LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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今回は新章突入記念として、3話を一挙更新します!!!(ぶっちゃけGWにかこつけて書き過ぎただけですが…)

例のごとく1時間置きに投稿されます。

感想お待ちしております!!!


X791年編
X791年・妖精の尻尾


 

 

 

 

 

 

X791年・ハルジオン港。

 

 

そこの港では……ナツを真似たような服装に、左肩に妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章を刻んだ少年と……長い金髪をサイドテールにし、紺色と白色をを基調とした服装に、両目の虹彩異色が特徴の少女が……並んで海の向こうを眺めていた。

 

 

「いつまで海を見てるんだい?」

 

 

「仕事も終わったし、ギルドに戻ろう」

 

 

そんな少年と少女の後ろから、2人組の男女がそう声をかけるが…2人は答えずに海を眺め続ける。

 

 

「早く帰らないと父さんが心配するよ」

 

 

「マカオからアンタたちの事頼まれてんのよ、ロメオ…ヴィヴィオ」

 

 

その男女2人組とは……7年の間に結婚し、夫婦となった妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士……アルザック・コネルとビスカ・コネルであった。

 

 

「うん」

 

 

「はい」

 

 

そんな2人の言葉に短く答えながら、静かに無表情で俯く少年と少女。

 

 

少年の名はロメオ・コンボルト。かつてはナツたちに憧れる幼い少年であったが…7年経った現在では逞しく成長し、今では正式に妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員となった少年である。

 

 

そして少女の名は高町ヴィヴィオ。グレイとなのはの義娘で、当時は甘えたがりで少々泣き虫な少女であったが…7年の月日が経った今では立派な女性の体つきへと成長を遂げ、ロメオと同じく妖精の尻尾(フェアリーテイル)に正式に加入した少女である。

 

 

「ロメオ…ヴィヴィオ……気持ちはわかるけどさ」

 

 

「ビスカ」

 

 

未だに海を眺めるロメオとヴィヴィオに何か言おうとしたビスカをアルザックが止め、静かに首を横に振るった。

 

 

そして当のロメオとヴィヴィオは海を眺め続ける……

 

 

「(ナツ兄……)」

 

 

「(パパ…ママ……)」

 

 

7年前に姿を消した仲間たちが帰ってくるのを……待ち続けるかのように……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第165話

『X791年・妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マグノリアの街にある魔導士ギルド・妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

 

かつては街中に存在していたギルドだが……現在では街の外れにある小さな小屋のようなギルドで細々と活動をしていた。

 

 

「ロメオとヴィヴィオはまだ帰ってこねえのか!!!? アルとビスカの奴、2人をほったらかしてイチャイチャしてんじゃあるめぇなァ!!!!」

 

 

酒の入ったグラスでテーブルを叩きながらそう怒鳴る男性は…妖精の尻尾(フェアリーテイル)の四代目マスターであり、ロメオの父親であるマカオ・コンボルト。

 

 

「うるせぇなァ、いい歳なんだから少しは落ち着けよマカオ」

 

 

そう言ってマカオを宥める男性は、現在は四代目マスター補佐であるワカバ・ミネ。

 

 

「オレの事はマスターって呼べつってんだろ!」

 

 

「こんな貫禄のねえマスター見た事ねーよ!」

 

 

「マスターもワカバさんも落ち着いて。ケンカしないの」

 

 

怒鳴りあうマカオとワカバの間に、腰まで伸ばした茶髪をリボンで結んだ女性……ディエチ・ナカジマが仲裁に入る。

 

彼女はかつて闇ギルド〝無限の欲望(アンリミテッドデザイア)〟の一員であったが…現在は刑期を終え、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の従業員として働いているのである。

 

 

「それにしても……また人減ったかな?」

 

 

そんな3人を尻目に、ガラーンとしたギルドを眺めながらマックス・アローゼがそう呟く。

 

 

「しょうがねえよ、こんな弱小ギルドじゃいい仕事回してもらえねーし」

 

 

「見ろよ!! この依頼書の数」

 

 

「仕事行かねーお前には関係ねーだろ」

 

 

そんなマックスのぼやきに答えたのは念話と得意とするウォーレン・ラッコーと、相変わらずリクエストボードの前をうろうろしているナブ・ラサロである。

 

