言い訳にしかならないと思いますが、8月中は就活でバタバタしていたので執筆時間がまったく取れずに、投稿がこんなに遅れてしまいました。申し訳ありません。
今回の話はオリジナル競技パートなのですが、射的と同じくかなりの無理矢理感があります。特に最後が。
どうか暖かい目で見てくださるとありがたいです。
感想お待ちしております。
大魔闘演武4日目。
競技パート〝
『この競技は、街のフィールドの中に隠された〝お宝〟を見つけ出すと言う単純なルールです』
『フィールドは1日目の競技で
『話には聞いていたが、こりゃあたいしたモンだ。魔法で作られたものとは思えねぇ』
そう言って実況席に座るのは、すでにお馴染みの実況のチャパティと解説のヤジマ。そして4日目ゲストの魔法評議会評議員のゲンヤ・ナカジマである。
『用意された〝お宝〟は9つの金色のカプセル。それを1つ発見し、フィールドの中央にある〝チェックポイント〟に持ってきて者から競技は終了。9つのお宝が全て発見された時点で競技そのものが終了します』
『ただス、この競技にはこれまでとは違うルールがあるんだよなァ』
『その通り!! 今回の競技には〝順位〟が存在しません!!! フィールドに隠されているお宝の9つのカプセルの中に、それぞれ10・9・8・7・6・5・4・2・1のポイントが封入されており、チェックポイントにてそれを開封した者にそのポイントが割り当てられます。もちろん、開封されるまでその中身は分からない仕様になっております!!! さらにもう1つ!! フィールド内でのバトルはOK!! もし先に他の誰かにお宝を発見されても、チェックポイントでそれが開封される前であるなら戦って奪い取っても構いません!!!』
『早い者勝ち且つ、高ポイントを引き当てる〝運〟……さらにはバトルによる宝の争奪戦もありえるって訳か』
『会場のみなさんは、街の中の様子を
チャパティが一通りのルール説明を終えたその時……
第187話
『
『あーーっと!! 早くも街中で戦いが始まったようだーーーっ!!!!』
チャパティの言うとおり、観客席の前や控え室等にいるチームの目の前に映し出される映像には……とある3人の魔導士による戦いが映し出されていた。
「リボルバーキャノン!!!」
「ナイトメア!!!」
「水神の激流!!!」
その3人とは……
リボルバーナックルを装着したギンガの砲撃と、リインフォースの黒い砲撃と、ラグナの黒い水による水流が激突し、凄まじい轟音と衝撃が巻き起こる。
「やるな。だが宝を渡すわけにはいかないぞ?」
「心配はいりません、力尽くで奪い取りますから」
「父親が見てる前で、あまりかっこ悪い所は見せたくないんで」
そう言って拳を構えるギンガと両手に黒水を纏ったラグナが飛び掛ってくるのに対し、リインフォースは発見した宝である金色のカプセルを片手に持ちながら彼女を迎え撃ち……再び轟音が響き渡ったのであった。
そして街中で戦いを繰り広げているのは、この2人だけではない。
「オォォォオオオオ!!!!」
「…………ッ!!!!」
ガキィィィイイイイイン!!っという音と共に響き渡る甲高い金属音。その出所は、
「ハァァッ!!!」
剣と鞘の両方を振るって斬撃を繰り出すサイファーに対し、鞘に納めたままの『怨刀・不倶戴天』で防ぎながら反撃するカグラ。両者の剣が幾度となく衝突したのち、2人は弾かれたようにお互いに距離を取る。
「怨刀・不倶戴天──抜かぬ太刀の型」
「くっ!!!」
