LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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やべぇよ…オリジナル編2話目でもうグダグダ感丸出しだよ……文才のない自分が憎いです。


というわけで、グダグダのオリジナル2話目です。


感想お待ちしております。できれば辛口コメはなしの方向で……





悪霊の札

 

 

 

 

 

なのはが拾った記憶喪失の少女…ヴィヴィオの故郷と思われる街『ベルカの街』にある〝聖王教会〟へとやって来たナツたち妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

しかし、その教会の責任者『カリム・グラシア』は魔導士ギルドに何かを依頼した覚えは無いと言う。さらには、その依頼自体が妖精の尻尾(フェアリーテイル)の誰かを誘き出す罠だとも言ってのけた。

 

まるで全てを知っているかのような口振りで話すカリムに対し、問い詰めようとするエルザ。

 

しかしそれと同時に、ベルカの街に闇ギルド〝悪霊の札(デーモンカード)〟が攻めてきたのである。

 

 

悪霊の札(デーモンカード)だと!!?」

 

 

闇ギルドの名前を聞いた途端、驚愕の言葉を口にするエルザ。それに対し、ルーシィが問い掛ける。

 

 

「エルザ、悪霊の札(デーモンカード)って?」

 

 

「闇ギルド最大勢力、バラム同盟に匹敵するほどの力を持った闇ギルドだ」

 

 

「って事は……この間の六魔将軍(オラシオンセイス)とほぼ同等って事!!?」

 

 

「そういう事だ。しかし、何故この街に悪霊の札(デーモンカード)が……?」

 

 

エルザはルーシィの問いに答えながら考え込んでいると、そこへカリムが口を開いた。

 

 

「奴等の狙いは私たちにもわかりません。しかし今は一刻の猶予もありません……妖精の尻尾(フェアリーテイル)のみなさんにお願いします。私たち自警騎士団と共に、この街を守ってください!!」

 

 

『!!?』

 

 

カリムの突然の頼みに目を見開く一同。

 

 

「図々しいのは承知しております。あなた方は仕事でこの街に来ただけで、しかもその依頼がニセモノと分かった今…この街を守る義理なんてありません」

 

 

カリムの言う通り、ナツたちはこれまで仕事や仕事の障害などになる敵と戦い、結果的にこれまで様々な街や村などを守ってきたが……今回の依頼がニセモノと分かった今のナツたちは完全に無関係なのである。

 

 

「しかし、私たち騎士団の力だけではこの街を守りきる事ができないのもまた事実……そこで」

 

 

そう言うと、カリムはテーブルに置いてあった依頼書を手に取り、再び口を開いた。

 

 

「この依頼を…『闇ギルドから街を守ってほしい』に変更します」

 

 

『!!?』

 

 

「この依頼書は私たちが申請したものではありませんが、依頼者名義が聖王教会になっている以上…どうするかは教会責任者である私の自由です。もちろん、これに書かれている金額……もしくはそれ以上の報酬を出す事も約束いたします」

 

 

そこまで言うと、カリムはソファから立ち上がって妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーたちに向かって深々と頭を下げた。

 

 

「お願いします!! 私たちの街を守ってください!!!」

 

 

『……………』

 

 

カリムの必死の頼みに、黙り込む妖精の尻尾(フェアリーテイル)。すると……

 

 

「へっ、おんもしれぇ……やってやんよ」

 

 

「あい!」

 

 

ナツとハッピーが笑みを浮かべてそう言い、それを皮切りに他のメンバーも口を開く。

 

 

「依頼者からの依頼がそうである以上、私たちはその依頼を遂行する……それが仕事ですから」

 

 

「だよね!!」

 

 

「にゃははっ…そういう事になるね♪」

 

 

「色々と腑に落ちねえトコがあるが……まずは仕事を終わらせてからだな」

 

 

「カリム殿は依頼者としての筋を通した。ならば、我々がギルドとしての筋を通さぬ訳にはいかないな」

 

 

そう言うと、エルザたちはソファから立ち上がり、出入り口へと向かう。

 

 

「あんた、悪ぃがこいつを預かっててくんねえか?」

 

 

「はい、わかりました」

 

 

グレイは未だ眠っているヴィヴィオをカリムに頼み、そのまま彼女をソファの上に寝かせる。

 

 

「それじゃあ行くぞ!!!」

 

 

『おう(はい)!!!!』

 

 

エルザの号令と共に部屋を後にして行く妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーたち。

 

そして部屋にはカリムと、眠っているヴィヴィオが取り残される。

 

