LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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お待たせいたしました。最新話更新です。

あと更新ついでにお知らせが1つ。

この小説のティアナ二つ名は『幻影の狙撃手(ミラージュスナイパー)』としていました。この設定はなろう時代から使っていたもので、特に修正はせずにそのままだったのですが……最近読み返したらスナイパーじゃねーなと思いまして。

と言う訳で今更ですが、ティアナの二つ名を変更して『幻銃士(ミラージュガンナー)』にしました。あまり変わり映えしてないというツッコミはなしでお願いします。

これまでの話の中でも修正はしておりますが、話数が話数ですので修正漏れしているかもしれません。もし見つけたらご報告ください。

以上、特にストーリーとは関係のないお知らせでした。


それでは本編をどうぞ!!

感想お待ちしております。


退化ノ法

 

 

 

 

 

「「私たちが子供になっている……」」

 

 

氷の塊に映った自分の姿を見てそう呟くのは、何故か突然子供の姿と化してしまったエルザとティアナの2人。

 

 

「何事だコレは!!?」

 

 

「誰かの魔法? でも一体いつの間に……」

 

 

「このサイズに合う鎧はあっただろうか。いや…違う、それよりも……」

 

 

子供の姿になってしまった事に戸惑いながらも、これからどうするかを考えるエルザとティアナ。

 

 

「うわっ!!?」

 

 

「エルザさん!?」

 

 

「ああああああああ!!!」

 

 

するとエルザが足元の氷で思いっきり足を滑らせて転んでしまい、それだけでなくそのまま氷の山を転がり落ちていってしまった。

 

 

「痛たた……」

 

 

「エルザさーん!! 大丈夫ですかー!?」

 

 

山のふもとでようやく止まったエルザ。そんな彼女を追いかけて、ティアナも山を滑り降りて来て彼女に駆け寄る。

 

 

「ああ、何とかな。だが体が思うように動かん。体を動かすイメージと体格に差がある為か」

 

 

「たぶんそうだと思います。実際私も結構動きづらいですし、色々不便です。何とかして元に戻る方法を見つけないと」

 

 

「そうだな……例えばウェンディと並んだら……」

 

 

『私の方がお姉さんみたいですね♪ ちょっとだけど』

 

 

「もしスバルにこんな姿を見られたら……」

 

 

『小っちゃいティア可愛いーー!!! ギュッてしてあげるー♪』

 

 

「いや、それどころではない!! もしジェラールにこの姿で会ったら……」

 

 

『悪いが、オレにはそういう趣味は……』

 

 

「ナツとリサーナに……見られたら……」

 

 

『オレ、ガキに興味ねーし』

 

 

『いくらティアでも子供の姿じゃ、ナツのお嫁さんは無理だね』

 

 

「「いやぁーーーーー!!!!!」」

 

 

エルザとティアナはこの姿を仲間たちに見られた時の反応を想像し、絶叫してしまう。

 

 

「ティアナ!! 何としても元に戻るぞ!!!」

 

 

「もちろんです!! 絶対に元の体に戻りますよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第232話

『退化ノ法』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……ナツたちは永遠の炎を狙うトレジャーハンターギルド〝風精の迷宮(シルフラビリンス)〟の3人組の意外な実力に驚嘆していた。

 

 

「お前ら、魔法も使わねーのにスゲェな」

 

 

「おいおい、オレたち風精の迷宮(シルフラビリンス)をそこらのトレジャーハンターギルドと超一緒にしないでくれよ。フィオーレ1のトレジャーハンターギルドを決める〝大秘宝演武〟超優勝ギルドだぜ!!!!」

 

 

「ドゥーン!」

 

 

大秘宝演武とは、魔導士たちでいう大魔闘演武と似たようなものなのだろう。

 

 

「トレジャーハンターさんの世界にも、同じようなお祭りあったんですね」

 

 

「お…おめでとう」

 

 

「それはスゲェ!!!」

 

 

「うん!! カッコイイ!!」

 

 

「本気で感心するな」

 

 

それを聞いてウェンディとルーシィは何とも言えない表情を浮かべ、ナツとスバルは素直に感嘆の声を上げ、グレイはそんな2人にツッコミを入れたのであった。

 

 

「わかったらとっとと帰りなョ。そこらの魔導士じゃオレたちとはやり合えないぜ」

 