鞘に納めたまま抜刀せずに斬りかかってくるカグラの攻撃を、サイファーが表情を歪めながらも剣でガードすると、一際大きな金属音が鳴り響く。
「魔導に頼らず、己の身体能力と鞘に納めたままの剣でこれとは……恐ろしい剣術だ」
「貴様こそ、コレを初見で防がれたのは初めてだ」
カグラとサイファーはギリギリと互いの剣で鍔迫り合いをしながら相手への賞賛の言葉を口にすると、再びお互いの剣で激突したのであった。
そしてさらに別の場所でも……
「
「んー…? ヒック……」
そしてアインハルトの片手には、彼女が発見したのであろう宝である金色のカプセルが握られていた。
「この宝を賭けてひと槍──お願いします」
「いいねェ…魂が震えてくらァ」
一方……街のフィールドの中心にある一番高い建物のてっぺんに1人佇んでいる人物がいた。
「(……やはりもう闘技場には魔力は残っていないか……)」
その人物とは
「仕方ない……ならば次は……」
するとミストガンはそう呟くと、建物から飛び降りて地面に着地すると同時に街のフィールドの中へと消えていった。
因みにその光景を見ていた妖精Bチームの陣営では……
「おいおい、評議員がゲストなのに競技に出て大丈夫なのかあの野郎」
「大丈夫だろ。父さんはもうジェラールの事を悪く思ってねーみたいだし、多少の事は目を瞑ってくれるハズだ」
「ならいいんだけど……」
そんな会話が繰り広げられていたのであった。
『フィールドの各地で激しい攻防戦が繰り広げられております!!! まず最初に宝をチェックポイントまで持ってくるのは誰なのか!!?』
フィールドの街のあちこちで戦いが繰り広げられている中……妖精Aチームの陣営では、何故かメンバー全員が苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべていた。
「おい……この競技、明らかに人選間違えてねぇか?」
「本人が出ると言ったのだ。その想いを無下にはできまい」
「でも、あのメンツの中にあの子を出すのはちょっと……」
「あたしだったら絶対ムリ……」
「だ…大丈夫かなぁ……」
心配そうにグレイ、エルザ、ティアナ、ルーシィ、ヴィヴィオがそう言いながら目の前の
「私……出る競技間違えたかも……」
すでに涙目でトボトボと歩きながら街のフィールドを探索している少女……
「で…でもこの競技はムリに戦う事はないんだよね……どこかに隠されてる宝物を見つけてチェックポイントまで運べばそれで終わりなんだし……大丈夫大丈夫……」
自分に言い聞かせるようにそう言いながらも、キョロキョロと周囲を警戒しながら物陰に隠れ、宝を探すウェンディ。
するとそんなウェンディの視界の端に……キラリと光る何かが映った。
「!」
それに気がついたウェンディは何かが光った場所……建物と建物の間にできた狭い隙間へと歩み寄り、その隙間の中を覗き込む。
「あっ……!!」
するとそこには、9つの宝の1つである金色のカプセルが置かれていたのであった。
「ん~~……っ!!」
宝を発見したウェンディは狭い隙間の中に手を入れて、必死に宝に向かって手を伸ばす。そしてその宝を掴むと、ウェンディは勢いよく手を引き抜く。
「見つけましたーーっ!!!!」
そう言って高々と掲げるウェンディの手には、金色に輝くカプセルが握られていたのであった。
「あとはこれを中央のチェックポイントに……」
そして手に入れた宝を持ってチェックポイントに向かおうとするウェンディ。
ドゴォォォォオオオオオン!!!!
