LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

198 / 240
vs双竜戦の2話目です。

感想お待ちしております!!


ナツvs双竜

 

 

 

 

大魔闘演武6日目・タッグバトル。

 

 

ナツとガジル…スティングとローグの4人の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)による夢の対決。

 

 

その凄まじい対決に大盛り上がりを見せる観客席。するとその観客の中に……1人の黒いローブをまとった1人の怪しげな人物がいた。

 

 

「……………」

 

 

その人物は魔水晶映像(ラクリマヴィジョン)に映るナツの姿を見ると……静かに一筋の涙を流した。

 

 

「!!」

 

 

その瞬間、同じく観客席で試合を見守っていたジェラールが大きく目を見開いた。

 

 

「(これは……奴か!?)」

 

 

ジェラールが感じ取ったのは、先日にも感じたゼレフに似た魔力であった。するとどうやら会場の外にいるウルティアとメルディにも感じ取れたらしく、ウルティアからの念話が届く。

 

 

《ジェラール!! 今度は逃がさないで!!》

 

 

《わかっている!! 試合も気にはなるが今は……》

 

 

そしてジェラールは急いでその場から駆け出し、魔力の正体であろう人物を追って行ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第198話

『ナツvs双竜』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1人で……十分…だと? ふざけやがって……」

 

 

「お前に用はない。ガジルとやらせろ」

 

 

「だったらオレを倒してい行くんだな」

 

 

先ほどまでドラゴンフォースを発動させたスティング1人に劣勢を強いられていたにも関わらず、今度は自分1人で2人を相手にすると言い放ったナツに、スティングとローグは怒りに震える。

 

 

「ドラゴンフォースは竜と同じ力!! この世にこれ以上の力なんてあるハズねえんだ!!」

 

 

そう叫ぶと同時にスティングは再びドラゴンフォースを発動させ、ナツへと殴り掛かる。

 

 

「ああああああっ!!!」

 

 

「完全じゃなかったんじゃねーのか」

 

 

それに対してナツは、スティングの攻撃を腕で受け止めてガードする。

 

 

「オレはこの力で、白竜(バイスロギア)を殺したんだーーーーっ!!!!」

 

 

「そうか。だったらオレはこの力で──笑われた仲間の為に戦う」

 

 

そう言うとナツは、ガードしていた腕とは反対の手でスティングを殴り飛ばす。

 

 

「影竜の…咆哮!!!!」

 

 

するとそんなナツの背後から、ローグが黒い影のブレスを放つ。

 

 

「火竜の咆哮!!!!」

 

 

それに対してナツも口から灼熱のブレスを放って迎え撃つ。だがその威力はナツのブレスの方が圧倒的に優っており、ローグのブレスは拮抗する事もなく灼熱のブレスに飲み込まれた。

 

 

「ぐあぁぁぁぁああああ!!!!」

 

 

そしてそのままナツのブレスに飲み込まれて吹き飛ばされるローグ。

 

 

「まだまだァ!!!」

 

 

[ガジル……オレは……まだやれるっ!!!!」

 

 

しかしスティングとローグは諦めずにすぐさま立ち上がり、2人でナツへと向かって駆け出していく。

 

 

「来いよ」

 

 

そんな2人に対してナツは、楽しそうな笑みを浮かべながら手でクイッと挑発するようにそう言い放つ。

 

 

そしてナツは1人でドラゴンフォースを発動させている2人を相手に戦っている。しかし先ほどまでの戦闘で2人の戦いのクセを完全に見切ったナツは、2人を相手に優位に戦いを進めていた。

 

 

「ったくあの野郎…嬉しそうなツラしやがって」

 

 

「決して2人が弱い訳ではない。しかし相手が強ければ強いほど、ナツは応えるように実力以上の力を発揮する」

 

 

「どんな相手でも楽しんで戦う……それがナツ君のええ所やからな」

 

 

魔水晶映像(ラクリマヴィジョン)に映っている楽しそうな笑みを浮かべながら戦うナツの姿に、グレイとエルザとはやては釣られて笑みを浮かべていた。

 

 

「敵もさるもの…諦めん。見事な程に」

 

 

「それもナツさんのいい所ですよ」

 

 

「そうね……あのバカの戦いは敵も味方も関係なく、負けられない…って気持ちにさせられるのよね」

 

 

「どちらもたいしたものです」

 

 

