LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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アニメ化が決定したVividですが、もし成長したエリオが声変わりして声優が変わっていたとしたら誰になるんだろうか。

と、どうでもいい事を小1時間ほど考えていたZEROです。

やっぱり原作沿いだと筆が速いですね。今回はいわゆる妖精無双の話と言っても過言ではありません。書いていてとても楽しかったです。

感想お待ちしております!!!


止められないギルド

 

 

 

 

大魔闘演武5日目・競技パート

 

 

『大魔闘演武もいよいよ中盤戦、5日目に突入です』

 

 

『今日はどんな熱いドラマを見せてくれるかね』

 

 

『本日のゲストは前回のゲンヤさんと同じく、魔法評議院よりラハールさんにお越し頂いてます』

 

 

『久スぶりだね』

 

 

『よろしくお願いします』

 

 

チャパティの紹介により、3日目のゲストであるラハールが微笑みながら挨拶をする。

 

 

『ラハールさんは強行検束部隊大隊長という事ですが』

 

 

『ええ……大会中の不正は許しませんよ』

 

 

ラハールのそんな冗談めいた言葉に、観客席から笑い声が起きる。

 

 

そしてその観客席には……彼らの姿もあった。

 

 

「ラハールめ、オレまで付き合わせやがって」

 

 

「まぁまぁ、いいじゃないのさ。ラハールなりに気を使ってくれたんだよ」

 

 

その人物たちとは……ラハールと同僚のドランバルトと、同じく同僚のアルフの2人であった。

 

 

そして複雑そうな表情で闘技場を見据えるドランバルトの脳裏には、ラハールに声をかけられた際の彼との会話が浮かんでいた。

 

 

『大魔闘演武のゲストだぁ? お前が?』

 

 

『断る道理もない。お前も来い、ドランバルト』

 

 

『いや……オレは』

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の元気な姿を見たいだろう?』

 

 

ラハールのその言葉を受けて、ドランバルトは今ここにいる。やはり天狼島での一軒が、未だに彼の中で後悔として渦巻いていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第191話

『止められないギルド』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『5日目の競技は伏魔殿(パンデモニウム)。参加人数は各ギルド1名です!!』

 

 

「私が行こう」

 

 

「がんばってねエルザー」

 

 

「エルザさんなら大丈夫だね!」

 

 

「だな」

 

 

「ファイトです!!」

 

 

「オレを出せー!」

 

 

「落ち着きなさいバカナツ」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)Aチームからは、ギルド最強の女候補の1人……エルザ・スカーレット。

 

 

「Bチームは私が出るよ」

 

 

「ちょっと待て!!」

 

 

「あれ? 何でカナが?」

 

 

「ミストガンはどうした」

 

 

「いませんね」

 

 

「ゲストに評議員がいるんじゃ出場できんでしょ」

 

 

「昨日の父さんと違って、あいつらは犯罪者には厳しいからな」

 

 

「にゃはは…それもそうだね」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)Bチームからは、姿をくらましたミストガンに代わってリザーブ枠でチーム入りをした、カナ・アルベローナ。

 

 

「そろそろ私の出番やな」

 

 

「ついに我が主が出るのですね」

 

 

「がんばれはやてー!」

 

 

「主はやて、ご武運を」

 

 

「お気をつけて」

 

 

「はやてさんなら大丈夫ですよね」

 

 

「一応、最強候補の1人だからね」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)Cチームからはエルザと同じくギルド最強の女候補の1人である……八神はやて。

 

 

「エルちゃんが出るなら私に行かせて、カグラちゃん!」

 

 

「許可しよう」

 

 

人魚の踵(マーメイドヒール)からは、エルザと昔なじみのミリアーナが出る事となった。

 

 

「負けないよエルちゃ~ん!」

 

 

「……ああ」

 

 

笑顔でそう言ってくるミリアーナの言葉にそう返すエルザだが、先日のジェラールへの恨みという狂気に染まった彼女の顔を思い出して、複雑な表情を浮かべる。

 

 

「集中せねば」

 

 

だがエルザは軽く自身の両頬をはたき、競技に集中する為に思考を切り替えたのであった。

 

 

