LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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卵と約束と誓い

 

 

 

 

時は大きく遡り……6年前。

 

 

「卵だーー!! 卵拾ったーー!!」

 

 

ある日、幼い頃のナツが一つの大きな卵を抱えてギルドにやって来た。

 

 

「卵だぁ? そんなもん一体どこで」

 

 

「東の森で拾ったんだ」

 

 

すると、近くに居たグレイ(12)が口を開く。

 

 

「何だよ、ナツにしちゃ気が利くじゃねーか。みんなで食おーってか?」

 

 

「グレイ!! 服を着なくちゃダメなの!!」

 

 

パンツ一丁でそう言うグレイをなのは(12)が注意する。

 

 

「冗談じゃねえ!! これは(ドラゴン)の卵だ!! かえすんだよ!!」

 

 

「「ドラゴン!!?」」

 

 

ドラゴンの卵と言ってのけたナツに驚くグレイとなのは。

 

 

「見ろよ。この辺の模様とか竜の爪みてーだし」

 

 

「そ…そうか?」

 

 

「見えなくもない……かな?」

 

 

卵の模様を指差しながら言うナツだが、グレイとなのはは首を傾げている。すると……

 

 

「ドラゴンの卵だって?」

 

 

「あ、ユーノ君!」

 

 

「いたのか?」

 

 

そこへ金髪の少年…ユーノ(12)が現れた。ユーノはナツの卵をジッと観察する。

 

 

「うーん……確かに見たことのない模様の卵だ。可能性としてはありえるんじゃないかな?」

 

 

「だろ!! つー訳でじっちゃん。ドラゴン誕生させてくれ」

 

 

ナツはマカロフにそう頼むが……

 

 

「何を言うかバカモン」

 

 

と言って却下された。

 

 

「この世界に生命を冒涜する魔法など無いわ。生命は愛より生まれるもの。どんな魔法もそれには及ばぬ」

 

 

マカロフはナツに向かってそう説明する。

 

 

「じっちゃん大丈夫か? 何言ってるか全然わかんねえ」

 

 

「ガキには早すぎたか」

 

 

だがナツにはまったく伝わらなかった。すると、そこへ一人の少女が現れる。

 

 

「つまり孵化させたければ一生懸命自分の力でやってみろと言うことだ。普段物を壊すことしかしてないからな。生命の誕生を学ぶにはいい機会だ」

 

 

「エルザ!!」

 

 

その少女こそ、幼き頃のエルザ(13)であった。

 

 

「い…いたのか」

 

 

「オ…オレたち今日も仲良くやってるぜ」

 

 

「エルザさん! おかえりなの!!」

 

 

エルザを見て肩を組みながら後ずさるナツとグレイ。そしてなのははエルザに歩み寄る。

 

 

「ああ、ただいま。なのはは今日は仕事に行かないのか?」

 

 

「うん…行こうと思ったんだけど、フェイトちゃんもヴォルケンリッターのみんなも別の仕事に行っちゃって……」

 

 

残念そうな表情でそう言うなのは。すると……

 

 

「エルザが帰ってきたって? この前の続きやるよ。かかっておいで」

 

 

パンクな格好をした少女が指をクイクイッとさせてエルザを挑発する。

 

 

「ミラさん!!」

 

 

そう…そのパンクな少女とは、幼き頃のミラジェーン(13)であった。

 

 

「ミラ。そう言えばまだ決着がついていなかったな」

 

 

そう言って睨み合うエルザとミラ。そして……

 

 

「くたばれエルザぁ!!!」

 

 

「泣かすぞミラジェーン!!!」

 

 

二人は殴りあいの喧嘩を始めてしまった。

 

 

「エルザの奴、あれでオレたちに喧嘩すんなって言うんだから頭くるよな」

 

 

「くそー!! エルザもミラもいつか纏めてぶっ飛ばしてやる!!!」

 

 

その様子をグレイは若干引いた様子、ナツは憤慨した様子で見ていた。因みになのはとユーノは苦笑い。

 

 

「ねえナツ、その卵あたしも一緒に育てていい?」

 

 

すると、ミラの妹であるリサーナがナツに話しかける。

 

 

「リサーナ! 手伝ってくれんのか?」

 

 

「うん!! 何か面白そうだし!! 卵育てんの」

 

 

「卵は育てるって言うのかな?」

 

 

「さあ?」

 

 

「どうなんだろう?」

 

 

ナツとリサーナの会話を聞いてグレイとなのはとユーノが首を傾げる。

 

 

「って言っても、卵ってどうすればかえるんだろ?」

 

 

「昔……あっためたらかえるって本で読んだことあるよ」

 

 

「何!? あっためる? オレの得意分野じゃねーか!!!」

 

 

そう言ってナツは口から火を噴き、卵をあっため始める。

 

 

「ダメだよ!! そんなに強くしたらコゲちゃう!!」

 

 