応戦席ではマカロフとエリオ…そしてティアナとメイビスが試合を見守りながらナツや相手の2人に対する評価を口にする。

 

 

そしてそれは妖精の尻尾(フェアリーテイル)に限った事ではない。

 

 

「凄まじいものだな」

 

 

「7年のブランクなんて、まったく感じさせない戦いね」

 

 

「フン…忘れていた。あいつはバカだが、戦いに関しては頭の回転が早いという事を」

 

 

「さすがは、ノーヴェが惚れ込んだ男だな」

 

 

ジュラ、ギンガ、リオン、チンクの蛇姫の鱗(ラミアスケイル)

 

 

「素晴らしい香り(パルファム)だね、ナツ君」

 

 

「すごいね、お兄ちゃん」

 

 

「どんだけ強えーんだよって話だよな」

 

 

一夜、ヴァイス、ラグナの青い天馬(ブルーペガサス)の面々もそう評価の言葉を口にしていた。

 

 

「おいおい、マジかよ」

 

 

「記憶にないね。ドラゴンフォースの力が、こうも押されるなんて」

 

 

「それも、2人を相手にたった1人で……」

 

 

「力……か」

 

 

「フッ……相変わらず一筋縄ではいかんギルドだ」

 

 

剣咬の虎(セイバートゥース)のメンバーたちも、ナツに圧倒される双竜を見て驚きを隠せなかった。

 

 

「スティング君」

 

 

そして試合の様子を涙を流しながら見守るレクター。そんなレクターの脳裏に浮かび上がるのは、スティングとの出会った日の事。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「僕を弟子にしてください!!」

 

 

「あ?」

 

 

「さっきのケンカ見ました!! 僕も強くなりたいんです!!」

 

 

「お前……オレが怖くねぇのか?」

 

 

「怖くないです!!! 僕は強くなりたいんです!!!」

 

 

「ネコの弟子か……まあいいや、ついてきな」

 

 

「はいっ!!!!」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「(僕はやっぱり強くなれなかったけど……強いスティング君を見てるのが好きなんです──スティング君は最強なんです!!!!)」

 

 

スティングが最強だと信じて疑わないレクターは、その信頼を胸に涙を流しながら試合を見守った。

 

 

「スティング!!!!」

 

 

「おう!!!!」

 

 

「!!」

 

 

掛け声と共にスティングとローグは共に並び立つと、スティングは左手に白い聖なる魔力を…ローグは右手に黒い影の魔力を放出する。するとその2つの異なる魔力が混ぜ合わさり、融合を始める。

 

 

合体魔法(ユニゾンレイド)!!?」

 

 

その現象こそ、一般的には一生かけても習得する事ができないと言われている超高難度の魔法……合体魔法(ユニゾンレイド)であった。

 

 

段々と高まりながら静かに融合していく光と影の魔力。

 

 

その様子を応援席で見据えながら、メイビスは1人想いはせる。

 

 

 

──力だけでは、決して破れない壁があります。

 

 

 

そしてついに、完全に融合した光と影の魔力がナツへと向かって放たれる。

 

 

 

聖影竜閃牙(せいえいりゅうせんが)!!!!!」

 

 

 

──しかしそれを打ち破る力があるとすれば、それは想いの力。

 

 

 

「滅竜奥義…」

 

 

迫り来る2人の合体魔法(ユニゾンレイド)に対して、ナツは動じる事無く自身の両腕に炎を纏う。

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「紅蓮爆炎刃!!!!!」

 

 

 

 

 

ナツが渾身の力で放った螺旋状に渦巻く炎の刃が……光と影の魔力を打ち砕いたのであった。

 

 

 

──ギルドとは、想いを育む場所。

 

 

 

その直後……凄まじい爆発と同時に、地下から伝わる衝撃で起こった地響きに地面が揺れ、映像には砂煙が映っていた。

 

 

そして砂煙が収まり、徐々に地下の様子を映し出していく魔水晶映像(ラクリマヴィジョン)。するとそこに映っていたのは……

 

 

「(ナツ・ドラグニル……底が……知れ…ない……)」

 

 

「(レクター……強すぎるよ、ナツさん)」

 

 

ゆっくりと前へと倒れるスティングとローグの姿であった。

 

 

『こ…ここここれは……妖精の尻尾(フェアリーテイル)だーーーーーー!!!!! 双竜破れたりーーーーっ!!!!!』

 

