LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

217 / 240
今回はちょっと所々が荒いかもしれませんが、どうかご容赦ください。

感想お待ちしております!!


妖精の炎・欲望の氷

 

 

 

 

 

 

「無駄な事を。人間はドラゴンには勝てない」

 

 

「みんなを守れるなら、人間じゃなくていい」

 

 

未来ローグが支配する9頭のドラゴンがクロッカスの街で暴れ回って、それに対抗してドラゴンと戦う魔導士ギルドたち。そしてこの事態を引き起こした張本人である未来ローグと戦うナツ。

 

 

「マザーグレア」

 

 

すると未来ローグはその背に乗っているドラゴン……マザーグレアに声をかけると、マザーグレアはその体から無数の卵のような物体を排出し、街へと投下した。

 

 

そしてその卵は街に落ちると、中からはなんと……小型のドラゴンのような生物が生まれたのであった。

 

 

「なにアレ!?」

 

 

「小型の…ドラゴンだと!!?」

 

 

それを見たスバルとノーヴェが驚嘆の声を上げる。

 

 

「ここにきて敵の増援かいな……」

 

 

「ドラゴン1頭でもキツイってのに……」

 

 

そう言って敵が増えてしまった事に毒づくはやてとカナ。

 

 

「どいてろ」

 

 

すると、ラクサスが全員の前にでると、強烈な雷の一撃をアトラスフレイムに叩き込んだ。

 

 

「ぐぬ!!」

 

 

「デカブツはオレがやる!! お前らは小型を何とかしろ!!」

 

 

「1人じゃ無理だ!!」

 

 

そう言って1人でアトラスフレイムに立ち向かおうとするラクサスに、ロメオが叫ぶ。

 

 

「1人じゃないわ!!」

 

 

「私たちが一緒に戦う!!」

 

 

「援護する、ラクサス」

 

 

「雷神衆に任せな!!」

 

 

そこへフリード、フェイト、ビックスロー、エバーグリーンの雷神衆4人がラクサスと共に並び立つ。

 

 

「ナツの声を聞きましたね、ドラゴンを倒せるのは滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だけです」

 

 

そう言ってメイビスが妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーたちに指示を出し始める。

 

 

「ここはラクサスと雷神衆に。ガジルとエリオは他のドラゴンを」

 

 

「おうよ!」

 

 

「了解です」

 

 

「他のメンバーは小型の撃破を」

 

 

「「「オオッ!!!」」」

 

 

そしてメイビスの指示のもと……妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーたちは滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を主軸にして、各々の敵と戦い始めたのであった。

 

 

「ローグ、他のドラゴンへまわれ! 滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)のいねえギルドを助けるんだ!! アインハルトはローグの援護を!!」

 

 

「ああ」

 

 

「わかりました」

 

 

剣咬の虎(セイバートゥース)の方でも、ナツの声を聞いて滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を主軸にして戦う戦法をとろうとしていた。

 

 

「ナツさんの声がオレに勇気をくれた」

 

 

そう言って両手から放たれる無数の白い閃光でドラゴンを攻撃するスティング。

 

 

 

「戦う勇気じゃない──仲間を守る勇気をだ」

 

 

 

力強くそう言い放つスティングの言葉に、他の剣咬の虎(セイバートゥース)のメンバーたちも同意するように笑みを浮かべた。

 

 

「もう…感情のない剣咬の虎(セイバートゥース)は終わったのです」

 

 

「オレたちは──前へ進む」

 

 

そしてローグとアインハルトもそう言って、他のドラゴンのもとへと向かって行った。

 

 

その時の剣咬の虎(セイバートゥース)の表情は、今まで以上に生き生きとしたものであった。

 

 

「ゴハハハハッ!! マザーグレアに乗っかってる奴が何か吠えているようだなァ!!」

 

 

一方で、青い天馬(ブルーペガサス)のメンバーたちは岩石のような体をしたドラゴンと対峙していた。

 

 

「僕たちのギルドには滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)がいないよ!!」

 

 

「まずいね」

 

 

「何でいねえんだよクソ!!」

 

 

滅神魔導士(ゴッドスレイヤー)ならいるんだが……」

 

