LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

205 / 240
2話目です。


FTvs処刑人

 

 

 

 

 

ルーシィ奪還の為に王宮へと乗り込んだナツたち一行。そして牢からルーシィを救出して喜んだのも束の間…フィオーレ王国王女ヒスイの罠により、死の都〝奈落宮〟という場所へと落とされてしまう。

 

 

そして出口を探して奈落宮を彷徨うナツたちを待ち受けていたのは、ボロボロになったアルカディオスと……王国最強の7人の処刑人〝餓狼騎士団〟であった。

 

 

餓狼騎士団との乱戦の末…戦いで起きた爆発により、ナツたちはバラバラに分断され……目の前に現れた処刑人と戦う事になったのであった。

 

 

「命は儚きもの。己の罪に鳴け」

 

 

「何も悪ィ事した記憶ねえんだけどな」

 

 

餓狼騎士団のリーダー格であるカマの言葉に対し、キッパリとそう言い放つナツ。

 

 

これは余談だが…彼がこう言ったのと同時に、会場にいるマカロフが始末書の数々を思い出して、顔色を悪くさせていたりする。

 

 

「しょうがねえな、ぶっ飛ばして通らせてもらうぞ」

 

 

そう言ってナツが拳を構えるのと同時に、カマも背中に背負っていた2本の大鎌に手をかける。

 

 

「!」

 

 

すると次の瞬間、首を狙ったカマの大鎌による一振りがナツを襲い、ナツはギリギリ体を引いてそれを回避する。しかしカマは攻撃の手を休める事無く、2本の大鎌を振るって周囲のモノを切り裂きながら、執拗にナツの首を狙う。

 

 

「コイツ……」

 

 

「我が狙うは罪人の首のみ」

 

 

「おっかねえ奴だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第205話

『FTvs処刑人』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフ…どうしました? しっかり狙いを定めてください」

 

 

「この…ちょこまかと……!!」

 

 

一方ティアナは、元悪霊の札(デーモンカード)の四天王であり…現在は王国を支える餓狼騎士団の一員となっているオルバを相手に苦戦していた。クロスミラージュで狙いを定めようとするが、彼の操る瞬間転移(ワープポイント)は瞬時に場所を移動する魔法……それによってオルバの動きが捉えられずにいるのである。

 

 

「ほらっ」

 

 

するとオルバは地面に落ちていた手ごろな小石を拾い、それをティアナの頭上へと軽く放り投げた。

 

 

「?」

 

 

そんなオルバの行動に怪訝な顔で疑問符を浮かべるティアナだが……

 

 

「再生」

 

 

「!!?」

 

 

オルバがそう呟いた瞬間、ティアナの表情が驚愕へと変わる。何故なら、彼の放った小石が周囲の小石を集めて繋ぎ合わさっていき…一瞬で巨大な岩へと姿を変えたのだ。

 

 

妖精女王(ティターニア)から聞いていませんでしたか? 私の再生を司る失われた魔法(ロスト・マジック)……再生のアークを」

 

 

「くっ……!!!」

 

 

オルバの言葉に対して毒づきながら、すぐさまその場から後ろに飛んで落ちてくる大岩を回避するティアナ。そして大岩が落ちた際に発生した風圧による衝撃から身を守っていると……

 

 

「ほらほら──後ろ危ないですよ」

 

 

「!!?」

 

 

そんな声が聞こえてきたと同時に後ろを振り返るティアナ。するとそこには瞬間転移(ワープポイント)で音もなく移動し、ナイフを振り被っているオルバの姿があった。

 

 

「くあっ!!」

 

 

すぐさまそこから飛び退くティアナだが、オルバが横一線に振るったナイフを避けきれず、腕の部分が切り裂かれてしまう。

 

 

「じわじわと追い詰めて……処刑してあげましょう」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ジュワー」

 

 

「酸とは厄介な。剣では防ぎきれん!」

 

 

その頃、リリーは酸を操る処刑人ネッパーとの戦いで苦戦を強いられていた。何故なら酸を下手に剣で防いでしまうと、溶けて使い物にならなくなってしまう。そうなってしまってはリリーに勝ち目がなくなってしまうからだ。

 

 

「溶けろ、溶けろ」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「紙吹雪・緑の舞!!!」

 

 

「うっ…ぐふ!!」

 

 

様々な紙を操る処刑人カミカが放った緑色の紙吹雪。それに囲まれた瞬間、ミラジェーンは苦しそうに咳き込みはじめる。

 