 

「かーっかっかっかっかっ!!!!」

 

 

さらに映像には、両腕を掲げて高らかに笑っているナツの姿も映っていた。

 

 

『勝者妖精の尻尾(フェアリーテイル)ーーー!!!! ここにきて1位に踊り出たーーー!!!!』

 

 

そしてこのナツの勝利によって妖精の尻尾(フェアリーテイル)に10Pが加算され……

 

 

1位:妖精の尻尾 73ポイント

2位:剣咬の虎  72ポイント

 

 

と…僅か1点差で順位がひっくり返ったのであった。

 

 

──その1点に泣くなよボウズ。

 

 

これは皮肉にも……2日目の競技パートで1Pを捨てたスティングに対して、ガジルが言い放った言葉を体現していたのだった。

 

 

『これにて大魔闘演武6日目終了ー!! 1日休日をはさんで明後日最終戦が行われます!! 最終日はなんとメンバー全員参加のサバイバル戦!! 果して優勝はどのギルドか!!? 皆さんお楽しみにーーーっ!!!』

 

 

『ありがとうございます!!!』

 

 

そして未だに会場の興奮と大歓声が鳴りやまぬ中……大魔闘演武6日目が幕を閉じたのであった。

 

 

「やっぱりこうなるのね」

 

 

「さすが……というべきか」

 

 

「最終日の標的は変わったよ」

 

 

「来い!!!!」

 

 

──打倒・妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!!!

 

 

「待っていろグレイ」

 

 

「ラクサス……マカロフ殿の孫……そしてあのヤガミという少女……もしや」

 

 

「エルザ……」

 

 

「ガジルか……」

 

 

「決着をつけるよ、ヴィヴィオちゃん」

 

 

「楽しもうじゃないか、ナツ君」

 

 

各ギルドのギルドマスター……そしてそのメンバーたちは、1位となった妖精の尻尾(フェアリーテイル)に打倒を掲げたのであった。

 

 

「ローグさん…スティングさん……」

 

 

「まさかあの2人が負けちまうとはねぇ」

 

 

「フフ、面白い試合だった。しかと記憶したよ」

 

 

「ククッ!! しばらくこれをネタにたかれるじゃんよ」

 

 

「しばらく……があればよいがな」

 

 

「…………」

 

 

剣咬の虎(セイバートゥース)のメンバーたちも、双竜が敗れた事にそれぞれそんな反応を示していたのであった。

 

 

「……スティング」

 

 

そして妖精の尻尾(フェアリーテイル)の控室等では、ヴィヴィオが映像に映っている地面に倒れ伏すスティングの姿を見て、小さく彼の名を呟いた。

 

 

「(負けちゃったけど……レクターの為に戦うスティングはカッコよかったよ)」

 

 

スティングがレクターの為に戦っている事を知っていたヴィヴィオは、心の内でそんな言葉を呟くと同時に、密かに優しく微笑みながら彼に労いの言葉を送ったのであった。

 

 

視点は戻って闘技場の地下。そこでナツは目の前に倒れるスティングとローグを見据えながら小さく息を吐くと……

 

 

「また戦おうな」

 

 

と…満面の笑みを浮かべて、2人にそう言い残したのであった。

 

 

「(完敗だ……ガジルも…ナツと同じくらいの戦闘力だとしたら……オレはどれだけ思い上がっていたんだろう……)」

 

 

そして地面に力なく倒れ伏すローグは、自分がどれだけ己の力を過信していたのかを理解し、静かにそんな自分を悔いていたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方その頃……ナツによってトロッコに乗せられ、闘技場から追い出されてしまったガジルは、見知らぬ洞窟のような場所に来てしまっていた。

 

 

「ゼーハー、ゼーハー……火竜(サラマンダー)…ぜってぇぶっ殺ス……つーかここどこなんだ!!? 闘技場の下なのか!!?」

 

 

ガジルはこんな目にあわせたナツに報復を誓いながら、出口を探して洞窟の中を歩き始める。

 

 

「ん?」

 

 

しばらく通路を歩いていると、何やら大きく開けた場所へと出たガジル。

 

 

「な…何だ……コリャ……」

 

 

そしてそこにあったモノを見て、ガジルは驚愕し、大きく目を見開く。

 

 

そんな彼の目の前にあったモノとは……

 

 

 

 

 