 

「見て欲しい!! 新しい舞が完成したのである。名付けて〝弱小の舞〟」

 

 

「気分悪ィからコイツ追い出せよ」

 

 

そう言ってギルド内で踊っている踊りの魔導士・ビジター・エコー。

 

 

「ねえドロイ、また『大地への圧力が増えた』?」

 

 

奇妙な言い回しでそう問い掛けるラキ・オリエッタの視線の先には……

 

 

「太ったって言いてえのかコノヤロウ」

 

 

「自覚ねえのかよ?」

 

 

この7年で丸々と太ったドロイと、そんな彼の姿に呆れるジェットの姿があった。

 

 

「リーダスを見やがれ!! あんなにスリムになって」

 

 

「ウィ。オレ……元々こっちが本当の体だよ」

 

 

かつては肥大化した胴体が特徴だったリーダス・ジョナーであったが、その肥大化は本来マカロフの魔法によるものだったので、マカロフが行方不明になって魔法が解けただけである。

 

 

「オレは鍛えてんだよ!! わからねえのか!? この筋肉!!!」

 

 

「レビィが今のお前を見たら何て言うかね」

 

 

「レビィは帰ってこね……あっ」

 

 

己の失言に気がつき、途中で言葉を止めたドロイであったが……その言葉はすでに全員の耳に聞こえ、表情を暗くさせていた。

 

 

すると……

 

 

「おやおや、相変わらず昼間っからしんみりしてるねー」

 

 

「ぎゃはははは!」

 

 

「これだから弱小ギルドはやだよなー」

 

 

「覇気がねえよ覇気が!!」

 

 

そう言ってガラの悪い5人組がズカズカと遠慮なしにギルドの中へと足を踏み入れてきた。

 

 

「ティーボ」

 

 

「もうここには来んなって言ったろーが!」

 

 

「オイオイ、オレたちにそんな口聞いていいのか? マグノリアを代表する魔導士ギルド〝黄昏の鬼(トワイライトオウガ)〟によ」

 

 

「ぐ…」

 

 

そんな5人組のリーダー格であるティーボに怒鳴るマカオだが、すぐに言いよどんでしまう。

 

 

「かつてはフィオーレ最強だったかどうかは知らねーけど、もうお前らの時代は終わってんだよ。建ってるのがやっとのこのボロ酒場と、新しい時代の魔導士ギルド黄昏の鬼(トワイライトオウガ)じゃ、どちらがよりマグノリアの発展と向上に役立ってるか一目瞭然だろ?」

 

 

「でけえだけのギルドが偉そうに」

 

 

「そうだ!! オレたちには魂があるんだよ」

 

 

「魂じゃメシは食えねえんだヨ」

 

 

「何しに来たんだ、ティーボ」

 

 

「今月分の金だよ」

 

 

「!?」

 

 

ティーボの伝えた用件の内容に、目に見えて動揺するマカオ。

 

 

「まだ払ってなかったのかマカオ!!」

 

 

「マスターって呼べっつてんだろ!!」

 

 

「借金の返済が遅れてるぜ、アンタら」

 

 

「今月はいい仕事回ってこなかったんだよ!!! 来月まとめて払うから待ってやがれってんだ!!」

 

 

「おやおや、潰れる寸前だったこのボロ酒場を救ってやったのは誰だっけかな?」

 

 

「オレたちがテメェらの借金肩代わりしてやったんだろーが!!!」

 

 

「あんなバカげた利子だって知ってたら、お前らなんかに頼らなかったのに……」

 

 

「何か言ったかコノヤロウ!!!」

 

 

「よせジェット」

 

 

「けどよ…」

 

 

恩着せがましくそう言ってくるオウガの男たちに反論するジェットを、マカオが制する。

 

 

「来月まで待ってくれや。ちゃんと払うからよォ」

 

 

そう言って頼み込むマカオ。しかし……

 

 

「ぐほっ!」

 

 

「マカオ!!」

 

 

「マスター!!」

 

 

ティーボはそんなマカオを思いっきり蹴り飛ばし、マカオはテーブルなどを巻き込んで床に倒れる。

 

 

「テメェらぁ!」

 

 

「よくも…」

 

 

「手ェ出すなァ!!!!」

 