「評議員の前だ。余計な事はするなよ、オーブラ」

 

 

「(コクン)」

 

 

大鴉の尻尾(レイヴンテイル)からは、大会前にウェンディやキャロたちを襲った張本人と思われる、目元に仮面をした青い肌の男……オーブラ。

 

 

「オレが行くわ。少しは体動かさねーとな」

 

 

「ヴェイ兄が出んのかよ」

 

 

「あまり目立たないようにしてくださいね」

 

 

凶鳥の眷属(フッケバインファミリー)からは、チームのリーダー的存在である一見ガラの悪い男性……ヴェイロン。

 

 

「天馬からは僕が行こう」

 

 

そう言って女性たちの歓声を浴びながら出てきたのは、青い天馬(ブルーペガサス)のヒビキ・レイティス。

 

 

「こちらからはオレが出よう」

 

 

「オッサンが出んのかよ」

 

 

「フフ…我らの力を存分に見せて来い、ゼスト」

 

 

剣咬の虎(セイバートゥース)からは、〝鬼神〟の異名を持つ歴戦の槍使いの魔導士……ゼスト・グランガイツ。

 

 

「ジュラさんが出るの?」

 

 

「オババの命令じゃ仕方ない」

 

 

「だがジュラ殿が出るなら、競技にならんかもな」

 

 

「ウム……任せておけ」

 

 

|蛇姫の鱗から出場するのは何と、聖十の称号を持つ大魔導士……ジュラ・ネェキス。

 

 

因みに四つ首の仔犬(クワトロパピー)からはノバーリという魔導士。

 

 

こうして各々のギルドが1名ずつメンバーを選出し、闘技場には選ばれた出場メンバー10人が出揃った。

 

 

「先日も休暇で失礼しました。それではこれより、伏魔殿(パンデモニウム)のルールを説明しますカボ」

 

 

マトー君がそう言うと、闘技場全体に巨大な魔法陣が展開される。

 

 

ゴゴゴゴゴゴ……

 

 

「これは……」

 

 

「すごい…」

 

 

「解析開始」

 

 

「ワイルド」

 

 

そして魔法陣から会場全体を揺るがすような地鳴りが響くと同時に……巨大な黒い神殿が姿を現したのであった。

 

 

「邪悪なるモンスターが巣くう神殿──伏魔殿(パンデモニウム)

 

 

「「でかーーー!!」」

 

 

「モンスターが巣くうだと?」

 

 

「そういう設定ですカボ、ただの」

 

 

はやてとカナの驚愕の声を聞きながら、ジュラの問いにそう答えたのちに改めてルールの説明を始めるマトー君。

 

 

「この神殿の中には100体のモンスターがいます……といっても我々が作り出した魔法具現体。皆さんを襲うような事はないのでご安心を」

 

 

モンスターがいると聞いて観客席がざわめくが、マトー君のその説明を聞いて安堵の息を漏らす。

 

 

「モンスターはD・C・B・A・Sの5段階の戦闘力が設定されています。内訳はこのようになっています」

 

 

S×1

A×4

B×15

C×30

D×50

 

 

「ちなみにDクラスのモンスターがどのくらいの強さを持っているかといいますと」

 

 

マトー君がそういうと、神殿の中を映し出した魔水晶映像(ラクリマヴィジョン)が展開される。

 

 

するとそこに映っていたのは、ズシンズシンと足音と呻き声を出しながら石像を粉々に粉砕するDクラスモンスターの姿であった。

 

 

「こんなのやらこんなのより強いのやらが100体うずまいているのが伏魔殿ですカボ。クラスが上がるごとに倍々に戦闘力が上がると思ってください」

 

 

あまりの光景が映し出された映像を見て、観客席だけでなく控室等にいる者たちまで言葉を失う。

 

 

「Sクラスのモンスターは聖十大魔道といえど倒せる保証はない強さですカボ」

 

 

「ム」

 

 

その一言にジュラがピクリと眉を動かすが、マトー君は構わず説明を続ける。

 

 

