LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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ジュピター

 

 

 

 

 

「ヴォルケンリッターが帰ってきたぞーー!!」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強のチームだーー!!」

 

 

帰ってきた妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強チーム…ヴォルケンリッターの帰還にギルド内のメンバーは歓喜の声を上げる。

 

 

「はやてちゃん!! おかえりなの!!」

 

 

「なのはちゃん! ただいま! 久しぶりやなぁ!!」

 

 

ヴォルケンリッターの隊長である八神はやてになのはが嬉しそうに駆け寄る。

 

 

「随分いいタイミングで帰ってきたじゃねえか」

 

 

「丁度近くまで帰って来とった時にミラちゃんから通信用の魔水晶(ラクリマ)で連絡を貰ってな、大急ぎで帰って来たんや。せやから大体の事情は把握しとる」

 

 

はやてはグレイの問い掛けに淡々と答えると、ルーシィに歩み寄る。

 

 

「初めまして。チーム・ヴォルケンリッターの隊長で、八神はやて言います」

 

 

「あ…はい……よろしくお願いします」

 

 

自己紹介しながら手を差し出すはやてにルーシィは戸惑いながらもその手を握って握手を交わした。

 

 

「で、後ろのみんなが私のチームや。みんな、自己紹介しいや」

 

 

はやてにそう言われ、他のヴォルケンリッターのメンバーも自己紹介を始める。

 

 

「シグナムだ。よろしくな」

 

 

「シャマルです。よろしくね、ルーシィちゃん」

 

 

ポニーテールの女性と金髪の女性ははやてと同じくルーシィと握手を交わしながら自己紹介をする。

 

 

「ヴィータだ」

 

 

「ザフィーラ」

 

 

赤髪の少女と犬耳の男性は短く済ませる。

 

 

「私の名はリィンフォース。主共々、よろしく頼む」

 

 

最後に銀髪の女性が小さく会釈をして自己紹介を済ませる。

 

 

「主?」

 

 

リィンフォースの言った『主』と言う言葉に首を傾げる。その疑問にハッピーが答える。

 

 

「はやてとヴォルケンリッターのみんなは主従関係にあるんだよ」

 

 

「主従関係って……えぇ!!?」

 

 

まさかただのチームではなく、主従の関係にまであるとは思わなかったルーシィは驚愕する。

 

 

「おい…今はその話は置いとこうぜ」

 

 

そう言ってその話題を無理矢理終わらせるグレイ。

 

 

「それよりさ、じいちゃんがやられたって聞いたけど…容態はどうなんだ?」

 

 

ヴィータが心配そうな顔付きで尋ねると、ユーノが表情を険しくしながら答える。

 

 

「重症だよ。あの症状はおそらく〝風〟の系譜の魔法……枯渇(ドレイン)だね」

 

 

枯渇(ドレイン)?」

 

 

ユーノの説明になのはが首を傾げる。

 

 

「対象者の魔力を流出させる恐ろしい魔法さ。流出した魔力は空中を漂い、やがて消える。流出した魔力を集められたら回復も早いんだけど…もう時間が経ち過ぎている……今は東の森のポーリュシカさんの家で療養しているけど、マスターの復帰は絶望的だね」

 

 

「そんな……」

 

 

その言葉になのはだけではなく、その場に居た全員が表情を暗くする。

 

 

「さて…ヴォルケンリッターのみんなが帰ってきたとしても、状況的にはちょっとマズいね」

 

 

そのままユーノは現在ギルドが置かれている状況を整理し始める。

 

 

「ルーシィが目的だとすると、ファントムはまた攻めてくる。S級魔導士であるラクサスは非協力的…ミストガンは行方不明…クロノは仕事先から帰ってくるまで最低でも一週間は掛かるから参戦は望めない…なのは、フェイトとの連絡はついた?」

 

 

「それが…フェイトちゃん小型の通信用魔水晶(ラクリマ)を忘れちゃったみたいで、連絡が取れないの……」

 

 

「フェイトちゃん…肝心な所で抜けとるな……」

 

 

「つまり、フェイトの参戦も望めねーってことか」

 

 

なのはの言葉を聞いたはやてとヴィータが溜め息混じりにそう言う。

 

 

「そう言えば、スカーレットはどうしたんだ?」

 

 

「今はシャワーを浴びてます」

 

 

シグナムの問い掛けにティアナが答える。するとその時……

 

 

ズゥゥン!

