ついにナツvsエリオ戦の決着です!!
戦闘シーンは作者の趣味全開です。
前回エリオが使ったライトニングドライブに関しましては、多少ムリヤリ感がありますが、ご了承ください。
感想お待ちしております!!!
大魔闘演武4日目・バトルパート。
その第1試合の組み合わせは、何と同じ
同じギルドとはいえお互いに決して手は抜かず、本気の戦いを繰り広げる2人。
しかし、やはり
だがその時……ナツはエリオの事を、対等のライバルとして見ている事をナツ自身の口から語られる。
それを聞いたエリオはナツのライバルとして、全力で勝つと改めて決意し……3ヶ月間の修行で得た新たなる力──ライトニングドライブを発動させたのであった。
第189話
『憧れの先へ』
「なんだ…そりゃあ…?」
「これが3ヶ月の修行で得た、僕の新しい力です」
全身に金色に輝く激しい雷電を身に纏ったエリオの姿を見て、疑問の言葉を口にしながら眉をひそめるナツ。そんなナツに対して、エリオは身構えながら短くそう答えると……
「
続けてそう呟くと同時に、
「!!?」
一瞬のうちに目の前へと接近して蹴りを放ってきたエリオに対して、ナツは驚愕しながらも咄嗟の反応で腕を構えて、その腕でエリオの蹴りをガードする。
しかし……
「デリャァァアアア!!!!」
「っ……ぐあぁぁあ!!!!」
エリオの蹴りの勢いは止まらず、何とガードごとナツを吹き飛ばしてしまった。
「ナツが押し負けた!!?」
「急にパワーアップした!!?」
ナツがエリオに押し負けるという光景を見て、妖精Aチームの陣営でグレイとヴィヴィオの驚愕の声が響く。
「くそっ…!!!」
ナツは毒づきながら何とか体制を立て直して地面に着地し、反撃に出ようとするが……
「遅いですよ」
「なにっ!!? うごっ!!!」
いつの間にかナツの背後にエリオが回り込んでおり、すぐさま振り返ったナツの頬にエリオの雷撃を纏った拳が叩き込まれる。
「っのヤロォ!!!」
それでも負けじとナツは炎の拳を振るって、目の前のエリオを殴って反撃に出ようとするが……
「ナツさんの攻撃は、もう僕には当たりません」
「!!? うぎぃ……!!!」
再びエリオは閃光の瞬きと共に姿を消してナツの拳をかわすと、背後からの回し蹴りでナツの体を蹴り飛ばす。
「まだだっ!!!」
「がっ…ぐぅ…ぐほっ…ごはっ……!!!」
だがエリオの攻撃はそれでは終わらず……吹き飛んだナツを追いかけるように閃光の瞬きと共に、消えては現れる瞬間移動を繰り返し、その度にナツの体に拳や蹴りなどの打撃を目にも止まらぬ速さで叩き込んでいく。
「ストラーダ!!!!」
エリオがそう叫ぶと、ナツに弾き飛ばされて離れた場所で地面に突き刺さっていたストラーダが、彼に呼び寄せられるように飛んでいき、それをエリオはキャッチしてしっかりと握る。
「雷竜槍……」
そしてエリオは最後に、バチバチと音を立てている雷撃を纏ったストラーダを構え……
「
「ぐあぁぁぁああああ!!!!」
激しい轟雷を秘めたストラーダによる一閃を喰らい、ナツの体に落雷が落ちたかのような凄まじい電撃が走ったのであった。
「くそっ……痛ってェ……」
それを喰らったナツは倒れそうになるが、咄嗟に倒れる体をグッと力を入れた足腰で支える。そして肩で息をしながら、静かにエリオを睨むように見据えるのであった。
『は…速ァーーーい!!!! エリオの目にも止まらぬ猛攻に、ナツは手も足も出ない!!!!』
『何て動きだ……何が起こってんのかさっぱりわからねえ』
『ワスも目で追うのは難スいねぇ』
先ほどまでナツが優位であった状況が一変し、エリオの目にも止まらぬ猛攻が始まった事に実況席だけでなく会場全体が騒然とする。
もちろんそれは、応援席にいる
◆◇◆◇◆◇◆◇
「どうなっている!!? エリオの動きが変わったぞ!!! 速すぎて目で追えん!!」
「ナツ~!! がんばれ~!!」
「どうなってるのリニス? エリオのあんな動き、私は見た事ないわよ」
「アレこそ…エリオが3ヶ月の修行の中で得た自身の魔力を増強させる魔法〝ライトニングドライブ〟。そしてそれによって向上した雷の魔力をその身に纏う事で、元々速さに自信があったエリオにさらなるスピードが加わり、もはや目で追う事すら不可能な程の速さを手に入れたのです」
リニスはその問いに対して静かにそう説明しながら答える。
「っと言っても、エリオがあの力を手に入れたのは、ほんの偶然なんですけどね」
