LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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呪歌

 

 

 

 

 

エルザが帰ってきた日の翌日。ナツ、グレイ、ティアナ、ハッピー…そして何故かルーシィもマグノリアの駅に集まっていた。

 

 

「何でエルザみてーなバケモンがオレたちの力を借りてぇんだよ」

 

 

「知らねぇよ、つーか〝助け〟ならオレ一人で十分なんだよ」

 

 

「じゃあオマエ一人で行けよ!!! オレは行きたくねぇ!!!」

 

 

「じゃあ来んなよ!!! 後でエルザに殺されちまえ!!!」

 

 

「「迷惑だからやめなさいっ!!」」

 

 

殴り合いをするナツとグレイ、そしてそれを止めようとするティアナとルーシィ。

 

 

「もおっ! アンタたち何でそんなに仲が悪いのよぉ」

 

 

溜め息混じりに言うルーシィ。そんなルーシィにナツが質問する。

 

 

「何しに来たんだよ?」

 

 

「頼まれたのよっ!! ミラさんに!!!」

 

 

ルーシィの話では、今回のチームの内、ナツとグレイの仲がギクシャクしている所が不安なので、二人の仲を取り持つようにミラに頼まれたらしい。

 

 

「ミラさんの頼みだから仕方なくついていってあげるのよ」

 

 

「本当は一緒に行きたいんでしょ?」

 

 

「まさか!! てか、三人の仲を取り持つならアンタが居たじゃない! うわーかわいそっ! ミラさんに存在忘れられてるしー」

 

 

「あい」

 

 

ルーシィはハッピーにそう言っている間にも、二人の喧嘩は再開されていた。

 

 

「テメェ何でいつも布団なんか持ち歩いてんだよ」

 

 

「寝る為に決ってんだろ、アホかおまえ」

 

 

「あ~あ…めんどくさいなぁ…」

 

 

睨みあう二人を見て、ルーシィはそうぼやく。すると何か思いついたように手を叩き…

 

 

「あ! エルザさん!!!」

 

 

と言った。すると…

 

 

「今日も仲良くいってみよー」

 

 

「あいさー」

 

 

二人は仲良さそうに肩を組んだ。もちろんエルザが来たと言うのはルーシィの嘘だ。

 

 

「あはははっ! これ面白いかも」

 

 

「「騙したなテメェ!!!」」

 

 

「アンタら本当は仲良いんじゃないの?」

 

 

怒鳴る二人を見ながらルーシィが鼻で笑う。すると……

 

 

 

「にゃははっ…二人は相変わらずだね~」

 

 

 

と、ルーシィにとって聞き慣れない声が後ろから聞こえてきた。振り向くと、そこには白い衣服に身を包み、長い茶髪を白いリボンで二つに結んでいる女性が立っていた。

 

 

「えっと……?」

 

 

突然現れた女性ルーシィが戸惑っていると、隣にいたティアナが嬉しそうに声を上げた。

 

 

「なのはさん!!」

 

 

そう言うと、ティアナは女性…なのはに向かって駆け出した。

 

 

「お久しぶりです! なのはさん!!」

 

 

「うん、久しぶりだね…ティアナ。ナツ君とグレイ、ハッピーも久しぶり」

 

 

「あい!」

 

 

「おう!」

 

 

「元気そうじゃねーか」

 

 

名前を呼ばれた三人も嬉しそうに笑いながら、なのはに歩み寄る。その中で、ただ一人なのはを知らないルーシィが戸惑っていた。

 

 

「あの人が、ティアナが言ってたなのはさん?」

 

 

ルーシィの頭の中では、先日ティアナが言っていた『魔王』と言う単語のイメージが強かったので、勝手に想像していたが、その本人はイメージとは違い、とても優しそうで綺麗な女性だったのでルーシィは呆然としていた。

 

そんなルーシィに気がついたなのははルーシィに歩み寄る。

 

 

「えっと…君は新人さんかな?」

 

 

「あっ、はい! 新人のルーシィです!!」

 

 

ルーシィが慌てて自己紹介すると、なのは微笑みながら手を差し出す。

 

 

「初めまして。『高町なのは』です。気軽になのはって呼んでくれていいから。よろしくね」

 

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

 

