LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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帰還と宴と新しい仲間と…

 

 

 

 

 

 

大海原を走る一隻の船……それには討伐作戦を終えた妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーと、新しくギルドの仲間となる予定の、元化猫の宿(ケット・シェルター)のメンバーが乗っていた。

 

 

「ああ……船って潮風が気持ちいいんだな」

 

 

「いつものナツじゃ滅多に経験できない事だね」

 

 

いつもなら真っ先に乗り物酔いでダウンしてしまうナツだが、今はウェンディの酔い止めの魔法…トロイアが効いている為、ナツは気持ち良さそうに潮風にうたれていた。

 

 

「乗り物っていいモンだなーオイーーー!!!」

 

 

今までに無い体験をしている為か、大ハシャぎで船を走り回るナツ。しかし……

 

 

「あ、そろそろトロイアが切れますよ」

 

 

「おぷぅ」

 

 

ウェンディがそう宣告した途端に、いつもの乗り物酔いが再発した。

 

 

「も…もう一回かけ…て……おぶ…」

 

 

「連続すると、効果が薄れちゃうんですよ」

 

 

「大丈夫ですか? ナツさん」

 

 

「ウェンディもエリオも、そんな奴放っときなさい。かえって静かになっていいわ」

 

 

「「あははははっ」」

 

 

ナツを心配するウェンディとエリオに、呆れたようにそう言い放つティアナ。そして、スバルとルーシィはその光景を見て笑い声をあげている。

 

 

「本当にウェンディたちとシャルルも、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に来るんだね」

 

 

「うん♪よろしくね、ハッピーちゃん」

 

 

「私はウェンディたちが行くって言うからついていくだけよ」

 

 

キャロの膝に座りながらそんな会話をしているハッピーとシャルル。

 

 

「楽しみです!! ナツさんと同じギルド!!!」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!!!」

 

 

六魔将軍(オラシオンセイス)との戦いが終わり、連合軍は解散し…それぞれのギルドに戻っていった。

 

その際に…ラミアのシェリーと天馬のレンが少し良い感じになっていたのは余談である。ハッピーいわく「できてぇる」らしい。

 

余談といえば、もう一つ。それはルーシィの手元に、新しく3つの黄道十二門の鍵が入った事。エンジェルが逮捕された為、ジェミニ…アリエス…スコーピオンの3人が、自らルーシィに所有者(オーナー)になってほしいと願い出てきたのである。

 

 

そんなこんなで……新しい仲間を乗せた船の先には、ハルジオンの港が見えてきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第七十三話

『帰還と宴と新しい仲間と…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と、言う訳で…ウェンディ、エリオ、キャロ、シャルルを妖精の尻尾(フェアリーテイル)へと招待した」

 

 

「「「よろしくお願いします」」」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)へと帰って来てすぐに、エルザはウェンディたちをギルドの面々に紹介し、3人は頭を下げて挨拶をした。

 

 

「かわいーっ!!!」

 

「こっちの男の子もかわいいわー!」

 

「ハッピーのメスがいるぞ!!」

 

「みんな、おかえりなさい」

 

「おジョーちゃんたちいくつ?」

 

 

新しい仲間の加入に、騒ぎ立つギルドのメンバーたち。

 

 

「マスター」

 

 

「うむ、よくやった。これでこの辺りもしばらくは平和になるわい。もちろん、ウェンディたちも歓迎しよう」

 

 

そう言って優しい笑顔を浮かべるマカロフ。

 

 

「ルーちゃんおかえり~!」

 

 

「レビィちゃん!!」

 

 

「無事で何よりだよ、ルーシィ」

 

 

「ユーノさん!!」

 

 

「ルーちゃーーーん!!!」

 

 

「きゃっ、もう、おおげさなんだから」

 

 

「それだけレビィは心配してたって事だよ。お疲れ様、ルーシィ」

 

 

「ありがとうございます、ユーノさん!!」

 

 

ルーシィの帰還を抱きついて喜ぶレビィと、彼女に労いの言葉をかけるユーノ。

 

 