「皆さんには順番に戦うモンスターの数を選択してもらいます。これを〝挑戦権〟といいます。たとえば3体を選択すると神殿内に3体のモンスターが出現します。3体の撃破に成功した場合、その選手のポイントに3点が入り、次の選手は残り97体の中から挑戦権を選ぶ事になります。これを繰り返し、モンスターの数が0又は皆さんの魔力が0となった時点で競技終了です」

 

 

「数取りゲームみたいだね」

 

 

「そうです。一巡した時の状況判断も大切になってきます。ただし先ほども申し上げたとおり、モンスターにはランクがあります。これは挑戦権で1体を選んでも5体を選んでも、ランダムで出現する仕様になってます」

 

 

「つまりSクラスのモンスターとぶつからない戦略が必要という事だね」

 

 

「しかし、どのランクのモンスターが現れるのかわからない以上、そのような戦略を立てられるとは思えんが」

 

 

「いいや、確率論と僕の古文書(アーカイブ)があれば、ある程度の戦略が立つ」

 

 

「モンスターのクラスに関係なく撃破したモンスターの数でポイントが入ります。一度神殿に入ると挑戦を成功させるまで退出はできません」

 

 

「神殿内でダウンしたらどうなるんだい?」

 

 

「今までの自分の番で獲得した点数はそのままに、その順番での撃破数は0としてリタイアとなります」

 

 

「うーん…色々難しそうな競技やなぁ」

 

 

「それでは皆さん、クジを引いてください」

 

 

ようやく説明を終えたマトー君は、今度は挑戦する順番を決める為のクジを参加者に差し出す。

 

 

参加者の面々は1人1人そのクジを引いて行き、挑戦する順番が決まった。

 

 

「1番」

 

 

「ラッキーだね、一番たくさん自分の順番が回ってくるよ。私なんか10番」

 

 

「相変わらずくじ運ええなぁ、エルザさんは。因みに私は9番やで」

 

 

どうやらクジの結果、1番手はエルザのようである。するとエルザは小さく嘆息しながら静かに口を開く。

 

 

「この競技、くじ運で全ての勝敗がつくと思っていたが」

 

 

「くじ運で? い…いやどうでしょう? 戦う順番よりペース配分と状況判断力の方が大切なゲームですよ」

 

 

「いや…もはやこれはゲームにならんな」

 

 

「!?」

 

 

エルザはフッと口元に笑みを浮かべながらそう言ったかと思うと……続けて驚きの言葉を言い放った。

 

 

 

 

 

「100体全て私が相手する──挑戦権は100だ」

 

 

 

 

 

何と……神殿に巣くうモンスター全てを相手すると言ってのけたエルザの言葉に、会場全体が震撼する。

 

 

「ム…無理ですよ!! 1人で全滅できるようには設定されてません!!」

 

 

「構わん」

 

 

マトー君の制止も聞かず、100体のモンスターがうずまく神殿の中に……エルザは1人足を踏み入れたのであった。

 

 

 

 

 

そしてそれから起こった事を……会場にいた者たちは生涯忘れる事はないだろう。

 

 

たった1人で100体ものモンスターを相手取り、1体…また1体と薙ぎ倒していく。

 

 

キズだらけになりながら、地に落ちたハズの妖精が舞う。

 

 

 

──妖精女王(ティターニア)ここにあり。

 

 

 

ある者はその美しさに涙を流し…ある者はその強さに戦慄し…またある者はその光景に言葉を失う。

 

 

後にその姿を見た者はこう語る。

 

 

それはまるで……凛と咲き誇る緋色の花のようであったと。

 

 

 

 

 

そして跡に残ったのは……妖刀・紅桜を高々と天に掲げて勝ち名乗りを上げているエルザの姿であった。

 

 

 

 

 

『し…しし……信じられません!!! なんと、たった1人で100体のモンスターを全滅させてしまったーーーーーっ!!!! これが7年前最強と言われていたギルドの真の力なのかっ!!!? 妖精の尻尾(フェアリーテイル)A、エルザ・スカーレット圧勝ーーー!!! 文句なしの大勝利ーーー!!!!』

 

 

「す…すげぇ!!!」

「何だあいつ…!」

「私……覚えてる」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の女魔導士候補の1人、エルザ・スカーレット!」

