LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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今回はOVA要素も取り込んだのでかなり長くなってしまいました。

あとふと思いついた仮面ライダーとリリなののクロス小説を書いてたらさらに遅くなってしまいました。しかも書くだけ書いて1話完成させといて投稿しないという……まあそんな事もあって遅くなってしまいました。

今回からナツたちの合宿編です!!!

感想お待ちしております!!!


妖精の合宿

 

 

 

 

 

3ヵ月後に開催されるフィオーレ一のギルドを決める大イベント…大魔闘演武。

 

 

それは魔法を使った様々な競技で〝魔〟を競い合う祭。

 

 

その大魔闘演武に参加する事になったナツたち妖精の尻尾(フェアリーテイル)だが…7年の凍結封印の影響でブランクがある為、この時代の戦いについていけないかもしれない。

 

 

そこで彼らは大魔闘演武までの3ヶ月間……海合宿をする事になったのであった。

 

 

これから彼らのブランクを埋める為の厳しい修行が始まる。

 

 

「海だーーーーっ!!!」

 

 

「「「わーーーいっ!!!!」」」

 

 

厳しい……修行が……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第169話

『妖精の合宿』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海に来た事により、さっそく水着姿で大いに遊び始めるメンバーたち。

 

 

因みに今回海に来たメンバーは…天狼組からナツ・グレイ・ティアナ・ルーシィ・エルザ・ユーノ・レビィ・ウェンディ・キャロ・ジュビア・ルーテシア・アギト・ハッピー・シャルルの14人。

 

7年後メンバーからは…ジェット・ドロイの2人。

 

以上合計16人である。

 

 

「あんたたち!! 遊びに来たんじゃないのよ!!」

 

 

「そうだぞーーっ!」

 

 

「そんな格好で言われても……」

 

 

水着…ゴーグル…足ヒレ…浮き輪などをフル装備しながらハシャいでいるメンバーに注意するシャルルとハッピーだが、説得力が皆無の為、ユーノが呆れながら苦笑する。

 

 

「もちろんわかっている。こういうのはメリハリが大切だ。よく遊び、よく食べ、よく寝る」

 

 

「肝心な修行が抜けてるよ」

 

 

すでに遊び倒す気満々のエルザにユーノがツッコむ。

 

 

「お前らなァ、合宿が終わるまでには」

 

 

「せめて、オレらくれーには勝てるようになってもらうぜ」

 

 

そんなメンバーたちに呆れながらそう言い放つジェットとドロイだが……

 

 

「海だーーーーっ!!!!」

 

 

「よっしゃああーーーっ!!!!」

 

 

「「うひょーーーっ!!」」

 

 

大ハシャぎで海へと突っ走るナツとグレイに呆気なく刎ね飛ばされてしまい…すでに口ほどにもない2人であった。

 

 

そしてそれからというもの、ナツたちは泳いだり日焼けしたり食事したり砂で遊んだりと…大いに海での遊びをエンジョイしていた。

 

 

「それっ!!」

 

 

「はいっ」

 

 

「行くよ、ウェンディ!!」

 

 

「わっ!! キ…キャロちゃん!!」

 

 

「えっと…ルールーちゃん!!」

 

 

「ん……アギト」

 

 

「おっしゃ!!」

 

 

そして海の浅瀬の方では、ルーシィとティアナとレビィとウェンディ…そしてキャロとルーテシアとアギトの7人がビーチボールで遊んでいた。因みにその近くにはハッピーとシャルルもいる。

 

 

「よーしもういっちょっ!! それっ!!」

 

 

「オーライオーライ──きゃっ!?」

 

 

すると、ビーチボールに気を取られていたレビィが砂に足を取られたのか、その場で転んでしまった。

 

 

「「「あははははっ!!」」」

 

 

転んだレビィも含めて全員が楽しそうに海を満喫していると、ルーシィがある事に気がついた。

 

 

「あれ? そう言えば合宿に来た天狼組ってこれだけ?」

 

 

「他のみんなは別の場所で合宿してるみたいよ」

 

 

「確か…ミラさんたちキョウダイとカナさんは山で合宿。なのはさんはスバルとヴィヴィオとノーヴェを連れて森合宿。はやてさんたちヴォルケンリッターと…ラクサスと雷神衆もみんな別の場所で修行してるらしいわ」

 

 

「エリオ君とリニスも、ラクサスさんの修行について行っちゃいました。同じ雷の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)として、色々教わりたいって」

 

 

「一緒に海に来たかったのにね」

 

 

ルーシィの疑問に対しレビィとティアナがそう答え、キャロが補足し、ウェンディが残念そうに落胆する。

 