「ジュビア……心配で心配で、目から大雨が…」

 

 

「うえっぷ!! 大雨っつーか洪水じぇねーか!!!」

 

 

「おいグレイ!! 早く止めてくれ!! アタシらが溺れる!!!」

 

 

「何でオレが…!!」

 

 

ジュビアの洪水のような嬉し涙に巻き込まれ、溺れそうになっているヴィータとアギトとグレイ。

 

 

「それでね!! すっごいスピードの奴をギン姉たちと一緒に倒して…」

 

 

「ほう…そんなに速く動ける者がいたのか。バラム同盟の一角は伊達ではないな。やはりその討伐作戦…私も行くべきだったか」

 

 

「将、お前はただ強い奴と戦いたいだけだろう」

 

 

「まぁ、シグナムらしいんやけどな~」

 

 

「んでよォ、ヘビが空飛んで…」

 

 

「ヘビが空なんか飛ぶかよ!! 漢じゃあるめーし」

 

 

「漢関係ないわよ、エルフマン」

 

 

興奮気味に討伐作戦の事を話すナツとスバル。好戦的なシグナムに呆れるはやてとリィンフォース。エルフマンの的外れな『漢』の使い方にツッコミを入れるティアナ。

 

ウェンディ、エリオ、キャロがそれを楽しそうな表情で眺めていると、ミラとフェイトが彼女たちに話しかけた。

 

 

「初めまして、ミラジェーンよ」

 

 

「私はフェイト・テスタロッサ」

 

 

「あ…初めまして。エリオ・モンディアルです」

 

 

「シャルル!! キャロちゃん!! 本物のミラジェーンさんとフェイトさんだよ!!!」

 

 

「噂通り綺麗な人たちだね、ウェンディちゃん!!!」

 

 

初めて見るミラとフェイトの姿に、興奮気味で話すウェンディとキャロ。

 

 

「シャルルはたぶんハッピーと同じだろうけど、ウェンディたちはどんな魔法を使うの?」

 

 

「ちょっと!!! オスネコと同じ扱い!?」

 

 

ハッピーと同じ扱いにされたのが気に喰わないのかそう怒鳴るシャルルだが、周囲は特に気にした様子はなく会話を続けた。

 

 

「あの…私は召喚魔法を使います。飛竜(ワイバーン)の召喚魔導士です」

 

 

「ワイバーン?」

 

 

「はい! それでこの子が……」

 

 

そう言いながらキャロは魔法陣を展開すると、小さな姿のフリードリヒが「キュクー!」と鳴き声を上げながら召喚された。

 

 

「私の友達の、フリードです!!」

 

 

「キュー!!」

 

 

「フリード……そ、そうなんだ」

 

 

目の前のフリードと同じ名前を持つメンバーがギルドに所属している為、フェイトは複雑そうな表情を見せながらそう言った。

 

 

「ウェンディとエリオはどんな魔法を使うの?」

 

 

「私……天空魔法を使います。天空の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)です」

 

 

「僕は槍術と雷魔法を使います。ウェンディと同じく……雷の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)です」

 

 

ウェンディとエリオの言葉に、ギルドの面々は驚愕し、固まる。

 

 

「あ」

 

 

「(信じて…もらえないかな……)」

 

 

そんなメンバーたちの反応を見たウェンディとエリオは顔を俯かせるが……

 

 

「おおっ!!!!」

 

 

「スゲェ!!!!」

 

 

返って来た言葉は、2人の予想を外したものだった。

 

 

「ドラゴンスレイヤーだ!!!」

 

 

「すげーーーーっ!!!!」

 

 

「ナツと同じかっ!!!!」

 

 

「しかも雷って、ラクサスと同じじゃねーか!!!」

 

 

「ガジルもいるし、このギルドに4人も滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)が!!!!」

 

 

「珍しい魔法なのにな」

 

 

「珍しいといやぁキャロの召喚魔法も珍しいだろ!! しかもワイバーン!!!」

 

 

「ルーテシアと同じだな!!!」

 

 

