LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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ネコファイト

 

 

 

エルザの過去を聞いた一同はしばらく呆然としていた。そして最初にグレイが口を開いた。

 

 

「ちょっと待てよエルザ……話の中に出てきたゼレフって…」

 

 

「ああ……魔法界の歴史上、最凶最悪と言われた伝説の黒魔導士」

 

 

「た…確か呪歌(ララバイ)から出てきた怪物もゼレフ書の悪魔って言ってたよね」

 

 

ルーシィは以前の呪歌(ララバイ)事件の時に遭遇した怪物の事を思い出す。

 

 

「それだけじゃない…おそらくあのデリオラも、ゼレフ書の悪魔の一体だ」

 

 

「!!!」

 

 

グレイは自分の因縁のある悪魔がゼレフ関係の悪魔であった事に目を見開いて驚愕する。

 

 

「ゼレフとはあれほどの恐ろしい魔物を簡単に造り出すことが出来るほどの魔力を持っていた」

 

 

「ジェラールはそのゼレフを復活させようとしてるってことですか?」

 

 

ジュビアの問い掛けにエルザは頷く。

 

 

「動機はわからんがな……ショウ…かつての仲間の話では、ゼレフ復活の暁には〝楽園〟にて支配者になれるとかどうとか…」

 

 

「ねぇエルザ……そのかつての仲間たちの事なんだけど、どうしてあの人たちはエルザを裏切り者って呼んでるの? 話を聞く限りだと、裏切ったのはジェラールなんじゃ……」

 

 

「私が楽園の塔を追い出されたあと、ジェラールに何かを吹き込まれたんだろうな」

 

 

フェイトの問いにエルザはそう答えながら顔を俯かせる。

 

 

「しかし私は8年も彼等を放置した。裏切ったことには変わりない」

 

 

「でもそれはジェラールに仲間たちの命を脅されてたから近づけなかったんじゃない!! それなのにあいつら…!!」

 

 

「もういいんだルーシィ。私がジェラールを倒せば全てが終わる」

 

 

ルーシィの反論を遮ってそう言うエルザ。しかし、グレイとフェイトはどうにも納得のいかない表情をしていた。

 

 

「(本当にそうなのか?)」

 

 

「(エルザがさっき言ってた、あの言葉……)」

 

 

―この戦い…勝とうが負けようが、私は表の世界から姿を消すことになる―

 

 

「(あれが妙に引っかかる)」

 

 

先ほどのエルザの言葉に妙な引っかかりを覚えるグレイとフェイト。すると……

 

 

「姉さん」

 

 

突然声が聞こえ、全員がそちらに視線を向けると、エルザを連れ去った四人組の一人……ショウが歩み寄ってきていた。

 

 

「その話……ど…どういう事だよ?」

 

 

「ショウ…」

 

 

どうやら先ほどのエルザの話を聞いていたようで、その表情には驚愕と困惑の色が見て取れた。

 

 

「そんな与太話で仲間の同情を引くつもりなのか!! ふざけるな!! 真実は全然違う!!!」

 

 

そう怒鳴り散らしながら、ショウは〝自分の中の真実〟を語る。

 

 

「8年前、姉さんはオレたちの船に爆弾を仕掛けて一人で逃げたんじゃないか!!! ジェラールが姉さんの裏切りに気付かなかったら、全員爆発で死んでいたんだぞ!!! ジェラールは言った!!! これが〝魔法〟を正しい形で習得できなかった者の末路だと!!! 姉さんは魔法の力に酔ってしまって、オレたちのような過去を全て捨て去ろうとしてるんだと!!!」

 

 

必死の表情でそう語るショウ。だが……

 

 

「ジェラールが、言った?」

 

 

グレイのその言葉に、言葉を失った。

 

 

「あなたの知ってるエルザは、そんな事をする人だったのかな?」

 

 

「思い出してみて。あなたの中にいる…本当のエルザを」

 

 

続けてルーシィとフェイトがそう言うと、ショウは動揺しながらも口を開いた。

 

 

「お…お前たちに何がわかる!!! オレたちのこと何も知らないくせに!!! オレにはジェラールの言葉だけが救いだったんだっ!!! だから!!! 8年もかけてこの塔を完成させた!!! ジェラールの為に!!!」