「!!?」
だがその時……突然近くの建物が轟音と共に倒壊したかと思うと、2つの人影が飛び出して来た……そして次の瞬間、その2つの人影はまるでウェンディを挟むように降り立った。
「ハァ…ハァ……ん?」
「お前は、妖精の……」
その2つの人影とは、サイファーとカグラ……2人の魔法剣士であった。
「その手に持っているのは……例の宝か?」
「ルールでは確か、チェックポイントに運ぶ前なら奪っても構わないんだったな」
「ああああ……っ!!」
鋭い目付きで宝を持つ少女を睨みつけながらそれぞれ武器を構えるサイファーとカグラ。そしてそんな2人に怯えてすっかり涙目のウェンディ。
「これは……逃げるしかないっ!!!」
そう言って宝を抱えて2人の前から駆け出して逃亡を図るウェンディ。しかし……
「髪しぐれ・狼牙!!!!」
「!? きゃあっ!!!!」
そんなウェンディの目の前に、狼の姿を形作った赤い髪が襲い掛かり、彼女の退路を断ったのであった。
「青髪ィ……」
そしてそこに現れたのは、先ほどの攻撃を放った張本人……
『あーーっと!!! 早くもお宝をゲットしたウェンディのもとに、3人の女魔導士が立ちはだかるーーー!!!』
『これは凄い絵面だねぇ』
『女豹に囲まれたチワワみてーだな』
「あわわわわわわ……っ!!!!」
ゲンヤの表現通り、強面の女魔導士3人に囲まれてしまったウェンディは、まるで小動物のようにプルプルと涙目で震えていた。
『オジサン的にはウェンディたんを応援しちゃうぞー!!! がんばれウェンディたーーん!!!』
『あんたキャラ変わっとるよ』
実況席ではチャパティの性癖が明らかとなっていたが、ヤジマ以外は特にツッコミを入れずにスルーした。
「悪いが、これもルールだ」
「その宝は頂くぞ」
「青髪ィ」
そう言って一斉に宝を持つウェンディへとにじり寄るカグラ、サイファー、フレアの3人。
「わ…渡しません。私だって
それに対してウェンディは怯えていた瞳をキッと鋭くさせ、覚悟を持ったような顔つきで強くそう言い放ったのであった。
「いい心がけだ」
「ならば容赦はせんぞ?」
「潰す」
「望むところです」
臨戦態勢に入る3人に対し、ウェンディは宝を大事に握り締めながら同じく臨戦態勢に入る。
「攻撃力・防御力・スピードを
ウェンディは最初に自分自身に補助魔法をかけて、全ての能力を強化する。
「
「だがその程度の強化で、私の剣を防ぎきれるか!!?」
そんなウェンディにまず襲い掛かったのは、剣を構えたサイファーであった。
「防ぎ切る必要はありません」
するとサイファーの攻撃に対してウェンディは強化した身体能力で大きく跳躍して回避すると同時に、建物の屋根の上へと着地する。
「私の目的はこの宝をチェックポイントまで持って行くこと。そうすれば私の勝ちです!!!」
「逃がさないっ!!!」
「!!」
「髪しぐれ・千鳥!!!!」
そんなウェンディを追うように、フレアの長く伸ばした赤髪が針のように鋭くなって突き刺すようにウェンディを襲う。
「きゃあっ!!!」
その攻撃をギリギリで回避したウェンディだが、フレアの攻撃により建物が倒壊し、その際に発生した衝撃波によって吹き飛ばされてしまい、その拍子に宝が手から離れてしまう。
「貰ったァ!!!」
それを見たフレアがチャンスとばかりに赤髪を伸ばしてウェンディが落として空中に放り出された宝を掴もうとする。
「怨刀・不倶戴天……〝斬〟の型」
だがその瞬間……フレアの赤髪がカグラの納刀した状態のまま繰り出した不倶戴天による斬撃によって真っ二つに切り裂かれる。
「私の髪が……!!!」
「悪いな……」
