LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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終戦

 

 

 

 

 

ファントムのギルドから発せられた眩い輝き。その輝きで、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルド前で戦っていたメンバーは目を覆う。

 

 

「うわっ!? 何だよこの光!!?」

 

 

「眩しいっ!!」

 

 

「ぬうっ!!」

 

 

ヴィータ、シャマル、ザフィーラを初めとしたメンバーが戸惑っていると……

 

 

ぶしゅっ

 

 

「え!?」

 

 

なんと、突然近くに居たシェイドが消滅した。

 

 

幽兵(シェイド)が…!!?」

 

幽兵(シェイド)だけが」

 

「次々消えていく!!!」

 

 

次々と消滅していくシェイドを見て驚愕するギルドメンバー。

 

 

「でも、アタシ達はなんともねーぞ?」

 

 

「これは…優しい光……?」

 

 

ヴィータとシャマルが戸惑っていると、ザフィーラが口を開いた。

 

 

「これはもしや……妖精の法律(フェアリーロウ)か?」

 

 

「フェアリーロウ?」

 

 

「あぁ…以前、酒の席でマスターに聞いたことがある。聖なる光をもって闇を討つ。術者が敵と認識したものだけを討つ。伝説の一つに数えられる超魔法だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三十一話

『終戦』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖精の法律(フェアリーロウ)の輝きが消えると、そこには残ったのは術者であるマカロフと…光を受けて体中の色素が落ち、まるで石像のように固まっているジョゼの姿があった。

 

 

「二度と妖精の尻尾(フェアリーテイル)に近づくな。ここまでハデにやらしちゃあ評議員も黙っておらんじゃろ。これからはひとまず、テメェの身の心配をすることだ。お互いにな」

 

 

そう言って固まっているジョゼに背を向けて歩き出すマカロフ。だがその時、彼の背後からスウゥゥっとアリアが姿を現した。

 

 

「(あの時と同じ!!! スキだらけ!!! もらった!!!)」

 

 

そしてそのままマカロフに不意打ちを仕掛けようとするが……

 

 

「あぐぁ!!!」

 

 

マカロフは後ろを向いたまま腕を振るい、アリアを殴り飛ばした。

 

 

「もう終わったんじゃ。ギルド同士のケジメはつけた。これ以上を望むなら、それは〝掃滅〟跡形もなく消すぞ」

 

 

その言葉と同時に、アリアは気絶した。

 

 

「ジョゼを連れて帰れ。今すぐに」

 

 

そう言い残して、マカロフはその場を後にしたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「勝ったぁ!!! ファントムに勝ったぞぉぉお!!!!」

 

 

ファントムに勝利したと言う事実に湧き上がるギルドメンバー達。そこへ、なのはやエルザなどギルドへ突入したメンバー達。そしてルーシィが合流した。

 

 

「はやてーー!! アタシ達、ギルドを守りきったぜーー!!」

 

 

「うん! お疲れさんやヴィータ。シャマルとザフィーラもな」

 

 

「はい! はやてちゃんとリィンフォースもお疲れ様です!」

 

 

「ご無事で何より」

 

 

お互いの無事を喜び合うヴォルケンリッター。

 

 

「……ん?」

 

 

すると、シグナムはある事に気がついた。

 

 

「エルフマン! アギトとあの男はどうした?」

 

 

「あいつらならそこに……あれ? さっきまでそこに寝かしといたんだが……」

 

 

そう…いつの間にか、一緒に脱出したゼストとアギトの二人が居なくなっていたのだ。

 

 

「ん? ナツとティアナはどうした?」

 

 

ナツが居ないことに気付いたエルザがハッピーに尋ねる。

 

 

「あい。用事があるからって。ティアナはその付き添い」

 

 

「用事?」

 

 

「用事って何の?」

 

 

「たいした事じゃないのです」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

ファントムのギルドに残ったナツとティアナ。その二人の視線の先には、倒れているガジルと、それに寄り添っているルーテシアの姿があった。

 

 

「よお。聞こえるかガジル……」

 

 

「……………」

 

 

「ま…まあ…いいや……声出すのもしんどいから…手短に……聞くぞ……お前…滅竜魔法…どこで…覚えた…?」

 

 

「……………」

 

 

ナツはそう問い掛けるが、うつ伏せに倒れたままガジルは答えない。

 

 

