LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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モバゲーのリリなのイノセントが面白すぎて更新が疎かに……

相変わらずのグダグダですが、どうか暖かく見守ってください。

感想お待ちしております。


赤髪の少女

 

 

 

 

 

闇ギルド・バラム同盟の一角…〝無限の欲望(アンリミテッドデザイア)〟の襲撃により、なのはが重傷を負わされ、今回の一件の鍵となる少女…ヴィヴィオが連れ攫われてしまった。

 

大切な仲間であり、家族である2人をキズつけられ、攫われた事に怒りを燃やす妖精の尻尾(フェアリーテイル)はギルド同士の戦争を決意したのであった。

 

 

そして襲撃の日から一夜明けた翌日……ナツたちはとある大きな街へとやって来ていた。

 

 

「ここがこの辺りで一番大きな街…『ミエルの街』だ」

 

 

「確かに、大きさはマグノリアと大差ないですね」

 

 

「うん、ここならいい情報が集まりそうだね!」

 

 

エルザの言葉にそう返事を返すティアナとスバル。すると、ナツが不満気な声を上げる。

 

 

「何でこんな街に来る必要があるんだよ? とっとと奴等の所に殴り込みに行こうぜ!!」

 

 

そんなナツの言葉を聞き、ティアナは「アンタは……」と言って片手で頭を押さえる。

 

 

「ナツー、マスターの説明聞いてなかったの?」

 

 

「いい? 私たちは奴等のギルドがどこにあるのか知らないの。その情報を集める為に、ギルドのみんなで散り散りに行動してるんでしょうが」

 

 

呆れながらもナツにそう説明するハッピーとティアナ。

 

そう…無限の欲望(アンリミテッドデザイア)はバラム同盟の一角であるが故に、ギルドの所在地がまったく掴めていない。そこでマカロフは主戦力となるメンバーでいくつかのチームを編成し、無限の欲望(アンリミテッドデザイア)の情報収集を開始したのであった。

 

因みに現在のチーム編成は…ナツ、ハッピー、ティアナ、グレイ、エルザ、スバル、そして……

 

 

「しかし、シャッハ殿とカリム殿も協力してくれるとは…心強い」

 

 

「いえ、これも乗り掛かった船ですから」

 

 

ベルカの街の自警騎士団副団長であり、聖王教会のシスターでもあるシャッハ・ヌエラを加えた7人である。

 

因みに彼女の上司であるカリム・グラシアはギルドで待機である。

 

 

「ルーシィやユーノ、エリオやウェンディ、それにヴォルケンリッターのみんなも別々の街で情報収集してるよ」

 

 

「だから私たちも、この街で出来るだけ無限の欲望(アンリミテッドデザイア)の情報を集めて、ギルドの所在地を特定しなきゃいけないの。殴り込みはそのあと、わかった?」

 

 

「だーめんどくせーなぁ!! さっさと奴等の所に殴り込みに行きゃあいいじゃねーか!!!」

 

 

「だからその為にこの街で情報を集めるって言ってんでしょーがこのバカナツ!!!」

 

 

説明の内容をまったく理解していないナツにティアナがそう怒鳴ると、今まで黙っていたグレイが口を開く。

 

 

「おいティアナ、もうそんなバカ放っとけ。相手にするだけ時間の無駄だ」

 

 

「あぁ!!? グレイ!!! テメェやんのかコラァ!!!!」

 

 

そう怒鳴りながらグレイに突っかかるナツだが、そんなナツを無視してグレイは話を進める。

 

 

「とりあえず手分けして情報収集に当たろうぜ。エルザ、それでいいよな」

 

 

「そうだな。では1時間後…またここに集合だ、いいな?」

 

 

「わかった。んじゃ、オレは先に行かせてもらうぜ」

 

 

エルザの指示に頷くと、グレイは1人でさっさと街の中へと消えていった。それを見送っていたティアナたちは複雑そうな表情をしていた。

 

 

「グレイさん……やっぱり元気ないね」

 

 

「あい」

 

 

「そうね、さっきもナツに全然突っかからなかったし……」

 

 