 

「それがそこらの魔導士じゃねえんだな──じゃん」

 

 

ドレイクの言葉に対して得意気にそう言い返すグレイの手には……ヒロシたちが持っていたハズの月の雫(ムーンドリップ)が入ったビンが握られていた。

 

 

「何!!?」

 

 

月の雫(ムーンドリップ)が!!」

 

 

「アイスメイク、盗賊の手ってね」

 

 

「いつの間に!!?」

 

 

「あーーー!!! ドロボーだ!! 超ドロボーだ!!!」

 

 

どうやらグレイは氷で造り出した手でこっそりと月の雫(ムーンドリップ)を掠め取ったようである。

 

 

「ドレイク!! 撃てーい!!!」

 

 

「おう!!!」

 

 

ヒロシは隠れているドレイクに狙撃指示を出し、それを聞いたドレイクはナナヨンを構えてグレイを狙って狙撃するが……

 

 

「サジタリウス!!!」

 

 

「お任せあれ!!」

 

 

ルーシィが召喚していたサジタリウスの弓の矢が、ドレイクの狙撃を撃ち落としたのであった。

 

 

「何!?」

 

 

「それがしもまた……弓の名手であるからして」

 

 

「返せドロボー!!!」

 

 

「巨人を助けるんだ。悪いがいただく。ナツ!!!」

 

 

ヒロシのチェインブレイドによる突きを回避しながら、ビンをナツへと投げ渡すグレイ。

 

 

「おう!!」

 

 

「ドゥーン!!」

 

 

「おっと! ルーシィ!!」

 

 

「OK!!」

 

 

それを受け取ったナツはララのストロンガーによる攻撃を回避しながらルーシィへと投げ渡し、ルーシィもそれをしっかりとキャッチする。

 

 

変形銃槍剣(チェインブレイド)ガンナー形態!! オラァ!!!」

 

 

「スバル!!」

 

 

チェインブレイドを銃の形態へと変形させたヒロシはルーシィに向かって銃弾を乱射するが、ルーシィはそれを回避しながら今度はスバルへとビンを投げ渡す。

 

 

「任せて!!!」

 

 

「このォ!!!」

 

 

「当たらないよーだ!!」

 

 

ヒロシはスバルへと標的を変えて弾丸を撃ちまくるが、マッハキャリバーの機動力で縦横無尽に駆け回るスバルに当たる事はなかった。

 

 

「ウェンディ!!!」

 

 

「はい!!!」

 

 

そしてスバルはビンをウェンディへと投げ、ウェンディも両手でしっかりとそれを受け取る。

 

 

「オオオオッ!!!」

 

 

「シャルル!!」

 

 

「了解!!」

 

 

今度はウェンディに向かって乱射するヒロシの銃弾を避けながら、ウェンディは慌ててシャルルにビンを投げ渡す。

 

 

「もう!! 危ないじゃない!! ハッピー!!」

 

 

「あいさー」

 

 

シャルルは空を飛び回りながら銃弾を避け、ハッピーに向かってビンを投げる。そしてハッピーはそれを受け取ろうと両手を伸ばすが……

 

 

 

 

──ガシャン!

 

 

 

 

なんと……ビンはハッピーの頭上をそのまま素通りして地面に叩きつけられ、割れてしまったのであった。

 

 

「「「!!!?」」」

 

 

当然その事態に、ナツたちだけでなくトレジャーハンター側も愕然とする。

 

 

「割れたーーーっ!!!!」

 

 

「何て事しやがるー!!!! お前ら超悪人だなー!!!!」

 

 

「盗んだモン壊すとか……ドゥーンドゥーンドゥーン!!!」

 

 

「ごめんなさい」

 

 

そう叫ぶトレジャーハンターに対して、涙ながらに謝罪するハッピー。するとルーシィが、ある事に気がついた。

 

 

「でも……あれ見て」

 

 

そう言ってルーシィが指差す方を見てみると、ビンが割れた事で液状化した月の雫(ムーンドリップ)が零れ、地面の氷を溶かしているのだが、それはほんの少しだけ地面を露出させるだけで終わってしまったのであった。

 

 

「たったあれしか氷が溶けてない」

 

 