 

「「「!!!」」」

 

 

それに対して激昂し、やり返そうとしたドロイとマックスだったが、マカオの叫びによってその動きを止めた。

 

 

「ははっ、情けねえっ!!!」

 

 

「これがあの妖精の尻尾(フェアリーテイル)かよ!!!!」

 

 

「ダサすぎんぜ!!!」

 

 

「ヒャハハハハハッ!!!」

 

 

それを皮切りにオウガの男たちはギルドの中でメチャクチャに暴れ始める。テーブルやイスなどの備品を破壊し…酒などを勝手に飲み散らかす…まさにやりたい放題であった。

 

そんな彼らの理不尽な行動を、メンバーたちが悔しそうに歯噛みしながら眺めていると……

 

 

 

「またこんなくだらねー事やってんのか……ティーボ」

 

 

 

「あん?」

 

 

突如ギルドの入り口の方から聞こえてきた声にティーボが振り返ると……そこには怒りの表情を浮かべた赤い短髪の女性が立っていた。

 

 

「チッ……ノーヴェか」

 

 

そんな2人の女性……ノーヴェ・ナカジマの姿を見た瞬間、ティーボはバツが悪そうに舌打ちをした。

 

 

「オレたちは借金返済の取立てに来ただけだ。お前にとやかく言われる筋合いはねーぜ」

 

 

「だったらギルドで暴れる必要もねぇだろーが。マカオさんたちはちゃんと払うつってんだ。しょーもねえ嫌がらせしてねーでさっさと帰れ」

 

 

「ギルドの人間でもねえ部外者は黙ってな!!!」

 

 

「そうだ…アタシは妖精の尻尾(フェアリーテイル)とは何の関係もないただのフリーの魔導士だ。つまり──ギルド間のゴタゴタなんざ関係なく、お前らを今すぐ叩き潰す事だってできるんだぜ?」

 

 

「ぐっ……!!!」

 

 

今目の前にいるオウガの5人組を鋭く睨みながら強くそう言い放つノーヴェに、ティーボだけでなく他のオウガの面々も怯む。

 

 

「チッ…忘れんなよ、来月だ」

 

 

ティーボはマカオにそう伝えると、他の4人を連れてそそくさとギルドを出て行ったのであった。

 

 

「ったく……大丈夫か? マカオさん」

 

 

「ああ…すまねぇなノーヴェ。また世話になっちまった」

 

 

「気にすんなよ。ナツたちがいない今のギルドを守るって、決めたのはアタシだからな」

 

 

ノーヴェもかつてディエチと同じく無限の欲望(アンリミテッドデザイア)の一員であった。しかしナツに敗れ、心境の変化が現れたノーヴェはディエチを含めた一部のメンバーたちと評議院に自首した。

 

そして昨年に刑期を終え…現在は財政難の妖精の尻尾(フェアリーテイル)を影から支えるフリーの魔導士として、先ほどのオウガの男たちような奴等からギルドを守ってるのである。

 

 

「「「……………」」」

 

 

ノーヴェが止めてくれたとはいえ、かなりギルドをメチャクチャにされてしまい、意気消沈するメンバーたち。

 

 

そんなメンバーたちの目に……リーダスの描いた何枚もの絵が目に止まる。

 

 

それらには全て──行方不明になった仲間たちと過ごした賑やかだった毎日が描かれていた。

 

 

「あれからもう7年か……」

 

 

「懐かしいな」

 

 

「グスッ…あれ以来何もかも変わっちまった」

 

 

「天狼島が消滅したって話を聞いて、必死にみんなを探したよな」

 

 

「だけど誰一人見つからねえなんて……」

 

 

「評議院の話が本当なら、アクノロギアってのに島ごと消されたんだ」

 

 

「実際色んな機関が捜索に協力してくれたけど、何も手がかりは見つからなかった」

 

 

「そりゃそうだよ…あの日…天狼島近海のエーテルナノ濃度は異常値を記録してる。あれは生物が原型を留めておけないレベルの……」

 

 

「何て威力なんだ!!! アクノロギアの咆哮ってのは…!!!」

 

 

「だって…大昔にたった1頭で国を滅ぼしたっていう竜なんだろ!!? 人間が…そんなの相手に……生きていられる訳が……」

 

