やっと出来ました……(汗)
相変わらずの出来栄えですが、感想お待ちしております。
「……で、ティアナがナツに説教かましてる間に集合時間になって、お前らはまともに情報収集ができなかったと?」
「……その通りです」
「面目ないです……」
ナツが街でケンカしたスバル似の赤髪少女……ノーヴェと別れたあと、宿を取る事も忘れてケンカしていたナツにティアナが盛大に説教をしている間に集合時間が来てしまい、ティアナたちは集合場所へと戻ってきていた。
わずか1時間の間だったが、その間に日はすっかり傾き、夕暮れ時となっている。
そして、同じく集合場所に来ていたグレイに事情を説明すると、彼は呆れたように溜息をついた。
「ハァ……ナツ、テメェの仕事はただ宿を取るだけなのに、それすらもまともに出来ねえのかよ? 呆れてモノも言えねえぜ」
「あぁ? んだとグレイ!!」
「やめなさいナツ。アンタには反論する資格すらないんだから。それでグレイさん、そっちの情報収集はどうでしたか?」
グレイに突っかかろうとするナツを止めつつ、グレイにそう問いかけるティアナ。
「ダメだ……奴等の所在地どころか、ギルドの名前すら知らねえって奴が大半だった。こりゃあこの街での情報収集は望み薄かもな」
「となると……他のチームの成果を待つしかありませんね」
情報収集の成果が0だったという事態に、少々ガッカリした様子でそう言うティアナ。すると、スバルがある事に気がつく。
「あれ? そう言えばエルザさんとシャッハさんがまだ帰ってきていませんね」
「そう言えばそうだね」
スバルの言葉に同意するように頷くハッピー。スバルの言う通り、同じく情報収集に行っているエルザとシャッハの2人がまだ集合場所に来ていないのだ。
「どっかでメシでも食ってんじゃねーの?」
「アンタじゃないんだから、エルザさんがそんな事する訳ないでしょ」
「どうだろうな、エルザってあー見えて結構セコい所が──」
「ほう? 貴様は私の事をそう言う風に見ていたのか?」
「──へ?」
「あ、エルザさん」
噂をすれば何とやら……いつの間にかナツの背後には、頭に赤い十字路を浮かべたエルザが立っていた。
次の瞬間……ナツは悲鳴を上げるヒマもなく、エルザによって地に沈められた。
「すまない、待たせたか?」
「いえ、私たちもさっき集合したばかりですから」
「あの……あの人は放っておいても……?」
「あはは、いいんですよシャッハさん」
「あい、自業自得なのです」
「……………」
そしてそんなナツを気にもかけず、何事もなかったかのように会話をする一同。
「んでエルザ、そっちは何か収穫はあったのかよ?」
「フフ……まぁな」
「「!!」」
この街での情報収集は収集望み薄だと思われていたが、それでも収獲があったと言うエルザに反応する面々。
「おい、こっちに来てくれ」
そう言ってエルザは自分の背後に目配せをしながら呼びかけると、ナツたちの前に1人の青年が歩み寄ってくる。
その青年は服の上に黒いローブを纏い…1本の木製の杖を手に持ち…黒髪の短髪に青いメッシュを入れ、どこか落ち着いた雰囲気を纏った青年であった。
「? エルザさん……この人は?」
突然現れた青年の事をエルザに問い掛けるティアナだが、その問いに対して答えたのは青年自身だった。
「オレの名はマルス……旅の魔導士だ」
そう言って自身の名を告げる青年……マルス。
「そして……お前たちが探している闇ギルド〝
第八十二話
『この世界は面白くない』