妖精女王(ティターニア)のエルザ!!!」

 

 

エルザの活躍を見て、観客席は大いに大歓声に包まれる。

 

 

『未だに鳴りやまないこの大歓声!!!』

 

 

『こりゃ参ったね』

 

 

『言葉もありませんよ』

 

 

実況席の3人も、エルザの勇姿の前に言葉が見つからなかった。

 

 

「エルザーーーっ!!!」

 

 

「エルザさーん!!!」

 

 

観客席の興奮が冷めやらぬ中、控室等から降りてきた仲間たちが一斉にエルザに駆け寄った。

 

 

「やっぱすげーよ」

 

 

「あとでオレと勝負しろー!」

 

 

「本当…さすがですエルザさん!!!」

 

 

「やっぱりエルザさんは凄すぎるよー!!」

 

 

「あたし感動しちゃった」

 

 

「私…もう胸がいっぱいで」

 

 

「オイオイ、まだ優勝した訳じゃないぞ」

 

 

興奮気味に迫ってくる仲間たちに、エルザはそう言いながら苦笑する。

 

 

「敵わないねえ」

 

 

「ホンマ、さすがとしか言いようないわ」

 

 

「エルちゃんやっぱり最強だねー!」

 

 

「さすが一夜さんの彼女さん…」

 

 

「あれを見せつけられた後に命知らずなボケかますね」

 

 

「見事」

 

 

「さすがだ……妖精女王(ティターニア)

 

 

「ありゃとんでもねーな」

 

 

「……………」

 

 

他の参加者の面々も、エルザの力に感心を示す他ならない。

 

 

「面白い…口先だけではないということか、妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

 

「エルザ・スカーレット。ジェラールをよく知る者…」

 

 

そしてセイバーではミネルバが…マーメイドではカグラが、静かにエルザを見据えていたのであった。

 

 

 

伏魔殿(パンデモニウム)完全制圧!!!! 妖精の尻尾(フェアリーテイル)A、10P獲得!!!!』

 

 

 

こうして、エルザの活躍によってこの競技は妖精の尻尾(フェアリーテイル)Aの完全勝利で幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

『えー、協議の結果、残りの9チームにも順位をつけないとならないという事になりましたので、いささか味気は無いのですが簡単なゲームを用意しました』

 

 

魔力測定器(マジックパワーファインダー)〝MPF〟」

 

 

主催者側が新たな競技として用意したのは、何やら人並み程の大きさの装置であった。

 

 

「この装置に魔力をぶつける事で、魔力が数値として表示されます。その数値が高い順に順位をつけようと思います」

 

 

「純粋な力比べか……これはちょっと分が悪いかな。ところでカナさん、はやてさん、今日の夜ってヒマ?」

 

 

「なんやナンパか? 嬉しい申し出やけどごめんなぁ、ウチの子たちにあまり心配かけたくないんよ」

 

 

「家族想いなんだね」

 

 

ヒビキの誘いに、はやては苦笑を浮かべながらやんわりと断る。それでもヒビキは爽やかな笑顔を浮かべていたが。

 

 

「私はヒマだけど……もう…1樽くらいしか入らないかも」

 

 

「飲みすぎだよ」

 

 

「ってゆーレベルやあらへんけどな。カナちゃんどっから持って来たんやこれ?」

 

 

そう言って呆れるはやての目の前には、いつの間にかカナが飲み散らかした大量のカラになった酒樽が転がっていた。

 

 

「あの酔っ払い!!!」

 

 

「ダメだなありゃ」

 

 

「カナちゃんすでにベロベロなの」

 

 

「カナさん!! まだ競技終わってないですよ!!」

 

 

「ほぇ?」

 

 

妖精Bチームからそんな言葉が飛んでくるが、当人のカナはすでに酔っぱらっている。

 

 

だがそんな事はお構いなしに、競技が始まる。

 

 

「挑戦する順番は、先ほどの順番を引き継ぎますカボ」

 

 

「じゃあ私からだね!! 行っくよー!」

 

 

最初の挑戦者は、エルザの次に伏魔殿(パンデモニウム)に挑戦する予定であったミリアーナ。

 

 