「偶然?」
「あれほどの力を得た経緯が偶然だと?」
「一体何があったの?」
リニスがエリオの力は偶然手に入ったものだと言い放った事に、ハッピーとリリーとシャルルはそれぞれ疑問符を浮かべる。それに対してリニスは、苦笑を浮かべながら答えたのであった。
「実は……」
◆◇◆◇◆◇◆◇
「「「ラクサスの雷を食べたぁ!!?」」」
視点は変わって妖精Bチームの陣営。そこではミラジェーン、なのは、ノーヴェの驚愕に満ちた声が響き渡っていた。声を発していないガジルとジュビアも僅かに驚愕を表情に表しながら、ラクサスの方へと視線を向けていた。
「ああ。3ヶ月の修行期間中、エリオはオレと何度か戦闘訓練をやっていてな。まぁ大半はオレがあいつを軽く揉んでやっただけで終わってたんだが……ある時あいつは戦闘中に、直撃したオレの雷を食っちまったのさ。偶然な」
「それってつまり……雷の
「同じ魔法の雷を食べた事で、エリオの魔力が飛躍的に向上したって事?」
「ナツがラクサスの雷を食って雷炎竜になったのと同じ原理か」
「ま…そういう事だ」
彼らにそう説明し、なのはとミラジェーンとノーヴェの言葉に対してそう頷きながら、ラクサスは小さく笑みを浮かべて闘技場で戦うエリオに視線を向けたのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「つまり……第二世代の
「その結果、エリオ・モンディアルはオレたち双竜と同じ第三世代の
「
また視点は変わり、
「要するに、第三世代モドキって事だろ? 中々やるみてーだが、オレらの敵じゃねえって」
「そうですよ、所詮はニセモノ。本物の第三世代であるスティング君には遠く及びません」
「フローもそーもう」
「………………」
小バカにしたようにそう言い放つスティングとレクター、そしてそんな2人に同意するフロッシュ。だがそんな3人とは対照的に、ローグは真剣な面持ちで闘技場を見据えていたのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
そして視点は戻って闘技場……そこではすでにナツとエリオの戦いが続いていた。
「ハァァァア!!!!」
「うがっ!! ぐぅ……ごはぁっ!!!」
だがその戦いは、エリオの一方的なものであった。目にも留まらない超スピードで動き回るエリオをナツは捉える事が出来ずに、ただただ彼の猛攻を受けるだけであった。
「(……おかしい)」
しかしそんな状況とは裏腹に、エリオの心中では、ある疑念が芽生えていた。
「(どうしてナツさんは反撃してこない? ただ黙って攻撃を喰らう人じゃないハズだ。まさか勝負を諦めた? いや、それこそありえない……じゃあなんで?)」
先ほどからナツはエリオの攻撃を受けるだけで反撃に出る素振りすら見せていない。そんなナツに対してエリオは疑念を抱いていたのだ。
「(こういう時のナツさんは危険だ。油断すると一気に足元を掬われる。だったら……)」
そう考えるとエリオは、ナツから一旦距離を取ってストラーダを構え直す。
「(何かされる前にカタをつける!!!)」
するとエリオは一旦ナツから距離を取ると、雷撃を纏ったストラーダをそのまま地面に突き立てる。
「!?」
そんなエリオの行動に疑問符を浮かべるナツだが……
「雷竜槍・地雷!!!!」
「!!? うおあぁぁぁあああああ!!!」
その瞬間、ストラーダに纏われていた雷撃が地面を伝ってナツの足元へと移動し、そのまま足元からの雷撃が放たれた。それを喰らったナツは空中へと高く打ち上げられる。
「雷竜の……」
「!!」
そしてそんなナツが打ち上げられた先には、雷を纏った両手を組んでハンマーのように振り上げたエリオがすでに待ち構えていた。
「
「ぐはぁぁあ!!!!」
そのまま思いっきり雷を纏った両手を振り下ろし、稲妻のごとき一撃でナツの体を勢いよく地面に叩き付ける。だがエリオの攻撃はそれで終わりではない。
エリオは続けて両手に雷を帯電させ、その両手をナツ目掛けて構える。
「飛電雷竜吼!!!!」
「がぁぁあああ!!!」
そしてそのまま両手から雷の砲撃を放ち、地面に倒れているナツへと直撃させる。
「まだまだァ!!!」
さらにエリオは最後に、全身に雷を纏った状態で勢いよくナツへと向かって降下していき……
「雷竜の進撃!!!!!」
ドガァァァァアアアアアン!!!!!
