双剣の前に切り裂かれ不発に終わる。
「くっ…シュートバレット!!!」
「『レイストーム』」
ドガァァァアアアアッ!!!!
「うああああああああっ!!!!」
続けて数発の魔法弾を放つユーノだが、オットーの放つ緑色の光線がそれを薙ぎ払い、そのままユーノを襲った。
「ぐぅ…くそっ!!」
ユーノは毒づきながらも立ち上がり、オットーとディードを睨む。すると、オットーがゆっくりと口を開く。
「ユーノ・スクライア。
「……ハハッ、言ってくれるね」
オットーの評価を聞いたユーノは苦笑を浮かべる。
「それは君らのマスター…ジェイル・スカリエッティの評価かい?」
「そう。ドクターは
「だったらずいぶんと手厳しい評価だ。まぁ確かに僕は魔力の量は決して多くないし、強力な魔法を使える訳でもない。取り柄といえば魔法に関する知識くらいだから、その評価もしかたないかもね」
そこまで言うと、ユーノは「でも…」と言って言葉を続ける。
「だからと言って、諦める気は毛頭ないけどね。ギルドの誇りにかけて倒れるその時まで全力で戦う……窮鼠ネコを噛むってね」
ヒビ割れた眼鏡を投げ捨て、力強い眼差しでユーノはそう言い放つ。
「……無駄なあがきを。行くよディード」
「ええ」
「来いっ!! 絶対諦めるもんか!!!」
そう言うとオットーとディードはユーノへと襲い掛かり、対するユーノもそんな2人を迎え撃つために立ち向かったのであった。
◇◆◇◆◇◆◇
ピコーンピコーン!
「こっち!!! 待っててルーシィ!! 今行くから!!!」
メイビスの墓から
「(
そんな強い決意を胸に、カナは森の中をひた走る。そしてついに……
「お前かァ!!!!」
ブルーノートに追い詰められているルーシィたちのもとにたどり着いたのだった。
「お!」
「あれは…」
「カナ…」
「「カナさん!!」」
その場に現れたカナを見て、表情を明るくするナツたち。
「これ以上仲間をキズつけんじゃないよ!!!」
そう言ってカナはブルーノート目掛けて数枚の魔法カードを投げるが、全てブルーノートの重力魔法によって逸らされる。しかしそれはカナにとっては予想の範囲内。カナは紋章が刻まれた腕に眩い光を纏う。
「
「!」
「光? なんだあの魔法!?」
その光を見て驚愕するブルーノートと疑問符を浮かべるハッピー。
ズドンッ!!
「うあっ!」
しかしその魔法が発動する前に、ブルーノートの重力魔法によって地面に落とされるカナ。
「くっ」
「テメェの持ってるその魔法は……」
「まさか…
「え!?」
ティアナが口にした言葉に、目を丸くするナツたち。
「ルーシィ、置いてっちゃってごめんね。弁解の余地もないよ……本当にゴメン……」
そう言ってカナはルーシィに謝罪の言葉を口にする。
「だけど今は信じて。あいつにこの魔法が当たりさえすれば、確実に倒せる」
「すごい!!! お墓で手に入れたの!!?」
「墓に行ったって事は……オイ…まさか試験は……」
「今は試験とか言ってる場合じゃないでしょ」
「ティアナの言うとおりさ。あいつを倒すために協力して、ナツ」
「ムゥ」
「私が〝魔力〟をためる間、あいつを引き付けて」
「むぅ~!」
カナの頼みにナツが唸っていると……
「フン」
ズンッ!!!