そう言ってルーシィは差し出された手を握り、なのはと握手を交わす。

 

 

「それにしても、なんだか珍しい名前ですね……」

 

 

「にゃはは…よく言われるんだ」

 

 

「なのはは東洋の国出身の魔導士なんだ。ギルドにもあと一人居るよ」

 

 

「へぇ~」

 

 

ハッピーの説明にルーシィが納得していると、ようやくエルザが到着した。

 

 

「すまない、待たせたか?」

 

 

「荷物、多っ!!!」

 

 

ルーシィはエルザの荷物の多さに驚く。

 

そして、ルーシィとエルザが軽い自己紹介を済ませると、ナツがエルザに向かって口を開いた。

 

 

「何の用事か知らねぇが今回ついてってやる。条件つきでな」

 

 

「条件?」

 

 

「バ…バカ!! オ…オレはエルザの為なら無償で働くぜ!!!」

 

 

「言ってみろ」

 

 

ナツは一呼吸置いて…

 

 

「帰ってきたらオレと勝負しろ。あの時とは違うんだ」

 

 

「!!!」

 

 

「ちょ、ちょっとナツ!!?」

 

 

「オ、オイ!!! はやまるな!! 死にてぇのか!?」

 

 

「あはは……」

 

 

そんなナツの申し出に、ルーシィとティアナとグレイは驚き、なのはは苦笑いを浮かべている。そしてそれを聞いたエルザはクスリと笑う。

 

 

「確かにおまえは成長した。私はいささか自信がないが…いいだろう受けて立つ」

 

 

そう言って、エルザは髪をかき上げながら了承した。

 

 

「自信がねえって何だよっ!! 本気で来いよな!!!」

 

 

「フフ…わかっている。だがお前は強い……そう言いたかっただけだ」

 

 

そう言うと、エルザがグレイにも視線を向ける。

 

 

「グレイ…お前も勝負したいのか?私と」

 

 

そんなエルザの言葉に、グレイは全力で首を横に振る。

 

 

「おしっ!!! 燃えてきたぁ!!! やってやろうじゃねーか!!!」

 

 

目標ができたナツは文字通り燃えていた。

 

 

「ハァ……また妙なことに……」

 

 

「本当に相変わらずだね~ナツ君」

 

 

そんなナツを見ながら、ティアナとなのはは苦笑いを浮かべていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第七話

呪歌(ララバイ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、目的地へ向かうために列車に乗り込んだ一同。

 

因みに席順は

 

   窓際

エルザ  ナツ

ルーシィ グレイ

   通路

ティアナ なのは

 

となっている。

 

 

そして、先ほどまで燃えていたナツは……

 

 

「うぷっ…おぉ……」

 

 

先ほどとは打って変わって乗り物酔いで弱りきっていた。

 

 

「なっさけねえなぁ、ナツはよぉ……うっとおしいから別の席行けよ。つーか列車乗るな! 走れ!!」

 

 

「厳しいね、グレイ……」

 

 

グレイのナツに対する容赦ない罵倒になのはは苦笑する。

 

 

「まったく…しょうがないな。私の隣に来い」

 

 

「あい…」

 

 

見かねたエルザは自分の隣の席をポンポンと叩きながら言う。既に隣に座っていたルーシィと入れ替わる形でエルザの隣に座った。

 

 

「むっ……」

 

 

それを見ていたティアナはエルザに妬ましげな視線を送ったが、すぐにやめた。何故なら……

 

 

 

ボスッ!!

 

 

 

「ぶほっ!!!」

 

 

なんと弱っているナツの腹部を思いっきり殴り、気絶させたのだ。一同はそれを一斉に見ないフリをした。

 

 

「少しは楽になるだろう」

 

 

そう言ってエルザはナツを自分の膝の上で寝かせた。

 

 

「そういやあたし、妖精の尻尾(フェアリーテイル)でナツとティアナとスバル以外の魔法見たことないかも。エルザさんとなのはさんはどんな魔法使うんですか?」

 

 

「エルザでいい」

 

 

「私もなのはでいいよ」

 

 

「エルザとなのはの魔法は綺麗だよ。血がいっぱいでたり、爆発するんだ…相手が」

 

 

「綺麗なの? それ?」

 