 

 

悲痛な叫び声を上げながら語るショウ。握り締めた拳はプルプルと震えている。

 

 

「その全てが…ウソだって? 正しいのは姉さんで、間違ってるのはジェラールだと言うのかっ!!!?」

 

 

「そうだ」

 

 

ショウの必死の問い掛けに何も答えないエルザの代わりに、別の人物がハッキリと答えた。その人物とは……

 

 

「シモン!!!?」

 

 

グレイとジュビアを襲った巨漢の男…シモンであった。

 

 

「てめ…」

 

 

「待ってくださいグレイ様!!」

 

 

現れたシモンに敵意を向けるグレイだが、それをジュビアに止められる。

 

 

「あの方はあの時、グレイ様が氷の人形(みがわり)と知ってて攻撃したんですよ」

 

 

「何!!?」

 

 

「暗闇の術者が、辺りを見えてないわけがないんです。ジュビアがここに来たのは、その真意を確かめる為でもあったんです」

 

 

「さすがは噂に名高いファントムのエレメント4」

 

 

ジュビアの言葉に、シモンは関心したようにそう言う。

 

 

「誰も殺す気はなかった。ショウたちの目を欺く為に気絶させるつもりだったが、氷ならもっとハデに死体を演出できると思ったんだ」

 

 

「オ…オレたちの目を欺くだと!?」

 

 

「お前もウォーリーもミリアーナも、みんなジェラールに騙されているんだ。機が熟すまで、オレも騙されてるフリをしていた」

 

 

「シモン…お前…」

 

 

「オレは初めからエルザを信じてる。8年間、ずっとな」

 

 

照れくさそうな笑みを浮かべながらそう語るシモンに、エルザも歓喜の笑みを浮かべた。

 

 

「会えて嬉しいよエルザ、心から」

 

 

「シモン…」

 

 

そう言ってお互いを抱き締めあい、再会を喜ぶエルザとシモン。その様子をグレイたちも微笑ましく見ている。

 

 

「なんで…みんなそこまで姉さんを信じられる……何で……何でオレは姉さんを……信じられなかったんだ」

 

 

そう言うと、ショウはその場に膝をついて泣き崩れる。

 

 

「くそぉおおおおっ!!! うわああぁあぁ!!!!」

 

 

悲痛な叫び声を上げながら泣き喚くショウ。

 

 

「何が真実なんだ!!? オレは何を信じればいいんだ!!!」

 

 

8年間ずっと信じてきたモノに裏切られ、悲しみに暮れるショウ。そんなショウを、エルザは優しく抱き締めた。

 

 

「今すぐに全てを受け入れるのは難しいだろう。だが、これだけは言わせてくれ。私は8年間、お前たちの事を忘れた事は一度もない。何も出来なかった……私は…とても弱くて……すまなかった」

 

 

ショウを抱きしめながら、エルザはそう謝罪する。

 

 

「だが今なら出来る。そうだろ?」

 

 

シモンの言葉に頷くエルザ。

 

 

「ずっとこの時を待っていたんだ。強大な魔導士がここに集うこの時を」

 

 

「強大な魔導士?」

 

 

「ジェラールと戦うんだ。オレたちの力を合わせて。まずは火竜(サラマンダー)幻銃士(ミラージュガンナー)の二人がウォーリーたちが激突するのを防がねば。ジェラールと戦うには、あの二人の力が絶対に必要なのだ。火竜(サラマンダー)ナツ……そして……」

 

 

シモンは一呼吸置いて、再び口を開く。

 

 

 

「あのランスターの名を受け継ぐ少女……ティアナの力がな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三十八話

『ネコファイト』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、ナツとティアナは……

 

 

「ハッピー!!! どこだー!!!」

 

 

「いたら返事しなさい!! ハッピー!!!」

 

 

ハッピーを探して塔の中を歩き回っていた。

 

 

「ん? 何だこの部屋は?」

 

 

すると、ナツはとある一室の前で足を止め、部屋の中を覗き込んだ。

 

 

「うわっ…ネコだらけじゃない」

 

 

