LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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みなさんお待ちかね、ついにやってまいりましたよあの回が!!

正直書いていてとてもスッキリしました(笑)

そして最後らへんには少しオリジナル展開も…まぁそこは相変わらずグダっておりますが。

感想お待ちしております!!!


本当の家族

 

 

 

 

 

大魔闘演武5日目の競技パートは、エルザとカナとはやての活躍によって妖精の尻尾(フェアリーテイル)3チームの1・2・3フィニッシュで幕を閉じた。

 

 

「いよいよこの時が来た。ゆくぞお前たち」

 

 

だがその水面下では……大鴉の陰謀が渦巻いていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第192話

『本当の家族』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大魔闘演武5日目・バトルパート。

 

 

第1試合

人魚の踵(マーメイドヒール)

ミリアーナ

  VS.

四つ首の仔犬(クワトロパピー)

セムス

 

 

第1試合の組み合わせは先ほどの競技にも出場していたミリアーナと、パピーのセムスの試合であった。そして目の前の闘技場では……

 

 

「ワ…ワイルド……」

 

 

「元気最強?」

 

 

すでにミリアーナのチューブを体中に巻き付けられて、身動きを封じられたセムスの姿があった。

 

 

これにより、第1試合はミリアーナの勝利が決定した。

 

 

「腕を上げたな、ミリアーナ」

 

 

旧知の仲であるミリアーナの成長にエルザは嬉しそうに呟く。

 

 

「あのチューブで拘束されたらさっきの装置関係ないもんね」

 

 

「拘束……ですか?」

 

 

「そう、あのチューブに捕まると身動きどころか魔法も封じられてしまうのよ」

 

 

「オレもティアもあいつには苦戦したもんな~」

 

 

ルーシィの言葉に疑問符を浮かべたウェンディにティアナが説明し、昔彼女相手に苦戦したナツが苦い顔つきでそう言ったのであった。

 

 

そして続く第2試合。

 

 

第2試合

妖精の尻尾(フェアリーテイル)

ヴィータ・ヤガミ

  VS.

青い天馬(ブルーペガサス)

イヴ・ティルム

 

 

白い牙(ホワイトファング)

 

 

「うおっ、冷てっ!!」

 

 

もうすでに試合は開始されており、イヴが〝雪魔法〟で放った吹雪のような攻撃を、ヴィータは大きく跳躍して回避する。

 

 

『1日目の競技パートでぶつかった2人が、5日目のバトルで激突ーーー!!!』

 

 

『イヴ君は元々評議員だったんだよな』

 

 

『そうです、我々と同じ強行検束部隊ルーンナイトの一員でしてね。いやぁ…当時からものすごい逸材だったのですが、ギルドに入ってその魔力にはさらに磨きがかかっていますね』

 

 

そう言って実況席では、イヴとはかつての同僚であったラハールが彼の実力を評価し絶賛する。しかし……

 

 

「ったく……さっきからうすら寒みーんだよ!!!」

 

 

そんな言葉と同時に、イヴが巻き起こしていた白い雪による吹雪は……何とヴィータの愛鎚〝グラーフアイゼン〟の一振りによって振り払われてしまった。

 

 

「なっ……!!?」

 

 

「悪ィな、はやての前でこれ以上カッコワリー姿を見せる訳にはいかねーんだよ」

 

 

その光景にイヴが驚愕している間に、ヴィータはグラーフアイゼンを構えながら一気に駆け出してイヴへと接近していく。

 

 

「テートリヒ・シュラーーク!!!!」

 

 

「うわあぁぁあああ!!!!」

 

 

そしてヴィータのグラーフアイゼンによる痛烈な一撃を叩き込まれ、イヴは壁まで吹き飛ばされて激突し、そのまま倒れて戦闘不能になったのであった。

 

 

『試合終了ーーー!!! ヴィータのパワフルな一撃が決まったーーっ!!! 勝者妖精の尻尾(フェアリーテイル)C、ヴィータ!!!!』

 

 

「おっしゃあ!! やったぜはやてーー!!!」

 

 