 

「んー…誰か忘れてるような……」

 

 

「ガジルとリリー」

 

 

「そういえば最近見ないわね」

 

 

「あの2人は秘密の特訓だとよ」

 

 

「私とルールーとアギトもついて行こうとしたら断られたんだよ」

 

 

「うん……」

 

 

レビィがそう言った瞬間……ティアナとルーシィとアギトが意地の悪い笑顔でレビィに詰め寄る。

 

 

「ふーん…いつも一緒のルーテシアとアギトはともかく……レビィもついて行こうとねえ?」

 

 

「アレェ? レビィちゃん?」

 

 

「試験の時から怪しいとは思ってたけど、やっぱお前……」

 

 

「ち……違う!! そーゆーのじゃないのっ!!! もぉーー!!!」

 

 

「「「あははははははっ!!!」」」

 

 

そんなこんなで、メンバーたちは海を大いに楽しんでいたのであった。

 

 

しかし当然、彼らも遊んでいるだけではない。遊んでいたのは午前中だけで、午後からはしっかりとした修行が始まった。

 

 

もちろん修行内容はそれぞれ異なる。

 

 

ルーシィはすぐに魔力切れを起こす弱点を克服する為にカプリコーンの指導のもと、魔力の器を底上げする修行。

 

 

ティアナは魔法弾をもっと自在に操る為の魔力コントロールと精密射撃の修行。

 

 

グレイは造形魔法の更なるスキルアップ。

 

 

ウェンディはユーノとレビィのアドバイスを受けながら、ポーリュシカより託された魔法書の解読。

 

 

キャロとルーテシアはひたすら互いの召喚獣を戦わせてフリードやガリューの実質的戦力向上を目的とした修行。アギトはその応援。

 

 

ジュビアは自身のテリトリーとも言える海でさらに自在に水を操る為の修行。

 

 

エルザはひたすら剣を振るい、極める修行。

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」

 

 

そしてナツは腰に巻きつけたロープと結ばれたいくつもの岩を引き摺りながら、ハッピーと共に砂浜を全力疾走していた。

 

 

「もっと強く!!!」

 

 

「あいさー!!」

 

 

「もっともっと強くっ!!!」

 

 

「あいあいさー!!!」

 

 

「オレたちのギルドをナメてる奴等を黙らせてやる!!!!」

 

 

「あい!!!」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の力を見せてやるんだーーーっ!!!」

 

 

「見せてやるぞーっ!!!」

 

 

それから彼らは、日が暮れるまでひたすら各々の修行に励んだのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「しっかし、ボロい民宿だなー」

 

 

「そういや、前にアカネビーチに来た時って、すっげホテルに泊まったよな」

 

 

「忘れたのか? あれはロキがチケットくれたから泊まれたんだろーが」

 

 

「まあ、今のうちのギルドじゃ予算的にここでも一杯一杯だよ」

 

 

「んな事よりハラ減ったぞー」

 

 

「確か夕食は、大広間で海鮮料理が用意されているらしいよ」

 

 

「おーし、食いまくるぜ!!」

 

 

その夜…特訓を終えて宿である民宿へと戻ってきたナツたちは浴衣に着替え、夕食にありつく為に大広間へとやって来てふすまを開ける。

 

 

「「「!!?」」」

 

 

だがそのふすまを開けた瞬間……彼らは固まってしまった。何故ならそこにいたのは……

 

 

「足りん!! 酒が足りんぞ!!!」

 

 

酒瓶片手に怒鳴るエルザ。

 

 

「ふにゃ~~」

 

 

「目がまわりゅ~」

 

 

「……気持ち悪い」

 

 

「何かすっげぇグルグルすんぞ~?」

 

 

目を回して床にダウンしているウェンディ、キャロ、ルーテシア、アギトの年少組。

 

 

「ウェンディ~アギト~みんな~しっかり~」

 

 

そんな4人に何故か号泣しながら声をかけているジュビア。

 

 

「ねーねージュビア~遊ぼ~よ~」

 

 

お猪口片手にジュビアに絡んでいるルーシィ。

 

 

「あはははははっ!! た~のしい~!!!」

 

 

酒瓶を振り回しながら大笑いしているレビィ。

 

 

「う~…う~……」

 

 

部屋の片隅で虚ろな目で何やら唸りながら部屋を見回しているティアナ。

 

 

大広間にいた女性陣の様子が明らかにいつもと違っており、さらに全員頬を朱に染めていた。そして部屋の片隅には空になった料理の皿と酒瓶が大量に山積みになっている。

 

 

「り…料理が……」

 

 

