LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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竜と星

 

 

 

 

 

楽園の塔にエーテリオンが落とされた同時刻…〝ERA(エラ)〟では……

 

 

「エーテリオン目標に命中!! 繰り返す!! エーテリオン目標に命中!!!」

 

 

「破壊は成功か!!? 確認を急げ!!!」

 

 

「エーテルナノ融合体濃度上昇!」

 

 

「異常気象が予測されます!」

 

 

慌しく動き回る評議院のメンバーたち。そんな中、9人の議員の一人…オーグが片手で顔を覆う。

 

 

「あの塔には何人の者がいたのか…」

 

 

「ゼレフの復活を阻止したのだ。その為の犠牲ならやむを得んよ」

 

 

嘆くオーグに、同じく議員のミケロがそう言うが、オーグの顔色は晴れない。

 

 

「我々のした事をどう正当化しようと、犠牲者の家族の心は癒されんよ」

 

 

自分を責めるように呟くオーグ。すると、突然評議院メンバーの声が響く。

 

 

「爆心地中央にエーテルナノ中和物……い…いえ…これは……!!」

 

 

「融合体濃度急速に低下!!!」

 

 

「別エネルギーと思われる高魔力発生!!!」

 

 

「カウンターが追いつかない!!! 何だこれは!!?」

 

 

「映像回復します!!!」

 

 

そう言って、モニターに映し出されたのは……

 

 

 

 

 

巨大な水晶の塔であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第四十二話

『竜と星』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……? 生きてる?」

 

 

エーテリオンは確かに落ちた。しかし、自分が生きているという事に驚きを隠せないエルザ。すると、ジェラールがフラっと立ち上がる。

 

 

「くく…あははははははっ!!!」

 

 

立ち上がると同時に高笑いを上げるジェラール。

 

 

「ついに…ついにこの時が来たのだぁ!!!」

 

 

「お前…」

 

 

「くくく、驚いたかエルザ。これが楽園の塔の真の姿、巨大な魔水晶(ラクリマ)なのだ。そして評議院のエーテリオンにより、27億イデアの魔力を吸収することに成功した!!! ここにRシステムが完成したのだぁ!!!!」

 

 

そう…ジェラールの本当の目的は、巨大な魔水晶(ラクリマ)で造られた塔に評議院のエーテリオンを吸収させ、Rシステムを完成させることだったのである。

 

 

「だ……騙したのか……」

 

 

「かわいかったぞ、エルザ」

 

 

「え!?」

 

 

突然背後から聞こえてきた声に振り返ると、そこには……

 

 

「ジェラールも本来の力を出せなかったんだよ。本気でやばかったから、騙すしかなかった」

 

 

「ジークレイン!!!?」

 

 

本来、ERA(エラ)にいるはずのジェラールそっくりの評議員……ジークレインが立っていた。

 

 

「な…なぜ貴様がここに!!?」

 

 

「初めて会った時の事を思い出すよエルザ。マカロフと共に始末書を提出しに来た時か、ジェラールと間違えてオレに襲いかかってきた」

 

 

「……………」

 

 

「双子と聞いて、やっと納得してくれたよな。しかし、お前は敵意を剥き出しにしていたな」

 

 

「当たり前だ!!! 貴様は兄のくせに、ジェラールのやろうとしてる事を黙認していた!!! いや…それどころか私を監視していた!!!」

 

 

「そうだな……そこはオレのミスだった。あの時は『ジェラールを必ず見つけ出して殺す』とか言っておくべきだった。しかし…せっかく評議院に入れたのに、お前に出会ってしまったのが一番の計算ミスだな」

 

 

「とっさの言い訳ほど苦しいものはないよな」

 

 

そう会話するジェラールとジークレインを見て、エルザは確信した。

 

 

「やはり……お前たちは結託していたのだな……」

 

 

「結託? それは少し違うぞエルザ」

 

 

「オレたちは一人の人間だ。最初からな」

 

 

ジェラールがそう言うと同時に、ジークレインの姿が映像のようにブレ始め、そのままジェラールと一つになった。

 

