LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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友の為に友を討て

 

 

 

 

 

ラクサスによるバトル・オブ・フェアリーテイルが開始されて数十分後……雷神衆の一人、フリードの術式によるルールのせいで、仲間同士で戦う事になってしまった妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

しかし、3時間以内にラクサスと雷神衆を倒さないと石にされてしまった仲間が砂になってしまう為、戦うことを余儀なくされてしまったのだ。

 

そして…妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドでは……

 

 

【マックスVSウォーレン】

【勝者:ウォーレン】

 

【クロフVSニギー】

【相打ちにより両者戦闘不能】

 

【ワンVSジョイ】

【勝者:ワン】

 

【シグナムVSミキィ】

【勝者:シグナム】

 

【ワカバVSマカオ】

【戦闘開始】

 

 

「よせ!!! やめんかガキども!!!」

 

 

次々と表示される仲間同士の戦いにマカロフはそう叫ぶが、それが他のメンバーに届くことはない。

 

 

「街中に術式の罠がはってあるんだ……それにかかったみんなが戦いを強制されて……これがラクサスの言ってた、バトル・オブ・フェアリーテイル」

 

 

「くうぅ~~~っ!!! オレも混ざりてえっ!!! 何なんだよこの見えねえ壁はよぉ!!!」

 

 

的外れな発言をするナツの頭にマカロフがチョップを落とす。

 

 

「混ざってどうする気じゃバカタレ」

 

 

「最強決定トーナメントだろこれ!!!」

 

 

「どこがトーナメントじゃ。仲間同士で潰し合うなど……」

 

 

「ただのケンカだろ? いつもの事じゃねーか」

 

 

マカロフの言葉に、ナツが何でもなさそうに言う。

 

 

「これのどこがいつも通りじゃ。仲間の命がかかっておる!!! 皆必死じゃ!!! 正常な思考で事態を把握できておらん!!!」

 

 

マカロフの言葉をナツは黙って聞いている。

 

 

「このままでは石にされた者たちが砂になってしまい、二度と元には戻らん……」

 

 

「いくらラクサスでもそんな事はしねーよ。ムカツク奴だけど、同じギルドの仲間だ。ハッタリに決まってんだろ?」

 

 

そんなマカロフにナツは笑みを浮かべてそう言った。

 

 

「ナツ……」

 

 

「これはただの…ケンカ祭り~~……っつーか何で出れねえんだ!!!?」

 

 

「オイラはフツーに通れるよ」

 

 

「80歳超えてたのか……オレ」

 

 

「そんな訳ないと思うけど……」

 

 

「(お前はあのラクサスを仲間だと言うのか? そこまではやらない…と信じられるのか…?ワシは……)」

 

 

心の中でそう呟き、拳を握り締めるマカロフ。すると、再び目の前に現在の状況が表示される。

 

 

【残り時間 2:18】

【残り人数:43人】

 

 

「(43人!!? 仲間同士の潰し合いで……もう人数が半分以下に……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第四十九話

『友の為に友を討て』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、マカロフの命を受けたリーダスはポーリュシカのいる東の森を目指していた。

 

 

「東の森、東の森、ポーリュシカさんの家。街を抜けて……」

 

 

リーダスはそう呟きながら街の外へ出ようとすると……

 

 

ゴチーン!

 

 

「え?」

 

 

突然見えない壁にぶつかった。

 

 

「ま…まさか、この街全体に術式を張ってあるのかっ!!!?」

 

 

リーダスが見えない壁を叩きながら驚愕していると、突然目の前に奇妙な文字が出現する。

 

 

「オレの掟にそむく事は許さん」

 

 

「な…何だ? 文字が……」

 

 

「ラクサスは言ったはずだ」

 

 

「フリード!!?」

 

 

文字が一ヶ所に集まると、その文字がフリードとなってリーダスの前に立った。

 

 

