やっぱり本編と番外編の両立は難しいですね(-_-;)
大魔闘演武編とは違って、太陽の村編はほぼ原作通りになるかもです。ですがその分、次の冥府編ではオリ展開を色々と盛るつもりですので、どうぞご容赦ください。
感想お待ちしております。
「着いたのか」
「あっという間だったな」
「すごい魔法ですね」
「おかげでだいぶ楽ができたわね」
「それに楽しかったしね♪」
「うぷ」
「酔ったの!?」
聖十大魔道序列4位ウォーロッド・シーケンからの依頼を引き受けたナツたちは、ウォーロッドの魔法で仕事先である『太陽の村』の近くまで運んでもらった。
「見て、岩肌が凍りついてる」
「村はこの先のようね」
ハッピーとシャルルが、凍りついた岩肌を指差しながらそう言うと、一行は太陽の村へと向かって歩き始めたのであった。
第231話
『トレジャーハンター』
それからしばらく歩いて、ようやく目的地である太陽の村へとやって来たナツたち。だがその村はウォーロッドが話していた通り、木も建物も何もかもが氷に覆われていた。
「本当に建物も何もかも凍りついてる」
「まさに氷の世界……信じられない光景ね」
「何があったんでしょう」
「ウォーロッド様の話では人も……という事だったが……見当たらないな」
聞いた話では村人も凍りついているとの事らしいが、村を見渡す限り村人らしきものの姿はない。
「ね…ねぇみんな……アレって……!!」
「「「?」」」
すると、突然足を止めたスバルが震える声でそう言いながら、あるモノを指差す。そして全員が疑問符を浮かべながらスバルが指差した方へと視線を向けると……
「「「!!!!!」」」」
何とそこには……ナツたちの何十倍もの巨体を持った人間──巨人が凍りついている姿があった。
「でかーーーーっ!!!! でかっ!!!! でかっ!!!! でかっ!!!! でかっ!!!! 小っさ。でかーーーーーっ!!!!」
凍りついた巨人たち(あと何故かルーシィとスバルとウェンディ)を見て、堪らず大声でそう叫ぶナツ。
「ここは巨人の村なのか!!!?」
そう……太陽の村とは、巨人たちが住まう村だったのである。
「あの……今…私の方を見て何か言いましたか?」
因みにその傍らでウェンディがナツにそう問い掛けたが、普通に無視された。
「聞いてないよ~」
「たぶんウォーロッドさんも今頃……」
『そういえば大事な事を伝えるのを忘れてたような、冗談だけど』
「とか思ってるんでしょうね」
容易にその光景が目に浮かび、ティアナは小さく溜息をついたのであった。
「………………!!!」
ふとルーシィがグレイの方を見てみると、彼は何やら険しい表情で凍った巨人を見上げていた。
「どうしたの?」
「いや……氷漬けのデケーのを見るとついな……」
「デリオラ……そっか」
今のグレイの脳裏には、過去にグレイの故郷を滅ぼした厄災の悪魔デリオラ……それを命懸けで氷の中に封印した師匠ウル……その娘であるウルティアの姿が浮かび上がっていた。
「驚いたな、こんなに大きい人間がいるとは」
「とにかく早いトコ助けてやらねーとな。オレの炎で溶かしてやるァ!!!!」
「ナツー! がんばれー!」
そう言うと、さっそくナツは己の炎で凍った巨人を溶かそうとする。
「ふぬぬぬぬぬぬぬぬっ!!!!」
「行けーー!!! やっちゃえーーっ!!!」
全力で炎を噴き出すナツと、その傍らで応援するハッピー。だが巨人を覆うその氷が溶ける事はなかった。
「どうなってんだこりゃ……」
「あい」
「ナツの炎で溶けるどころか、雫一滴こぼれないなんて」
ぐったりとするナツとハッピーの隣で、凍った巨人を見上げながらそう呟くティアナ。
「木のじーさんが普通の氷じゃねえ……って言ってたけど、何だ……この氷の感覚は。今までに感じた事のない魔力……」
巨人を覆う氷に触れ、そこから伝わる言葉では言い表せない奇妙な感覚に僅かに表情を歪めるグレイ。
「お前の魔法でも溶かせないのか」
「…………」
「やっぱりそう簡単にはいかないかぁ」
