LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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2話目はちょっと短めです。


空中迷宮

 

 

 

 

 

 

「おまえたち、今まで一体どこほっつき歩いていたんだ!!」

 

 

時刻は深夜の12時前……ハニーボーンの部屋にてベッドに座り、手と足を組んだパジャマ姿のエルザの視線の先には、ナツとハッピーと…ティアナとグレイ…ルーシィとユーノが床に座り込んでいた。

 

 

「まったく楽しくない食事と必死の弁明を……」

 

 

「バカが変なのに絡んでました」

 

 

「えーっと…ちょっと観光に夢中に」

 

 

「同じく」

 

 

「「あいつらだけは絶対許せん!!!!」」

 

 

どこかうんざりとした表情で答えるグレイと…包み隠さずハッキリと答えるティアナ。ルーシィとユーノは2人して少々赤面しながら答え…ナツとハッピーは先ほどのスティングとレクターの言葉を思い出して叫んでいた。

 

 

「ところでウェンディとキャロはまだかっ」

 

 

「そういえば…」

 

 

「遅えな」

 

 

「シャルルと一緒のハズだし、2人して迷子になるとは思えないんだけど」

 

 

「もうすぐ12時か……」

 

 

「あんな小さい子たちがこんな夜遅くまで……」

 

 

心配そうにそう呟くルーシィの頭には……夜更かし→悪友→不良となるウェンディとキャロとシャルルの姿が‥…

 

 

「あああ……どうしよう……」

 

 

「小説書きはみんな、こーゆー想像力なのか?」

 

 

「いや…みんながみんなそうという訳じゃないけど……」

 

 

「てゆーかあんな優しい子たちがたった1日でそんなに変わる訳ないでしょうに」

 

 

ルーシィの想像力に若干引き気味のグレイと、苦笑を浮かべるユーノ。そして呆れながらそう言うティアナであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第172話

空中迷宮(スカイラビリンス)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう、差し入れに来たぜー」

 

 

「いよいよ明日だね」

 

 

「みんな久しぶりー!」

 

 

「やっほーパパ♪」

 

 

「エルフマン、ヴィヴィオ」

 

 

「リサーナにスバルも」

 

 

するとそこへ、差し入れの品々を持ってきてくれたエルフマン、リサーナ、スバルの3人と…偶然彼らとそこで合流したヴィヴィオが部屋にやって来た。

 

 

「山ごもりから戻ってたのか」

 

 

「かなり力をつけたつもりだったのに選考からハズれるとは……うあっ!!! オレも出てえ!! リサーナや姉ちゃんにイイとこ見せてえ!」

 

 

「私もまたギン姉と戦えると思ってワクワクしてたのになぁ……」

 

 

3ヶ月しっかり修行したにも関わらず、出場メンバーからハズされてしまった事に悔しそうに唸るエルフマンとスバル。

 

 

「つーかヴィヴィオ、お前のせいで色々と大変だったんだぞ!!」

 

 

「(≧ڡ≦)てへぺろ」

 

 

「そんなモンで誤魔化すな!!!!」

 

 

グレイは昼間の事でヴィヴィオに文句を言おうとするが、なんやかんやで結局誤魔化されてしまった。

 

 

「しかしちょうどよかった。1つ頼まれてくれないか?」

 

 

「何?」

 

 

「ウェンディとキャロがまだ戻ってこないのよ。12時には宿にいなきゃいけないのに」

 

 

「12時に何かあるの?」

 

 

「よくわからねーけど、12時にここにいろってルールが……」

 

 

すると、ちょうど部屋に備え付けられていた時計が12時を指し、ゴーンっと鐘の音を鳴らした。

 

 

「……とか言ってるうちに12時か」

 

 

「なんか…鐘の音が街中から聞こえてない?」

 

 

「一体何があるんだ」

 

 

街中から聞こえる時計の鐘の音。そしてその瞬間……突然街の中央カボチャの被り物を被った人物の映像が映し出される。

 

