LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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今回は早めに投稿できました。

今回から本格的に冥府の門との対決が始まります。リリカルキャラを加えた妖精の尻尾《フェアリーテイル》の活躍にご期待ください。

感想お待ちしております。


ところで最近FAIRY TAILのスピンオフ作品が多くなってきましたね。


『FAIRY TAIL-ZERO-』
(月刊FTマガジン)

『ICE TRAIL~氷の軌跡~』
(月刊FTマガジン)

『FAIRY TAIL ブルー・ミストラル』
(なかよし)

『FAIRY GIRLS』
(マガジンSP)

『FAIRY TAIL外伝~剣咬の双竜~』
(マガジンポケット)


どれも面白いので、いつかリリカルテイルで書いてみたいですね。特に剣咬の虎(セイバートゥース)が主人公の剣咬の双竜を。

でもその前に番外編の鳳凰の巫女を書かないとなぁ。オリキャラ募集までしといてなに放置してんだろう(-_-;)

落ち着いたらちゃんと書きますので見捨てないでくださいね。


妖精 対 冥府

 

 

 

 

 

 

闇ギルド…冥府の門(タルタロス)・本拠地。

 

 

「さすがはジャッカルさん、ハデにやりましたなァ、ゲヘヘ。評議院9人の命の値段はおいくらかおいくらか、ゲヘヘ」

 

 

そう言って下卑た笑い声を上げる一つ目で恰幅の良い球体のような体型に鎧を着た悪魔……九鬼門の1人『堅甲のフランマルス』。

 

 

「フランマルス、汚え笑い方はよせ。我々の品格を疑われる」

 

 

そんなフランマルスを戒めるのは赤い鮫のような大柄な姿をした悪魔……同じく九鬼門の1人『晦冥のトラフザー』。

 

 

「悪魔に品格もクソもあるかよ!!! 次はオレに行かせろキョウカ!!!! 早く人間ども皆殺しにしてえ!!!!」

 

 

「エゼルさん、物語には順序がありますわ。これはまだ序章……いいえ……前書きといったところ」

 

 

興奮したように叫ぶ藍色の肌で、4本の腕にタコのような複数の足が特徴的な姿した悪魔……九鬼門の1人『童子切のエゼル』。そしてそんなエゼルを諭すようにそう言う2本の角が付いたカチューシャに豹柄の着物が特徴の女性の姿をした悪魔……同じく九鬼門の『涼月天 セイラ』。

 

 

「その通りだ。慌てるなエゼル。そなたにはそなたの仕事がある」

 

 

「体が……!!! 体がうずくんだァ!!!! ジャッカルとテンペスターばかりズリィぞっ!!!!」

 

 

そう言ってエゼルを宥める九鬼門の1人『隷星天 キョウカ』。

 

 

「祈り……囁き……そして冥府の祝福あれ」

 

 

そして静かにそう呟くのは髑髏の仮面が特徴で、チェック模様の入ったマントに身を包み常に錫杖を持っている悪魔……九鬼門の1人『漆黒僧正 キース』。

 

 

「地獄はまだ始まったばかり」

 

 

「…………」

 

 

そんな彼らのやり取りを黙って静観している九鬼門『絶対零度のシルバー』。

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「全ては我等が主ゼレフの為に──人類に悪魔の鉄槌を下そう」

 

 

 

 

 

ついに……悪魔のギルドが動き出す……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第237話

『妖精 対 冥府』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は移り……元評議院のヤジマが経営するレストラン『(エイト)アイランド』。

 

 

「こりゃあヒドイ()件だなぁ」

 

 

「評議院が爆破!?」

 

 

そこの厨房では新聞を読んでいるヤジマと、何故かコックの姿で料理を作っているフリードが評議院が爆破された事件に驚いていた。

 

 

「9人の議員が全員死んじまったらしい」

 

 

同じくコック姿でそう呟くビックスロー。実際は9人の内の1人であるリンディは生きているのだが、どうやら世間ではそう報道されているらしい。

 