自慢の髪を斬り裂かれて愕然としているフレアの目の前に、不倶戴天を構えたカグラが迫る。
「宝を狙う輩は少ない方がいいのでな」
「ひっ…!!」
そう言い放つカグラに対して小さく悲鳴を上げるフレア。そして……
「〝剛〟の型」
「うあぁぁぁぁああああ!!!!」
不倶戴天を納刀させた状態から放たれた強烈な突きがフレアを襲い……それを喰らったフレアはいくつもの建物を突き破るほど強く吹き飛ばされ、その勢いが止まる頃には意識を失っていたのであった。
それを確認したカグラは、落ちてきた宝をキャッチしようと手を伸ばそうとするが……
「させるかっ!!!」
「!!」
その瞬間、横から飛び出してきたサイファーの剣を不倶戴天でガードすると同時に、カグラの体は後方へと押し飛ばされてしまう。
「貰うぞ」
そして落ちてきた宝はサイファーがキャッチし、彼女の手に収まってしまう。
「天竜の…」
「!?」
「鉤爪!!!!」
「なっ…!!?」
するとその瞬間……いつの間にかサイファーの懐に潜り込んでいたウェンディが風を纏った足で彼女の手に収まっていた宝を空へと蹴り上げる。
「ほう…やるな。小さいから気が付かなかったぞ」
「小さいは余計です!!」
サイファーの言葉に反論しながら、ウェンディは空中で綺麗な弧を描いて落ちてきた宝をキャッチして再び手にする。
「宝は渡しません!!」
ウェンディは今度は落とさないようにしっかりと宝を握り締めながら、目の前にいる2人の女魔導士に対してそう言い放ったのであった。
『おおーっと!!? ウェンディたんの勝負も気にはなりますが、どうやら誰かが宝を持ってチェックポイントに辿り着いたようです!!!!』
するとチャパティがマイク越しにそう言った瞬間、観客席と控え室等にいるほとんどがチェックポイントの様子が映し出された
『アインハルトだぁーーーっ!!!!』
ほとんど無傷の状態で宝のカプセルを片手に静かな足取りで歩く少女……アインハルトであった。
そしてまた別の
『強敵バッカスを難なく撃破し、宝を片手に悠然と歩くアインハルト!!! その姿はまさに覇王だぁ!!!!』
「あのバッカスをあっさり倒すとは……」
バッカスの実力をよく知るエルザがそんな驚嘆の言葉を呟く。そしてその隣りでは、アインハルトが映し出された映像をヴィヴィオが考え込むようにジッと見据えていた。
「(あの人がスティングの言ってたアインハルトさん……うーん、やっぱり私あの人とは因縁どころか会った事すらないハズだけど……でもなんだがあの人を見てると、少し懐かしいような感じがする……何でだろ?)」
ヴィヴィオは初対面であるハズのアインハルトに少々懐かしさを覚えるという奇妙な感覚に、疑問符を浮かべながら首を傾げていた。
「酔・劈掛掌……面白い武術でしたが、所詮は覇王流の敵ではありませんでしたね」
そんなバッカスとの戦いに対する感想を呟きながらチェックポイントに辿り着いたアインハルトは、手に入れた宝を納める台座へと宝である金色のカプセルを置いた。
『さあ!! アインハルトが宝をチェックポイントである台座に宝を納めました!!! 果たしてアインハルトが手に入れた宝のポイントは──!!?』
すると……彼女が台座に納めたカプセルが金色に輝きながら中心部分がピシリッと割れ目が入り、次の瞬間カプセルが盛大に割れて、そこからポイントとなる文字が小さな花火のように飛び出す。そこに描かれていたポイントは……
──『1』であった。
『『『……………』』』
その数字が表示された瞬間、会場中は水を打ったように静まり返る。
『い…1Pです!!! 覇王アインハルト!!! 運に嫌われたか!!!