 

 

『!!!』

 

 

ズゥゥン!!

 

 

「な、何だ!!?」

 

 

突然地鳴りが響き、ギルドが騒然とする。

 

 

ズゥゥン!!

 

 

「外だーー!!!」

 

 

慌ててやって来たアルザックの言葉に、全員が急いでギルドの外へと飛び出して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二十二話

『ジュピター』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大急ぎでギルドを飛び出した一同はそこで見た光景に目を疑った。

 

 

「な…何だあれは……」

 

 

「ギルドが歩いて……」

 

 

「ファントム……か!?」

 

 

何と、先ほどまでナツやユーノたちが居た幽鬼の支配者(ファントムロード)の本部が六足の機械の足で迫って来ていたのであった。

 

 

「想定外だ……」

 

 

「こんな方法で攻めてくるなんて……!」

 

 

「ど…どないする?」

 

 

その光景に流石のエルザ、なのは、はやても戸惑った様子を見せる。すると、ファントムのギルドから一つの砲台が出現し、エネルギーを収束し始める。

 

 

「砲撃!!?」

 

 

「あれは! 魔導集束砲〝ジュピター〟!!?」

 

 

「ギルドごと私たちを吹き飛ばすつもり!!?」

 

 

スバル、ユーノ、ティアナが驚愕している間にジュピターに段々とエネルギーが溜まっていく。

 

 

「っ……!!」

 

 

すると、突然なのはがファントムに向かって駆け出した。

 

 

「なのは!! どうする気だよ!!?」

 

 

ヴィータが問い掛けると、なのははレイジングハートを構える。

 

 

「同じ集束砲をぶつけて相殺する!!」

 

 

その言葉に全員が驚愕する。

 

 

「バカ言え!! 同じ集束砲でも、お前のはあくまでも対人用!! 威力は全然違うだろうが!!!」

 

 

「それでも!! やるしかないのっ!!!」

 

 

グレイの静止を振り切り、レイジングハートに魔力を集束し始めるなのは。

 

 

「全力全開!!!」

 

 

魔力の収束が終わり、レイジングハートを構えなおす。

 

そして…ほぼ同時にジュピターが発射される。

 

 

 

「スターライトォォオ……ブレイカーーーーー!!!!!」

 

 

 

なのはの砲撃も発射され、激突する二つの巨大な砲撃。

 

 

「もう…何もキズつけさせないっ!!!!」

 

 

必死の声でそう叫び、さらに魔力を込めるなのは。

 

 

 

 

 

しかし……そんななのはの思いを打ち砕くように、桃色の閃光がジュピターに飲み込まれた。

 

 

 

 

 

「そんな……スターライトブレイカーが……!」

 

 

自分の最大の砲撃が呆気なく打ち砕かれたのを目の当たりにして、呆然とするなのは。

 

 

「「「なのは!!!」」」

 

 

「「なのはさん!!!」」

 

 

ナツとグレイとヴィータ、そしてティアナとスバルの悲痛な声が響く。

 

 

「下がれなのは!!」

 

 

「エルザさん!?」

 

 

すると、エルザが鎧を換装しながらなのはの前に飛び出す。

 

 

「ギルドと仲間はやらせん!!!」

 

 

そう叫びながらエルザは重厚な鎧を身に纏う。

 

 

「金剛の鎧!!」

 

 

「スカーレット! あれを受け止めるつもりか!!?」

 

 

「いくら超防御力をその鎧でも無茶よ!!」

 

 

そのエルザの姿にヴィータ、シグナム、シャマルが驚愕する。

 

 

「ふせろぉお!!!」

 

 

「エルザ!!!」

 

 

「ナツ!! 今はエルザさんを信じるしかないわ!!!」

 

 

エルザに駆け寄ろうとしたナツをティアナが止める。

 

 

 

