LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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間話
事件解決後


 

 

 

 

 

ファントムとの戦いが終わって一週間が過ぎた。

 

ナツが誤ってギルドを崩壊させてしまってすぐ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は評議院の軍隊によって取り囲まれてしまったのである。

 

 

「全員動くな!!! 我々は評議院傘下強行検束部隊〝ルーンナイト〟だ!!!」

 

 

「評議院!?」

 

 

「あちゃー」

 

 

「もう嗅ぎつけてきちゃったの!?」

 

 

現れたルーンナイトにフェイト、グレイ、なのはは驚き…

 

 

「「逃げろーーっ!!!」」

 

 

「逃げられるわけないでしょバカコンビ」

 

 

逃げようとするナツとスバルをティアナが呆れながら止め…

 

 

「あーん」

 

 

「マスター! そない泣かんと……!」

 

 

「じいちゃん! 気をしっかり持て!!」

 

 

泣き喚くマカロフをはやてとヴィータが慰めていたのだった。

 

 

結局…妖精の尻尾(フェアリーテイル)は事情聴取の為に軍の駐屯地に連行されてしまった。毎日のように取調べを受け、一週間をたった現在、ようやく落ち着いてきたのだ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)に対する処分は評議会の後、後日下されることとなったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三十二話

『事件解決後』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トンテンカントンテンカン!

 

 

そして、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルド跡地。そこでは崩れたギルドを立て直すため、メンバー総出で土木作業をしていた。

 

 

「ねぇティア…」

 

 

「なによ?」

 

 

そんな中、木材を運んでいたスバルが隣を歩くティアナに声をかける。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)…どうなっちゃうんだろ? まさか解散なんてことないよね?」

 

 

不安そうな声でそう問い掛ける。どうやら後日下される評議院の決断に不安を感じているようだ。

 

 

「ハァ…大丈夫よ」

 

 

そんなスバルに対し、ティアナは溜め息混じりに答えた。

 

 

「状況証拠や目撃証言はファントムの襲撃を立証してる。妖精の尻尾(わたしたち)は完全な被害者側よ。まぁそれでもギルド間抗争禁止条約にに違反してるから何らかの罰は下されると思うけど、そんなに重くはないと思う。だから心配ないわよ」

 

 

ティアナがそう説明すると、スバルは顔を綻ばせる。

 

 

「そっか…そうだよね!! よかった~!!」

 

 

心底嬉しそうにそう言うスバル。そんなスバルを見てティアナは呆れながらも微笑を浮かべた。

 

 

『おーいスバルにティアナ! こっちに木材くれ!!』

 

 

「あ、はーい! 行こっ、ティア!」

 

 

「はいはい」

 

 

そう言って二人は仲良く木材を運んでいった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「お~も~て~えぇ~」

 

 

一方別の場所では、ナツが数本の木材を一気に持ち上げて運んでいた。

 

 

「ナツ、一度にそんなに持つからだよ」

 

 

「バカじゃねーの?」

 

 

同じく木材を担いだユーノとグレイが呆れた目でナツを見ていると……

 

 

「じーー」

 

 

物陰からジッとグレイを見つめる一人の少女…ジュビアの姿があった。

 

 

「?」

 

 

ささっ

 

 

しかし、グレイが視線を向けるとジュビアはすぐに隠れてしまった。

 

 

「ははっ!! グレイは軟弱だからそれが限界なんだろーなぁ!!」

 

 

「ア? オレがその気になればテメェの倍はいけるっての!!!」

 

 

「いや、グレイ…別に挑発に乗る必要は……」

 

 

ユーノの制止を無視して、グレイはナツよりも大量の木材を抱え始める。

 

 

「お…おう…ど……どうよ」

 

 

明らかに辛そうだが、何とか抱えてみせるグレイ。

 

 

「(パチパチパチ)」

 

 

そんなグレイを見て、先ほどの物陰から見ているジュビアが拍手していた。

 

 

「ん?」

 

 

ささっ

 

 

しかしグレイが視線を向けると、ジュビアは再び隠れてしまう。その瞬間……

 

 

ガラガラガラ!!

 

 

「ぐほぉっ!!!」

 

 

抱えていた木材が崩れ、グレイは下敷きになってしまった。

 

 

「なっさけなーーっ!!! 見たかハッピー今の」

 

 

「あい」

 

 

「だから言ったのに……」

 

 

それを見てナツとハッピーは爆笑し、ユーノは呆れていた。すると……

 

 

「おいお前達。遊んでるヒマがあったらさっさと運ばんか。一刻も早くギルドを修復するんだ」

 

 

「エルザさん気合入ってるの」

 

 

土木作業着に換装したエルザといつもと違って動き易い服装に着替えたなのはがやって来た。

 

 

「(あれが高町なのは………恋敵!!!)」

 

 

そんななのはを、ジュビアは物陰から黒いオーラを出しながら睨みつけていた。

 