『残念だったねぇ』
『まぁ、これはしょうがねえわな』
実況席3人のそんな声が響く中、当のアインハルトは意気揚々とゴールしたにも関わらず1Pだった事が恥ずかしいのか、赤面した顔を隠すように俯いていた。
「おいおい、何やってんだよアインハルトの奴」
「まったくですねー」
「そう言ってやるな。運ばかりはどうしようもないだろ」
「フローもそーもう」
呆れたように悪態つくスティングとレクターを対して、ローグとフロッシュはアインハルトを庇護するようにそう言う。
「ククク…これをネタにしばらくからかってやろうか」
「彼女のあんな表情は初めて見るね。しかと記憶しておこう」
そしてそんなアインハルトの姿をオルガは意地の悪い笑み…ルーファスは微笑をそれぞれ浮かべて見ていたのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ハァ…ハァ…ハァ…!!!」
視点は戻り……再びカグラとサイファーの猛追から、手に入れた宝を守りながらチェックポイントへと急ぐウェンディ。
しかし相手は片やシグナムと互角の実力を持ち、片やマーメイド最強と言われる程の手練れの魔導士……そんな2人の猛追に、ウェンディは次第に追いつめられてしまっていた。
「きゃっ!!」
するとウェンディは逃げている途中で小石に躓き、その場ですてーんっと転んでしまった。当然その機会を逃す2人ではない。
「運がなかったな」
「終わりだ!!」
「………!!!」
それぞれ武器を構えて転んだウェンディへと迫っていくカグラとサイファー。そしてこれから来るであろう2人の攻撃を覚悟して強く目を閉じるウェンディ。
だがその時……どこからか飛来した5本もの杖が、カグラとサイファーを取り囲むように地面に突き立てられた。
「!?」
「これは……!!?」
突然飛来して地面に突き立てられた5本の杖を見て、一瞬動きを止めるカグラとサイファー。すると……
「五重魔法陣・御神楽!!!!」
2人の上空に5重もの魔法陣が展開され、次の瞬間には凄まじい魔力の光線がカグラとサイファーを襲ったのであった。
「ぐっ…!!」
「チィッ!!」
突然襲ってきたその攻撃に顔をしかめながらも、特にダメージを負った様子もなく耐えきる2人と、その光景を呆然と眺めているウェンディ。
するとそんな3人の目の前に、先ほどの攻撃を放った張本人であるミストガンが現れる。
「ジェ──ミストガン!!?」
「貴様は妖精の……」
「ほう…別のチームとはいえ、同じギルドの仲間の為に駆け付けたか」
ミストガンの登場に驚愕するウェンディと冷静に呟くカグラ。そしてそんなミストガンに対してサイファーがそう言い放つと、ミストガンは覆面の下でフッと微笑を浮かべる。
「勘違いをするな。私はウェンディを助けに来た訳ではない。少し貴様に用があるだけだ」
「私に用だと?」
ミストガンのそんな言葉を聞いて、怪訝な表情を浮かべるサイファー。
「
「なっ──ぐっ!!?」
すると次の瞬間、ミストガンは流星のごとき速さでサイファーに一瞬で接近して手に持った杖を振るい、サイファーは咄嗟にそれを剣で防ぐ。
「一緒に来てもらうぞ」
「貴様……!!」
そう言うとミストガンは剣と杖を鍔迫り合いさせたままサイファーと共に飛び上がり、そのまま流星のようなスピードでその場から離れていったのであった。
「………………」
「!!」
そしてその場に取り残されたカグラは2人が飛んでいった方向をしばらく見据えたあと、その視線をウェンディへと移動させる。そしてその視線を受けたウェンディは宝を守る為に身構えるが……
「安心しろ。もうそなたと戦う理由はない」
「え?」
不倶戴天を下ろしながら不意にそう言い放ったカグラの言葉に、当然ウェンディは疑問符を浮かべる。
するとカグラはスッと身を屈めて足元に落ちていた何かを拾い上げて、それをウェンディに見せるように持ち上げる。
「あっ…それって…!!」