勝利したヴィータは嬉しそうにはやてに向かって手を振り、はやてもそれを笑顔で手を振り返したのであった。

 

 

「イヴの奴、何負けてんだよクソ……!! けど…あいつスゲー頑張ったな」

 

 

「まぁ、あのヴィータって奴もああ見えて妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強チームの1人って話だからな」

 

 

「あんなに小っちゃいのに……」

 

 

「マイスター、だいぶ順位を落としましたね僕たち」

 

 

「花の香り(パルファム)のように安心したまえ君たち。我々にはまだ秘密兵器がある。秘密兵器がある。大事な事だから2回言ったぞ」

 

 

「「勉強になります」」

 

 

そう言い放つ一夜の隣には、ずっと謎であった青いウサギのキグルミが堂々と立っていた。

 

 

「それにしても、あいつの正体誰なんだろうね。僕たちにも教えないとなると……」

 

 

「まさかウチのメンバーじゃねえとか? それじゃ反則になっちまうだろ」

 

 

「お兄ちゃんはあのウサギさんが誰だか知ってる?」

 

 

「ん? あーまぁ知ってるっちゃあ知ってるが……知らねえ方がいいと思うぞ」

 

 

「?」

 

 

青い天馬(ブルーペガサス)の陣営でそんなやり取りが繰り広げられている間に、闘技場では第3試合の組み合わせが発表されようとしていた。

 

 

「続いて第3試合を始めますカボ」

 

 

第3試合

妖精の尻尾(フェアリーテイル)

ラクサス・ドレアー

  VS.

大鴉の尻尾(レイヴンテイル)

アレクセイ

 

 

「ラクサスだ!!」

 

 

「相手はイワンのギルド」

 

 

その組み合わせは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の中でも最強クラスの実力者であるラクサスと、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)のリーダー的存在であるアレクセイの戦いであった。

 

 

「ラクサス、がんばってね」

 

 

「何の心配もいらねーだろ」

 

 

「にゃはは…だね♪」

 

 

「あのラクサスだよ」

 

 

「そんなに強えーのか?」

 

 

「でも……ジュビア、何か嫌な予感がします」

 

 

妖精Bチームの面々も、彼の実力を知らないノーヴェ以外は全員ラクサスの勝利を確信している。

 

 

『3日目以来の親子ギルド対決となりましたね、ヤジマさん』

 

 

『ウム』

 

 

チャパティの言葉に返事を返しながら、ヤジマは隣に座るラハールにヒソヒソと声をかける。

 

 

「ラハール君、部隊の者は連れて来ておるかね?」

 

 

「え? はい…少々。規則ですので」

 

 

大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の動向を見張れ。不正があったらただちに試合を止める」

 

 

どうやらヤジマも1日目の出来事以来、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)を警戒しているようである。

 

 

「ウォーレン」

 

 

「了解」

 

 

もちろん、警戒して行動を起こしているのはヤジマだけではない。大会に参加しているメンバー以外の妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々も、すでに動き出していた。

 

 

《こちらHQ。ビスカ、聞こえるか?》

 

 

《何がHQだよウォーレン。マスターイワンに動きなし。どうぞ》

 

 

《了解。チーム雷神衆+リサーナ&スバル、そっちは?》

 

 

《こちら雷神衆+リサーナ&スバル。大鴉の尻尾(レイヴンテイル)に今の所目立った動きなし》

 

 

「1日目のようにはさせないわよ、カラスちゃん」

 

 

「トーマって人みたいに卑怯な事しなくても強い人はいるみたいだけど」

 

 

「それでも警戒しておく事に越した事はないよ」

 

 

「ラクサスの武勇にキズをつけてみろ、我ら雷神衆、貴様等の命は保証しない」

 

 

「エバがエルフマンの所に戻りたいと言ってますが許可をください。どうぞ」

 

 

「言ってねえだろ!!」

 

 

念話(テレパシー)の使い手であるウォーレンが全体への通信係となり、ビスカがイワンを…雷神衆とリサーナとスバルがレイヴンのメンバーをそれぞれ見張っていた。

 

