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未来から来たルーシィから聞かされた最悪の未来……1万を超えるドラゴンの群生が国を滅ぼすという話を聞かされたナツたちは、その未来を何とかする為にまずは城を脱出してジェラールと合流しようと、未来ルーシィの案内で地下道を走っていた。
「こっち!!」
「お前よくこんな道知ってんな」
「せめてみんなが王国軍に捕まる未来だけは回避したかったから」
「その為に地下は調査済みだったって訳ね」
「早く地上に出て信号弾を上げたいわね」
「きっとみんな心配してますもんね」
「早くここを出て、安心させてあげましょう」
そんな会話をしながら地下道を駆け抜けるナツたち。しかし……
「いたぞ!!! 脱獄者だー!!!」
「捕まえろーーー!!!」
そんなナツたちの進む道の先から、王国兵の軍隊が現れた。
「王国軍!?」
「そんな……」
「こんな所に配置されてるなんて……」
予想外の王国軍の行く手の妨害に、動揺を隠せない未来ルーシィ。
「心配すんな、魔法が使えりゃ捕まったりしねーよ」
「そうだね」
「結局ナツの言う通り、敵陣突破になるのね」
「でも、やるしかないね」
そう言ってナツ、ロキ、ティアナ、ユーノが王国兵と戦う為に一歩前に出る。すると、ウェンディが何やら慌てたように声を上げた。
「あ…あの!! アルカディオスさんがいません!!!」
「何!?」
「ユキノもいないわ!!」
「何で勝手な事するかな~」
いつの間にか、一緒にいたハズのアルカディオスとユキノの姿が消えていた。そんな事などお構いなしに目の前から迫ってくる王国兵の群生。
「あの騎士はともかく、ユキノは放っておけない。私が戻るわ」
「ミラさん!!」
「ダメだよはぐれちゃ!」
そう言ってミラジェーンはルーシィの引き留める言葉も聞かずに、ユキノを探す為に来た道を引き返して行った。
「みんな……気をつけてね」
「任せたぞ!!! オレたちはここを……」
「ええ」
「ああ」
「うん」
「突破する!!!!」
ユキノの捜索をミラジェーンに任せ、ナツとティアナ…ロキとユーノの4人は先陣を切って王国軍の群生へと突撃していったのであった。
第209話
『ガジルvsローグ』
「おおお…おおおお……」
「オイ……どうしたんだ急に」
突然頭を抱えて苦しみだしたローグに声をかけるガジルだが、ローグはそれに答えずに呻き声を上げていた。
《ガジルを殺せ……それがオレの運命だ……》
「うぐ…うぐぐ……うぐぐぐぐ……」
自身の影から聞こえてくる謎の声に必死に抵抗するローグ。
《力を貸してやる》
「あああああああああああああ!!!!」
そしてローグが悲鳴に似た雄叫びを上げた次の瞬間……ローグの影を纏った一撃がガジルを殴り飛ばした。
「ガジル……!!!」
「んだアイツいきなり!!」
その光景を映像越しに見ていたルーテシアとアギトの2人が思わず声を上げる。
『ど…どうしたのでしょうか? ローグの様子が変わったぞー!!』
『ガ
『キターーーー!!!』
そして突然殴り飛ばされたガジルは地面を転がりながらもすぐに体制を立て直して、ローグを睨む。
「コイツ……」
「ククク……少しだけ力を貸してやるぞ、ローグ」
「誰だ?」
まるで何かに乗っ取られたかのように、明らかに雰囲気が変わったローグに対してそう問い掛けるガジル。
「影……運命を司る影」
その問いに対してローグは、顔や腕に不気味な黒い模様を浮かび上がらせた姿でそう言い放った。
「何言ってやが……ぐあっ!!」
さらに容赦なく蹴りを入れられ、後ろへと飛ばされるガジル。
「何だか知らねえがトコトンやり合いてえって事か、面白れェ」
ローグの身に何が起こったのかはわからないが、ガジルは再びローグとの戦闘を開始したのであった。