 

「そ…そんな…まさか……思念体!!!?」

 

 

「そう、ジークはオレ自身だよ」

 

 

今まで評議院の一人であったジークレインは、ジェラールが魔法で作り出した分身だったのである。

 

 

「バカな!!! な…ならばエーテリオンを落としたのも自分自身!!! その為に評議院にもぐり込んだと!!?」

 

 

「かりそめの自由は楽しかったか、エルザ。全てはゼレフを復活させる為のシナリオだった」

 

 

「貴様は一体どれだけのものを欺いて生きているんだぁ!!!!」

 

 

そんなエルザの怒号などジェラールは意にも介さず、ゆっくりと自分の手を握り締めた。

 

 

「フフ…力が…魔力が戻ってきたぞ」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方、魔法評議院〝ERA(エラ)〟では……

 

 

「楽園の塔に27億イデアの魔力蓄積!!」

 

 

「そんな魔力、一ヶ所に留めておいたら暴発するぞ!!!」

 

 

「てか、どうなってんだこれは!!!」

 

 

余りにも予想外の出来事に、評議院のメンバーたちは大混乱を起こしていた。

 

 

「やられた……やられたっ!!! くそぉ!!!」

 

 

「ジークレイン……!! あんのヤロォオ!!!」

 

 

まんまとジェラールに一杯食わされた事に気付いたヤジマとゲンヤは悔しそうに怒号を上げる。すると……

 

 

ボロッ…ピキピキ……!!

 

 

突然、建物のあちこちに亀裂が入る。

 

 

「何だ、これは!!?」

 

 

「建物が急速に老朽化している!!?」

 

 

失われた魔法(ロストマジック)、時のアークじゃと!!?」

 

 

「あかん!! 崩れよる!!!」

 

 

「逃げ……ぷぉ!」

 

 

「レイジ老師!!!」

 

 

「ひいいい!」

 

 

「どうなってんだーーーっ!!!」

 

 

「た…助け……」

 

 

「ひゃあああ!!」

 

 

崩落する建物から必死に逃げる評議院のメンバーたち。そんな中、ヤジマとゲンヤは崩壊する建物の中心にいる一人の女性…ウルティアを見つける。

 

 

「ウルティア!」

 

 

「まさかこいつぁ…テメェの仕業か……!!?」

 

 

ゲンヤの問い掛けに、ウルティアは肯定するような笑みを浮かべる。

 

 

「全てはジーク様……いえ……ジェラール様の為。あの方の理想(ゆめ)は今ここに、叶えられるのです」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

場所は移り、楽園の塔付近の海の上。そこでは、塔を脱出したグレイたちがジュビアが作り出した水の球体の中で塔を見据えていた。

 

 

「な…何…あれ…」

 

 

「外壁が崩れて…中から水晶?」

 

 

「ねえ…無事だよね?ナツもティアナもエルザも、あのシモンって人も……」

 

 

「大丈夫……きっと無事だよ、ルーシィ」

 

 

不安そうな表情をするルーシィを宥めるように言うフェイト。

 

 

「Rシステムだ」

 

 

「何!!?」

 

 

「アレが…Rシステム!!?」

 

 

見えている水晶の塔がRシステムだと言う事に驚愕するグレイとフェイト。

 

 

「オレたちが造っていたRシステムの本当の姿だゼ」

 

 

「作動してる」

 

 

「作動って!!? まさか、ゼレフが復活するの!!?」

 

 

「わからない……オレたちだって、作動してるのは初めて見るんだ」

 

 

ルーシィの問い掛けに、ショウはそう答えるしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

場所は戻って、楽園の塔…頂上。

 

 

「くあぁっ!!」

 

 

ジェラールの攻撃によって吹き飛ばされるエルザ。

 

 

「さっきまでの威勢はどうした? 斑鳩との戦いで魔力使い果たしていたか?」

 

 

「ジェラァアァアァァル!!!!」

 

 