 

「全然効いてないんですよね…」

 

 

「大ピンチっスーー!!!」

 

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)がいない青い天馬(ブルーペガサス)には、ドラゴンを打破する策がなかった。

 

 

「ならばここは私の……秘蔵の香り(パルファム)をくらうがいい!!」

 

 

そう言って一夜が何かの香りを放った瞬間……まるで鼻を刺すようなツーンとした異臭があたりに漂った。

 

 

「こ……これは!!?」

「鼻が……」

「もげ……」

「くさっ……」

 

 

「私のワキの香り(パルファム)

 

 

そのあまりの異臭に他の青い天馬(ブルーペガサス)のメンバーたちは表情を歪めるのだが、当の対象であるドラゴンにはまったく効いたようすがない。

 

 

「ドラゴンは皆……鼻がよい。だがワシには鼻がない」

 

 

「うそーーん!」

 

 

「何百年経とうが愚かな種族よ!! 人間というものは!!!」

 

 

そう言って目の前の人間たちの叩き潰そうと岩石の腕を振るおうとするドラゴン。

 

 

だがその時……

 

 

「ぬうっ!!」

 

 

激しい轟音と共に痛烈な一撃がドラゴンの頭上に落ちてきたのであった。

 

 

「聴こえる」

 

 

「「「!!?」」」

 

 

「聴こえるぞ…混乱と絶望の悲鳴が──いい音だ」

 

 

そう言ってドラゴンの頭上に降り立った1人の人物。

 

 

「どいてろ、色物」

 

 

六魔将軍(オラシオンセイス)のコブラ!!」

 

 

「毒の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)!!!?」

 

 

現れたのは毒を司る8人目の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)……コブラであった。

 

 

そしてその光景を遠くから見ているのは、コブラを連れてきた張本人たちであるラハール、ドランバルト、アルフの3人。

 

 

「オレたちがジェラールの頼みを聞くなんてな、クビで済めばいいが…」

 

 

「もしクビになったら、アタシは妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ろうかねぇ」

 

 

「先を心配するのは〝未来〟を作ってからだ。行こう、私たちも」

 

 

「「オオッ!!!」」

 

 

そう言って後ろに控えていた検束部隊を引き連れて、3人も戦場へと向かったのであった。

 

 

 

 

 

「みんな戦ってる──みんなが力を合わせればできない事なんてねえ」

 

 

「お前らはまだ、ドラゴンの力の恐ろしさを知らない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第217話

『妖精の炎・欲望の氷』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーっはっはっはっ!!!! さて、どいつから食ってやろうか」

 

 

その頃、メルクリアスの方では翡翠竜ジルコニスが誰から食うか品定めをしていた。

 

 

「ジルコニス……私たちと話したのは憶えてないの?」

 

 

「無駄よ、私たちが話したジルコニスは〝大昔に死んだジルコニス〟の亡霊」

 

 

「でも……」

 

 

「ナツの声聞いたでしょ! ドラゴンを倒せるのは滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だけ!!! 今この場にいる滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)はアンタだけなのよ!! しっかりしなさい!!」

 

 

シャルルにそう叱咤されるウェンディだが、面識のあるジルコニスと戦うのは抵抗があるのか、俯いてしまう。

 

 

「決ーめた、全員まとめて食ってやる──はァ!!!」

 

 

するとジルコニスは、口からブレスのようなものを放った。

 

 

「危ない!」

 

 

「きゃ!」

 

 

「ルーシィ!! ユキノ!! 伏せて!!」

 

 

「くっ!」

 

 

「うっ!」

 

 

そのブレスをウェンディやユーノたち魔導士は間一髪で回避する。

 

 

「うあー!!」

「ぎゃー!!」

「ひえー!!」

「ああー!!」

 

 

しかし、王国兵の大半は回避ができずにそのブレスに飲み込まれてしまう。

 

 

「王国兵たちが!!」

 

 

「ヒドイ」

 

 

「言ってる事とやってる事が違うではないか!!」

 

 

その光景を見てハッピーとリリーとリニスはそう言葉を口にする。

 

 