その頃、ナツたちとは違うルートで情報を集めているチーム……ルーシィ&ユーノのチームは、どこかの資料部屋のような場所で調べ物をしていた。
「んー……この資料は違うなぁ。こっちもまったく違う……中々見つからないなぁ……ルーシィ、そっちはどう?」
「うーん、こっちもダメです。ギルドの名前や事件の詳細は載ってるんですけど、所在地を特定するような情報はどこにも……」
「それでも、一応ギルドの名前が載っている資料はキープしておいて。今は少しでも情報が欲しいからね」
「はい!!」
そんな会話をしながら、本棚に並べられている資料を次々と手に取り、調べ物をしている2人。すると、ルーシィが口を開く。
「それにしても……まさかこんな形で評議院に来る事になるなんて思いもしませんでした」
そう……ルーシィがユーノに連れられてやって来た場所とは、何と魔法評議院本部にある主に過去の事件などの資料が保管されている資料部屋であった。
「まぁ、
「でも、よく許可が通りましたね。普通なら門前払いされそうなのに……」
「僕の知人が何人か
そう言うと、ユーノは部屋の隅に置かれている監視用
「あ、そうだ。話は変わるけど…ルーシィ」
「はい? 何ですか?」
「気になってたんだけど、どうして僕に対しては敬語なの?」
「へっ!!?」
突然のユーノの問い掛けに、ルーシィは呆気に取られながらも顔を赤くする。
「そ…それはホラ!!! ユーノさんは年上ですし……」
「年上って言ってもルーシィとは1つ違いだよ。それに僕と同い年のグレイやなのはには普通に接してるんだし、僕にも同じような対応でも構わないんだよ?」
「(そ…それはちょっと…気恥ずかしいと言いますか…!!!)」
ルーシィは手をモジモジとさせ、赤くなった顔を俯かせながら内心でそう叫ぶ。
「それに何だか、僕に対して距離を取られてるみたいでちょっと……寂しいかな」
「!!」
指で頬を掻きながら照れ臭そうにそう言うユーノを見てルーシィは思った……「これはチャンスだ!!!」と……
「わ…わかりまし──わかったわ!! これからはユーノさ…ユーノとは普通に接するわね!!!」
「うん!! ありがとうルーシィ」
そう言って嬉しそうに笑うユーノを見て、ルーシィは……
「(いやったぁーー!!! これでユーノさんとの関係1歩前進だわっ!!!)」
と……心の中で大歓喜していた。
そして、そんなルーシィの心の内を知らないユーノは資料探しの続きを始める。
「(相手は
でも待てよ……どうしてそんな用心深い奴等が、白昼堂々と僕らのギルドを襲撃してきたんだ? 奴等は少数…対してこちらは1つのギルド……なのはが重傷を負わされて浮き足立っていたとは言え、あの少数でギルド1つを相手にするのはリスクが大きすぎる。よっぽど自身があったのか、それとも……そこまでのリスクを犯してでもヴィヴィオを連れ去りたかったって事か……)」
本棚にある資料本に次々と目を通しながら思考を続けるユーノ。すると、彼の思考はとある疑問に行き着いた。
「(いや待て!! そもそも奴等は何故ヴィヴィオを狙ったんだ!!? ヴィヴィオを取り戻すだけを考えていたから気づかなかったけど……僕らはヴィヴィオの事を何も知らない。
カリムさんの予言に出てきた〝聖なる王〟がヴィヴィオを示しているのはわかる……そしてその〝聖なる王〟が聖王を示している事も。となると奴等がヴィヴィオを狙ったのは、その聖王が関係しているのか? だとしたら聖王とは何だ? ヴィヴィオとは一体どんな関係があるんだ?)」
疑問が疑問を呼び、ついには資料に目を通す事もせずに思考に没頭するユーノ。そして……
パァン!!