どうやら氷を操るグレイの魔法でもその氷はどうにもならないらしく、スバルが落胆の声を上げる。
「けど…誰かの魔力に似てんだよな……」
疑問符を浮かべながらそう呟くグレイ。すると……
「おや? 先客か?」
「「「!!」」」
突然聞こえてきた声に全員がその声がした方向へと視線を向けるとそこには……
「これはまいったね」
「超女子供ばかりだと?」
「ドゥーンドゥーン」
凍った建物の上に立つ3人組の男の姿があった。
「何者だ」
「トレジャーハンターギルド」
「
「ドゥーン」
「「「…………」」」
「トレジャーハンターギルド」
「
「ドゥーン」
「いや……わかった」
1回目の名乗りで反応がなかったので、もう1度名乗り直す3人をエルザが止めた。
「トレジャーハンターギルドって……」
「文字通り、トレジャーハンターで構成された宝探しが専門のギルドね」
トレジャーハンターギルドと聞いて首を傾げるウェンディに、ティアナが簡単に説明する。
「悪ィがここに眠る宝はウチらのモンだ。邪魔は勘弁な」
「宝?」
「私たち別に宝探しに来た訳じゃないしね」
「んなモン興味ねえよ」
3人組の中のバンダナをした男にそう言われて、ナツとスバルとグレイは興味なさそうに言い返す。
「永遠の炎狙いじゃねーのかよ!」
「じゃあ魔導士がどうしてこんなトコに超いるんだ!?」
「ここの氷を溶かして住人を助けに来たんだ」
「「「……………」」」
ツンツンに尖ったような髪型が特徴の男の問いに対しハッピーがそう答えると、3人組は顔を見合わせ……
「「それを邪魔って言うんじゃねーか!!!!」」
「ドゥーン」
「「「!!」」」
そう叫んだ3人組の言葉に反応するナツたち。
「永遠の炎は何百年も燃え続ける幻の炎よ」
「オレたちトレジャーハンターの間じゃ、超S指定されてる超お宝だ。けど…村を守る巨人たちのせいでお宝には近づけなかった」
「それがどういう訳か、巨人たちがドゥーンって凍っちまっただろ?」
「今が永遠の炎を手に入れるチャンスって訳」
「でも…その炎はこの村の守り神で、とても大切なものだと聞きました」
「勝手に取っちゃうなんてドロボーじゃない」
トレジャーハンター3人の話を聞いたウェンディとルーシィがそう抗議の言葉を口にするが……
「トレジャーハンターに宝を取るなと言うのかよ!!!!」
「そんなモン取られた方が超悪ィに決まってんだろーーーっ!!!!」
「ドゥーンドゥーン!」
3人組には通じず、そう怒鳴り返されてしまった。
「こうしちゃいられねえ! 魔導士どもに邪魔される前にお宝頂いちまおうぜ!!」
「おしっ!! 行くぞ!!!」
「いただく……って、残念だがその炎も凍ってるって話なんだけどな」
永遠の炎を探して意気揚々とその場から駆け出した3人組に対してグレイがそう言うと、トレジャーハンターは何故か得意気な顔で振り返った。
「トレジャーハンターの超お宝力ナメんなョ。この超秘宝『
そう言ってツンツン頭の男が取り出したのは、少量の液体が入った小瓶。
「「「なーーーーっ!!?」」」
その液体が
「
「ガルナ島でリオンとギンガたちがやっていた魔法」
「液体にできたのか」
そう…
「てか……あれがあれば村を元に戻せんじゃねーか!!!!」
「「「あーーっ!!!!」」」
ナツが叫んだその一言で、
「追え!!!! トレジャーハンターを捕まえるんだ!!!」
「おおーーっ!!」
「奪えーーっ!!!」
「取っちまえばこっちのモンだ!!!」
「魔導士なんかに捕まるかよ!」
「アイツらさっきまでの超キレイ事どこいったんだ」
「ドゥーン」
そして、
◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃……太陽の村・上空。
「ギイイイイイ」
そこには空を舞う一つ目の奇妙な怪鳥と、その背に乗る2人の男女の姿があり、上空からナツたちの様子を伺っていた。
「トレジャーハンターに魔導士か…めんどくせえが始末しなきゃな、仕事だし」
「盗人などどうでもよい。問題なのは魔導士の方」
「そりゃそうだわな」