「やっぱり初めから、あの量の月の雫(ムーンドリップ)で村全体を救うのは無理だったんだ」

 

 

グレイのその言葉に、トレジャーハンターたちもショックを受ける。

 

 

「そんなァ!!! 超ダメな計画だったのかーーー!!!」

 

 

月の雫(ムーンドリップ)で永遠の炎がドゥーンと溶けると思ったのに……」

 

 

「ドゥーンと作戦変更だ!!」

 

 

「超やり直しだなっ!!!」

 

 

「逆になってますよ」

 

 

ショックのあまりヒロシとララの口癖が逆になっている事に、ウェンディがやんわりと指摘していた。

 

 

「!」

 

 

すると、ナツがハッピーに向かってゆっくりと歩み寄る。

 

 

「ナツ……ぶつならお尻にして……」

 

 

怒られると思ったハッピーはお尻を差し出しながらそう言うが、ナツはそんなハッピーの横を素通りすると、先ほど氷が溶けて露になった地面に耳を当てていた。

 

 

「なんか聞こえる。誰かの…声……」

 

 

「え?」

 

 

「声……ですか?」

 

 

「地面の中から?」

 

 

地面から声が聞こえるというナツの言葉に、首を傾げるルーシィとウェンディとスバル。

 

 

「氷の溶けた地面から誰かの声がする。呼んでるみてーだ」

 

 

「オイラには何も聞こえないよ」

 

 

「……………こっちか!!!!」

 

 

「ナツ!!」

 

 

するとナツは森の中を1人で突っ走って行ってしまった。

 

 

「この声、どこかで聞いた事のある声だ」

 

 

森の中を走りながら、ナツは神妙な面持ちでそう呟いたのであった。

 

 

「あっ!! ちょっとナツ!!」

 

 

「ナツ! 待てよ!」

 

 

「ちょっと何なの?」

 

 

「何を聞いたんですか!?」

 

 

「とにかく追いかけよっ」

 

 

「待って~オイラも~」

 

 

そんなナツを追いかけて、グレイたちも森の中を走って行った。あとに残されたのはヒロシとララ、そして大急ぎで狙撃場所から戻って来たドレイクの3人組。彼らはしばらく顔を見合わせると……

 

 

「このままじゃ終われねえ!!!! あいつら追うぞ!!!」

 

 

「あの金髪の鍵見たか!? アレ…超レア物だぜ!!!!」

 

 

「トレジャーハンターが宝を持たずにギルドに帰れるかっての!! ドゥーン!!」

 

 

彼らもまた、ナツたちを追いかけて行ったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「誰の声だ、くそ!! 思い出せねえ!」

 

 

地面から聞こえた声の出所を探しながら森を抜けて太陽の村へと戻って来たナツ。

 

 

「!」

 

 

そんなナツの前に、覆面で口元を覆った大柄な男が現れた。

 

 

「ドロボーの仲間!? まだいたのか」

 

 

「ドロボーじゃねーんだわ」

 

 

先ほどのトレジャーハンターの仲間だと勘違いしているナツに対してそう言うと、大男は両手を左右に大きく広げる。

 

 

「さぁさ、返れや返れ、遠き日の思い出に」

 

 

「!!!」

 

 

そして大男が不気味な魔力を纏いながらそう言うと、ナツの体に変化が起きた。

 

 

「な……何だ!? うぉお!? どうなってんだーーーっ!!!?」

 

 

次の瞬間……なんとナツは子供の姿へと変わってしまった。

 

 

「一体どうなってんだこりゃ!!? ガキになっちまった!!! オイ!! こいつはお前の仕業か!!?」

 

 

「そうなんだわ。オレの名はドリアーテ。夢魔の眼(サキュバス・アイ)ってギルドの一員だわ」

 

 

そして大男……ドリアーテは指をパキリと鳴らしながら告げる。

 

 

「ガキにすると始末が楽なんだわ」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方その頃……子供の姿となっているエルザは、換装魔法で魔法剣を取り出そうとしていた。しかしいつものように魔法が上手く発動せず、全神経と魔力を自身の手に集中させる。

 

 

「くはっ」

 

 

そしてやっとの思いでエルザは一振りの魔法剣を取り出す事に成功した。

 

 

「魔法は使える…しかし…換装の速度が低下……魔力の消耗量は増加、身体能力が著しく低下している。そして足が冷たい」

 