「全部食ったのか……」

 

 

「み…みたい……だね」

 

 

「信じらんねえ…お前ら酒飲んでんだよ」

 

 

「女将ーー!!! 何でここに酒がはっ!!!?」

 

 

完全に酔っ払っている女性陣を見て唖然とする男性陣を代表して、グレイが民宿の女将に怒鳴ろうとした瞬間…エルザの投げたお猪口がグレイの頭に直撃した。

 

 

「うるさいぞグレイ……お前もこっち来て飲め。そして酒を注げ──ってか酒を注げェ!!!!」

 

 

「超絶めんどくせえ…あがっ!!!!」

 

 

凄まじい剣幕で怒鳴ってくるエルザに対し、グレイがボソリと文句を言った瞬間、今度は酒瓶が彼の頭を直撃した。

 

 

「ダーメーでーすー!!! グレイ様はジュビアのモノ!! ジュビアのモノなんですよー!!!」

 

 

「ええい放せっ!!」

 

 

そんなエルザに泣き上戸となって号泣しているジュビアが絡んでいた。

 

 

「コーラー!! ちゃんと走りなさい!! アンタは馬なのよー!!」

 

 

「オイラ猫だよ~」

 

 

そしてシャルルも酔っ払ってハッピーに跨り、彼に部屋中を飛び回らせていた。

 

 

「シャルルまで……ん?」

 

 

その光景にユーノが呆然としていると、何やらルーシィがユーノの事をジッと見つめていた。

 

 

「ジーーーーー」

 

 

「ル…ルーシィ?」

 

 

そんなルーシィの様子に嫌な予感がしてユーノは顔を引きつらせる。そして当のルーシィは、酔っている影響で視界がブレ…ユーノの姿が2つに見えていた。

 

 

「ユーノが2人いる~!! わぁ~い!!」

 

 

「ルーちゃ~ん!! ヒック…ユーノが2人いる訳ないじゃ~ん!! あははははっ!!!」

 

 

嬉しそうに喜ぶルーシィと笑い上戸なのか愉快そうに大笑いしているレビィ。

 

 

「まさに……カオスだ……」

 

 

その光景を見て、ナツは唖然としながらそう呟いた。すると……

 

 

「ナーツー!!!」

 

 

「うおっ!?」

 

 

そんなナツの背中にのしかかる様に飛びついてきたのは……何とティアナであった。

 

 

「ナ~ツ~…ヒック…他の女の子を見ちゃ……めっ…だよぉ」

 

 

「ティ…ティア?」

 

 

いつもと違ってどこか幼い印象を受ける言葉遣いのティアナに、目を丸くするナツ。

 

 

「? どーしたのナツゥ?」

 

 

「い…いや何でもねえ……」

 

 

「そっか♪ えへへ♪」

 

 

「……こんなんティアじゃねえ……」

 

 

いつもと違って無邪気な笑顔を浮かべているティアナを見て…ナツはさらに顔を引きつらせたのであった。

 

 

「さあさあグレイ様、お1つどーぞ♪」

 

 

「いっ!?」

 

 

一方でグレイはジュビアに酒を勧められており、さらにその際に彼女の豊満な胸を押し付けられていた。

 

 

「ちょ…ちょっと待て……!!」

 

 

そんな彼女から逃れようとするグレイだが……

 

 

「うぅ…ジュビアのお酒を飲んで欲しかったのに……飲めないと言うのなら、だったらいっそジュビアを飲んでーーー!!!!」

 

 

ジュビアは号泣しながら液状化し、グレイの体を包み込んだのであった。

 

 

「誰かーーー!!! 助けてくれーーー!!!!」

 

 

そして部屋にはグレイの助けを求める声が響いたのだが……その場に彼を助けられる者など存在しなかった。

 

 

さらにもう一方では……

 

 

「おい…オレたち何で怒られてんだ?」

 

 

「……さあ」

 

 

「誰が私語を許したバカ者が!!! 座れっ!!!」

 

 

「もう座ってます」

 

 

「正座だ!!」

 

 

「もう正座してます」

 

 

「ええい口答えするなーーーっ!!!!」

 

 

「「ヒィーーー!!!!」」

 

 

「おいワカバ、お前いつからそんなに太った?」

 

 

「オレドロイっス」

 

 

「エルフマン、お前いつからそんなに小さくなった?」

 

 

「オレジェットっス」

 

 

「口答えする気か!!! そこに直れ!!! 斬るっ!!!」

 

 

「「ギャーーー!!!!」」

 

 

ジェットとドロイの2人が怒り上戸となったエルザに理不尽な説教を受けていたのであった。

 