バカにしたようにそう言うジェラールに、エルザは換装で剣を握り、ジェラールへと振るう。しかし、ジェラールはそれを容易く避けながら口を開く。

 

 

「今頃、評議院は完全に機能を停止している。ウルティアには感謝しなければな。あいつはよくやってくれた。楽園にて、すべての人々が一つになれるのなら死をも怖れぬと……まったく、バカな女であることに感謝せねばな」

 

 

「貴様が利用してきた者たち全てに呪い殺されるがいい!!!!」

 

 

エルザがジェラールに向かって怒号を上げたその時、突然エルザの動きが止まった。

 

 

「な…何だこれは!!?」

 

 

見ると、エルザの体に蛇のような模様が浮かんでおり、その蛇の模様がエルザの体を縛り付けていた。

 

 

拘束の蛇(バインドスネーク)、さっき抱き合った時につけておいたものだ」

 

 

「う…あ……体が…動かん!!!」

 

 

拘束の蛇(バインドスネーク)によって完全に動きを封じられたエルザ。

 

 

「Rシステム作動の為の魔力は手に入った。あとは生け贄があれば、ゼレフが復活する。もうお前と遊んでる場合じゃないんだよエルザ。この27億イデアの魔力を蓄積した魔水晶(ラクリマ)にお前の体を融合する。そしてお前の体は分解され、ゼレフの体へと再構築されるのだ」

 

 

「が…うあ!」

 

 

ジェラールがそう言うと同時に、エルザの体が近くの水晶に吸い込まれ始める。

 

 

「お前の事は愛していたよ、エルザ」

 

 

「ああああああああ!!!」

 

 

段々と水晶に吸い込まれていくエルザ。

 

 

「偉大なるゼレフよ!!! 今ここに!!! この女の肉体を捧げる!!!」

 

 

ジェラールが両手を挙げてそう宣言すると、魔水晶(ラクリマ)から魔力が溢れ始める。

 

 

「ジェラール……ジェラァーーールゥゥーーー!!!!」

 

 

エルザが左目から涙を流しながら悔しそうにジェラールの名を叫ぶ。そして完全に水晶に取り込まれそうになったその時……

 

 

 

「おっと」

 

 

「ギリギリセーフ…ね」

 

 

 

なんと、いつのまにか近くまで来ていたナツとティアナが水晶からエルザを引っ張り出した。

 

 

「エルザは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だ」

 

 

「アンタなんかに渡さないわ」

 

 

笑みを浮かべながらそう言うナツとティアナ。

 

 

「ナツ…ティアナ…」

 

 

「な~にしてんだよ。早く帰って仕事行かねーと、今月の家賃払えねーぞ。ルーシィが」

 

 

「ス…スマン……体が……動かなくて…」

 

 

「ほ~う」

 

 

それを聞いたナツは意地の悪い笑みを浮かべる。すると、ナツはエルザの体をくすぐり始めた。

 

 

「普段ヒデェ目にあってるからな!!! こ~れでもくらえっ!!!」

 

 

「や…やめっ」

 

 

「かっかっかーーっ!!!」

 

 

「やめなさい」

 

 

「うごっ」

 

 

そんなナツの行動を、ティアナがナツの後頭部を蹴り飛ばしてやめさせる。

 

 

「ナツ…ティアナ……今すぐここを離れるんだ……」

 

 

「……残念ですけどエルザさん、そう言われて引き下がるほど素直じゃないんですよ。ナツも……私も」

 

 

「お前が無理なら、代わりにオレらがやってやっからさ」

 

 

「よせ…相手が悪い……おまえはあいつを知らなすぎる」

 

 

「知らなきゃ勝てねえもんなのか?」

 

 

「頼む…言う事をきいてくれ……」

 

 

そう懇願するエルザの目には涙が浮かんでいた。すると、それを見たナツがエルザを抱きかかえる。

 

 

「エルザ、オレもお前を全然知らねえ」

 

 

「え?」

 

 

「けど勝てる!!!!」

 

 