「バトルフィールドはこの街全体。魔導士なら戦え。力を見せろ」

 

 

「くう……」

 

 

リーダスは顔を歪めながら自身の武器である絵筆とキャンパスを取り出す。

 

 

 

 

 

「それが…掟だ」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃、なのはとティアナを元に戻すためギルドを飛び出したスバルは、マッハキャリバーで街中を走り回っていた。

 

 

「ラクサスと雷神衆……どこにいるんだろう?」

 

 

そう呟きながら街中を見渡すスバル。すると、スバルの目にとある人物が映った。

 

 

「アレは……エバーグリーン!!! と…エルフマン!!?」

 

 

その人物たちとは、なのは達を石へと変えた張本人…エバーグリーンと、恐らく彼女に倒されたのであろうボロボロの姿のエルフマンであった。

 

そんなエルフマンの姿を見たスバルは、エバーグリーンに対してさらなる怒りを燃やす。

 

 

「お前ぇぇぇえええ!!!!」

 

 

スバルはそう叫びながらリボルバーナックルでエバーグリーンに殴りかかる。

 

 

「あらスバルじゃない」

 

 

だがスバルのそんな拳を嘲笑うかのようにエバーグリーンは軽々と避ける。

 

 

「なのはさんとティアを…元に戻せぇぇぇええ!!!」

 

 

それでも再びエバーグリーンに向かって拳を振るうスバル。そんなスバルを見ながら、エバーグリーンはメガネをクイッと上に上げた。

 

 

「っ……!!?」

 

 

エバーグリーンの魔法…〝石化眼(ストーンアイズ)〟の効力を知っているスバルは一瞬動きを鈍らせる。

 

 

「隙だらけよ」

 

 

「うあぁぁああ!!!」

 

 

それを見逃さず、エバーグリーンは持っていた扇子でスバルを殴り飛ばして壁に叩きつける。

 

 

「くっ……そぉぉおお!!!」

 

 

それでもスバルはすぐさま立ち上がり、再び拳を構えて突撃する。

 

 

「芸のない子」

 

 

それを見たエバーグリーンも再びメガネを上げる。しかし……

 

 

「うおぉぉぉおおお!!!!」

 

 

「っ!!?」

 

 

スバルは恐れずに、そのままエバーグリーンへと鋭い蹴りを放つ。その行動に驚愕しながらも蹴りをかわすエバーグリーン。

 

 

「あなた……石化眼(ストーンアイズ)が怖くないの?」

 

 

エバーグリーンの問い掛けに、スバルはニッと笑いながら答える。

 

 

「ようはその目を見なければいいんでしょ!! だったら相手の体の動きを見ながら戦えばいいんだ!!!」

 

 

「……そう……でも残念ね。アナタはすでに妖精の鱗粉の中にいるのよ……」

 

 

「え?」

 

 

そう言われてスバルは自分の周囲を見渡すと、周りには細かい粉のようなモノが宙を舞っていた。

 

 

「しまった!!!」

 

 

それに気付いたスバルは鱗粉から抜け出そうとするが……

 

 

 

「妖精爆弾グレムリン!!!!」

 

 

 

ドゴォォォォォオオン!!!!!

 

 

 

「うあぁぁぁぁあああああああ!!!!」

 

 

スバルを包んでいた鱗粉が一斉に爆発し、スバルは一瞬でボロボロになり、その場で気絶してしまった。

 

 

「さあ、私を見つめなさい。美しいものに身を委ねるように」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

場所は戻り、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドでは……

 

 

【エバーグリーンVSエルフマン】

【勝者:エバーグリーン】

 

【エバーグリーンVSスバル】

【勝者:エバーグリーン】

 

 

「まさか、エルフマンとスバルが連続でやられるなんて……」

 

 

「ぬうぅ……グレイはビックスローと戦ってやがる。オレも混ざりてえ……」

 

 

「雷神衆が動き出したんだ!!!」

 

 

【残り人数:42人】

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方…フリードと戦う事になってしまったリーダスは……

 

 

ズガガガガガァァアン!!!!