「ドラゴンの──墓場!!!?」

 

 

 

 

 

数体…数十体…いやそれ以上に多く存在する……ドラゴンの遺骨の山であった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そして同時刻……華灯宮メルクリアスでは……

 

 

剣咬の虎(セイバートゥース)に敗れましたか、あのナツ様に……」

 

 

何故かこの城で軍曹という階級に就いているユキノ・アグリアが、窓辺から闘技場を見据えながら小さく呟いた。するとそんな彼女に、タラコ唇が特徴の兵が話しかける。

 

 

「複雑な気持ちでしょうな、ユキノ軍曹」

 

 

「いいえ……ギルドにはもう未練はありません。それより、軍曹というのはやはり慣れませんね」

 

 

「申し訳ありません。エクリプス計画に参加するにあたり、とりあえずの階級が必要という事でしたので」

 

 

「エクリプス計画。私の力でお役に立てるのなら、全力で臨む覚悟です。私を招いてくださったアルカディオス様の為にも……あ! 大佐とお呼びするべきでしょうか?」

 

 

「おかまいなく。私は隊長と呼んでいますし、古くからの友人はディオと呼んでいます」

 

 

「そうですか。しかし不器用な方ですね」

 

 

するとユキノは窓から見える夜空を見上げながら、どこか悲しげに口を開く。

 

 

 

 

 

「世界を救おうとしているのに──誰にも気づいてもらえない」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「!!」

 

 

再び視点は移り、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の医務室。そこではウェンディと共にルーシィに付き添っていたシャルルが、突然大きく目を見開いた。

 

 

「どうかした? シャルル」

 

 

「ううん」

 

 

ウェンディの問いにそう答えるシャルルだが、先ほどの彼女の脳裏にはメルクリアスの城が崩れる光景が未来予知として映っていたのだ。

 

 

それを視て一抹の不安に駆られるシャルルだが、気にしても仕方ないという事ですぐに頭からそれを消した。

 

 

「ルーちゃん、やったねーっ!!!」

 

 

「ナツが試合に勝ったよ」

 

 

「レビィちゃん、ユーノ!」

 

 

するとそこへ、レビィとユーノがルーシィのお見舞いとして医務室にやって来た。

 

 

「このままいったら私たち優勝できちゃうかもーっ!!」

 

 

「当然よ!! あのメンバーが負けるハズないもん!!!」

 

 

「本当の意味での、妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強のチームだからね」

 

 

「ところでガジル見てない?」

 

 

「あれ? まだ戻ってないの?」

 

 

「闘技場の地下に落とされちゃったからね。まぁ彼ならそのうち戻ってくるよ。鼻も利くしね」

 

 

「それもそうですね」

 

 

そんな会話を繰り広げながら、医務室の中は賑やかな笑いに包まれていった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

あの日、私たちは優勝を信じていた。

 

 

最終日はすごい激戦だったよね。ルーちゃん憶えてるかな?

 

 

そして7月7日。私たちは──

 

 

 

──運命という言葉に負ける。

 

 

 

……は死んだ。

 

 

……も死んだ。

 

 

……も……も、大好きだった……も……

 

 

言葉にならないよルーちゃん。

 

 

もうイヤだよ──誰か助けて。

 

 

 

 

X???年

レビィ・マクガーデンの手紙より抜粋。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「止まれ」

 

 

「!」

 

 

その頃……ゼレフに似た魔力を放つ人物をずっと追っていたジェラールは、ついにその人物と接触する事に成功した。

 

 

「オレも正体を明かす。お前も正体を明かせ」

 

 

そう言うとジェラールは覆面を取って自身の素顔を見せる。そしてふと、その人物のローブから出ている足を見ると……それは女性のモノだと判断できた。

 

 

「(女?)」

 

 

するとその人物はジェラールの言葉を聞き入れたのか、ゆっくりと振り返りながらジェラールへと向き合い、ローブに隠れたその素顔をさらした。

 

 

「………!!!! そんな………!!!!」

 

 

そしてその素顔を見たジェラールは……ただただ言葉を失い、絶句するしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

運命の日まであと……2日。

 

 

 

 

 

つづく




―6日目結果―
妖精の尻尾:73ポイント
剣咬の虎:72ポイント
蛇姫の鱗:68ポイント
人魚の踵:65ポイント
青い天馬:57ポイント
四つ首の猟犬:30ポイント
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