「そうか?」

 

 

そんなナツを必死に止めるリサーナ。

 

 

「ここはあたしの魔法で。接収(テイクオーバー)動物の魂(アニマルソウル)!!!」

 

 

すると、リサーナは自分の姿を鳥へと変えた。そしてその姿で卵を包み込む。

 

 

「これであっためてみたらどうかな?こうやって」

 

 

「やるなリサーナ!!」

 

 

二人で和気藹々と卵を育て始める二人。すると……

 

 

 

「ふん……バッカみたい」

 

 

 

近くに席に座っていた一人の少女がそう声を漏らした。

 

 

「ティアナ……」

 

 

「何だよティアナ! 何か文句あんのかよ!?」

 

 

ナツは少女…ティアナ(10)に突っかかる。だが当のティアナはバカにしたような視線をナツに向けていた。

 

 

「別に~アンタみたいなバカに卵を育てることなんて出来るのって思っただけよ」

 

 

「何だと!!?」

 

 

「その内間違えて自分で食べちゃうんじゃない?」

 

 

「テメェ!!」

 

 

「何よ!? やる気!!?」

 

 

「やめなよ二人とも!!」

 

 

まさに一触即発の雰囲気で睨み合うナツとティアナ。それをサーナが必死に止める。

 

 

「相変わらず仲悪いね、あの二人……」

 

 

「うん…」

 

 

「ティアナの奴、オレよりナツと仲悪ぃんじゃねーか?」

 

 

その様子を見てそう呟くユーノとなのはとグレイ。すると……

 

 

「こらティア! そこまでにしないか!!」

 

 

ナツとティアナの間に一人の青年が割って入った。

 

 

「兄さん!!」

 

 

「「ティーダ!!」」

 

 

割って入って来たのはティアナの兄…『ティーダ・ランスター』であった。

 

 

「おかえり兄さん!!」

 

 

「ただいま。それよりティア…またナツと喧嘩してたのか?」

 

 

「うっ…だって……」

 

 

ティーダにそう言われ、バツの悪そうな顔をするティアナ。そんなティアナを見てティーダは溜め息をつく。

 

 

「この調子じゃあ…魔法を教える約束は無しかなぁ」

 

 

「えっ!?」

 

 

そんなティーダの呟きを聞いて、ティアナは驚き、泣きそうな表情になる。

 

 

「ダメ!! それだけはダメ!! 私楽しみにしてたんだよ!!」

 

 

「だったら今すぐナツに謝るんだ」

 

 

「うぅ……」

 

 

するとティアナはナツに向き直り……

 

 

「ご…ごめんなさい……」

 

 

と、小さな声で謝罪した。

 

 

「お…おう」

 

 

そんなティアナに戸惑いながら、ナツはそう言った。

 

 

「よし。偉いぞティア」

 

 

「えへへ……」

 

 

そう言ってティーダはティアナの頭を撫でる。頭を撫でられたティアナは先ほどの表情とは一変し、満面の笑顔になる。

 

 

「ティーダ! 帰ってきたのか?」

 

 

「マスター! ただいま」

 

 

「どうじゃった? 初めてのS級クエストは?」

 

 

「正直何回か死ぬかと思ったけど、何とか達成できたよ……」

 

 

するとティーダはティアナの頭から手を離し、そのままマカロフのもとへと行って仕事の話を始めてしまった。

 

 

「あっ…」

 

 

名残惜しそうにするティアナ。すると、ふとナツと目が合う。

 

 

「「……………」」

 

 

二人はしばらく見合ったあと……

 

 

「「ふん!!」」

 

 

同時に顔を横に向けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第十九話

『卵と約束と誓い』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻って現在……ナツの話をハッピーは興味深そうに聞いていた。

 

 

「へ~…ナツとティアナって昔は仲悪かったんだね」

 

 

「おう。グレイみてーに殴り合いをしてたわけじゃねーけど、口喧嘩はよくしてたな」

 

 

昔を懐かしむようにそう言うナツ。

 

 

「じゃあ、二人はいつから仲良くなったの?」

 

 

「ん? そーいや……いつからだ?」

 

 

ハッピーの問いにナツは思い出せずに首を傾げる。

 

 

「覚えてないの?」

 

 

「覚えてねーっつうか、気がついたらティアの態度が変わってたんだよな~」

 

 

「じゃあ、いつティアナの態度が変わったのかは覚えてない?」

 

 

「んー………おっ! そうだあの日からだ!!」

 

 

ナツは思い出したように手をポンッと手を叩くと、その日のことを話し始めた。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

時は再び6年前。ナツが卵を見つけてから数日後。

 

 

「ナツ~まだ着かないの?」

 

 

「もうちょっとだって」

 

 

「早くしなさいよバカナツ!」

 

 

卵を抱えたナツとリサーナ、そしてティアナは東の森へとやって来ていた。そして一同はナツが卵を拾った場所へと向かっている最中なのである。

 