 

「なんでオレたちの仲間を……」

 

 

「あいつらがいなくなってから、オレたちのギルドは弱体化する一方。マグノリアには新しいギルドが建っちまうし」

 

 

多くの仲間たちを失った悲しみを涙と言葉にして、次々と吐露するメンバーたち。

 

 

「たたむ時が来たのかもな」

 

 

「ワカバさん!! そんな話はやめて!!!」

 

 

ワカバがポツリと呟いた言葉に、ディエチが怒鳴る。すると、ノーヴェがずっと俯いて黙ったままのマカオに気がつく。

 

 

「マカオさん? どうしたんだ?」

 

 

「……オレはもう、心が折れそうだ」

 

 

「お前はよくやってるよ、マスター」

 

 

弱気な言葉を口にするマカオを励ますようにワカバがそう声をかける。だがマカオの表情はまったく晴れない。

 

 

「あれ以来……ロメオとヴィヴィオは一度も笑わねえんだ……うえっ…ひっ……」

 

 

愛する息子と、仲間から預かった大切な娘から笑顔が失われた事を嘆き……大粒の涙を流すマカオ。そんな彼に掛ける言葉も見つからず……黙り込むメンバーたち。

 

 

すると……突然どこからかゴゴゴゴゴっと、地鳴りのような音が聞こえてきた。

 

 

「何の音?」

 

 

「またオウガが嫌がらせに来たのか?」

 

 

「いや違う……外だ!!」

 

 

そう言ってノーヴェが入り口から外へと駆け出すと、それに釣られて他の面々もギルドから飛び出す。するとそんな彼女たちの目に飛び込んできたのは……

 

 

「オオ!!?」

 

 

「あ……あれは…!!」

 

 

青い天馬(ブルーペガサス)のクリスティーナ改!!!?」

 

 

魔導士ギルド〝青い天馬(ブルーペガサス)〟が所有する巨大な帆船型の魔導爆撃艇……クリスティーナ改であった。

 

予想外のものの登場にメンバーたちが戸惑っていると、クリスティーナ改の選手に1人の人物が現れる。

 

 

「辛気臭い香り(パルファム)はよくないな──とう!」

 

 

その人物はそう言うと、何と船首の上から飛び降りてしまった。そしてその人物はそのまま一直線に地面へと向かい、華麗に着地するかと思いきや……

 

 

「メェーン」

 

 

「「「落ちんのかよっ!!!!」」」

 

 

普通に地面へと墜落したのだった。

 

 

「あなたの為の一夜でぇす」

 

 

「お前…」

 

 

「一夜!?」

 

 

その人物とは……かつてナツたちと共に戦った青い天馬(ブルーペガサス)のエース……一夜=ヴァンダレイ=寿であった。

 

 

「一夜様、気持ちはわかるけど少し落ち着いたら」

 

 

「オレ……空気の魔法使えるし」

 

 

「つーかヘタしたら死ぬぞお前」

 

 

「みんな久しぶり」

 

 

「ノーヴェー!! ディエチー!!」

 

 

そんな一夜とは違い、空気の魔法でゆっくりと降りてくる5人組。そのうちの3人は一夜と同じくかつてナツたちと共に戦った経験のあるトライメンズと呼ばれる3人組……

 

 

「やあ」

 

 

ヒビキ・レイティス……

 

 

「フン」

 

 

レン・アカツキ……

 

 

「マカオさん、また老けた?」

 

 

イヴ・ティルムの3人であった。

 

 

「よう」

 

 

そしてもう1人の男性も同じくナツたちと共に戦った青い天馬(ブルーペガサス)のもう1人のエース……ヴァイス・グランセニック。

 

 

「ノーヴェもディエチも久しぶりっスーー!!!」

 

 

「あーはいはい、お前は相変わらずだなウェンディ」

 

 

「ふふっ、久しぶり♪」

 

 

そう言ってノーヴェやディエチに抱きついている最後の少女の名はウェンディ・ナカジマ。ノーヴェやディエチと同じくかつては無限の欲望(アンリミテッドデザイア)に所属していたが……刑期を終えた今では青い天馬(ブルーペガサス)の魔導士として活躍している。

 

 

青い天馬(ブルーペガサス)……」

 

