LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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取材

 

 

 

 

 

週刊ソーサラー

 

毎週水曜日に発売する、新しい魔法商品やホットなギルドの紹介。美人魔導士のグラビアなどで人気を博する魔法専門誌である。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士からも、看板娘のミラジェーンを始め…なのはや、はやて等も何回かグラビアを飾った事がある。

 

 

そして今回…その週刊ソーサラーで妖精の尻尾(フェアリーテイル)の大特集をするという事で、ギルドに取材が来るのである。

 

 

だがこの時……まだ誰も知らなかった……

 

 

まさか…あんな惨劇が起こるとは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第四十六話

『取材』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取材当日……妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドメンバーは、いつも通り酒場で騒いでいた。

 

 

「うわーありえないくらいゴチャゴチャしてんじゃん…」

 

 

「あはは…せっかくの取材日なのにね」

 

 

いつも通り騒がしいギルドにルーシィは呆れ、スバルが苦笑いを浮かべる。

 

 

「まあ、この方が妖精の尻尾(フェアリーテイル)らしくていいんじゃないか?」

 

 

そんな二人にエルザがそう言うと、二人は嬉しそうにニコッと笑顔を浮かべる。

 

 

「エルザ、変わったね」

 

 

「そうか?」

 

 

「だって、前のエルザさんなら『片付けろー』とか『仕事しろー』って怒鳴ってたよね」

 

 

「今は新装パーティーのようなものなのだろう? 少しくらいハメを外すのも若者の特権だ」

 

 

「少しねえ?」

 

 

そんな会話をしていると、スバルがある事に気がついた。

 

 

「そう言えばエルザさん、鎧を新しくしたんですか?」

 

 

そう…エルザのいつも纏っている鎧が新しく新調されているのだ。

 

 

「うん……やはりこの方が落ち着くんだ。ハートクロイツ製の新しいモデルだ」

 

 

エルザが得意気に新しい鎧について説明していると……

 

 

「Ohーーー!!! ティターニア!!!」

 

 

三人の背後からやたらテンションの高い声が聞こえた。見るとそこには、やはりテンションの高い一人の男性が立っていた。

 

 

「クールCOOLクゥール!!! 本物のエルザじゃん!!! クゥゥゥール!!!」

 

 

「あ、週ソラの記者さんだ」

 

 

「テンション高っ」

 

 

「もう来ていたのか」

 

 

その男性こそ、週刊ソーサラーの記者…ジェイソンである。

 

 

「申し訳ないな。こんな見苦しい所を」

 

 

「ノープロブレム!! こーゆー自然体を期待してたんですヨ!!!」

 

 

エルザとジェイソンがそんな会話をしていると、今回の取材で目立とうとしていたルーシィはさっそく自分を売り込み始める。

 

 

「あたし、ルーシィって言いまーす♪エルザちゃんとはお友達でぇー」

 

 

「よかったら二、三質問に答えてくれないかい?」

 

 

「かまわないが……」

 

 

だが…見事に無視された。

 

 

「あーえっと…ドンマイ」

 

 

そんなルーシィを慰めるスバルだが、ルーシィはガックリと項垂れてしまった。そしてジェイソンはそのままエルザに質問を開始する。

 

 

「換装できる鎧は全部でいくつあるんです?」

 

 

「100種類以上だ」

 

 

「COOL!! 一番お気に入りは?」

 

 

「バニーガールだな」

 

 

「バ…バニー!!?」

 

 

「あの耳がかわいいんだ」

 

 

「COOOOOOOOL!!!」

 

 

エルザの言葉に更にテンションの上がったジェイソン。そしてエルザに一通りの質問をした後、今度は近くにいたスバルに目をつけ、取材を開始する。

 

 

「Oh!! スバル・ナカジマ!!!」

 

 

「え?わ…私?」

 

 

「君にもいくつか質問に答えてもらってもいいかい?」

 

 

「は…はい!!」

 

 

スバルは若干緊張気味に返事をする。

 

 

「スバルは格闘と魔法を融合させたシューティングアーツの使い手って聞いたけど、この魔法はどうやって習得したんだい?」

 

 

「えっと…この魔法は元々母さんが作り上げた魔法で、それをギン姉…私の姉が受け継いで、私がギン姉に頼んで教えてもらったんです」

 

 

「COOL!! じゃあそのシューティングアーツの良い所を教えてくれ!!」

 

 

「良い所ですか……そうですね、戦っている時に相手に向かってこう……!」

 

 

パンッ!!