 

「緑の紙は毒の神」

 

 

「この人たち、確実に命を狙って……」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「スピンセイバー!!!」

 

 

「無駄だ。人魂(ひとだま)・虚空」

 

 

シンフォニアタクトを振るい、大きな魔力の光輪を放つリニス。しかしオルバと同じく悪霊の札(デーモンカード)の四天王であり、現在は餓狼騎士団に身を置く幻影魔導士…ガワラに光輪が直撃すると同時にガワラの姿が煙のように消えてしまう。

 

 

「!? どこに……」

 

 

消えたガワラを探してキョロキョロと周囲を見回すリニス。

 

 

「ここだ」

 

 

「!!」

 

 

「幻獣・大蛇」

 

 

リニスが声がした方へと視線を向けた瞬間…ガワラは巨大な蛇を放ち、その大蛇は大口を開けてリニスへと襲い掛かる。

 

 

「ジェットスマッシャー!!!」

 

 

それを見たリニスはすぐさま杖を構えてその先端から光の砲撃を放ち、襲い掛かる大蛇を破壊し、煙のように霧散させた。

 

 

「これは…幻影魔法?」

 

 

「その通り。オレの魔法は幻影を実体化させる〝幻実(リアルモーメント)〟。その魔法によって生み出される我が幻獣の前に、大人しく処刑されるがいい」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「胞子爆弾リンカ・レンカ」

 

 

「きゃあああああ!!!」

 

 

一方…特殊な花々を操る処刑人コスモスと戦うウェンディも、彼女が操る花から放たれる胞子型の爆弾の前に悲痛な悲鳴を上げていた。

 

 

「その悲鳴も可憐……」

 

 

そんなウェンディの姿を、うっとりとした表情で眺めるコスモス。

 

 

「さあ、眠る時間よ。マクラ・カムラ」

 

 

「!」

 

 

するとコスモスは新たな花を発生させ、その花から放たれる胞子をウェンディに向かって吹きかけた。

 

 

「ケホ、ケホ、ケホ」

 

 

「この胞子の睡眠効果により眠ってしまったら、あなたは二度と目を覚まさない死の魔法」

 

 

「あう…う……」

 

 

胞子に身を包まれてしまったウェンディは、迫り来る睡魔に耐えようとするが、その意志に反して彼女の瞼はゆっくりと落ちてくる。

 

 

「さあ眠れ、永遠に」

 

 

「うぐ…ふ……」

 

 

そしてその抵抗も虚しく…ウェンディは静かに目を閉じて(こうべ)を垂れたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「地形効果・溶岩(タイ)!!!」

 

 

「何か来るわよ」

 

 

「気を抜かないでね」

 

 

「ハイ!!」

 

 

処刑した者の骨すら残さないと言われる処刑人…ウオスケと対峙するユーノ、ルーシィ、ユキノの3人。ウオスケが何か魔法を発動させたと見た3人は気を引き締めて相手を注視する。

 

 

「シャルル!!」

 

 

「地面が!!」

 

 

「燃えて…!」

 

 

するとその瞬間、彼らの足元の地面が崩れ始め、その下では灼熱のマグマが煮え滾っていた。

 

 

「崩れ…!!!」

 

 

「きゃっ」

 

 

「ユキノ!!! ルーシィ!!!」

 

 

突然足元の地面が崩れた事により、ルーシィとユキノは溶岩の中に落ちそうになるが、ギリギリで崩れた足場に掴まって宙吊り状態となる。

 

 

「奴の魔法は地形を変化させるんだ!!! 奴を倒せば……チェーンバインド!!!」

 

 

「タイ?」

 

 

何とか無事だったユーノは、ウオスケを倒そうと魔力の鎖を放つ。

 

 

「地形効果・重力(タイ)!!」

 

 

「ぐあっ!! 体が……!!」

 

 

それに対してウオスケはユーノの周りの重力を操作し、ズシリとした重みが彼を地面に叩き伏せる。

 

 

「くっ…!! ハッピー!! シャルル!! ルーシィとユキノを!!!」

 

 

「あいさー!!」

 

 

「今行くわ!!」

 

 

「させないタイ」

 

 

「ぐぎゃ!」

 

 

「あう!」

 

 

そしてユーノの指示で危険な状態になっているルーシィとユキノを助けに行こうとしたハッピーとシャルルだが、2人もウオスケの重力操作で地面に叩き伏せられる。

 