 

「……ここまでは〝予言〟通り。だとすれば、奴等の狙いは……」

 

 

一人そう呟くカリムの視線の先には……ソファの上で小さく寝息を立てているヴィヴィオの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第七十七話

悪霊の札(デーモンカード)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この者たちを絶対に街へ入れてはいけない!!! 何としても食い止めるのです!!!」

 

 

『おおっ!!!』

 

 

その頃……街の城壁、南西方面では、自警騎士団とその副団長であるシャッハが悪霊の札(デーモンカード)の魔導士たちを街の中へと入らせまいと奮闘していた。

 

 

「騎士団なんぞぶっ潰せ!!! 悪魔の札(デーモンカード)の力を見せてやれぇ!!!」

 

 

『うおおおおおお!!!』

 

 

しかし、対する悪霊の札(デーモンカード)の魔導士たちも負けじと突っ込んでくる。

 

 

「逆巻け!! ヴィンデルシャフト!!!」

 

 

「「「ぐあああああっ!!!」」」

 

 

シャッハは自身の武器であるトンファーのような双剣…ヴィンデルシャフトを振るい、十数人もの魔導士を斬り捨てる。

 

 

「くっ…数が多すぎる……」

 

 

しかし…悪霊の札(デーモンカード)の魔導士の数は目測で100人以上、対して騎士団の数は50人と少し…さらにシャッハ以外の騎士たちはまともに魔法を扱う事ができない為、必然的にシャッハたちは劣勢を強いられていた。

 

 

すると……

 

 

「火竜の咆哮!!!!」

 

 

『うあああああっ!!!』

 

 

「!!?」

 

 

突然後方から強大な炎が飛んできて、目の前にいた魔導士の数十人をあっという間に薙ぎ払った。

 

そしてシャッハはすぐさま後方を見ると、そこにはナツたち妖精の尻尾(フェアリーテイル)が立っていた。

 

 

「へへっ…行くぞハッピー!!!」

 

 

「あいさー!!!」

 

 

ナツは口元に笑みを浮かべ、悪霊の札(デーモンカード)の軍隊に突撃して行き、ハッピーもそれに着いて行く。

 

 

「火竜の翼撃!!!」

 

 

そしてそのまま、目の前の魔導士たちを薙ぎ払って行った。

 

 

「ったくあのバカはまた先走って……私たちも行くわよルーシィ!!」

 

 

「うん!!!」

 

 

そう言うと、ティアナとルーシィも目の前の軍隊に向かって走り出す。

 

 

「クロス・スライサー!!!」

 

 

ティアナはダガーモードとなったクロスミラージュを振るい、魔導士たちを次々と切り倒して行く。

 

 

「開け!! 天蠍宮の扉!! スコーピオン!!!」

 

 

「ウィーアー!! サンドバスター!!!」

 

 

ルーシィは新しく仲間に加わった星霊…スコーピオンを召喚し、スコーピオンはその特徴的なサソリの尻尾を模したような銃から砂嵐を巻き起こし、魔導士たちを一掃する。

 

 

「アイスメイク〝槍騎兵(ランス)〟!!!」

 

 

「ディバインバスター!!!」

 

 

そしてグレイとなのはも、いくつもの氷の槍と強力な砲撃を発射し、魔導士たちを吹き飛ばす。

 

 

「あ…あなた方は……!!」

 

 

いきなりの助っ人の登場に呆然とするシャッハ。そんな彼女の隣に、鎧を身に纏ったエルザが並び立つ。

 

 

「カリム殿の依頼を受け、私たちもこの街を守る為に戦わせてもらう。異論はないな、シャッハ殿?」

 

 

エルザの問い掛けに、シャッハは一瞬だけ呆けたが、すぐに表情を引き締めて返事を返した。

 

 

「助かります!!!」

 

 

「では、私たちも行くぞ!!!」

 

 

そう言うと、エルザとシャッハ共に武器を構え、目の前の敵の軍隊へと向かって駆け出していった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃…ベルカの街から少し離れた岩場の上には、4人もの人影が街の様子を窺っていた。

 

 

「戦況は?」

 

 

「んー…あまりいいとは言えねーな」

 

 

「劣勢」

 

 

黒服を身に纏い、メガネをかけた男の問い掛けに、黒髪の男と薄紫の長髪をツインテールにした無表情の少女が双眼鏡を覗きながらそう答える。

 

 

「ああ? 相手はロクに魔法も使えねえ騎士どもだろ?」

 

 