「鉄竜剣!!!!」
そしてガジルは右腕を鉄の剣へと変形させてローグを攻撃する。しかしそれに対してローグは自身の体を影に化してその攻撃を回避する。
「!!」
「影竜の連雀閃!!!!」
「ぐはぁっ!!!」
さらにそのまま素早くガジルへと接近したローグは、両腕に纏ったクジャクの羽のような黒い影でガジルを吹き飛ばした。
「「「ガジル!!」」」
「誰?」
そして
「くっ!! どこに行った!?」
吹き飛ばされた体勢から何とか地面に着地したガジルだが、いつの間にかローグが姿を消しており、彼を探して周囲を見回す。すると……
「ここだ」
「!!!」
「影竜の斬撃!!!」
「うああああああ!!!」
なんとガジルの影の中に潜んでいたローグは、影から飛び出すと同時に腕に纏った影でガジルの体を斬り裂いた。
「アレは……」
「何かに憑かれているようです」
そんなローグの姿を見て、マカロフとメイビスがそう呟く。
「(とても……とても邪悪な……私の知識に存在しない魔力!?)」
メイビスは今のローグから感じられる邪悪な魔力に、一筋の冷や汗を流したのであった。
「ぬぐっ!! がはっ!!」
その間にも、ローグの猛攻に追い詰められ始めるガジル。
「やはりナツ・ドラグニルほどではない」
「テメェ……」
「そのナツ・ドラグニルも、今のオレの敵ではないがな」
そう言ってローグは不敵かつ不気味な笑みを浮かべたのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「……!!!」
「この魔力!!」
「間違いない!!」
クロッカスの街の外れ……そこで待機していた
「街の方からよ」
「落ち着け。未来のルーシィが戦闘に巻き込まれたんだ。ナツたちが一緒なら慌てる事はない」
◆◇◆◇◆◇◆◇
そして一方そのナツたちは、立ち塞がる王国兵の群生と戦っていた。しかし魔法を駆使して戦うナツたちに魔法が使えない兵士が敵うハズもなく、王国兵は次々と薙ぎ倒されていった。
「こいつら……ガキのくせになんて強ェんだ」
「対魔法部隊を呼べ!! ここから先へは行かせんぞ!!!」
ナツたちの強さに慄きながらも、先へは進ませまいと行く手を阻む王国兵たち。
「おおおおおおおらぁっ!!!!」
「ぎゃあ!!」
「うわ!!」
「がふー!!」
そんな群生に向かって、捕まえた1人の兵士を思いっきり投げつけてまとめて吹き飛ばすナツ。
「ぐあっ!!!」
すると、突然そんなナツの背中に1発の魔法弾が直撃した。見るとそこには、今までの兵士とは違う杖を持った魔導士で構成された部隊の姿があった。
「ナツ!!」
「王国にも魔法部隊が!?」
シャルルの言う通り、彼らは先ほどの兵士が叫んでいた対魔法部隊なのである。
「うほぉ、ビックリしたぁ」
しかしそんな魔法部隊の攻撃が直撃したにも関わらず、ナツはケロリとした表情で平気そうにしていた。
「そんな魔法で本職と──やり合う気か?」
そして魔法部隊に対して、ニッと笑みを浮かべながらそう言い放ったのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
再び視点は大魔闘演武のガジルとローグの戦いへと戻る。だがそこにはローグによってボロボロにされ、首を鷲掴みにされて宙吊り状態になっているガジルの姿があった。
「ククク…これがあのガジルか? 他愛もない」
「あが…ぐ……カハッ」
メキメキと首を絞めつけられ、苦しげな声を上げるガジル。
「あの野郎!!!」
「もうやめて!!! 死んじゃうよ!!」
「ダメ!! ガジル!!」
その光景を見てアギトは憤慨したように表情を歪め、レビィとルーテシアは涙を浮かべながらそう叫ぶ。
「フロー行かなきゃ。ローグを返してもらわなきゃ」