 

「あう!」

 

 

「うう…!!」

 

 

足元から伝わってくる熱に歯を食いしばりながら耐えるルーシィとユキノ。宙吊り状態になっている2人の足元はマグマが煮え滾っており、そのマグマの表面の熱だけでも彼女たちに焼けるような熱さを与えるには十分であった。

 

 

「2人とも…がんばれ…君たち2人は……私たちの希望…なのだ」

 

 

すると、ボロボロであったアルカディオスが2人にそう言いながらゆっくりと体を起こし始める。

 

 

「アルカディオス様……」

 

 

「こんな時にまたその話? 悪いけどあたしは……」

 

 

「君たちがいなければエクリプスは起動しない。私はその為なら」

 

 

そう言ってフラフラと立ち上がるアルカディオス。そして……

 

 

 

「この命──惜しくは無い!!!!」

 

 

 

なんと自ら溶岩の中へと足を踏み入れ、ルーシィとユキノのもとへと歩き出したのであった。

 

 

「あんた何やってんのよ!?」

 

 

「うぐぐぐぐ…うごおおおおおおああああああ!!!!」

 

 

「え? え? 人間て溶岩の中入れたっけ?」

 

 

そんなアルカディオスの行動に、ルーシィだけでなくウオスケも困惑する。

 

 

「ぬおおおおお!!! 早く…上…れ!!」

 

 

そして2人のもとへとたどり着いたアルカディオスは、彼女たちの足を支えて足場の上へと押し上げる。

 

 

「アルカディオス様!!!」

 

 

「くっ」

 

 

「あんたも早く!!!!」

 

 

無事に足場の上に上る事が出来たルーシィとユキノは、アルカディオスを引き上げようと彼に手を伸ばす。だがアルカディオスはその手を取らずに、彼女たちに静かに告げる。

 

 

「もし……ここを無事に出られたら……姫様に……ヒスイ姫に会う…のだ……」

 

 

「アルカディオス様、手を!!!」

 

 

「早く!!!」

 

 

「くっそぉぉ……!!!」

 

 

ルーシィとユキノだけでなく、ユーノも何とか彼を助けに行こうとするが、体に重く圧し掛かる重力のせいでそれは叶わなかった。

 

 

 

「エクリプスが正しいかどうか、君たちが決めるといい」

 

 

 

そしてその言葉を最後に……アルカディオスは溶岩の中へと沈んでいったのであった。

 

 

「そんなっ!!」

 

 

「アルカディオス様ーーーーっ!!!」

 

 

その光景を目の当たりにしたユキノの悲痛な叫びが響き渡る。

 

 

「だよね? だよね? フツー死ぬよね。よかった!! ビックリ」

 

 

そんなウオスケの言葉も意に介さないほど、目の前でアルカディオスが溶岩に消えていった事にショックを受けるルーシィやユーノたち。

 

 

すると……

 

 

「ギリギリセーフ。いやしかし…私の体はアウトといったところでしょうな」

 

 

そんな言葉と同時に、溶岩の中から現れたのは……

 

 

「ホロロギウム!!?」

 

 

ルーシィの契約している星霊の1人……時計座のホロロギウムであった。しかも彼の体の中には、溶岩の中に沈んだと思われたアルカディオスの姿もあった。

 

 

「いやしかし、体の大きな男性はある意味ギリギリ」

 

 

「どうしてアンタがここに……」

 

 

「僕は(ゲート)を自由に通れるからね」

 

 

そんなルーシィの疑問に答えたのは、新たにやって来た人物……

 

 

 

「君たちの〝星〟は君たちのもとに」

 

 

 

その人物とは、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士であるロキ……またの名を獅子宮のレオであった。

 

 

「ロキ!!!」

 

 

「遅くなってゴメンね」

 

 

「獅子宮のレオ……」

 

 

「ほら、君の分も」

 

 

「あ」

 

 

ロキはどこからか回収して来たルーシィとユキノの星霊の鍵を、それぞれの持ち主である彼女たちに返した。

 

 

「ありがとうございます。ごめんなさい、ピスケス、ライブラ」

 

 

ロキから渡された大事な鍵を、愛おしそうに握り締めるユキノ。

 

 

「やった!!」

 

 

「これで魔法が使える!!」

 

 

「まったく、いい時に来てくれたよロキ」

 

 

