LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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うーむ…やはりオリジナルで書くとバトルシーンがしょぼい上に短くなりますね。そこら辺はご容赦して頂けたらありがたいです。

感想お待ちしております。


仮面の奥に潜む闇

 

 

 

 

 

 

「世界から魔法を……消す?」

 

 

「そうだ。それがオレの思い描く世界の在り方だ」

 

 

ロストから語られる彼自身の目的……それを聞いたティアナは怪訝な表情でロストを睨む。

 

 

「いつの時代も〝魔法〟は人々に絶望を与えてきた。そしてこれからもそれは変わらない……魔法がある限り、この世界は絶望へと行き着くのだ」

 

 

両手を左右に大きく広げながらそう語るロストを、赤い月の光がスポットライトのように彼を照らす。

 

 

「だからオレはこの世界を変える……いや──創り変えると言った方が正しいか」

 

 

「創り変える?」

 

 

「そう……魔法が蔓延るこの世界はもはや修正不可能。ならば1度壊してから創り直した方が早い」

 

 

「この世界を…壊すですって!!? そんな事出来る訳が……!!!」

 

 

「出来るんだよ。その為の条件はすでに整っている」

 

 

ティアナの問い掛けに対して、静かな口調で淡々とそう答えていくロスト。

 

 

「だが……あと1つ、どうしても必要な力がある。それをある奴から奪う為にこの時代へ足を運んだのだからな」

 

 

「……誰よ? その力を持ったある奴って」

 

 

ティアナがもう1度そう問うと、ロストは「ククク…」と不気味に笑う。

 

 

「貴様は知っているハズだ……創造を司ると謳われる伝説の血筋……その血を受け継ぐ者の事を」

 

 

「!!? まさか……!!!」

 

 

「そう……」

 

 

そう言うとロストは愕然と目を見開いているティアナを、初めて露になったグローブをはめた手の指でゆっくりと指差し、強く言い放った。

 

 

 

 

 

「貴様だティアナ・ランスター!!! 貴様の中に眠る〝星の創造主(スタークリエイター)〟の力を手に入れた時──オレの計画は果たされるのだ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第220話

『仮面の奥に潜む闇』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星の創造主(スタークリエイター)──星の輝きを持ってこの世界を創り上げたと言われる伝説の一族……その末裔がランスターの一族……貴様の中に眠る力だ。オレはそれを取り戻す為にこの時代へとやって来た」

 

 

「なるほど……私はまんまと誘導されたって訳ね」

 

 

「その通りだ。オレがナツ・ドラグニルを始末したと言い張れば、貴様は必ずオレを追って来ると踏んでいたからな」

 

 

「……別にナツがやられたからアンタを追って来たって訳じゃないんだけど」

 

 

「フッ……ならばそう言う事にしておいてやろう。貴様がオレに誘き出されたのは事実なのだしな」

 

 

「言ってくれるじゃない」

 

 

そう言ってクロスミラージュを構えながらロストを睨むティアナ。

 

 

「けど…私の中に眠ってるっていう力を、どうやって手に入れるつもり?」

 

 

「安心しろ、殺しはしない。ただ……五体満足でいられるかは期待するな」

 

 

「あっそう!!」

 

 

ロストがそう言うと同時に、ティアナは引き金を引いてクロスミラージュから数発の魔法弾を発射する。それに対してロストは空高く跳躍してそれを回避し、ティアナの魔法弾は岩を砕く結果に終わる。

 

 

そして空高く跳躍したロストは両腕の袖から黒い魔力刃を出し、勢いよく降下しながらティアナへと斬りかかる。

 

 

「くっ…!!」

 

 

それを見たティアナは咄嗟に後ろに下がって、ロストの振り下ろした魔力刃を避ける。

 

 

「逃がさん」

 

 

しかしロストはそのまま立て続けに二刀の魔力刃を振るい、ティアナに斬りかかる。ティアナはそれを横や後ろに跳んだり、体をそらしたりなどして回避し続ける。

 