 

「つーか、何でティアナまで居んだよ?」

 

 

「うるさいわね! 好きで居るんじゃないわよ!! 兄さんがアンタと喧嘩した罰だって言って、その卵を育てるのに協力しなさいって言うから仕方なくよ……」

 

 

「別にお前の力なんていらねーけどな」

 

 

「私もアンタの力なんてアテにしてないわよバカナツ」

 

 

「んだとテメェ!!」

 

 

「喧嘩はダメ!!!」

 

 

口喧嘩をするナツとティアナの間にリサーナが割り込んで止める。

 

 

「三人で協力して卵を育てようよ! ね?」

 

 

「「無理!!」」

 

 

「即答!?」

 

 

結局、リサーナの説得によりその場は収まり、三人は目的の場所へとたどり着いた。

 

 

「ここで卵を拾ったの?」

 

 

「おう! この木の上から降ってきたんだ」

 

 

ナツは一本の大木を指差しながら言う。

 

 

「じゃあ普通に考えてその卵って鳥の卵なんじゃないの?」

 

 

「違う! これはドラゴンの卵だ!!」

 

 

「ドラゴンなんて居るわけないでしょ!!」

 

 

「ドラゴンは居るっての!! オレはドラゴンのイグニールに育てられたんだからな!!」

 

 

「そんなの信じられるわけないでしょ!!」

 

 

「喧嘩はダメだって言ってるでしょー!!!」

 

 

再び口喧嘩は始めたナツとティアナ。そしてリサーナはそれを必死で止めようとしていた。

 

 

 

ズシンッ!

 

 

 

「「「っ!!?」」」

 

 

すると、突然大きな足音が聞こえ、一同は一斉にそちらを見る。

 

 

「ウホッ!」

 

 

「「「出たーーーっ!!!」」」

 

 

そこには凶悪モンスターゴリアン…別名〝森バルカン〟が立っていた。因みに森バルカンの好物は…

 

 

「卵♪食うから寄越せ」

 

 

「んだとコラ!? オレの拳でも…食っとけーー!!」

 

 

そう言ってナツは森バルカンに拳を叩き込むが…

 

 

「ウホホ! かゆいかゆい♪」

 

 

まったく効いていなかった。

 

 

「クソザルー!!」

 

 

ナツは負けじと何度も森バルカンを殴る。

 

 

「ホイ!」

 

 

「ぐあぁ!!」

 

 

「「ナツ!!」」

 

 

だが、森バルカンの腕の一振りで吹き飛ばされる。

 

 

「コノヤロー……!」

 

 

「やめなさいバカナツ!!体格が違い過ぎる!!」

 

 

「うるせー!!」

 

 

ティアナの静止も聞かず、ナツは再び森バルカンに立ち向かう。しかし、またもや吹き飛ばれて大木にたたきつけられ、その場に倒れる。

 

 

「くっ…そぉ……」

 

 

地面に倒れたナツは起き上がろうとするが、上手く立ち上がれない。

 

 

「っ…あの、バカ!!!」

 

 

「ティアナ!!?」

 

 

見かねたティアナは森バルカンに向かって駆け出した。

 

 

「ウホ?」

 

 

「たぁぁぁああ!!」

 

 

拳を作って森バルカンを殴ろうとするティアナ。

 

 

「フン!」

 

 

それを見た森バルカンはティアナに向かって腕を振るう。

 

 

スカッ

 

 

「ウホ!?」

 

 

しかし、腕はティアナの体をすり抜けた。それと同時にティアナの姿が消える。

 

 

「ウホ!? どこに行った!?」

 

 

「こっちよ山ザル!!」

 

 

「ウホ?」

 

 

振り向くと、森バルカンの背後には数個の魔力弾を生成したティアナが立っていた。

 

 

「まだ未完成だけど…クロスファイヤー……シュート!!!」

 

 

そして、それらを一斉に森バルカンに向けて放った。

 

 

「ウホーー!!!」

 

 

ドゴォォォォォオン!!

 

 

そしてそれは直撃し、爆発を起こした。

 

 

「やった!!」

 

 

「ティアナ凄い!!」

 

 

それを見たティアナとリサーナは歓喜の声を上げる。だが……

 

 

「ウホーーー!! もう怒ったーーー!!!」

 

 

爆煙から飛び出してきたのは無傷の森バルカンだった。

 

 

「そんな……!!」

 

 

「効いてない!?」

 

 

先ほどとは打って変わって絶望の表情をするティアナとリサーナ。

 

 

「ウホォ!!」

 

 

「きゃあぁぁぁああ!!」

 

 

森バルカンは足を振り上げ、ティアナを蹴り飛ばした。それを喰らったティアナは地面に転がる。

 

 

「ぶっ潰してやるーーー!!!」

 

 

そして両手をハンマーのように合わせて、それを倒れているティアナに向かって振り下ろす。

 

 

「っ……!!!」

 

 

ティアナは覚悟して目を瞑る。

 

 

ドゴォォォォォオン!!!