 

「それだけじゃないぞ。死傷者119名……大惨()だわい」

 

 

「そういや、評議院にゃスバルの親父さんもいたよな?」

 

 

「ゲン坊なら無()だ。今朝連絡があって、ちょうどこの日、他の()部へ出張に行っていたらスい」

 

 

どうやらスバルの父親であるゲンヤ・ナカジマは出張に行っていた為、今回の事件に巻き込まれずには済んだらしい。

 

 

「アンタ、評議院やめててよかったねぇ」

 

 

「バカタレ!! 不謹(スん)な事を!!!」

 

 

「しかし、不幸中の幸いでしたね」

 

 

厨房でそんな会話をしている3人。すると……

 

 

「フリード、ビックスロー。今は仕事中なんだから、ちゃんと働かないとダメだよ?」

 

 

少し露出度の高いウェイトレスの服に身を包んで長い金髪をストレートにしたフェイトが、そんなフリードとビックスローに注意する。

 

 

「やっぱフェイトは似合うなァ、その格好。なぁフリード」

 

 

「ああ、似合っている」

 

 

「あ…ありがとう……」

 

 

ウェイトレスの制服姿を褒められて、恥ずかしそうに顔を赤くして俯くフェイト。

 

 

「ちょっとアンタたち。フェイトの言う通り、真面目に働きなさいよ」

 

 

そこへ同じくウェイトレス制服を着たエバーグリーンも2人に注意する。

 

 

「逆にお前は似合わねえなその格好」

 

 

「ウム」

 

 

「アンタらに言われたくないわよっ!!!!」

 

 

「だ…大丈夫だよ。エバもちゃんと似合ってる……よ……?」

 

 

「アンタもフォローするならちゃんと最後までしなさいよ!!!!」

 

 

逆にエバーグリーンのウェイトレス姿は不評であった。

 

 

「大魔闘演武の影響でここんトコ重たい仕事が多いってボヤいてたから、軽い仕事見つけてきたんじゃない」

 

 

「これこれ、飲食店は軽くないよ」

 

 

「まあ、料理は得意分野だからな」

 

 

「盛り付けなら得意だぜベイビー」

 

 

「料理を届ける速さになら自信があるよ」

 

 

「ま…私もお色気は得意分野だけどね」

 

 

そう言って雷神衆の4人はそれぞれの得意分野を活かしながら仕事をこなしていた。

 

 

「ところでラクサス君はまだ戻ってこないのかね」

 

 

「そう言えば…材料の買い出しに行ってからずいぶん経つね」

 

 

「道に迷ってるのか?」

 

 

「おつかいもできないとは……仕方のない奴め」

 

 

どうやらラクサスは買い出しに出かけているらしく、まだ戻ってきていないらしい。

 

 

するとその時、店の入り口が開かれる音が響いた。

 

 

「あ……噂をすれば……」

 

 

ラクサスが帰ってきたのかと思って入口の方へと視線を向ける一同。

 

 

「「「!?」」」

 

 

だがそこに立っていたのはラクサスではなく……顔をローブで覆い隠した不気味な男であった。

 

 

そんな不気味な男に、雷神衆が警戒心を露にしていると……

 

 

「ヒュル」

 

 

男がそう呟いたその瞬間……巨大な竜巻が発生し、一瞬で8アイランドを粉々に吹き飛ばしてしまった。

 

 

「お店が…!!?」

 

 

あまりにも唐突な出来事にフェイトたちが驚愕していると、今度は自身の体に竜巻を纏った男がヤジマへと向かって行く。

 

 

「何じゃコイツは!!?」

 

 

「ヤジマさん!!」

 

 

そんなヤジマを守る為に、フリードとビックスローが迫り来る男の前に立ち塞がる。しかし……

 

 

「どどん」

 

 

「ぐあああああ!!!」

 

 

「がっ!!!!」

 