 

『大魔闘演武にお集まりのギルドの皆さん♪ おはようございます♪ これより参加チーム162を10にしぼる為の〝予選〟を開始しま~す♪』

 

 

「予選だと!?」

 

 

「聞いてないぞ!!!」

 

 

「何だアレ!! でけェ!!!」

 

 

魔水晶映像(ラクリマヴィジョン)による立体映像ね」

 

 

「かぼちゃーーーっ!!」

 

 

そして映像に映った司会者と思われるカボチャ頭の人物の宣言を聞いたエルザたちは驚愕する。予選の存在に驚いたのもあるが…もう1つ不可解な事があった。

 

 

「(162……!!? あれ? フィオーレ中のギルドの数にしては多すぎるような……)」

 

 

「(予選ならば事前に通達しておけばよいものを……不可解な段取り…多すぎるギルド…謎の魔力……怪しむべきは主催者側か)」

 

 

ルーシィとエルザがそんな事を考えている間にも、カボチャの司会者の説明は続く。

 

 

『毎年参加ギルドが増えて~内容が薄くなってるとの指摘をいただき~♪ 今年は本戦を10チームのみで行う事になりました~♪ 予選のルールは簡単!!』

 

 

そんな宣言と共に、突然地響きが鳴り響く。

 

 

「何だ!?」

 

 

「これは…!?」

 

 

同時に宿が動き出し、なんと宿が変形し始める。そして宿の変形が終わると……地上を離れ高い位置にいた。そしてそれは大魔闘演武に参加するギルドも同じであり、街の各地にある宿屋も同じ様に変形し高くなっていた。

 

 

『これから皆さんには競争をしてもらいます♪ ゴールは本戦会場ドムス・フラウ♪ 先着8チームの本戦出場となります♪』

 

 

「宿屋が予選のスタート地点という訳か!!」

 

 

「見て! 道が出来ていくわ!!」

 

 

「ここを進めという事か」

 

 

ティアナが指差した先には、木の板で作られた階段のような道が作られていき…そのまま真っ直ぐと空に向かって伸びていく。

 

 

『魔法の使用は自由、制限はありません♪ 早くゴールした上位10チームのみ予選突破となります♪ ただし7人全員そろってゴールしないと失格♪」

 

 

「「「!!!!」」」

 

 

「そ・れ・と♪ 迷宮で命を落としても責任はとりませんので♪』

 

 

「迷宮!?」

 

 

「アレだ!!!」

 

 

ユーノが指を差す先へ目を向けると、そこには空中に浮かぶ巨大な球体があった。

 

 

 

『大魔闘演武予選!!!! 空中迷宮(スカイラビリンス)──開始!!!!』

 

 

 

そしてカボチャの司会者は、両手を広げ高らかに開始の合図を告げたのであった。

 

 

「なんだありゃ!?」

 

 

「あそこを通ってゴールを目指せって事ね」

 

 

「競争っつーなら、急がねえとな!」

 

 

「待て、ゴールの規定が『7人そろって』だぞ!! ウェンディとキャロがまだいない」

 

 

「ウェンディ~~!!! キャロ~~!!!」

 

 

現在宿にいる出場メンバーは5人……このままではスタートすら危ぶまれたその時……

 

 

「2人がいなくても、漢がここにいる!!!! メンバー変更じゃい~っ!!!!」

 

 

「「「え~~~っ!!!?」」」

 

 

なんとエルフマンが独断でメンバー変更を宣言し、他の5人を抱えてスタートしてしまった。

 

 

「仕方ねえか…ウェンディを待ってる時間もなさそうだし」

 

 

「頼むぞエルフマン!!」

 

 

「任せておけぃ!!!」

 

 

「それでもあと1人足りない……」

 

 

「リサーナ!! ユーノ!! スバル!! ヴィヴィオ!! 誰でもいいからあと1人こっちへ来い!!!」

 

 

「「「!」」」

 