 

 

フリードの攻撃によって建物を巻き込んで吹き飛ばされてしまった。

 

 

「バトル・オブ・フェアリーテイル、残り41人」

 

 

フリードはそう呟きながらその場をあとにしようとする。

 

 

「見つけたぞ」

 

 

「ん?」

 

 

すると、突然そんな声が聞こえ、フリードは声がした方向へ視線を向けると、そこにはザフィーラが立っていた。

 

 

「ザフィーラか……よくオレの居場所がわかったな」

 

 

「我は魔人狼(ワーウルフ)……ゆえに我の嗅覚はナツ並みに利くのだ」

 

 

「なるほどな……ならばラクサスやエバーグリーンの居場所もわかるだろう? 何故そちらの方に行かなかった?」

 

 

「元はそのつもりだったが、その途中で多くの仲間たちの潰し合いを見た。その原因は貴様の術式によるもの……ならばまずは貴様を倒し、このくだらぬ潰し合いを終わらせる!!!」

 

 

そう言ってザフィーラは拳を構え、フリードを睨みつける。

 

 

「……いいだろう」

 

 

それを見たフリードも自身の武器であるレイピアを構える。

 

 

「「…………」」

 

 

そしてお互いを牽制し合うように睨み合い……最初に動いたのは……フリードだった。

 

 

「ハァァア!!!」

 

 

「ぬん!!」

 

 

フリードはレイピアを振るって斬りつけるが、ザフィーラはそれを腕に身に着けた鉄の籠手(こて)で受け止める。

 

 

「テヤァ!!!」

 

 

「チッ……」

 

 

そしてそのままレイピアを弾き返し、拳を振るって反撃するが、それは紙一重でかわされる。

 

 

「もらった!!」

 

 

「ぬっ……!!?」

 

 

拳を振り切った一瞬の隙をつき、そのままレイピアでザフィーラの腹部を突き刺そうとする。それにいち早く気が付いたザフィーラは咄嗟に大きく後ろに飛んだ。

 

 

「(よし……)」

 

 

そんなザフィーラを見て、フリードは内心笑みを浮かべた。

 

何故なら、ザフィーラの着地点にはフリードが前もって仕掛けておいた術式が存在するからだ。

 

しかも術式が仕掛けられているのはそこだけではなく、二人の周辺には多くの術式が存在しているのである。

 

 

「………む?」

 

 

すると、空中で何かを感じ取ったザフィーラは、途端に拳を構え……

 

 

牙獣拳(がじゅうけん)!!!!」

 

 

ドゴォォォォオン!!!!

 

 

思いっきり地面に叩き付け、地面を砕いたのである。それと同時に、地面に刻まれていた術式も消滅した。

 

 

「なっ!!?」

 

 

ザフィーラの予想外の行動に、驚愕の表情を見せるフリード。そんなフリードに向かって、ザフィーラは一気に駆け出し……

 

 

「牙獣走破!!!!」

 

 

渾身の走り飛び蹴りを放った。

 

 

「ぐあぁぁっ!!!」

 

 

それを喰らったフリードは後ろに大きく吹き飛ばされるが、すぐに宙返りで体制を立て直して着地する。

 

 

「残念だったな……術式は砕かせてもらったぞ」

 

 

「……何故、術式があるとわかった?」

 

 

魔人狼(ワーウルフ)の鼻は人間の匂いだけではなく、魔力の匂いも嗅ぎ分ける事ができる。悪いがお前が仕掛けた術式の場所は、全て確認済みだ」

 

 

そう言うとザフィーラは拳に魔力を込める。そして……

 

 

「鋼の軛!!!」

 

 

そのまま拳を地面に叩きつけると、彼の周囲の地面からいくつもの白銀の柱が飛び出してくる。

 