 

 

激しい轟音が森に響き渡る。

 

 

「……………?」

 

 

いつまで経っても衝撃が来ないことに、ティアナは恐る恐る目を開ける。そこに居たのは……

 

 

 

「ぐっ……ティアナは…やらせねぇ……!!!」

 

 

 

「な…ナツ!!?」

 

 

何とナツが森バルカンの攻撃を両手で必死に受け止めていた。

 

 

「アンタ…何で…!?」

 

 

いつも自分と口喧嘩ばかりしているナツが、まさか助けてくれるとは思わなかったティアナは呆然としながらもナツに問い掛ける。

 

 

「当たり…めーだろ……!! オレとお前は…同じギルドの……仲間だろっ!!!」

 

 

「っ!!?」

 

 

ナツの言った言葉にティアナは目を見開いた。

 

 

「どんなにムカつく奴でも…どんなにウゼェ奴でも……ピンチなら助け合う……それが仲間ってモンだろうがぁぁあ!!!」

 

 

「ナツ……!」

 

 

 

この時…ティアナは唐突に理解した。

 

何故、こんなにもナツといがみ合っていたのかを……

 

両親に捨てられたティアナは一年前…兄ティーダに連れられて妖精の尻尾(フェアリーテイル)へとやって来た。

 

元々ギルドの一員だったティーダの紹介もあって、ティアナはギルドに加入することになった。

 

しかし、ティアナはすぐにギルドに馴染むことが出来ず、同世代の子供たちとも距離を置いて、完全に孤立していた。

 

 

そこで出会ったのが、ティアナとほぼ同時期に加入して来たナツである。

 

 

少しとは言え、ティアナよりも後に入って来たナツは持ち前の明るさですぐにギルドに馴染んだ。グレイやエルザとは喧嘩をしていても、どこか絆のようなモノを感じさせたのだ。

 

 

ティアナはそれが悔しかった……いや……

 

 

 

「(羨ましかったんだ……)」

 

 

 

声に出さずに、ティアナは心の中で呟いた。

 

 

「(私はナツにずっと憧れてたんだ…すぐに誰とでも仲良くなれるナツに……)」

 

 

けれど同時にティアナはナツに嫉妬してしまった。いつか自分の居場所を奪われるのではないかと、不安を抱いてしまったのだ。そしてその2つは、いつしかナツに対する憎しみとなってしまった。その結果が、あの口喧嘩である。

 

 

「(私は一人ぼっちになるのが怖かった……いつか両親みたいに捨てられるんじゃないかって不安だった……でも、それは違った……)」

 

 

ティアナはゆっくりと目の前で自分を守ってくれているナツを見据える。

 

 

「(私にはもう…仲間が居たんだ!!!)」

 

 

すると、ティアナの目に闘志が宿る。

 

 

「ナツ!! 私が隙を作るから、タイミングを合わせなさいよっ!!」

 

 

「おう!!」

 

 

ティアナはナツと頷き合うと、すぐに行動を開始した。

 

 

「ハァァァァア……!!!」

 

 

ティアナの体の周りに再び魔力弾が生成させる。しかしその数は先ほどよりも多く生成されていった。

 

 

「クロスファイヤー……シューーート!!!」

 

 

そしてそれを一斉に森バルカンへと放った。

 

 

「ウホ? ウホォォォォオオ!!?」

 

 

突然反撃を喰らった森バルカンは大きくのけぞる。

 

 

「今よナツ!!」

 

 

「おおう!!」

 

 

ティアナの掛け声と共にナツは森バルカンに向かって飛ぶ。そして……

 

 

 

「火竜の…鉄拳!!!!」

 

 

 

ドゴォォォォォォオン!!!

 

 

「ウホァァァァアア!!!!」

 

 

森バルカンの顔面に炎の拳を叩き込み、地面に叩きつけ、気絶させたのだった。

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ……」

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

 

息を切らせながらお互いの顔を見据えるナツとティアナ。

 

 

「……私の力なんていらないんじゃなかったの?」

 

 

「お前こそ、オレの力はアテにしてねーんじゃなかったのか?」

 

 

互いに憎まれ口を叩く二人。すると……

 

 

「「ぷっ…はははははっ!!!」」

 

 

お互いに満面の笑みで笑い始めた。そしてその笑いが止むと…

 

 

「やったな」

 

 

「えぇ」

 

 

パァン!