 

「何なんだ一体……」

 

 

彼らの突然の登場に戸惑う妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーたち。しかし……

 

 

「ラキさん、ディエチさん、相変わらず美しい」

 

 

「お…お前らメガネとリボン似合いすぎだろ?」

 

 

「2人とも『お姉ちゃん』って呼んでいいかな?」

 

 

当のトライメンズの3人は、ラキとディエチをナンパしていた。

 

 

「こらイヴ!!! ディエチは私のお姉ちゃんっスよ!!!」

 

 

「そうじゃねーだろ!!! 何いきなり来てナンパしてんだコラァ!!!!」

 

 

そして的外れな発言をするウェンディに怒鳴りつつ、そんな3人にツッコミを入れるノーヴェ。

 

 

「これ!! お前たち」

 

 

「んな事しに来たんじゃねえだろ」

 

 

「「「失礼しやした!」」」

 

 

トライメンズの3人に注意しつつ、さっそく本題の話を始める一夜とヴァイス。

 

 

「共に競い、共に戦った友情の香り(パルファム)を私は忘れない」

 

 

「ヒビキの古文書(アーカイブ)の情報解析とクリスティーナの機動力で、フィオーレ中のエーテルナノ数値を調べた甲斐があったぜ」

 

 

そんな2人の意味深な言葉を聞いて、メンバーたちは「まさか…」と思い、その身を震わせる。そしてそんなメンバーたちに……一夜が希望となる言葉を言い放った。

 

 

 

 

 

「天狼島はまだ残っている」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

後日……一部のメンバーとノーヴェを乗せた船が、天馬からもらった地図を頼りに天狼島があった海域へと来ていた。

 

 

「本当にこの辺なの?」

 

 

「何も見えてこないじゃないか」

 

 

「天馬の奴等の話じゃ、この海域でエーテルナノが何とかって…」

 

 

「そもそもエーテルナノって何だよ」

 

 

「知るかよ。魔力の微粒子的な何かだろ」

 

 

そのメンバーの中にロメオとヴィヴィオの姿は……ない。

 

 

「本当にロメオとヴィヴィオ、連れてこなくてよかった?」

 

 

「無理矢理でも連れてくるべきだったかな」

 

 

「まだみんな生きてるって決まった訳じゃねえんだ」

 

 

「ぬか喜びさせる訳には……」

 

 

「「レビィに会える!! レビィに会える!!」」

 

 

「やかましい!!」

 

 

すでにレビィに会えると喜んでいるジェットとドロイにウォーレンが怒鳴る。

 

 

「7年も連絡がねえんだぞ、最悪の場合も考えろよ」

 

 

「「お…おう……」」

 

 

「つーか……これから行く天狼島ってのは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の聖地なんだろ? ギルドのモンじゃねえアタシが行って大丈夫なのか?」

 

 

「事情が事情だからな、たぶん大丈夫だろ。ノーヴェはもう仲間みてーなモンだし」

 

 

そんな会話をしながら船を進めていくと……マックスが何かの影を発見した。

 

 

「なんだアレ…」

 

 

「人…じゃねーのか?」

 

 

「まさか!!? 海の上だぞ」

 

 

しかしノーヴェの言うとおり、その影の正体は人であった。

 

 

「た……立っている!!?」

 

 

「誰なんだ!!?」

 

 

なんと1人の小さな少女が……海面の上で佇んでいたのだ。

 

 

そしてその少女がそっと手を上げると……彼女の後ろの海が大きく波立ち、海中から何かが姿を現した。それは……

 

 

「天狼島!!!!」

 

 

「天狼島だっ!!!!」

 

 

魔力の球体によって包まれた……天狼島であった。

 

 

すると少女は、そのままゆっくりと出現した天狼島へと向かって行った。

 

 

「あの女!! 天狼島に行ったぞ!!!」

 

 

「追え!! 急ぐんだ!!」

 

 

それを見たノーヴェたちも大急ぎで天狼島へと上陸し、謎の少女を追った。

 

 

「何なのあの女!!」

 

 

「でもあの子が天狼島の場所を教えて(?)くれたんだ。もしかしてみんなのところまで」

 

 

「そ…そうか!!」

 

 

「見失うな!!」

 

 