 

「この……!!」

 

 

やがて煩わしく思ったのか、ティアナはクロスミラージュの銃身でロストの魔力刃を受け止めると、もう片方のクロスミラージュに魔力刃を纏わせてダガーモードにし、逆に斬りかかる。

 

 

だがその攻撃もロストは再び空高く跳躍して回避し、空中でクルリとバック宙返りをすると、魔力刃を消した両腕の袖をティアナへと向け……そのまま袖の中から大量の魔法弾を機関銃のように放っていく。

 

 

それに対しティアナは横に全力疾走で走り抜けながら魔法弾を回避していくが……

 

 

「うあっ!!」

 

 

躱し切れずに2、3発ほど肩や腕に被弾してしまい、そのまま転ぶように地面に倒れ込んでしまう。

 

 

「無駄な抵抗はやめておけ。貴様はオレには勝てん」

 

 

「うるさい!!」

 

 

そう言いながら地面に着地して、ゆっくりと歩み寄ろうとするロストに対して再び魔法弾を放って反撃するティアナ。

 

 

「やれやれ」

 

 

すると……突然ロストの体が景色と同化するようにして消えていき、目標を見失ったティアナの魔法弾がそのまま外れてしまう。

 

 

「消えた!!?」

 

 

突然姿を消したロストを探して、キョロキョロと周囲を見回しながら警戒するティアナ。

 

 

「……………」

 

 

「どこを見ている?」

 

 

「!! きゃあっ!!!!」

 

 

背後から聞こえた声にティアナが振り返ると同時に、いつの間にか背後に現れたロストの裏拳がティアナを殴り飛ばす。

 

 

「くぅ……!!」

 

 

殴り飛ばされたティアナは顔をしかめながらも何とか体制を立て直すと、もう1度クロスミラージュを構えて魔法弾を連射する。

 

 

「闇雲に撃ってもオレには当たらんぞ」

 

 

だがロストはその攻撃も軽々と避けてしまい、外れた魔法弾は岩場や地面に着弾する。

 

 

「だったらこれならどう!!!」

 

 

すると今度は、ティアナの周囲にいくつもの魔法弾を生成される。

 

 

「クロスファイアーシューット!!!!」

 

 

そしてそれらの魔法弾を一斉にロストへと放つが……

 

 

「無駄だと言っているだろう」

 

 

それに対しロストは再び両腕の袖から出した黒い魔力刃で、瞬く間にティアナの放った魔法弾を全て切り裂き……そのまま一気にティアナに接近し、彼女に向かって刃を振り下ろした。

 

 

「ッ……!!!」

 

 

ティアナは咄嗟にダガーモードにしたクロスミラージュを頭上で交差させるように構えてロストの刃を受け止める。

 

 

「もう1度言う…無駄な抵抗はやめろ。オレと貴様では年季が違う」

 

 

「うるさいって言ってるでしょ!! 未来を守る為にも…アンタの思い通りにはさせないわ!!!」

 

 

ギリギリと魔力刃同士で鍔迫り合いをしながら、お互いにそう言い放つティアナとロスト。

 

 

「こんな世界の未来に守る価値などない。魔法がこの世界に蔓延る限り、この世界の行き着く先には絶望しか待っていないのだからな!!!」

 

 

「うあっ!!」

 

 

そのまま押し返され、腕ごとクロスミラージュを弾かれるティアナ。

 

 

「それでも貴様はこの世界の未来を守ると言うのか!!!!」

 

 

「きゃああああ!!!」

 

 

さらにがら空きになった胸元や腹部を、ロストの二刀の魔力刃で切り裂かれるティアナ。だが…己の鮮血が舞う中でも、負けじとクロスミラージュの銃口をロストへと向ける。

 

 

「それでも…私たちはこの世界で魔法と共に生きていくのよ!!! たとえその果てに絶望が待っていたとしても、仲間と一緒なら乗り越えられると信じて!!!!」

 

 