 

 

と…二人はハイタッチを交わしたのだった。

 

 

「ナツー! ティアナー!!」

 

 

すると、卵を抱えたリサーナが駆け寄ってきた。

 

 

「リサーナ! 無事だったか!?」

 

 

「うん! 卵も無事だよ!」

 

 

「じゃあ、早く帰って育てましょ」

 

 

「「え?」」

 

 

ティアナの言葉が意外だったのか、ナツとリサーナは目を丸くする。

 

 

「ドラゴンの卵…かえすんでしょ?」

 

 

ティアナはそう言って薄く微笑んだ。それを見た二人は…

 

 

「おう!!」

 

「うん!!」

 

 

満面の笑みで返したのだった。

 

 

「んじゃあ帰るか!!」

 

 

そう言って帰路に着こうとする一同。すると……

 

 

 

「ウホォォォォォオ!!!」

 

 

 

先ほどの気絶させた森バルカンが飛び掛ってきた。

 

 

「何!?」

 

 

「もう復活したの!?」

 

 

「このガキどもがぁぁああ!!!」

 

 

そう叫びながら三人を叩き潰そうと腕を振り下ろす森バルカン。とっさのことに反応できない三人。もうダメだと思われたその時……

 

 

ドォォン!!

 

 

「ウホォオ!!?」

 

 

「「「っ!!?」」」

 

 

突如、振り下ろされそうになった森バルカンの腕に魔力弾が直撃した。その魔力弾が飛んできた方向を見るとそこには……

 

 

 

「まったく…心配で様子を見に来てよかった」

 

 

 

一丁の銃…『ロストミラージュ』を構えたティーダの姿があった。

 

 

「兄さん!!」

 

 

「「ティーダ!!」」

 

 

その姿を見た三人は嬉しそうに笑みを浮かべる。ティーダはそんな三人に微笑を浮かべると、視線を森バルカンに移す。そして……

 

 

「失せろ山ザル……次は本気で撃つぞ」

 

 

尋常ではない殺気の篭った目で睨みつけた。

 

 

「ウ…ウホォ!! 失礼しましたーー!!!」

 

 

その殺気に怖気づいた森バルカンは慌てて森の奥へと逃げ帰っていった。

 

 

「ふう…みんな、大丈夫か?」

 

 

「うおーー!! ティーダすげーー!!」

 

 

「さすが兄さん!!」

 

 

「すごいすごーい!!」

 

 

ティーダが三人に安否を確認すると、三人は元気にティーダに賞賛の言葉を送った。

 

 

「あはは! 大丈夫そうだな。じゃあみんな、帰るぞ!!」

 

 

「「「おおーーー!!!」」」

 

 

こうして、ナツ達のちょっとした激闘が終わりを告げたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「あん時からだな、ティアの態度が変わったのは。それからも喧嘩することも減ったし……」

 

 

「へ~」

 

 

ハッピーは相変わらず興味深そうに聞いている。

 

 

「ところでさ、まだ肝心の〝約束〟の話を聞いてないよ」

 

 

「おっと、そうだった」

 

 

ハッピーにそう指摘され、ナツは思い出したように話を戻したのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

森バルカンの騒動から数日経ったある日。

 

 

「誰だー!! 盗んだのーーっ!!」

 

 

ギルドに来るなりナツが大騒ぎをしていた。その理由は……

 

 

「卵が消えた?」

 

 

「私達は知らないの」

 

 

「でも、卵が一人でどこかに行くなんてありえないし……」

 

 

そう…公園に作った秘密基地でナツ達は卵を育てながら一晩を過ごしたのだが、朝起きたらその卵が無くなっていたのである。

 

 

「ラクサスお前かーー!!!」

 

 

「興味ねえ」

 

 

ラクサスは本当に興味なさそうに音楽を聴いている。

 

 

「エルザー!! 吐き出せよぉ!!」

 

 

「おい……少し飛んでないか? 話が」

 

 

既に食ったと決め付けているナツにエルザはツッコミを入れる。

 

 

「クロー!! テメェかー!!?」

 

 

「心当たりはないな。それと、僕はクロノだ」

 

 

間違いを指摘しながらそう答えるクロノ。

 

 

「ミラ姉、卵知らない?」

 

 

「知らないわよ。アンタ自分で食ったんじゃないの?ナツ」

 

 

「このやろう!!」

 

 

「やんのかナツ!! 手加減しねーぞコラ!!!」

 

 

ミラの言葉を聞いたナツはミラに飛び掛かり、ミラもそれを応戦し、喧嘩し始めた。

 

 

「ちょっとナツ!! 落ち着きなさいよっ!!」

 

 

「やめないないかお前たち!」

 

 

「くだんね」

 

 

「ハァ…」

 

 

喧嘩を止めようとするティアナとエルザ。それを呆れた表情で見ているラクサスとクロノ。

 

そして、遠くでその喧嘩を見ていたマカオとワカバ、そしてマカロフが口を開く。

 

 

「あのガキどもまたやってるよ」

 

 

「本当ひでー世代だな。数年後のギルドを想像したくねーぜ」

 

 

「反発するのは認め合うからこそ。奴等には互いの顔がハッキリ映っておる。なーんも心配することはないわい」

 

 

