「わぁ!! かわいい!!」
「私の方がかわいいですわ」
「ティアとギン姉、すごく似合ってるよ!!」
「そう?」
「ふふっ、ありがとう。スバルも似合ってるわよ」
「ありがとう! 私、あんまりこういうヒラヒラした服は着ないからちょっと新鮮♪」
そのギルドのテントの一つでは、ルーシィやティアナたち女性陣がボロボロになった服を着替え(一部除く)、ギルドから提供された服に身を包んでいた。
「ここは集落全部がギルドになってて、織物の生産も盛んなんですよ」
「ニルビット族に伝わる織り方なの?」
「えっと……今思うとそう…なんでしょうか?」
ルーシィの質問に首を傾げながら答えるキャロ。
「あなたたちは、ギルド全体がニルビット族の末裔って知らなかったんでしたわね」
「はい」
「私たちだけ後から入ったから」
そう言ってシェリーの言葉に頷きながら答えるウェンディとキャロ。
そんな会話をしていると、ルーシィの視界に…テントの隅っこの方で一人座っているエルザの姿が映った。
「エルザも着てみない? かわいいよ」
「ああ…そうだな……」
ルーシィはエルザにそう話しかけるも、返って来た答えはどこか上の空。ジェラールの一件があって以降、ずっとこの調子なのである。
「今はそっとしておいてあげなさい」
ティアナのその言葉に、ルーシィは頷く事しか出来なかったのであった。
「ところでウェンディ、
「そういえば私も聞いた事なかったわね」
「あたしも」
「私もですわ」
ギンガの言葉に同意するように、ティアナとルーシィとシェリーも頷きながらそう言う。
「そうなんですか?」
「あはは……私たちのギルドって、本当に無名なんですね」
それに対しウェンディとキャロは、苦笑いでそう返す事しかできなかった。
「どーでもいいけど、みんな待ってるわよ」
第七十二話
『化猫の真実』
「
そう言って深く礼の言葉を言う、
「どういたしまして!!! マスターローバウル!!!
「「「さすが先生!!」」」
そう言って盛り上がり始める一夜とトライメンズの3人。
「ちゃっかりおいしいトコ持っていきやがって」
「一夜は思い込みが激しい上に、ああなったらもう簡単に止められねえんだ。他の3人もそれを増長させやがるし」
「あいつ、誰かと戦ってたっけ?」
「さあ?」
それを見ていたグレイとヴァイス、そしてルーシィとティアナはそんな会話をしていた。
「お前たちもよくやったな」
「ジュラさん」
「終わりましたのね」
「お疲れ様です」
お互いに労いの言葉を掛け合う
「この流れは宴だろー!!!!」
「あいさー!!!」
声高々にそう宣言するナツ。
「ティア!! 宴だって!!! おいしいご飯でるかな!!?」
「また食べ過ぎてお腹壊すんじゃないわよ?」
「一夜が」
「「「一夜が!?」」」
「活躍」
「「「活躍!!!」」」
「それ」
「「「ワッショイワッショイワッショイ」」」
「宴かぁ」
「脱がないの!!」
「フフ」
「リオン君も!!」
ナツの宣言を皮切りに、さっそくお祭り騒ぎになる一部の連合軍のメンバーたち。
「さあ、
「「「ワッショイワッショイ」」」
そう言って一夜は
「ワ…」
ヒュゥウウウウ……
と…冷たい風が吹き抜けるほど、ウェンディたち以外の
あまりの温度差に、お祭り騒ぎをしていたナツたちも思わず静かになった。
「皆さん……ニルビット族の事を隠していて本当に申し訳ない」
「そんな事で空気壊すの?」
「全然気にしてねーのに。な? ティア」
「私に振るな」
ローバウルの謝罪の言葉を聞いて、そう言うナツとハッピー。
「マスター、僕もウェンディもキャロも…別に気にしていませんよ」
エリオの言葉に言葉に同意し「うんうん」と頷くウェンディとキャロ。
すると、ローバウルは何やら思い詰めたような表情でゆっくりと口を開いた。
「皆さん、ワシがこれからする話をよく聞いてくだされ」
そう言って連合軍たちに語り始めるローバウル。
「まずはじめに……ワシらはニルビット族の末裔などではない。ニルビット族そのもの。400年前ニルヴァーナを作ったのは、このワシじゃ」
「何!?」
「うそ…」
「400年前!?」
ローバウルのその言葉に、連合軍の面々は驚愕し、ナツやスバルに至ってはポカーンとしている。
「400年前……世界中に広がった戦争を止めようと、善悪反転の魔法、ニルヴァーナを作った。ニルヴァーナはワシ等の国となり、平和の象徴として一時代を築いた。
しかし、強大な力には必ず反する力が生まれる。
闇を光に変えた分だけ、ニルヴァーナは〝闇〟を纏っていった。
バランスをとっていたのだ。人間の人格を無制限に光に変える事はできなかった。
闇に対して光が生まれ、光に対して必ず闇が生まれる」
「そう言われれば……」