「
「お? 知ってるギルドか?」
「そなたこそこの世界にいて、
「表の事はさっぱりでね」
「まあよい。こんなに早く復讐の機会が来るとはな、裏も悪くない」
「どーでもいいが仕事だ。行くぞ新入り」
「新入り?」
そう言って動き出す覆面で口元を覆った大柄な男。そして……
「妾の事は御嬢と呼ぶがいい」
大魔闘演武以降、
闇に堕ちた虎が……妖精に牙を剥こうとしていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「待てぇーーーーっ!!!!」
「大人しく『
「その雫があれば巨人を助けられるんだ!!!」
「冗談じゃねえ!! この『
「超悪魔ばっかりの島に行って超必死に探したんだ!!!」
「つーか巨人が蘇ったらドゥーンて怖ェだろーが!!!」
「待てドロボー!!!」
「ドロボーじゃねえよ!!」
「トレジャーハンターだ!!」
「ドゥーン!」
トレジャーハンターたちが持つ
「あれ? そういえばエルザとティアナは?」
「何か他の手がかりを探すって村に残ってます」
どうやらエルザとティアナの2人は別行動で村に残ったようである。
「エルザ、巨人を壊しちゃったりしないよね」
「ティアナが一緒だから大丈夫って信じたいわ」
エルザなら凍っている巨人に対して『なぜ凍っておるかー!』と怒鳴りながら剣を振り回し、巨人を破壊してしまうのではないかという不安に駆られるハッピーとシャルルであった。
「めんどくせえな、やっちまおうぜ!」
「超やっちまうか!」
「ドゥーンてやっちまおうぜ!」
「ドレイク、位置につけ!!!」
「おう!」
すると、このまま逃げてもラチがあかないと判断したのか、ツンツン頭の男と二頭身のリーゼント男はナツたちに向き直り、バンダナの男はどこかに走り去っていく。
「魔導士ごときにナメられちゃ超オワリなんだョ!!」
「邪魔な奴等は排除する! トレジャーハンターは危険な仕事だぜ!! ドゥーン」
そう言って背に持っていた武器をそれぞれ手に取る2人。
「仕事が危険なのは魔導士も同じだよ!!」
「やるなら話は早ェ!! ぶっ潰す!!」
「燃えてきたァ!!!」
それに対してナツたちもトレジャーハンターたちを迎え撃とうとする。
「ドゥーン!!」
「うおっ!!」
すると、二頭身の男が拳の形をしたハンマーをナツに向かって振り下ろし、ギリギリでそれを回避するナツ。
「手の形の武器!?」
「
そう言ってストロンガーを振り回す
「火竜の鉄拳!!!!」
負けじと炎の拳をララに叩き込もうとするナツだが、グーからパーの形に開いたストロンガーに受け止められ、更にはそのままストロンガーの手に捕まれてしまう。
「!?」
「ドゥーン!」
「うあああああっ!!!」
「ナツ!!」
「ナツさん!!」
そのまま放り投げられ、岩に叩き付けられるナツ。
「アイスメイク…
すると、グレイが氷で造り出した無数の槍をトレジャーハンター目掛けて放つ。
「超斬る!!!!」
それに対して
「!!」
「我が
そう言ってヒロシがチェインブレイドに備え付けられたレバーをガコンっと引くと…何と剣が変形して、刀身がまるで槍のように伸び……
「超突きィ!!!!」
そのままグレイに向かって鋭い突きを放つ。グレイは間一髪でそれを回避するが、その威力は突きで起きた衝撃波で、その後ろにあった木を粉々に粉砕するほどであった。
「ルーシィ!! ウェンディ!! 危ない!!!」
「わ!」
「きゃっ!」
すると、突然スバルがルーシィとウェンディを庇うように地面に押し倒す。その瞬間、2人が立っていた場所にどこからか放たれた1発の銃弾が減り込んだ。
「銃!?」
「どこから!?」
「狙撃手!!?」
「ほう、よくかわしたな。だが次は頭をぶち抜くぜ」
「声が拡散してて位置がわからない!」
「オレの
そう言って身を隠しながらナナヨンと呼ばれるライフルを構えている
「火薬の匂い……ルーシィさん、スバルさん、あそこです!!」
「いたっ!!」
「任せて!! 開け!! 人馬宮の扉!!! サジタリウス!!!!」