文句を言うマカオとワカバにマカロフはにかっと笑いながらそう言った。

 

 

「オレの卵…どこ行ったんだよ……」

 

 

喧嘩が終わり、大事な卵の行方がわからなくなったナツは目に涙を浮かべる。

 

 

「泣くなよナツ……かわいいなぁ」

 

 

「泣いてねえよ!!!」

 

 

「その辺にしないかミラ! ほら…ナツも泣くじゃない」

 

 

「泣いてねえよ!!!」

 

 

「卵……」

 

 

「大事にしてたのに……」

 

 

リサーナとティアナの目にもうっすらと涙が浮かぶ。すると……

 

 

「ナツ…ティアナ…リサーナ…ごめん。盗んだわけじゃねーんだ」

 

 

「エルフマン!?」

 

 

「卵!!」

 

 

ナツ達の卵を抱えたエルフマンが申し訳無さそうにやってきた。

 

 

「三人だけじゃあっためるの大変かなって思って。夜…冷えるだろ?でも…オレ…魔法うまく使えねーから、恥ずかしくて一人でこっそりやってたんだ」

 

 

「そうだったのかー!!」

 

 

「よかったー!!」

 

 

「ありがとうエルフ兄ちゃん!!!」

 

 

事情を聞いたナツ達三人は卵が見つかったことに喜ぶ。その時……

 

 

 

ピキッ

 

 

 

卵に小さなヒビが入る。それを見てギルド全体が騒然とする。

 

 

「う…生まれる!!!」

 

 

「おおっ!!!」

 

 

「おいっどけよ!!」

 

 

「バカッ、あまり押すなっ!!」

 

 

我先に見ようと卵の前に集まるギルドメンバー達。そして……

 

 

 

ピキキキ……パカーーン!!

 

 

 

羽の生えた青いネコが生まれた。

 

 

『ネコ!!?』

 

 

「「「わあっ!!」」」

 

 

生まれたネコを見て驚愕する一同と、感嘆の声を上げるナツ、ティアナ、リサーナの三人。

 

 

「まさか…卵からネコが生まれるなんて……」

 

 

「羽の生えたネコちゃんなの!!」

 

 

「いや…あの羽からは魔力を感じる…能力(アビリティ)系魔法の一種だよ」

 

 

上からクロノ、なのは、ユーノは飛んでいるネコを見て驚愕の声を上げる。

 

そして、そのネコはフラフラと飛びながらナツの頭にちょこんと着地すると……

 

 

「あい!」

 

 

元気な声で鳴いたのだった。

 

 

「「かわいー!!」」

 

 

それを見たギルドメンバー達は続々とネコに群がり始める。

 

 

「見て…ナツ。さっきまでみんなカリカリしてたのに…あんなに嬉しそう」

 

 

「なんだか、幸せを呼ぶ青い鳥みたいね」

 

 

リサーナとティアナの言う通り、ネコが生まれたその時から、ギルドに居た全員が楽しそうに笑っていた。

 

 

「幸せかぁ。じゃーこいつの名前『ハッピー』」

 

 

「あい」

 

 

「ドラゴンのハッピーだ」

 

 

「あい」

 

 

『ドラゴンじゃねえよ!!!』

 

 

未だにハッピーをドラゴンと思い込んでいるナツに全員がツッコミを入れた。すると……

 

 

「ん? なんだこの騒ぎ?」

 

 

「兄さん!」

 

 

「「ティーダ!!」」

 

 

仕事に行っていたティーダが帰ってきた。それを見たナツ達はハッピーを連れてティーダに駆け寄る。

 

 

「おかえり兄さん!! 見て見て! あの卵がかえったの!!」

 

 

「あい!」

 

 

「ネコ!?」

 

 

あの卵からネコが生まれたことに驚くティーダ。

 

 

「おう! ハッピーっつうんだ!!」

 

 

「あい!」

 

 

「へぇ…ハッピーか」

 

 

そう言ってティーダはハッピーの頭を撫でる。

 

 

「ナツ! 私にもハッピーを抱かせて!」

 

 

「おう、ほらよ」

 

 

ナツはティアナにハッピーを手渡す。

 

 

「わぁ…かわいい」

 

 

「あい」

 

 

「ティアナ! 私にも抱かせて!!」

 

 

ハッピーを中心にキャッキャッとはしゃぎ始めるティアナとリサーナ。

 

 

「(あんな笑顔のティアナを見るのは久しぶりだな……)」

 

 

その様子をティーダは嬉しそうに微笑みながら見ていた。すると、ナツがティーダに声を掛ける。

 

 

「そうだティーダ!」

 

 

「うん? なんだ?」

 

 

「この前は言い忘れてたけど、助けてくれてありがとな!!」

 

 

この前とは、東の森でのことだろう。突然お礼を言われたティーダは目を丸くするが、すぐに微笑む。

 

 

「気にするな。仲間は助け合うものだろ?」

 