 

男が2人の体に手をかざした瞬間、フリードとビックスローの体にまるで地震のような衝撃波が駆け巡り、2人は吹き飛ばされてしまった。

 

 

「この…!!!」

 

 

その直後に、音速のスピードで男の背後へと回ったフェイトがサイズフォームとなったバルディッシュを振るうが……

 

 

「ゴロロン」

 

 

「アァァアアアア!!!!」

 

 

男の体から放たれた激しい雷電がフェイトを襲い、そのまま地面に倒れてしまった。

 

 

「小癪な!」

 

 

それを見たヤジマが自身の魔法で紙のようにペラペラになった体で男を捕えようとするが……

 

 

「ボッ」

 

 

「ぐあぁぁぁあああ!!!」

 

 

男の体から吹き出した炎によって飲み込まれてしまう。

 

 

「ヤジマさん…!!」

 

 

「妖精機銃レブラホーン!!!!」

 

 

「ヒュル」

 

 

「! きゃああああああ!!!!」

 

 

続いてエバーグリーンも無数の針を男に向かって放つが、再び出現した竜巻によって吹き飛ばされてしまった。

 

 

「ぐぅぅ……」

 

 

そして倒れるヤジマの前に立ち、静かに見下ろす男。

 

 

「何者じゃ」

 

 

「我に名は無い。九鬼門の1人……人類は我を厄災と呼ぶ」

 

 

ヤジマの問いに対して男は静かにそう答える。

 

 

「くそ……何なんだこの魔法は……」

 

 

「体が……動かない……」

 

 

その間にフリードとフェイトは起き上ろうとするが、ダメージが大きいのか魔法の効力なのか、立ち上がれずにいた。

 

 

「冥府の門は開かれた。人類に裁きを」

 

 

「ぐうぅぅ!!」

 

 

そしてヤジマの首を竜巻を纏った腕で掴み、締め上げ始める男。

 

 

「ヤジマさん!!!」

 

 

「冥府の門……タルタロス!!?」

 

 

「まさかコイツら……」

 

 

「現評議員だけじゃなく、元評議員まで標的なの!!?」

 

 

そう……男は冥府の門(タルタロス)の者であり、その狙いは元評議員のヤジマの命であった。

 

 

「一体何の目的で……」

 

 

「冥府へ」

 

 

「ダメ!!!」

 

 

「よせぇー!!!!」

 

 

「堕ちろ」

 

 

「あああああああ!!!!」

 

 

「ヤジマさーん!!!!」

 

 

男の腕の竜巻が勢いを増し、ヤジマの首を締め上げていく。

 

 

だがその時……空から落ちてきた落雷が男の腕を弾き、ヤジマを解放した。

 

 

「!!!」

 

 

そしてさらに続けて、凄まじい落雷が男を襲い……それを喰らった男はその落雷を放った人物を睨み付けた。

 

 

「道には迷っちまったが……」

 

 

その視線の先に立っていたのは……

 

 

 

 

 

「テメェを殺す事には──迷いはねえから」

 

 

 

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の中でもトップを争う最強の男──ラクサス・ドレアーであった。

 

 

「ラクサス君……」

 

 

「ラクサスが来てくれた……」

 

 

「助かった」

 

 

「へへ」

 

 

ラクサスが現れた事に安堵の表情を浮かべる雷神衆とヤジマ。そしてラクサスは、目の前の男をギロリと睨む。

 

 

「何なんだコイツァ」

 

 

冥府の門(タルタロス)よ!!! ヤジマさんを狙ってきたの!!」

 

 

「ほう」

 

 

彼の疑問に答えたエバーグリーンの言葉を聞いて、ラクサスの目つきは更に鋭くなる。すると、当の冥府の門(タルタロス)の男は突然自身が纏っていたローブを掴むと、それを荒々しく破き始めた。

 

 

「!」

 

 