 

「イワン……もう二度と卑怯なマネはさせんぞ」

 

 

「クス♪」

 

 

「どうされましたかな初代」

 

 

「いいえ、何でもありません」

 

 

マカロフの問いに対してそう言うが、メイビスは笑顔を崩さない。

 

 

「仲間を守る為ならいかなる事もやる。そして…その状況を少しだけ楽しんでしまっている」

 

 

「!」

 

 

メイビスの言葉にマカロフは図星を突かれたような表情になるが、メイビスは「素敵です」と言って優しく微笑む。

 

 

「私が目指した究極の形が、今目の前にあるのです。この形を忘れないでくださいね三代目…えと……六代目でしたっけ」

 

 

「ぐもぉ~~ありがたきお言葉…そして七代目です」

 

 

「六代目であってるよ!! しっかりしろ!!」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の応援席にてそんなやり取りが行われている間に……闘技場では試合が開始されようとしていた。

 

 

「両者…前へ」

 

 

『試合開始ィ!!』

 

 

そしてついに……試合開始を告げる銅鑼の音が鳴り響く。

 

 

「親父のトコのギルドか……つーかお前何者……」

 

 

ラクサスがそう言いかけた瞬間……ラクサスはアレクセイの一撃によって殴り飛ばされる。

 

 

「コイツ…!! ぐはっ!!」

 

 

体制を立て直そうとしたラクサスにさらに追撃を加えるアレクセイ。それからも魔法や打撃でラクサスに反撃のスキすら与えずに攻撃を続けて行く。

 

 

「そんな…」

 

 

「冗談だろ」

 

 

「やられてんの?」

 

 

「ラクサスが…」

 

 

「ど…どうなってるんですか……」

 

 

「ウソだ…あのラクサスさんが一方的に……」

 

 

「あのアレクセイって仮面男…何モンなんや」

 

 

その光景に妖精Bチームだけでなく、AチームもCチームも……ラクサスの実力をよく知る者は全員信じられないという表情をしていた。

 

 

『これはアレクセイ怒涛の攻撃!!! ラクサス手も足もでない!!!』

 

 

だがそんな中……たった1人だけ訝しげな表情で闘技場を見ている者がいた。

 

 

「(これは……幻影魔法?)」

 

 

その人物とは……ギルドの中でも幻影魔法を得意とする魔導士……ティアナであった。

 

 

幻影魔法を操る彼女には幻影に対する耐性がある。そんなティアナの闘技場を見る目には……現在戦っている2人とは別の、もう1人のラクサスとアレクセイが写っていた。

 

 

「……こいつぁ何のマネだ」

 

 

「幻影魔法の一種だよ。辺りにいる者には今こうして話している我々の実体は視えてない。視えているのは戦っている幻の方。よくできているだろ? 誰1人として気づいていない。観客はあのラクサスが手も足もでない映像を視ている」

 

 

「幻影魔法ねぇ……」

 

 

それを聞くとラクサスは、アレクセイに悟られないようにチラリと妖精Aチーム陣営に視線を向ける。その視線の先には、幻の映像を視て戸惑っているナツたちの中で唯一実体のラクサスを見据えているティアナの姿があった。

 

 

少なくとも気づいている奴が1人いる……それを確認したラクサスは再び視線をアレクセイに戻す。

 

 

「お前はギルドでも慕われているようだな。仲間が今これを見てどんな気持ちになっているかな」

 

 

「オイオイ、全然意味がわかんねえぞ。お前らが幻とやらで勝って何になるってんだ」

 

 

「その通り、我々の目的は〝勝利〟ではない。この幻影は周囲への目くらまし」

 

 

「ア?」

 

 

「幻影は幻影、結果はいかようにも変更できる。我々との交渉次第ではお前を勝たせてやる事もできる」

 

 

「話にならねえな。幻なんか関係ねえんだよ、今ここで現実のテメェを片づけて終わりだ」

 

 

肩に羽織っていたコートを脱ぎ捨て、体中に電流を走らせながら威圧的にそう言い放つラクサス。しかし……

 

