卒論と並行して書いていたのですが、今回から少しオリジナルが入るので思いのほか手間取ってしまいました。
もしかしたら今回が今年最後の更新になるかもしれません。
感想お待ちしております。
クリスマス?
( ゚д゚ )クワッ!! <知るかっ!!
大魔闘演武最終日・最終戦……長きに渡って行われてきたこの大会も、いよいよ佳境に差し掛かっていた。
「くっ…ああああああ!!!」
「エルザ…」
「エル……ちゃん」
その一方で、右足を負傷して機動力を失ったエルザを、ミネルバの攻撃が容赦なく襲った。
「
第210話
『激雷』
その頃…クロッカスの街にある架け橋の上では、グレイ&ヴィヴィオとリオン&ギンガの戦いが繰り広げられていた。
「アイスメイク…
リオンは何羽もの大鷲の形をした氷をグレイへと放つが、グレイはそれをバック転で後方に下がりながら回避する。
「アイスメイク…
するとグレイはいくつもの氷の球体を造り出して、自身の周囲に浮かべる。
「ヴィヴィオ!!!」
「うん!! アイスシューター!!!!」
そしてその球体をヴィヴィオがパンチやキックなどで弾き飛ばし、まるで弾丸のようにリオンへと向かって飛んで行く。
「ブリッツスパイク!!!!」
しかしその攻撃は、ギンガのブリッツキャリバーを装着した両足の強烈な蹴りによって全て叩き落されてしまう。
「ナイス、ギンガ。しかし自分の氷のヴィヴィオに使わせて攻撃してくるとは……汚い奴め!!」
ギンガに賞賛の言葉を送りつつ、よくわからない怒りをグレイへと向けるリオン。
「
「うああああああ!!!」
「パパ!!!」
そしてリオンは巨大な蛇の形をした氷を造り出し、グレイを攻撃する。
「リオン君!! ちゃんとヴィヴィオちゃんにも攻撃して!!」
「それはお前に任せよう。だがジュビアの娘を傷つけたら許さん」
「無理よ!! そもそもヴィヴィオちゃんはジュビアの娘じゃないから!!」
リオンの言葉に反発してそう叫ぶギンガだが、その声はリオンの耳には届かなかった。
「さすがパパの兄弟子さんとナカジマ家の長女……すごく強いね」
「だがチームワークがなってねえ。つけいるスキはある」
◆◇◆◇◆◇◆◇
時を同じくして、チンクとシェリアの2人と交戦していたラクサス。だがそんな彼らの目の前に、
「(なんつー迫力だ)」
目の前でただ静かに佇んでいるだけのように見えるが、ゼストの体中からは言い知れぬ威圧感が放たれており、その気に当てられたラクサスやチンクたちは慄き、額から流れる冷や汗を止める事ができなかった。
「まさかここで、あなたのような魔導士が乱入してくるとは予想外だ」
すると、その感情をグッと堪えて、チンクがゼストに対して口を開く。
「だが、ここで早々に退場してもらおう!! シェリア!!!」
「うん!!」
チンクがそう言い放つと同時に、彼女の合図を受けたシェリアが腕に黒い風を纏って動き出す。
「天神の
「ム?」
そしてシェリアがゼストに向かって腕を振るった瞬間、黒い風による竜巻がゼストに向かって行く。しかしその竜巻は、ゼストを攻撃するものではなかった。
「風の中に閉じ込めた……?」
その光景を見ていたラクサス静かにそう呟く。ラクサスの言う通り、シェリアの放った黒い竜巻はゼストの体を包み込み、彼を風の中に閉じ込めてしまったのであった。
「天空の滅神魔法による竜巻の檻……そう簡単に抜け出せるものではない。さらにその竜巻の中にはすでに、私のスティンガーが仕込まれている」
「!」
よく見ると、黒い竜巻の中にはいつの間にか何十本ものスティンガーが風と共に渦の中を舞っており、銀色の輝きを放っていた。
「これで逃げ場はないっ!!!」
「これがアタシとチンクのとっておき!! 愛の連携攻撃!!!」
「「ストームデトネイター!!!!」」
そして次の瞬間……チンクの金属を爆破させる魔法〝ランブルデトネイター〟が発動し、竜巻の中に仕込まれていたスティンガーが凄まじい大爆発を起こし……その中心にいたゼストは爆炎に飲み込まれたのであった。
「なんつー威力だ……!!」
その衝撃はラクサスにまで及び……あまりにも凄まじい爆風と衝撃に目を開けていられず、両目を固く閉じながら爆風なから身を守るラクサス。
そして爆風が止んだのを見計らって、ラクサスは状況の確認しようとゆっくりと両目を開く。
「なっ──!!!?」
だが目を開いたラクサスの視界に飛び込んできたのは、信じられない光景であった。