そしてブレスがやむと、そこに立っていたのは……

 

 

「「「あああああああああああ!!!!」」」

 

 

鎧や衣服のみを消され、素っ裸にされた王国兵の姿があった。その光景に思わず顔を赤らめて目を丸くする女性陣たち。

 

 

「人間は美味いが、服はマズイのだ。だから消してやったぞ」

 

 

どうやら先ほどのブレスは衣服のみを消失されるものだったらしい。

 

 

「……醜い光景だな」

 

 

「えぇ、あんなヒドイ光景初めて見たわ…ってゆーか見たくなかった」

 

 

男共が裸姿で狼狽えるというあまりにも酷い光景に、敵であるロストでさえもそう呟き、ティアナも思わず同意した。

 

 

「た…退却だーー!!」

「裸じゃ戦えねー!!」

「つーか恥ずかしーーっ!!」

 

 

そのまま裸にされた王国兵たちは一目散に撤退して行った。

 

 

「うーーん、よく考えたら男はマズイんだよな。女だ、我は女を食おう」

 

 

「今の…魔法ですか?」

 

 

「そうだ。ドラゴンは皆、魔法が使える」

 

 

ジルコニスはウェンディの問いにそう答えると、今度はルーシィに向かってフッと息を吹きかける。

 

 

「いやあああああっ!!!!」

 

 

「ルーシィ!!?」

 

 

「ユーノは見ちゃダメ!!!」

 

 

その瞬間、先ほどの王国兵のようにルーシィの服が消滅し、素っ裸にされてしまった。

 

 

「人間の尊厳を奪う(たぐい)のな」

 

 

そう言ってニタァっと笑うジルコニスに対して、ウェンディはキッと表情を引き締め……

 

 

「私の使う魔法は──あなたを倒す魔法です」

 

 

強い覚悟を秘めた言葉で、そう言い放ったのであった。

 

 

「我を倒す魔法だと?」

 

 

その言葉に眉をひそめるジルコニス。

 

 

「それより服ーー!!! ちょっと服ーーー!!!」

 

 

「ルーシィ、とりあえずこれを……」

 

 

服を消されたルーシィに、ユーノが身に着けていたマントを渡そうとすると……

 

 

「きゃあああ!!!」

 

 

「ルーシィ!!!」

 

 

「ルーシィ様!!!」

 

 

それよりも早く、ジルコニスの手がルーシィを鷲掴みにして捕えてしまった。

 

 

「我がこの娘を喰うよりも先に、我を倒せるか?」

 

 

ジルコニスはそう言って捕えたルーシィをこれ見よがしに見せつける。

 

 

攻撃力強化(アームズ)速度上昇(バーニア)付加(エンチャント)

 

 

するとウェンディは、強化魔法で自身やミラジェーンたちの能力を強化する。

 

 

「倒します」

 

 

そして覚悟を決めた表情で力強くそう言い放った。

 

 

「小賢しいわっ!!!!」

 

 

だがその言葉にジルコニスが怒号を上げると、それによって凄まじい衝撃波が巻き起こり、ウェンディやユーノたちを吹き飛ばした。

 

 

「あっはっはっはっ!! 空も飛べぬ人間がここまで来れるかな?」

 

 

ジルコニスは翼を広げて空高く飛翔しながらそう高笑いを上げると、手に持ったルーシィを喰おうと大口を開ける。

 

 

「はああああああっ!!!!」

 

 

その瞬間、ミラジェーン・シュトリとなった彼女が足に悪魔の炎を灯して高く飛び上がり、ジルコニスの顎に打撃を叩き込んだ。

 

 

「効かんなぁ」

 

 

だがその攻撃を喰らってもケロリとして笑うジルコニス。

 

 

「ウェンディ、今よ!!」

 

 

「!!」

 

 

「天竜の咆哮!!!!」

 

 

すると、シャルルに抱えられたウェンディがジルコニスの背後をとると、強烈なブレスを放ったのであった。

 

 

「ぐおおお!!!」

 

 

「効いてるわ!!」

 

 

その攻撃は先ほどのミラジェーンの攻撃とは違い、僅かだが確実にダメージを与えていた。

 

 