 

「それは無理」

 

 

「現実はキビシイでサー」

 

 

「いかにお前といえど、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の精鋭を同時には倒せんよ」

 

 

「ククッ」

 

 

「……………」

 

 

アレクセイの背後からフレア、ナルプディング、クロヘビ、オーブラ、そして黒騎士の姿となったトーマが現れたのだった。

 

 

「そしてもう1つ──オレの強さは知ってんだろォ、バカ息子ォ」

 

 

「そんな事だろうと思ったぜ──クソ親父」

 

 

何と仮面を取ったアレクセイの正体は大鴉の尻尾(レイヴンテイル)のマスターであり、ラクサスの父親でもあるイワンであった。

 

 

「マカロフは死んでも口を割らん。だが、おまえは違う。教えてもらおうか──ルーメン・イストワールの在り処を」

 

 

「何の話だ」

 

 

「とぼけなくていい……マカロフはお前に教えているハズだ」

 

 

「本当に知らねぇんだけどな」

 

 

「いいや、お前は知ってるハズ」

 

 

「まあ…たとえ知っててもアンタには教えねーよ」

 

 

「オイオイ……この絶望的な状況下で〝勝ち〟を譲るって言ってんだぜ? 条件がのめねえってんならオメェ…幻で負けるだけじゃ済まねえぞ」

 

 

「いちいちめんどくせえ事しやがって……ジジィが見切りをつけたのもよく分かる」

 

 

そう言うとラクサスは話にならないと言いたげに嘆息し、イワンをギロリと睨む。

 

 

「まとめてかかって来いよ。マスターの敵はオレの敵だからョ」

 

 

そして体から電気を迸らせながら、ラクサスはそう言い放ったのであった。

 

 

「(アレクセイの正体がマスターイワン!!? それに他のレイヴンのメンバーまで……すぐにこの事をマスターたちに……っ!!!)」

 

 

会場の中で唯一幻影を見破っているティアナは、2人の会話こそ聞こえなかったものの……アレクセイの正体に驚愕しながらも今すぐこの状況を仲間たちに知らせに行こうとするが……闘技場のラクサスと視線が交差した瞬間、その行動を止めた。

 

 

何故なら、ラクサスは視線でティアナに『何もするな』と強く訴えかけているのだから。

 

 

「(ギルドマスターとそのメンバー全員を一度に相手にするって言うの? いくら何でも無謀よ!)」

 

 

「オレを誰だと思ってやがる。こんな奴等オレ1人で十分だ。すぐに終わらせてやるよ)」

 

 

「(でも……)」

 

 

「(いいから黙って見てろ。少しは信じろよ……テメェの兄貴のライバルだったオレをな)」

 

 

「(ラクサス……ハァ、もうわかったわよ。その代わりマズイと思ったらすぐに止めに入るわよ!!)」

 

 

ラクサスとのアイコンタクトによる短い会話を終えると、ティアナは呆れながらもとりあえず今は見守る事に決めたのだった。

 

 

「(……ああいう心配性な所は、ティーダにそっくりだな)」

 

 

そんなティアナを見て、ラクサスは親友でありライバルであった今は亡きティーダの事を思い出し、思わず口元にフッと笑みを浮かべる。するとその笑みを見ていたイワンがピクリと眉をひそめる。

 

 

「何を笑ってやがる?」

 

 

「気にすんな。お前らなんざアイツに比べたらたいした事ねえって思っただけだ」

 

 

「どうやら教えてやる必要があるみてえだな。対妖精の尻尾(フェアリーテイル)特化型ギルド、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の力を」

 

 

そんなラクサスの態度が癪に障ったのか、イワンを含めた全員が彼を睨みながら臨戦態勢へと入ったのだった。

 

 

「対妖精の尻尾(フェアリーテイル)特化型ギルドだぁ?」

 

 

「その通り」

 

 

「我々は妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーそれぞれの苦手とする魔法の使い手のみで構成されている」

 

 

「ボクたちはその中の精鋭6人だ」

 

 