「キトゥンブラスト!!!!」

 

 

ミリアーナは魔法のチューブを螺旋状に回転させながら飛ばし、MPFにぶつける。するとピピッと音を立てて『365』という数値が表示された。

 

 

だが数値の基準がよくわからないので、観客席からはザワザワと戸惑いの声が上がっていた。

 

 

『比べる基準がないと、この数値が高いかどうかわかりませんね』

 

 

『ウム』

 

 

『この装置は我々ルーンナイトの訓練にも導入されています。この数値は高いですよ、部隊長を任せられるレベルです』

 

 

ラハールのその説明により、ミリアーナの点数は高得点だと判明した。

 

 

「ミリアーナの真の実力はパワーじゃないんだけどね」

 

 

「んー、これはミリちゃんにはちょっと不利かもね~。私かお姉ちゃんが出ればよかった」

 

 

人魚の踵(マーメイドヒール)の控室等では、ベスとキリエがそんな会話をしていた。

 

 

『続いて四つ首の仔犬(クワトロパピー)ノバーリ。数値は124。ちょっと低いか』

 

 

「フォー…」

 

 

「僕の番だね」

 

 

ノバーリに続く次の挑戦者は、青い天馬(ブルーペガサス)のヒビキ。

 

 

「知力タイプのヒビキには厳しいね」

 

 

「オレが出てればな」

 

 

「君たち、友を信じたまえ」

 

 

「いやそうは言うけどよ一夜……」

 

 

すでに諦めムードのイヴとレンにそう叱咤する一夜。しかしその言葉に対してヴァイスが闘技場を指差すとその先には……

 

 

「ああ……何て事だ」

 

 

『95』というさらに低い数値を叩き出して泣き崩れているヒビキの姿があった。

 

 

「信じた結果がアレだぜ」

 

 

「メェーン」

 

 

その光景に、さすがの一夜も反論できなかったのであった。

 

 

『続いては大鴉の尻尾(レイヴンテイル)、オーブラ!』

 

 

次の挑戦者は、レイヴンのオーブラ。魔力を消滅させる魔法を使う事以外なにもわかっていない為、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々は、彼の使用する魔法に注目する。

 

 

「…………」

 

 

「キキッ」

 

 

しかし何と、オーブラが行った行動は……連れ歩いている黒い小さな生物に体当たりさせるという行動であった。その点数はたったの『4』という結果に終わった。

 

 

当然それを見た妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーたちは驚愕する。

 

 

「これはちょっと残念ですが……やり直しはできませんカボ。現在の順位はこのようになってます」

 

 

1位:ミリアーナ 365点

2位:ノバーリ  124点

3位:ヒビキ    95点

4位:オーブラ    4点

 

 

「やったー!! 私が一番だ!! みゃーー!!」

 

 

そう言って暫定1位のミリアーナは喜ぶ。

 

 

「次はオレか」

 

 

『ここでゼスト登場ーーー!!! すごい歓声です!!!』

 

 

次の挑戦者であるゼストが前に出た瞬間、観客席から大歓声が上がる。どうやら彼もセイバーの一員として人気があるようである。

 

 

地槍(ちそう)

 

 

ゼストは小さくそう呟くと、手に持っていた槍をMPFに向かって投げつける。だがその槍は対象には当たらずに、その前の地面に突き刺さる。

 

 

そんなゼストの行動に会場中の人たちが疑問符を浮かべていると……

 

 

「大震撼!!!!」

 

 

次の瞬間……その槍を中心に大地を揺るがすほどの魔力の奔流が発生し、凄まじい魔力の渦がMPFを飲み込む。

 

 

そして魔力の渦が消滅すると…MPFには『6983』という数値が表示されていたのであった。

 

 

『ろ…六千……』

 

 

「私の20倍ーーー!!?」

 

 

「ふむ……こんなものか」

 

 

暫定1位のミリアーナの数値を軽く凌駕する点数を叩き出したゼストに会場中が驚愕の声を上げる。

 

 

『続いては凶鳥の眷属(フッケバインファミリー)、ヴェイロン!』

 

 

「オレの番か。やり過ぎるとフォルティスの奴がうるせーからな、テキトーな力加減でやっとくか」

 