 

 

スバルが説明しながら上段蹴りを思いっきり放つと、空気が破裂する音が響いた。

 

 

「スッパーーンって決めると、すっごく気持ちいいんですよ!!」

 

 

「COOOOL!!! カッケェェェェエ!!!!」

 

 

それを見たジェイソンは大興奮な様子で叫ぶ。

 

 

「好きな食べ物は?」

 

 

「食べ物なら何でも!! 特にアイス!!!」

 

 

その後もスバルへの質問が続き、ルーシィはそれを若干悔しそうな目で見ている。

 

 

「くぅぅ……あたしの知名度ってやっぱこんなモンか」

 

 

「ぷ」

 

 

「あんたに笑われたくないわ!!!」

 

 

バカにしたように笑うハッピーに怒鳴るルーシィ。

 

 

「オー!!! ハッピー!!! 君はなぜ青いんだい?」

 

 

「ネコだからです」

 

 

「負けた!!!」

 

 

自分よりも先に取材されているハッピーにルーシィは項垂れる。

 

 

「!!」

 

 

すると、ジェイソンの視線がルーシィへと向く。それを見たルーシィはジェイソンに満面の笑みを向けるが……

 

 

「グレイだーー!!! 本物のグレイがいるーーー!!!」

 

 

彼の目的はその先にいたグレイだったようで、そのままルーシィを突き飛ばしてグレイのもとへと走って行った。

 

 

「ん? 何だお前?」

 

 

「ホラ……昨日マスターが言ってた雑誌の記者ですよ」

 

 

ジェイソンを見て首を傾げるグレイに、相席していたジュビアが説明する。

 

 

「君もしかしてジュビア!? COOL!!! なぜ君はすぐ服を脱ぐんだい?」

 

 

「脱がねえよ!!! 人を変態みてーに!!!」

 

 

「グレイ様下ーーー!!!」

 

 

パンツ一丁でそう抗議するグレイに、説得力は皆無であった。

 

 

「なんかあつーい。あたしも脱いじゃおっカナー」

 

 

今度は色仕掛けでジェイソンの気を引こうとするルーシィ。すると……

 

 

「だーーーらぁーーーっ!!! 記者ってのはどいつだーーー!!!」

 

 

「きゃあ!!」

 

 

突然ナツがテーブルを引っくり返しながら現れ、ルーシィはそれに巻き込まれる。

 

 

「ナツ!!! 火竜(サラマンダー)のナツ!!! オレが一番会いたかったまどうひびがぼぁクォーール!!!!」

 

 

「コーフンしすぎ」

 

 

「やいやい!!! いっつもオレの事悪く書きやがって!!!」

 

 

「YES!!!」

 

 

「オレが何か壊したとか壊したとか壊したとか!!!」

 

 

「COOL、COOL、COOL!!!」

 

 

ナツの文句に何故かさらにテンションを上げるジェイソン。

 

 

「ヤッベ…本物だ…!!! 超カッケェ!!! あ…握手してください!!!!」

 

 

そう言ってナツに握手を求めるジェイソンだが…

 

 

「うっせぇ!!!!」

 

 

思いっきり殴り飛ばされてしまった。

 

 

「ヤッベ!!! カッコよすぎ!! さすがヒーロー!!!『こんなCOOLな握手は初めて』……と」

 

 

それでもジェイソンはテンションを落とすことなく、それどころかナツからのパンチを前向きなものとして解釈していた。それを見たルーシィは「プロね…」と少し感心していた。

 

 

すると……

 

 

「こんのバカナツーー!!!」

 

 

「うごあっ!!!」

 

 

突然ティアナがナツに向かって飛び蹴りを放った。

 

 

「アンタ記者を殴り飛ばすなんて何考えてんのよ!!? これでまたギルドの評判が落ちたらアンタのせいよ!!!」

 

 

「だ…だってよぉ……あいつがオレの事を悪く書くから……」

 

 

「全部事実でしょうが!!!」

 

 

そう言ってナツに説教を始めるティアナ。

 