ギルドメンバーたちの歓喜の言葉に、3人は思わず笑顔になる。

 

 

「今日は宴じゃー!!!」

 

 

「「「おおおおおっ!!!!」」」

 

 

「ウェンディたちの歓迎会じゃー!!! 騒げや騒げっ!!!!」

 

 

「ミラちゃーん、ビール!!」

 

 

「はいはーい」

 

 

「うおおおおおっ!!! 燃えてきたぁぁ!!!」

 

 

「きゃああああ! あたしの服ー!!!」

 

 

「何やってんのよこのエロナツ!!!」

 

 

「あっ、新しい呼び方だね」

 

 

「つーかルーシィてめぇ、アタシと同い年のくせに何でそんなに発育いいんだよ!!!?」

 

 

「知りませんケドっ!!!」

 

 

「ひがむなヴィータ」

 

 

「そうよヴィータちゃん、ひがむのはよくないわ」

 

 

「ウルセェ!!! おっぱい魔人ども何かにアタシの気持ちがわかるかーー!!!!」

 

 

「シャルル~オイラの魚いる?」

 

 

「いらないわよっ!」

 

 

マカロフの宣言と同時に歓迎会と言う名の宴が始まり、一気にお祭り騒ぎになる妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

中には騒ぐ者…食す者…酒を飲む者…歌う者など、それぞれが思い思いに大騒ぎを始める。

 

 

「これが妖精の尻尾(フェアリーテイル)……!!」

 

 

「楽しいトコだねシャルル、キャロちゃん」

 

 

「うん!!!」

 

 

「キュクー!」

 

 

「私は別に…」

 

 

楽しそうに大騒ぎをする面々を見て、シャルル以外の新人メンバーも楽しそうにそれを眺めている。

 

 

「……………」

 

 

そしてギルドの2階には……そんなウェンディたち3人を静かに見下ろしているミストガンの姿があった。

 

 

「…………」

 

 

3人の姿を見たあと、ミストガンは黙ってその場を去ろうとすると……

 

 

「いいのか? 会いに行かなくて」

 

 

「……クロノ」

 

 

そんなミストガンを、手摺りに腰掛けたクロノが呼び止めた。

 

 

「ずっと気になっていたんだろう? 遠慮せずに会いに行けばいいじゃないか」

 

 

「……私にはまだ……やるべき事がある」

 

 

そう言い残すと、ミストガンは霞のようにその場から消えていった。

 

 

「やれやれ」

 

 

そんなミストガンの態度に、クロノは呆れたように呟いたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ん?」

 

 

宴でしばらくお祭り騒ぎをしていると、グレイがある事に気がついた。

 

 

「おいジュビア」

 

 

「何ですか? グレイ様!」

 

 

グレイに声を掛けられたのが嬉しいのか、元気に返事を返すジュビア。

 

 

「なのはの姿が見当たらねえが、どこ行ったんだ? 仕事か?」

 

 

「!!」

 

 

なのはの姿が見当たらず、ジュビアにそう問い掛けるグレイだが、ジュビアはそれを聞いた途端ビクンっと体を震わせた。

 

 

「な…なのはさんは……その……」

 

 

言いよどむジュビアを見て、グレイは嫌な予感がして彼女に詰め寄る。

 

 

「おい!! どうしたんだよ!!? なのはに何かあったのか!!?」

 

 

「じ…実は……!!!」

 

 

問い詰めてくるグレイに、ジュビアは意を決したような顔付きになり……そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なのはさんに……子供が出来たんです!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と…言い放った。

 

 

ピシリッ!!!

