今回で199話なので、もうどうせなら200話も一緒に投稿しとくかという感じで。
また1時間後に投稿されますので、お楽しみください。
感想お待ちしております。
大魔闘演武6日目の夜。
現在クロッカスの広場では大勢の人が賑わっており、その中心には6日目の結果が空間モニターに表示されて公開されていた。
―6日目結果―
妖精の尻尾:73ポイント
剣咬の虎:72ポイント
蛇姫の鱗:68ポイント
人魚の踵:65ポイント
青い天馬:57ポイント
四つ首の猟犬:30ポイント
「
「現在1位かよっ!!」
「
「こりゃもうダメかなセイバーは」
「優勝はどこだろうな」
「フェアリーくるんじゃねーのか!?」
「ラミアもあるぞ!!」
「今年こそマーメイドの優勝を見たいなぁ」
「セイバーだってまだまだ」
「ないない」
「いいや…セイバーがこのまま終わるとは思えんダニ」
そして広場では、大魔闘演武の観戦者たちによる優勝ギルドの予想が行われていたのであった。
第199話
『竜の王』
その頃……
そこでは先日のユキノの時と同様に、マスタージエンマの前にスティングとローグの2人を先頭にしてギルドメンバー全員が集まっていた。
「スティング、ローグ、あのザマは何だ」
威圧感の篭った声でそう問い掛けるジエンマに、ローグが顔を俯かせながら答える。
「言葉もありません、完敗です。ナツは雷を纏った炎を使わずにオレたちを圧倒した。想像をはるかに超える強さです、ナツ・ドラグニル」
ローグのそんな潔い言葉に、ジエンマは勢いよく立ち上がる。
「それが最強ギルドに所属する者の言葉か? ア? 誰があんなみっともねえ姿さらせと言ったよ? 誰が敗北してこいと言ったよ? 最強ギルドの名を汚しよってからにっ!!!」
「うっ!!」
「ぐっ!!」
ジエンマが体から放った魔力に押され、地面に倒れるスティングとローグ。
「貴様等に
「がは!」
「あぐっ!」
「消せ!!!! ギルドの紋章を消せ!!!! 我がギルドに弱者はいらぬ!!!! 負け犬はいらぬ!!!!」
憤慨し、そう叫びながらスティングとローグの2人に殴る蹴るなどの暴行を加えるジエンマ。
「まあまあマスター、スティング君もローグ君もがんばりましたよ」
すると、そう言ってレクターが震えながらも仲裁に入った。
「今回は負けちゃったけど、僕はスティング君を誇りに思います」
「レクター」
「僕は思うのです、人は敗北を知って強くもなれるって。スティング君は今回の戦いで多くの事を学びました」
そう言いながら必死にスティングを庇護するレクター。しかし、ジエンマの反応はひどく冷たいものであった。
「誰だうぬは」
「いやだなぁマスター、僕だってここにセイバーの紋章を入れたれっきとした……」
「なぜに犬猫ふぜいが我が誇り高き
レクターが自身の背中に刻まれたギルドの紋章を見せた瞬間、それがジエンマの逆鱗に触れた。そして……
「きえええええい!!!!」
ジエンマはレクターに向かって強力な魔力を放ったのであった。
「レクター!!!!」
「スティング…く…ん」
そしてジエンマの魔力に飲み込まれたレクターは、凄まじい爆音と共に──消滅したのであった。
その光景を目の当たりにしたスティングは愕然とし、ジエンマのあまりに非道な行いに他のギルドメンバーも目を見開いていた。
「あ…ああ……レクターが…消えちゃった……」
「フロッシュ!!!」
「フロッシュさん!!!」
「ローグぅ…アイン……」
レクターが消滅したのを見て涙を流すフロッシュを、ローグが庇うように抱きしめ、アインハルトが駆け寄る。
「めざわりめざわり。猫が我がギルドの紋章など入れてからに……」
吐き捨てる様にそう言い放つジエンマ。すると……
「あぁぁぁあああああああああっ!!!!!」
目の前で相棒を失ったスティングの絶叫が響き渡る。
「喧しいぞスティング!」
「なんて事を…あんたはなんて事を……!!」
「黙れぃ!!!! たかがネコ1匹」
涙を流しながら泣き叫ぶスティングにそう怒鳴るジエンマ。
だが次の瞬間……スティングの白き光を纏った拳の一撃が──ジエンマの体を貫いたのであった。
スティングの手によってマスターが倒されるという光景に、ローグやアインハルトを含めた他のメンバーはただただ絶句するしかない。
しかしその中でただ1人、ミネルバだけが口角を吊り上げて笑い……
「それでよい」
と、呟いたのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
一方その頃、闘技場の地下の通路。
「一体何があるんですか、ガジルさん」
「そうですよ、急に僕らを呼びつけて」
「黙ってついて来い」
「何でオレたちだけ」
そこにはガジルの案内で連れて来られたナツ、ウェンディ、エリオの姿があった。
「
「だろうな」
