ナツとガジル…2人の
しかし、ラクサスはそんな2人の猛攻をいとも簡単にいなし、ナツへと雷撃を放つ。
「ぐあっ!」
それを喰らったナツは後方へと吹き飛ばされ、その先にいたガジルと衝突する。
「ブレスだ!!!」
すると、ガジルは吹き飛ばされたナツを自分の背後へと移動させ、肘をナツの背中に当てながらながらそう言った。
「火竜の……咆哮!!!!」
「鉄竜棍!!!!」
そして、ナツのブレスをブーストにしてガジルが鉄の棍棒に変化させた腕で強力な突きを放つが、ラクサスはそれを飛んで回避する。
「鉄竜剣!!!!」
それを追うように、ガジルは思いっ切り振り上げた足を剣へと変形させて斬撃を放つが、それもラクサスに軽々とかわされてしまう。
「フン」
そして攻撃をかわしたラクサスは、空中で手のひらをガジルへと向ける。そして手から放たれたいくつもの雷の魔法弾がガジルを襲う。
「ぐぉわぁあっ!」
ラクサスの反撃を喰らったガジルは地面に転がる。
「うおおおおおおおっ!!!!」
「!」
すると、突然背後から雄叫びのような声が聞こえ、ラクサスはそちらに視線を向ける。
そこにはなんと、近くの柱を垂直に駆け上がっているナツの姿があった。
「火竜の…煌炎!!!!」
ラクサスの背後を取ったナツは、両腕に纏った炎をそのままラクサスに叩きつけた。当然空中にいたラクサスは回避することが出来ず、それを喰らって地面に向かって叩き落された。
そしてさらにその落下点には、復活したガジルの姿があり……
「鉄竜槍…鬼薪!!!!」
腕を槍に変化させ、そのままラクサスに向かって連続の突きを繰り出し、ラクサスを後方へと吹き飛ばす。
そしてナツとガジルは、お互いにアイコンタクトを取り……
「火竜の…」
「鉄竜の…」
2人同時に大きく息を吸い込んで、頬を膨らまし……
「「咆哮!!!!!!」」
灼熱のブレスと鉄の刃のブレスがラクサスを襲い、大爆発を起こしたのだった。
第五十六話
『心の本音』
「すごい……!!」
「
物陰に隠れながら2人とラクサスの戦いを観戦していたティアナとルーテシアはそう声を漏らしながら、2人のブレスによって巻き上がった土煙を見据えている。
すると……
「二人合わせてこの程度か?」
「「「「!!」」」」
土煙の中から聞こえてきた声に、体を震わせるナツとガジル、ティアナとルーテシアの4人。
「
そこには…あれだけ強力な攻撃を喰らったにも関わらず、上半身の服が吹き飛んだだけで、体はほとんど無傷のラクサスの姿があった。
「バカな!!! いくらコイツが強ェからって…竜迎撃用の魔法をこれだけくらって……ありえねえ!!!」
「そいつは簡単な事さ。ジジィがうるせえから、ずっと隠してきたんだがな。特別にみせてやろう」
そう言うと、ラクサスの犬歯が牙のように尖り、腕にはまるで鱗のようなモノが現れる。
「ま…まさか……」
「ウソだろ?」
それを見た2人は驚愕し、その間にラクサスは先ほどの2人と同じように息を吸い込んで頬を膨らます。
「雷竜の……」
「お前も
「咆哮!!!!!」
ナツがそう問い掛けるのと同時に、ラクサスによる強烈な雷のブレスが放たれた。
「「ぐあああああああっ!!!!!」」
「きゃあああああっ!!!」
「うっ…くっ……!!!」
雷のブレスを受けた、2人は吹き飛ばされ……さらにその衝撃は物陰に隠れていたティアナとルーテシアにも及んだ。
「っ…ナツ!!!」
「ガジル!!!」
衝撃が止んだのを見計らって2人が物陰から顔を出すと、目に映ったのは地面に倒れ伏したナツとガジルの姿だった。
「あ…うあ……」
「くうう…」