星霊の鍵が彼女たちの手元に戻った事により、これで2人も魔法を使えるようになった。そして圧し掛かる重力が消え、自由の身になったユーノはすぐにアルカディオスの容体を確認する。

 

 

「……大丈夫、息はある。アルカディオスさんは生きてるよ」

 

 

ホロロギウムに助けられたとはいえ、生身で溶岩の中に入ってなお生きているアルカディオスに、ユーノは内心舌を巻いていた。

 

 

「ここに十二の鍵がそろった。反撃の時だ」

 

 

「うん」

 

 

「参ります」

 

 

そして魔法が使えるようになった2人はロキの言葉に頷き、まずはユキノがさっそく1本の鍵を構えた。

 

 

「開け!! 双魚宮の扉──ピスケス!!!!」

 

 

「魚ーーーー!!!」

 

 

「魚ーーーー!!!」

 

 

「さか………な?」

 

 

魚と聞いた途端、魚大好きのハッピーとウオスケが大喜びするが……現れたその姿はどう見ても魚ではなかった。

 

 

「これがピスケスの真の姿。母子一体の星霊」

 

 

「この姿で呼ばれたという事は、ママ」

 

 

「敵の殲滅よ、ボウヤ」

 

 

現れたピスケスの姿は、以前のような巨大魚の姿ではなく、リーゼントのような髪型をした女性と褐色肌の青年の姿であった。

 

 

「お願いします」

 

 

「OK!! ママ」

 

 

「私はママじゃありません」

 

 

「フフ」

 

 

ユキノの指示を聞いて、ウオスケへと駆け出していく2人のピスケス。

 

 

「地形効果・重力(タイ)!!!!」

 

 

それに対してウオスケは再び重力操作で動きを封じようとするが……

 

 

「開け!! 天秤宮の扉──ライブラ!!!!」

 

 

「重力変化を相殺!!!!」

 

 

ユキノが新たに召喚した重力を操る星霊、ライブラによりそれは相殺された。

 

 

「ついでに、ストラグルバインド!!!」

 

 

「タイ!?」

 

 

さらにユーノが捕縛魔法でウオスケの動きを封じ込める。

 

 

「タイ~~~~~~!!?」

 

 

そのまま2人のピスケスによる攻撃をもろに受けて、吹き飛ばされるウオスケ。

 

 

「コイツ~タイ!!!」

 

 

「アンタその語尾の使い方あってるの?」

 

 

シャルルがウオスケの語尾に対しツッコミを入れたが、今は誰も取り合わなかった。

 

 

「地形効果!!! 渦潮(タイ)!!!!」

 

 

すると、ウオスケは地形を変化させて巨大な渦潮を発生させる。

 

 

「魚は海に帰るタイ!!!」

 

 

「ママ!! これは…」

 

 

「ボウヤ、しっかり!!」

 

 

「「ギョッ」」

 

 

「魚ーーーー!!!」

 

 

その場を渦潮が支配した瞬間、なんとピスケスは元の魚の姿へと戻ってしまった。

 

 

「ピスケスが水に弱いという弱点を見抜くなんて」

 

 

「魚なのに!?」

 

 

魚なのに水に弱いというピスケスの意外な弱点に思わずツッコミを入れるルーシィ。

 

 

「けどチャンスだよルーシィ!!! 水がある今なら!!」

 

 

「そうか!! 水があれば……」

 

 

「タイ!?」

 

 

ユーノの言葉を聞いて思い出したように1本の鍵を取り出すルーシィ。

 

 

 

「開け!! 宝瓶宮の扉──アクエリアス!!!!」

 

 

 

ルーシィは自身の最強の星霊……アクエリアスを召喚したのであった。

 

 

 

 

そして……反撃が始まったのはルーシィたちだけではなかった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ほらほら、ボーっとしているとグサリ…ですよ」

 

 

「っ…!!」

 

 

瞬間転移(ワープポイント)でそこらじゅうを動き回るオルバを相手に翻弄されているティアナ。

 

 

「この!!」

 

 

「フフフ…闇雲に撃っても当たりませんよ」

 

 

ティアナは毒づきながら自棄になったようにクロスミラージュを構え、数発の魔法弾を放つ。だが当然動き回っているオルバ相手にそれが当たるハズはない。

 

 

「ではそろそろ……楽にして差し上げましょうか」

 

 

「!!」

 

 

そう言い放つと同時に、ティアナの背後へとワープしたオルバは彼女の首へと目掛けてナイフを振るったのであった。それに対してティアナは……

 