「ぐぁ!」
「くぅっ!」
「あう!」
「うあ!」
「きゃあ!」
ブルーノートが周囲に放った重力波が、ナツたちを吹き飛ばした。
「オレの重力下で動ける者などいねぇのさ。まさか探してた魔法が向こうからノコノコやってくるとはなァ。その魔法はオレが頂く」
そう言ってブルーノートは重力波で地面に押さえ付けられているカナに歩み寄る。
「くぅぅ…この魔法はギルドの者しか使えない……お前らには使えないんだ!!」
「〝魔〟の根源をたどれば、それはたった1つの魔法から始まったとされている。いかなる魔法も、元はたった1つの魔法だった」
「(たった1つの魔法……? この話……昔どこかで聞いた事あるような)」
ブルーノートの言葉に、ルーシィは心当たりがあるのか、重力波に押さえ付けられながらもそう考え込む。
「魔道の深淵に近づく者は、いかなる魔法も使いこなす事ができる」
「ぐあぁ!!」
「カナ!!」
そしてブルーノートは重力を操作してカナの体を宙に持ち上げ、そのまま重力波で締め上げる。
「逆に聞くが小娘、テメェの方こそ
「あた…りま…えだ……」
「太陽と月と星の光を集め濃縮させる超高難度魔法。テメェごときに使える訳ねえだろうが」
「うあぁぁあああ!!!」
「安心しろ、その魔法はオレがもらってやる」
そう言い放つと、ブルーノートはさらにカナの体を締め付ける。
「オオオオオ!!!」
「アアアアア!!!」
するとナツとティアナが雄叫びを上げ、ナツは自身の顔をズボッと地面にめり込ませ、ティアナは上空に向かってクロスミラージュを構える。
「火竜の……咆哮!!!!」
「ファントム……ブレイザー!!!!」
「!!!」
そしてナツはその状態でブレスを放ち、そのブレスは地中を伝ってブルーノートの足元で火柱として噴出した。さらにティアナが上空に放った砲撃はブルーノートの頭上で彼自身の重力波によってガクンッと落ちていき、そのままブルーノートを襲った。
「邪魔だクズがァ!!!」
「うあぁぁ!」
「きゃああ!」
しかしその攻撃は効いてはおらず、ブルーノートの重力波によって再び吹き飛ばされるナツたち。
「ナイス! ナツ!! ティアナ!!」
「今ですカナさん!!!」
「行けーーーーっ!!!」
だがそれによってブルーノートの気をそらす事に成功し、カナは重力波から解放された。
「(私にはこの魔法が使える!!!!
するとカナは右腕を掲げて再び眩い光を集束する。
「集え!!! 妖精に導かれし光の川よ!!! 照らせ!!! 邪なる牙を滅する為に!!!」
「バカな…!!」
そして……
「
ギルド三大魔法の1つ……
眩い輝きを放つ光が、ブルーノートを包み込む。
「ぐおあああああ!!」
「すごい光!!」
「これがギルドの三大魔法の1つ」
「
その魔法を見て勝利を確信するナツたち。
「消えろォオオオオオオオオ!!!!」
「オオオオオオオオオ!!!!」
だがしかし……
「落ちろォ!!!!!」
ブルーノートの重力波によって……その光は地面にねじ伏せられてしまった。
ドゴォォオオオオオン!!!!
「うおああああ!」
「あああああ!」
その直後に光が霧散し、爆発が起こる。そして魔法が不発に終わった影響か、カナの右腕から血が噴出す。
「この程度で
信じられない光景に、愕然とした表情で地面に座り込むカナ。
「いくら強力な魔法でも、術者がゴミだとこんなもんか? ん?」
「(そんな……)」
「知ってるかね? 殺した後でも〝魔法〟を取り出せるって」
「(私の力不足で……)」
呆然しながら己の非力さを嘆くカナと、そんな彼女にゆっくりと歩み寄るブルーノート
「カナ……」
「マ…ズイ……」
「やめ…て……」
「おね…がい」
「逃げて…ください…」
カナを助けようとするナツたちだが、ダメージのせいで立ち上がれずにいた。
「オレは今日も飛べなかった。お前は地獄に落ちろ」
そう言い放ってブルーノートはカナに向かって手をかざし……カナは諦めように静かに目を伏せた。
だがその時……カナとブルーノートの間に1人の男が割って入り、ブルーノートを吹き飛ばした。
その光景にカナやナツたちは呆然とし…ブルーノートは自身を吹き飛ばした男を睨みつける。
その男とは……怒りの表情を浮かべたギルダーツ・クライヴであった。
「「ギルダーツ!!!!」」
「ギルダーツだーーー!!!!」
「(お父…さん)」
ギルダーツの登場に、表情を明るくするナツたちと涙を流すカナ。
今ここに……ギルド最強の男が参戦したのであった。
つづく