そしてなんと、そのままエルザの腹部に拳を叩き込み、エルザを気絶させた。

 

 

「噂以上の傍若無人ぶりだな。身動きできねー仲間を痛めつけて満足か」

 

 

「黙りなさい」

 

 

ジェラールがそう言うと、ティアナが低い声でそう言い返し、彼を黙らせる。

 

 

「エルザが、泣いてた。弱音をはいて、声を震わせていた。そんなエルザは見たくねえ」

 

 

「エルザさんはいつも通り……強くて、カッコよくて、ちょっとだけ怖い……私たちはそんなエルザさんが好きなのよ。だから……」

 

 

ナツとティアナがそう言うと、二人は怒気の篭った表情でジェラールを睨みつける。

 

 

(わるいゆめ)が覚めた時、いつものエルザさんでいて欲しいから!!!」

 

 

「オレたちが戦うんだ!!!!」

 

 

二人がそう言うと、ジェラールは笑みを浮かべる。

 

 

「面白い。見せてもらおうか、ドラゴンとランスターの魔導士の力を」

 

 

ジェラールがそう言った瞬間、拳に炎を纏ったナツが動き出した。

 

 

「うおおおおお!!!」

 

 

ナツはジェラールにそのまま拳を振るうが、簡単に受け流される。しかし……

 

 

ゴボォ!!!

 

 

ナツはすぐに体勢を立て直し、ジェラールの顔に炎の蹴りを叩き込む。そしてそのまま、ナツの畳み掛けるような猛攻が始まる。

 

拳、足、肘、膝……体の武器になりそうな場所を使えるだけ使い、ジェラールに打撃を叩き込む。

 

 

「火竜の翼撃!!! と、鍵爪!!!」

 

 

炎の翼と蹴りを連続で叩き込み、ジェラールを吹き飛ばす。

 

 

「行ったぞティア!!!」

 

 

「えぇ!!!」

 

 

そして、ジェラールが飛ばされた方向には、クロスミラージュを構えたティアナが立っていた。

 

 

「クロスファイヤー……シュート!!!」

 

 

ティアナは数十発もの魔力弾を放ち、それは全てジェラールに命中する。しかしティアナの攻撃はそれだけでは終わらず、クロスミラージュをダガーモードにしてジェラールへと駆け出す。

 

 

「クロス・スライサー!!!」

 

 

そしてそのままジェラールを×の字に切り裂く。

 

 

「ナツ!!」

 

 

「おう!!」

 

 

ティアナの声に反応したナツ。すると二人はジェラールを挟み込むようにして立つ。

 

 

「火竜の…」

 

 

「ファントム…」

 

 

ナツは大きく息を吸い込み、ティアナはクロスミラージュの銃口に魔力を集中させる。そして……

 

 

 

「咆哮!!!!」

 

 

「ブレイザー!!!!」

 

 

 

左右から放たれた強力なブレスと砲撃がジェラールを襲った。

 

 

だが……

 

 

「それが本気か?」

 

 

爆煙の中から現れたジェラールはほぼ無傷だった。それを見たナツとティアナは悔しそうな顔をする。

 

 

「この手で消滅させちまう前に一度、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)とランスターの一族の破壊力を味わってみたかったんだが、この程度なら怖れるに足らんな」

 

 

「なんだとォーーっ!!!」

 

 

その言葉に激昂したナツはジェラールに向かって駆け出す。

 

 

「よくも儀式の邪魔をしてくれたな。オレの天体魔法のチリにしてやるぞ」

 

 

そう言うと、ジェラールの体を金色の光が包み込む。

 

 

流星(ミーティア)!!!」

 

 

そして次の瞬間には、ナツの背後に回りこみ、ナツを殴り飛ばした。

 

 

「うがっ!」

 

 

「ナツ!!」

 

 

それを見たティアナはジェラールにクロスミラージュを向けようとするが、ジェラールは既に彼女の眼前に迫っており……

 

 

「がっ!!」

 

 

ティアナの腹部に蹴りを叩き込んだ。

 

 