 

「オーー!!! 幻影の狙撃手(ミラージュスナイパー)!!!」

 

 

それを見たジェイソンはまたもやテンションを上げる。

 

 

火竜(サラマンダー)の奥さんだって言う噂は本当だったんだーーー!!!」

 

 

「ハァ!!?」

 

 

聞き捨てならないジェイソンの言葉にティアナは説教を中断して彼に詰め寄る。

 

 

「ちょ…ちょっと待ちなさいアンタ!!!」

 

 

幻影の狙撃手(ミラージュスナイパー)!! 挙式はいつ挙げるんですか!!?」

 

 

「誰がそんなデマ流してるのよ!!?」

 

 

「新婚旅行はどこへ!!?」

 

 

「私とアイツはただの腐れ縁!!!」

 

 

「告白はどっちから!!?」

 

 

「話を聞けぇええ!!!」

 

 

まったくこちらの話を聞かないジェイソンにイラつきながら怒鳴るティアナ。

 

 

「??? なぁティア、何の話してんだ?」

 

 

ナツが首を傾げながらそう尋ねると、ティアナはナツをギッと睨み……

 

 

「うるさいこの超絶鈍感炎バカーーー!!!」

 

 

「何でぇぇええ!!?」

 

 

そのまま思いっきりナツを殴り飛ばしたのだった。

 

 

「COOLな夫婦は喧嘩もCOOL……と」

 

 

それを完全に間違った方に捉えたジェイソンはそうメモして次の取材対象を探し始めた。

 

 

「あ…あの記者さん……」

 

 

そこを狙ってジェイソンに話しかけるルーシィだが……

 

 

「オーー!!! なのはにフェイトにはやて!!! 妖精の尻尾(フェアリーテイル)の仲良し三人娘だーー!!!」

 

 

やはり無視され、ジェイソンはなのは達のもとへと走って行った。

 

 

「あ、週ソラの記者さんや。取材か?」

 

 

「YES!!」

 

 

はやての問いにハイテンションで答えるジェイソン。

 

 

「〝夜天の主〟八神はやて!!! 今年の目標は!!?」

 

 

「家内安全や♪」

 

 

「〝エース・オブ・エース〟高町なのは!!! 好きな言葉は!!?」

 

 

「全力全開♪」

 

 

「〝金色の閃光〟フェイト・テスタロッサ!!! そろそろグラビアに…」

 

 

「出ませんっ!!!」

 

 

三人娘にどんどん質問していくジェイソン。そんなジェイソンに、ルーシィが懲りずに話しかける。

 

 

「あ…あの……記者さん? あたしに質問とか……」

 

 

「エルフマンだーー!! COOL!!!」

 

 

「ああん」

 

 

やっぱり無視され、ルーシィは落ち込む。

 

 

その間に、ジェイソンは様々なメンバーに取材を進めていく。

 

 

「あなたにとって漢とは?」

 

 

「漢だな」

 

 

「そんなくだらない質問と答えよりあたしは下なの!!?」

 

 

「カナー!!! 今度グラビア出てよー」

 

 

「いいからここ座って呑め!!!」

 

 

「チームシャドウ・ギア!! 三角関係って本当?」

 

 

「「ノーコメントだっ!!!」」

 

 

「?」

 

 

「リィンフォース!!! COOLに見えて、実は可愛いが大好きだと言う情報が」

 

 

「だ…誰がそんな本当の事を!!?」

 

 

「シグナム!!! 雑誌の紹介文のキャッチコピーを一つ!!!」

 

 

「強者求むっ!!! それだけだ」

 

 

「ヴィータ!! 君はなぜ小さいんだい!!?」

 

 

「知るかっ!!!」

 

 

「シャマル!!! ギルド一のドジっ子って本当?」

 

 

「シャマル先生ドジじゃないもん!!!」

 

 

「ザフィーラ!!! ズバリ!! 守護の心とは!!?」

 

 

「我が身に代えても全てを守ると言う心構えだ」

 

 

「マスター!!! 新しいギルドの抱負を」

 

 

「あ…えーと…愛と正義を胸に日々精進」

 

 

「うそくさっ!!!」

 

 

自分をまったく相手にしてくれないジェイソンに、ついにルーシィは泣き出した。

 