それを聞いて、最後の1人である赤黒い短髪をオールバックにした男が意外そうに口煮を開く。

 

 

「そうだが、どうやら奴等は厄介な助っ人を味方に付けたみてぇだ」

 

 

「厄介な味方?」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)だ」

 

 

「! あの六魔将軍(オラシオンセイス)を潰したギルドの1つか!?」

 

 

「たった6人だが相当やるようだ。使えねー兵隊どもだけじゃ無理そうだ」

 

 

黒髪の男の言葉を聞いて、オールバックの男は驚愕する。そしてそれを聞いて、メガネの男は思案顔になり、小声で呟く。

 

 

「ふむ…ここまでは計画通り。ならば次は……」

 

 

他の3人に聞こえない程度の小声でブツブツと呟くと、やがて3人に向かって口を開いた。

 

 

「グラン、ガワラ、メイア……あなたたちも行ってきてください」

 

 

「あぁ? チッ…めんどくせー」

 

 

「了解」

 

 

「しょうがねーな……」

 

 

メガネの男の命令に、男2人は面倒くさそうに…少女は機械のように無表情で返事を返した。

 

 

「では……行きなさい」

 

 

そう言って男が指をパチンッと鳴らすと、3人はその場から文字通り消えたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「こ…こいつらは妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!? 正規ギルドの連中じゃねえか!!!」

 

 

「なんでこんな所にいやがるんだ!!?」

 

 

「仕事に決まってんだろ……」

 

 

動揺する魔導士の言葉に答えながら、ナツは炎の拳を構える。

 

 

「テメェらをぶっ潰すっていう仕事のなぁ!!!!」

 

 

『うわぁぁぁああああ!!!』

 

 

そのまま炎の拳を振るい、軍隊を吹き飛ばす。

 

 

「たいしたことねーな」

 

 

「こいつらはただの兵隊だよ、気をつけてナツ」

 

 

「わーってるよ。こんな奴等、オレ一人でぶっ潰して──!!?」

 

 

そう言いかけたナツは何かの気配を感じ取り、その気配がした方へと反射的に視線を向ける。すると……

 

 

「ったーく……簡単な仕事のハズが、とんだ邪魔が入ったもんだぜ」

 

 

そう言って倒れている軍隊の奥から歩いてきたのは…赤黒い短髪をオールバックにし、目にはサングラスを掛け、炎のような模様が入った黒い学ランを肩に羽織ったヤンキーのような男であった。

 

 

「桜色の髪に…鱗のようなマフラー…んでもって炎を操る魔導士。なるほどな、噂に名高い妖精の尻尾(フェアリーテイル)火竜(サラマンダー)っつーのはテメェの事か」

 

 

「んだテメェ?」

 

 

悪霊の札(デーモンカード)の魔導士……獄炎(ごくえん)のグラン。夜露死苦(よろしく)

 

 

グランと名乗る男はそう言うと、サングラスの奥から射抜くような視線でナツを睨む。

 

 

「オレたちはこの街に用があるんでな、そこを通してもらおうか」

 

 

「お断りだ。この街を守るっつーのが、オレたちが受けた仕事だからな」

 

 

「そーだそーだ!」

 

 

ナツとハッピーはそう言ってグランの申し出を断る。

 

 

「ハァ…悪ぃがこっちも仕事なんだよ。どーしても通さなねえっつーなら……」

 

 

グランは小さく嘆息しながらそう言うと……

 

 

「死んでもらうぜ」

 

 

同時に……手のひらに赤い炎のような弾丸を生成し、ナツに向かって放った。

 

 

「オレに炎は効かねえぞ!! こんなもん食って──!!!?」

 

 

そう言って炎を食そうとしたナツだが、その発言とは対照的にバッと体を横にそらしてそれを回避した。

 

 

「ナツが……炎を避けた?」

 

 

ナツの行動を見て疑問を感じるハッピー。

 

 

「いや…ニオイでわかる。こいつは炎じゃねえ」

 

 

ナツのその言葉に、グランはニッと笑みを浮かべる。

 

 

「へぇ…さすが、よくわかったな。確かにこいつは炎なんかじゃねえ」

 

 

そう言うと、グランは手のひらからドロリとした赤い液状のようなモノを吹き出す。そしてそれが地面に落ちると、ジュワリと音を立てて地面が溶ける。

 

 

「こいつはその灼熱をもって万物を溶かす最強の物質……マグマだ」

 

 

「「マグマ!!?」」

 

 

グランの言葉に目を見開いて驚愕するナツとハッピー。

 