 

ハッピーが言ったことに、ルーシィは軽く引いた。

 

 

「そうかな? 私はグレイの魔法の方が綺麗だと思うよ」

 

 

「そうか?」

 

 

そう言うとグレイは左手のひらに右拳を乗せる。そしてゆっくりと手を開くと、そこには氷で出来たギルドマークが出来ていた。

 

 

「わあっ!!」

 

 

「氷の魔法さ」

 

 

「氷ってアンタ似合わないわね」

 

 

「ほっとけっての」

 

 

すると、ルーシィはナツとグレイを交互に見て、何か合点がいったかのような表情をする。

 

 

「氷! 火!! だからアンタたち仲悪いのね!! 単純すぎてかわいー」

 

 

「そうだったのか?」

 

 

「どうでもいいだろ!? そんな事ぁ」

 

 

「それよりエルザさん。そろそろ話してくださいよ。一体何事なんですか? 貴女ほどの魔導士が私たちの力…しかもなのはさんまで引っ張り出すなんて……ただ事じゃありませんよね?」

 

 

ティアナの質問にエルザは「うむ…」と頷くと、説明を始める。

 

 

「先の仕事の帰りだ。オニバスで魔導士が集まる酒場へ寄った時、少々気になる連中がいてな……」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

時は遡り、オニバスの酒場。

 

 

『コラァ!!! 酒遅ぇぞ!!!』

 

 

エルザが座っていた席の近くでガラの悪い四人組みの男が酒を飲んでいた。

 

 

『ったくよぉ、なにモタモタしてんだよ!!!』

 

 

『す、すみません』

 

 

店員が急いで酒を持って行く。

 

 

『ビアード、そうカッカすんな』

 

 

『うん』

 

 

『これがイラつかずにいられるかってんだ!! せえっかくララバイの隠し場所を見つけたってのにあの封印だ!! 何なんだよアレはよぉ!!! まったく解けやしねぇ!!!』

 

 

『バカ!! 声がでけぇよ』

 

 

『うん、うるせ』

 

 

『くそぉ!!!』

 

 

『あの魔法の封印は人数がいれば解けるなんてものじゃないよ』

 

 

『あ?』

 

 

『あとは僕がやるからみんなはギルドに戻ってるといいよ。エリゴールさんに伝えといて、必ず三日以内にララバイを持って帰るって』

 

 

『マジか!? 解き方を思いついたのか?』

 

 

『おお!! さすがカゲちゃん!!!』

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ララバイ?」

 

 

「子守歌…眠りの魔法か何かかしら?」

 

 

「うーん…聞いたことあるような、ないような……」

 

 

ララバイと言う言葉に全員が首を傾げる。

 

 

「でも、それってその人たちが受けている仕事かもしれないんじゃないですか?その封印を解くっていう」

 

 

ティアナの言葉にエルザは頷きながら答える。

 

 

「そうだ…私も初めはそう気にかけてはいなかった………エリゴールと言う名を思い出すまではな」

 

 

「っ、エリゴールって…あの?」

 

 

エルザが言ったエリゴールと言う名に、なのはが目を見開いた。

 

 

「そうだ。魔導士ギルド『鉄の森(アイゼンヴァルト)』のエース…死神エリゴール」

 

 

「し、死神!!?」

 

 

「暗殺系の依頼ばかりを遂行し続け、ついた(あざな)だ。本来、暗殺依頼は評議会の意向で禁止されているのだが、鉄の森(アイゼンヴァルト)は金を選んだ」

 

 

「確かその結果…6年前に魔導士ギルド連盟を追放されて、今は闇ギルドとして活動しているとか……」

 

 

「闇ギルドぉ!!?」

 

 

「ルーシィ、汁いっぱい出てるよ」

 

 

「汗よ!!」

 

 

エルザとなのはの説明を聞いたルーシィは冷や汗を流す。その間に列車が駅に到着したので、一同は列車を降りる。

 

 

「なるほどねぇ……」

 

 

「ちょっと待って!! 追放って、処罰はされなかったの!?」

 

 

「されたさ。当時、鉄の森(アイゼンヴァルト)のマスターは逮捕され、ギルドは解散命令を出された」

 

 