「狙撃ならお任せあれ、であるからしてもしもし」
ウェンディの嗅覚によってドレイクの居場所を特定し、すぐさまルーシィは星霊魔法で弓の名手であるサジタリウスを召喚する。そして召喚されたサジタリウスはドレイク目掛けて矢を放つが……
「へ」
対するドレイクは何と、向かって来る矢を撃ち落としてしまった。
「相殺された!?」
「そんな…」
「矢を撃ったの!?」
「こやつは……」
「天才スナイパー、ナメんなョ」
向かって来る矢を撃ち落とすという普通なら難しい事を簡単にやってのけたドレイクのスナイピングテクに、驚嘆するスバルとウェンディとルーシィ。
「こいつら──意外とやるぞ」
そして起き上ったナツはトレジャーハンターたちの意外な実力に舌を巻きながら、そう言葉を口にしたのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「「……………」」
一方その頃…村に残ったティアナとエルザの2人は、そろって顎に手を当てながら凍った村と巨人を見ながら考え込んでいた。
「やっぱり…少しおかしいですね」
「お前も気になるか? ティアナ」
「はい。この巨人たちは全員、武器を持って同じ方向を向いたまま凍ってます。凍らされる前に、この村で何かが起こったのは間違いないと思います」
「ああ…一体この村で何があったのか。それに『
凍った巨人たちを観察して、全員が武器を持って同じ方向を向いている事から、太陽の村で何かが起こった事までは突き止めたティアナとエルザ。
「あの…エルザさん。これは私の推測に過ぎないんですけど……」
「なんだ? 言ってみろ」
「巨人たちは全員武器を持ったまま凍らされている……それはつまり、凍らされる前は何かと戦っていたという事です。この村の巨人たちが武器を持ってまで戦う理由……それは守るべきものがあったから。太陽の村の人たちにとって大切なもの……それが──」
「永遠の炎か」
ティアナの推測を聞いて、エルザがそう言うと、ティアナは静かにコクリと頷く。
「永遠の炎を村の守護神として信仰しているなら、外敵から炎を守っていた。つまり──巨人の向きとは逆の方向に、永遠の炎がある」
「行きましょう!!」
そう言うとエルザとティアナの2人は、永遠の炎があると思われる方向へ向かって駆け出したのであった。
「エルザさん!! アレ!!」
「山か!?」
しばらく走っていると、2人の目に巨大な山が目に入った。その山の前には2人の巨人が門番のように立ちながら凍りついている。
「おそらくあの頂上に!!」
「見張りもいるし、間違いないと思います!!」
その山の頂上に永遠の炎があると判断したエルザとティアナは、そのまま山の頂上を目指して駆けあがって行ったのであった。
しかし……
「何も…ない…だと……」
「みたい…ですね……」
ぜーぜーと息を乱しながら地面に膝をつく2人の前には永遠の炎などなく、ただただ凍った岩が存在するだけであった。
「永遠の炎が見つかれば、村を元に戻せると考えたのだが……」
「でもウォーロッドさんの話では、その永遠の炎も凍ってるって言ってましたよね」
「浅はかだったな」
そう言って落胆しながら山から下りようと歩き始めるエルザとティアナ。
「こんなに簡単に村の宝が見つかるハズ……」
「エ…エルザさん……?」
「? どうしたティア──!!?」
突然戸惑ったような声を上げたティアナに疑問符を浮かべながら、彼女へと視線を向けるエルザ。するとその目に映った光景に、目を見開いた。
「お前…何だその姿は!!?」
「エルザさんこそ!!!」
「「!!」」
その瞬間、2人が身に着けていた一部の衣服や鎧がガチャガチャと地面に落ちる音が響く。だがエルザとティアナはそんな事気にも留めずに、愕然とした表情のまま、お互いの姿を見据えていた。
「ティアナが……」
「エルザさんが……」
「「子供になっている……」」
そこには……お互いが子供の頃の容姿になってしまっているエルザとティアナの姿があったのであった。
つづく