そして露になった男の姿を見て、ラクサスは目を見開く。何故なら……その男はまるで獣人のような姿をしていたのだから。

 

 

「人間じゃねえ!?」

 

 

そう……男は人間ではなく、冥府の門(タルタロス)の九鬼門の一角を担う悪魔であった。その名も『不死のテンペスター』。

 

 

「ヒュル」

 

 

そしてテンペスターは自身の体に竜巻を纏い、そのままラクサスに向かって攻撃を仕掛ける。

 

 

「!」

 

 

ラクサスがその攻撃を飛び上がって回避すると、テンペスターはそれを追うように拳を振るって追撃を仕掛ける。

 

 

だが全身に雷を纏ったラクサスは一瞬でテンペスターの背後に回り込み、そのまま思いっきりテンペスターを蹴り飛ばして地面に叩きつけたのであった。

 

 

「コイツ……」

 

 

地面に倒されたテンペスターはすぐさま起き上るが……

 

 

「!!」

 

 

すでにラクサスはテンペスターの眼前に立っていた。

 

 

「相手が悪かったな」

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「雷竜の(アギト)!!!!!」

 

 

 

 

 

雷撃を纏った両拳を合わせて振り下ろし、地面が大きく陥没するほどの勢いでテンペスターを地面に叩き伏せたのであった。

 

 

「さすがラクサス!!」

 

 

「よっしゃ!!」

 

 

「スゴイよラクサス!!」

 

 

「やっぱり漢ね~♪」

 

 

テンペスターをあっさりと片づけてしまったラクサスに、彼を慕う雷神衆は感嘆の声を上げる。

 

 

「ヤジマのじいさん、コイツどうするよ」

 

 

「ウム……評議院は機能スておらんスなァ。よくもワスの店を……」

 

 

「本部はそうだろうけど、支部とかたくさんあるんだろ」

 

 

「ううん…本部がやられている今、支部も機能してないと思うよ」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)に連れ帰って尋問すべきではないか?」

 

 

「アラ私、そういうの大好きかも。ふふふ」

 

 

「コイツらは現評議員だけでなく、元評議員まで狙ってきた。目的が気になる」

 

 

「そうだな」

 

 

「うん」

 

 

冥府の門(タルタロス)の目的を知る為に、テンペスターをギルドに連れ帰って尋問にかけて情報を引き出す事をフリードが提案し、ビックスローとフェイトも頷いて同意する。

 

 

すると……

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)……か」

 

 

「!」

 

 

テンペスターが倒れたままの状態で静かに口を開いた。

 

 

「まさかこれほどの魔力を持った人間がいたとは計算外、想定外のダメージ──我は一度死ぬしかないか」

 

 

「死ぬ? 何を言ってやがる」

 

 

相手が悪かった(・・・・・・・)……という事だ、人間よ」

 

 

その瞬間……突然テンペスターの体が破裂するように霧散した。

 

 

「!!」

 

 

「えっ!!?」

 

 

「自爆!!?」

 

 

「何じゃと!!?」

 

 

テンペスターが自ら自爆した事に驚愕するラクサスたち。だが起こったのはそれだけではない。

 

 

「何だ!? この黒い霧は!?」

 

 

「どんどん広がっていく!!?」

 

 

同時に……テンペスターが自爆した場所から何やら黒い霧のようなモノが発生し、広範囲にわたって広がり始めた。

 

 

「人は厄災には勝てん」

 

 

「!!?」

 

 

その時、テンペスターの声が響き渡る。

 

 

「これは魔障粒子(ましょうりゅうし)。空気中のエーテルナノを破壊し、汚染していく」

 

 

「アンチエーテルナノ領域!!? ぐはっ、ごはっ!!」

 

 

「フリード!! うっ…ゲホッゴホッ!!」

 

 

テンペスターがまき散らした魔障粒子を吸い込んでしまったフリードとフェイトは苦しげに咳き込む。

 

 

「それは魔力欠乏症や、魔障病を引き起こす」

 