「その我々と戦争するつもりか? 弱点は知り尽くしている。我がギルドの7年間ためた力を解放しちゃうぜ?」

 

 

ラクサスを脅すようにそう言い放つイワン。だがラクサスはまったく動じない。

 

 

「ジジィはあんたの事なんぞとっくに調査済みだ。構成人数、ギルドの場所、活動資金、この7年間の動向……全て掴んでいる」

 

 

「何!?」

 

 

そんなラクサスの言葉に、イワンは逆に驚愕する。

 

 

「ガジルとルーテシアだ!! あいつらが謀ったんだ!!」

 

 

「ぬ」

 

 

「二重スパイだったのか」

 

 

そしてすぐにその情報の出所が、妖精の尻尾(フェアリーテイル)にスパイとして送ったガジルとルーテシアによるものだと判断した。

 

 

「ジジィはそこまでつかんでいながら動かなかった」

 

 

 

 

 

 

『本当に放っておいていいのかよ。親父は妖精の尻尾(フェアリーテイル)にとって不利な情報を持ってるとか言ってただろ』

 

 

『あれからもう7年も経ってるんじゃぞ』

 

 

『けどよ』

 

 

『この7年の間、「その情報」が漏洩した形跡がない』

 

 

『そんな事言い切れねえだろ』

 

 

『いや…間違いない……その情報を他言する危険性を奴は十分に理解しておる』

 

 

『何なんだよ、その情報ってのは』

 

 

『知らずともよい。どんなギルドにも、触れてはならぬ部分がある』

 

 

『……………』

 

 

『この7年……イワンは悪さもせず、ウチのギルドへのメンバーへの危害等もなかったと聞く。奴が動かぬ限り、ワシも事を荒立てるつもりはない』

 

 

 

 

 

「たぶんジジィは心のどこかで、アンタの事を信じてたんだろうな──親子だから」

 

 

「黙れェ!!!!」

 

 

「くっ!!」

 

 

ラクサスの話を聞くに堪えないと思ったのか、憤慨しながら大量の人型の紙を飛ばして攻撃するイワン。

 

 

「オレはこの日の為に日陰で暮らしてきたんだよォ!!!! 全てはルーメン・イストワールを手に入れる為!!!! 7年間も危害を加えなかっただぁ? 当たり前だろ!! 残ったカスどもがルーメン・イストワールの情報を持ってるハズねえからな!!!! ギルドの中も!! (マグノリア)も天狼島も!! ギルドゆかりの場所は全部探した! それでも見つからねえ!!! ルーメン・イストワールはどこだ!!? どこにある!!!! 言えぇぇっ!!!! ラクサスゥゥ!!!! オレの息子だろォがァァァァ!!!」

 

 

そう叫びながらラクサスに攻撃し続けるイワンだが、それでもその攻撃を耐えきるラクサスを見て自分だけでは倒し切れないと判断したのか、すぐさまオーブラに指示を飛ばす。

 

 

「オーブラ!! やれ!!! 魔力を消せ!!! 今こそ対妖精の尻尾(フェアリーテイル)特化型ギルドの力を解放せよ!!!」

 

 

「シャッ」

 

 

「こいつァ、ウェンディとキャロとシャルルをやった奴か」

 

 

イワンの指示を聞いて魔力を消そうとするオーブラ。

 

 

だがそれよりも早く……雷を纏ったラクサスが一瞬でオーブラの目の前へと移動する。

 

 

「!!」

 

 

そしてそのままオーブラを蹴り飛ばし、彼の意識を刈り取った。

 

 

「赤髪!!!!」

 

 

「ニードルブラスト!!!!」

 

 

それを見たフレアは赤い髪を伸ばし、ナルプディングは鋭いトゲを生やした腕でラクサスを攻撃する。しかしラクサスは雷を纏ったまま素早い動きで2人の攻撃を回避し……

 

 

「これはグレイの分だ」

 

 

「ぐおぉぉぉおお!!!」

 

 

雷を纏った拳をナルプディングに勢いよく振り下ろし、地面へと強く叩き付ける。

 