 

そしてエルザがそう叫ぶと、宿に残った4人のメンバーが顔を見合わせる。

 

 

「僕は遠慮するよ。ウェンディとキャロが心配だ」

 

 

「私も残って2人を探すわ」

 

 

そう言ってユーノとリサーナは行方不明のウェンディたちを探す為に辞退し、残ったスバルとヴィヴィオは顔を見合わせ……

 

 

「ジャン!!!」

「ケン!!!」

「「ホイ!!!!」」

 

 

スバル→グー

ヴィヴィオ→パー

 

 

「やったぁ!! ヴィヴィオの勝ちぃ♪」

 

 

「うわーん!! 負けたーーーっ!!!」

 

 

ジャンケンの結果…ヴィヴィオが行く事となった。

 

 

「残った3人はハッピーと一緒にウェンディたちを探してくれ!! トラブルに巻き込まれてなければいいが──」

 

 

「うん!! ギルドの人間何人かに声かけてみる!」

 

 

「ウェンディたちは僕たちに任せて!」

 

 

「絶対予選を勝ち抜いてきてよ!!!」

 

 

「みんなー!! がんばってねーーっ」

 

 

残ったメンバーの声援を後ろで聞きながら、空中迷宮への道を突っ走る出場メンバーの7人。

 

 

「迷宮の入り口だ!!」

 

 

「いーや!! フィオーレ1への入り口だっ!!! チーム妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!!! 行くぞ!!!!」

 

 

「「「オオッ!!!!」」」

 

 

そしてナツたちチーム妖精の尻尾(フェアリーテイル)の7人は…意気揚々と迷宮に足を踏み入れたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

空中迷宮(スカイラビリンス)の中へと突入したナツたちの目の前に広がっていたのは……迷宮の名の通り、立体的に入り組んだ迷路になっていた。

 

 

「中は立体的な迷路になってるのか」

 

 

「慎重に行かないとすぐに迷子になっちゃうね」

 

 

「だーーーっ!! こーゆーのは苦手だっ!!!」

 

 

「基本は〝東〟へ向かって進めばいい!! 会場は東の方だった」

 

 

「そーゆー事ならまかせて!! 開け!! 羅針盤座の扉、ピクシス!!!」

 

 

そう言ってルーシィが銀色の鍵で召喚したのは、頭に方位磁石が付いた鳥のような姿をした星霊であった。

 

 

「ピクー!」

 

 

「あっちが東よ」

 

 

「すまんルーシィ、コンパスを持ってきてるんだ」

 

 

せっかく召喚したにも関わらず、何の意味も成さなかった事にルーシィとピクシスは膝を抱えて落ち込んだのであった。

 

 

「メモをしながら進むぞ」

 

 

「マッピングってヤツだな」

 

 

「! 誰かいますよ」

 

 

通った通路をメモをしながら迷路を進んで行くと……ティアナが目の前から現れた団体の影に気がついた。

 

 

「そっか…他のギルドの奴等も迷宮内にいる訳だな」

 

 

「!!! 黄昏の鬼(トワイライトオウガ)!!?」

 

 

「あいつらも参加してたんだ!!!」

 

 

その団体とは…ナツたちがいない間に妖精の尻尾(フェアリーテイル)を好き放題に荒らしていたギルド……ティーボ率いる黄昏の鬼(トワイライトオウガ)であった。

 

 

「まさかこんなに早くぶつかるとはなァ!!! やっちまえ!!!」

 

 

「いつかの恨み、キッチリ返してやるぜぇっ!!!!」

 

 

そう言って一斉にナツたちへと襲い掛かるオウガのチームだが……

 

 

「「「「邪魔ァ!!!!」」」」

 

 

ナツ…グレイ…ヴィヴィオ…エルフマンの4人によって瞬殺されてしまった。

 

 

するとその瞬間……突然床がグラリと傾きだし、ゴゴゴゴッと地響きのような音が鳴り始める。

 