「確かに……」
ローバウルの説明を聞いてグレイとスバルは…例として味方から敵になったシェリーと、敵から味方になったリチャードを思い出した。
「人々から失われた闇は、我々ニルビット族に纏わりついた」
「そんな…」
「まさか…」
「…………」
ローバウルの言葉を、信じられないと言いたげな表情をしながらも、黙って聞いているウェンディ、エリオ、キャロの3人。
「地獄じゃ。ワシ等は共に殺し合い、全滅した」
それを聞いた連合軍の面々は言葉を失い、静かに息を飲んだ。
この話が本当だとすると……ブレインが行なおうとしていた仲間同士の殺し合いを、ローバウルはすでに経験していたのだ。
「生き残ったのは、ワシ一人だけじゃ。いや……今となってはその表現も少し違うな。我が肉体はとうの昔に滅び、今は思念体に近い存在。ワシはその罪を償う為……また…力なき
そう言い放つローバウルの表情は、どこか満足げであった。
「う…うそだ……」
「そんな……」
「そ……そんな話……」
ローバウルの話を信じたくないのか、ウェンディとエリオとキャロは目を伏せて体を震わせる。
すると……
シュッ…シュッ…シュッ
なんと……周囲を取り巻いていた
「マグナ!! ペペル!! 何これ…!? みんなが…」
「ミッド!! ベルカまで!!」
「アンタたち!!!」
「なんで…どうして……!!?」
「イヤよ!!! みんな…消えちゃイヤ!!!」
あまりに突然の出来事に、戸惑うウェンディたち4人。
「騙していてすまなかったな、ウェンディ…エリオ…キャロ。ギルドの者は皆…ワシの作り出した幻じゃ……」
ローバウルのその言葉に、ウェンディたちは目を見開く。
「何だとォ!!?」
「おいおい…人格を持つ幻だと!?」
「何という魔力なのだ!!」
目の前にいるギルドメンバー全員が幻だと言う事に…ナツ、ヴァイス、ジュラが驚愕の言葉を口にする。
「ワシはニルヴァーナを見守る為に、この廃村に一人で住んでいた」
ローバウルの言う通り、よく見ると村のあちこちには廃れた形成があった。
「7年前、一人の少年がワシの所に来た」
『この子たちを預かってください』
その少年こそ…ウェンディたちを助けたと言うジェラールである。
「少年のあまりにまっすぐな眼に、ワシはつい承諾してしまった。一人でいようと決めてたのにな……」
そう語るローバウルの脳裏には…預かったばかりの頃の、ウェンディ…エリオ…キャロの思い出が蘇る。
『おじいちゃん、ここ…どこ?』
『魔導士ギルド……ですよね?』
『こ……ここはじゃな……』
『ジェラールさん…私たちをギルドに連れてってくれるって…』
『ギ…ギルドじゃよ!! ここは魔導士ギルドじゃ!!!』
『『『本当!?』』』
『なぶら。外に出てみなさい。仲間たちが待ってるよ』
「そして幻の仲間たちを作り出した」
「そ…それじゃあ…
「ウェンディたちの為に作られたギルド……」
たった3人の少年少女の為だけに幻の仲間で結成されたギルド……それを聞いてルーシィとティアナは眼を見開いて驚愕する。
「そんな話聞きたくない!!!!」
「イヤだ……そんなのイヤだよ!!!!」
「バスクさんもナオキさんも……お願いだから消えないでください!!!!」
耳を塞ぎながら、消えないでと涙を流し…懇願するように叫ぶ3人。
「ウェンディ、エリオ、キャロ、シャルル……もうお前たちに偽りの仲間はいらない」
そう言うとローバウルはゆっくりと3人の後ろにいるナツたち連合軍を指差し……
「本当の仲間がいるではないか」
優しい笑顔を3人に向けながらながらそう言った。すると、ローバウル自身の姿も消え始める。
「お前たちの未来は始まったばかりだ」
「「「マスターーーー!!!!」」」
消えていくローバウルに、手を伸ばしながら急いで駆け寄るウェンディ、エリオ、キャロの3人。
「皆さん、本当にありがとう。ウェンディたちを頼みます」
しかし3人の伸ばした手は届くことなく……ローバウルはそう言い残して、静かに消えていった。
それと同時に……ウェンディたちの体に刻まれていたギルドマークも、存在しなかったように消えていく。
「「「マスタァーーーーーー!!!!!」」」
そして……残された3人の悲痛な叫び声が、その場に響き渡った。
愛するギルドと仲間たち……それらをいっぺんに無くした悲しみを受け入れるには3人はあまりに幼く……ウェンディ、エリオ、キャロは…ただその悲しみを涙として流し、泣き叫ぶことしかできなかった。
すると……そんな3人に、エルザがゆっくりと歩み寄り、ウェンディの肩にポンッと手を置いた。
「愛する者との別れの辛さは……仲間が埋めてくれる」
そう言って悲しみに繰れる3人を、優しく諭すエルザ。
「来い、
つづく