その後も二人はジェラールの素早さに翻弄され、大きなダメージを受けた。

 

 

「くそ、速すぎる!!!」

 

 

「ナツ、こういう時は目で追わない方がいいわよ」

 

 

「わかってる」

 

 

そう言うと、二人は目を閉じて周囲の気配に意識を集中させる。

 

 

「臭い…感覚…音……」

 

 

「動きの予測…攻撃パターン……」

 

 

「「集中!!」」

 

 

全神経を研ぎ澄ましてジェラールの動きを予測する二人。そして……

 

 

「「そこだ!!!」」

 

 

動きを捉えたジェラールに向かって打撃と射撃を放つ二人。

 

 

だが、突如としてジェラールのスピードが上がり、二人の攻撃は空振りに終わった。

 

 

「そんな!!!」

 

 

「まだ速くなるのか!!?」

 

 

「お前たちの攻撃など、二度と当たらんよ」

 

 

「うわああああ!!!」

 

 

「きゃああああ!!!」

 

 

ジェラールの猛攻に手も足も出ないナツとティアナ。

 

 

「とどめだ。お前たちに本当の破壊魔法を見せてやろう」

 

 

そう言うと、ジェラールは二人の上空へと飛び上がる。

 

 

「七つの星に裁かれよ。七星剣(グランシャリオ)!!!!」

 

 

その瞬間、ナツとティアナに七つの光が降り注いだ。それを喰らった二人は、ついに倒れてしまった。

 

 

「隕石にも相当する破壊力を持った魔法なんだがな……よく体が残ったもんだ。それにしても、少しハデにやりすぎたか。これ以上Rシステムにダメージを与えるのはマズイな……魔力が漏洩し始めている。急がねば、なあエルザ」

 

 

そう言って気を失っているエルザに視線を送るジェラール。すると……

 

 

コン…コロ…

 

 

「!」

 

 

ジェラールの足元に水晶のカケラが転がってきた。

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ……」

 

 

見てみると、息を荒げたナツがジェラールに向かって水晶のカケラを投げつけていた。そしてそれは、ジェラールの胸元に軽く当たった。

 

 

「へへ…当たったぞ……攻撃……」

 

 

「ふ…ふふ……ナイスよ、ナツ」

 

 

そう言ってヨロヨロと立ち上がるナツとティアナ。

 

 

「この塔…つーか水晶? 壊されちゃマズイって訳か」

 

 

「なら…運が悪かったわね!!!」

 

 

そう言うと、ナツは水晶に拳を叩き込み、ティアナは魔力弾を放って水晶を破壊する。

 

 

「よせ!!!」

 

 

それを見たジェラールは怒りの表情を浮かべる。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士は……壊すのが得意なのよ」

 

 

「燃えてきたぞ、今までで最高にだ!!!」

 

 

「このガキどもがぁ~~~」

 

 

そう言って、互いに睨み合う三人。

 

 

「一瞬で終わらせてやる。立ち上がった事を後悔しながら、地獄へ行け」

 

 

「しぶとさには自信があるんだ」

 

 

「やれるモンならやってみなさい」

 

 

「つぇあっ!!!」

 

 

挑発するナツとティアナに向かって魔法を放つジェラール。それを二人は横に飛んで避ける。

 

 

「来いやぁ!!!!」

 

 

ナツがそう叫ぶと、続けてジェラールが放った魔法がナツに直撃する。

 

 

「うぎぎぎぎぎ……」

 

 

「ナツ!!!」

 

 

「心配…すんな!!! だぁっ!!!」

 

 

そう言うと、ナツは大きく両手を振り上げて、魔法をかき消す。

 

 

「どうした? 塔が壊れんのビビって本気が出せねえのか? 全然効かねえなぁ……」

 

 

「はっ…とんだ腰抜けね」

 

 

「いつまでも調子に乗ってんじゃねえぞガキどもがっ!!!」

 

 

「ぐはぁ!!」

 

 

「きゃっ!!」

 

 

二人の言葉に更に激昂したジェラールは二人に魔法をぶつける。

 