 

「はいユーノ、たまご焼き、あ~ん」

 

 

「えっ!? えっと……あ…あ~ん……」

 

 

「おいしい?」

 

 

「う…うん……おいしいよ」

 

 

「じゃあもっと食べて~♪」

 

 

「あ…あははははは……」

 

 

その一方ではルーシィが僅かに残っていた料理をユーノに食べさせており、ユーノは彼女の行動に戸惑いながらも引きつった笑顔を浮かべながらその行為を受けていたのであった。

 

 

「えへへ♪ ナ~ツ~♪」

 

 

「んがーーっ!!! お前はそういうキャラじゃねえだろーーー!!!」

 

 

そして視点は戻りナツの方では、ティアナがナツに甘えるように身を寄せてきた為、普段との彼女のギャップにナツは思わず叫んでしまう。

 

 

「うぅ……怒られちゃった……」

 

 

「へ?」

 

 

しかし、それを怒られたと受け取ってしまったティアナは落ち込み、部屋の隅で三角座りを始めた。

 

 

「ナツに怒られちゃった……ナツに嫌われちゃったよぉ……」

 

 

「い…いや別に怒っちゃいねーし、嫌ってもねーよ」

 

 

今にも泣きそうな表情でそう呟くティアナに、ナツが慌てて弁解するようにそう言うが……

 

 

「じゃあ……私をナデナデして」

 

 

「……………ナ…ナデナデ?」

 

 

そんなティアナの要望に、ナツは思わず目を丸くした。

 

 

「そっ、ナデナデ♪」

 

 

「…………」

 

 

そう言って自身の頭を指差して撫でる場所をアピールするティアナ。そんな彼女に戸惑いながらも、ナツはぎこちない動作でティアナの頭に手を置き、そのまま静かに撫でる。

 

 

「えへへ~♪」

 

 

「!!!?」

 

 

そして嬉しそうに笑うティアナを見て、謎の危機感を感じたナツは堪らず叫ぶ。

 

 

「だーーっ!!! これは妖精の尻尾(フェアリーテイル)存亡の危機だ!!! 男ども集まれ!!! 作戦会議だーーーっ!!!!」

 

 

そう叫んで部屋にいる男性陣に集合をかけるナツだが……

 

 

「アンタはロバよ!! いーい!? ロバなのよ!!」

 

 

「あい~…」

 

 

相変わらずハッピーはシャルルを背に飛び回っており……

 

 

「グレイ様~♡ 好き好き~♡」

 

 

「ギャーー!! やめろーー!! オレまで溶けるーーっ!!!」

 

 

グレイは液状化したジュビアに抱きつかれて身動きを封じられ……

 

 

「ユーノ~! ゴロゴロ~ってして~♪」

 

 

「ええっと……こう?」

 

 

「にゃ~♪」

 

 

ユーノはルーシィの顎を猫のように撫で、同時に猫化した彼女の相手をしており……

 

 

「どこに行った!? 出て来い!!!」

 

 

「足元で……」

 

 

「死んでますが……」

 

 

ジェットとドロイの2人は怒り狂うエルザの足元で屍と化し……男性陣全員が酔った女性陣の前に全滅しており、ナツの集合に応じることが出来なかった。

 

 

「ぜ…全滅……」

 

 

その光景を目の当たりにしたナツは、絶望感を露にした表情でそう呟いたのであった。そしてそんなナツの背後から……再び酔った女の魔の手が迫る。

 

 

「ナツ~♪ もっかいナデナデして~♪」

 

 

「ギャーーーーーー!!!!」

 

 

この日を境に、彼女たちには絶対に酒を飲ませてはならないと誓った男性陣であった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そんなこんなで大広間での酒騒動のあと……酔いが醒めた女性陣は民宿の露天風呂で入浴を楽しんでいたのだった。

 

 

「はぁ~やっと目が覚めてきました」

 

 

「気持ちいいね~」

 

 

「………極楽」

 

 

「温泉なんて久しぶりだな~」

 

 

ウェンディ…キャロ…ルーテシア…アギトの年少組4人が湯に浸かりながらホッと一息つく。

 

 

「うーむ……全然記憶がないのだが、なぜ男どもはあんなに怯えていたのだ?」

 

 

体にタオルを巻いて岩場に腰を下ろし、足だけ湯につけた状態のエルザがそう疑問を口にする。どうやら彼女たちは酔っていた影響で先ほどの騒動の事を一切覚えていないようだ。

 

 

「はぁ~…気持ちいい~♪」

 

 

「修行で疲れたあとだから格別ね~♪」

 

 

「疲れがとれますね」

 

 