「無理もない。目の前でなのはがキズつけられ、自分を父と慕っていたヴィヴィオを連れ去られてしまったんだからな」

 

 

「今はそっとしておく方が良いと思います」

 

 

グレイの事を心配するティアナたちだが、今はそっとしておく方が無難だと判断し、すぐに思考を切り替えた。

 

 

「では私たちも情報収集に行くとしよう。さっきも言ったが、また1時間後にここに集合だ。わかったな?」

 

 

「はい!」

 

 

「了解です」

 

 

「わかりました」

 

 

「あいさー!」

 

 

「ちぇー…めんどくせーなぁ」

 

 

エルザの指示を聞きつつも、尚も不満気に声を漏らすナツ。すると、そんなナツにティアナが声をかける。

 

 

「そう、だったらちょうどいいわ。ナツ、アンタとハッピーは先に宿を取ってそこで待機してなさい」

 

 

「ハァ!? 何でだよ!!?」

 

 

「元々そのつもりだったからよ。そもそもアンタに情報収集なんて絶対に無理だから」

 

 

「んだとコラァ!!」

 

 

「今までのアンタの行動を振り返ってみなさい!!! すぐ頭に血がのぼる!! ケンカを売る!! 話をややこしくする!! デマに騙される!! そんな奴に情報収集なんて無理!!!」

 

 

「む…ぐぅ……」

 

 

今までの前科からか、ナツは言い返せずに言葉に詰まる。

 

 

「そういう訳だナツ、お前は宿を取って集合時間までそこで待機。ハッピーはナツと一緒にいてやれ。わかったな?」

 

 

「あいさー」

 

 

「…………」

 

 

エルザの問い掛けにも答えず、ナツは不貞腐れたように黙る。

 

 

「返事はっ!!!!」

 

 

「あい!!!」

 

 

が、エルザの一喝によりすぐさま背筋を伸ばして返事を返した。

 

 

「では、また1時間後に。行こう、シャッハ殿」

 

 

「はい」

 

 

「私たちも行こう、ティア!」

 

 

「ええ。ナツ、変な騒ぎを起こすんじゃないわよ!」

 

 

そしてエルザはシャッハと…ティアナはスバルと共に情報収集の為に街の中へと向かって行った。

 

 

「くっそー、ティアのヤロー…偉そうに……」

 

 

「しょうがないよナツ。オイラたちも宿を探しに行こ」

 

 

悔しそうに唸るナツを連れて、ハッピーは宿を探すために街へと繰り出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第八十一話

『赤髪の少女』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……とある場所…とある建物では……

 

 

「ん…んん?」

 

 

薄暗い部屋のベッドの上……そこで1人の女性がゆっくりと目を覚ます。

 

 

「起きた?」

 

 

「!」

 

 

誰かから声を掛けられ、寝惚けていた頭が一気に覚醒した女性は周囲を見渡す。そこは、鉄格子が嵌められた牢屋の部屋であった。

 

 

「あぁそっか……私、誘拐されたんだっけ」

 

 

部屋の中を見た後、女性……ミラジェーンは自身の置かれた状況を思い出した。すると、鉄格子越しに先ほどの声の主……腰まで伸ばした茶髪をリボンで結んだ女性が話しかける。

 

 

「その割には、随分と冷静だね」

 

 

「誘拐されてから2週間も経つんですもの。いつまでも取り乱してはいられないわよ、ディエチちゃん」

 

 

そう言ってミラジェーンは茶髪の女性……無限の欲望(アンリミテッドデザイア)の魔導士であり、チーム・ナンバーズの1人……ディエチに微笑みながらそう返した。

 

 

「図太いんだね」

 

 

「そうかしら?」

 

 

「うふふ♪」と微笑むミラジェーンを見て、ディエチもつい釣られて小さく笑みを浮かべてしまう。

 

 

「それで、私はいつ解放してもらえるのかしら?」

 

 

「……ゴメン、わからない。私が言い付けられたのは、貴女の監視だけだから」

 

 

「そっか……」

 

 

ディエチの答えを聞いて、ミラジェーンは落胆の息を吐く。

 

 

「(こんな時に〝あの魔法〟が使えたら……)」

 

 