もしかしたら少女が行方不明になった仲間たちの居場所を知っているかもしれないと思ったノーヴェたちは、最速のジェットを筆頭に少女の跡を追って行った。

 

 

そして少女の追って行った先で彼らを待っていたのは……

 

 

「!」

 

 

「あ…あれは……」

 

 

「ナツ……」

 

 

力無く倒れ……体半分が地面に埋もれてしまって動かない──ナツの姿があった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃…妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドでは……

 

 

「ロメオ……ついて行かなくてよかったのか?」

 

 

「ヴィヴィオも…本当は行きたかったんじゃないの?」

 

 

テーブルで黙々と魔導書を読む2人にマカオとディエチがそう問い掛けるが、2人は顔色も変えずに答える。

 

 

「うん。もし天狼島が見つかったとしてもパパやママ……みんなが生きてる保障はないから」

 

 

「そんな事はねーって!!! 信じなきゃよ!! そこは!!」

 

 

「7年も連絡ねーんだぞ」

 

 

取り付く島も無いロメオとヴィヴィオに、他のメンバーたちは嘆息する。すると……

 

 

「おいおーい、今日はまた一段と人が少ねえなァ。ギルドってよりコレ何よ? 同好会?」

 

 

ティーボを筆頭にした5人組が、またギルドに現れた。

 

 

「ティーボ!! 支払いは来月のハズだろ!?」

 

 

「ウチのマスターがさぁ……そうはいかねって。期日通り払ってくれねーと困るって、マスターに言われちゃしょーがねーんだわ」

 

 

「お前らに払う金なんかねえよ」

 

 

「今すぐ出てって」

 

 

「よせロメオ!! ヴィヴィオ!!」

 

 

「なんだクソガキども、その態度」

 

 

そんな5人組にロメオとヴィヴィオの2人が立ち向かう。

 

 

「こんな奴等にいいようにされて、父ちゃんもみんな腰抜けだ!」

 

 

「パパやママたちなら、どんな事情があろうと絶対に屈しない! それが妖精の尻尾(フェアリーテイル)なんだから!!」

 

 

「オレたちは戦うぞ!!! このままじゃ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名折れだ!!!!」

 

 

そう言い放ちながらロメオは手のひらに炎を灯し…ヴィヴィオは強く握った拳を構える。

 

 

「フッ」

 

 

「!!」

 

 

しかしロメオの炎はティーボに容易く吹き消されてしまった。

 

 

「名前なんかとっくに折れてんだろ」

 

 

そう言って背中に背負っていた巨大な棍棒に手を掛け、ゆっくりと振り上げるティーボ。

 

 

「やめろォーーーーー!!!!」

 

 

「テメェらは一生オレたちの上にいけねえんだ!!!!」

 

 

「くっ……!!!」

 

 

マカオの叫びも虚しく、容赦なくロメオへと振り下ろされるティーボの棍棒。それに対しヴィヴィオが動こうとしたその時……

 

 

 

 

 

ドッゴォーーーーン!!!!

 

 

 

 

 

「あ?」

 

 

気がつけばティーボは背後から何者かによって蹴り飛ばされ、そのまま壁に激突した。

 

 

「「「んだァコラァ!!」」」

 

 

それを見た残りの4人が振り返った瞬間……1人は氷付けにされ…1人は鋼鉄の拳を叩き込まれ…1人は橙色の弾丸を撃ち込まれ…1人は桜色の閃光に飲み込まれ……瞬く間にオウガの4人は全滅した。

 

 

そして倒れたオウガの後ろに立っていたのは……

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

 

 

 

 

7年前とまったく変わらぬ姿の……ナツを初めとした行方不明となっていたメンバーたちであった。

 

 

「お…おお……お前ら…」

 

 

「みんな……!!」

 

 

「若いっ!!!」

 

 

「7年前と変わってねーじゃねーか!!」

 

 

「どうなってんだー!!」

 

 

ナツたちの変わらぬ姿に戸惑いながらも、彼らが帰ってきた事に涙を流して喜ぶメンバーたち。

 

 

「えーと……」

 

 

「話すと色々複雑なんだけどね……」

 

 

そんなメンバーたちに、ルーシィとティアナがそう前置きをして事情を説明し始めたのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