 

「ナツ!! ティアナ!!」

 

 

いつの間にか目を覚ましていたエルザが二人の身を案じる。しかし二人はすぐに体勢を立て直し……

 

 

「火竜の…」

 

 

「クロスファイヤー…」

 

 

ナツは両手に炎を纏い、ティアナは大量の魔力弾を生成する。そして……

 

 

煌炎(こうえん)!!!!」

 

 

「フルバースト!!!!」

 

 

ナツは強大な炎を足元に叩き付け、ティアナは魔力弾を無差別に放って塔を破壊し始める。

 

 

「あいつら……塔を……」

 

 

それを見たエルザは驚愕し、ジェラールは二人を鋭く睨みつける。

 

 

「オレが…8年もかけて築き上げてきたものを…貴様らぁ……!!!! 許さんぞぉ!!!!」

 

 

ジェラールは怒号を上げながら腕を上で交差させると、彼から強大な魔力が溢れ出す。

 

 

「な…何よこの魔力……!!?」

 

 

「気持ち悪ぃ……」

 

 

「影が光源と逆に伸びている!!? この魔法は!!?」

 

 

「無限の闇に落ちろォォオ!!!! ドラゴンとランスターの魔導士ィィ!!!!」

 

 

ジェラールが二人に魔法を放とうしたその時……

 

 

「貴様に私が殺せるか!!?」

 

 

二人を守るように、エルザが立ち塞がった。

 

 

「ゼレフ復活に必要な肉体なのだろう!!?」

 

 

「ああ…おおよその条件は聖十大魔道にも匹敵する魔導士の体が必要だ…しかし……今となっては別にお前でなくてもよい」

 

 

「!!」

 

 

ジェラールはそう言い放つと、両手にまるで夜空のような球体を作り出す。

 

 

「三人そろって、砕け散れ!!!」

 

 

「エルザ!!! どけっ!!!」

 

 

「早く逃げてくださいっ!!!」

 

 

エルザに逃げるように説得するナツとティアナ。しかし、エルザは頑として動かなかった。

 

 

「お前たちは何も心配するな。私が守ってやる」

 

 

「やめろォーー!!!」

 

 

「逃げてぇーーー!!!」

 

 

「天体魔法!! 暗黒の楽園(アルテアリス)!!!」

 

 

ナツとティアナの必死の言葉も虚しく、ジェラールは三人に向かって球体を放った。

 

 

 

ドパパパパパパパッ!!!!

 

 

 

そして球体が直撃し、大爆発を起こした。

 

 

「エルザーーーー!!!」

 

 

「エルザさーーん!!!」

 

 

二人の叫びが木霊する。そして、徐々に晴れていく爆煙……そこにいたのは……

 

 

 

「シモン…」

 

 

 

三人を守り、ボロボロになったシモンであった。

 

 

「エル…ザ」

 

 

「シモーン!!!」

 

 

倒れるシモンに駆け寄るエルザ。

 

 

「まだうろうろしてやがったのか、虫ケラが」

 

 

「「…………………」」

 

 

吐き捨てるようにそう言うジェラールと、呆然と目を見開いているナツとティアナ。

 

 

「何でおまえが!!! 逃げなかったのか、シモン!!!」

 

 

「よ…よかっ……た…。いつか…お…おまえの……ゲホッ…役に…立ち…たか……ガファ」

 

 

「わかった!!!! いいから、もうしゃべるな!!!」

 

 

「おまえは…いつも……やさしくて…やさしくて……」

 

 

「…………シモン…」

 

 

 

 

 

―大好き…だった……―

 

 

 

 

 

そしてそのまま、シモンは目を閉じて……息を引き取った……

 

 

「イヤァァアアァァアァ!!!!!」

 

 

ソレを見たエルザの悲痛な叫びが響き渡る。

 

 

「あははははっ!!! くだらん!!! 実にくだらんよ!!! そういうのを無駄死にって言うんだぜ!!! シィモォォーン!!!」

 

 