 

「そう…そしてそれを操る失われた魔法(ロストマジック)……〝熔岩(ヴォルカニック)〟」

 

 

そう言うと、グランは更なるマグマを両腕から生成し始める。

 

 

「オレはまどろっこしいのは嫌いなんでな、簡単にいこうぜ。オレが勝ったら街へ入れる、お前が勝ったら街を守れる。ルールはそんだけだ。どうだ? シンプルだろ?」

 

 

「気が合うじゃねーか、オレもゴチャゴチャしてんのは嫌れーなんだ」

 

 

「来いよ火竜(サラマンダー)……テメェの炎とオレ様のマグマ……どっちが強ぇか、タイマン勝負と行こうぜ」

 

 

「おもしれぇ、燃えてきたぞ」

 

 

「そう来なくっちゃな」

 

 

そう言ってお互いに笑みを浮かべると、ナツは炎を纏った拳を…グランはマグマを纏った拳を構えると……

 

 

「うおおおおおおっ!!!」

 

 

「オラアアアアアッ!!!」

 

 

お互いの拳をぶつけ合ったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ハァア!! クロスファイヤーシュート!!!」

 

 

「お願い、ロキ!!!」

 

 

獅子王の輝き(レグルスインパクト)!!!」

 

 

一方…ティアナとルーシィの2人組みに加え、ルーシィが召喚したロキが加わった3人は確実に敵の魔導士を殲滅していった。

 

 

「こんなところかしらね?」

 

 

「うん、この辺りにもう敵はいないみたいだ」

 

 

「ハァ~…よかったぁ」

 

 

周囲に敵がいない事を確認した3人は、とりあえず一息つく。

 

 

「ロキ、お疲れ様」

 

 

「いいんだよ、この間の戦いではロクに活躍も出来ずにやられちゃったから名誉挽回ってところかな」

 

 

ロキの言うこの間の戦いとは、アリエスと共に倒されたエンジェルとの戦いの事であろう。

 

 

「それに……花見の時でもルーシィの看病という大役をユーノに取られちゃったからね」

 

 

「んなっ!!?」

 

 

先日の花見の日の出来事を思い出し、ルーシィは顔を真っ赤にする。

 

 

「という訳でルーシィ!! キミの王子様として、今晩は付きっ切りでキミの事を──」

 

 

「帰れ!!!」

 

 

ロキの言葉を遮り、ルーシィは顔を真っ赤にしながら強制閉門でロキを星霊界へと送還した。

 

 

「まったく……」

 

 

「いつも思うけど……アンタの星霊って強力な代わりに性格っていうか、キャラが濃いわよね」

 

 

「えぇ…本当に」

 

 

女の胸好きの牛…ガラが悪い人魚とその彼氏のチャラ男…語尾が「エビ」の蟹…真顔でボケるメイド…その他の星霊も色々とキャラが濃いのである。

 

 

「さて、休憩終わり。そろそろ他の場所の援護に行くわよ」

 

 

「うん!!」

 

 

ティアナの言葉にルーシィは頷き、2人が歩き出そうとしたその時……

 

 

「!!」

 

 

ティアナの目に、ルーシィの頭上で空中で浮遊している1本の鋭いナイフが映り……そのナイフはルーシィに向かって振り下ろされる。

 

 

「ルーシィ!! 危ない!!」

 

 

「え?──きゃあっ!!!」

 

 

それを見たティアナは咄嗟にルーシィを押し倒す形で間一髪彼女を助けた。

 

 

「ぐっ……!!」

 

 

しかし完璧に回避する事は叶わず、ティアナの肩に一本の赤い線が刻まれる。

 

 

「大丈夫、ルーシィ?」

 

 

「う…うん……ってティアナ!! その肩!!!」

 

 

「掠り傷よ、心配いらないわ」

 

 

ティアナは肩の傷を押さえながらそう答えると、先ほどのナイフへと視線を映すが……

 

 

「(!? 消えた?)」

 

 

視線の先にはナイフはなく、それどころか地面に刺さった跡すら見当たらなかった。

 

 

「ほう…よくかわしたなぁ」

 

 

「「!!?」」

 

 

突然聞こえてきた男の声に、ティアナとルーシィはすぐさまそちらへと視線を向ける。

 

そこには、黒髪を獣のように逆立たせ、顎には無精髭を蓄えた男性が立っていた。

 

 

「敵!?」

 

 

「の…ようね」

 

 

その男を敵と判断したティアナとルーシィは、男を睨む。

 

 