 

「気合入っとる言うたらマスターもやけどな」

 

 

はやての言う通り、マカロフは土木作業着を着て巨大化して木材を組み立てていた。

 

 

「この機会に改築する言うて図面まで描いとったからなぁ」

 

 

「でもよ、パースとかがヘタいんだよなぁコレ」

 

 

遠近法(パース)なんて昔の画家の目の錯覚じゃ。芸術は自由でなくてはいかん」

 

 

「建物の設計図がこんなんじゃ完成するわけねーだろ!!!」

 

 

「いくら何でもこれを芸術ゆうんわ無理あるでマスター!!!」

 

 

はやてとヴィータがマカロフが描いた設計図に文句を言うが、マカロフは無視して作業を続けている。

 

 

「ぐぇー腹減ったぁ」

 

 

「そういやオレも腹減ってきたな」

 

 

すると、ナツが空腹でその場に倒れ、それを見てグレイがそう呟く。

 

 

ピューー! さっ

 

 

「うおっ!?」

 

 

それと同時に、グレイの前に素早くジュビアが通り過ぎ、気がつけば彼の手には一つの包みがあった。

 

 

「何だ今の?」

 

 

「女の子みたいだったけど…」

 

 

通り過ぎていったジュビアにナツとユーノが首を傾げている間に、グレイは包みを開けていた。

 

 

「てか…これ…弁当!!?」

 

 

「おおお!! よくわかんねえけど美味そうじゃねーか」

 

 

包みの中身は美味しそうなお弁当であった。

 

 

「冗談じゃねえ。こんな得体のしれねぇモン食えるかよ」

 

 

その言葉に物陰に隠れているジュビアはガーンっとショックを受ける。

 

 

「んじゃオレもらっていい?」

 

 

「いーよ」

 

 

そのままグレイがナツに弁当を渡してしまい、ジュビアはガックリと肩を落とした。

 

 

「いただきまーす」

 

 

そしてナツが弁当に手を伸ばしたその時……

 

 

「はいストップ」

 

 

「いって!」

 

 

なのはがナツの手をパシンッと叩いてそれを止め、弁当を取り上げた。

 

 

「何すんだよ!?」

 

 

「ナツ君にこれを食べる権利はありませーん」

 

 

そう言ってなのはは取り上げた弁当をグレイへと差し出した。

 

 

「グレイ、このお弁当はさっきの女の子が一生懸命作ったんだよ? それを得体の知れないモノだなんて、ちょっと酷いんじゃないかな?」

 

 

「うっ……」

 

 

なのはにそう指摘され、バツが悪そうな顔をするグレイ。

 

 

「それともなに? グレイはそうやって女の子の純粋な気持ちを平気で踏みにじるのかな?」

 

 

「ぐっ……わーったよ!! 食えばいいんだろ食えば!!!」

 

 

ついに折れたグレイはなのはから弁当を受け取り、手掴みで弁当のおかずを口に運び、そのまま咀嚼する。

 

 

「どう?」

 

 

「……うめぇ」

 

 

「うん! よろしい♪」

 

 

そう言うと、なのはは満足そうに笑い、物陰に隠れているジュビアへと視線を向けた。

 

 

「(やったね?)」

 

 

「!!」

 

 

そしてジュビアに向かって小さく手を振りながらウィンクをしたのだった。

 

 

「ちぇー食いたかったのになぁ……」

 

 

「あとでティアナに作ってもらえば?」

 

 

「そうすっか」

 

 

ナツとハッピーがそんな会話をしていると……

 

 

「ナツ…ユーノ…」

 

 

「「!!」」

 

 

突然呼ばれたので振り返って見ると、そこにはやつれた顔をしたロキが立っていた。

 

 

「こ…これ…ルーシィに渡しといてくれるかな」

 

 

そう言ってロキが差し出したのは、ルーシィが失くした星霊の鍵の束だった。

 

 

「これは…ルーシィの鍵? もしかしてロキ!! しばらく見ないと思ったら、ずっとコレ探してたの!!?」

 

 

「いや…ははは……つらいね、フェミニストは」

 

 

「一言声をかけてくれれば手伝ったのに」

 

 

「そ…それより、ルーシィはどうしてる……かな?」

 

 

「家にいるんじゃねーか?」

 

 

「そっか」

 

 

それを聞いて、ロキは少し安心したようにサングラスを押し上げる。

 

 

「たまには遊びに行くか!!」

 

 

「あいっ!!」

 

 

「だな……ちょっと心配だしな。なのは、お前はどうする?」

 

 

「んー…今回は遠慮しようかな。ちょっとやる事もあるし」

 

 

「僕も行きたいのは山々なんだけど…ちょっと、今日中に書き上げないといけないレポートがあって……」

 

 

「そっか、そういやお前は考古学者としての仕事もあったっけな」

 

 

「基本はギルド優先なんだけどね」

 

 