 

「何だ!!?」

 

 

「床が…!!?」

 

 

「きゃっ」

 

 

「うぼっ」

 

 

「地面……いや……迷宮自体が回転してるんだ!!!!」

 

 

その音の正体は…迷宮そのものが回転している音であった

 

 

「z軸回転だ!! みんな側面に移動するんだ!!」

 

 

「うああああ!」

 

 

「きゃっ!」

 

 

「ナツ!! ティアナ!!!」

 

 

傾き始めた足場から落ちないように足場の側面に向かって移動するエルザたちだが、ナツとティアナが間に合わず落ちそうになるが…ギリギリでエルフマンによって助けられた。それと同時に、迷宮の回転が停止する。

 

 

「止まった」

 

 

「フウ」

 

 

「ビックリしたー」

 

 

「くそー…なんて迷宮だ…」

 

 

「助かったわ、エルフマン」

 

 

迷宮の回転に対応できずに落ちていく他のギルドのチームを尻目に、一息つくナツたち。するとそんな彼らの目の前に、先ほどのオウガの1人と彼らがマッピングしたものと思われる地図が落ちてきた。

 

 

「! ねえパパ、この地図って……」

 

 

「オウガの作った地図だな。こいつはラッキーだ。これとウチらの作った地図を合わせれば、より精度の高い地図になる」

 

 

ヴィヴィオの問いにグレイがそう答えると…それを聞いたエルザの目がキュピーンっと輝く。

 

 

「なるほど……この予選のだいたいの趣向がわかってきたぞ」

 

 

そんなエルザの言葉の意味を理解したナツとグレイ…ヴィヴィオとエルフマンの目も妖しく光、全員が悪そうな笑みを浮かべていた。

 

 

「みんな、目が怖いよ…」

 

 

「完全に悪い顔してるわね」

 

 

そんなメンバーたちを見て、ルーシィとティアナは思いっきり引いていた。

 

 

「他の奴等から地図を奪うんだーーーーっ!!!!」

 

 

「競争というよりバトル!!!! これは漢の地図争奪戦!!!」

 

 

「これならいける!!!!」

 

 

「バトルならオレたちの得意分野じゃねーかーっ!!!!」

 

 

それからというものナツたちは会うギルド全てを叩き潰し、そのギルドが持っていた地図を奪い取っていった。そんな姿のナツたちはかなりイキイキしていた。

 

 

「もらうぞ」

 

 

「どうぞ~!」

 

 

「次ィーーーーっ!!!!」

 

 

「頂くわね」

 

 

「ごめんね」

 

 

「いける!!! いけるぞ!!!!」

 

 

「この予選もらったー!!!!」

 

 

 

 

 

それから数十分後……ドヤ顔で得意気に笑うナツたちの目の前には『GOAL』という文字と、先ほどの立体映像で映っていたカボチャの司会者がパチパチと拍手していた。

 

 

『おめでとうございます。予選通過決定です♪』

 

 

「おしっ!!!」

 

 

「やったね!!!」

 

 

「そりゃそうだろ!! すげー順調だったし」

 

 

「ま、意外と楽勝だったわね」

 

 

「もしかして、あたしたち1位?」

 

 

順調に予選通過を決めたナツたちは喜び、ルーシィはもしかしたら1位で通過したのではないかと問い掛けるが……

 

 

 

『いいえ10位です。ギリギリ通過です』

 

 

 

「「「え?」」」

 

 

まさかの10位通過という予想外の結果で、予選を終えたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃…リサーナとハッピーは、ユーノたちと手分けしてウェンディとキャロとシャルルを探していた。

 

 

「ウェンディたちはどこ行ったのかな?」

 

 

「あ! あれ!」

 

 

すると、ハッピーが何かを見つける。

 

 

「ウェンディのバッグだ……」

 

 

それはウェンディが愛用していたバッグであり……それが何故か道端に転がっていたのであった。

 

 

 

 

 

つづく

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