「!!」
突然ユーノが勢いよく資料本を閉めた事により、破裂音のような音が部屋に響く。そしてユーノの隣にいたルーシィは、その音でビクリと体を震わせた。
「ど…どうしたのユーノ?」
「ルーシィ……悪いけどちょっと付き合って欲しいんだ」
「えっ!? 付き合っ──えぇ!!?」
ユーノの言葉の意味をどう捉えたのか、顔を真っ赤にして驚愕するルーシィ。そんなルーシィを他所に、ユーノは何やら意を決したような顔付きをしている。
「(みんなには悪いけど、奴等の所在地を探すのはここで一旦止めだ。僕の考えが正しければ、全ての答えはあそこにある……約400年前に聖王が統治していた王国の跡地──ベルカの街に!!!)」
◇◆◇◆◇◆◇
時は少々遡り……こちらはフェイト・ウェンディ・エリオ・キャロ・シャルルで構成された5人チーム。
彼女たちもエルザたち同様、大きな街を基点に情報収集を行なっていたが、これといって成果を得る事が出来なかった。
「これといった情報はありませんでしたね……」
「そうだね……」
「無理もないよ、相手はバラム同盟の1つなんだからそう簡単に見つかるハズもない。諦めずに頑張ろう?」
落ち込んだ様子のウェンディとキャロを励ますようにそう言うフェイト。
「「あ…はいっ!!」」
そんなフェイトの言葉に対し、元気よく返事をするウェンディとキャロ。
「シャルル、何か分からない?」
「何で私に聞くのよ?」
「いやほら、シャルルの勘ってよく当たるから、それで奴等の拠点がどこにあるか分からないかなぁって」
「そんな都合よく分かるわけないでしょっ!!!」
そう言ってエリオの提案を怒鳴りながら却下するシャルル。そして怒鳴られたエリオは「だよね」と言って苦笑いを零しながら言葉を続ける。
「これからどうしますか? この街で情報が集まりそうな場所での聞き込みはあらかた終わりましたし……」
「そうだね……もう夕暮れだから、今から他の街に移動するとなると朝になっちゃうね」
「じゃあ、今日はこの街で1泊するしかないわね」
シャルルの提案により、この街で1泊する事にした一同。
「それじゃあ、宿は私が取ってくるね。全員1部屋でいいよね?」
「はい!」
「大丈夫です!!」
「任せるわ」
フェイトの問い掛けにウェンディとキャロとシャルルは頷くが……
「ちょ…ちょっと待ってください!!!」
エリオだけが異を唱えた。
「あの……僕だけは別の部屋にしてもらえませんか?」
「え? どうして?」
「どうしてって……ほら、僕も一応男ですし、みんなと同じ部屋というのは気が引けると言うか……」
「私は別に気にしないよ。ウェンディとキャロはどう?」
「私も気にしません。ねえ、キャロちゃん」
「うん。エリオ君も一緒の部屋にしようよ」
「てゆーか、アンタ昔はよく私たちと一緒に寝てたじゃない」
「そ…それは……
そう言ってエリオは反論するが、次第に追い詰められていく。
「どっちにしろ、宿の部屋を1人で取るなんてエリオにはまだ早いよ」
「そ…そんな~……」
「じゃあ、私は宿を──」
「取ってくるね」とフェイトが言いかけたその時……
『フェイト!! 聞こえるかフェイト!!!』
「「「「!!」」」」
突然4人の耳にエルザの声が響き渡り、それを聞いたフェイトは声の出所である自身の懐から小型の通信用
「こちらフェイト、聞こえるよエルザ。どうかしたの?」
小型
「うん、今はサブリナの街に──え…今から? それはいいけど、どうして?──えっ!!? 本当に!!? わかった、ここからそう遠くないから夜には着けると思う!! うん、それじゃあね!!!」
すると、エルザとの通信を終えたフェイトは血相を変えた様子で
「予定変更、今からここから南西にある街…ラーバリアに向かうよ」
「何かあったんですか?」
ウェンディがそう問い掛けると、フェイトは神妙な顔付きで答えた。
「エルザのチームが、
「「「「!!!」」」」
それを聞いたエリオたち4人は目を見開く。
「その男の話によると、ラーバリアの街が奴等のギルドにもっとも近い場所なんだって。エルザたちもそこに向かっているらしいから、私たちも行こう」