 

「ぐっ…うう」

 

 

「それは魔導士にとっては死に至る病」

 

 

「ああぅ……!!」

 

 

「唯一の弱点は我の体を再生する為に本部に戻らねばならん事」

 

 

「………!!!」

 

 

「冥府で会おう、死人たちよ」

 

 

最後にそう言い残して、テンペスターの声は途切れた。そしてその場に残ったのは大量の魔障粒子とそれに囲まれたラクサスたち。

 

 

「霧は吸い込むな!!!」

 

 

「このままじゃ…みん…な……」

 

 

「町中が汚染される!」

 

 

「そうなったら…この町は……」

 

 

「みんな……とにかく逃げるんじゃ!! 霧のない所へ!!! おぐっ…!!」

 

 

そう言って先導して避難しようとするヤジマだが、魔障粒子に侵されて動く事もままならず、その場で倒れてしまう。

 

 

「ヤジマさ……あ」

 

 

続いてエバーグリーン…そしてビックスローも力尽きてその場で倒れてしまう。

 

 

「しっかりしろ!!!」

 

 

「エバ!!! ビックスロー!!! ヤジマさん!!!」

 

 

倒れた3人にそう呼びかけるフリードとフェイトだが、その2人も立っているのがやっとの状態である。

 

 

「誰も死なせねえ!! 死なせねえぞォ!!!」

 

 

「ラクサス!! 口を塞げ!!!」

 

 

するとラクサスは……なんと魔障粒子を逆に吸い込み始めたのである。

 

 

「何を…しているの……?」

 

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の肺は少し特殊なんだ。こんなモン全部吸い込んでやる」

 

 

「よせ…やめろ……」

 

 

 

 

 

「必ず全員連れて帰れ──それがお前らの仕事だ」

 

 

 

 

 

「「ラクサーーース!!!!!」」

 

 

そしてラクサスはその場にあった全ての魔障粒子を自ら吸い込み……その場に倒れたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後……何とか全員を連れて妖精の尻尾(フェアリーテイル)へと帰還したフリードとフェイト。

 

 

そしてギルドの医務室では、ラクサスたちに治療を施した妖精の尻尾(フェアリーテイル)の顧問薬剤師であるポーリュシカにマカロフが必死の形相で詰め寄っていた。

 

 

「ポーリュシカ!!! ラクサスたちはどうなんだ!!? 無事なのか!!? おいい!!!」

 

 

「生きてはいる……が、かなり魔障粒子に侵されている。元々少量の摂取でも命が危険な毒物だ。完全に回復するかどうかは……とくにラクサスは体内汚染がひどい……生きてるのが不思議なくらいだよ」

 

 

それを聞いたマカロフを初めとしたギルドメンバーたちは息を呑む。

 

 

「ラクサスは……町を…救った……ん…だ……ラクサスが……いな…ければ…あの…町は……」

 

 

「わかっておる。お前もフェイトも、よく皆を連れ帰ってきてくれた」

 

 

「町は…ラクサスのおかげで…助か…った」

 

 

体内汚染で苦しみながらも、そう報告するフリード。

 

 

しかし……彼は知らない……

 

 

実際にラクサスが吸い込んだ町の魔障粒子はほんの一部である事……そしてその町全域が魔障粒子によって汚染され……死者100名以上の犠牲者が出ている事を……

 

 

「町…は……無事…ですか……?」

 

 

そう言って尋ねるフリードに対し、マカロフは……

 

 

「──ああ」

 

 

と……静かに頷いた。

 

 

「よかった…」

 

 

それを聞いたフリードは安堵したように涙を流す。

 

 

だがそれを見ていた他のギルドメンバーたちの表情はすぐれず、全員苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。

 

 

冥府の門(タルタロス)……」

 

 

「(元評議員も標的なら、ジェラールも標的の1人か)」

 

 

「(もしかしたらお父さんも標的に……)」

 

 

「ひどい…」

 