そしてフロッシュは応援席から離れ……涙を流しながらローグのもとへと向かって行ったのであった。
「影がお前を侵食する。そして永久に消えるのだ。眠れ──暗闇の中で」
ローグが首から手を放してガジルの体を地面に転がすと、ローグの影がガジルを飲み込もうと侵食し始める。
「ギヒ」
しかしそんな状況にも関わらず、突然口元に笑みを浮かべるガジル。
「
「!?」
するとガジルは……思いもよらない行動をとったのである。
「がぶがぶがぶがぶっ」
「何を…!?」
なんとガジルは自身の体を侵食しようとしていたローグの影を吸い込み……そのまま喰い始めたのであった。
「ギヒヒ」
「バカな…!」
「影を……」
「食っちまいやがった……!!」
影を食べるというとんでもない事をやってのけたガジルに、ローグだけでなく応援席のレビィやアギトも驚愕する。
そしてローグの影を取り込んだガジルは、ゆっくりと起き上りながら口を開く。
「誰だか知らねえが、そいつの体から出て行け」
「ローグから?」
「それと、そいつの名前はローグじゃねえ。オレの弟分だったライオスだ」
「!!」
ガジルの口から放たれたその言葉に、僅かに反応を示すローグ。
「ライオス……ライオスだって!?」
「あの人が……!?」
その名前に聞き覚えがあるのか、ルーテシアとアギトも応援席で目を見開いていた。
「お前はオレに憧れてたんじゃねえ。あの頃のオレがそんな男じゃなかったのは、オレが1番よく知ってる。お前はオレを恐れていたんだ」
そして……
「もう1度思い出させてやる──オレの恐怖を」
鉄と影……2つの属性を融合させた新たな姿でそう言い放ったのであった。
「2つの属性……だと?」
予想外だと言わんばかりに目を見開いてそう呟くローグ。
「ナツの雷炎竜みてーに、ガジルも影の属性を吸収したってのか!!?」
「見た目バケモノみてーになっちまったぞ!!!」
「元々…悪人面だけどな」
そんなガジルの姿にノーヴェ、ヴィータ、アギトが驚愕しながらそう言葉を口にした。
「
そして新たな力…鉄影竜の姿となったガジルは地面を強く蹴り出してローグへと向かって行く。
そんなガジルに向かって腕を横薙ぎに振るって迎え撃とうとしたローグだが、その瞬間ガジルの姿が消えた。
「消えた!!」
「違う!! ローグと同じように影になったんだ!!!」
クロノの言う通り、ガジルは先ほどのローグと同じように自身の体を影と化して攻撃を回避したのである。
「ぐはぁっ!!」
そしてその姿のままローグの背後へと回り込んだガジルは、鉄の棍棒へと変形させた腕でローグを殴り飛ばす。だがそれを受けて前のめりに倒れそうになったローグは体を影にして地面に溶け込む。
「ギヒッ」
それを見たガジルも、再び体を影にしてローグを追いかける。
「2人とも影になっちまった!!」
「どうなるんだコレーーー!!!」
壁や柱を伝って建物の屋根の上へと移動しながらもぶつかり合う2つの影。
すると、ガジルの影から伸びた腕がローグの影を掴んだ。
「(何!? 影から引きずり出され……)」
そのままローグの体を影から引きずりだして、屋根が粉砕されるほどの威力でローグを殴り飛ばすガジル。だがガジルの攻撃はこれでは終わらず……すぐさま影となって移動し、殴り飛ばしたローグへと追いつくと、彼の頭を鷲掴みにして持ち上げる。
「(オレの知らない──ガジル…)」
「消えろ!!!!」
そしてそのままガジルは屋根を突き破るほどの威力でローグを上空へと投げ飛ばす。
そして……
「鉄影竜の…咆哮ォ!!!!!」
「ああああああああっ!!!!」
クロッカス全体を震撼させるほどの鉄と影の2つの属性が1つとなったブレスを放ち……ローグの体を飲み込んだのであった。
そしてそれを喰らったローグは地面に叩き付けられ、そのまま力なく倒れたのであった。
『勝負アリー!!! 勝者ガジルーーー!!!