 

「エルザさんもですか。私も換装空間からクロスミラージュを片方だけしか取り出せず、魔法弾も作れて2、3発が限界です」

 

 

「やはりティアナもか」

 

 

冷静に今の自身の状況を分析するエルザに、同じく魔法を試していたティアナが結果を報告し、自分たちが弱体化してしまった事に2人そろって頭を悩ませる。すると……

 

 

妖精女王(ティターニア)幻銃士(ミラージュガンナー)もカタなしであるな」

 

 

「「!」」

 

 

突然背後から聞こえてきた女性の声。それを聞いた2人はすぐさま振り返ると、そこには見覚えのある人物が立っていた。

 

 

「アンタは…!!」

 

 

「ミネルバ!!?」

 

 

その人物とは、大魔闘演武にてエルザに敗れてから忽然と姿を消したミネルバであった。

 

 

「なぜお前がココに」

 

 

「ギルドを変えてのう、初任務といった訳だが……まさかエルザ、そなたに会えるとは思わなかったぞ」

 

 

「ギルドを…変えた?」

 

 

ギルドを変えたというミネルバの言葉に疑問符を浮かべていると、エルザとティアナの眼にミネルバの左腹に刻まれた新たなギルドマークが映る。

 

 

「その紋章はまさか……夢魔の眼(サキュバス・アイ)!!?」

 

 

「闇ギルドか!?」

 

 

ミネルバの新たなギルドというのが闇ギルドだと知り、驚愕するエルザとティアナ。

 

 

「妾は最強のギルドに君臨する。それには表も裏も関係ない、強き世界からの景色が好きなのだ」

 

 

夢魔の眼(サキュバス・アイ)がそのギルドだと?」

 

 

「こんなギルドは足掛かりにすぎぬ。妾は更に上へと行く」

 

 

「魔導士としての誇りを失ったか、ミネルバ」

 

 

「おしゃべりはここまでだ。再戦といこう。もっともその姿では何もできんだろうがな」

 

 

「この姿……貴様の仕業だったのか」

 

 

「いや……その姿は相棒の魔法だ。裏の世界には面白い魔法が多いな」

 

 

「正々堂々戦えんようになったとは…」

 

 

「裏には裏の戦い方がある。考え方の幅が広がったのだ。覚悟せよ、これは大魔闘演武(おまつり)ではない。生死をかけた殺し合いだ」

 

 

そう言い放つミネルバの言葉を聞きながら、エルザはこっそりとティアナに耳打ちをする。

 

 

「……ティアナ、お前はナツたちと合流しろ」

 

 

「エルザさん?」

 

 

そんなエルザの言葉に首を傾げるティアナ。

 

 

「私たちをこんな姿にしたミネルバの相棒という奴はおそらくこの村にいるハズだ。お前はナツたちと合流して、そいつを探せ。ミネルバの狙いは私だ。ここから離れようとも、お前が狙われる事はないだろう」

 

 

「でも今の姿じゃエルザさんでも……」

 

 

「ああ、勝てんだろうな。だからお前は一刻も早くナツたちと合流して、この魔法の術者を叩け。そうすれば魔法が解けて元に戻れるハズだ。そうすれば私にも勝機がある」

 

 

「……わかりました、気を付けてください!!」

 

 

「ああっ」

 

 

そう言うと、ティアナはエルザに背を向けて一目散にその場から離れて行った。

 

 

「なんじゃ? 仲間を見捨てて自分だけ逃げたのか?」

 

 

「仲間を見捨てる者など私たちのギルドにはいない。貴様など私1人で十分だということだ」

 

 

そして……エルザが圧倒的不利という状況で、ミネルバとの再戦が始まったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「どうなってんだこりゃ!! ガキになっちまった!!!! お前ドロボーのくせに魔法使えんのかよ!!」

 

 

「だからドロボーじゃねえんだわ。ま、いいわ。さっさと片付けちまわねーとな」

 

 

そう言って子供化したナツに向かって殴り掛かる夢魔の眼(サキュバス・アイ)の一員である大男……ドリアーテ。

 

 

「おわっ!! くそっ!! うまく動かねえ!!」

 

 

子供化した影響で動きが鈍りながらも、何とかドリアーテの攻撃を回避するナツ。

 