 

「ええ…絶対に許さないわ」

 

 

ギルドメンバーたちの様々な想いが交差する中……彼らの言葉を代弁するようにナツが口を開く。

 

 

「じっちゃん……」

 

 

そしてナツは血管がメキメキと浮かび上がるほど拳を強く握り締めながら……静かに言い放つ。

 

 

 

 

 

「──戦争だ」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃……冥府の門(タルタロス)の本部。

 

 

そこではラクサスに敗れて自爆したテンペスターが、ポッドの中で肉体の再生が行われていた。

 

 

「迷惑をかける、キョウカ」

 

 

「案ずるなテンペスター」

 

 

「テンペスター、それがオレの名? しかし新たな体を手にすれば、その名は忘れる。我に名の意味はない。我の再生にはどれくらいかかるのか?」

 

 

「うむ……本来なら1日もあれば再生できるのであるが、今は別ロットも稼働中でな。少し時間がかかる」

 

 

「別ロット? 我の他にも負傷者が」

 

 

「いいや、我が子だ。新生の悪魔」

 

 

そう言ってキョウカが別のポッドへと視線を移すとそこには……

 

 

「ミネルバ──冥府の素質がある」

 

 

キョウカによって捕えられたミネルバの姿があった。

 

 

「ドリアーテさんのような失敗作にはならなければよいですなァ」

 

 

「フランマルス」

 

 

そこへ、フランマルスもやって来る。

 

 

「あれにかかった費用はおいくらかおいくらか。ゲヘヘ。テンペスターさん、再生もタダではありません。むやみに魔障粒子を使ってはいけませんぞ」

 

 

「……妖精の尻尾(フェアリーテイル)。奴等の邪魔がなければこんな事には」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)?」

 

 

テンペスターとキョウカが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名を口にした瞬間、ポッドの中で眠っていたミネルバが怒りの形相を浮かべて反応し始めた。

 

 

「おや…このお嬢さんも反応しているようで」

 

 

「あの六魔とグリモアを破り、欲望とも一戦を交えたギルドか。妖精の尻尾(フェアリーテイル)、くくく……面白い、我々に盾つくか」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

場所は戻って妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

 

「戦争だァ!!!! 冥府の門(タルタロス)は1人残らずぶっ潰してやる!!!!」

 

 

「落ち着けよドラグニル」

 

 

「皆、同じ気持ちだ」

 

 

「放せこの野郎! ぶん殴るぞ!!!!」

 

 

「やってみろ!! 殴り返すぞテメェ!!!!」

 

 

そこでは今すぐ突撃しようとしているナツを、シグナムとザフィーラとヴィータの3人を含めたギルドメンバー数人がかりで抑え込んでいた。

 

 

「仲間がやられたんだ!!!! 黙ってられねえ!!!! 今すぐ突撃だろじっちゃん!!!!」

 

 

「それに異論はない。だが情報が少なすぎる」

 

 

冥府の門(タルタロス)。目的もわからんが、本部の場所は評議院ですらわからない」

 

 

「そうだぜナツ。敵の居場所もわかんねーのにどうやって突撃すんだよ?」

 

 

「んなの他の闇ギルドに聞けばいいだろ!!!!」

 

 

「ではその他の闇ギルドの本部はどこにあるというのだ?」

 

 

「知るかよ!!!!」

 

 

「なら、どこにも突撃できんな」

 

 

「ぬうぅぅぅ……!!!」

 

 

ことごとく論破され、悔しそうに唸るナツ。

 

 

「そうだ!! ノーヴェとディエチなら!!!」

 

 

思い出したようにそう叫ぶナツ。確かにノーヴェとディエチの2人はかつて、冥府の門(タルタロス)と同じバラム同盟の闇ギルド〝無限の欲望(アンリミテッドデザイア)〟に所属していた。しかし……

 

 

「残念だけど、2人とも知らないって言ってたわ」

 

 

「ぐぅ…!!」

 