 

 

その瞬間…ギルド全体……主に討伐作戦に行っていたメンバーが凍りついた。

 

 

「な…なのはさんに……」

 

 

「子供が……」

 

 

「でき…た?」

 

 

上からティアナ、ルーシィ、スバルが強張った口調でそう言うと……

 

 

 

「「「ええぇぇぇえええええええ!!!!?」」」

 

 

 

連合軍に行っていたメンバーたちが、ギルド全体を揺るがすような叫び声を上げた。

 

 

「な…なななな…なのはに…ここ…子供だとォ!!? いい一体どういう事だジュビア!!! 詳しく説明しろ!!!!」

 

 

「ち…ちょお落ち着いてやエルザさん!!! それに私はジュビアちゃんやないー!!!」

 

 

「スカーレット!!! それは主はやてだ!!! ひとまず落ち着け!!!」

 

 

「私は冷静だっ!!!」

 

 

「うそつけ!!!」

 

 

顔を真っ赤にしながら動揺し、ジュビアではなくはやての肩をガクガクと揺らすエルザ。そんなエルザをシグナムとヴィータが必死で押さえる。

 

 

「だははははは!!! おい見ろよハッピー!!! グレイの奴、白目剥いたまま気絶してんぞー!!!」

 

 

「グレイはなのはと仲良かったからショックだったんだろうねー…って笑い事じゃないよナツ!!! なのはに子供ができたんだよ!!?」

 

 

「またギルドの仲間が増えるなー」

 

 

「ダメだ……ナツにこの話題は通じないよ」

 

 

ナツのそういう方面の疎さに、頭を抱えるハッピーであった。

 

 

「グレイ様!! しっかりしてください!!!」

 

 

「…………ハッ!!」

 

 

ジュビアの呼び掛けに、グレイは白目状態から回復する。そして復活したグレイはすぐさまジュビアを問い詰める。

 

 

「おいジュビア!!! なのはに子供が出来たっつーのはどういう事だ!!? つーかどこのどいつと──」

 

 

「あれ? グレイたちだ! 帰ってきてたんだ!!」

 

 

すると……ギルドの入り口の方から、話題の人物であるなのはの声がした。

 

 

「なのは!! ちょうどいい!! お前に聞きたいこと……が?」

 

 

すぐさまギルドの入り口へと視線を移し、なのはの姿を見たグレイは言葉を失った。

 

 

いや……正確にはなのはではなく……彼女と手を繋いでいる金髪の幼い少女の姿を見てである。

 

 

「………誰だ?」

 

 

グレイの問い掛けに、金髪少女はニパッと笑いながら口を開いた。

 

 

 

「はじめましてっ!! ヴィヴィオです!!!!」

 

 

 

そして、そのまま元気な声で挨拶をした。

 

 

「「「…………はい?」」」

 

 

それを見た連合軍メンバー(ナツ除く)は……しばらく呆然とするしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後、落ち着きを取り戻したグレイとエルザは、なのはから説明された話を整理していた。因みに他のメンバーは、ヴィヴィオと遊んでいる。

 

 

「つまり……オレたちが討伐作戦に出かけた日と同じ日に、お前は仕事先の街で倒れていたこのヴィヴィオを拾ったって訳だな」

 

 

「うん、そうだよ。ボロボロの姿で倒れてたから、放っておけなかったんだ」

 

 

「なるほど、なのはらしいな」

 

 

なのはの言葉に、エルザが納得したように頷く。

 

 

「つーかジュビア、テメェ紛らわしい事言ってんじゃねーよ!!!」

 

 

「ジュビア、間違った事なんて言ってません!!!」

 

 

「しかし……これは子供ができたとは言わんだろ? 子供を拾ったと言えば、私たちもあそこまで動揺する事はなかったぞ」

 

 

「あ、それはたぶん…ヴィヴィオが私の事を『ママ』って呼ぶからだと思う」

 

 

「は?」

 

 

「どういう事だ?」

 

 

首を傾げながらなのはに問い掛けるグレイとエルザ。

 

 

「実はね……ヴィヴィオは記憶喪失なんだ」

 

 

「「!!」」

 

 

その言葉に、2人は少なからず驚愕する。先日ジェラールの記憶喪失の件があったばかりなのに、また記憶喪失の者が現れるとは思ってもみなかったのだ。

 

 

「名前以外なんにも覚えていなくて……拾った私の事をママって思ってるらしいの」

 

 

「雛鳥みてーな奴だな」

 

 

「グレイ」

 

 

グレイはつい思った事を口に出してしまい、エルザに睨まれて口を噤んだ。

 