そしてついに、エルザにジュピターが直撃する。

 

 

 

「ぐああああっ!!!」

 

 

「きゃあああっ!!!」

 

 

スターライトブレイカーとの衝突で多少威力が落ちているとは言え、破壊力はハンパではない。エルザだけではなく後ろに居たなのはにも衝撃が及ぶ。

 

 

「エルザ!!!」

 

 

「なのはさん!!!」

 

 

ナツとティアナの叫びが響く。

 

そして何とかジュピターを止める事は成功したものの、エルザとなのはは吹き飛ばされ、ボロボロの状態で倒れてしまう。

 

 

「エルザーーー!!」

 

 

「なのはさん!!」

 

 

「なのは!!」

 

 

「スカーレット!!」

 

 

「二人ともしっかりしろ!!!」

 

 

そんな二人にナツ達が急いで駆け寄る。

 

 

「シャマル!!」

 

 

「任せて!!」

 

 

はやての指示を聞いて、シャマルはすぐさま手に嵌めた指輪…〝クラールヴィント〟を構える。

 

 

「静かなる風よ…癒しの恵を運んで……」

 

 

すると、エルザとなのはの体を緑色の淡い光が包み込み、キズを治し始める。しかし……

 

 

「……ダメ! ダメージが大きすぎる!! クラールヴィントの魔法でも、応急処置が精一杯……」

 

 

「くっ……!!」

 

 

それでも二人のキズを完全に治すことには至らず、はやては悔しそうに顔を歪める。

 

 

『マカロフ…そしてエルザとなのはも戦闘不能』

 

 

すると、ファントムのギルドからジョゼの声が聞こえた。どうやら拡声器を使って話しているようだ。

 

 

「もう貴様等に凱歌は上がらねえ。ルーシィ・ハートフィリアを渡せ。今すぐだ」

 

 

その言葉に、ギルドメンバーが憤慨する。

 

 

「ふざけんな!!」

 

「仲間を敵に差し出すギルドがどこにある!!」

 

「ルーシィは仲間なんだ!!」

 

「そーだそーだ!!」

 

「ルーシィは渡さねえ!!」

 

 

ギルドメンバーたちのその声を聞いて、ルーシィは頭を抱える。

 

 

「あたし……」

 

 

そしてこの事態を引き起こした罪悪感から、自ら敵に下ろうかと考えたその時……

 

 

 

「仲間を売るくらいなら死んだほうがマシだっ!!!」

 

 

「仲間を売って拾った命なんて…私はいらない!!!」

 

 

「ルーシィは大事な仲間なんだ!!! ファントムなんかに渡さない!!!」

 

 

「どうしても欲しかったら、私らを倒してからにするんやな!!!」

 

 

「オレたちの答えは何があっても変わらねえっ!!! お前等をぶっ潰してやる!!!」

 

 

 

上からエルザ、なのは、ユーノ、はやて、ナツが声を張り上げ、それに呼応するかのようにギルドメンバーが雄叫びを上げる。

 

 

『ほう…ならばさらに特大のジュピターを喰らわせてやる!!装填までの15分、恐怖の中であがけ!!!』

 

 

その言葉に逆上したジョゼはそう宣言した。その言葉にギルドメンバーは騒然とする。

 

 

「くっ……」

 

 

「うぅ……」

 

 

「エルザ!! なのは!!」

 

 

それと同時にエルザとなのはの二人がガクッと倒れる。どうやら気絶したようだ。

 

 

すると、ファントムのギルドからゾロゾロと大量の黒い兵隊が出てきた。

 

 

「な……!! 兵が出やがった!!」

 

 

「バカな!! ジュピターを撃つんじゃねえのかよ!?」

 

 

「容赦ねえ……」

 

 

それを見て驚愕するギルドメンバーたち。そして再びジョゼの声が響く。

 

 

『地獄を見ろ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)。貴様等に残された選択肢は二つだけだ。我が兵に殺されるか、ジュピターで死ぬかだ』

 

 

「なっ!? 仲間ごとジュピターで吹き飛ばす気か!!?」

 

 

「ハッタリや!! 出来るわけあらへん!!」

 

 