 

ティアナがそう答え、それを聞いたナツはもう一度悔しそうに唸った。

 

 

「そういやそのノーヴェとディエチは?」

 

 

「スバルと一緒に実家に帰ったわ。父親が心配だからって」

 

 

「そっか……あいつ等の親父も評議員だったな」

 

 

グレイの問い掛けに対してティアナが答える。どうやらスバルとノーヴェとディエチの3人は、父親であるゲンヤの安否を確認する為に里帰りしているらしい。

 

 

「話を戻そう。僕らが奴等に対してわかっている事は1つ『狙いは評議員』って事だけ」

 

 

「しかも現評議員だけじゃなくて、元評議員まで狙ってる」

 

 

すると、ユーノとルーシィが話を戻して冥府の門(タルタロス)の目的について話す。

 

 

「でしたらその元評議員の家に行けば、向こうから来るって事じゃないですか」

 

 

「せやけど元評議員の住所は秘匿情報で、誰も知らへん」

 

 

「どうして住所が秘密なの?」

 

 

「住所がバレちゃうと、評議員に恨みを持つ人が襲ってきちゃうでしょ」

 

 

エリオとはやての会話を聞いて、首を傾げていたヴィヴィオの疑問になのはが答える。

 

 

「手詰まりか」

 

 

「いいや、そうでもないよ。元評議員の住所は僕が知ってる。全員ではないけどね」

 

 

そう言って名乗りを上げたのは、ルーシィの星霊であり妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーでもあるロキであった。

 

 

「ロキ!!!」

 

 

「なんでロキさんが知ってるんですか?」

 

 

ウェンディが疑問符を浮かべていると、ロキが彼女にしか聞こえないようにごにょごにょと耳打ちをすると、ウェンディの顔が一瞬で真っ赤に染まった。

 

 

「女ね」

 

 

それを見ていたルーシィは一瞬で事情を理解したのだった。

 

 

「ロキの情報から4名の元評議員の住所が判明した。まずはチームで各々の住所に行き、冥府の門(タルタロス)から元評議員たちを守る事。そして口は堅いと思うが、なるべく情報を引き出せ。他の元評議員の住所……冥府の門(タルタロス)、そして狙われる理由。もしもラクサスたちを襲った者、魔障粒子を持つ者に会ったら、警戒しつつ血液を採取してきな。ラクサスたちを治すワクチンを作れるかもしれない」

 

 

ポーリュシカからの説明を聞いて、メンバーたちはそれぞれ念入りに準備を行いながら頷いた。

 

 

そして集結したメンバーたちの前に立ち、マカロフが高らかに声を張り上げる。

 

 

 

「敵は冥府の門(タルタロス)!!!! 六魔将軍(オラシオンセイス)悪魔の心臓(グリモアハート)無限の欲望(アンリミテッドデザイア)に並ぶバラム同盟の一角!!!! しかしワシ等はその3つを撃破してきた!!!! 冥府の門(タルタロス)も同じように、我々を敵に回した事を後悔するだろう!!!!

 

 

仲間がやられた!!!! それは自身の痛み!!!! 仲間の流した血は我が体より流れた血と同じ!!!! この痛みを…苦しみを闘志と変えて敵を討て!!!! 我等は正義ではない!!!! 我等は意志で動く!!!!」

 

 

マカロフの言葉を一言一句聞き逃さずに、その胸に刻み込むメンバーたち。

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「我等が絆と誇りにかけて──家族の敵を駆逐する!!!!!!」

 

 

『『『オオオォォォォオッ!!!!!』』』

 

 

 

 

 

仲間の為…家族の為…絆の為に……妖精の尻尾(かれら)は立ち上がった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

「……という訳で、しばらくあなたの身の回りの警護をさせてください、ミケロ老師」

 

 

ナツとティアナとウェンディ、そしてハッピーとシャルルがやって来たのは元評議員の1人であるミケロ老師の自宅であった。

 