対照的に、かつての友であったシモンの死を笑い飛ばすジェラール。

 

 

「大局は変わらん!!! どの道誰も生きてこの塔は出られんのだからなぁ!!!」

 

 

「黙れぇぇ!!!!」

 

 

「ごはぁっ!!!」

 

 

笑うジェラールを思いっきり殴り飛ばすナツ。

 

 

「バキ、ガブ…もしゃもしゃ」

 

 

そして、何かを口へ運び、咀嚼しているナツ。

 

 

「お……おまえ…何を……」

 

 

「(コイツ……!!! エーテリオンを喰ってやがる!!!!)」

 

 

そう…ナツが咀嚼していたのは、エーテリオンの膨大な魔力を吸収した魔水晶(ラクリマ)のカケラであった。

 

 

「オオオオオオオ!!!!」

 

 

ナツが雄叫びを上げると同時に、強大な魔力がナツから噴出す。しかし……

 

 

「ごはぁ!!!」

 

 

突然ナツはエーテリオンを吐き出した。

 

 

「何てバカな事を!!! エーテルナノには、炎以外の属性も含まれているんだぞ!!!」

 

 

「がっ、ぐはぁあ!」

 

 

「(強力な〝魔力〟を〝炎〟の代わりに喰えば、パワーアップするとでも思ったか!? その短絡的な考えが、自滅をもたらした)」

 

 

苦しむナツを見て、内心嘲笑うジェラール。だがその時……

 

 

「アアアアアア!!!!」

 

 

ナツの体から、ドラゴンのような魔力が噴出したのだ。

 

 

「(ドラゴン!!?)」

 

 

「(なに!!?)」

 

 

それを見て、驚愕するエルザとジェラール。

 

 

しかし……変化があったのは、ナツだけではなかった。

 

 

「……………」

 

 

シモンの死体を見ながら呆然としているティアナ。そんなティアナの脳裏に、ある映像が流れる。

 

 

 

 

 

―ティアナ……ゴメン……な―

 

 

 

 

 

それは、6年前…血まみれの姿で仕事から帰って来て……そのまま亡くなったティアナの兄……ティーダの姿だった。

 

 

「う…あぁぁ……うあぁぁあああああああああああ!!!!!!」

 

 

ティアナは頭を抱えながら空に向かって咆哮を上げると、その体から今のナツ並みの魔力が溢れ出す。

 

 

「ティ…ティアナ!!?」

 

 

「あれは…まさか!!?」

 

 

その魔力を見て、エルザとジェラールが驚愕する。

 

 

「(まさか……シモンの死に反応して、あの力が目覚めたのか!!? 遥か昔に…その膨大な魔力にて、この世界を作り上げたと言われているランスターの一族……〝星の創造主(スタークリエイター)〟の力がっ!!!?)」

 

 

強大な魔力を身に纏いながら、並び立つナツとティアナ。

 

 

 

 

 

今ここに……〝竜の力〟と〝星の力〟が目覚めたのであった。

 

 

 

 

 

そして二人はジェラールを睨みつけると……

 

 

「ぐほぉ!!」

 

 

ナツは膝蹴り放ち、ティアナはクロスミラージュのダガーモードで切り裂いた。

 

 

「アンタみたいな人間がいるからぁぁああ!!!」

 

 

「エルザは涙を流すんだぁぁ!!!!」

 

 

ナツとティアナはそのまま床にジェラールを叩き付け、その勢いで床を突き破り、下へと落ちていく。

 

 

「オレたちは約束したんだ」

 

 

「その人と…シモンさんと」

 

 

そう言って二人はここへ来る前に言った、シモンの言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

『ナツ…ティアナ、エルザを頼む』

 

 

 

 

 

「「約束したんだぁぁっ!!!!」」

 

 

二人は雄叫びを上げながら、さらに下へと勢いよく落ちていく。

 

 

「こざかしい!!! 流星(ミーティア)!!!」

 

 

すると、ジェラールは二人の拘束を抜け、超スピードで上へと駆け上がっていく。

 

 

「この速さにはついてこれまい!!!」

 

 

そう言って更に上へと駆け上がるジェラール。しかし……

 

 

「逃がさない!!!!」

 

 

ティアナはそう叫ぶと、なんとクロスミラージュの銃口を自分の足元へと向ける。そして……

 

 

 

ズガァァァアアン!!!