それに釣られてティアナも部屋を覗き込むと、その部屋にはネコのぬいぐるみやらソファやらで溢れかえった部屋であった。

 

 

「もしかしたらハッピーもここに……ねえナツ?」

 

 

そう言って、ティアナはナツに視線を向ける。しかし当のナツは……

 

 

「あははっ! なんかいいなコレー!!!」

 

 

部屋にあったネコの被り物を被っていた。

 

 

「遊ぶなっ!!!」

 

 

「ぐおっ!!」

 

 

そんなナツに向かって、ティアナは即座に上段蹴りをお見舞いする。

 

 

「いってぇ…被りモン被ってっから耳にも響く……」

 

 

「だったらさっさと取りなさいバカナツ!!!」

 

 

「へいへい」

 

 

そう言ってナツは渋々被り物を取ろうとする。

 

 

ぐぐぐ…

 

 

「………………」

 

 

ぎゅううう……

 

 

顔は見えないが必死な様子で被り物を引っ張るナツだが、まったく取れる気配がない。それを見たティアナは嫌な予感がして、ナツに尋ねる。

 

 

「ア…アンタ……まさか……」

 

 

「うん…ぬけねー」

 

 

「はぁぁあああ!!?」

 

 

ティアナの絶叫に似た叫び声が部屋に響く。

 

 

「おお……まいったなぁ。まあ面白れえから、いいかな」

 

 

「よくないわよこのバカナツ!!! バカだバカだとは思ってたけど、底抜けのバカだったわねこのバカ!!!」

 

 

「おい、あんまバカバカ言うんじゃねーよ。傷つくだろ?」

 

 

「アンタはそんな繊細な心してないでしょ!!!」

 

 

「まぁまぁ落ち着けって。ほら、オメェもコレ被ってみろ」

 

 

そう言ってナツはそこら辺にあった猫耳カチューシャをティアナの頭に被せる。

 

 

「被せるなっ!!!」

 

 

「おおっ、似合ってんぞ」

 

 

「嬉しくないわよ!! まったく……」

 

 

ナツの行動に心底呆れながら猫耳カチューシャを取ろうとするティアナ。しかし……

 

 

ぐっぐっ…

 

 

「え?」

 

 

グイッグイッ…

 

 

嫌な予感がして力いっぱい猫耳カチューシャを引っ張るティアナ。しかし、ナツと同じくまったく取れない。

 

 

「ウソォォオオ!!! どうなってんのよこのカチューシャ!!?」

 

 

「うははは!! お揃いだなティア」

 

 

「笑ってんじゃないわよアンタは!!!」

 

 

「うひひ…ハッピー驚くだろーなコレ。ついでにエルザも脅かしてやっかな」

 

 

「殺されるわよ?」

 

 

「待てよ……ルーシィの方がリアクション面白そうだな。なぁティア?」

 

 

「知らないわよ!!」

 

 

そんな漫才のようなやり取りを続けるナツとティアナ。

 

 

その背後に、銃を構えたウォーリーの姿があるとも知らずに……

 

 

「ジ・エンドだゼ、ボーイ&ガール」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃、シモンとショウを加えたエルザたちはナツたちを探して塔の中を走り回っていた。

 

 

「くそっ!!! ウォーリーもミリアーナも通信を遮断してやがる!!! これじゃどこにいるのかわからねえ!!」

 

 

「通信?」

 

 

「思念伝達魔法の事だよ、ルーシィ」

 

 

首を傾げるルーシィにフェイトが説明する。

 

 

「なぁ……アイツ…本当に信用していいのか? 確かにオレたちを殺そうとしなかったのは認めるが、あの時ナツとティアナ、それにルーシィとフェイトは死んでもおかしくねえ状況だった」

 

 

そう言ってグレイはシモンに疑惑の視線を向ける。すると、それが聞こえていたのか、シモンが口を開く。

 

 

「言い訳をするつもりはない。あの程度で死んでしまうような魔導士ならば、到底ジェラールとは戦えない。それにオレには確信があった。ナツとティアナは死なない」

 

 

「あの…あたしとフェイトは?」

 

 

そう尋ねるルーシィを無視して、シモンは続ける。

 

 