「……とは言いましても」
「野次馬もいるけどね」
「失礼ね」
「馬ってヤツがあるか」
「だって気になるじゃない」
だがついて来たのは
そしてガジルの案内のもと、地下の洞窟のような通路を進んでいく一同。すると……
「ここだ」
「ん?」
ガジルが立ち止まると、同時に一行も立ち止まって連れて来られた場所へと視線を向ける。
「なっ…!!?」
「これは…!!?」
「「「「!!!」」」」
「何だコリャ…」
「動物の……骨」
「みたいね。それも随分と古い……」
目の前に広がる光景を見て、エリオとウェンディは驚愕し、グレイとティアナとルーシィは疑問符を浮かべている。
そしてナツが、その光景を見て目を見開きながら呟いた。
「
そこに広がっている光景とは……おびただしいほどの数で転がっている
「これ…全部
「すごい数」
「10や20ではありませんね」
「
「何なんだここ」
「知るか」
「どうなってんだこりゃ……」
「どうしてこんな所に、こんな大勢の
「ここで何かあったのかしら」
「だとしたら、少なくともただ事じゃないわね」
そこらじゅうに散在している竜の遺骨を見回しながら、その場を軽く歩き回るナツたち。
「もしかしてこの中にイグニールが……」
「ハッピー!」
「あ! ゴメン」
「いや……いねえよ」
ハッピーの失言に対してナツは特に反応せず、この場にイグニールはいないと断言する。
「オレたちの
「ここに眠っているのは、それよりも大昔の遺骨って事ですよね」
続けてそう言い放つガジルとエリオ。周囲にある遺骨は素人目に見てもとても古いモノだと分かる。とても14年やそこらにできたモノとは思えなかった。
「ミルキーウェイ」
すると、ウェンディが思い出したようにそう呟く。
「どうしたのウェンディ」
「ミルキーウェイです、ポーリュシカさんから教えてもらった滅竜奥義の1つ、ミルキーウェイ」
「照破・天空穿とは別の、まだ習得していない奥義だね」
エリオの言葉に対し、ウェンディは頷きながら再び口を開く。
「天の川へと続く
「どういう事?」
「ミルキーウェイ──魂となった
「何!?」
「それって……」
「ここに眠る
◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃…クロッカスの街の廃材置き場。
そこにはジェラールが追っていたハズの、ゼレフに似た魔力を放つ黒いローブを着た少女が廃材に座り込んでいた。
少女はローブの中からペンを取り出すと、キャップを歯でくわえて外し、膝元に置いたメモ帳に慣れない手つきでメモを書き始める。
「オイ!! アンタ、ここは立ち入り禁止だぞ」
「!」
「ちょっと…!!」
するとそこへ見回りに来た警備員に見つかってしまい、少女は慌ててその場から逃げ去って行った。
「ん?」
するとそんな警備員の足元に、先ほどの少女が落としたと思われるメモ帳が落ちていた。
「何だコレ、汚ねえ字だな……あん?」
警備員はそのメモ帳を拾い上げると、そこに書かれていた内容を読み上げた。
「7月7日……エクリプス…計画。竜王祭……何のこっちゃ」
◆◇◆◇◆◇◆◇
視点は戻って
そこではウェンディが木の棒を使って、地面に魔法陣を書いていた。
「魔法陣?」
「やっぱり!! 攻撃用の魔法だと思ってたから、ここの文字が違ってたんだ」
「何やってんだウェンディ」
「話くらいちゃんと聞いてなさいよバカナツ」
「ミルキーウェイだって」
「これでよし!! みなさん、少し下がっててください」
魔法陣を書き終えたウェンディは、全員を少し下がらせたあと、さっそくミルキーウェイの発動に取り掛かった。
「さまよえる
魔法陣の中心で祈るように詠唱の言葉を口にするウェンディ。その瞬間、周囲がキラキラとした眩い輝きに包まれる。
すると、周囲にあった骨が突然カタカタと震え始める。
「ひゃあ!!! 骨が……!!」
「大丈夫なのかウェンディ」
「
ウェンディがそう言い放った次の瞬間、周囲をただよっていた光が一気に集束し始める。
「うおおっ!!」
「あれが魂なのか!!?」
「ウェンディ!!?」
「集中してるみたいね」
「今はあまり話しかけない方がいいですよ」
そして集まった光は段々と何かの形を形成していく。
「いっ!!?」
「これは……」
するとその光は……翡翠色の鱗を持った巨大な
「グァァァァアアア!!!!!」
「「「あああああああああ!!!!」」」
そして雄叫びを上げる
「あーっはっはっはっ!」
「「「!!?」」」
「人間の驚いた顔はいつ見ても滑稽じゃのう」
そう言って楽しげに笑う竜の姿を見て、キョトンとするナツたち。
「我が名はジルコニス。翡翠の竜とも呼ばれておった。ワシの魂を呼び起こすとは……