ミラジェーンは2年前……仕事先で妹であるリサーナが亡くなったのを切っ掛けに、自身の主力魔法が使えなくなってしまったのである。その事に対して募りを覚えるミラジェーンだが、いつまでも拘っていられないとすぐさま思考を切り替える。

 

 

「(何とかスキを見つけて、ここから逃げ出さないと……)」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「くっそぉ…ティアのヤロー……オレにだって情報収集くらい出切るっつーの!! なぁハッピー!!?」

 

 

「あい。オイラの方からは何とも言えないのです」

 

 

場所は戻り…ミエルの街。その街中ではハッピーと共に宿を探していたナツが怒りの声を上げながら歩いていた。

 

 

「おしっ!! 行くぞハッピー!!!」

 

 

「行くってどこに?」

 

 

「決まってんだろ、情報収集だ。オレたちで情報を集めて、ティアを見返してやんだよ!!!」

 

 

「えーやめといた方がいいよ。またティアナに怒られるよ」

 

 

「大丈夫だって!! んじゃあ行くぞ!!!」

 

 

そう言うと、ナツはその場から走り出す。

 

 

「情報どこだコラァーーーーー!!!!」

 

 

何やら的外れな叫び声を上げながら……

 

 

「ハァ…情報収集の意味わかってるのかな? 待ってよナツー」

 

 

そんなナツを見てハッピーは溜息混じりにそう言ってからナツを追いかけて行った。

 

 

「うおぉぉぉおおおお!!!!」

 

 

気合の表れなのか、雄叫びを上げながら街の中を疾走するナツ。そして目の前の曲がり角を曲がろうとしたその時……

 

 

 

 

 

ゴンッ!!!

 

 

 

 

 

「んがっ!!?」

 

 

「いてっ!!?」

 

 

誰かとぶつかって頭を強打し、そのまま尻餅をついてしまった。

 

 

「っつう~」

 

 

「ナツー! 大丈夫?」

 

 

「おう、平気だ。おい、オメェも大丈…ぶ…か……?」

 

 

ナツは追いついてきたハッピーにそう答えてからすぐに、自分とぶつかった人物へと声を掛けながら視線を移すと、ナツは言葉を失った。

 

 

「……スバル?」

 

 

何故ならそれはナツと同じく尻餅をつき、ぶつけた頭を押さえている……スバルによく似た顔立ちをしている赤い髪の少女だったからである。

 

 

「いってぇ……テメェどこ見て走ってんだよっ!!!!」

 

 

すると、スバルに似た赤髪の少女はナツを睨みながらそう怒鳴る。

 

 

「おお、悪ぃ……」

 

 

「悪ぃだと!!? 本当にそう思ってんのか!!! ああ!!?」

 

 

少女の勢いに気圧されながらも謝罪するナツだが、少女はさらに怒鳴り声を上げる。そんな少女の態度にナツはカチンときた。

 

 

「だからちゃんと謝ってんじゃねーか!!!!」

 

 

「それで謝ってるつもりかよこの桜頭!!!」

 

 

「んだとコラァ!!!!」

 

 

そんな少女の言葉にナツは怒り心頭で少女を睨む。

 

 

「あ? やる気かよ桜頭」

 

 

「上等じゃねーか、女だからって容赦しねえぞ」

 

 

「アタシは今虫の居所が悪ぃんだよ。テメェこそ負けて吠え面かくなよ」

 

 

そう言って一触即発の雰囲気で睨み合うナツと少女。それを見かねたハッピーは慌てて止めに入る。

 

 

「落ち着いてよナツ!! 相手は女の子だよ!!」

 

 

「うるせえ!!! 男とか女とか関係ねえ!!!」

 

 

「くだらねえ事で余計な茶々いれてんじゃねえ青ネコ!!!」

 

 

「あいー!!!」

 

 

しかし、2人の凄まじい剣幕と怒鳴り声の前に、あえなく引き下がる事となった。

 

 

「覚悟は出来てんだろーな?」

 

 

「こっちのセリフだバーカ」

 

 

そう言ってお互いに拳を構えるナツと少女。そしてお互いに睨みあった後……

 

 

 