妖精の尻尾:79P→80P
全魔力を使い切ったガジルは多少フラつきながらも、倒れるローグへと視線を向ける。
「クク……所詮今のローグにはこの程度が限界か」
「ア?」
そう呟いたローグの言葉にガジルが怪訝な表情を浮かべると、ローグの体から謎の影が離れていき、姿を消した。
「消えた」
ローグから離れて消えた影を見て、疑問符を浮かべるガジル。すると……
「もーやめて!!」
いつの間にかこの場へとやって来たフロッシュが、ローグを守るように両手を広げてガジルの前に立っていた。
「ローグが死んじゃうよ、もーやめて!!」
ローグを守る為に、怯えながらも涙を浮かべた目でガジルを睨むフロッシュ。
「勝負はついた。何もしねえよ」
そう言うとガジルも限界だったのか、地面にドカッと座り込む。
「フロ…シュ」
「ローグ!! ローグ!!」
「なぜここに…」
「ロ~グ~~!!!」
目を覚ましたローグにすぐさま駆け寄って泣きつくフロッシュと、そんなフロッシュの頭を優しくなでるローグ。
「お前」
「ううっ!! あれ? 体中が…うぐ!! オレは…負けた…のか…痛っ!!」
体中に走る痛みに顔を歪めながら、何故こんなにボロボロになっているのかわからないという表情を浮かべているローグ。
「(憶えてねえのか? あの影……何だったんだ……)」
その様子を見て、ローグは先ほどの戦いを憶えていないと悟ったガジル。
戦いには勝ったものの……1つの大きな謎を残してガジルとローグの戦いは終結したのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「火竜の…翼撃!!!!」
「クロスファイアーフルバースト!!!!」
「
「ウェイブゲイザー!!!!」
「天竜の咆哮!!!!」
その頃…それぞれの魔法を駆使しながら王国兵を薙ぎ倒していくナツたち。しかし王国兵の数は一向に減る気配がない。
「倒しても倒してもキリがないわね!!」
「どんだけいるのよ!!」
「こんな道通るんじゃなかった」
休む事無く次々と襲い掛かってくる王国兵に対して毒づくティアナと2人のルーシィ。
すると……
「ネッパァ!!」
「!!」
突然リリーに向かって襲い掛かる酸の波。それを咄嗟に回避したリリーの前に現れたのは……
「パーン」
「またお前か!!!」
先ほどリリーが倒したハズの処刑人・ネッパーであった。だがそこに現れたのはネッパーだけではない。
「残念ですが、逃がしはしませんよ」
「1度処刑すると決めたからには、必ず処刑する」
「王国最強の処刑人をなめないでくれる?」
「ねーカミカ」
「タイターイ」
復活した餓狼騎士団のメンバーたちが、今度は王国兵と共にナツたちの前に立ち塞がったのであった。
「貴様等の理念はよくわかった。ここからは私の理念を通す。罪人を生かしたまま城外には出さない」
「しつけえなチクショウ」
思わぬ王国側の増援に、ナツは息を切らしながら毒づいたのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃……ナツたちと離れたアルカディオスは、白い鎧を身に着けた姿で城内を歩いていた。
「ア……アルカディオス……大佐!?」
「なぜ…ここに……」
「あなたには王国反逆罪の容疑が……」
そんなアルカディオスの姿を見て、戸惑う王国兵たち。するとアルカディオスは、近くにいた1人の兵にある事を尋ねる。
「姫はどこに?」
「あ……いや……」
アルカディオスの問いに対し言いよどむ兵士。
「どこにおられるのか」
「最上階に……」
しかしアルカディオスの射殺すかのような視線を受け、兵士はヒスイのいる場所を口にしたのであった。それを聞いて、静かにヒスイのもとへと歩き始めるアルカディオス。
「あれは……〝白き百合の鎧〟」
「戦用の甲冑だ」
そんな兵士たちの言葉を背を向けたまま聞きながら、白き百合の鎧を身に纏ったアルカディオスは静かに歩みを進める。
「(確かめなければならない事がある。あれはウソをついている者の涙ではない)」
アルカディオスの脳裏に浮かぶのは、涙を流す未来のルーシィの顔。最初こそアルカディオスは彼女の言葉をヒスイから聞いた話との矛盾からウソだと思っていた。しかし仲間の為に涙を流すルーシィを見て、彼女の言った事にウソ偽りはないと感じ取ったのである。
「(ウソをついているのは──姫の方だ)」
つづく
次回あたりからオリジナル色が強くなると思います。