「でも、ギルドの大半の人が解散命令を無視して活動している……それが闇ギルドなの」

 

 

それを聞いたルーシィはブルッと身体を震わせる。

 

 

「不覚だった…あの時エリゴールの名に気付いていれば……全員血祭りにしてやったものを……」

 

 

「ひいいっ!!」

 

 

エルザの怒りの形相にルーシィは悲鳴を上げる。

 

 

「でも納得したわ。その場にいた人達だけなら、エルザさん一人で問題なかったけど、ギルド一つが相手となると話は変わってくるわ」

 

 

ティアナの言葉に頷きながら、エルザは説明を続ける。

 

 

「奴等はララバイなる魔法を入手し、何かを企んでいる。私はこの事実を看過することは出来ないと判断した」

 

 

そこまで言うと、エルザはグレイ達と向き直り……

 

 

 

鉄の森(アイゼンヴァルト)に乗り込むぞ」

 

 

 

と言った。それを聞いたルーシィ以外のメンバーは笑みを浮かべる。

 

 

「面白そうだな」

 

 

「にゃはは、了解♪」

 

 

「ハァ…ま、やるしかないか」

 

 

「来るんじゃなかった」

 

 

「汁出すぎだって」

 

 

「汁って言うな」

 

 

ルーシィは未だに冷や汗を流していた。

 

 

「で…鉄の森(アイゼンヴァルト)の場所は知ってるのか?」

 

 

「それをこの街で調べるんだ」

 

 

そう言って、一同が情報収集に行こうとしたところで……

 

 

「あぁーーー!!!」

 

 

突然ティアナが思い出したように大声を上げた。

 

 

「ど、どうしたのティアナ!?」

 

 

なのはの問い掛けにティアナは慌てた様子で答える。

 

 

「どうしよう!! ナツを……列車に置いて来ちゃったぁ!!!」

 

 

『!!!!!』

 

 

その言葉に全員が思い出したように目を見開く。

 

そう、一同は気絶したナツをそのまま列車の中に放置して来てしまったのだ。乗り物に弱いあのナツを……

 

 

「何と言う事だっ!! 話に夢中になるあまりナツを列車に置いて来たっ!! アイツは乗り物に弱いと言うのにっ!! 私の過失だっ!! とりあえず私を殴ってくれないかっ!!!」

 

 

「まぁまぁまぁ」

 

 

「エルザさん、落ち着いて」

 

 

取り乱すエルザをルーシィとなのはでなだめる。

 

 

「そう言う訳だっ!! 列車を止める!!」

 

 

「ど、どういうわけ?」

 

 

突然話を振られた駅員は戸惑う。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の人はやっぱみんなこーゆー感じなんだぁ……」

 

 

「オイ! オレはまともだぞ!!」

 

 

「露出魔のどこが」

 

 

ルーシィとグレイがこんな会話をしている間にも、エルザは駅員を説得している。

 

 

「仲間の為だ。わかって欲しい」

 

 

「無茶言わんでくださいよっ!! 降りそこなった客一人のために列車を止めるなんて!!!」

 

 

駅員の言い分ももっともである。だが、どうしても列車を止めたいエルザの目に『緊急停止信号』のレバーが目に入った。

 

 

「ハッピー」

 

 

「あいさー!」

 

 

エルザの指示を聞いたハッピーが駅員を無視してレバーを降ろす。その瞬間警報が鳴り、駅全体に動揺が走る。

 

 

「ナツを追うぞ! すまない、荷物を『ホテル・チリ』まで頼む」

 

 

そんなことには一切構わず、エルザはそこら辺の通行人に荷物を押し付ける。それを若干引き気味で見ている他のメンバー。

 

 

「なのはさん…これ……絶対あとでマスターに怒られると思うんですけど…」

 

 

「にゃはは……まぁ、エルザさんらしいけど……」

 

 

「もう…めちゃくちゃ……」

 

 

「だな…」

 

 

そう言うグレイの上半身は裸だった。

 

 

「服!!! 何で!!?」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後、近くで魔導四輪車をレンタルした一同はそれに乗り込み、列車を追った。そしてしばらくして、ようやく列車に追いついた。

 

 

「もうちょっと列車に寄ってください! 私が乗り込んでナツを運んできます!!」

 

 

「わかった!!」

 

 

ティアナが運転手であるエルザに頼むと、エルザは頷いて魔導四輪車を列車に寄せた。その時……

 

 

ガシャァァアン!!