 

「へへっ……じゃあティーダが何か困ってたら、次はオレが助ける番だな! 何か困ってることねーか!?」

 

 

「いや…いきなりそう言われても……」

 

 

ナツの申し出にティーダは苦笑しながら断ろうとしたが、その瞬間…未だにリサーナとはしゃいでいるティアナの姿を見た。

 

 

「……じゃあ、一つ頼みごとを聞いてくれるか?」

 

 

「おう!! 何でも言ってくれ!!」

 

 

待ってましたと言わんばかりに声を張り上げるナツ。そしてティーダは膝を折ってナツに視線を合わせると、ゆっくりと口を開く。

 

 

「この先…もしオレの身に何かあったら……ティアを守ってやってくれるか?」

 

 

「……え?」

 

 

ティーダの頼みごとにナツは目を丸くする。

 

 

「オレはS級魔導士だ…いつ命に危険が及ぶかわからない。だからもしもの時は…オレの代わりにティアを…ティアの笑顔を守ってやってくれ」

 

 

「ティーダ……」

 

 

まるでもうすぐ自分が死んでしまうようなことを言うティーダに、ナツは不安な表情を見せる。

 

 

「おいおいそんな顔をするなよ。もしもの話だって。言っとくが、オレはそう簡単に死ぬ気はないぞ」

 

 

ティーダは苦笑しながらナツの頭を撫でる。すると、ナツの表情が安堵に変わる。

 

 

「で…どうだナツ? 約束できるか?」

 

 

「おう!! もちろんだぜ!!」

 

 

「言ったな? 絶対にティアを悲しませるなよ?」

 

 

「任せとけ!!」

 

 

「よしっ!! 男同士の約束だぞ!!」

 

 

「おう!!!」

 

 

そう言ってナツとティーダは約束の証として、互いの拳を軽くぶつけ合ったのだった。

 

 

 

 

 

ティーダ・ランスターが仕事先でこの世を去ったのは…それから数ヶ月後のことであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「そっか……約束って、ティーダとした約束だったんだね」

 

 

「あぁ…でも今日それを破っちまった。ティアを泣かせちまったからな……」

 

 

「ナツ……」

 

 

そう語るナツの表情には後悔の色がありありと見えた。それを見たハッピーは心配そうな声を上げる。

 

 

「……………ハッピー、ちょっと付き合え」

 

 

「え?」

 

 

何かを考え込んでいたナツは突然その場から腰を上げ、どこかへと歩き出した。

 

 

「待ってよナツー!」

 

 

ハッピーはそれを慌てて追いかけていったのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後、ナツとハッピーがやって来たのはカルディア大聖堂にある墓地…そこにある一つの墓の前だった。そしてその墓には……

 

 

―Teida Lanster―

 

 

と刻まれていた。

 

 

「ここって…ティーダのお墓? ナツ、ここに来たかったの?」

 

 

「ああ……」

 

 

ハッピーの問い掛けにナツは小さく頷くと、ゆっくりと目を閉じる。

 

そして脳裏に浮かぶのは……ティーダの葬式の日。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その日の空は暗い曇天で…街に雨が降り注いでいた。

 

 

カルディア大聖堂には喪服を来た多くの人たちが集まり、その大半はギルドメンバーで埋まっていた。

 

 

そしてその最先端にはマカロフが立っていた。

 

 

「ティーダ・ランスターは……神に愛され、神を愛し…そして我々友人を愛しておった。その心は悠久なる空より広く、その銃は愛する者の為に闇を撃ち抜く…その姿は威風堂々とした気高さであった。愛は人を強くする…そしてまた人を弱くするのも愛である。彼が…安らかなることを祈る。ワシは……」

 

 

そう言うと、マカロフは目を伏せる。

 

 

「ワシは…ズズ……彼を本当の家族のように……ズズズ…」

 

 

そして肩を震わせ、涙を流し始めた。それに触発されて、他のギルドメンバーも涙を流し始めた。

 

ナツも…グレイも…エルザも…なのはも…ミラも…リサーナも…ユーノも…エルフマンも…クロノも…彼を兄のように慕っていた面々はみんな声を上げて涙を流していた。

 

 

「……バカヤロウ……!!」

 

 

あのラクサスでさえも、ティーダの墓標を見据えながら静かに涙を流していた。

 

 

しかしその中でも特に悲しんでいたのは……

 

 

「うわぁぁぁぁああ!!!! 兄さん…兄さん……うあぁぁぁあ!!!」

 

 

他でもない彼の実の妹……ティアナである。

 

ティアナはその場に泣き崩れ、溢れる涙を拭おうともせずにひたすらに泣き叫んだ。自身の涙と雨に濡れて、彼女の顔はグシャグシャだった。

 

 

「ティアナ……」

 

 

その様子を、同じく涙を流しているナツが見ていた。何か声を掛けようとするが、何て声を掛けたらいいかわからない。そんなもどかしさがナツの心を支配する。

 