「「「はい!!!」」」
フェイトの言葉に3人は元気よく返事を返し、フェイトのチームはラーバリアの街へと向かって行ったのであった。
因みにこれは余談だが、先ほどの宿の話が無くなってエリオは「助かった…」と安堵の息を漏らしたのであった。
◇◆◇◆◇◆◇
一方……こちらはエルザやフェイトたちと同じく情報収集を行なっているチーム…八神はやて率いるヴォルケンリッターにエルフマンを加えた7人。
しかし、彼女達の情報収集する相手はエルザやフェイトのチームとは異なっていた。
「オラァ!!! ぶっ飛べーー!!!」
『ぎゃああああああっ!!!』
ヴォルケンリッターの1人……ヴィータが振るうグラーフアイゼンの一撃により、吹き飛ばされる大勢の男達。
「おっし、一丁あがりだ」
「ふむ……手ごたえのない奴等だ」
「漢なら強く生きるべし」
「闇ギルドとは言え、所詮は盗賊まがいの事しかできぬ輩どもだ。当然と言えば当然だろう」
ヴィータと同じく戦闘を終えたシグナムとエルフマン、そしてザフィーラがそんな言葉を口にする。
現在ヴォルケンリッターがいる場所は、なんと闇ギルドのアジトであった。その理由は、はやていわく「闇ギルドの事は闇ギルドに聞くんが一番や♪」との事だ。
「へへっ……お前らこんな事してただで済むと思うな……オレらのマスターが黙っちゃいねぇぞ」
すると、倒れている闇ギルドメンバーの1人が得意気にそんな言葉を口にする。しかし……
「みんな~! マスター倒してきたよ~♪」
「あれぇ!!?」
ボロボロになった自分たちのギルドマスターをニコやかな笑顔で引き摺って来たはやてを見て、男の得意気だったその顔は驚愕に変わった。
「オレらのマスターが……なんだって?」
「……なんでもありません」
ヴィータのそんな問い掛けに、男は泣きながら答えるしかなかった。
「そういやシャマル、なのはの容態を見てなくていいのか?」
「ええ、今は東の森のポーリュシカさんが診てくれてるわ。あの人の治療は私よりも確実だから」
ヴィータの問い掛けにそう答えるシャマル。
「雑談はそこまでや。さっそくこの人たちを尋も──情報を聞き出そか」
「「「今尋問って言いかけたよな!!?」」」
はやての発言にツッコミを入れる闇ギルド一同。因みに全員縛られて正座である。
「冗談やって~、そんな物騒な事するわけないやん」
「いきなり襲撃されて縛られて正座させられてる時点で十分物騒なんだよタヌキ女」
1人の男がそう言った瞬間、その男ははやてがどこからか取り出したハリセンの一撃により壁に叩きつけられた。
しかもそれをやった当の本人であるはやてはニコニコと笑顔を浮かべていた。それはもう怖いくらいに……
「さてと、私らの話……聞いてくれるやんな?」
「「「イエス!! マム!!!」」」
はやての笑顔から漂う威圧感に、闇ギルド一同は声を揃えてそう返事を返した。縛られてなければ敬礼もしていただろう。
「ヤベーよ、はやて絶対楽しんでるよ。確実に悪ノリスイッチが入ったよ」
「主はやては普段は温厚で優しい方なのだが、少々悪ノリが過ぎる所があるからな」
「あぁなっては主の気が済むまで、手が付けられんからな」
「漢だ」
「エルフ君、私は女やで」
そんなはやての様子を、ヴィータとシグナムとリインフォースが溜息をつきながら眺め、エルフマンの的外れな発言にはやて自身がツッコミを入れる。因みにはやてはエルフマンの事は『エルフ君』と呼んでいる。
「とまぁ悪ふざけはここまでにしといてや…あんたら、
はやてがそう問い掛けると、闇ギルドメンバーたちはザワッと騒ぎ立つ。そしてギルドマスターである男が代表して口を開いた。
「知らねえな。バラム同盟のギルドの所在地は傘下の闇ギルドでさえ知る事が許されねぇ程のトップシークレット。それにオレたちは
「ほんなら
「残念だがそっちも知らねぇ。そもそも
男の言葉に、はやては「うーん…」と頭を悩ませる。
「バラム同盟に独立ギルド……これは捜索に骨が折れそうやなぁ」
「はやてちゃん、そうでもないかもしれないわよ!」
すると、そんなはやてにシャマルが自身あり気な表情でそう言った。