悪霊の札(デーモンカード)……幻獣のガワラ」

 

 

男…ガワラはそう名乗ると、まるで品定めをするかのような目でティアナとルーシィを見る。

 

 

「ククッ…2人とも中々の上玉じゃねーか。ここで殺すより、連れて帰って楽しむってのもいいなぁ」

 

 

下卑た笑みを浮かべながらそう言うガワラに対し、ティアナとルーシィは嫌悪感を露にする。

 

 

「可愛すぎるのも困りものね」

 

 

「アホな事言ってないで、さっさと構えなさい。来るわよ」

 

 

自画自賛するルーシィにツッコミを入れつつ、クロスミラージュを構えるティアナ。そんな2人に向かって、ガワラは片手を翳し……

 

 

獣魂(じゅうこん)

 

 

その手から、まるで狼の頭部のような魔法が発射された。

 

そしてその魔法は、鋭い牙を見せながら真っ直ぐとティアナに向かって行く。

 

 

「ティアナ!!? 何してるの!!? 避けて!!!」

 

 

「……………」

 

 

にも関わらず、ティアナは微動だにせずにその魔法を見据えている。それを見たルーシィは焦ったように声を張り上げるが、それでもティアナは動かない。

 

そして……

 

 

スカッ……

 

 

「え?」

 

 

っと、その魔法はティアナの体をすり抜けた。

 

 

「ほう…よく見破ったな」

 

 

「残念だったわね、私も幻影魔導士。その程度の幻は通用しないわ」

 

 

そう、先ほどのガワラの攻撃は幻で形成されたものだったのである。

 

 

「なるほどなぁ……だが、オレはただの幻影魔導士じゃねーんだよ」

 

 

「? どういう──」

 

 

ガワラの意味深な言葉にティアナが問い掛けようとしたその時……

 

 

「きゃあああああああ!!!」

 

 

「!? ルーシィ!!?」

 

 

突然ルーシィの悲鳴が聞こえ、すぐさまルーシィへと視線を移すティアナ。

 

 

そこには何と……先ほどのガワラの幻影で作り出された狼の頭部がルーシィの腕に噛み付いていた。

 

 

「幻影が実態を!!? くっ!!!」

 

 

それを見たティアナは驚愕していたが、ルーシィを助けるのが先決だと判断し、ダガーモードにしたクロスミラージュを振るうが……

 

 

ボフッ

 

 

それが当たると同時に、狼の頭部は煙のように消えた。

 

 

「ルーシィ!! 大丈夫!!?」

 

 

「いっつぅ……うん、見た目ほど酷くないから……」

 

 

ルーシィの噛み付かれた腕からは血が流れているが、そこまで深くはないようである。

 

 

「驚いたかい? お嬢ちゃんたち」

 

 

それをニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら見ているガワラ。そんなガワラを睨み付けながら、ティアナは静かに問いかける。

 

 

「……それがアンタの魔法ってわけ?」

 

 

「その通り。幻を実体化させる最強の幻影魔法……〝幻実(リアルモーメント)〟だ」

 

 

そう説明しながらも、ガワラは自分の周囲に先ほどと同じような鋭い牙を持った獣の頭部を何匹も出現させる。

 

 

「さあ……楽しもうぜ」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

ドガァァァァアアン!!!

 

 

「ぐおあっ!!!」

 

 

「うああっ!!!」

 

 

一方…グレイとなのはが戦っていた戦場にも、新たな敵が出現していた。

 

 

「くそっ……なんて奴だ!!」

 

 

そう毒づくグレイの目の前には、薄紫の長髪をツインテールにした無表情の少女が佇んでいた。

 

しかもその少女は……両腕両足には小型のミサイルポッド…両手には大型のマシンガン…背中には2機もの大型の大砲を携え、全身を完全武装していたのだった。

 

 

「銃殺」

 

 

少女は短くそう呟くと、両手に持っているマシンガンから何十発もの小型の魔法弾を発射した。

 

 

「アイスメイク〝(シールド)〟!!!」

 

 

それに対しグレイは巨大な氷の盾を造りだし、魔法弾を防ごうとするが……

 

 

「無駄」

 

 

ズガガガガガガガガ!!!!