時は少々遡り……天狼島で倒れているナツを発見したノーヴェたちは、すぐさま彼に駆け寄った。

 

 

「ナツ!! しっかりしろ!! オイ!!!」

 

 

「ナツ!!! 目ぇ覚ませコノヤロウ!!!」

 

 

「オイ!! いつまでも寝てんじゃねえぞ桜頭ァ!!!」

 

 

そう言って必死にナツへと呼びかけるノーヴェたち。すると……

 

 

「だーーーっ!!! うるせえっ!!!!」

 

 

その呼びかけによって目を覚ましたナツが、そう怒鳴りながら起き上がった。

 

 

「「「ナツーー!!!」」」

 

 

「んがー!!」

 

 

そして感極まって思いっきり飛びつくジェットやマックスたちや押し倒されるように再び地面に倒れるナツ。

 

 

「どうなってんだ一体……!!? 何でお前らがココに……つーか少し老けてねーか!!?」

 

 

「ハハッ!! お前は相変わらずじゃねーかナツ!!!」

 

 

「お前……ノーヴェか!!!? 何でお前までここに!!?」

 

 

自分が知るより少々老けた仲間たちとノーヴェの姿を見て、ナツの頭を驚愕と困惑が支配する。

 

 

「オレたちさっき(・・・)アクノロギア攻撃を喰らって、えーと……他のみんなは!!?」

 

 

「こちらです」

 

 

「「「!!」」」

 

 

そして困惑しつつ他の仲間たちの安否を問い掛けるナツに答えたのは……先ほどの少女であった。

 

 

「「「…………誰!?」」」

 

 

そんなナツやノーヴェたちの疑問に対し……少女は静かに目を伏せたあと、自身の素性と名を告げた。

 

 

 

 

 

「私の名はメイビス。妖精の尻尾(フェアリーテイル)初代マスター、メイビス・ヴァーミリオン」

 

 

 

 

 

「「「ええーーーーーっ!!!?」」」

 

 

少女の正体が自分たちのギルドの初代マスター……メイビスだと知って、ナツたちは驚愕する。

 

 

そしてその後……メイビスの導きによりティアナやルーシィ…グレイやなのはたちなど……他のメンバーたち全員の無事が確認されたのだった。

 

 

「あの時……私は皆の絆と信じ合う心、その全てを魔力へと変換させました。

 

皆の想いが妖精三大魔法の1つ〝妖精の球(フェアリースフィア)〟を発動させたのです。

 

この魔法はあらゆる悪からギルドを守る絶対防御魔法。しかし皆を凍結封印させたまま……解除するのに7年の歳月が掛かってしまいました」

 

 

ナツたちが何故アクノロギアの攻撃で無事だったのか…何故7年経った今でも歳をとっていないのか…全ての謎がメイビスの説明によって明かされる。

 

 

「なんと……初代が我々を守ってくれたのか……」

 

 

「いいえ…私は幽体。皆の力を魔法に変換させるので精一杯でした。揺るぎない信念と強い絆は奇跡さえも見方につける」

 

 

マカロフの涙ぐみながらの言葉に対し、メイビスは首を横に振って否定しながらフワリと宙に浮かぶ。そして……満面の優しい笑顔を浮かべて、マカロフに言い放った。

 

 

 

 

 

「よいギルドになりましたね──三代目」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「……と……まあ」

 

 

マカロフが全てを説明し終えると……ロメオはナツへ…ヴィヴィオはグレイとなのはへと、それぞれ戸惑ったような視線を向ける。

 

そしてその視線に気がついた3人は……そんなロメオとヴィヴィオに優しく笑いかける。

 

 

「大きくなったな──ロメオ」

 

 

「ずいぶんと待たせちまったな」

 

 

「ただいま──ヴィヴィオ」

 

 

するとロメオとヴィヴィオはその両目に涙を滲ませ、そのまま大粒の涙が溢れ出す。そして……

 

 

 

 

 

「おかえりなさい!!!! パパ!! ママ!! みんな!!!!」

 

 

「おかえり!!!! ナツ兄!!! みんな!!!!」

 

 

 

 

 

ロメオとヴィヴィオは7年間……失われていた笑顔を彼らへと向け、そう言い放ったのであった。

 

 

 

 

 

つづく

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