「どういうことやシャマル?」
「今さっき、通信用
「ホンマか!!?」
シャマルの報告を聞いて声を張り上げるはやて。
「んだよ、じゃあアタシら無駄骨じゃんかー」
「そう言うな、まさかこんなに早く手掛かりが掴めるとは思ってもみなかったのだからな」
不満気な声を漏らすヴィータをザフィーラが宥める。
「それで、スカーレットはなんと?」
「うん、詳しい説明をするからラーバリアの街に集まってくれって」
「ラーバリアかぁ…こっからやと着くんは夜になるなぁ。でも了解や、ほんならチーム・ヴォルケンリッター&エルフ君!! ラーバリアに向けて出発するで!!!」
『はい(おう)!!!』
はやての号令にシグナムたちは返事を返し、彼女たちはラーバリアの街へと向かって行ったのであった。
「ところではやて、こいつらはどうすんだ?」
「取り合えず全員す巻きの状態にして放置。で、3日くらい経ってから評議院に通報しよか」
「「「鬼かっ!!!」」」
◇◆◇◆◇◆◇
そしてその夜……ラーバリアの街にある一軒の酒場。
「みんな、急な招集によく集まってくれた」
そう言うエルザの目の前には、自身のチームメイトであるナツたちに加え、フェイトチームやヴォルケンリッター&エルフマンが勢揃いしていた。
エルザたちはその酒場を貸し切り、1つの大きなテーブルを囲んでいた。
「ルーシィちゃんとユーノ君はまだ来てへんのか?」
「あの2人は別行動だ。何やらユーノが調べたい事があると言ってな、ルーシィも一緒だ」
はやての問い掛けにエルザがそう答えると、フェイトがさっそく本題の話を振った。
「それで、その人が…
そう問い掛けるフェイトの視線の先には、情報提供者である旅の魔導士・マルスが立っていた。
「マルスだ。オレは
「その貴重な情報を、私らに提供してくるんか?」
「もちろんタダではない。1つだけ条件をつけさせて貰おう」
マルスが条件と言う言葉を発した瞬間、メンバーたちに緊張が走る。
「そう警戒するな、難しい事じゃない。君たちは奴等の所在地を知れば、そこに攻め込むつもりだろう?」
「あぁ、マスターと作戦を立てた後にそうする事になるな」
「なんで!? 一気に殴り込めばいいじゃねーか!!」
「そうもいかないのよ。ファントム戦のように正規ギルドが相手でもなければ、
「さらに言えば、今回は
首を傾げるナツにそう説明するティアナとはやて。それでもナツは頭に「?」を浮かべていたが……
「だから!! もし連合軍の時みたいにあんた1人で勝手に突っ走ったら……それなりに覚悟してもらうわよ? いいわね?」
「あ…あい……」
ティアナは低くドスの効いた声で暴走しがちなナツに釘を刺し、それを聞いたナツは冷や汗を流しながら頷いたのだった。
「続けていいか?」
「すまない、続けてくれ」
話が軽く脱線した事にエルザは謝罪しながらマルスに話を続けるように促す。
「条件は簡単だ。オレもその攻め込む作戦に参加させてほしい」
「「「!!」」」
マルスの出した思いもよらない条件に、数人のメンバーに衝撃が走る。その中でも冷静だったエルザが、それに対して口を開く。
「それは構わないが……お前は戦えるのか?」
「魔法の腕はそれなりにあると自負している。それに、オレの事を足手まといだと感じたのなら、即座に見捨てればいい」
「…………いいだろう」
エルザの問いにそう答えるマルスの表情はただならぬ自身に満ち溢れていた。それを感じ取ったエルザは少しの沈黙の後、頷きながらそう答えた。
「感謝する。ではオレも約束を果たそう」
そう言うと、マルスは懐から大きめの地図を取り出してテーブルに広げる。
「まずはここが、今オレたちの居る街…ラーバリアだ。そして奴等の拠点は……ここだ」
地図に印をつけながら説明するマルスは、1つの大きな印をつける。
「このラーバリアに古くから伝わる『ヴィネアの塔』。かつて古代人が儀式に使用したと言われている巨大な塔だ。奴等の拠点はそこだ」
「こんな所に……どうして今まで……!!」
「見つからないのも仕方ないだろう。ヴィネアの塔は奴等の拠点の1つに過ぎないのだからな」