 

「っ!!? じゅ…術式が……!!」

 

 

それにより、地面が掘り返され、同時に術式も次々と消滅していった。

 

 

「これで……小細工はなしだ」

 

 

ザフィーラの言葉に、フリードは一瞬目を伏せた後、再び目を開き、鋭い眼光でザフィーラを睨む。

 

 

「いいだろう……ここからは小細工はせず……真正面から貴様を叩き潰す」

 

 

「っ……!!!(何という殺気だ…これが雷神衆の将……〝暗黒のフリード〟……!!)」

 

 

フリードが放つ尋常ではない殺気に、ザフィーラは軽い冷や汗を流す。

 

 

「(長期戦になれば我が不利……ならば一気に叩く!!!)」

 

 

そう心の中で算段を立てたザフィーラは一気にフリードとの距離を詰め……

 

 

牙獣烈破(がじゅうれっぱ)!!!!」

 

 

フリードの腹部に強烈な掌底打ちを叩き込んだ………はずだった。

 

 

「なにっ!!?」

 

 

だがそれは、寸前の所でフリードの片手によって受け止められていた。

 

 

「この程度か……」

 

 

フリードはそう呟くと、ザフィーラの腕を掴んだままレイピアを振るった。しかしそれは、体を斬るのではなく、体に何かを描いているようである。

 

 

「闇の文字(エクリテュール)……〝痛み〟」

 

 

「うっ……ぐおああああああっ!!!!」

 

 

すると、突然ザフィーラの体に黒い文字が浮かび、それと同時にザフィーラが苦しげな悲鳴を上げる。

 

 

「ぐっ……牙獣鉄爪(がじゅうてっそう)!!!」

 

 

体に走る激痛に耐えながら、ザフィーラは手の魔力をまるで鋭い爪のようにしてフリードに向かって振るう。しかし……

 

 

「無駄だ」

 

 

フリードはその攻撃をあっさりと避けると、再びレイピアでザフィーラの体に文字を描く。

 

 

「闇の文字(エクリテュール)……〝痛み〟〝痛み〟〝痛み〟〝痛み〟!!!」

 

 

「ぬうあぁぁああああああああああ!!!!」

 

 

連続で体に訪れる激しい痛みに、ザフィーラは先ほどよりも大きな悲鳴を上げる。

 

 

「闇の文字(エクリテュール)……」

 

 

そしてフリードは、そんなザフィーラに向かって再びレイピアを構える。そして……

 

 

 

「〝滅〟!!!!」

 

 

 

「ぐあぁぁああああああああ!!!!」

 

 

その攻撃により、ザフィーラは血を吐き、地面に倒れた。

 

 

「……オレを本気にさせたのが、お前の運の尽きだ」

 

 

そう言い残して、倒れているザフィーラに背を向けてその場から去ろうとするフリード。しかし……

 

 

「……待……て……」

 

 

「っ!!?」

 

 

背後から聞こえてきた声に、フリードは驚愕した。何故なら、倒したと思っていたザフィーラがボロボロの姿で再び立ち上がったのだから。

 

 

「バカな……オレの闇の文字(エクリテュール)をあれだけ喰らってまだ……!!?」

 

 

予想外の事態に驚きを隠せないフリード。

 

 

「我は……〝盾の守護獣〟ザフィーラ……主を救う為ならば…いかなる相手で…あろう…とも……この命尽きるまで……たた…か………」

 

 

そこまで言うと、ザフィーラは言葉を止めた。

 

 

「………………」

 

 

そんなザフィーラを見たあと、フリードは再び背を向けて歩き出す。

 

 

「気を失ってなおも立ち上がり…主を守ろうとするその姿勢……見事だ」

 

 

そう言い残し、フリードは今度こそその場を去って行った。

 

 

 

 

 

「バトル・オブ・フェアリーテイル…残り40人」

 

 

 

 

 

つづく

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