「おのれぇっ!!!」

 

 

「ひぃぃっ!!!」

 

 

その攻撃によって激昂したジルコニスは、何と手に持っていたルーシィは放り投げて捨ててしまった。

 

 

「ルーシィ様!!」

 

 

「ハッピー!!」

 

 

「あいさー!!」

 

 

「ルーシィは僕とハッピーに任せて!!!」

 

 

そのまま空の彼方へと飛んで行ってしまったルーシィを、ユーノとハッピーが空を飛んで追いかけていった。

 

 

「やれやれ、ここもずいぶんと騒がしくなった。少し場所を変えるとしよう」

 

 

「あっ、待ちなさい!!!」

 

 

すると、ティアナと戦っていたロストがそう言ってメルクリアスの方へ向かって走って行ってしまった。

 

 

「ウェンディ!! 私はあの仮面の奴を追いかけるわ!!! こっちは任せたわよ!!!」

 

 

「ティアナ、気を付けてね!!」

 

 

「ミラさんも、気を付けて!!」

 

 

そしてティアナもウェンディとミラジェーンにそう言い残して、ロストのあとを追って行った。

 

 

「お願いします!!! 私たちはジルコニスを」

 

 

「そうね」

 

 

残されたウェンディとミラジェーンは、ジルコニスと対峙したのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方その頃……マザーグレアの背の上で未来ローグと戦っているナツ。

 

 

「何度向かって来ようと変わらん。7年の差は埋まらない」

 

 

「くっ!!」

 

 

「オレは大魔闘演武の時より強くなった」

 

 

果敢に攻めていくナツだが、未来ローグとの力の差は歴然であり、一方的な苦戦を強いられていた。

 

 

すると……

 

 

「ナ~~~ツ~~~ッ!!」

 

 

「!」

 

 

「助けてーーーっ!!!」

 

 

何故かそこへ、裸のルーシィが飛んできたのであった。

 

 

「んがっ!!」

 

 

「きゃう!!」

 

 

そのまま2人はぶつかり、マザーグレアの背中から落ちていってしまった。

 

 

「…………」

 

 

そのあまりにも予想外すぎる光景に、未来ローグも言葉を失っていた。

 

 

「「ああああああああ!!!」」

 

 

そして街の方へと落ちていった2人は、そのままその先にあった鐘の中へと突っ込んだ。

 

 

「何で素っ裸なんだお前!!」

 

 

「いやぁぁあ!!」

 

 

「バカ!! 暴れるな!!」

 

 

「だって…」

 

 

「うお!!」

 

 

「あ」

 

 

すると、2人の入った鐘がゴロリと転がり出した。

 

 

「目がぁぁああああ!!!」

 

 

「きゃああああああ!!!」

 

 

そのままゴロゴロと鐘と共に街中を転がっていく2人。

 

 

そしてやがて橋の下の廃材置き場で廃材に衝突し、止まったのであった。その後目を回しながらも何とか鐘の中から這い出る2人。

 

 

「裸で空を飛ぶ奴があるか」

 

 

「いやああ、見ないでぇ」

 

 

「しょうがねえな」

 

 

そう言うとナツは、何故か自分の手でルーシィの胸を鷲掴みにして隠した。

 

 

「もがっ!!!!」

 

 

「普通は自分の目を隠すものじゃないかなぁ? ナツ~?」

 

 

その瞬間…ハッピーと一緒に飛んできたユーノが額に怒りマークを浮かべながらナツの後頭部を思いっきり踏みつけて地面に叩きつけたのであった。

 

 

「ティアナもいたら確実に殺されてたね」

 

 

「ルーシィが変態になっちまった!!」

 

 

「なってない!! ドラゴンにやられたの!!! ドラゴンに!!!」

 

 

「まずルーシィはこれを羽織って。あと鍵もね」

 

 

とりあえずユーノは自身のマントでルーシィの裸体を隠し、ついでに彼女が落とした鍵も渡した。

 

 

「あのローグにナツでも敵わないの?」

 

 

「そんな事ねぇさ、あんな奴………」

 

 

ハッピーの問いに「たいした事ない」と答えようとしたナツだが、実際に未来ローグの強さを目の当たりにして口を噤む。

 