 

 

休み無く次々と打ち込まれていく魔法弾の嵐に、氷の盾はガリガリと削られて行く。

 

 

「ぐ…おおお!!!」

 

 

グレイは負けじと持ち堪えようとするが、次第に氷の盾の面積は小さくなっていき、今にも破壊されそうになっていた。

 

 

「グレイ!!!」

 

 

それを見たなのはは、レイジングハートを構えて魔力を集束させる。

 

 

「ディバインバスター!!!」

 

 

そしてその集束した魔力を解放し、強大な砲撃として少女に向かって放った。

 

 

「砲撃」

 

 

それを確認した少女は、マシンガンによる連射を止め、すぐさま背中の大砲の砲口を向ける。

 

 

「発射」

 

 

そして…その呟きと同時に、なのはのディバインバスターにも劣らない威力の砲撃が発射された。

 

 

ドゴォォォォォオオオオオ!!!!!

 

 

そしてその砲撃は、ディバインバスターと衝突し、周囲に凄まじい爆風を巻き起こした。

 

 

「ぐおおおっ…!!」

 

 

「くっ…うぅ……!!」

 

 

グレイとなのは吹き荒ぶ激しい爆風から身を守るように腕で顔を覆う。

 

 

「相殺」

 

 

そして爆風が止むと、そこには変わらず重装備で静かに佇んでいる少女の姿。

 

 

「くそっ…何なんだよありゃあ!? 本当に魔法なのか!!?」

 

 

「私……知ってる。あれは〝武装(フルアーマー)〟……強力な魔法銃火器を換装して自身に装備する事で、その攻撃力と破壊力を向上させる魔法なの」

 

 

少女の見た事のない魔法にグレイが戸惑っていると、なのはが静かに説明する。

 

 

「ビスカの〝銃士(ザ・ガンナー)〟と似たような感じか」

 

 

「でも、ビスカさんの魔法とは桁違いに強力だよ。それを修得しているあの娘は……かなりの実力者だ」

 

 

そんな会話をしながらも、ジッと目の前の重装備少女を見据えて出方を窺っているグレイとなのは。

 

 

悪霊の札(デーモンカード)……武装姫(ぶそうき)のメイア」

 

 

対する少女…メイアもグレイとなのはを、まるで機械のような光のない眼差しでしっかりと見据え……

 

 

「殲滅……開始……」

 

 

静かにそう呟き…自身の体に装備された銃器を構え直したのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃……街から離れた岩場には、グランたち3人を送りつけたメガネをかけた男が、魔法により空間に表示されたキーボードを打ち込んでいた。

 

 

「我ら悪霊の札(デーモンカード)が誇る最強の四天王……彼らとどこまで渡り合えるか……」

 

 

そう言うと同時に、男の目の前に3つの空間モニターが表示され、そこにはナツたちがそれぞれ戦闘を繰り広げている場面が映し出されていた。

 

そしてモニターがしっかりと映し出されたのを確認すると、男は懐から通信用魔水晶(ラクリマ)を取り出す。

 

 

「こちら悪霊の札(デーモンカード)のオルバ……応答願います」

 

 

『はいは~い、聞こえてるわよ~♪』

 

 

メガネの男…オルバの声に、通信用魔水晶(ラクリマ)から明るい女性の声で返事が返ってきた。

 

 

「そちらの作戦通り、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士と接触。現在、我ら四天王のうち3名が交戦中。データ収集を行ないます」

 

 

『了か~い♪データ収集が終わったら適当に切り上げていいわよ~』

 

 

「しかし、我がギルドの四天王ならば、正規ギルドの魔導士ごとき叩き潰すのは造作もありませんが」

 

 

『いいのよ別に。悪いけど今は私たちの指示に従って頂戴。そ・れ・に~』

 

 

そこまで言うと、女性の声色が何やら意地の悪そうなものへと変わった。

 

 

『あなたたちのギルドが1ヶ月前にマテリアルを逃がさなければ、こんな事にはならずに済んだのよ?』

 

 

「……返す言葉もございません」

 

 

女性の言葉に、オルバは眉をひそめながら応答する。

 

 

「それでは、また後ほど連絡いたします……クアットロ様」

 

 

『は~い、またね~♪』

 

 

その会話を最後に、オルバはクアットロと呼ばれる女性との通信を切った。

 

 

「ふぅ…同盟関係とはいえ、他のギルドに顎で使われるのは腹立たしいものです」

 

 

通信を終えると同時に、オルバは溜息混じりにそう呟く。

 

 

「しかし仕事は仕事……我がギルドの名に懸けて、今度こそ完璧に遂行させてみせましょう」

 

 

そう言うと、オルバは再びキーボードを叩き始めたのであった。

 

 

 

 

 

つづく





最後らへんに出てきたメイアは『武装神姫』の装備をイメージすると分かりやすいかもです。
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