「お前たちはあの二人の本当の力に気付いてないんだ」

 

 

「本当の力?」

 

 

シモンの言葉にフェイトは首を傾げる。

 

 

「そうだ。ナツに真のドラゴンの力が宿る時……そしてティアナの中に眠るランスターの力が目覚めた時…邪悪は滅びゆく」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「へっくし!」

 

 

「くしゅっ…」

 

 

同時刻、ナツとティアナは何故か同時にくしゃみをしていた。

 

 

「……誰か噂でもしてんのかしら?」

 

 

「うわっ! 口の周りがふけねえ!! キモチワリィ!!」

 

 

「だからさっさと取りなさいって……いや、取れないんだったわね、このカチューシャ同様……」

 

 

ナツはネコの被り物、ティアナは猫耳カチューシャを取ろうとするが、両方とも取れずにいた。

 

 

そんな二人の背後には、銃を構えたウォーリー。二人に狙いを定め、引き金を引こうとしたその時……

 

 

「ダメーーー!!!」

 

 

「ミ…ミリアーナ!!!」

 

 

ダキュン!!

 

 

「「!!」」

 

 

突然ミリアーナが乱入し、間一髪のところで弾丸が逸れた。そして銃声に気がついたナツとティアナは同時に振り返る。

 

 

「四角!!」

 

 

「いつの間に!!?」

 

 

いつの間にか後ろにいた二人を見て驚くナツとティアナ。

 

 

「な…何をするんだ!!! せっかくのチャンスを!!!」

 

 

「ネコネコいじめちゃダメなのー」

 

 

「ネコじゃねぇゼ!! 見りゃわかんだろ!!!」

 

 

「「………………」」

 

 

二人のそんな会話を聞いたナツとティアナは顔を見合わせ、同時に頷く。そして……

 

 

「「にゃー」」

 

 

「ホラー!!」

 

 

「テメェらっ!!!」

 

 

ネコの鳴き真似で完全にミリアーナは騙され、ウォーリーはツッコミを入れる。

 

 

因みこのやり取りを見たティアナが……

 

 

「耳さえついてれば何でもいいのかしらあの娘?」

 

 

と言う疑問を持ったが、誰にも聞こえなかった。

 

 

「あん時はよくもやってくれたなぁ!!! 四角野郎ーーー!!!」

 

 

「ハッピーを返しなさい!!!」

 

 

そう言って二人は戦闘体勢を取る。

 

 

「どけミリア!! 奴等は敵だゼ!!!」

 

 

「みゃあ!」

 

 

「くらえ、ポリゴンアタック!!!」

 

 

ウォーリーはミリアーナを押し退けると、自身の四角い身体をバラバラに分解してナツとティアナに向かって飛ばす。

 

 

「おっと!!!」

 

 

「ふっ!!!」

 

 

ウォーリーの攻撃を余裕でかわす二人。

 

 

「てき? ネコネコなのに?」

 

 

「だからネコじゃねーって言ってんだろ!!! 片方は中に人!! もう片方は耳をつけてるんだゼ!!!」

 

 

「みゃっ!!?」

 

 

ミリアーナを説得している間にも、ウォーリーは攻撃を続ける。

 

 

「ネコファイア!!!」

 

 

「クロスミラージュ…ダガーモード!!」

 

 

ナツは炎を纏った拳を、ティアナは魔力の刃を纏ったクロスミラージュを振るって、飛んでくるポリゴンを粉砕する。

 

 

「チィ……さすがはジェラールが気をつけろと言うだけの二人。ミリア!! 援護してくれ!!!」

 

 

「みゃあ!!! 人なのにネコネコのフリするなんて元気最悪ーーー!!!」

 

 

「お前はどーなのよ?」

 

 

ミリアーナの発言にナツは小さくツッコミを入れる。

 

 

「ネ拘束チューブ!!」

 

 

すると、二人の腕にミリアーナが放ったチューブが巻きつく。

 

 

「ぬお!」

 

 

「なっ!?」

 

 

チューブが巻き付くと同時に、炎と魔力の刃が消滅する。

 

 

「よくやったゼ、ミリアーナ!!!」

 

 