「オイ!! 同じ魔法使える奴に初めて会ったんだ!! そんくれー教えてくれても…」

 

 

「うるせぇ…」

 

 

「ガジル!」

 

 

そう呟きながらゆっくりと起き上がるガジル。そしてそんなガジルをルーテシアが支える。

 

 

「メタリカーナ」

 

 

「!」

 

 

「鋼鉄のドラゴン…メタリカーナだ」

 

 

「やっぱりドラゴンに教えてもらったのか!?」

 

 

「お前もか」

 

 

「そいつ今どうしてる?」

 

 

「……さぁな」

 

 

「そ・い・つ・い・ま!!! ど・う・し・て・る!!!!」

 

 

「知らねえって言ってんだろーが!!! クズがっ!!!」

 

 

ゴッとお互いに頭をぶつけて怒鳴りあうナツとガジル。

 

 

「あたた…」

 

 

「いてぇ…」

 

 

「ハァ…二人揃ってバカね」

 

 

「ガジル……大丈夫?」

 

 

その様子を見て溜め息をつくティアナとガジルの心配をするルーテシア。

 

 

「テメェなんかと話してると脳みそが灰になっちまいそうだ」

 

 

「何だとぉ!!?」

 

 

ガジルの言葉に突っかかるナツ。すると、ガジルが先ほどの問いに答えた。

 

 

「消えたんだよ」

 

 

「!!?」

 

 

「メタリカーナはある日突然オレの前から消えた。何も言い残さず……な」

 

 

それを聞いて、ナツは目を見開く。

 

 

「まったく……勝手なヤローだぜ……」

 

 

「オ…オイ…それは7年前の7月7日じゃねーだろうな」

 

 

それを聞いて、今度はガジルが目を見開く。

 

 

「お前メタリカーナの居場所知ってんのか?」

 

 

「バカ言え!! オレが探してんのはイグニール!!! 炎のドラゴンだ」

 

 

すると、二人のやり取りを見ながら話を聞いていたティアナが口を開いた。

 

 

「と言う事は、7年前…777年の7月7日に二頭のドラゴンが消えたってことね」

 

 

「何で7ばっか並んでんだよ?」

 

 

「知らないわよ」

 

 

「ふん……まあオレにはどうでもいいことだ」

 

 

そう言ってガジルはルーテシアと共に立ち上がり、そのまま立ち止まる。

 

 

「行くなら早く行けよ」

 

 

「ここはオレたちのギルドだっ!!! テメェ等が出てけっ!!!」

 

 

「はいはい…言われなくても出て行くわよ」

 

 

「イグニールの事、なんかわかったら教えてくれよ」

 

 

「何でオレがっ!!! テメェなめてんのか!!!」

 

 

「同じ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)じゃねーか」

 

 

「次に会ったらぶっ殺ス!! 絶対にな!!! 首洗って待ってな!!!」

 

 

「ぶっそうな奴だなぁ。これでおあいこだから仲直りしてやろーと思ったのに」

 

 

「物騒はどっちだテメェ!!! ギルドをこんなにしやがって!!!」

 

 

「お前らだってオレ達のギルドめちゃめちゃにしたじゃねーか!!!」

 

 

「お前らのギルドは良くて半壊だろ!!! こっちは全壊してんだぞコラァ!!!」

 

 

そんな二人の言い争いを、ティアナは呆れ顔、ルーテシアは無表情で眺めていたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ったくあのヤロー…なめやがって……」

 

 

「………………」

 

 

ナツとティアナが去った後、ガジルとルーテシアの二人はその場に残っていた。

 

 

「さーて…これからどうすっかなぁ。こんだけハデにやりゃあ、ファントムもオシマイだしな」

 

 

そう言って床にゴロンと寝転がるガジル。すると……

 

 

「ここに居たのか、二人とも」

 

 

「んあ? 何だテメェ等か」

 

 

声を掛けられたので見てみると、そこにはゼストとアギトが立っていた。

 

 

「アギト……」

 

 

「よおルールー! 無事だったみてーだな!!」

 

 

そう言って軽いハイタッチを交わすアギトとルーテシア。

 

 

「ガジル……お前はこれからどうする?」

 

 

「さぁな……テキトーなギルドにでも入って仕事でもするさ。そう言うテメェはどうすんだよ、ゼスト?」

 

 

「………オレは…しばらく旅をしようかと思う」

 