「「行くぞぉ!!!!」」

 

 

 

お互いほぼ同時に殴りかかったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

一方……情報収集の為に1人で街の中を歩いていたグレイは、街の裏路地へとやって来ていた。

 

 

そんな彼の脳裏に浮かぶのは……先日の襲撃の際に負傷したなのはと、攫われてしまったヴィヴィオの姿。

 

 

『あっ…ぐ…れ……』

 

 

『パパーーーー!!!!』

 

 

切り裂かれた体から血を出しながら自分を見つめるなのは……涙を流し、自分に助けを求めながら手を伸ばすヴィヴィオ。

 

 

「っ…………!!!」

 

 

ガァン!!!!

 

 

傷つけられた怒りや、守れなかった悲しみや後悔……湧き上がってくる様々な感情に、グレイは不快感を感じながら力任せに近くの壁を殴りつけた。

 

 

「…………くそっ」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

無限の欲望(アンリミテッドデザイア)、もしくは悪霊の札(デーモンカード)というギルドを聞いた事ないか?」

 

 

その頃、グレイと同じく情報収集の為に街へと繰り出していたエルザとシャッハ。2人は比較的に情報が集まりやすいと言う酒場やバーなどを中心に情報を集めて回っていた。

 

そして今も、酒場のマスターに聞き込みをしていたのだが。

 

 

「いや……悪いが聞いた事ないな」

 

 

「……そうか」

 

 

酒場のマスターは首を横に振って答え、それを聞いたエルザは肩を落とした。

 

 

「エルザさん」

 

 

「シャッハ殿、そちらはどうだった?」

 

 

「……ダメです。この店の来店客全員に聞きましたが、収獲はありませんでした」

 

 

「うーむ……ここもハズレか」

 

 

「中々集まらないですね……」

 

 

中々情報が集まらない事に、2人は嘆息の息を吐く。

 

 

「仕方ないさ、元々当てのない捜索なんだ。この街でそれらしい情報が1つでも手に入れば儲け物だ」

 

 

「……それもそうですね」

 

 

「では、そろそろ次の店に──」

 

 

「行こう」と言葉を続けて、2人が酒場を後にしようとしたその時……

 

 

 

 

 

無限の欲望(アンリミテッドデザイア)を……探しているのか?」

 

 

 

 

 

「「!!」」

 

 

突然誰かから声を掛けられ、2人は驚きながらも声が聞こえてきた方向へと視線を向けた。

 

 

するとそこには……1人の青年がカウンター席に座っていたのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃…ティアナとスバルの2人組も情報収集の為に街で聞き込みまわっていた。

 

 

「簡単には集まらないとは思っていたけど、ここまで情報がまったくないとなるとちょっとヤバイわね」

 

 

「うんうん(モグモグ…)」

 

 

「こうなってくるとエルザさんやグレイさん……それに他の街へ情報を集めに行ったチームに期待するしかないわね」

 

 

「そうだねー(モグモグ…)」

 

 

「……ところでスバル、その袋一杯の食べ物は何かしら?」

 

 

ティアナの言う通り、スバルは紙袋一杯に入った食べ物を抱えており、先ほどからそれらをずっと租借して食べていた。そんなスバルを、ティアナは呆れたような目で見ていた。

 

 

「ゴクン…いやー、聞き込みしてるうちにお腹空いちゃって。あ、ティアも食べる?」

 

 

「いらないわよっ!!!」

 

 

能天気なスバルのようすに頭を抱えながら怒鳴るティアナ。すると……

 

 

「ティアナーーーーー!!!」

 

 

「? ハッピー?」

 

 

「大変だよティアナーーー!!!」

 

 

何やら慌てたようすのハッピーが、ティアナの胸に文字通り飛び込んできた。そんなハッピーを受け止めつつ、ティアナとスバルはハッピーに問い掛ける。

 

 

「どうしたのハッピー? そんなに慌てて…」

 

 

「ナツは一緒じゃないの?」

 

 

「そのナツが大変なんだよ!!!」

 

 

「! 何があったの?」

 

 

ティアナがさらにそう問い掛けると、ハッピーは大声で答えた。

 

 

 