そのままナツを踏み潰すかのような一撃を放ち……会場全体を震撼させたのであった。
「ハァ…ハァ…ハァ……」
さすがに息もつかせない連続攻撃で疲れたのか、息を乱しながら足元で倒れているナツを見下ろすエリオ。
『エリオの怒涛の連続攻撃が炸裂ーーーっ!!! ナツダウーーン!!!』
「勝った…のか……?」
地面に倒れたまままったく動かないナツを見て、信じられないように小さくそう呟くエリオ。
だがその時……
「──よっと」
「!!?」
『『『!!?』』』
誰もがこのままナツのダウンだと思ったその瞬間、突然ナツは何事もなかったかのように起き上った。当然エリオはそれを見て目を見開き、会場全体も動揺が走った。
「いってぇ……結構効いたぞコノヤロウ」
「………!」
そう言いながらも平気そうに立ち上がって、首をコキコキと鳴らしているナツを見て、愕然とするエリオ。
「──おしっ!!」
するとナツは気合を入れるように炎の拳を自身の手のひらに強くぶつけると、ニッと笑みを浮かべ……
「今度はこっちの番だ!!!」
そう言い放つと同時にエリオへと向かって駆け出す。
「(っ……落ち着け、ナツさんが頑丈なのはわかっていた事。ナツさんは僕のスピードについてこれない……落ち着てスピード主体で戦えば!!!)」
そう自分に言い聞かせると、エリオは再び自身の体に金色の輝きを纏う。
「火竜の……咆哮!!!」
そしてナツがエリオ目掛けて口から灼熱のブレスを放ったその瞬間に、エリオは雷光の瞬きと共に姿を消してその攻撃を回避する。
それと同時にエリオはナツの側面へと姿を現し、雷撃を纏った蹴りをナツの後頭部へと目掛けて思いっきり振るった。
「おおっと!!」
「!!?」
だがその攻撃は……ナツがその場でしゃがみこんで回避した為、空振りに終わった。
「(避けられた!!?)」
ライトニングドライブを発動してから初めて攻撃を避けられた事に、目を見開いて愕然とするエリオ。
「オラァ!!!」
「くっ……!!!」
そんなエリオに対して続けて拳を振るうナツに、エリオは顔をしかめながらも再び閃光と共に姿を消して、それを回避する。
「(今度は……もっと速くっ!!!)」
そして今度は空振りに終わった拳を突き出して無防備となっているナツの背後へと移動し、先ほどよりも速い速度で雷撃を纏った拳を放つ。
だがしかし……
──ゴッッ!!!
「がっ……!!!」
鈍い打撃音と共にダメージを喰らったのは……ナツではなく、エリオの方であった。
エリオがナツに攻撃を放ったその瞬間……なんとナツは空振りして突き出していた拳をそのまま思いっきり後ろに引いて、その勢いで背後にいたエリオを肘で殴り飛ばしたのである。まるでエリオがそこにいると分かっていたかのように。
「ど…どうして……!?」
「言ったろ? 今度はこっちの番だ」
思わぬ反撃を喰らい、動揺するエリオに対して、ナツは得意気な笑みを浮かべながらそう言い放つ。
「この……!!!」
エリオは動揺しながらも、三度閃光の瞬きと共に姿を消して超速スピードで動き回り、ナツを撹乱しようとするが……
「──そこだァ!!!」
「えっ……?」
その瞬間……ナツが勢いよく伸ばした手が、何と超スピードで移動していたエリオの胸倉を掴んで捕らえていた。
「そんな……!!?」
「捕まえたぞコノヤロウ」
そう言って愕然としながら大きく目を見開くエリオと、ニィッと口角を吊り上げて笑うナツ。
「火竜の鉄拳!!!!」
「ぐはっ!!!」
そのままナツは反対の手で作られた炎の拳で、エリオの頬を思いっきり殴り飛ばしたのであった。
「くっ……どうして、僕のスピードに……!!?」
エリオは殴り飛ばされた事よりも、何故ナツが目にも留まらぬスピードで動く自分を捉える事が出来たのかと疑問を抱く。するとナツはその疑問に対し、二カッと笑みを浮かべると……
「慣れた」
と言い放った。
「慣れっ……!!?」
自分のスピードを捉えた理由が、ただ〝慣れた〟と言ってのけたナツに驚愕を通り越して唖然とするエリオ。
「最初は速すぎて全然見えてなかったけどな。けど、ずっと〝視てた〟おかげでようやく目が慣れてきやがった」
「視てた……っ!!!」
ナツのその言葉を聞いて、エリオはナツがまったく反撃せずにこちらの攻撃を受けるだけだった先ほどの状況を思い出す。