自身の名を告げながらグランディーネの姿を探すジルコニスだが、当然そこにグランディーネの姿はなく、代わりにミルキーウェイを発動させているウェンディの姿を見つけた。
「かーわええのう!!! こんなにちんまい
「オイお前!! ウェンディに近づくな!!!」
ウェンディに顔を近づけるジルコニスに対して、憤慨したエリオがウェンディを守るように立つ。
「イヤじゃ。この娘はワシが食う」
「何だと!!!」
「冗談に決まっておろうがっ!!! バカな種族よ!!! ホレ!! 〝幽体〟に何ができようか!? あはははっ!!」
「この…!!!」
バカにしたように笑うジルコニスを、エリオは怒りの目で睨み付けたのであった。
「なんなの? このふざけた人……」
「人じゃねえ、
「魂らしいがな」
「ずいぶんとイメージが違うんだけど……」
「我が名はジルコニス。翡翠の竜とも」
「さっき聞いたわーっ!!!」
ふざけたような性格のジルコニスに、ティアナやルーシィたちは呆気に取られるしかなかった。
「ここで何があったの?」
「ここには
「その真相を知る為に、お前の魂を呼び覚ましたのだ」
「ですから、何があったのか教えていただけませんか?」
ハッピー、シャルル、リリー、リニスのエクシード4人がこの場で何があったのかをジルコニスに問い掛ける。
「人間に語る言葉はない。立ち去れ」
「オイラ猫だよ」
「そうだな……あれは400年以上昔の事だ」
「ずいぶんとアバウトな自分ルールだな」
それでも何やかんやで教えてくれるらしいので、ナツたちは黙ってジルコニスの話を聞く事にした。
「かつて竜族はこの世界の王であった。自由に空を舞い、大地を駆け、海を渡り、繁栄していった。この世のもの全ては竜族のものであった。人間などは我々の食物にすぎなかったのだよ、ぐふふ。
だが……その竜族の支配に異論を唱える愚かな
それに賛同する
「反対派…って事は…」
「ワシは人間は好きではない。食物としてなら好物であるがな」
「食い物と会話してんのかオメー、ぷぷっ」
「ほら!! そーゆーのムカツクの!!!」
「余計な茶々入れないの。それで、その戦争はどうなったの?」
途中で茶々を入れたナツを引っ込めながらティアナが話の続きを催促し、ジルコニスは咳払いをしながら続きを放し始めた。
「戦況は拮抗しておった。
やがて共存派の
人間に竜を滅する魔法を与え、戦争に参加させたのだ」
それを聞いた瞬間、ナツとガジルとエリオが反応する。今は集中しているが、おそらくウェンディにも聞こえているだろう。
「滅竜魔法?」
「
「
力をつけた
そしてその人間の中の1人に……
〝男〟は数多の
「人間が…
「それが滅竜魔法の先にあるものだ。ここに眠る
そこでジルコニスはひと段落をつけると、続けてその竜の王の名を告げた。
「王の名はアクノロギア──
そしてその名は……ナツたちにとってはもっとも因縁深い名前であった。
「アクノロギア!!!?」
「あれが…」
「元々は人間だった!?」
「バカな!!」
かつて天狼島に現れ、圧倒的な力でナツたちを襲った黒い竜……アクノロギア。彼らが7年間の凍結封印を受ける原因となったその
「奴によりほとんどの
そこまで言うと、突然ジルコニスはその姿を消してしまった。
「オイ!!」
「消えた!!」
「まだ聞いてねえ事あんだろ!!!」
「ウェンディ!! もう1度ジルコニスを!!」
「ダメ……この場から完全に思念が消えちゃった」
「東洋の国でいう、成仏ってやつね」
どうやらジルコニスの魂は完全に消滅したらしく、もう1度呼ぶ事はかなわないらしい。
「なんだかエライ話になってきたな」
「スケール大きすぎよ」
「確かに、大きすぎて現実味が湧かないわね」
竜王祭にアクノロギアの正体……あまりにもスケールの大きい話に、グレイとルーシィとティアナは頭を抱える。
「滅竜魔法使いすぎると本物の
「それは困る」
「さすがに
「どうしよう…」
滅竜魔法の先にあるものが本物の
「それはありえんよ」
「「「!!」」」
するとそこへ何者かが現れる。
「話は聞かせてもらった。やはり我々の研究と史実は一致していた。君たちはゼレフ書の悪魔を知っているかね」
「(デリオラ!!?)」
「アクノロギアはそれに近い。1人の
「ゼレフが!!?」
そう言いながらナツたちへと近づいてくる人物。
「つまり──全ての元凶であるゼレフを討つ事が、アクノロギア攻略の第1歩となるのだ」
その人物とは……フィオーレ王国の〝桜花聖騎士団〟団長のアルカディオスであった。そしてその後ろには、元
「誰だテメェ!!?」
「ゼレフを倒す!!?」
「ユキノ!!?」
「(予言で見た白い騎士!!)」
突然現れたアルカディオスにナツとガジルは警戒し、ユキノがいる事に驚くルーシィ。そしてシャルルは、アルカディオスが予言で見た白い騎士だと直感した。
そしてこの出会いが……運命の始まりでもあった。
つづく