ジョゼの言葉にシグナムは驚愕し、はやてはハッタリだと主張する。しかしそれを彼女の隣に居たリィンフォースが否定する。

 

 

「いいえ主……敵は本気です。あれは〝幽兵(シェイド)〟……マスター・ジョゼが魔法で作りだした幽鬼の兵士です」

 

 

「つまり奴等は命無き兵士……失っても困らんということか……」

 

 

「ジュピターをなんとかしないとね……」

 

 

リィンフォースの説明に納得し、ザフィーラとカナがそう言うと、ナツが口を開く。

 

 

「オレがぶっ壊してくる。15分だろ? やってやる」

 

 

ナツが自分の手のひらに拳をぶつけながらそう言うと、それを承諾したようにカナは頷く。

 

 

「ハッピー!!!」

 

 

「あいさー!!!」

 

 

「エルフマン!! オレたちも乗り込むぞ!!!」

 

 

「おっしゃーーーっ!!!」

 

 

「スバル!! 私たちも!!」

 

 

「オッケー!!」

 

 

ナツがハッピーに抱えられ飛んで行き、それに続くようにグレイとエルフマン、ティアナとスバルもファントムのギルドへと乗り込んでいった。

 

 

それを見送ったはやては溜め息混じりに口を開く。

 

 

「……しゃあない、おいしいトコはナツ君たちにあげよ。その代わり……」

 

 

そう呟きながらはやては抱えていた一冊の本をゆっくりと開く。するとその本から一本の杖が飛び出し、はやてはそれを掴んで迫り来るシェイドたちに向ける。

 

 

「〝夜天の主〟の名に懸けて……家族(ギルド)を守ってみせる!! 行くでみんな!!」

 

 

「「「「「はい(おう)!!!」」」」」

 

 

はやての言葉に呼応し、ヴォルケンリッターの面々もそれぞれ戦闘態勢に入る。

 

 

「ロキ!! 私たちも守りを固めるよ!!」

 

 

「ああ」

 

 

それに並び立つようにカナとロキも戦闘態勢を取る。

 

 

「……………」

 

 

一方、その様子を不安そうな表情で見ているルーシィ。そんなルーシィの腕をミラが引っ張り、ユーノと共に何処かへ連れて行こうとする。

 

 

「ルーシィ!!! こっちに来て!! 隠れ家があるの!!」

 

 

「君は戦いが終わるまでそこにいるんだ!!!」

 

 

「でも…あたしもみんなと戦わなきゃ!!! あたしのせいでこんなことになってるんだ!!!」

 

 

しかしルーシィはそれを振りほどき、自分も戦うという意思表示を見せる。

 

 

「違うわよルーシィ。誰もそんなこと思ってないの」

 

 

「そうだよ……やられた仲間の為、ギルドの為、そして君を守る為……みんなこの戦いに誇りを持ってるんだ」

 

 

ミラとユーノの言葉にルーシィは思案顔になる。

 

 

「だから言う事を聞いてね」

 

 

ポワッ

 

 

「わっ……あ……」

 

 

するとミラはルーシィに眠りの魔法をかけ、それを受けたルーシィはすぐに眠ってしまった。

 

 

「リーダス!! ルーシィを〝隠れ家〟へ!!」

 

 

「ウイ!!」

 

 

リーダスはすぐさま自分のお腹に馬車の絵を描き、それを魔法で実体化させる。

 

 

「頼んだよ、リーダス」

 

 

「ウイ!!」

 

 

ユーノの言葉に頷いたリーダスは、ルーシィを馬車に乗せて隠れ家へと向かって行った。

 

 

「ミラも一緒に隠れ家に行けばよかったのに」

 

 

「うん……でも私なりにルーシィを守る為に戦いたいの」

 

 

「……そう。じゃあ僕はもう何も言わないよ」

 

 

「ありがとう…ユーノ」

 

 

そう言って二人は頷き合うと、ユーノはシェイドと戦う為に、ミラは変身魔法でルーシィに変身し、囮役となったのだった。

 

 

 

 

 

 

ジュピター発射まであと14分。

 

 

 

 

 

 

つづく

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