「まさか……あの時何もせずに攻撃を喰らってたのは、僕のスピードに目を慣らす為に……」
「おう! さすがに苦労したけどな。おかげでかなりダメージ喰らっちまった」
「でも…それだけで僕のスピードを捉えるなんて……」
「もちろんそれだけじゃねーよ。ニオイや音、感覚や攻撃パターンでだいたいの動きの予測はできる。つまり……お前のスピードは完全に見切ったぞ!!!」
「…………!!!」
高らかにそう言い放ちながら「かーっかっかっか!」と笑うナツと、絶句して言葉を失うエリオ。
「相変わらずメチャクチャ言いやがる」
「ナツらしいと言えば、ナツらしいけどね」
「それに普段がバカすぎて忘れがちだけど、あいつは戦闘に関しては頭がキレるのよね」
そんなナツのムチャクチャな戦法に、観戦していたグレイとルーシィとティアナはそう言いながら苦笑を浮かべていた。
「んじゃあ──そろそろブッ飛ばすか」
「!!!」
そう言い放つと同時に、ナツはエリオに向かって勢いよく駆け出していく。
「くぅ…!!」
そんなナツに対してエリオは顔をしかめながらも、もう一度超速スピードでナツに対抗しようとするが……
「見切ったって言っただろ!!!」
だがナツは特に慌てた様子も見せずに、急ブレーキをかけて足を止めると同時に体の方向を変え、そのまま虚空に向かって炎の拳を振るう。
「がはぁっ!!!!」
その拳の先には超速で動き回っていたエリオの姿があり、完全にスピードを見切られたエリオはそのままナツの拳を喰らってしまう。
「オオオオオラァァァアア!!!!」
ナツの攻撃はその拳1発では終わらず、今までのお返しと言わんばかりに拳の連撃をエリオの顔面や体に休む事無く連続で叩き込んでいく。
「モード雷炎竜!!!!」
それだけではなく、ナツは炎と雷を融合させたモードである雷炎竜へと姿を変えた。
そしてそんなナツの連撃を喰らいながらエリオは、とてつもない戦慄を覚えていた。
「(まだなのか……僕は…まだ……)」
「雷炎竜の──」
「(この人には……届かないのか……)」
そして……
「撃鉄!!!!」
ナツの炎と雷を纏った拳から放たれた強烈な一撃がエリオの体を吹き飛ばし、会場を震撼させるほどの勢いで壁に叩き付けたのであった。
「(やっぱり……強いな、ナツさんは……)」
全身がボロボロになり、薄れゆく意識の中でエリオは思う。
「(完敗だ……僕のとっておきをこんな短時間で攻略されたんじゃ、もう僕に打つ手はない……)」
エリオの体が、グラリと揺らぎ始める。
「(でも…ずっと憧れていたナツさんと戦う事ができたんだ……満足だ…悔いはない……)」
そしてエリオは、そのまま静かに地面に倒れる──
「(なんて──諦められる訳ないだろっ!!!!)」
その瞬間……突如カッと目が力強く開かれ、エリオは倒れかけていた体を踏み止まらせ、切れかけていた意識をムリヤリ繋ぎ止めたのであった。
「!!?」
その様子を見ていたナツは、そんなエリオに目を見張る。
「ハァー…ハァー…ハァー……!!!」
ガクガクと笑っている膝を支えにして今にも倒れそうな体を必死に奮い立たせ、辛そうに息を乱しながらも……エリオは未だに闘志の篭った瞳でナツの姿を見据えていた。
「どう…しました、ナツさん……僕はまだ…倒れてませんよ……勝負はここからです──燃えてきたでしょう?」
声も絶え絶えになりながらも、口元に笑みを浮かべながらナツに向かって強くそう言い放ったエリオ。
「ああ──燃えてきたぞ」
それに対してナツも釣られて小さく笑みを浮かべ……エリオの覚悟を受け取ったのであった。
「うおぉぉぉぉぉおおおおおおおっ!!!!!」
そしてエリオは最後の力を振り絞り、一直線にナツへと向かって駆け出していく。
そんなエリオに応える様に、ナツは右手に炎を…左手に雷をそれぞれ纏い始める。
「滅竜奥義・改!!!」
そして……
「紅蓮爆雷刃!!!!!」
爆炎と轟雷が入り混じった強烈な一撃を放ったのであった。
「オォォォォオオオ!!!!」
だがエリオはそれでも足を止めることなく真っ直ぐに突っ走り……その炎と雷の渦の中に飛び込んだのであった。
「ぐっ…あぁぁぁぁあああああああ!!!!」
当然それで無事で済むハズがなく、ただでさえボロボロのエリオの体にさらなるダメージが刻まれる。
だがそれでも……エリオは突き進んだ。