 

ヴェイロンは少々気だるそうにそう言うと、自身の武器であるピストルに似た形の大型銃に、本体と同じ位の長さのブレードが銃剣のように装着された形状をした武器……『ディバイダー928』を構える。

 

 

「フレシェット・シェル」

 

 

そして銃口に魔力を集束して束ね、それを一気に放って凄まじい勢いでMPFを襲った。

 

 

「あ…ヤベッ」

 

 

すると、撃った直後に小さくそう呟いて顔をしかめるヴェイロン。

 

 

「……加減間違えちまった」

 

 

そんな彼の目の前のMPFには……『7120』という数値が表示されていたのであった。

 

 

『こ…超えたーーー!!! ヴェイロン、先ほどのゼストの数値を超える7千を叩き出したーーー!!!』

 

 

それにより再び会場中から驚愕の声と大歓声が巻き起こる。

 

 

「何やってんだよヴェイ兄!!!」

 

 

「バカが……」

 

 

「ハァ……また悪目立ちを……」

 

 

フッケバインの控室等では、アルナージは憤慨し、サイファーとフォルティスは呆れたように呟いたのであった。

 

 

『さあ…それに対する聖十のジュラはこの数値を越せるかどうか注目されます!』

 

 

「ジュラさんなら勝てるよね」

 

 

「当然だ。ジュラ殿はラミア最強だぞ」

 

 

「むしろオレの心配は他のところにある」

 

 

「心配?」

 

 

ラミアの控室等でシェリアの問い掛けに対してチンクがそう答え、リオンが不敵な笑みを浮かべながら言った言葉にギンガが疑問符を浮かべたのであった。

 

 

「本気でやってもよいのかな」

 

 

「もちろんカボ」

 

 

マトー君にそう確認を取ると、ジュラは目を閉じてゆっくりと両手で合掌をする。そして……

 

 

 

鳴動富嶽(めいどうふがく)!!!!」

 

 

 

同時に地面から巨大な爆発が巻き起こってMPFを飲み込み……のちに『8544』という数値が表示されたのであった。

 

 

「何ーーー!!?」

 

 

「オッサンおかしいだろそれーーー!」

 

 

「さすが……一言だな」

 

 

「これが、リオン君の心配事?」

 

 

「ああ。そのあまりの強さに、聖十の称号を持つ者の出場を制限されないかという事だ」

 

 

そして再び会場が大歓声に包まれる。

 

 

『こ…これはMPF最高記録更新!!! やはり聖十の称号は伊達じゃなーい!!!』

 

 

「こりゃたまげたわい。ギルダーツとよい勝負か」

 

 

「クスッ……そのギルダーツの血を引く者と、聖十に匹敵する魔力を持つ者がそこにいるのをお忘れなく」

 

 

驚愕の目でジュラを見るマカロフに対し、メイビスは闘技場のカナとはやてを見つめながらそう言葉を漏らしたのであった。

 

 

『次の挑戦者は妖精の尻尾(フェアリーテイル)C、ハヤテ・ヤガミ!! 先ほどのエルザと同じく、妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の女候補に数えられる彼女の実力は如何に!!?』

 

 

「あはは~、そんなにハードル上げんといてほしいわぁ」

 

 

チャパティの紹介文句に対して苦笑を浮かべながら前へと出るはやて。

 

 

「まぁせやけど……エルザさんのあんなに頑張った姿を見せられたら、同じ最強候補としては──情けない姿は見せられへんな」

 

 

そう言うと、はやてはキッと表情を引き締めて夜天の書を開き、シュベルトクロイツを高々と天に向かって掲げる。

 

 

その瞬間……MPFの上空に、巨大な三角形の白い魔法陣が展開される。

 

 

「響け…終焉の笛!!!」

 

 

そしてはやてが詠唱の言葉を口にした次の瞬間……

 

 

 

「ラグナロク!!!!」

 

 

 

その名の通り、終焉を告げるような凄まじい威力の白く強大な砲撃が上空からMPFに向かって落ち、会場中が白く眩い閃光に包まれたのであった。

 

 