 

「正直、強ェなあいつ……それに乗ってるドラゴンがかなり厄介だ」

 

 

「ナツ……」

 

 

「ナツがそこまで言うなんて……」

 

 

滅多に弱音など吐かないナツがそこまで言うという事は、それほどまでに未来ローグは強いのだとユーノとハッピーは察した。

 

 

「ドラゴンってみんなあんなに凶暴なの? 火の奴とか岩の奴とか、ジルコニスまでいる……あたし……もうちょっとで食べられちゃうトコだった……」

 

 

そしてルーシィがそう言うと、ナツは何故かそんなルーシィの顔をジッと見つめ始めた。

 

 

「?」

 

 

「それだ!!」

 

 

「え?」

 

 

「いー事思いついた!!!!」

 

 

すると何か閃いたのかナツは突然そう言って勢いよく立ち上がる。

 

 

「ナツ、何か策でもあるのかい?」

 

 

「ああっ!! 見つけた!!!! あいつに勝つ方法!!!!」

 

 

そう言って自信満々の笑みを浮かべ、勝てると豪語するナツ。

 

 

だがその時……

 

 

 

「見つけたぞ人間ども!!!」

 

 

 

「「「!!?」」」

 

 

突然空からズシィィィンっと轟音を立ててナツたちの目の前に降り立ったのは……まるで骸骨のような見た目をしたドラゴンであった。

 

 

「骨ーーーっ!!!!」

 

 

「骸骨のドラゴン!!?」

 

 

「いや違う……筋肉が極端に薄くなって、骨格が強調されているだけだよ」

 

 

「くそっ!! こんな時に……!!」

 

 

現れた骸骨のようなドラゴンにルーシィとハッピーは驚愕し、ユーノは冷静に分析し、ナツは舌打ち混じりに毒づく。

 

 

「我が名は骸竜(むくろりゅう)ギルクゥザ。貴様等もローグが王となる為の礎となるがよい!!!」

 

 

そう言って口を大きく開けて凄まじい勢いで突進してくるギルクゥザ。

 

 

「うお!!」

「きゃあ!!」

「くっ!!」

「うわー!!」

 

 

それを何とか間一髪で回避するナツたちだが、その後ろにあった廃材や架け橋はギルクゥザが突っ込んだ事により粉々に崩壊してしまった。

 

 

「痛っ」

 

 

すると……そんな廃材の中から飛んできたある物が、ユーノの頭の上に落ちてきた。

 

 

「これは……メモ帳?」

 

 

ユーノはソレを手に取ってみると、それは一冊のメモ帳であった。

 

 

「このメモ帳は確か……」

 

 

「おいユーノ!!! ボサッとすんな!!!」

 

 

「また来てるよ!!!」

 

 

「!!」

 

 

ユーノがそのメモ帳に見覚えがあるのかジッと眺めていると、ナツとハッピーの声が響いてくる。その声に反応すると、ギルクゥザが再び突進してくる姿が目に入った。

 

 

「うわっ!!」

 

 

それを見たユーノはメモ帳を握ったまま慌てて回避する。

 

 

「ルーシィたちは逃げろ!!! こいつはオレとハッピーで何とかする!!!」

 

 

「ちょっとナツ!!」

 

 

「無茶だ!! 君はローグとも戦うつもりなんだろ!!? それにコイツに勝てる保証だって……」

 

 

「オレは滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だ!!! こんな奴すぐにぶっ倒してやる!!!」

 

 

そう言って1人ギルクゥザに立ち向かおうとするナツ。

 

 

「我を倒すだと? ほざくな人間がっ!!!」

 

 

その言葉に激昂したギルクゥザがナツを踏み潰さんと言わんばかりの凄まじい猛スピードで突進してくる。

 

 

「「ナツ!!」」

 

 

「ナツーーー!!!」

 

 

「うおぉぉぉぉおおおおおおっ!!!!」

 

 

そんなギルクゥザに対して炎を纏った拳を構え、1人で立ち向かっていくナツ。

 

 

だがその時……

 

 

 

 

 