 

「火竜の…咆哮ォ!!!!」

 

 

そしてすぐに反撃としてブレスを放とうとするが、ナツの口から吹き出したのは燃えカスのような炎であった。当然そんな炎はすぐに消えてしまう。

 

 

「何だコレ!!! ガキの頃でも魔法はもっと使えたぞ!!!」

 

 

「外見は追加効果。〝退化ノ法〟は人間の能力を下げる魔法なんだわ」

 

 

「ズリィぞオマエ!!!!」

 

 

そう言ってナツはドリアーテを殴ろうとするが、魔法がうまく発動しない上に腕のリーチも短くなっているので、その攻撃がドリアーテに届く事はなかった。

 

 

「んがぁっ!!!!」

 

 

そして逆に殴り飛ばされ、勢いよく地面を転がるナツ。

 

 

「いってぇ!!!! いてぇいてぇ!!!! お前どんなパンチ力してんだよ!?」

 

 

「お前の防御力も下がってるんだわ」

 

 

「まいったなチクショウ」

 

 

こうも弱体化されては分が悪すぎると悟ったナツは顔をしかめる。すると……

 

 

「! つーか何だアレェェ!!!!」

 

 

「!」

 

 

突然空を見上げて驚いたように絶叫するナツ。それに釣られてドリアーテも視線を上へと向けるが、そこには何も驚くような事はなかった。

 

 

「何を……!! しまった!!! 逃げられた!!!!」

 

 

そして再び視線をナツの方へと戻すと、そこにはすでにナツの姿がなかった。

 

 

「はーっはっはっはー!!! ガキにはガキの戦法があるんだっ!!!! 懐かしいなこれ…ギルダーツ毎回引っ掛かるんだよな。悪ィけどオレは声を探してんだっ!! じゃあな!!」

 

 

見事騙し討ちに成功したナツはそう言い残して一目散に逃げて行ったのであった。

 

 

「ナメやがってあのガキ……」

 

 

残されたドリアーテは逃げて行ったナツに対して忌々しげにそう呟くと、口元を覆っていた覆面を首元まで下げる。

 

 

 

「人外の力の恐怖を知る事になるわ」

 

 

 

そして覆面を取ったドリアーテの素顔は……鋭い牙の獣のような容貌をしてのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「きゃう!」

 

 

「ウェンディ、大丈夫?」

 

 

「すみません、地面が凍ってて…」

 

 

「気を付けないとね。はい」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

凍った地面で転んでしまったウェンディにスバルは手を差し出して、助け起こす。

 

 

「てか……グレイともはぐれちゃったわね」

 

 

「どうしよう、全然訳のわからない所に来ちゃったみたいです」

 

 

「空から探すって言ってたハッピーとシャルルも戻ってこないしね」

 

 

どうやら彼女たち3人はナツを追っている間にグレイともはぐれ、完全に迷ってしまったらしい。

 

 

「ルーシィさん、スバルさん、ちょっと気になる事があるんですけど」

 

 

「「?」」

 

 

「気になる…ていうか…絶対変…ていうか……つけられているみたいです」

 

 

そう言って言い辛そうにしながら横目で後ろを見るウェンディの視線の先には……

 

 

「やだなァ、オイラ超ネコだにゃ」

 

 

「白ネコだニャドゥーン」

 

 

「きゃあああああああああっ!!!!」

 

 

ハッピーとシャルルに変装(ネコ耳つけて顔に色を塗っただけ)したヒロシとララの姿があり、それに気がついたルーシィは思わず絶叫した。

 

 

「トレジャーハンタースキル〝変装〟が見破られた……だと!?」

 

 

「やっぱオレが青ネコやるべきだったんだよ!」

 

 

「本気で騙せると思ってたのかしら……」

 

 

「奥が深いですね、トレジャーハンターって」

 

 

あまりにも雑な変装に本気で騙せると思い込んでいたヒロシとララにルーシィは呆れ、ウェンディはトレジャーハンターに対して妙な感心をしていた。

 

 

「…………………………あっ!! ホントだ!! よく見たらハッピーとシャルルじゃない!!!」

 

 

「騙されてた!!?」

 

 

約1名本気で騙されている人がいたが……

 

 