カグラが見せたソレを見て、ウェンディは小さく声を漏らす。何故ならカグラが拾い上げたソレは、自分が持っているものとは別の宝である金色のカプセルだったのだから。
「先ほど
「ミストガン……」
ミストガン……ジェラールがそんな些細なミスをするハズがない事を知っているウェンディは、結果的に彼に助けられたのである事を理解し、安堵の息を吐いたのだった。
そしてそんなウェンディにクルリと背を向けて、カグラはチェックポイントへと向かって歩き始めたのであった。
「(あのミストガンという男……いや、まさかな……)」
◆◇◆◇◆◇◆◇
一方…サイファーと共に街のフィールドの片隅へと場所を移したミストガンは、杖を構えて彼女と対峙していた。
「こんな所まで連れてきて、私に何を聞きたいというのだ」
そう言いながらミストガンへと切りかかり、剣を振るうサイファー。それに対しミストガンを彼女の剣を回避しながら覆面の下の口を開く。
「
「何の根拠があってそう言える?」
ミストガンのそんな問い掛けに対してそう聞き返しながらもサイファーは剣を振り続け、ミストガンもその攻撃を避けたり杖で受け流したりしながら言葉を続ける。
「〝魔導殺し〟と呼ばれる未知の力…その核と思われる奇妙な武器…そして上手く隠しているようだが、
「(ほう……こいつ、私たち〝感染者〟が放つ独特な魔力を感知できるのか。なるほど──こいつも〝裏〟の人間か)」
ミストガンの言葉を対して口には出さず、内心でそう呟きながらニヤリと口角を釣り上げるサイファー。
「悪いが言っている意味がわからんな。私たちは純粋に大会の優勝を狙っている…ただの魔導士ギルドだ!!!」
「くっ!!」
サイファーはそう言い放つと同時に、自身の剣と鍔迫り合いをしていた杖ごとミストガンの体を押し返して距離を取ると、その場から勢いよく跳躍して近くの建物の屋根の上に着地する。
「これ以上貴様の戯言に付き合っているヒマはない。競技に戻らせてもらうぞ」
「逃がすと思っているのか」
「!?」
そのままその場から逃走を図ろうとするサイファーに対してミストガンがそう言い放ったその瞬間……彼女の頭上に7つの立体的な魔法陣が、まるで北斗七星のような並びで出現する。
「これは……立体魔法陣!!?」
目の前で展開された立体魔法陣に目を見開くサイファー。そして……
「七つの星に裁かれよ──
サイファーの頭上に展開された7つの魔法陣からまるで隕石のような威力を持つ7つの衝撃波が放たれ、彼女を襲い、飲み込まれたのであった。
しかし……
「──甘いな」
「!!?」
そんな声が聞こえてきたかと思った次の瞬間……7つの衝撃の中から放たれた一筋の斬撃が、衝撃ごと全ての立体魔法陣を斬り裂いたのであった。
「魔法陣を…!!?」
「中々強力な魔導だが……私の前では無力だ」
見るとそこには、ミストガンの魔法を斬り裂いたと思われる二刀一対の黒刃の剣──ケーニッヒ・リアクテッドを構えたサイファーが立っていたのだった。
「(オレの天体魔法をいともたやすく防ぐとは……いや、アレは防ぐというよりも破壊と言った方がいいな。魔法そのものを破壊する……魔導殺しか)」
「理解したか? 魔導では私は倒せんよ」
「……そのようだ」
さすがに目の前でああも易々と自身の強力な魔法を破壊されると、ミストガンも魔導殺しの力を認めざるを得ない。
「(真・天体魔法ならばそう簡単に破壊される事はないだろうが、これ以上ウルティアや
そう悟や否や、ミストガンは構えていた杖をスッと下ろす。
「妙な言い掛かりをつけてすまなかった」
「フン……ではなっ」
ミストガンからの謝罪の言葉を受け取ると、サイファーは競技へと戻って行った。
そしてそれを見送ったミストガンも、競技の宝を探す為にその場から歩き出したのであった。
「
そんな言葉を口にしながら……
◆◇◆◇◆◇◆◇
『ここで競技終了ーーーー!!!!』
それから数十分後……宝を持った参加者たちが全て出揃い、