「氷竜の咆哮ッ!!!!!」

 

 

 

 

 

「ぬぐぅぅっ!!?」

 

 

「「「!!?」」」

 

 

突然空から落ちてきた吹き荒ぶ吹雪のような一撃が、ギルクゥザの頭部に直撃して、ギルクゥザを地面に叩きつけたのであった。その光景にナツたちが目を見開いて驚愕していると……

 

 

「重圧の歌」

 

 

「フレイムメイク…〝(チェーン)〟!!!!」

 

 

魔物の魂(モンスターソウル)包帯男(マミー)!!!!」

 

 

「ぬう!!?」

 

 

そこへ現れた3人の少年少女が、それぞれ体中に圧し掛かる重い重圧と、炎で造られた鎖…そして蛇のように伸びたいくつもの包帯でギルクゥザの体を縛り付けてその動きを封じたのだった。

 

 

「こいつらは……」

 

 

「一体……?」

 

 

あまりに突然の出来事にナツたちが呆然としていると……

 

 

「何をこんな所で油を売っている?」

 

 

1人の少年が彼らに声をかけた。だがその少年の顔を見て、ナツたちは再び驚愕する事になる。

 

 

「オレ!!?」

 

 

「ナツと同じ顔!!?」

 

 

ナツと同じ顔をした少年が現れた事に驚愕しているナツたちに対して少年……インヴェルノが口を開く。

 

 

「こうして会うのは初めてだな──兄さん」

 

 

「兄さん!!?」

 

 

「ナツの弟!!?」

 

 

「オレは知らねーぞ!!!」

 

 

ナツを兄と呼ぶインヴェルノの言葉に騒ぐルーシィとハッピー。そしていきなり兄さんと呼ばれて困惑するナツ。そんな中、1人冷静なユーノが静かに口を開く。

 

 

「君は……前にエリオが天狼島で戦ったっていうナツのクローンだね」

 

 

「その通りだ」

 

 

そう言ってユーノの言葉を肯定するようにコクリと頷くインヴェルノ。

 

 

「オレの名はインヴェルノ。ナツ・ドラグニルの遺伝子を基にマスタージェイルによって生み出された無限の欲望(アンリミテッドデザイア)の魔導士にして戦闘機人だ」

 

 

「オレの…クローン」

 

 

「そう、アンタとオレは同じ遺伝子を持った兄弟みたいなものさ……ナツ兄さん」

 

 

そう言って困惑の表情を浮かべているナツに対して淡々と無表情でそう言い放つインヴェルノ。

 

 

「おいインヴェルノ!!! 無駄話してねえでさっさとこっち手伝え!!! この拘束ももう持たねえぞ!!!!」

 

 

「オォォォオオッ!!!!」

 

 

するとそこへ、グレイによく似た赤髪の少年…エスターテがインヴェルノに対して怒声を上げる。見るとそこには、咆哮を上げながら彼らの拘束を振りほどこうとしているギルクゥザの姿があった。

 

 

それを見たインヴェルノは、ナツたちの前に出て、彼らに背を向けながら言い放つ。

 

 

「このドラゴンはオレたちに任せて、兄さんたちはさっさと行け」

 

 

「何?」

 

 

「どういう事? 無限の欲望(アンリミテッドデザイア)って、前にヴィヴィオをさらって、天狼島にも攻めてきたバラム同盟の闇ギルドでしょ?」

 

 

「何でオイラたちの味方を?」

 

 

過去に2度も敵対して戦ってきたハズの闇ギルドが自分たちの味方をするという状況が飲み込めず、戸惑いながらそう問い掛けるルーシィとハッピー。

 

 

「簡単な事だ……オレたちはウルティア・ミルコビッチからの要請によりここに来た」

 

 

「ウルティアから!?」

 

 

「そうだ。滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)であるオレの力を持って、クロッカスを襲うドラゴンを退けろ……とな」

 

 

「そうか…ウルティアは元悪魔の心臓(グリモアハート)……」

 

 

「そう言う事だ。昔に縁のあった闇ギルドに助けを求めるとは……よほどなりふり構っていられないらしい。まぁオレたちのマスターも生きたドラゴンの戦闘データを得られる事に喜んで承諾したがな」