「ウォーリー!! うそネコたちをやっつけちゃってー!!!」

 

 

「くっ……!」

 

 

マズイと判断したティアナは、ウォーリーとミリアーナに向かってクロスミラージュを構えて引き金を引くが、クロスミラージュからはカチカチと言う金属音しか鳴らなかった。

 

 

「っ…魔法弾が出ない!!?」

 

 

ティアナが驚愕している間に、ウォーリーの次なる攻撃がナツとティアナに迫る。

 

 

「秒間32フレームアターーック!!!」

 

 

「ぐおおっ」

 

 

「きゃあっ」

 

 

素早くなったポリゴンの攻撃を喰らい、床に転がるナツとティアナ。

 

 

「な…何だコレ!!? 急に魔法が使えなくなった!!!」

 

 

「たぶんこのチューブのせいよ!! こいつを解ければ……きゃっ!?」

 

 

腕に巻きついたチューブを解こうとするティアナだが、すぐさま別のチューブが身体に巻かれ、あっという間に縛られてしまった。

 

 

「うぎゃっ!!!」

 

 

一方ナツの方もウォーリーの追撃を喰らい、その間にチューブに縛られてしまった。

 

 

「どうやらここまでようだな。火竜(サラマンダー)幻銃士(ミラージュガンナー)、プリレンダリングポリゴンショットでも喰らいやがれ」

 

 

そう言って縛られている二人に向かって銃を向けるウォーリー。

 

 

「くっ…この…!!」

 

 

「んぎぎっ」

 

 

二人は何とか動こうとするが、縛られている為、自由に動けない。

 

 

「おっと……ダンディなキメゼリフを忘れてたゼ」

 

 

そう言うと、ウォーリーは一拍置いて、キメゼリフを口にする。

 

 

「お前の運命はオレと出合った時に終わっべぱ!!!」

 

 

ウォーリーがキメゼリフを言っていたその時、どこからか飛んで来たハッピーがネコのぬいぐるみでウォーリ-を殴った。

 

 

「「ハッピー!!!」」

 

 

「ナツー!! ティアナー!! 無事でよかったー!!! てか何、その被り物と耳」

 

 

「ネコネコが飛んでる!!!」

 

 

「コイツ!!! オレのキメゼリフをよくもっ!!!」

 

 

「わっ! わっ!」

 

 

キメゼリフを台無しにされたウォーリーはハッピーに向かって発砲する。しかし、それは味方であるミリアーナに止められた。

 

 

「ダメー!!! ネコネコをいじめないでー!!!」

 

 

「ネコは飛ばねえ!!! しゃべってもいいが飛んじゃいけねぇ!!!」

 

 

「チャンスよ! ハッピー!!」

 

 

「これ解いてくれーー!!」

 

 

「あいさー!」

 

 

二人が言い合いをしている間に、ナツとティアナはハッピーにチューブを解くように頼む。

 

 

「させるか!!!」

 

 

「だからダメなのー!!!」

 

 

「ネコじゃねぇ!!! あのうそネコをやるんだゼ!!」

 

 

それを阻止しようとするウォーリーだが、再びミリアーナに止められる。

 

 

「ハッピー!! 急いで!!」

 

 

「中々解けないよティアナ!!」

 

 

ハッピーは必死に二人のチューブを解こうとするが、中々解けないでいた。

 

 

「くそ!! こうなったらアレをやるぞティア!!!」

 

 

「アレって……マジで?」

 

 

ナツがやろうとしている事の意図がわかったティアナは、心底嫌そうな顔をする。

 

 

「四の五の言ってらんねえだろ!!」

 

 

「あーもう!! わかったわよ!!!」

 

 

ナツの言葉にティアナは渋々了承し、さっそく二人は行動に移った。

 

 

「必殺!!!『苦しんでるネコ』!!!」

 

 

「に…にゃあぁぁん……」

 

 

ナツの作戦…それはネコの被り物と猫耳カチューシャをつけている自分とティアナが苦しんでいるネコを演じ、愛猫家のミリアーナの良心に訴えかけると言うモノであった。

 

因みにこの時のティアナの顔は羞恥で真っ赤であった。

 

 

「あ……」

 

 

パサリ

 