「ここの湯は美肌効果があるんだって」

 

 

「そうなんだ~」

 

 

「最高だな~」

 

 

「てか何でハッピーがいるのよ!?」

 

 

「オイラ猫ですから」

 

 

「ジュビア…恥ずかしい……」

 

 

そう言って女性陣が露天風呂を心行くまで堪能している隣りの……男湯の方では……

 

 

「アイツら、さっきは散々ナメたマネしてくれたよな」

 

 

「見せてもらうぜ、スッポンポン」

 

 

「やめときなって、もしバレたら本気で殺されるよ?」

 

 

「大丈夫だって。それに温泉に来たらお約束って奴だしな……」

 

 

「そんな事よりハラ減った……」

 

 

ナツたち男性陣が男湯と女湯を分け隔てる壁にこっそりと身を寄せ、女湯を覗こうとしていた。そんな彼らをユーノは止めようとしたが、なんやかんやで一緒に連れて来られてしまっている。

 

 

「見て! 星がきれい」

 

 

そうとは知らない女性陣は、暗い夜空で悠然と輝く満天の星々に見惚れていた。

 

 

「今頃他のみんなも修行がんばってるのかな」

 

 

「私たちと同じように星を見てるかもしれませんね」

 

 

「そうかもしれないね」

 

 

そんな会話をしながら静かに星空を眺める女性陣。そんな中…ティアナが星を眺めながらポツリと呟く。

 

 

「私たちももっとがんばらないとね……ギルドの為にも」

 

 

ティアナのそんな強い決意ともとれる呟きはその場にいた女性陣全員の耳に届いており、彼女たちはそれに同意するかのように笑顔を浮かべたのであった。

 

 

「! 何奴!?」

 

 

すると次の瞬間……何かの気配を感じ取ったエルザが換装で取り出した5本のクナイを男湯の方へと投擲し、壁に突き立てたのであった。

 

 

「どうしたのエルザ?」

 

 

「いや…曲者の気配がしたような……気のせいか」

 

 

「もしかして、男連中が覗いてたんじゃねーのか?」

 

 

「「サイテーです!!」」

 

 

「グレイ様はそんな事しません!!」

 

 

エルザの言葉を聞いて、アギトとウェンディとキャロが男性陣に覗きの疑いを持つが、ジュビアが否定する。

 

 

「ナツたちか? ならばかまわんな、呼んでこよう。一緒に入るか」

 

 

「「ダメーーーッ!!!!」」

 

 

とんでもない事を言ってナツたちを呼びに行こうとしたエルザを、ティアナとルーシィが必死に止めたのであった。

 

 

そして男湯の方では……

 

 

「し…死ぬかと思った……」

 

 

「だからやめときなって言ったのに……」

 

 

「付き合うんじゃなかったぜ」

 

 

「ノリノリだったじぇねーかお前」

 

 

「おぉおぉぉ」

 

 

「「「てかお前どこ刺さってんだよ!!!!」」」

 

 

エルザの放ったクナイの刃は見事に壁を貫通して、ナツたちの額(ドロイだけ何故かケツ)に刺さっていたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そして一夜が明け……海合宿2日目。

 

 

「うーん!! 充実してるなァーー!!」

 

 

「オレたちが本気で体を鍛えりゃ」

 

 

「まだ2日目でも、かなり魔力が上がったわね」

 

 

そう言うナツとグレイとティアナたちは海で修行し、確実に鍛えられた実感を感じていた。

 

 

「この調子で3ヶ月鍛えれば、この時代に追いつくのも夢ではなさそうだ」

 

 

「うん」

 

 

「かーっかっかっかっ!!! 見てろよ!!! 他のギルドの奴等!! 妖精の3ヶ月炎のトレーニングの成果をなーーーっ!!!!」

 

 

「最初はたった3ヶ月?って思ってたけど、効率的に修行すれば〝まだ〟3ヶ月もあるの?って感じね」

 

 

「そうだね、まだ2日目でこれだけ魔力が上がったんだから、3ヵ月後には必ず成果が出るよ」

 

 

「あい」

 

 

ルーシィとユーノのそんな会話のあと、再び3ヵ月後に控えた大魔闘演武に向けて修行を再開する一同。だがその時……

 

 

「姫! 大変です」

 

 

「キャーー!! どこから出て来てんのよーーっ!!」

 

 

ルーシィが座っていた箇所の砂の中から突然、ルーシィの星霊であるバルゴが姿を現した。

 

 

「そういえば、ルーシィが7年間妖精の球(フェアリースフィア)の中にいたって事は……彼女やロキを含めた他の星霊たちも7年間星霊界にいたって事になるんだ」

 