何故なら──あれほど凄まじい大爆発にも関わらず、その中心にいたハズのゼストがまったくの無傷の姿で、槍を片手に佇んでおり……逆にチンクとシェリアの2人がボロボロの姿で彼の足元で倒れ伏していたのだから。
『な…何が……起こったのでしょう…? いつの間にか、チンクとシェリアがダウン!!!』
『状況から見るに、おそらくゼスト君がやったのだろうね』
『さすが歴戦の魔導士!! すごいカボ!!!』
その光景にラクサスだけでなく、実況席や観客席は愕然とし…さらには応援席のマカロフやメイビスまでもが絶句していた。
剣咬の虎:81P→83P
一気に2人を撃破した
「(コイツァもしかしたら……ジュラ以上にヤベェかもしれねーな)」
ほんの数秒目を閉じていた間にクロッカス全体を揺るがすほどの大爆発を無傷でやり過ごし、さらにチンクとシェリアの2人を撃破してしまったゼストに、ラクサスは今まで感じた事のない戦慄を覚えたのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
一方でフローリアン姉妹と交戦していたはやての前に現れた聖十の称号を持つ魔導士であるジュラ。
「(こうして対面してみると肌で感じるわ。この人は実力で言うたらたぶん、ギルダーツにも匹敵するやろな)」
ジュラから感じ取れる凄まじい迫力に息を呑みながらも、何とか冷静を保ちながらジュラを観察するはやて。
「ここでこんな怪物と遭遇するなんて予想外なんですケド……どうするお姉ちゃん? 一旦引いとく?」
「それも1つの手ですね……させてくれれば、ですけど」
「だよねー」
一旦この場を引いて対策を練るのも1つの手だと考えるアミタとキリエ。しかし目の前にいるジュラははやてと姉妹を含めた3人を鋭い眼光で静かに見据えている。もしこの場を退いて背を向けてその瞬間、即座に狩られるであろう事は想像するに難しくなかった。
「ともなれば手は1つ!!!」
「私とお姉ちゃんの最強の連携技で一気に叩く!!!」
「む」
そう言うと、アミタとキリエは同時に動き出して行動に移る。
「私とお姉ちゃんの姉妹だからこそできるコンビネーション!!!」
「受けてもらいますよ!!! ジュラさん!!!」
「フフ…よかろう。来いっ」
そんな姉妹に対し、どうやらジュラは受けて立つらしく、笑みを浮かべながらそう言い放つ。
「そんな余裕、すぐに崩してあげる!!!」
「行きますよ!!! 変幻自在の銃撃が連なる技!!!」
そう言いながら2人は色違いの武器であるヴァリアントザッパーの銃口をジュラへと向ける。そして……
「
2人のヴァリアントザッパーの銃口から放たれる激しい豪雨のように降り注ぐ魔法弾が、ジュラを襲ったのであった。
しかし……
「岩鉄壁」
次の瞬間……ジュラが地面から突出させた岩石の壁が、降り注ぐ魔法弾の雨を全て防いでしまった。
「よき技だ。だが──」
「「!!?」」
そして気がつくと、いつの間にかジュラはアミタとキリエの眼前に立っていた。
「ワシの岩鉄は破れんよ」
「うぐっ…!!!」
「あっ…!!!」
静かにそう言うと、ジュラは手刀でアミタとキリエの首筋に当身を叩き込んだ。それを喰らった2人は意識を手放し、その場に力なく倒れてしまった。
蛇姫の鱗:77P→79P
先ほどまで自分と互角の戦いを繰り広げていた姉妹が、最強の連携技もろともジュラに一蹴されるという光景に……はやてはただただ愕然とした表情を浮かべていたのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「バ…バケモノだーーーっ!!!」
「あのフローリアン姉妹をあっさり!!!」
「チンクとシェリアもだ!!!」
「ゼストもヤベェーー!!!」
ラミアの屈指の実力者であるチンクとシェリア……そしてマーメイドの中でもカグラに負けず劣らずの実力を持つアミタとキリエが、ゼストとジュラによってあっさりと敗北してしまったという事実が、会場全体を騒然とさせていた。
「こりゃ、無理じゃわい」
その光景に、さすがのマカロフでさえそう呟いた。
「何言ってんのよマスター!!」
「オレはラクサスを信じるぞ!!!」
「そうだよ!! ラクサスなら負けない!!!」
「ラクサスにかかりゃ、ゼストなんて目じゃねーぜ!!!」
「そりゃはやてだって同じだ!!!」
「主はやてなら、どんな相手であろうと負けはしない」
「はやてちゃんならきっと勝てるわ!!!」
「オレたちは主の勝利を信じる」
「我等が主ならば、聖十のジュラ殿だって超えられます」