 

「つかまえたぞっ!!!」

 

 

そんなラクサスの腕にフレアの赤い髪が巻き付き、ラクサスを捕えたと得意気に笑うフレアだが……

 

 

「こいつはルーシィの分」

 

 

「きゃあああああああ!!!」

 

 

ラクサスの口から放たれた雷のブレスがフレアを襲い、吹き飛ばしたのであった。

 

 

「うおぉぉぉおおお!!!」

 

 

そんなラクサスに続いて攻撃を仕掛けて来たのは、黒騎士となったトーマであった。トーマは自身の武器であるディバイダーでラクサスに斬りかかるが、ラクサスには当たらない。

 

 

「こいつはクロスケとユーノの分だ」

 

 

「がはぁっ!!!」

 

 

《トーマ!!?》

 

 

トーマの攻撃を完全に回避したラクサスは、トーマの頭を鷲掴みにし、そのまま思いっきり投げ飛ばして壁へと激突させて意識を奪い、その拍子でトーマの体からリリィが分断されたのだった。

 

 

砂の模造(サンドフェイク)

 

 

そんなラクサスの背後から現れたのは、〝擬態(ミミック)〟によって砂の属性の魔法を操るクロヘビであった。

 

 

「お前は……よくわからん」

 

 

「ぬああああああ!!!」

 

 

ラクサスはそんなクロヘビに対してどうでもいいと言わんばかりに雷を落とし一蹴した。

 

 

「わ…我が精鋭部隊が……!!!!」

 

 

自慢の精鋭部隊がラクサス1人にことごとくやられるのを見て、残ったイワンは絶句する。

 

 

「こ…こうなったら……オイ!!! 凶鳥の眷属(フッケバインファミリー)!!! 手を貸せェ!!!」

 

 

するとイワンは突然控室等にいる凶鳥の眷属(フッケバインファミリー)のメンバーたちに向かってそう言い放つ。

 

 

「お前らには実体が見えるようにしてあるハズだ!!! 今の状況わかってんだろ!!! 同盟ギルドとして、オレに手を貸せ!!!!」

 

 

だがイワンの助けを求める言葉を聞いても……凶鳥の眷属(フッケバインファミリー)は闘技場を見下ろしたまま、まったく動く気配がなかった。

 

 

「オイ!!! 何をしている!!! 早く手を……」

 

 

痺れを切らしたイワンが再び声を張り上げようとしたその時……

 

 

《はぁいイワンちゃん、聞こえる~?》

 

 

《!? 貴様…カレンか!!?》

 

 

そんなイワンのもとに、凶鳥の眷属(フッケバインファミリー)のギルドマスター……カレン・フッケバインの念話が届いた。

 

 

《どういう事だカレン!!? 何故貴様の部下どもは動かない!!!》

 

 

《それはそうよ。だって──そもそもあなたたちを助けるつもりなんてないんだから♪》

 

 

《な…なんだと!!?》

 

 

カレンのその言葉を聞いて、イワンの目が驚愕で大きく開かれる。

 

 

《私たちがあなた個人の目的の為に手を組むハズないじゃない。同盟を組んだのは、私たちの目的の為にあなたたちのギルドを〝隠れ蓑〟として使わせてもらう為。その目的ももう達成されたから、私たちにとってあなたたちは用済みなのよ♪》

 

 

《き…貴様ァ!!!》

 

 

《じゃあね~イワンちゃん》

 

 

《待っ──》

 

 

その言葉を最後に、カレンからの念話は一方的に切られてしまったのであった。同盟を組んでいたギルドにあっさり裏切られたイワンは呆然と佇むが……

 

 

「クソ親父!!!!」

 

 

「!!?」

 

 

ラクサスの怒声によって一瞬で我に返った。

 

 

「アンタの目的が何だか知らねえが、やられた仲間のケジメはとらせてもらうぜ」

 

 

「ま…待て!!! オレはおまえの父親だぞっ!!! 家族だ!!!! 父を殴るというのかっ!!!!」

 

 