 

「気持ちは嬉しいが、ハッキリ言って迷惑じゃよ。だいたいどうやってウチの住所を?」

 

 

「まあまあ、同じネコ同士じゃない」

 

 

「誰がネコじゃ!!!」

 

 

ティアナが説明した警護の話だが、ミケロ本人はいい顔をしなかった。元々彼は評議員だった頃、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を嫌悪していたのだから当然といえば当然である。

 

 

「お前らの事はよく知ってるぞ。とんだ迷惑ギルド。そもそも今回の件だって、ワシが囮って事じゃないか」

 

 

「私たちが来ても来なくても冥府の門(タルタロス)には標的にされてるのよ。囮とは違うでしょ」

 

 

「冗談じゃない。狙われるとわかっててじっとしてるバカがどこにおる。ワシは出ていくよ、探さんでくれ」

 

 

「おじいちゃん、せっかく来てくれたのに失礼よ」

 

 

「ミケリア」

 

 

そこへお茶をもってやって来たのは、ミケロの孫娘であるミケリア。

 

 

「(この人がロキさんと……)」

 

 

彼女を見た途端、ロキから聞かされた話を思い出したウェンディは顔を真っ赤にしていた。

 

 

「協力しましょ、現評議員は全滅したの。おじいちゃん! 元評議員として放っておけるの?」

 

 

「…………」

 

 

ミケリアにそう説得されるも、渋い顔を浮かべているミケロ。そんなミケロに対してティアナが質問する。

 

 

「ところで、元評議員まで狙われる理由について何か心当たりはありませんか?」

 

 

「ありすぎて纏まらんよ。ワシ等に恨みを持つ連中は闇ギルドだけじゃないしね」

 

 

「恨みなんかじゃないわ。絶対に何か別の理由で評議員を狙ってる」

 

 

「思い当たるフシはないのう……いや……まてよ…まさかフェイス……」

 

 

シャルルの言葉を聞いて、何か狙われる理由になる事を思い出したのか、ミケロの表情が変わる。

 

 

だがその時……

 

 

「! 全員伏せろォォォ!!!!」

 

 

「「きゃ!!」」

 

 

「何じゃ!?」

 

 

「じっちゃんもマゴも!!!!」

 

 

「ひいい!」

 

 

「きゃあ!」

 

 

「この匂い!!!!」

 

 

「何!!?」

 

 

突然何かを感じ取ったナツがその場にいた全員を床に押し倒して伏せさせる。

 

 

そして次の瞬間……凄まじい大爆発がミケロの家を襲った。

 

 

「ワ…ワシの家がーー!!!!」

 

 

「くっ…これは!?」

 

 

「何ですかコレ……!!」

 

 

「みんな無事!?」

 

 

「あい」

 

 

「爆発したのに助かった!?」

 

 

今しがたの爆発で家は粉々に吹き飛んだが、中にいた者たちは全員無事であった。

 

 

「ふぅ…何とか食うの間に合った」

 

 

「食べ…え!?」

 

 

どうやら爆炎が広がる前にナツが爆炎全てを食い尽くしたらしい。

 

 

「おろ? 全員ぶっ飛ぶ思うたんやけどな」

 

 

「「「!!」」」

 

 

すると、吹き飛んだ屋根の上から聞こえてきた声に、全員の視線がそちらに向けられる。

 

 

「現評議員みたいに。ワハハ」

 

 

そう言って笑うのはERAを破壊し、現評議員を壊滅させた張本人であり…冥府の門(タルタロス)の九鬼門の1人であるジャッカル。

 

 

冥府の門(タルタロス)か」

 

 

ナツがジャッカルを睨みながらそう呟くと、それに気づいたジャッカルもナツを睨み返しながら口を開く。

 

 

 

 

 

「誰やワレェ」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のナツだ。始めるか、冥府狩りを」

 

 

 

 

 

今ここに……妖精と冥府の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

つづく

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