 

「いえ……それは大した問題ではないのですが」

 

 

ユーノの言葉に対してそう答えるバルゴだが、無表情である彼女の顔はどこか暗かった。

 

 

「何かあったの?」

 

 

そんな彼女の様子を見たレビィがそう問い掛けると……バルゴはしばらくの沈黙のあとゆっくりと口を開いた。

 

 

「星霊界が滅びの危機なんです。みなさん…どうか助けてください」

 

 

「……!!!」

 

 

「何だと?」

 

 

「星霊界が?」

 

 

「そりゃ一体……」

 

 

星霊界が滅びるという穏やかではない話を聞いて、ルーシィは目を見開いて驚愕し、エルザとティアナとグレイがそう声を上げる。そしてバルゴはそんな彼らに向かって頭を下げる。

 

 

「星霊界にて王がお待ちです。みなさんを連れてきてほしいと」

 

 

「おし!! 任せとけ!!! 友達の頼みとあっちゃあ…」

 

 

「待って!! 星霊界に人間は入れないハズじゃ」

 

 

「星霊の服を着用すれば、星霊界にて活動できます。行きます」

 

 

「ちょ…まだ心の準備が……!!」

 

 

するとバルゴは足元に巨大な魔法陣を展開し、眩い輝きがナツたちを包み込み始める。

 

 

そして光が消えた次の瞬間……そこにナツたちの姿はなく、彼らは星霊界へと旅立っていったのであった。

 

 

「……何でオレたちだけ」

 

 

「おいてけぼり?」

 

 

ジェットとドロイの2人を残して。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「うわ!」

「ぎゃ!」

「きゃっ」

「あう」

「ぽぎゃ」

 

 

その後……星霊界へと転送されたナツたちは出現した場所が空中だったので、ドサドサと音を立てて落ちて山積みになる。因みに転送の合間に、全員星霊の服へと着替えさせられていた。

 

 

「!!!」

 

 

「ここが星霊界!?」

 

 

「わあ♪」

 

 

「きれいだね……」

 

 

そんな彼らの目に映ったのは……満天の星空にいくつもの惑星が浮かび上がり、星屑の結晶が輝いている神秘的かつ幻想的な世界であった。

 

そして彼らがそんな星霊界に見惚れていると……

 

 

「よく来タな、古き友よ」

 

 

そこへ見上げるほどの巨体に立派なヒゲをはやし、どこか威厳に満ち溢れた星霊が現れた。

 

 

「でかっ!!!」

 

 

「ヒゲー!!」

 

 

「あんたは……星霊王!!!!」

 

 

その巨人の星霊こそ……この星霊界を治める星霊王であった。

 

 

「お前がここの王か」

 

 

「いかにも」

 

 

「「「(お前って言ったー!)」」」

 

 

相手が星霊の王であるにも関わらず、いつもの態度を崩さないエルザにウェンディとキャロとレビィとアギトは戦慄した。

 

 

「星霊界が滅亡の危機って……」

 

 

「……………」

 

 

そしてルーシィが本題について問い掛けると、星霊王は口を閉じて沈黙する。

 

 

するとしばらくの沈黙のあと……星霊王は突然ニカっと口元に笑みを浮かべて……

 

 

 

 

 

「ルーシィとその友の!!!! 時の呪縛からの帰還を祝してぇ!!!! 宴じゃーーーーっ!!!!!」

 

 

「「「オオオオオオオオッ!!!!」」」

 

 

 

 

そう言い放った瞬間、どこに隠れていたのかルーシィと契約している星霊たちが一斉に姿を現したのだった。

 

 

「「「……へ?」」」

 

 

いきなりの事についていけず、ポカーーンと口を空けて呆然とする一同。そしていち早く復活したルーシィが連れてきた張本人であるバルゴに問い掛ける。

 

 

「星霊界の滅亡って!?」

 

 

「てへ」

 

 

「何ーー!!」

 

 

イタズラが成功したかのような笑みを浮かべるバルゴを見て、滅亡の話がウソだと判明した。

 

 

「ガハハハハハッ!!! MO騙してスマネッス」

 

 

「驚かせようと思ったエビ」

 

 

「ルーシィ様たちの帰還を祝して、(メエ)たちなりに考えたのです」

 

 

「みーんなでお祝いしたかったけど、いっぺんには人間界に顕現できないでしょ」

 

 

「だからみなさんの方を星霊界に呼んだの。スミマセン」

 

 

「今回だけだからな。ウィ」

 

 

「そう! 特別よ」

 

 

「「ピーリピーリ」」

 

 