 

 

「えっ!?」

 

 

「ナツ!?」

 

 

なんとナツが窓を突き破って列車から出てきた。

 

 

「何で列車から飛んでくるんだよぉ!!!」

 

 

「どーなってんのよ!!!」

 

 

「うぉあ!!」

 

 

ゴチーン!!

 

 

そして飛んできたナツはそのまま魔導四輪車の屋根の上に居たグレイの頭に自分の頭を思いっきりぶつけてしまった。そしてそのまま二人揃って地面に倒れる。それを見たエルザは慌てて魔導四輪車を止める。

 

 

「ナツ!!! 無事だったか!!?」

 

 

「痛てーーー!! 何しやがる! ナツてめぇ!!!」

 

 

「今のショックで記憶喪失になっちまった。誰だオメェ くせぇ」

 

 

「何ぃ!!?」

 

 

そんなコントをしている二人に他のメンバーが駆け寄る。

 

 

「ハッピー! ティア! エルザ! ルーシィ! なのは! オレを置いてくなよ!!」

 

 

「すまない」

 

 

「ごめん」

 

 

「ごめんねナツ君」

 

 

「おい…随分都合のいい記憶喪失だな」

 

 

怒るナツに三人は謝り、グレイはツッコミを入れる。

 

 

「でもよかったじゃない、無事だったんだし」

 

 

「無事なモンかっ!! 列車で変な奴に絡まれたんだ!!! 何つったかな? アイ…ゼン……バルト?」

 

 

それを聞いた全員は目を見開く。そして……

 

 

「バカモノぉっ!!!!」

 

 

「ん!!?」

 

 

ナツにエルザの渾身のビンタが炸裂した。

 

 

鉄の森(アイゼンヴァルト)は私たちの追っている者だ!!」

 

 

「そんな話初めて聞いたぞ……」

 

 

「なぜ私の話をちゃんと聞いていないっ!!?」

 

 

『あなたが気絶させたからです』と全員心の中で思ったが、口には出さなかった。

 

 

「今日のナツ…踏んだり蹴ったりね……」

 

 

その中でティアナはナツに同情の視線を送っていた。

 

 

「さっきの列車に乗っているのだな。今すぐ追うぞ! どんな特徴をしていた?」

 

 

「あんまり特徴なかったなぁ。なんかドクロっぽい笛を持ってた。三つ目があるドクロだ」

 

 

「何だそりゃ? 趣味悪ィ奴だな」

 

 

すると、その話を聞いていたルーシィが震えだす。

 

 

「ううん…まさかね……。あんなの作り話よ……でも…もしもその笛が呪歌だとしたら…子守歌(ララバイ)…眠り…死……!!!」

 

 

そして何か気がついたように顔を上げる。

 

 

「その笛がララバイだ! 呪歌(ララバイ)…〝死〟の魔法!」

 

 

「何!?」

 

 

「呪歌?」

 

 

「あっ、そっか!! 思い出した!!」

 

 

それを聞いてなのはも何かを思い出したように声を上げる。

 

 

「私も本で読んだことしかないんだけど…禁止されてる魔法のひとつに呪殺ってあるでしょ?」

 

 

「あぁ…その名の通り、対象者を呪い〝死〟を与える黒魔法だ」

 

 

呪歌(ララバイ)はもっと恐ろしいの」

 

 

「私も思い出したよ。昔見たユーノ君の魔法研究の資料に載ってたのを見たことがあるの」

 

 

ルーシィに代わってなのはが説明を続ける。

 

 

「その笛は元々〝呪殺〟の為の道具だったんだけど、伝説の黒魔導士ゼレフがさらなる魔笛へと進化させたの」

 

 

「進化?」

 

 

「うん……その笛の音を聞いた人全てを呪殺する……〝集団呪殺魔法〟呪歌(ララバイ)!!!」

 

 

その説明を聞いたエルザ達は急いで魔導四輪車を動かし、列車のあとを追ったのだった。

 

 

 

 

 

 

つづく

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