そう言い放ちながら魔法弾を連射するティアナ。だがロストはそれを最小限の動きで回避し、標的を外した魔法弾はその後ろの岩に当たる。

 

 

「仲間と一緒なら……か。ならばなおさら、貴様はこの先に待っている絶望には耐えられん」

 

 

「……どういう意味?」

 

 

「貴様は必ず、オレと同じ運命を辿ると言う意味だ」

 

 

ティアナの疑問に対してただそれだけ答えると、ロストはティアナに接近しようとその場から駆け出し、魔力刃をティアナへと振るう。ティアナはそれを回避しながら、再びロストに疑問をぶつける。

 

 

「アンタと同じ運命? 一体アンタに何があったっていうのよ!!!」

 

 

「言ったハズだ!!! オレの名はロスト──全てを捨て、全てを失った者だと!!!」

 

 

「意味がわからないわ…よっ!!!」

 

 

そう言うとティアナはクロスミラージュの銃口を地面に向け、そのまま魔力を放出するように放つと、その衝撃で大きく後ろへと後退してロストから距離を取る。

 

 

「アンタの言ってる事だってそう!!! 魔法を消す為に世界を壊して創り直すなんて……仮にそれが世界の為だったとしても、暴論もいいトコだわ!!!」

 

 

「黙れ!! 今の貴様は本当の絶望を知らぬからそう言えるのだ!!!!」

 

 

ティアナの言葉に対して強く反発して、初めて声を荒げながらそう言い放つロスト。

 

 

「思い出してみろ!!! 鉄の森(アイゼンヴァルト)呪歌(ララバイ)の一件や、楽園の塔での生死を賭けた戦い…六魔将軍(オラシオンセイス)によるニルヴァーナ事件…そして今この街で起こっているドラゴンの襲撃も全て!!! 魔法によって引き起こされているという事を!!!」

 

 

「アンタ……!!」

 

 

「それだけではない!!! 魔法が存在しなければ、黒魔導士ゼレフも…ゼレフ書の悪魔も…アクノロギアも存在する事はなかった!!!! ナツ・ドラグニルは親を失う事もなかっただろう…グレイ・フルバスターの故郷が壊滅する事もなかっただろう…エルザ・スカーレットが奴隷になる事はなかっただろう…スバル・ナカジマの母親が殺される事もなかっただろう…そしてティアナ・ランスター!!! 貴様も兄を失う事もなかっただろう!!!」

 

 

「!!!?」

 

 

ロストのその言葉に大きく目を見開くティアナ。そんな彼女を見据えながら、ロストはさらに言葉を続ける。

 

 

 

「魔法があるから人は皆不幸になる!!!! 魔法こそがこの世界に厄災をバラ蒔く絶望の種だ!!!! だからオレはこの世界を創り変える!!! 全ての元凶たる魔法を完全に排除し、新たな未来をこの手で掴む為に!!!!」

 

 

 

仮面の奥に隠されていた闇の狂気……それを露にしながら声高らかに堂々とそう宣言するロスト。

 

 

「その為にも……貴様の創造主の力を寄越せ!!! ティアナ・ランスター!!!!」

 

 

そう言い放ちながら両腕の袖から出したのは魔力で構成された尖端に刃物がついた鎖。それを鞭のように振るってティアナへと襲い掛かる。

 

 

「………………」

 

 

それに対して、顔を俯かせて何の抵抗も見せずにその場に立ち尽くすティアナ。

 

 

そしてロストがティアナに向かって振るった魔力の鎖が直撃するかと思われたその時……

 

 

 

「ふ・ざ・け・ん・なァーーーーーッ!!!!」

 

 

 

「!!?」

 

 

そんな怒号と共にクロスミラージュの魔力刃を力強く振るい、ロストの魔力の鎖を弾き返したのであった。

 

 

「何でもかんでも…魔法のせいにしてんじゃないわよ!!! この被害妄想野郎!!!!」

 

 

「貴様…!!」

 

 