 

「──かかったわね」

 

 

口元に笑みを浮かべながらそう言い放った。

 

 

その直後……ナイフを振るおうとしたオルバの体を、いくつもの魔力の鎖が拘束した。

 

 

「こ…これは!!?」

 

 

突然地面や周囲の壁から出現し、自身の体に巻き付いた魔力の鎖を見て目を見開くオルバ。

 

 

「チェイン・ショット……射撃魔法と捕縛魔法を組み合わせた弾丸。撃った相手を拘束するのはもちろん、壁や地面に撃ち込む事で罠としても使う事ができる優れものよ。さらに拘束した相手の魔法を封じ込めるオマケ付き。今回は後者の使い方をさせてもらったけどね」

 

 

つまり先ほどの闇雲に撃ったと思われた数発の弾丸は、この為の布石だったのである。

 

 

「罠…!? まさか、私の動きを読んでいたとでも!?」

 

 

「その通りよ」

 

 

オルバの疑問に対して、ティアナは間髪入れずにハッキリとそう告げる。

 

 

「アンタみたいに瞬間移動系の魔法を使う奴は大抵、相手の背後をとるのよ。実際アンタも攻撃する時は必ず後ろからだった。逆に言えば、その背後だけを警戒していれば怖くはないって事よ」

 

 

「くっ……!!」

 

 

ティアナの説明にオルバは何とか体に強く巻き付いている鎖を解こうとするが、魔力の鎖はビクともしない。さらには魔法を封じられてしまっている為、ワープする事も再生させる事もできない。

 

 

「悪いわね……アンタたちが私たちを処刑すると口にした瞬間にもう勝負は決まってたのよ」

 

 

そう言いながら、クロスミラージュの2つの銃口を向けて魔力を集束し始めるティアナ。

 

 

 

 

 

「仲間に手を出そうとした時点で──アンタたちの負けよ」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「オラオラどうした? 溶かしちまうぞ!! パーンってよォ!!!」

 

 

「ガジルと共に修行してきた日々を思い出せ!! 鉄の拳!!! 奴の拳を何度も受け止めてきたこの体!!!」

 

 

ネッパーの操る酸を回避しながら、自分に言い聞かせるようにそう言い放つリリーはガジルと共に修行した日々が思い出しながら剣を構える。

 

 

「その鉄の硬度が誇るのは──己の肉体と精神力!!!!」

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「何事にも負けぬ鉄の意志!!!!」

 

 

 

 

 

 

リリーの鉄の意志と共に振るわれたその剣は、ネッパーの酸を真っ二つに斬り裂いたのであった。

 

 

「なァ!!? 酸を斬ったァ!!?」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「さあさ、そろそろ可憐に眠りに落ちてしまったかしら?」

 

 

コスモスの召喚した花の睡眠効果のある胞子を当てられてしまい、コクリコクリと頭を揺らしながら目を閉じているウェンディ。

 

 

すると……

 

 

「状態異常耐性付加(エンチャント)・リレーゼ」

 

 

そんな言葉と共に、ウェンディはパチリと目を開ける。

 

 

「え? 何で!?」

 

 

「私に状態異常系の魔法は効きません。みんなのサポートがお仕事だから」

 

 

眠ったと思っていたウェンディが目を覚ました事に戸惑うコスモス。そんな彼女に対してそう言い放ちながら両腕に風を纏い始めるウェンディ。

 

 

「だけど…戦わなきゃいけない時は──」

 

 

「何これ!? 風が……私の花が散っていく!!」

 

 

そしてウェンディの巻き起こした風は、コスモスの花を舞い散らせ…彼女を風の結界の中へと閉じ込める。

 

 

 

 

 

「私は天竜となります」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「これでくたばるがいい……百獣の牙」

 

 

ガワラが幻影で作り出したのは、その名の通り100体もの牙を持つ幻獣の頭部であった。

 

 

「終わりだネコ女……百の幻獣に噛み殺されるがいい」

 

 

ガワラがそう言った瞬間に、100体の幻獣たちが実体を持ってリニスへと一斉に襲い掛かった。

 

 

だがそれに対してリニスは、特に慌てた様子もなく静かにシンフォニアタクトを構える。

 

 

(まぼろし)で塗り固められた獣の牙など怖くはありません。本当に怖いのは、守るものの為に覚悟を決めた獣……仲間を守る為に敵に立ち向かう覚悟を持った獣です!!!!」

 