申し訳なさそうに言うなのはとユーノ。

 

 

「ロキ…お前、ルーシィん家初めてだろ?」

 

 

「いや…僕は行かないよ。知ってるだろ? 星霊魔導士にはやな思い出が…」

 

 

そう言って断るロキ。

 

 

「そっか。ルーシィはルーシィなのになぁ」

 

 

「…………?」

 

 

そんなロキの悲しげな表情を見て、グレイは首を傾げる。すると……

 

 

「貴様等!!! どこへ行くつもりだ!!! 働けぇ!!!」

 

 

「!!!」

 

 

「逃げろーー!!!」

 

 

エルザに見つかり、ナツとグレイとハッピーは一目散に逃げて行った。そしてその場には、なのは、ユーノ、ロキの三人が残された。

 

 

「それじゃあユーノ君、ロキさん。私もやる事があるから」

 

 

「うん、わかった」

 

 

「またね」

 

 

そう言ってなのはも去って行き、ユーノとロキの二人が残った。

 

 

「「……………」」

 

 

しばしの沈黙のあと、ユーノがゆっくりと口を開いた。

 

 

「ねぇロキ……まだ…自分が許せない?」

 

 

「………………」

 

 

ユーノの問いに、ロキは何も答えない。それでもユーノは構わず問い続ける。

 

 

「君はもう、十分苦しんだじゃないか……これ以上苦しむ必要なんてない……」

 

 

「………………」

 

 

ロキは何も答えない。

 

 

「ロキ……いや……」

 

 

ユーノは一呼吸置いて、再び口を開く。

 

 

 

「星霊……獅子宮のレオ」

 

 

 

「…………!」

 

 

そう呼ばれたロキは顔を俯かせる。

 

 

「レオ…そろそろ自分を許してやりなよ。星霊界に帰る方法がないなら、僕も協力するから。それに…このままだと君はいずれ……」

 

 

「わかっているさ」

 

 

ユーノの言葉を遮って、ようやくロキが口を開く。

 

 

「自分のことは自分がよく分かっている……もう僕の命が…長くないこともね」

 

 

「だったら……!」

 

 

「それでも……こうでもしない限り…僕の罪は消えないんだ……」

 

 

そう言い残して、ロキはユーノに背を向けて歩き去って行った。

 

 

「……ロキ……」

 

 

そんなロキの背中を、ユーノは悲しげな表情で見送っていたのだった。

 

 

「(やっぱり……彼を救えるのは君しかいないようだね……ルーシィ)」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方、ユーノとロキと分かれたなのはは、近くの物陰にゆっくりと歩み寄り……

 

 

「こんにちは♪」

 

 

「!!!」

 

 

そこに隠れていたジュビアに話しかけた。

 

 

「えっ!? あっ!!? なななな……!!」

 

 

「落ち着いて」

 

 

突然の出来事に慌てふためくジュビアを落ち着かせるなのは。

 

 

「えっとまずは……初めまして、高町なのはです♪」

 

 

「……ジュビア…ロクサー……」

 

 

笑顔で自己紹介をするなのはに対して、ジュビアは戸惑いながらも自身の名を言う。

 

 

「ジュビアか、いい名前だね」

 

 

そう言うと、なのはは早速本題は切り出した。

 

 

「ところでさ、ここ一週間ずっと物陰からグレイのことを覗いてるけど……」

 

 

「っ……!!」

 

 

なのはにそう言われ、ジュビアはビクッと体を強張らせる。

 

 

「大丈夫、怒ってるわけじゃないから。ただ、どうしてなのかなぁって思って」

 

 

「ジュ…ジュビアは……」

 

 

なのはの問い掛けに戸惑うジュビア。そして……

 

 

「ジュビアはグレイ様のことが……す、好きなんですっ!!!」

 

 

と、なのはに向かって意を決したようにそう答えたジュビア。それに対しなのはは……

 

 

 

「あ、やっぱりそうなんだ~」

 

 

 

「へ?」

 

 

意外とあっさりとしたなのはの態度に、ジュビアは呆気に取られる。

 

 

「にゃはは…グレイはカッコイイからね~惚れちゃうのもわかるよ♪」

 

 

そんなジュビアとは対照的にのほほんとした態度で会話をするなのは。

 

 

「あ、あの……高町さん…」

 

 

「なのはでいいよ」

 

 

「……なのはさん、あなたはグレイ様のことは……?」

 

 

「? 好きだよ」

 

 

ジュビアの問いに首を傾げながら答えるなのは。

 

 

「では、私とあなたは恋敵という事に……」

 

 

「んーそうなるのかなぁ? でもね……」

 

 

なのはは一呼吸置いたあと、ニッコリと純粋な笑顔を浮かべ……

 

 

 

 

 

「私はジュビアちゃんとは友達になりたいな」

 

 

 

 

 

と、ジュビアに向かって言い放ったのであった。

 

 

 

 

つづく

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