「(勝つんだ……ようやく見えてきたんだ……ずっと憧れて、目標にしてきた……ナツさんのあの遠い背中が………!!!)」
そんなエリオの脳裏に思い浮かぶのは……週刊ソーサラーで見つけたナツの記事を見て、ナツに憧れを持った事から始まり……これまでの六魔討伐戦やヴィヴィオ奪還戦…そしてエドラスや天狼島でのナツと共に戦った死闘。そして
「(……いや……もうやめよう……)」
それらの記憶がエリオの脳裏に一気に駆け抜け……彼にある1つの事を決心させた。
「(ナツさんに憧れるのは……今日で終わりだっ!!!
あの背中を追い越して進むんだ……憧れのその先へ!!!!
だから──)」
その心からの強い決心は……エリオの体をさらに奮い立たせるには十分であった。
「──届けぇぇぇえええ!!!!」
そんな力強い雄叫びと共に、エリオは何かを掴み取るかのように一心不乱に腕を伸ばし、強くその一歩を踏み出した。。
そしてその直後──エリオは爆炎と轟雷の渦も中を突き抜けたのであった。
「なっ──!!!?」
自身が放った爆炎と轟雷の渦の中を、ただ一直線に走り抜けて来たエリオに驚愕し、大きく目を見開くナツ。
そんなナツの眼前には、ボロボロの姿になりながらも、自身の服の端を強く握っているエリオの姿があった。
「やっと……届きましたよ……ナツ・ドラグニル……!!!!」
そう言い放ちながら今持てる魔力全てを雷へと変換し、それを自身の拳の一点に集中させてバチバチと激しく帯電させるエリオ。
「滅竜奥義…」
そして……
「紫電轟雷撃!!!!!」
自身の全魔力を込めた拳を突き出し、激しい轟雷を帯びた一撃を叩き込んだのであった。
「ぐあぁぁああああああああ!!!!」
そしてそれを喰らったナツは大きく吹き飛ばされ、地面を何度か転がり跳ねたのちに壁に強く激突したのであった。
「ハァー…ハァー…ハァー…ハァー……!!!」
辛そうに肩で息をしながら、ナツが吹き飛んでいった先を静かに見据えるエリオ。
すると……
「やっぱお前……強くなったなァ……エリオ」
「!!」
立ち込める煙幕の中からそんなナツの声が聞こえてくる。
見るとそこには……エリオと比べても遜色ないほど体中がボロボロになるほどのダメージを受けたナツが「ゼェゼェ…」と息を乱しながら立っている姿があった。
「けど……まだ終わりじゃねえよなァ?」
「……当然ですよ」
口角をニィっと吊り上げながらそう問い掛けるナツの言葉に対して、エリオも釣られて笑みを浮かべながら言い返す。
「この勝負──」
「勝つのは──」
「オレだっ!!!!」
「僕だっ!!!!」
両者共に気力や体力…そして魔力はすでに限界に達している。いつ倒れても不思議ではないほどのダメージを負っている。
それでも尚、その2人を動かしているのは──絶対に勝つという〝意地〟であった。
そんな2人の心境を知ってか知らずか、実況席も…観客席も…控室等も…誰一人として声を発さずに、会場全体が固唾を呑んでこの試合の行く末を見守っていた。
「「うおぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!!」」
凄まじい雄叫びを上げながら、強く握った拳を構え、相手に向かって駆け出していくナツとエリオ。
徐々に縮まっていく2人の距離……
距離が縮まるたびに強く握り締められる拳……
両者の激突まで……あと数メートル。
「オォォォオオオ!!!!」
「ハァァァアアア!!!!」
気高い咆哮と共に全身全霊の力を込めて突き出される両者の拳。
そして次の瞬間……
──ドサッ…ドサッ…
2人の拳が交差する寸前──ナツとエリオは糸が切れたように同時に倒れたのであった。
「ゼェ…ゼェ…ゼェ……!!!」
「ハァ…ハァ…ハァ……!!!」
お互いに限界を迎えて前のめりに倒れ、顔を突き合わせるような形で倒れるナツとエリオ。
「くそっ……もう…指一本…動かせる気が…しねえ」
「僕も…ですよ……体がまったく…動きません」
そう言うと、2人は倒れたまままったく動かなくなってしまった。
『げ…激闘決着ーーー!!! 両者共に戦闘不能!!! この試合
『素晴らしい試合だったねぇ』
『正直どっちが勝ってもおかしくなかった。スゲェいい試合だった』
実況席がそんなコメントをすると同時に、会場中から溢れんばかりの拍手が鳴り響き始める。
「いいぞー!!