 

 

そう言った理由でどうやら今この時だけは、無限の欲望(アンリミテッドデザイア)である彼らも味方であるらしい。

 

 

「早く行け。兄さんには倒すべき相手がいるんだろう?」

 

 

「……………」

 

 

そう言い放つインヴェルノの顔を、無言のままジッと見据えるナツ。

 

 

「……礼は言わねーからな」

 

 

「必要ない。恩を売ったとも思っていないさ。だが……これだけは覚えておけ」

 

 

ナツの言葉に対してそう返しながら、インヴェルノはさらに続けて口を開く。

 

 

「オレと兄さんはいずれ、互いの存在を賭けて戦う事になる。これは決して避ける事のできない宿命だ……オレがクローンで、兄さんがオリジナルである限り」

 

 

「…………」

 

 

「だから──それまでに誰かに負ける事は許さない」

 

 

「!!?」

 

 

「オレはいずれオリジナルを超える存在だ。そのオリジナルが弱くては話にならないからな」

 

 

そんなインヴェルノなりの激励の言葉を受けたナツは一瞬目を見開くが、すぐにその言葉を受け取ってニッと口元に笑みを浮かべる。

 

 

「上等だ。んじゃあオマエもそれまでに負けんじゃねえぞ──オレの弟だってんなら、そんくれぇ余裕だよな?」

 

 

「当然だ」

 

 

ナツのその言葉に、インヴェルノは特に表情を変える事無く淡々とそう答える。

 

 

「おしっ!! 行くぞハッピー!!!」

 

 

「あいさー!!!」

 

 

「僕らも行こう、ルーシィ!!」

 

 

「ちょっ…その前に着替えーーー!!!」

 

 

そしてナツたちはギルクゥザの相手をインヴェルノたちに任せ、走ってこの場を後にして行った。

 

 

その様子を静かに見送ったインヴェルノは、去っていくナツの背中を見て一瞬だけ微笑を浮かべると、すぐに表情を引き締めて、目の前のギルクゥザへと向き直った。

 

 

「おのれ人間ごときが!! このギルクゥザに敵うと思っているのか!!!?」

 

 

その瞬間、とうとうギルクゥザを抑えていた拘束が破られてギルクゥザが解放されてしまう。だがインヴェルノはそれでも特に慌てた様子も見せずに、その氷のような瞳で相手を見据えていた。

 

 

「エスターテ」

 

 

「おう!!」

 

 

「プリマヴェラ」

 

 

「うん!!」

 

 

「アウトゥンノ」

 

 

「おうよ!!」

 

 

そして淡々と3人の名前を呼ぶと、呼ばれた3人はそれぞれインヴェルノの横に並び立つ。

 

 

「チーム・シーズン……これより特務を開始する。目標は目の前のドラゴンの討伐、または鎮圧…加えてドラゴンの戦闘データの収集だ。敵は未知の力を持った怪物だ、心してかかれ。損傷レベルがCまで達した場合、速やかに戦線を離脱しろ…いいな?」

 

 

淡々とした口調でそう言いながら3人に指示を出すインヴェルノ。それをエスターテ、プリマヴェラ、アウトゥンノの3人は黙って聞いてコクリと頷く。

 

 

そして……

 

 

「──行くぞ」

 

 

「「「オオッ!!!」」」

 

 

その歌声で全てを魅了する歌姫……

〝春季のプリマヴェラ〟

 

 

灼熱の炎を自在に操る造形魔導士……

〝夏季のエスターテ〟

 

 

様々な魔物の魂をその身に宿す……

〝秋季のアウトゥンノ〟

 

 

そして氷を司る9人目の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)……

〝冬季のインヴェルノ〟

 

 

無限の欲望(アンリミテッドデザイア)が誇る4人の戦闘機人による精鋭部隊……チーム・シーズンが動き出したのであった。

 

 

 

 

 

つづく




今回登場した〝骸竜ギルクゥザ〟は、真島先生の作品『モンスターハンター・オラージュ』に登場したモンスターです。突進の描写はティガレックスをイメージしていただければわかりやすいかと。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。