「ナツが赤いスバルとケンカしてるんだっ!!!!」

 

 

 

「「……は?」」

 

 

それを聞いた2人の目が点になったのは言うまでもない……

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方…そのナツはと言うと……

 

 

「ゼェ…ゼェ…ゼェ……!!!」

 

 

「ハー…ハー…ハー……!!!」

 

 

ザワザワと群がる人ごみの中心で、息を切らしながらスバル似の少女と睨みあっていた。すでにお互い全身泥だらけで、それを見るだけでも胃かに2人のケンカが凄まじかったかが窺える。

 

すると、ナツが拳を構えて少女に向かって駆け出す。

 

 

「オラァアアア!!!」

 

 

「っ……!!!」

 

 

ナツが突き出した拳を、少女は腕でガードする。

 

 

「うおらぁ!!!」

 

 

「がっ!!!」

 

 

そして少女はカウンターの要領で上段蹴りを繰り出し、ナツの頭部に命中させる。

 

 

「っ……つああああっ!!!」

 

 

「!!? ぐはっ!!!」

 

 

しかし、ナツは負けじと蹴りを喰らった勢いを利用してギュルルっと勢いよく体を捻り、少女の腹部に回し蹴りを叩き込む。

 

 

「まだまだぁ!!!」

 

 

そしてナツは畳み掛けるように再び少女に向かって拳を振るう。

 

 

「っのヤロ!!!」

 

 

「うおっ!!?」

 

 

しかし、少女はナツの拳を後ろに倒れこむように回避すると、その勢いを利用してナツを後ろへと投げ飛ばした。いわゆる巴投げである。

 

投げ飛ばされたナツは一瞬呆気に取られるが、すぐに体制を立て直して難なく地面に着地する。

 

 

「ヘッ……中々やるじゃねーかオメェ…燃えてきたぞ」

 

 

「うるせーよ、こっちは全然ヨユーだっつうの……」

 

 

少女の力量を素直に賞賛するナツと、強がるようにそう言い放つ少女。

 

 

「んじゃあ、もうちょっと思いっきりやっても構わねえって事だよな?」

 

 

「上等だ、今度こそ吠え面かかせてやる」

 

 

そう言って再び拳を構えるナツと少女。

 

 

「行くぞぉぉおおお!!!!」

 

 

「!!」

 

 

叫びながら拳を構え、少女へと突撃するナツ。そんなナツを迎え撃つ為に腕を前にして構える少女。そしてナツが少女に向かって拳を振るおうとしたその時……

 

 

 

 

 

「何やってんのよこのバカナツがーーーーっ!!!!」

 

 

 

 

 

「んがぁっ!!!?」

 

 

「……は?」

 

 

突然第三者の声が響いた次の瞬間……ナツは頭を地面に減り込ませるように倒れ、それを見た少女は素っ頓狂な声を上げた。

 

 

「ティ…ティア……」

 

 

地面に倒れたナツは恐る恐る顔を上げると、そこには怒りの表情で拳を構えたティアナの姿があった。どうやらナツが地面に倒れたのは、彼女の拳骨を喰らったからのようだ。

 

 

「私は確か、アンタに宿を取ってきてって頼んだハズよね? なのにどうしてここでケンカ何かしてるのかしら?」

 

 

「だ…だってよぉ…あいつが変な因縁つけて──」

 

 

「言い訳すんなっ!!」

 

 

「おごっ!!!」

 

 

ナツの弁明も虚しく、ティアナの拳骨により黙らされる。すると、周囲の人ごみの掻き分けてスバルが駆け寄ってきた。

 

 

「おーいティア、ナツはいたー……って私っ!!?」

 

 

「!!?」

 

 

するとスバルは、先ほどまでナツとケンカしていた自分と似た顔立ちの少女を見て驚愕し、それを見た少女も驚愕を露にしていた。

 

 

「ね? オイラの言った通りでしょ?」

 

 

「そうね……髪の色を除けば、本当にスバルにそっくりだわ」

 

 

スバル程ではないが、少なからず驚いているティアナはハッピーにそう言葉を返す。

 

 

「……チッ」

 

 