 

その時……脳裏にティーダの言葉が蘇る。

 

 

―もしもの時は…オレの代わりにティアを…ティアの笑顔を守ってやってくれ―

 

 

「っ……!!」

 

 

その言葉を思い出したナツは、ゆっくりとティアナに歩み寄る。そして……

 

 

 

「ティア!!!」

 

 

 

彼が呼んでいた愛称でティアナを呼んだ。

 

 

「グス……ナツ……ひっく…」

 

 

涙と雨に濡れたグシャグシャの顔を上げるティアナ。そんなティアナの腕をナツは掴んで引っ張り……

 

 

そのままティアナを抱き締めた。

 

 

「ナ……ツ……?」

 

 

突然のことに呆然とするティアナ。

 

 

「今日だけは好きなだけ泣け……けど、明日から絶対に泣くな!! ティーダが一番好きだった笑顔でいろ!!! お前の笑顔はオレが守る!! 絶対に守るからっ!!!!」

 

 

「うっ…ひっく……ナツ……ナツゥゥゥウウ!!!!」

 

 

それを聞いたティアナはナツの胸板に顔を押し込め、先ほどよりも大きな声で泣き叫んだ。そんなティアナを抱き締めながら、ナツ自身も静かに涙を流したのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

昔のことを思い出していたナツは、ゆっくりと目を開けて、目の前にあるティーダの墓を見据えた。

 

 

「……ティーダ」

 

 

そして墓に向かって話しかけた。

 

 

「悪ぃ…お前との約束を破っちまった……よりによって…オレがティアを悲しませちまった……本当にスマネェ!!!」

 

 

「ナツ……」

 

 

そう言って墓に向かって深く頭を下げるナツ。そしてそれを見守るハッピー。

 

 

「今日はそのワビと……もう一つ話があってきたんだ」

 

 

そう言いながらゆっくりと顔を上げるナツ。その表情は、何かの決意を表していた。

 

 

「けど、お前はもう居ねえ……だからオレが一方的にしゃべるぞ」

 

 

そう前置きをしてナツは再び口を開く。

 

 

 

「もう二度と! ティアを悲しませるなんてバカなマネはしねえ!! 今度こそティアの笑顔を守ってやる!! オレが一生側に居て、ティアを守り抜くことを……ここに誓うっ!!!!」

 

 

 

ナツは空を向かってそう叫んだ。そして叫び終わると、視線を再びティーダの墓に戻す。すると……

 

 

ビュオッ!!

 

 

「うおっ」

 

 

突然強い向かい風が吹き、ナツは腕で目を覆う。その時……

 

 

 

―任せたぞ…ナツ―

 

 

 

「っ!!!?」

 

 

それは空耳だったのか、風の音だったのかは定かではない。しかし、ナツの耳にはハッキリとティーダの声が聞こえた。それを聞いたナツはニッと笑みを浮かべる。

 

 

「おう! 男同士の約束だ!!」

 

 

そう言って墓に向かって拳を突き出したのであった。

 

 

「ナツ……」

 

 

その様子を側で見ていたハッピーの目には、ナツと拳をぶつけ合うティーダの姿が映っていた。

 

 

「……よっしゃ! 帰るぞハッピー!!」

 

 

「あいさー!!」

 

 

そしてナツはその場から家に向かって駆け出し、ハッピーも飛んでその後に続いて行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ナツとハッピーが去ったあと…墓地の草葉の陰から、一人の少女が出てきた。その少女とは……

 

 

 

「あの…バカナツ……」

 

 

 

顔を真っ赤にしたティアナであった。

 

実は偶然ティーダの墓参りに来たティアナは兄の墓の前に真剣な表情で立つナツを見て、咄嗟に隠れたのであった。

 

そしてティアナの脳裏には、先ほどのナツの言葉が浮かぶ。

 

 

 

―オレが一生側に居て、ティアを守り抜くことを……ここに誓うっ―

 

 

 

「あれじゃあ…プロポーズみたいじゃないのよぉ……」

 

 

ティアナは真っ赤な顔をさらに真っ赤ににした。

 

 

「でも…あいつはそんな自覚ないんだろうなぁ」

 

 

ナツの性格を一番よく知っている為、ティアナは容易に無自覚だと想定できた。

 

 

「……兄さん」

 

 

そして、ティアナはティーダの墓の前に立つ。

 

 

「ナツはああ言ってたけど、私はただじゃ守られないわよ。アイツが危ないときは私が逆に守ってやんなきゃね。それと兄さん……」

 

 

そう言いながらティアナは一呼吸置いて……

 

 

 

「私は今…たくさんの仲間達に囲まれて幸せです!! だから…安心してくださいっ!!!」

 

 

 

と…本当に幸せそうな満面の笑顔でそう言ったのであった。

 

 

 

 

 

つづく

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