「なーんだそーゆー事かーーーっ!!!」

 

 

「もしもしーーっ!!」

 

 

「ビックリさせやがってーーっ!!」

 

 

星霊たちの説明を聞いて納得したナツたちは、安心すると同時に彼らの心遣いに喜んだ。

 

 

「久しぶりだねみんなー!! さあ!! 僕の胸に飛び込んで来てもいいよルーシィ」

 

 

「……もう」

 

 

「あはは! ロキは相変わらずだね」

 

 

星霊の1人であり、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の仲間でもあるロキの変わらない姿を見て、呆れながらも嬉しそうな表情を見せるルーシィとユーノ。

 

 

「さぁ!!! 今宵は大いに飲め!!!! 歌え!!!! 騒げや騒げ!!!! 古き友との宴じゃ!!!!」

 

 

「「「オーーーッ!!!!」」」

 

 

星霊王の言葉に、今度はナツたちも一緒になって歓声を上げた。

 

 

そして人間と星霊による宴が開かれ、彼らは大いに飲み食いしながら騒ぎ始めたのだった。

 

 

「元気だったか」

 

 

「試験は残念だったね」

 

 

S級試験でチームを組んでいたグレイはロキとの再会を喜び、互いに拳をぶつけ合わせる。

 

 

「あの時はどうもありがとうございました」

 

 

「いえいえ、礼には及びません」

 

 

「でも…あの……服が脱げたのは恥ずかしかったです……エリオ君も近くにいましたし……」

 

 

「いや…あれは…その……」

 

 

「『失礼しました』と申してます」

 

 

ハデス戦にてホロロギウムに助けられたウェンディは彼にお礼を言うが、そのあとに起きたハプニングに恥ずかしそうに頬を染める。それを見て言いよどむホロロギウムの後ろから、ルーシィが彼の言葉を代弁したのだった。

 

 

「いつかルーシィと合体した女ね」

 

 

「合体って!!」

 

 

「男は出来たのかい?」

 

 

「いえ…その……」

 

 

「あ~あ、情けないね。そんなんじゃルーシィみたいになっちゃうよ」

 

 

「どーゆー事よ」

 

 

ジュビアとアクエリアスは同じ水使いとして引き合ったのか、仲良く話し込んでいる。

 

 

「わあ♡ すごい!!」

 

 

「見た事ない本ばかりだ!!」

 

 

「ほマ!! お土産に1冊だけ…」

 

 

「ええ!?」

 

 

「いいんですか!!?」

 

 

「ぐー…ぐー…」

 

 

「「寝た!!!」」

 

 

「大丈夫! 考え中だから」

 

 

ルーシィの契約星霊である南十字座のクルックスに星霊界の本を1冊貰えると聞いて、本好きのレビィとユーノはかなり喜んだのであった。

 

 

「エルザさ~ん、MO相変わらず見事な乳で……」

 

 

「そうか?」

 

 

「ちょっと飛び跳ねてくれませんか? ピョンピョンって」

 

 

「なぜだ」

 

 

「あの星霊イヤ……」

 

 

「「私もです」」

 

 

「……女の敵」

 

 

「宴の席じゃなかったら絶対燃やしてるな」

 

 

エルザの胸に釘付けのタウロスは彼女に奇妙な要求をしており……その様子をレビィとウェンディ、キャロ、ルーテシア、アギトたち年少組は冷めた目で見ていた。

 

 

「うめぇーーっ!!! 何だこの食いモン!!!!」

 

 

「本当に美味しいわね……なんていう料理なの?」

 

 

食事の席ではナツが手当たり次第に料理をドカ食いしており、その隣りで普通に食事しているティアナが料理の材料について問い掛けるが……

 

 

「カニのペスカトーレ、星屑バター添え」

 

 

「そっちはハマルソースの子羊(ラム)ステーキです」

 

 

「ごべんださい!!!!」

 

 

「食欲なくすわ!!!!」

 

 

カニ座のキャンサーとお羊座のアリエスが料理名を答えた瞬間、ナツは彼らに謝罪し、ティアナは大声でツッコミを入れたのだった。

 

 

「それにしても、ここは不思議な所だね」

 

 

「あたしも星霊界がこんなふうになってるなんて知らなかった」

 

 

そう言ってユーノとルーシィが改めて星霊界を見渡していると、2人の目の前にいた星霊王が口を開いた。

 

 

「それは当然。いくら古き友といえど、ここに招いたのはそなたが初めて」

 

 

「それだけルーシィが星霊に認められてるって事だね」

 

 

星霊王の言葉を聞いて嬉しそうな顔をしているルーシィの頭を、ユーノが優しく撫でる。

 