そう言って声を荒げながらロストへと接近し、立て続けに魔力刃を振るうティアナ。

 

 

「確かにこれまで魔法関連の色々な事件に巻き込まれてきた!!! 私が兄さんを失ったように、大切な人を失った人もいる!!!! けど…だからって全部魔法のせいにするのは絶対に間違ってる!!!!」

 

 

「間違ってなどいない!!! 魔法が存在しなければ、未来が絶望に支配される事もなかった!!!!」

 

 

「たとえそうだとしても……私たちの未来の行き先は私たちが決める!!!! 選択した未来が気に入らないから世界を壊すなんて、アンタの子供じみたワガママに付き合うつもりはないわ!!!!」

 

 

「っ…チィッ!!!」

 

 

強くそう言い放ちながらティアナが振るった魔力刃がロストの体を僅かに掠めると、ロストは舌打ち混じりに後退する。

 

 

「どんな行き先になろうとも、未来には必ず絶望が待っている!!! なぜそれを理解しようとしない!!!」

 

 

そう言うとロストは、またもや景色と同化するように姿を消してしまった。

 

 

「理解したくなんてないわよ!!! どんな絶望の中にも必ず希望はある!!! そしてその希望を作り出すのは──魔法だって信じてるから!!!!」

 

 

それに対してティアナは、先ほどよりも多くの魔法弾を自身の周囲に生成する。そして……

 

 

「クロスファイアー……フルバーストッ!!!!」

 

 

そのままその大量の魔法弾を、全方位へと無差別に放ったのであった。

 

 

「ぬぐっ……!!!」

 

 

放たれた魔法弾が雨のように岩場に着弾する中……ティアナの耳にそんなくぐもったような声が聞こえた。

 

 

「魔法は絶望の種なんかじゃない」

 

 

そしてそれを聞いた瞬間……ティアナは脇目も振らず、その声がした方角へと駆け出した。

 

 

「くっ……」

 

 

するとその先には、魔法弾が直撃して姿をあぶり出されたロストの姿があった。

 

 

「魔法があったから魔導士ギルドが生まれた。魔導士ギルドが生まれたから妖精の尻尾(フェアリーテイル)が出来た。妖精の尻尾(フェアリーテイル)が出来たから仲間と出会えた」

 

 

ティアナがロストに近づくにつれ、彼女の周囲に魔力で構成されたいくつもの刃が出現する。

 

 

 

「私にとって魔法は──仲間との絆の象徴なのよっ!!!!」

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「ファントム・スライサー!!!!!」

 

 

 

 

 

「ぐおぉぉぉぉぉおおお!!!!」

 

 

ティアナがクロスミラージュでロストに一太刀を浴びせた直後、それに続くように彼女の周囲に浮遊していた無数の魔力刃が一斉にロストに襲い掛かり……彼の体を切り刻んだのであった。

 

 

「おのれ……!!!」

 

 

だがそれでもロストは倒れず、忌々し気に毒づきながらティアナから距離を取ろうとする。

 

 

しかし……

 

 

「!!? こ…これは……!!」

 

 

そんなロストの体を、周囲の岩場や地面から出現したいくつもの魔力の鎖が拘束したのだった。

 

 

「(チェイン・ショットだと……!!? こんなものいつの間に……!!)」

 

 

拘束されて驚愕するロストの脳裏に浮かんだのは……ティアナが連射した魔法弾を自身が避けた事で、それらが岩場や地面に着弾した場面。

 

 

「(そうか……あの時闇雲に撃っていたあの弾は全部、この為の布石だったという訳か……!!!)」

 

 

そう考えた直後……ロストの眼前に、ティアナのクロスミラージュの銃口が突き付けられる。

 

 

「(しまった──!!!)」

 

 

ロストがそう思った時にはすでに遅く……

 

 

 

「正体を──見せなさいっ!!!!」

 

 

 

ティアナが引き金を引くと同時に……ロストの顔を覆い隠していた仮面が、粉々に砕け散ったのであった。

 

 

 

 

 

つづく

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