フェイトの呟いた言葉に、マルスはそう答える。
「
「なるほど……そうする事によって、自分たちの本当の拠点を悟らせないようにしているのね」
「そう言う事だ」
マルスの説明を聞いて、納得の声を上げるティアナ。
「残念ながら奴等の本当の拠点は、オレも知らない」
「つまり、奴等が現在このヴィネアの塔に潜伏している今がチャンスと言う訳か」
「この機会を逃したら、また1から捜索のやり直しやな」
「そうはいかねーよ、ここでケリをつけてやる」
「あい!」
「漢として、必ず姉ちゃんを助け出す!!!」
「ヴィヴィオもね!!!」
「頑張りましょう!!」
意気揚々とした様子でそう言うナツとハッピー、エルフマンとスバル、そしてエリオ。
しかし、そんな彼らの裏腹に、一部のメンバーではこんな会話が繰り広げられていた。
「なぁシグナム、あのマルスって野郎……ちょっと怪しくねーか?」
「やはりヴィータもそう思うか?」
「あぁ、アタシらが必死こいて奴等の拠点を探していた時にあいつが現れた……まるで狙ったようにな」
「都合が良すぎる上に、偶然にしては出来すぎている。それとこれは私の勘だが……あの男は少々胡散臭い」
「まぁ、はやてもそこら辺は気づいてるようだし、今はあいつの話に乗っておこうぜ」
「そうだな、敵だと決め付けるのも早計だ。少しでも疑わしい行動をすれば、その時は私が斬る」
シグナムとヴィータの2人は情報提供者であるマルスを疑惑の目で睨みながらそんな会話をしていた。
「あ……あれ?」
すると、キャロが何かに気がついたかのようにキョロキョロと酒場の中を見渡す。そんなキャロに、ウェンディが声をかける。
「キャロちゃん、どうしたの?」
「えっと……グレイさんが見当たらないの」
『『『!!!』』』
キャロの言葉でメンバーに衝撃が走り、その場にいた全員が酒場の中を探すが、そこにグレイの姿はなかった。
「本当だ!! グレイがいないよ!!!」
「まさか……ナツ!! ウェンディ!! エリオ!! ザフィーラ!! グレイのニオイはどこへ向かっている!!?」
ハッピーが本当にグレイがいない事を確認し、エルザはメンバーの中でも鼻が利く4人にそう問いかけると、4人はグレイのニオイを辿る。
「ニオイは出口に向かってるぞ!!!」
そう言うとナツは酒場の出入り口から飛び出してさらにグレイのニオイを探す。それに続いて、エリオも外へ赴いて自身の鼻を動かす。
「どうやらグレイさんは東南の方へと向かっているようです!!!」
「東南だと!!?」
それを聞いてマルスは驚愕の声を漏らす。
「ここから東南へ向かえば、あるのはヴィネアの塔だけだぞ!!!」
「まさかグレイさん!!!」
「たった1人で敵の拠点に!!?」
マルスの言葉を聞いて、スバルとフェイトはグレイがどこへ向かったのか確信がいった。
「あのヤロー!! 抜け駆けしやがったな!!!」
「抜け駆けとは漢にあるまじき行為!!!」
「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!!!」
的外れな発言をしているナツとエルフマンにツッコミを入れるティアナ。
「仕方ない……キャロ!!!」
「は、はいっ!!!」
「お前はギルドに戻ってこの事をマスターに伝えてくれ」
「わ…私がですか!!?」
「そうだ、キャロならばフリードを召喚し、ギルドまで飛んでいけるだろう? この中ではお前が適任だ。頼めるか?」
エルザの頼みにキャロは戸惑ったが、やがて意を決した顔付きになる。
「わかりました!!」
「よしっ、任せたぞ?」
「はいっ!!!」
先ほどとは違って、キャロは力強く頷く。
「私たちはグレイを追うぞ!!!」
『『『おう(はい)!!!』』』
◇◆◇◆◇◆◇
ラーバリアの街から東南にある『ヴィネアの塔』……そして場所は、塔の最上階。
「「乾杯」」
そこでは2人の男がワインの入ったグラスを軽くぶつけ合い、そのワインを味わっていた。
「君たちの協力のお陰で、長年捜し求めていた〝ゆりかごの鍵〟が見つかった。感謝するよ」
1人は