 

「旅だぁ?」

 

 

ゼストの言った言葉に反応し、身体を起こすガジル。

 

 

「あぁ…今日、妖精女王(ティターニア)と戦ってわかった。オレはまだまだ弱い……しばらくはフリーの魔導士として流れることにする」

 

 

「ケッ…ご苦労なこって」

 

 

「そこで、一つ頼みがあるんだが……」

 

 

「頼み?」

 

 

「アギトとルーテシアのこと……しばらくお前に頼んでもいいか?」

 

 

それを聞いたガジルはゼストに突っかかる。

 

 

「あぁ!? ふざけんな!! オレにガキのお守りをしろってのか!!?」

 

 

「お前はいつもルーテシアと一緒にいるだろ?」

 

 

「あいつは特に騒ぎもしねーし、居ても問題ねーから置いてるだけだ!! アギトは喧しいことこの上ねえだろうが!!!」

 

 

「それでもだ。頼んだぞ、ガジル」

 

 

そう言ってポンッとガジルの肩に手を置くゼスト。

 

 

 

「ふ…ふざけんなぁぁぁぁあああ!!!!」

 

 

 

そんなガジルの絶叫に似た声が……全壊したファントムのギルド全体に響き渡ったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後、ギルドメンバーと合流したナツとティアナ……そしてマカロフは半壊したギルドの前に立っていた。

 

 

「こりゃあまた……ハデにやられたのう……」

 

 

「あ…あの……マスター……」

 

 

「んー? お前もずいぶん大変な目にあったのう」

 

 

申し訳無さそうにするルーシィにそう言うマカロフ。それでもルーシィは罪悪感を感じている。

 

 

「そーんな顔しないのルーちゃん」

 

 

すると、そんなルーシィに声をかける人物が居た。

 

 

「みんなが力を合わせた大勝利なんだよ」

 

 

「ギルドは半分壊れちまったけどな」

 

 

「そんなのまた直せばいいんだよ」

 

 

「ウイ」

 

 

それはケガをしたシャドウ・ギアの三人とリーダスだった。

 

 

「レビィちゃん…リーダス…ジェット…ドロイ……」

 

 

「心配かけてゴメンね、ルーちゃん」

 

 

「違…う…それは…あたしの……」

 

 

「話は聞いたけど、誰もルーちゃんのせいだなんて思ってないんだよ」

 

 

「オレ……役に立たなくて…あの…あの……ゴメン……」

 

 

涙を流すルーシィにリーダスはそう謝罪すると、ルーシィは黙って首を横に振る。すると、マカロフが口を開く。

 

 

「ルーシィ。楽しいことも、悲しいことも、全てとまではいかないが、ある程度は共有できる。それがギルドじゃ」

 

 

マカロフの言葉をルーシィだけではなく、ナツやティアナ…なのはやグレイ達も黙って聞いている。

 

 

「一人の幸せはみんなの幸せ。一人の怒りはみんなの怒り。そして一人の涙はみんなの涙。自責の念にかられる必要はない。君にはみんなの心が届いているハズじゃ。顔を上げなさい」

 

 

そう言って、マカロフはルーシィに微笑みかけ……

 

 

 

「君は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員なんだから」

 

 

 

と言った。それを聞いたルーシィは目から大量の涙を流し、大声を上げて泣いたのだった。

 

 

「なははははっ!! これで一件落着だな!!!」

 

 

「あい!」

 

 

そう言ってナツはボロボロに半壊したギルドに歩み寄る。

 

 

「さっさとギルド直して、仕事再開させよーぜ!!!」

 

 

ギルドの壁をポンッと叩きながらそういうナツ。すると……

 

 

 

ガラガラガッシャァァァァアアン!!!!!

 

 

 

一瞬にしてギルドが瓦礫の山へと変わってしまった。

 

 

『……………………』

 

 

(゜□゜)(゜□゜)(゜□゜)

 

 

先ほどまで泣いていたルーシィを含めて、全員がこんな顔をして呆然と瓦礫の山となったギルドを眺める。

 

そしてすぐに…全員の怒号が響き渡る。

 

 

 

 

 

『ナァァァァツゥゥゥゥウウウ!!!!!』

 

 

 

「ごめんなさぁぁぁぁあああい!!!!!」

 

 

 

 

 

こうして、長かったファントムとの戦いの幕が閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

つづく

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