 

「大体の事情はわかった。それで、なのははこれからヴィヴィオをどうするつもりだ?」

 

 

「仕事で行く先々の街で聞き込みをして、ヴィヴィオの本当の両親を探すつもりだよ。それから、ヴィヴィオの記憶も戻す手伝いもね」

 

 

「そうか。ならば私たちも出来る限りの事は手伝おう」

 

 

「うん♪ありがとうエルザさん」

 

 

エルザの協力の申し出に、なのはは笑顔でお礼の言葉を言った。

 

 

「んじゃ、話も纏まった事だし、宴の続きでも………ん?」

 

 

そう言って席を立とうとしたグレイだが、先ほどまでナツたちを一緒に遊んでいたヴィヴィオが、いつの間にか自分の足元にいる事に気づいて、その行動を止めた。

 

 

「どうしたヴィヴィオ? ナツたちと遊んでたんじゃなかったのかよ?」

 

 

「……………」

 

 

グレイの問い掛けに答えず、ヴィヴィオはその特徴的な右目が緑、左目が赤の虹彩異色の眼でジーッとグレイを見据えている。

 

 

「?」

 

 

そんなヴィヴィオの様子に、グレイが疑問符を浮かべていると……

 

 

 

 

 

「パパ」

 

 

 

 

 

と…ヴィヴィオはグレイをピッと指差して言ったのであった。

 

 

「は?」

 

 

「なっ?」

 

 

「へ?」

 

 

「ふえ?」

 

 

 

 

 

「「「ええぇぇぇええええ!!!?」」」

 

 

 

 

 

その瞬間……本日二度目のギルドを揺るがすような叫び声が響き渡ったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

同時刻……何処かの研究所。

 

 

「何…逃がしたマテリアルを見つけた? その情報は確かかい……クアットロ」

 

 

闇ギルド〝無限の欲望(アンリミデットデザイア)〟のギルドマスター……ジェイル・スカリエッティは、通信用魔水晶(ラクリマ)に向かってそう聞き返す。

 

すると、魔水晶(ラクリマ)からはクアットロと呼ばれる女性の声が返って来た。

 

 

『えぇ、目撃証言もありますし、間違いありませんわ』

 

 

「そうか。逃がしたと聞いた時はヒヤリとしたが、見つかって何よりだよ」

 

 

『やっぱり私たちの傘下の闇ギルドなんかに任せたのが間違いだったのですわ。トーレお姉さまやチンクちゃんとかに任せておけば、あんなめんどくさい所に逃げ込まれないで済みましたのに』

 

 

「めんどくさい所? どこだい?」

 

 

スカリエッティがそう問い掛けると、魔水晶(ラクリマ)からクアットロの返事が一呼吸置いて返って来た。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)ですわ』

 

 

「!!!」

 

 

それを聞いた瞬間、スカリエッティは眼を見開いた。が…すぐに口元に不気味な笑みを浮かべた。

 

 

「……そうかい、それはちょうどいい。妖精の尻尾(フェアリーテイル)には前々から興味があったんだ。楽園の塔でトーレを倒し、六魔将軍(オラシオンセイス)を潰した連合軍の一つであるギルド……さらには、プロジェクトFの残滓もいる。ククク……一石二鳥ならぬ、一石三鳥と言ったところだね」

 

 

不気味な笑い声を上げながらそう呟くスカリエッティ。

 

 

『それで、どうしますドクター? 妖精の尻尾(フェアリーテイル)に戦力を送りますかー?』

 

 

「いや、今はまだいい。それよりも、彼女をここに呼んでくれ」

 

 

『彼女って……ああ、あの人ですか』

 

 

「そうだよ、彼女なら……きっと上手くやってくれるだろう」

 

 

『了解で~す♪』

 

 

そう言うと、クアットロとの通信が途切れる。

 

 

 

 

 

「クククク……妖精の尻尾(フェアリーテイル)……君たちは満たすことができるかな? この私の……無限の欲望を……!!!」

 

 

 

 

 

つづく

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