 

「~~~♪~~~♪~~♪~~~♪」

 

 

すると…琴座のリラがハーブを引きながら優しい歌声で歌い始める。

 

 

ナツたちはその歌を聞きながら星霊たちと肩を組んで踊ったり…飲み食いしたり…談笑したりなど大いに星霊たちとの宴を楽しんだ。

 

 

その光景を眺め、リラの心に響く歌を聴きながら……ルーシィは今は亡き父親との思い出を脳裏に浮かべ……静かに涙を流した。

 

 

「ありがとうみんな……大好き……」

 

 

そして心からの感謝の言葉を大好きな星霊たちに送り……それを聞いた星霊王は満足そうに笑みを浮かべたのであった。

 

 

「ウム……存分に楽しんでしまった」

 

 

「料理もスッゲェうまかったよなー!」

 

 

「美味しかった」

 

 

「こんなうめえモン食った事ねーよ」

 

 

「食ったのか!? 食ったのかお前らーーー!!!」

 

 

「諦めなさいナツ……もう割り切るしかないわ」

 

 

それから……ほぼ1日の時間を費やし、とうとうその宴もお開きの時間を迎えたのだった。

 

 

「本当にコレ、もらっていいの?」

 

 

「星霊界の本……考古学者として研究のしがいがあるよ」

 

 

「私…この服が欲しいです」

 

 

「私も! かわいいよね♪」

 

 

お土産の本や服を貰い、上機嫌のユーノやウェンディたち。

 

 

「変なプルーが離れないよォ~~」

 

 

「あっちも妙に気が合っちゃって」

 

 

「苦労してんだねアンタ」

 

 

「アクエリアスさんこそ!!」

 

 

たくさんいるプルーこと…仔犬座のニコラの中でも特に変なのに懐かれてしまったハッピーと、この宴の中でかなり意気投合したジュビアとアクエリアス。

 

 

「古き友よ、そなたには我々がついてイル」

 

 

「うん!!!」

 

 

「これからもよろしく頼むぜ」

 

 

「いつでも(メエ)たちを呼んでください」

 

 

「またギルドに顔を出すよ」

 

 

「みなさん、ルーシィさんをこれからもよろしくお願いします!!」

 

 

星霊王やロキたちの言葉に、ナツたちは言葉ではなく笑顔で応える。

 

 

「では!! 古き友に星の導きがあらん事を!!!!」

 

 

そう言い残して……星霊王や他の星霊たちは、その場から姿を消したのであった。

 

 

「ルーシィは本当に星霊に愛されてるね」

 

 

「みんな最高の仲間だよ」

 

 

ユーノの言葉に嬉しそうにそう答えるルーシィ。

 

 

「さーて!! だいぶ遊んじまったし、帰ったらたっぷり修行しねーとな」

 

 

「そうね。この3ヶ月でこの時代の戦いに追いつかないといけないし」

 

 

「そういえば1つ、言い忘れてた事が」

 

 

「「「?」」」

 

 

人間界に帰ったらまた修行に励むためにナツとティアナがそう言うと、彼らを送る為に残っていたバルゴが思い出したように口を開く。

 

 

「星霊界は人間界とは時間の流れが違うのです」

 

 

「まさかそれって…こっちでの1年が人間界での1日……みてーな?」

 

 

「夢のような修行ゾーンなのかっ!!?」

 

 

もしそうであれば今のナツたちにとっては願ったり叶ったりの世界であり、彼らはバルゴの言葉に期待する。

 

 

 

 

 

しかし……現実はそう甘くはなかった。

 

 

 

 

 

「いいえ〝逆〟です。星霊界で1日過ごすと、人間界では〝3ヶ月〟経ってます」

 

 

 

 

 

「「「…………え?」」」

 

 

そしてナツたちが送られたのは……もうすっかりシーズンが過ぎ去り、まったく人気のなくなったアカネビーチであった。

 

 

「みんな~! 待ちくたびれたぜ!」

 

 

「大魔闘演武はもう5日後だぜ!!! すげー修行してきたんだろーなァ!!!」

 

 

そんな彼らを迎えたのは3ヶ月間この場所で待っていたジェットとドロイの2人。しかしナツたちはそんな2人に応えずに目を点にして立ちすくみ……静かにその場で倒れたのであった。

 

 

 

「「「終わった」」」

 

 

「ヒゲー!!!! 時間返せーーー!!!!」

 

 

 

ナツたちの貴重な海合宿は、体感時間わずか2日で終了してしまったのであった。

 

 

 

 

 

つづく




合・宿・終・了!!!!
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