 

 

 

そのまま強力な砲撃を放ち、その推進力を利用してジェラールへと向かって行った。

 

 

「な…なに!!? がふぁ!!!!」

 

 

その勢いのままジェラールに渾身の蹴りを叩き込むティアナ。

 

 

「くそっ!!!」

 

 

ジェラールは再び超スピードでティアナから距離を取ろうとするが……

 

 

ドグォ!!!

 

 

「がはぁ!!! バ……バカな!!!」

 

 

下から思いっきり飛び上がってきたナツの拳が腹部に命中する。そして三人は、そのまま塔の上空へと飛び上がっていく。

 

 

「オレは、負けられない!!! 自由の国を作るのだ!!!! 痛みと恐怖の中でゼレフはオレにささやいた…真の自由が欲しいかと呟いた!!! そうさ…ゼレフはオレにしか感じる事ができない!!! オレは選ばれし者だ!!!! オレがゼレフと共に、真の自由国家を作るのだ!!!!」

 

 

「それは人の自由を奪って作るものなのかぁぁーーっ!!!!」

 

 

「アンタが選ばれし者だろうが何だろうが…人の自由を奪っていい権利なんて無いのよっ!!!」

 

 

「世界を変えようとする意志だけが、歴史を動かす事ができる。貴様等にはなぜそれがわからんのだぁ!!!!」

 

 

そう雄叫びを上げて、巨大な魔法陣を描くジェラール。

 

 

煉獄砕破(アビスブレイク)!!? 塔ごと消滅させるつもりか!!!」

 

 

「また8年……いや…今度は5年で完成させてみせる……ゼレフ…待っていろ」

 

 

ジェラールが魔法を放とうとしたその時……

 

 

「させ…ないわっ!!!」

 

 

ティアナがジェラールに向かってクロスミラージュを構えると、その両銃の銃口に強大な魔力を集中させる。

 

 

「ファントムブレイザー!!? いや…違う!!! あれは……まさか!!!?」

 

 

エルザが驚愕している間に、ファントムブレイザー以上の魔力を集中し終えるティアナ。そして……

 

 

 

 

 

「スターライトォォオ……ブレイカーーー!!!!!」

 

 

 

 

 

なんと、高町なのはの最強の砲撃……スターライトブレイカーを放った。

 

 

「な…なんだと!!? うおぉぉおお!!!!」

 

 

ジェラールは魔法陣ごと強大なオレンジ色の砲撃に飲み込まれ、そのまま魔法陣は消滅した。

 

 

「くっ」

 

 

ジェラールは残った魔力を使い、何とか砲撃を払いのけることに成功したが、その姿はすでにボロボロだった。

 

 

「今よナツ!!!」

 

 

「おおう!!!」

 

 

ティアナの言葉に反応し、ジェラールへと飛び上がるナツ。

 

 

「お前は自由になんかなれねえ!!!! 亡霊に縛られてる奴に、自由なんかねえんだよ!!!!」

 

 

そう叫ぶながら迫るナツの姿が…ジェラールの目にはドラゴンに映った。

 

 

 

「自分を解放しろぉぉ!!!! ジェラァアァァアァァル!!!!!」

 

 

 

ドゴォォォォォン!!!!

 

 

ナツは渾身の力でジェラールを殴り、塔へと叩き付けた。

 

 

ゴッ…ガァッ!!!

 

 

その衝撃で、塔の頂上付近が崩壊する。

 

 

「(これがナツとティアナの真の力……)」

 

 

エルザは呆然と…並び立つナツとティアナを見据える。

 

 

 

 

 

「(これが滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)星の創造主(スタークリエイター)!!!!)」

 

 

 

 

 

つづく

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