「オレの家族は妖精の尻尾(フェアリーテイル)だ」

 

 

もう後がなくなったイワンは焦ったようにそう言うが、それに対してラクサスは関係ないと言わんばかりにキッパリと言い放つ。

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「家族の敵はオレが潰す!!!!」

 

 

 

 

 

雷を纏った渾身の一撃をイワンへと叩き込み、そのまま闘技場を覆っていた幻影ごと彼を吹き飛ばしたのであった。

 

 

『こ…これは一体……!!?』

 

 

「ラクサス!!!」

 

 

「ラクサスが消えて、別のラクサスが!?」

 

 

幻影魔法が解除されて本当のラクサスと、地面に倒れ伏すレイヴンのメンバーたちが姿を現した事で、会場中が困惑する。

 

 

『しかし…これは…何が起きたのか!!?』

 

 

「ギルドマスターカボ!!! アレクセイの正体はマスターイワンカボ!!!!」

 

 

すると、壁に寄り掛かるように倒れるイワンの顔を確認したマトー君がそう叫ぶ。それにより、ようやく会場が状況を理解した。

 

 

『先ほどまで戦っていたラクサスとアレクセイは幻だったのか!!? 立っているのはラクサス!!! 試合終了!!!!』

 

 

『そスて我々の見えぬ所で全員がかりの攻撃……さらにマスターの大会参戦……これはどう見ても反則じゃの』

 

 

「あいつ1人でレイヴンのメンバー全滅させたのかよ!!」

「さっきのエルザといい、カナといい、はやてといい」

「バケモンだらけじゃねーか妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!!」

 

 

『何はともあれ勝者……妖精の尻尾(フェアリーテイル)B、ラクサス!!!!』

 

 

たった1人でレイヴンを倒したラクサスの力に驚愕しながらも、勝者宣言が高らかに響き渡ったのであった。

 

 

「何だかアイツに敵を討ってもらった形になっちまったな」

 

 

「だーーーっ!! 全員倒しただと!!? あいつばかり目立ちやがって!!!」

 

 

ラクサスに敵を討ってもらった形になって複雑な表情を浮かべるグレイと、ラクサスが目立っている事が気に入らないように叫ぶナツ。

 

 

「一時はどうなるかと思ったけど、無事に終わって何よりだわ」

 

 

「ティアナさん、ひょっとして気づいてたの?」

 

 

「まぁね」

 

 

1人幻影を見破っていたティアナは無事に終わってホッと一息をつき、そんなティアナの様子に気づいたヴィヴィオが問い掛ける。

 

 

「あのフレアって子、またひどい事されなきゃいいけど」

 

 

「お前は本当に人がいいな」

 

 

そしてフレアの身を案じるルーシィに、エルザは微笑を浮かべたのであった。

 

 

「汚いマネをしおって、イワン」

 

 

闘技場に倒れるイワンを見据えながら静かにそう呟くマカロフ。その表情にはどことなく、悲しみの感情が感じられていた。

 

 

「ラクサス」

 

 

そして闘技場では……力なく壁に寄り掛かっているイワンが、退場しようとしたラクサスを呼び止める。

 

 

「今回はオレの負けだ。だが…これだけは覚えておけ。ルーメン・イストワールは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の闇──いずれ知る時が来る…妖精の尻尾(フェアリーテイル)の正体を……」

 

 

そう言い残して……イワンはギルドのメンバーたちと共に、王国兵たちに連行されていったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方その頃……会場内の薄暗く、人気のない場所。

 

 

そこではカレン・フッケバインを含めた、凶鳥の眷属(フッケバインファミリー)のメンバーたちが勢ぞろいしていた。

 

 

「イワンちゃん、捕まっちゃったわね」

 

 

「別にあいつらが捕まろーが知ったこっちゃねーが、ゼロ・ドライバーまで捕まっちまったのはどうすんだよ姉貴。王国から奪い返すのはさすがに骨が折れるぜ」

 

 

「別に犯罪を犯した訳じゃないから、そんな事しなくてもすぐに釈放されるわよ。それにトーマ君とリリィちゃんはしばらく自由にさせておくつもりだし」

 