すると、少女は何やら不機嫌そうに舌打ちをしながら踵を翻して歩き出した。そんな少女をナツが呼び止める。

 

 

「おいっ!! どこ行くんだよ!!!」

 

 

「興醒めしたから帰るんだよ。文句あっか?」

 

 

「……そっか」

 

 

ティアナの乱入により興醒めしたのはナツも同じである為、その少女の行動に対して特に文句は言わなかったが、代わりに1つの質問を投げかけた。

 

 

「お前……名前は?」

 

 

「…………ノーヴェだ」

 

 

ナツの問い掛けに一瞬迷ったような素振りを見せながらも、そう答えた少女……ノーヴェ。

 

 

「そっか、オレはナツだ!! 次会ったら、このケンカの決着を着けてやっからな!! 覚えとけよっ!!!」

 

 

「フン……望むところだバーカ」

 

 

ナツが笑みを浮かべながらそう言うと、ノーヴェはそう答えて再び歩き出し、今度こそこの場から去って行った。

 

 

「おーしハッピー、オレたちもそろそろ宿を探しに──もがっ」

 

 

そう言ってその場を離れようとしたナツだが、その瞬間ティアナに顔面を鷲掴みにされた。

 

 

「なに勝手に締め括って逃げようとしてるのかしら? こっちの話はまだ終わってないわよ」

 

 

「ご…ごぺんなざい……」

 

 

「やれやれ……」

 

 

「あははは……」

 

 

黒い笑顔を浮かべたティアナにギリギリとアイアンクローで締め上げられているナツを、ハッピーは呆れたように…スバルは苦笑いを浮かべながら眺めていたのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方……ナツたちと別れたノーヴェは1人、暗い路地裏へとやって来ていた。すると……

 

 

「やっと来たっスね、ノーヴェ」

 

 

「……ウェンディか」

 

 

路地裏の暗闇から、ノーヴェと同じ赤い髪を後頭部で纏め、少年的な容姿をしたウェンディと呼ばれる少女が姿を現した。

 

 

「集合時間になっても来ないから心配したっスよ」

 

 

「うるせえ、街でちょっとメンドクセェのに絡まれただけだ」

 

 

「……とか何とか言って、ホントはノーヴェから絡んで行ったんじゃないっスか?」

 

 

「うぐっ……」

 

 

ウェンディに図星を突かれ、言葉に詰まるノーヴェ。

 

 

「図星っスか……まぁいいっス。それより、マスターから召集がかかってるから早くギルドに戻るっスよ」

 

 

「わーってるよ」

 

 

そう言うと、ノーヴェはウェンディと共に路地裏の道を歩き出した。

 

 

「そう言えば聞いたっスか? チンク姉やクア姉が例のマテリアルを捕まえたらしいっスよ」

 

 

「ああ、マスターがずっと捜し求めてた〝ゆりかごの鍵〟だろ」

 

 

「そうっス!! これであとはその〝ゆりかご〟本体が見つかれば、アタシらのギルドの天下っスよ~♪」

 

 

「……興味ねーな」

 

 

楽しげに語るウェンディに対し、吐き捨てるようにそう言うノーヴェ。

 

 

 

「どうせアタシらは……マスターの意のままに動く兵隊でしかねえんだからよ」

 

 

 

そしてノーヴェは……どこか悲しげな表情でそう呟いた。

 

 

「相変わらずっスね~ノーヴェは……まぁいいや、早く本体を見つけて、アタシらの天下を手に入れるっスよ!!! アタシたち……無限の欲望(アンリミテッドデザイア)の!!!!」

 

 

そう言って高らかに宣言するのは、闇ギルド・無限の欲望(アンリミテッドデザイア)の魔導士にして、チーム・ナンバーズの1人……NO.11のウェンディ。

 

 

「……………」

 

 

そして……闇ギルド・無限の欲望(アンリミテッドデザイア)の魔導士にして、チーム・ナンバーズ……NO.9のノーヴェ。

 

 

「さあ、早くギルドに戻るっスよノーヴェ」

 

 

「おう……」

 

 

そんな会話をしながら、2人は路地裏の暗闇の中に消えていったのであった。

 

 

 

 

 

つづく

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