 

そう言い放つと同時にリニスのシンフォニアタクトから放たれた眩い輝きが、ガワラの幻獣たちを飲み込み…消滅させていった。

 

 

「んなっ!!?」

 

 

その光景を見て愕然と目を見張るガワラ。

 

 

「覚えておいてください、たとえネコといえども仲間を守る為ならば……」

 

 

そしてリニスは輝く光の魔力のシンフォニアタクトの先端へと集束し始める。

 

 

 

 

 

「敵を狩る獅子となって──牙を剥きます」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「だいぶ苦しそうね。そろそろ死んじゃう?」

 

 

カミカの緑の紙吹雪から発せられる毒素によって、ミラジェーンは苦しげな表情を浮かべている。

 

 

「魔法は人を殺す為の力じゃない。だけど大きな力がなければ、愛する人たちを守れない。矛盾してるわよね」

 

 

「何言ってるの?」

 

 

毒に苦しみながらも、突然そんな事を言い出したミラジェーンに対してカミカは疑問符を浮かべる。

 

 

「あなたは1つだけ大きなミスをした」

 

 

すると、ミラジェーンはダンッと強く地面を踏みつけると、体から膨大な魔力を放出し始める。

 

 

「私ね…大会の会場とか…仲間が近くにいたりとかね、誰かに見られてると思うと自分の力を抑えちゃうの。さっきの矛盾からくる私のジレンマなのかしら」

 

 

そして放出された魔力をその身に纏い、サタンソウルへと姿を変えるミラジェーン。

 

 

「私が〝1人〟の時──それは私が100%の力を出せる時なの」

 

 

「え? うそ、毒を吸って……」

 

 

そう言うと同時に、スゥーっと周囲の毒素を吸い込み始めたサタンソウルとなったミラジェーン。その光景を目の当たりにしたカミカは絶句するしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

「悪魔に毒? 大好物なんだけど♡」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「そろそろぶっ飛ばしていいか?」

 

 

「!」

 

 

そしてナツの方も、カマが振るった大鎌の刃を素手で受け止めて握り潰しながらそう言い放っていた。

 

 

「ごあ!!」

 

 

武器を失ったカマに向かって容赦なく拳を振り下ろすナツ。

 

 

「なんだこの男は……!!」

 

 

「火竜の鉄拳!!!!」

 

 

さらにナツは間髪入れずに今度は炎を纏った拳でカマを殴り飛ばす。

 

 

「私にこんな事をして……貴様等王国を敵にまわす気か!!?」

 

 

「敵に…まわす?」

 

 

そんな事を口にするカマに対して、ナツはそう聞き返しながらカマに向かって一直線に駆け出す。

 

 

 

「お前らこそ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を敵にまわす覚悟はできてるんだろうな」

 

 

 

力強くそう言い放ち、駆け出しながら炎を纏った拳を構えるナツ。

 

 

 

「オレたちは家族(ギルド)を守る為なら──国だろうが世界だろうが敵にまわす」

 

 

 

 

 

──それが妖精の尻尾(フェアリーテイル)だっ!!!!!

 

 

 

 

 

その言葉と同時にナツはカマに拳を叩き込み、壁を突き破るほどの勢いで吹き飛ばしたのであった。

 

 

そしてその吹き飛ばした先には、同じく妖精の尻尾(フェアリーテイル)に敗北した6人の処刑人たちが壁を突き破って飛んできて……何の偶然か餓狼騎士団全員が同じ場所で倒れたのであった。

 

 

「お」

「あれ?」

「あ」

「ん?」

「まあ」

「あら」

「みんな」

 

 

そのまま崩れた壁の向こうからやって来たナツたちも、無事に全員と合流したのであった。

 

 

「はははっ!! 奇遇だなー」

 

 

「こんな偶然ってあるのね」

 

 

「そうね♡」

 

 

まったくの同じタイミングで同じ場所に敵を吹き飛ばすという偶然のできごとに、ナツたちは思わず笑い声を上げる。

 

 

「全…滅…だと?」

 

 

その傍らでは、カマが王国最強の処刑人である餓狼騎士団が全滅した事に愕然としていた。

 

 

「さて…と──出口を教えなきゃ処刑だぞ」

 

 

そんな餓狼騎士団に恐ろしい形相で問い詰めようとしているナツを見て、ルーシィとユーノは思わず「悪…」と呟いたのであった。

 

 

 

 

 

つづく

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