 

「どういう事だ? 首領(マスター)

 

 

カレンの言葉に対して疑問符を浮かべるサイファー。

 

 

「あの子たちはゼロ・ドライバーとしてはまだまだ弱いわ。しばらくは自由に泳がせて強くなってもらって、それから迎えに行く事にしたのよ」

 

 

「まぁ…首領(マスター)の決定ですので異論はありませんが……それより例の件はどうなったのですか?」

 

 

フォルティスがそう問い掛けると、カレンは「ああ…」と思い出したようにその問いに答える。

 

 

「その件に関しては、ソニカにずっと秘密裏に情報を集めてもらってたのよ。その結果……王国が所有している〝エクリプス〟は、私たちが探してるものとは一切無関係の代物だったわ」

 

 

その言葉を聞いて、その場にいた大半のメンバーたちは「やっぱりか…」と言いたげに嘆息する。

 

 

「ヴェーラちゃんの方はどうだったかしら?」

 

 

「はい。みなさんの協力のおかげで、現在の妖精の尻尾(フェアリーテイル)の戦闘データや、その他のギルドのデータを十分に集める事ができました」

 

 

「んじゃあ、もうオレらがこの大会する出る意味はねえよな?」

 

 

「ええ。私もウルフも任務完了って事で、あとはもうギルドに帰るだけだしね」

 

 

「ご苦労様、ヴェーラちゃんにウルフ君──いえ、こう呼んだ方がいいかしら?」

 

 

そう言って一呼吸置いてから……カレンは彼女たちの『本当のギルドと名前』を口にした。

 

 

 

無限の欲望(アンリミテッドデザイア)

チーム『シーズン』

〝春季のプリマヴェラ〟

 

 

無限の欲望(アンリミテッドデザイア)

チーム『シーズン』

〝秋季のアウトゥンノ〟

 

 

 

そう……ヴェーラとウルフ……この2人は無限の欲望(アンリミテッドデザイア)のメンバーだったのである。

 

 

「それでは、私たちはそろそろ失礼しますね。ほらアキ、帰るわよ」

 

 

「ふわぁぁ……何だ? もう帰んのかプリマ?」

 

 

ヴェーラことプリマヴェラ……通称プリマに起こされて、ウルフことアウトゥンノ……通称アキが欠伸を噛み殺しながら起き上る。

 

 

「フフ……ジェイル君によろしくね♪」

 

 

「はい!」

 

 

そう言ってプリマは懐から1つの魔水晶(ラクリマ)を取り出すと、それを粉々に握り潰す。するとその瞬間…魔水晶(ラクリマ)から溢れ出した魔力が彼らの足元に魔法陣を描く。

 

 

「では…また」

 

 

そんな言葉を言い残すと同時に……プリマとアキは魔法陣と共にその場から消えていったのであった。

 

 

それを静かに見送ったカレンは、自身のギルドのメンバーたちに向き直る。

 

 

「それじゃあ私たちも行きましょう。次のお仕事が入ってるから♪」

 

 

「「「了解」」」

 

 

そしてカレンを筆頭にして、その場から歩き始めて薄暗い通路を進む凶鳥の眷属(フッケバインファミリー)

 

 

「姉貴、次の仕事はなんだ?」

 

 

「とある紛争地域での殲滅戦よ。少し大陸を渡る事になるわね」

 

 

「となると、しばらくフィオーレからは離れる事になりますね」

 

 

「なぁなぁサイ姉、ビル兄。なんだかんだで大魔闘演武、結構楽しめたよなー」

 

 

「そうだな……中々骨のある奴等がそろっていた。特にシグナム・ヤガミとカグラ・ミカヅチ。あの2人とは決着をつけていないからな」

 

 

「オレはあのエルフマンという漢には、いずれ雪辱を果たしたいものだ」

 

 

そんな何気ないような会話を繰り広げながら段々と暗くなっていく通路を進み……やがて凶鳥たちは闇の中へと消えて行ったのであった。

 

 

 

 

 

つづく

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