「どっちもすごかったぞー!!!」
「カッコイイーー!!!」
観客席からはそんな称えるような声も聞こえてきていた。
―
「ナツもエリオもよい試合であった。特にエリオには驚かされたわい。あの小さかった小僧がよくぞここまで……」
「憧れの背中に追いつきたいという想い…その為の努力を惜しまない真っ直ぐな心…それらが実を結び、彼をここまで強くしたのです」
マカロフとメイビスは2人の健闘を称えながらエリオの成長を喜び……
「引き分けだが、いい試合だったな」
「あい。ナツもエリオもすごかったよ」
「でもこれで、エリオのナツに追いつきたいって目標は達成されたのかしらね」
「いいえ、まだまだこれからですよ。これでエリオはようやく、ナツさんたちと同じスタートラインに立てたのですから」
その傍らでは、エクシード4人のそんな会話が繰り広げられていたのであった。
―妖精Aチーム―
「まさか、エリオがナツと引き分けるとはな」
「うむ、それだけエリオも強くなったという事だ」
「私たちも、うかうかしていられませんね」
「あはは…あたしはもうエリオに敵わないかも……」
「エリオすごかったね、ウェンディ」
「うん、私もエリオ君に負けてられないなぁ」
―妖精Bチーム―
「ギヒヒッ…
「またメンドーな奴に目をつけられたぞエリオ……」
「にゃはは……」
「すごい試合だったわねー」
「オレが直々に鍛えてやったんだ、これくらいはしてもらわねーとな」
―妖精Cチーム―
「引き分けやったけど、エリオにとっては大きな意味のある試合になったなぁ」
「そうですね、エリオはまだまだ強くなると思います」
「将来が楽しみだな」
「その時は、私が相手をしてやろう」
「やめとけ、エリオが可哀想だ」
各妖精チームの面々からも健闘を称える拍手と、そんな評価が送られていた。
そして
「エリオ・モンディアルには感謝しねーとな。第三世代モドキの力でもナツさんと引き分けた、つまり真の第三世代であるオレはナツさんに勝てるっつー確証を得たんだからな」
「そうですよ! スティング君なら絶対に勝てますよ!!」
「フローもそーもう!」
ナツとエリオの試合を見て、得意気にそう言い放つスティングに同意するレクターとフロッシュ。
「…………」
「どうしたんですか? ローグさん」
「いや……」
その隣では、何かを考え込んでいたローグの顔をアインハルトが覗き込みながら問い掛けるが、ローグは何でもないといいたげに首を横に振ったのであった。
そして視点は戻り……闘技場で力尽きて倒れるナツとエリオ。
「今回は引き分けだが、次やる時はオレが勝つからな……エリオ」
「そうはいきませんよ。これでようやく肩を並べられたんです、今度は追い越してみせますよ……ナツさん」
「……へっ」
「ハハッ」
そう言うとナツとエリオは笑みを浮かべ、どちらからともなく片手を上げる。
そして互いの健闘を称え合うかのように、お互いの拳をぶつけ合わせたのであった。
そんな2人の表情はどこか、清々しさを感じさせる笑みを浮かべたのであった。
つづく
妖精の尻尾A:34ポイント→39ポイント
妖精の尻尾C:29ポイント→34ポイント