「まだ、生きてんのかヨ」
地面に倒れながら呻く2人に対し、そう吐き捨てるように言うラクサス。
「うう…」
「か…体が…麻痺して……」
何とか立ち上がろうとするナツとガジルだが、先ほどの雷のブレスの影響で、体が痺れて動けないでいた。
「いい加減くたばれよ。お前らも、エルザも、ミストガンも、クロスケも、ジジィも、ギルドの奴らも、マグノリアの住人も……全て消え去れぇェッ!!!!」
その瞬間、ラクサスから途轍もない魔力が溢れ出し、その魔力を両手に集中させる。
「な…なんだ…このバカげた魔力は……」
「この感じ…じっちゃんの……」
ナツはラクサスが今やろうとしている事に覚えがあった。
それは…術者が敵と認識したもの全てが標的とする、マスターマカロフの超絶審判魔法……
──
「
「よせ…ラクサス」
「反則だろ!!!! 〝敵と認識した者全て〟が攻撃対象なんてよォ……」
「今のラクサスにとって、ギルドも…街の人たちも攻撃対象……そんなことしたら!!!」
「うおおおおおおおおお!!!!」
「ラクサス!!!!」
「お願いやめて!!! ラクサス!!!!」
ナツとティアナの叫びも虚しく、ラクサスが魔法を発動させようとしたその時……
「やめてーーっ! ラクサス!!!!」
ギルドにいるハズのレビィが慌てた様子でやって来た。
「レビィ!!!」
「バカが……何しに来た……」
ガジルの問い掛けに答えず、レビィはラクサスに向かって叫ぶ。
「マスターが…あんたのおじいちゃんが……危篤なの!!!!」
その言葉を聞いたラクサスの瞳が…一瞬だけ揺れる。
「だからお願いっ!!! もうやめてっ!!! マスターに会ってあげてぇっ!!!!」
そう言ってレビィは涙ながらに訴え掛ける。
そして…そんなレビィの言葉に衝撃を受けたのは、ナツたちも一緒だった。
「き…危篤? じっちゃんが……?」
「うそ…うそよね? あのマスターが危篤………死ぬ…の……?」
「ラクサスゥ!!!!」
悲痛な声を上げてラクサスを説得するレヴィ。
だが……
「丁度いいじゃねえか。これで、このオレがマスターになれる可能性が再び浮上した訳だ」
ラクサスはそう言って笑い、説得を聞かなかった。
「ふはははははっ!!!! 消えろ
「ヤロウ…」
「そんな……」
「ラクサスゥーーー!!!!」
「お前は…何で、そんなに……」
そしてついに……
「
両手を合わせ、その魔力が解放された。
魔法が発動し…教会から強烈な光が放たれ…その光は街中を覆い尽くしたのだった。
「オレは……ジジィを超えた……」
しばらくしてから光が消え、それと同時にラクサスは口角を吊り上げて、そう口にした。
しかし……
「ゲホッゲホッ…」
「ゴホッゴホッ…」
「何が…どうなったの……?」
「!!! そ…そんなバカな……なぜだ!!? なぜ誰もやられてねえ!!!!」
「お前…無事か」
「うん……私は平気。ナツは?」
「…………」
「大丈夫そうだ。ルーテシアと小娘は!?」
「私たちも無事よ。どこも異常はないわ」
「平気」
ナツもガジルも…ティアナもルーテシアもレビィも…その場にいた全員が無事であった。
「どうなってやがる!!!! あれだけの魔力をくらって、平気な訳ねえだろ!!!!」
予想外の出来事に狼狽するラクサス。すると、そんなラクサスに疑問に答えるかのように、大聖堂の入り口から声が響いてきた。
「ギルドのメンバーも、町の人も皆無事だ」
「
「フリード!!? フェイト!!?」
その声の主とは、敗北してボロボロになったフリードと、そんな彼の体を支えているフェイトであった。
「そんなハズはねえっ!!!!