「よせ、オレの部下が小娘を逃がしたせいで余計な手間が増え、しかも結局その尻拭いはアンタらがやってくれたんだ。非難される事はあれど、感謝される事はねぇよ」
そしてもう1人は無精髭を生やし、金髪を逆立たせ、側には身の丈ほどもある大剣を置いた巨漢の男性。
「そう謙遜する事はない。君たちの情報のお陰で鍵を見つける事が出来たんだ。あの程度の失態など、あって無いようなものだよ」
「そう言ってもらえると、多少は気楽になるな」
ボトルに入ったワインをグラスに注ぎながらそんな会話をするスカリエッティと巨漢の男。
「しかしスカリエッティ……何故あんな事をした?」
「何のことだい?」
「とぼけんな、何故オレたちを血眼になって探してる
男の問い掛けに対し、スカリエッティは「クックック…」と不気味に笑いながら答える。
「〝それではこの世界は面白くない〟」
「?」
「とある男が言っていた台詞さ。私はこの言葉には強い共感を持っている」
疑問符を浮かべている男にそう言って、スカリエッティはさらに言葉を続ける。
「確かに私の頭脳と技術力…そして君たちを加えた兵力を持ってすれば、正規ギルドはおろか評議院にすら気づかれずにこの世界を掌握できる程の完璧な計画を立てる事ができるだろう。
しかし……時として〝完璧〟という言葉ほどつまらないモノはない。計画は滞りなく達成できるが、それでは私の欲望は満たされない。
そうだね…極論を言えば、私は楽しみたいのだよ。私の頭脳を持ってしてもまったく行動が予測できない
そう言ってワインを煽るスカリエッティを見て、男は呆れたように溜息をついた。
「まったく……天才様の考える事は理解できん」
「ククク……常人には理解できない事を理解できるからこそ、天才と呼ばれるのだよ」
そんな会話を繰り広げながらワインを飲み進めていく2人。すると、部屋に備え付けてあった通信用
『ドクター、塔の周辺に何者かが接近中です』
「
『おそらくは』
スカリエッティは通信相手であるウーノにそう確認を取る。
「それで、人数は?」
『そ…それが……』
言い辛そうにウーノは口ごもらせる。それと同時に、映像
『たった1人だけなんです』
その映像には……ウーノの言う通りたった1人で塔に乗り込もうとしているグレイの姿が映し出されていた。
「ク…ククク……ハハハハハ!!!!」
その映像を見たスカリエッティは心底楽しそうに高笑いを上げる。
「面白い!!! 本当に予想ができない連中だよ!!!
「たった1人で乗り込んでくるとはな……自殺志願者か?」
「さぁね、彼らの考えは本当に分からないよ。クククク……」
未だに笑い声を上げているスカリエッティに男は「ハァ…」小さく溜息をつくと、側に置いてあった大剣を背負い、部屋の出口へと向かう。
「たった1人が相手なら、うちのギルドの兵隊どもだけで十分だろ?」
「あぁ、塔の入り口の警備は君たちの管轄だからね。好きにしてもらって構わないよ」
「殺してもか?」
「もちろん。期待しているよ………ゲイル君」
「フン……」
スカリエッティの言葉に鼻を鳴らしながら、巨漢の男……
◇◆◇◆◇◆◇
「………………」
仲間にも何も言わずに街を飛び出してきたグレイは、目の前に聳え立つヴィネルの塔を静かに見上げていた。
「待ってろよヴィヴィオ……今すぐ助け出す!!!」
そう言って塔の中への侵入を試みようと歩き出そうとするグレイだが、その瞬間……塔の大きな入り口がギィィっと音を立てて開き始める。
「!!」
突然入り口が開いた事にグレイは警戒心を露にするが、その行動は間違っていなかった。
何故なら……その大きな入り口から出てきたのは、目測だけでも200は優に超える魔導士の大群だったのだから。
「なるほど……熱烈歓迎って訳か……」
呟くようにそう言うと、グレイは目の前の大群をギロリと睨みつけ……
「上等だコラァァアア!!!!!」
高らかにそう叫びながら大群に向かって駆け出していったのであった。
つづく
今回終盤に登場したのは、知る人ぞ知るあの人です。
デーモンカードのボスと言えばこの人しかいないかなと思い、まんま登場させてみました。
まぁこの章だけのゲスト出演みたいなものですけどね。