 

「うわーん! 全然あたし何かに構ってくれない~~!!! やるしかない!!! 恥ずかしいけどアレ、やるしかない!!!」

 

 

そう言ってギルドの裏方へと走って行くルーシィ。そして数分後……

 

 

「みんなー注目~~~♪あたし歌いまーす!!!」

 

 

ステージの上にはバニーガール姿のルーシィが立っていた。

 

 

「ルーシィ!!?」

 

「ええ!!?」

 

「バニーちゃん!!?」

 

 

突然の登場で驚愕するギルドメンバーたち。

 

 

「(バニーちゃん萌えなのは調査済みよ、フフフ)」

 

 

そしてルーシィがいざ歌おうとしたその時、ギルド全体の照明が落ちた。それと同時に、ステージに垂れ幕が落ちる。

 

 

「何? 何ー!?」

 

 

いきなりの出来事で動揺するルーシィ。

 

 

「ミラちゃんだ!!!」

 

「ミラちゃんの歌が始まるぞ!!!」

 

 

ギルドメンバー全員がステージに注目する。そして垂れ幕が上がり、そこにいたのは……

 

 

 

 

 

白スーツを纏い、ギターを構えたガジル。そしてその傍らにはマラカスを持ったルーテシアとタンバリンを持ったアギトも立っていた。

 

 

 

 

 

「ガジルーーー!!!?」

 

 

「ええーーーーー!!!?」

 

 

「ア…アギト!!?」

 

 

「ルーテシアちゃんまで……何しとるんやあの三人!!?」

 

 

予想外の登場人物たちにメンバーたちに衝撃が走る。

 

 

と言うのも、今から3時間前……

 

 

『ガジル君、ルーテシアちゃん。もっとみんなと仲良くしなきゃいけないと思う』

 

 

『そうだぜガジルにルールー。アタシも手伝うからさー』

 

 

『…………ガジル?』

 

 

『……………』

 

 

ジュビアとアギトにそう言われ、ガジルなりに考えた結果……こうなった。

 

 

そしてステージに立つガジルはギターで弾き語りを始める。。

 

 

「♪オレを雇ってくれるギルドは数少ねえ♪」

 

 

「うわ!!! 何か語りだしたぞ!!!」

 

 

「♪飢えた狼だって、拾われたらなつくモンだぜ♪たとえかつての敵だとしても、友と思い歌ってみせよう♪」

 

 

「ギターへたいけど、何気にいい事言ってるじゃねーか…」

 

 

「頑張れ、ガジル君」

 

 

一通り語り終えたあと、ギターをボギョーンと鳴らすガジル。

 

 

「オレが作った曲だ。『BEST FRIEND』聴いてくれ」

 

 

そしてそのままガジルは歌い始めた。

 

 

しかし、ギターのヘタさも相俟って、ガジルの歌は酷く、それを聴いたギルド全体が凍りついた。そしてバニー姿でステージに立っていたルーシィは、ガジルに踊り子を強要された。

 

 

「なぁルールー……アタシ今スッゲェ恥ずかしいんだけど、ルールーは?」

 

 

ガジルの傍らで恥ずかしそうにタンバリンを鳴らしているアギトは、同じく隣でマラカスを鳴らしているルーテシアに問い掛けた。

 

 

「……………♪(シャカシャカシャカ)」

 

 

「楽しそーだなオイ」

 

 

ルーテシアは決して表情には出ていないが、どこか楽しそうにマラカスを振っていた。

 

 

「COOOOOL!!!! 不条理な詩にスキャットが響く!!!! 今年最大のヒットソングだ!!!!」

 

 

「大丈夫かあんた?」

 

 

そして何故かガジルの歌に感激して涙を流しながら叫ぶジェイソン。

 

 

「♪シュビドゥバー♪三人ハモれ」

 

 

「「「シュビドゥバー」」」

 

 

「シュビドゥバーじゃねえ!!!」

 

 

「誰かアイツやめさせろーーー!!!」

 

 

「サイコーだ!!! フェアリーテイルーー!!!」

 

 

 

これが…この日に起きた惨劇である。

 

 

 

そして後日、週刊ソーサラーが発売されたのだが……結果として、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名をさらに悪名高くしただけであった。

 

 

 

 

つづく

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