『宝探しの結果、各ギルドに割り当てられたポイントは……この通りだァ!!!』
ミストガン
10P獲得
「少しは1日目の失態を取り戻せたか」
リインフォース
9P獲得
「〝祝福の風〟に恥じない結果になっただろうか」
バッカス
8P獲得
「わはははっ!! セイバーの嬢ちゃんに負けちまったが、高ポイントはゲットだぜ」
ウェンディ
7P獲得
「やりましたっ!!!」
ラグナ
6P獲得
「結局リインフォースさんからは宝を奪えませんでした……」
ギンガ
5P獲得
「せっかくお父さんが見てくれてるのに……微妙な結果ね」
サイファー
4P獲得
「フン」
カグラ
2P獲得
「………………」
アインハルト
1P獲得
「運に嫌われるとは……不覚です」
『レイヴンのフレアは、宝未発見の為0Pとなります』
「くっ……」
宝探しで各々が発見した宝に封入されていたポイントは以上のように振り分けられた結果を残し……以上で大魔闘演武4日目の競技パート〝
◆◇◆◇◆◇◆◇
「やったなウェンディ!!」
「あの猛者2人を相手に、よく宝を守り切ったものだ」
「えへへ……結局はミストガンに助けられてしまいましたけど」
そう言って戻ってきたウェンディに賞賛の言葉を送るグレイとエルザ、そしてそれを受けて照れたように微笑むウェンディ。
「あのフレアってコ……また酷い事されちゃうのかな」
「アンタはお人好しね、ルーシィ」
1日目に酷い目に遭わされたにも関わらず、フレアの事を心配するルーシィに呆れたように苦笑するティアナ。
「次はバトルパートだね」
「オレに来ねーかなァ」
そしてヴィヴィオの言葉に反応して、ナツは次のバトルパートの組み合わせ発表を楽しみにしてそう口にする。
『さあ!! みなさんお待ちかねのバトルパートに入ります!!!!』
『今日はどんな戦いが見られるのかねぇ』
『出来れば熱い試合を見せてもらいたいぜ』
実況席の3人が口々にそう言ったあと、さっそく本日最初の対戦カードが発表された。
『第1試合!!
「キターーーーーーッ!!!!」
とうとう待ち望んでいたバトルパートで指名された事に、ナツは堪らず歓喜の叫び声を上げる。
「初戦はナツか。ナツならば問題ないだろう」
「ま、アンタなら何の心配はいらないわね」
「無様に負けんじゃねーぞナツ」
「頑張ってね、ナツさん!!」
「任せとけ!!! 燃えてきたぞっ!!!」
エルザとティアナ、グレイとヴィヴィオの言葉を聞きながら、文字通り燃え上がって闘志の篭った笑みを浮かべるナツ。
「ナツさんだ!! 対戦相手……オレに来いっ!!!」
「そうです!! ナツ君の相手はスティング君以外に考えられません!!!」
一方、
『対するは……』
「誰でもいい!!! かかって来いやァーーー!!!!」
ナツはまだ発表されていない対戦相手に対して挑発的にそう叫ぶ。
そしてついに……その対戦相手の名前が発表される。
『
「───へ?」
『『『何ィーーーー!!!?』』』
その対戦相手──エリオの名前が発表された瞬間、エリオ本人は素っ頓狂な声を漏らし、観客席を含めた会場中の
まさかの同じギルド同士の組み合わせに、
「僕が……ナツさんと……」
そんな中エリオは、同じギルドであり自身の憧れであるナツと戦う事となってしまった事実に呆然と目を見開き……
───静かに笑ったのであった。
つづく
―秘宝結果―
妖精の尻尾B→10ポイント
妖精の尻尾C→9ポイント
四つ首の猟犬→8ポイント
妖精の尻尾A→7ポイント
青い天馬→6ポイント
蛇姫の鱗→5ポイント
凶鳥の眷属→4ポイント
人魚の鱗→2ポイント
剣咬の虎→1ポイント
大鴉の尻尾→0ポイント
―4日目途中経過―
大鴉の尻尾:48ポイント
凶鳥の眷属:41ポイント
剣咬の虎:37ポイント
蛇姫の鱗:36ポイント
人魚の踵:33ポイント
妖精の尻尾B:39ポイント
青い天馬:34ポイント
妖精の尻尾A:34ポイント
妖精の尻尾C:29ポイント
四つ首の猟犬:27ポイント