そんなマカロフの呟きに対し……ラクサスを慕う雷神衆と、はやてを慕うヴォルケンリッターのメンバーたちが口々に、彼らの勝利を信じてそう言い放ったのであった。
「諦めるんだねマカロフ。アンタがいない7年の間に、ジュラは聖十大魔道の序列5位にまで上ってるんだ」
「その上の4人には、どうやっても追いつけそうにないけど」
「あいつらの話はお止め!!! くるくるするよ!!!」
「ひいっ!」
「イシュガルの四天王……あいつらは人間じゃないんだよ。つまりジュラは人類最強の魔導士って事さね」
ラミアの応援席では、マスターであるオババが得意気にそう言って、その隣で茶々を入れたシェリーを回してながら呟いていた。
そしてクロッカスの街にある巨大図書館では……
「記憶している……お嬢を
グレイに敗れたルーファスが、静かにそう呟いたのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ハヤテ・ヤガミ……先日の競技での一撃は見事であった。さすがは、かの伝説と謳われる魔導書〝夜天の書〟に選ばれた魔導士」
「あはは…聖十のジュラさんにそう言ってもらえて光栄やわぁ」
ジュラの褒めの言葉に対して素直に喜び、笑顔を浮かべるはやて。
「せやけど……魔導士の戦いにおいて肩書は不要や。こうやって戦いの場で向かいあったからには、私らは1人の魔導士」
そしてはやてはそう言い放ちながら、自身の杖であるシュベルトクロイツの切っ先をジュラへと向けながら高らかに宣言する。
「私は1人の魔導士としてアンタを倒すで──ジュラ・ネェキスさん」
「よい眼だ」
そんなはやての言葉と彼女の眼から強い意志と覚悟を感じ取ったジュラは、笑みを浮かべながら静かに彼女を睨んだのであった。
そしてしばらくの睨み合いのあと……最初に仕掛けたのははやての方であった。
「クラウ・ソラス!!!」
シュベルトクロイツを構え、白い魔力による強力な砲撃を放つはやて。
だが次の瞬間……はやては砲撃を回避したジュラの手によって地面に叩きつけられたのであった。
「か…はっ……!!!」
地面が砕けるほど勢いで体を思いっきり叩き伏せられたはやては、その衝撃に小さく呻き声を上げる。
「悪いが、相手が
「ケホッ…気にする事、あらへん……勝負なんやから当たり前や……」
ジュラの言葉に対してそう返しながら、はやては地面に倒れた状態で静かに目を伏せ──ニィっと口角を吊り上げて笑った。
「せやから勝負中の油断は──大敵やで」
「!!?──ぬぐぅ!!!」
はやてがそう言い放ったその瞬間……はやてはシュベルトクロイツの切っ先をジュラの腹部へと突き付け、同時に放った魔力の衝撃波によってジュラを後方へと吹き飛ばしたのであった。
「ゴメンな、やられたフリは得意やねん──タヌキなだけに♪」
そしてはやては起き上ると同時に、べっと小さく舌を出しながらイタズラっ子のような笑みを浮かべたのであった。
「(不意を突かれたとはいえ、ただの魔力の衝撃波でこの威力……やはりこの娘、魔力量ならワシをも凌駕する……か)」
一方でジュラは今しがた魔力の衝撃波を受けた腹部に手を当てながら、冷静にはやてを分析していた。そしてはやての持つ魔力量に内心で驚嘆しながらも、ジュラはニッと口角を吊り上げて笑い……ただ一言呟いた。
「──面白い」
◆◇◆◇◆◇◆◇
その一方で……ゼストと静かに対峙するラクサス。
「ラクサス・ドレアー。マスター・マカロフの孫にして、実力は
「オレもアンタの事はエルザから聞いた事があるぜ。〝鬼神〟の異名を持つ歴戦の魔導士にして、情に厚い男だってな。けどまぁ……今はんな事ァ関係ねえか。ここに立っているのは、厳つい異名を持ったオッサンでも、誰かの孫でもねえ」
そう言うと、ラクサスは肩に羽織っていた上着を脱ぎ捨て、鋭い眼光でゼストを睨む。
「ただの2匹の男だ」
「そうだな」
ラクサスの言葉にゼストも同意して小さく笑みを浮かべると、ラクサスは体に雷を迸らせ…ゼストは愛用の槍を構えて互いに睨みあう。
しばらく両者が睨み合いが続いていると……最初に動き出したのはラクサスであった。ラクサスは体に雷を纏った状態で、まさに電光石火のごときスピードでゼストへと殴り掛かった。
そしてラクサスの拳がゼストへと放たれた次の瞬間……ゼストの槍による一閃が──ラクサスを地面に叩き伏せたのであった。
『ま…またしても一瞬で……』
『こ…言葉も出ないねぇ…』
『すごいペポ』