「バレちまったら超仕方ねえ!!!! 標的変更!!!! お前のその鍵、超レアモノだろ!!」

 

 

「ドゥーンといただいていくぜ!!!」

 

 

「何なのよコイツら」

 

 

自分の大切な鍵が狙われていると知り、警戒心を強めるルーシィ。

 

 

「あの……小瓶の事はすみません…私たちは争うつもりはないんです、巨人さんを助けたいんです」

 

 

そう言ってウェンディは謝罪しながらトレジャーハンターの説得しようとする。しかし……

 

 

「巨人? そんな奴等どーでもいいよ。トレジャーハンターにとって物を見極める基準は1つだけ──それが宝か宝じゃねえかだ!!!!」

 

 

何とヒロシはそう言い放つと同時に、近くで凍っていた巨人の足を斬り付けたのであった。

 

 

「何て事を!! この巨人たちはまだ生きてるんだよっ!!!!」

 

 

「生きてようが死んでようが、宝じゃねえものに興味はねえ」

 

 

そう言ってザクザクと巨人の足に刃を突き刺し続けるヒロシ。

 

 

「やめてください」

 

 

「やめねえよ。やりてえ事をやる……欲しい物をいただく。それがトレジャーハンター」

 

 

「やめてください!!!!」

 

 

そんなヒロシを、ついに我慢の限界にきたウェンディがブレスで吹き飛ばして引き剥がす。

 

 

「争うつもりはなかったけど、ヒドイです、放っておけません!!」

 

 

「村人をキズつけるお前たちは仕事の邪魔……つまり私たちの敵!!!」

 

 

「村人をキズつけるつもりなら、あたしたちが相手よ」

 

 

「イイネ…宝も女ももらっていくか」

 

 

「女はイラネ。殺そうぜ、ドゥーンと」

 

 

そう言って睨み合う魔導士とトレジャーハンター。すると……

 

 

「きゃ!」

 

 

「!?」

 

 

「わっ!」

 

 

「こっちは男3人、そっちは女3人、何ができるかね?」

 

 

ルーシィ、スバル、ウェンディの足元の地面に弾丸が撃ち込まれた。どうやら再び姿を隠したドレイクが狙っているのだろう。

 

 

「あ!」

 

 

するとウェンディがまたしても地面の氷に足をとられて転んでしまう。当然それを見逃すドレイクではなく、そんな彼女に向かって容赦なく引き金が引かれた。

 

 

「「ウェンディ!!!!」」

 

 

「もらったァ!!」

 

 

ウェンディに向かって迫る1発の凶弾。スバルとルーシィも助けようとするが間に合わず、誰もが当たると思った。

 

 

だが……その弾丸がウェンディに当たる事はなかった。

 

 

何故なら……ウェンディと弾丸の間に割り込んで来たある人物が、ウェンディを襲う弾丸を受け止めたのだった。そしてルーシィたち3人は、その人物の姿を見て驚愕する。

 

 

「フレアさん!?」

 

 

「元レイヴンの!?」

 

 

「何でこんなトコに?」

 

 

その人物とは……元大鴉の尻尾(レイヴンテイル)のメンバーである赤い髪が特徴であり、胸元に見た事もない紋章を刻んだ少女……フレア・コロナであった。

 

 

「女は4人…赤髪と青髪と藍髪と金髪♡ くくく」

 

 

そう言って不気味に笑うフレア。意外な乱入者にルーシィたちだけでなく、トレジャーハンター組を目を丸くしていた。

 

 

 

 

 

しかし……意外な乱入者は彼女だけではなかった。

 

 

 

 

 

「そしてこっちにも──男が1人」

 

 

「「「!!?」」」

 

 

フレアが横目を向けながらそう言うと、その場にいた全員がその視線の先を一斉に追った。

 

 

 

するとそこには……1人の少年が立っていた。

 

 

 

どこか禍々しい雰囲気の黒衣を身に纏い…全身に赤い刺青のような模様を刻み…血のように赤い瞳と銀髪を輝かせ…銃全体を包み込むかのような大剣を手にした少年。

 

 

 

「最強の…銀髪ぅ」

 

 

 

その少年の名はトーマ。

 

 

〝黒騎士〟トーマ・アヴェニールであった。

 

 

 

 

 

つづく




次回トーマ無双
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