そして白い閃光が消滅すると、MPFには『9000』という数値が表示されていた。

 

 

『きゅ…九千……!? またもや記録更新!!! 聖十のジュラを超えたーーー!!!!』

 

 

「さっすがはやてーー!!!」

 

 

「お見事」

 

 

「やはり我が主の魔力は、聖十の魔導士にも引けを取らない」

 

 

「うむ、それでこそ我らが主だ」

 

 

ヴォルケンリッターの面々を筆頭に、会場中から驚愕の声と大歓声が沸き上がる。

 

 

『最後の挑戦者は妖精の尻尾(フェアリーテイル)B、カナ・アルベローナ! ジュラやはやての後は何ともやり辛いでしょうが……頑張ってもらいましょう』

 

 

「やっと私の出番かい? ヒック」

 

 

やはり先ほどのはやてとは違い、知名度の低いカナはすでにベロベロに酔っ払っている姿も相まって、観客からの期待はほとんどないようである。

 

 

「う~ん」

 

 

すると、カナはおもむろに上着を脱ぎ始め……

 

 

「さ、ぶちかますよ」

 

 

勢いよく上着を脱ぎ捨てると……その腕には普段はないハズの紋章が刻まれていた。

 

 

その紋章とは、かつて天狼島でカナがメイビスから借り受けた妖精三大魔法の1つ……〝妖精の輝き(フェアリーグリッター)〟の紋章であった。

 

 

「ま…まさか……」

 

 

「特別に貸して差し上げました、勝つ為に!」

 

 

キラリと瞳を輝かせながらそう言い放つ意外と手段を択ばないメイビスに、マカロフは開いた口が塞がらなかった。

 

 

「元々、あの者にはすごい高い潜在魔力があります。彼女なら使いこなせるでしょう」

 

 

そう語るメイビスの視線の先には、紋章の刻まれた腕を高々と掲げているカナの姿があった。

 

 

「集え!!! 妖精に導かれし光の川よ!!!」

 

 

カナが詠唱の言葉を口にすると同時に、太陽と月と星の光が彼女を中心に集まり集束していく。

 

 

「照らせ!! 邪なる牙を滅する為に!!!」

 

 

そして……

 

 

 

 

 

妖精の輝き(フェアリーグリッター)!!!!!」

 

 

 

 

 

 

全てを滅する光の一撃が放たれ、MPFを飲み込んだのであった。

 

 

会場中が騒然とする中……光が消えるとそこには、MPFは完全に消滅し、『9999』という数値だけが残されていたのであった。

 

 

『な……なんという事でしょう。MPFが破壊……カンストしています。な…なんなんだこのギルドは!! 競技パート1・2・3フィニッシュ!!! もう誰も妖精の尻尾(フェアリーテイル)は止められないのかー!!!!』

 

 

「止められないよ!!!!」

 

 

「なんたって私らは──妖精の尻尾(フェアリーテイル)やからな!!!!」

 

 

カナとはやての2人が会場中に響く声で高らかにそう宣言すると、先ほどのエルザに勝るとも劣らぬ大歓声が巻き起こったのであった。

 

 

 

 

 

「少し考えねばならぬか……カボ」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

会場中が大歓声に包まれる中、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の控室等では……

 

 

「アレクセイ様、バトルの対戦表でサー」

 

 

「この組み合わせ……運営側にはなかなか〝通〟がいるものだ」

 

 

どこからか入手して来たのか、ナルプディングから手渡されたこれからのバトルパートの対戦表に目を通してそう呟くアレクセイ。

 

 

 

 

 

「始めるとしようか、我々の真の目的の為に」

 

 

 

 

 

そしてその場には……大鴉たちの不気味な笑い声だけが木霊していたのであった。

 

 

 

 

 

つづく




―5日目途中経過―
大鴉の尻尾:48ポイント
蛇姫の鱗:53ポイント
剣咬の虎:52ポイント
人魚の踵:47ポイント
凶鳥の眷属:47ポイント
妖精の尻尾A:49ポイント
妖精の尻尾B:48ポイント
青い天馬:45ポイント
妖精の尻尾C:44ポイント
四つ首の猟犬:29ポイント
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