「それがお前の〝心〟だ、ラクサス。お前がマスターから受け継いでいるものは、力や魔力だけじゃない。仲間を思うその心」
「術者が敵と認識した者全てを攻撃する超魔法…
「心の内側を魔法に見抜かれた…ってこと?」
「魔法にウソはつけないな、ラクサス。これが、おまえの〝本音〟という事だ」
フリードの言葉に、ラクサスは拳を強く握り締める。
「違う!!!! オレの邪魔する奴は全て敵だ!!! 敵なんだ!!!!」
「もうやめるんだ、ラクサス。マスターの所に行ってやれ」
「早くしないと、取り返しのつかないことに……」
「ジジィなんかどうなってもいいんだよ!!!! オレはオレだっ!!!! ジジィの孫じゃねえ!!!! ラクサスだっ!!!! ラクサスだぁあああーーっ!!!!」
まるで泣いているかのような叫びを上げるラクサス。
「みんな知ってる」
すると、今まで倒れていたナツが立ち上がる。
「思い上がるなバカヤロウ。じっちゃんの孫がそんなに偉ェのか、そんなに違うのか。血の繋がりごときで吼えてんじゃねえ!!!! ギルドこそがオレたちの家族だろうが!!!!!」
「テメェに何がわかる……」
「何でもわかってなきゃ仲間じゃねえのか」
そう言ってナツは拳に炎を纏い、ラクサスに殴り掛かる。
「知らねえから互いに手を伸ばすんだろォ!!!! ラクサス!!!!」
「黙れぇぇぇっ!!!! ナツゥゥアアアッ!!!!」
そして再び……ナツとラクサスは激突した。
「うおおおおおおおっ!!!!」
「らあああああああっ!!!!」
お互いに雄叫びを上げながら、拳にそれぞれ炎と雷を纏いながら駆け出すナツとラクサス。
「オレの前から消えろ、ナツーーー!!!!」
「お前はオレが止める!!!! ギルドは死んでも渡さねえ!!!! オレたちの、帰る場所だから!!!!」
そう叫びながらお互いに炎と雷の拳を交差させる2人。
しかし……ナツの拳はラクサスには届かず、逆に殴り飛ばされる。
「ナツ!!!」
「ぐっ…フゥーフゥーフゥー……だらぁっ!!!!」
ティアナの叫びを聞きながら、ナツは体制を立て直して再びラクサスへと向かって行く。
「この……死にぞこないがあっ!!!!」
そんなナツをラクサスは再び殴り、地面に叩き伏せる。
「テメェごときがオレに勝てる訳……」
「う…ぐ…ふ……」
しかし…ナツはまだ倒れない。
「ギルドはおまえのモンじゃねえ……よ~く考えろ、ラクサス……」
「黙れェ!!!!」
そう叫びながらラクサスはナツの腹部を蹴る。
「ザコがオレに説教たァ100年早ェよ!!!! アァ?」
ラクサスはナツを何度も蹴り、踏みつけ、そして蹴り飛ばす。しかし……
「まだ…立つのか……」
「ナツ……」
それでも起き上がるナツを見て、フリードとフェイトは背筋をゾクリと震わせる。
「ハァー…ハァー…ハァー‥‥」
「もうやめて…ティアナ、ナツを止めて! ナツが死んじゃう……」
「……今のあいつはもう誰にも止められない。ラクサスを倒すその時まで…止まらなし…倒れない……」
レビィはティアナにナツを止めるように頼み込むが、ティアナは首を横に振ってそう答えた。
「ガキがぁ~……跡形もなく消してやるァ!!!!」
そう言うと、ラクサスは両手をかざして雷の矛を形成する。
「やめてラクサス!!!! 今のナツにそんな魔法を使ったら…ナツが!!!!」
「
フェイトの静止の言葉も虚しく、ラクサスはナツに向かって雷の矛を投げた。
「殺す気かぁっ!!!!」
「うう…くそォ……くそおおっ!!!!」
ダメージの大きさに、ガクンッとその場に膝をつくナツ。そしてその間にも雷の矛は、ナツに迫る。
「イヤーーーー!!!!」
「ナツーーーー!!!!」
ティアナとレビィの悲痛な叫びが響き渡ったその時……ナツに当たる直前で、雷の矛はカクンっと軌道を変えた。
「うおおおおっ! があっ!!!」
「ガジル!!!」
「鉄……まさか、自ら避雷針に……」
その軌道の先には、腕を鉄棒に変形させたガジルが居り、ナツの代わりにガジルが雷のダメージを負った。
「行け」
ガジルのその言葉に、ナツは再び立ち上がる。
「お…おのれ……」
ラクサスは先ほどの攻撃で魔力を使い切ったのか、体をガクガクと震わせて動けないでいた。
「火竜の…」
「おのれェェェェっ!!!!」
そして再び立ち上がったナツは、ラクサスに向かって駆け出し……
「鉄拳!!!!」
「がはっ!」
炎を纏った拳を叩き込んだ。しかし、ナツの攻撃はこれで終わりではない。
「鉤爪!!!! 翼撃!!!! 劍角!!!! 砕牙!!!!」
全力を振り絞った渾身の技の応酬を、ラクサスに次々と叩き込む。
「その魔法…竜の鱗を砕き」
「竜の肝を潰し」
「竜の魂を狩りとる……」
「滅竜奥義……」
「行けーーー!!! ナツーーーー!!!!」
上からレビィ、ルーテシア、フェイト、フリードがそう口にし、ティアナの必死の声援が響き渡る。そして……
「
ナツが両腕から放った炎の刃……ラクサスを襲った。
そしてラクサスは何度か地面を転がり……そのまま気を失って動かなくなった。
「(ラクサスが…負けた)」
それはつまり…ナツの勝利を意味していた。
「オオオオオオオオオオ!!!!!!!」
激闘が終わったカルディア大聖堂には……ナツの勝利の雄叫びが木魂したのであった。
つづく