『キャラ設定間違えてますよ』
またしても一瞬でラクサスを倒してしまったゼストに、会場全体が言葉もなく愕然としていた。
「中々の速さだったが…オレの槍はさらに
「それはよく知ってる」
「!」
ゼストの言葉に対してそう言い返しながら、ゆっくりと起き上るラクサス。
「だが、たまには下も見るもんだぜ」
そして……
「そいつはすぐ足元にいるかもしれねえ」
起き上りながら放たれたラクサスの拳が……ゼストの顎を打ち抜いたのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
さらにもう一方……クロッカスの街の一角では、金と黒……2つの雷光がバチバチと音を立ててぶつかり合っていた。
「思った通りアツイ奴だ」
「まさかこれで全力ですか? 全然物足りないんですけど」
その中心では……エリオとオルガ──雷の
「さぁて……どうかな?」
そう言うとオルガはエリオから離れて一旦距離を置くと、黒雷を帯電させた両手をエリオへと向ける。
「120mm黒雷砲!!!!」
そしてその両手から、120mmに圧縮した黒雷を大砲のように放ったのであった。
それに対してエリオは、避ける素振りすら見せずに、右手をコキリと鳴らすと……
「無駄ですよ」
「!!?」
「今の僕にとってこの程度の
そしてエリオはその右手を横薙ぎに振るい、なんとオルガの黒雷を難なく真横へと弾き飛ばしたのであった。その光景に、大きく目を見張るオルガ。
「どうしました?
「へっ…さすがはウチの双竜を倒したナツ・ドラグニルと引き分けた奴だ。確かにこの程度の黒雷じゃあ倒せそうにねぇ。だったら……」
「?」
そう言うとオルガは、再び黒雷を纏った両手をエリオへと向けて構える。
「こいつも受け止める自信はあるかい?」
しかしオルガの両手に帯電されていくその迸る黒雷は、先ほどよりも明らかに強大であった。
「どうだい
オルガの挑発とも取れるその言葉に、エリオは迷う事無く……
「いいですよ」
と言い放ち、受けて立ったのであった。その言葉を聞いた瞬間、オルガの口角が吊り上がった。
そう…オルガはあえてエリオを挑発し、自身の必殺の一撃を確実に決められる状況を作り出したのである。
「雷神の荷電粒子砲!!!!!」
そしてオルガの両手から強大な黒雷の塊が発射され……凄まじい黒い雷光が、エリオの体を包み込んだのであった。
「へへっ」
必殺の一撃が決まり、オルガは自身の勝利を確信して満足気に笑みを浮かべる。
だがその時……
「なるほど……これが神の
「!!?」
未だに迸っている黒い雷光の中からそんな声を聞き、オルガの顔から笑みが消える。さらにそんなオルガの目に映った光景に……今度は言葉を失った。
「悪くない味ですね」
「……………!!!」
なんと……オルガが放った黒雷の塊をエリオは雷を纏った右手で受け止め、さらにその黒雷をバリバリと咀嚼して口に含んでいたのであった。
「ぷはァ、ごちそう様です」
「オレの…黒雷を……!!!」
「ナツさんから聞いた
どうやらエリオは以前ナツから聞かされた
「さて……僕はあなたの攻撃を逃げずに受け止めたんですから、今度はあなたが僕の攻撃を逃げずに受け止めてくださいね?」
「は…?」
エリオがそう言い放った言葉に、オルガが呆然と言葉を漏らした瞬間……すでにエリオはオルガの懐に潜り込んでいた。
「は…速っ──!!?」
エリオの速さについて来れないオルガは、対処できずにその場で棒立ちとなってしまう。
「竜の
そして……
「竜神の
自身の雷とオルガから吸収した黒雷……2つの雷を纏った拳をオルガに叩き込んだのであった。
「ごあぁぁぁあああああああああ!!!!」
それを喰らったオルガは大きく吹き飛ばされ……そのまま民家をいくつも突き破ったのちに力なく倒れ、意識を手放したのであった。
『ダ…ダウーーーン!! オルガダウーン!!! 我々がジュラとゼストの戦いに気を取られている間に、エリオがオルガを撃破していたーー!!!』
『スかも、エリオ君はほぼ無傷で勝ったみたいだねぇ』
『最強のオルガ君がー!!』
妖精の尻尾:80P→81P
そして戦いが終わったエリオは、オルガが飛んで行った方向を見据えながら静かに口を開いた。
「すみませんが、僕にとってあなたは眼中にないんです」
そう言い残して……エリオはその場から歩き始め、クロッカスの街の中へと消えていったのであった。
つづく
エリオとオルガの戦いは、最後の技がやりたかっただけです。