 

そして見事、その作戦は成功し、二人を拘束していたチューブが解けた。

 

 

「何してんだミリアーナ!!!」

 

 

「だってネコネコが……」

 

 

拘束を解いたミリアーナを責めるウォーリーとあくまでネコの心配をしているミリアーナ。

 

 

「おっし!! オレは四角!! ティアはネコ女な!!」

 

 

「わかってるわよ!!!」

 

 

「いけー! ナツー!! ティアナー!!」

 

 

拘束が解けたナツは両腕に炎を、ティアナはクロスミラージュに魔力の刃を纏わせ、ウォーリーとミリアーナに向かって駆け出す。そして……

 

 

 

 

 

「火竜の翼撃!!!」

 

 

「クロス・スライサー!!!」

 

 

 

 

 

ナツは両腕の炎でウォーリーを吹き飛ばし、ティアナはダガーモードとなったクロスミラージュでミリアーナを×の字に切りつけた。

 

 

「イエーース!!」

 

 

「みゃああ!!!」

 

 

それを喰らった二人は床に転がり、そのまま気を失った。

 

 

「ふいーーっ!! 四角へのリベンジ完了したぞー!!!」

 

 

「もう…二度とあんなことしないわ……」

 

 

スッキリしたように言うナツと、先ほどのことで未だに顔が赤いティアナ。

 

 

「二人ともいつまで被ってんのソレ」

 

 

「「とれないんだよ(のよ)」」

 

 

ハッピーの問い掛けに、二人は揃ってそう言ったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

同時刻…玉座の間では……

 

 

「ショウとシモンは裏切った。ウォーリーとミリアーナは〝火竜(サラマンダー)〟と〝幻銃士(ミラージュガンナー)〟が撃墜……と」

 

 

ジェラールはナツたちをチェスの駒に見立てて、塔の中の現状を把握している。

 

 

「やはりゲームはこうでないとな。一方的な展開ほど、退屈なゲームはない」

 

 

楽しげにチェスの駒をいじりながらそう呟くジェラール。すると、見かねたヴィダルダスが口を開く。

 

 

「ジェラール様、はやくエルザを捕らえ〝儀〟を行いましょう。もう遊んでいる場合じゃありませんぞ」

 

 

「ならばお前が行くか?ヴィダルダス」

 

 

ジェラールの言葉に反応するヴィダルダス。

 

 

「よろしいので?」

 

 

「次は……こちらのターンだろ?」

 

 

そう言ってチェス盤の上に新たな駒を三つ乗せるジェラール。それを見たヴィダルダスはニカッと笑う。

 

 

「ならば……私も動くとしよう」

 

 

そう言って立ち上がったのは、長身の女性。

 

 

「ほう…君も動くのか?」

 

 

「ああ。そろそろ仕事をしなければな」

 

 

そう言って女性は不敵な笑みを浮かべる。

 

 

「フン! うぉぉおおおお!!!」

 

 

突然魔力を込め、雄叫びを上げるヴィダルダス。

 

 

「暗殺ギルド、髑髏会、特別遊撃部隊…三羽鴉(トリニティレイブン)。お前たちの出番だ」

 

 

そして次の瞬間、ジェラールの目の前に三人の人物が立っていた。

 

 

「ゴートゥヘーール!!! 地獄だ!!! 最高で最低の地獄を見せてやるぜぇーーーーっ!!!」

 

 

先ほどまでの物静かな性格とは違い、パンクファッションとなった男…ヴィダルダス・タカ。

 

 

「ホーホホウ」

 

 

背中にロケットを背負い、その名の通りフクロウのような頭部をした男…(フクロウ)

 

 

「散りゆくは、愛と命の、さだめかな。今宵は祭りどす」

 

 

三人の中でただ一人の着物を着た女性…斑鳩(イカルガ)

 

 

そして……

 

 

「我がギルドマスターの命により、これより…任務を開始する」

 

 

 

 

 

闇ギルド

 

無限の欲望(アンリミデットデザイア)

 

№3『トーレ』

 

 

 

 

 

闇ギルドと暗殺ギルド…二つの最悪のギルドが動き出したのであった。

 

 

 

 

 

つづく

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