LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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今日の夕方…タンスの角に足の小指をぶつけて痛がって軽く跳ねたらバランス崩して後ろにあった本棚に後頭部を強打してその拍子に本棚の上に積んであった数冊のジャンプが頭の上に降り注いできた。


今年最大の不運だなと思いました。


以上、どうでもいい近況報告でした。


今回もかなりグダグダですが、どうぞよろしくお願いします。


ゲーム開始

 

 

 

「オォォォォオオオオオオ!!!!!」

 

 

天にまで響くような雄叫びを上げながら、目測だけでも200は優に超える悪霊の札(デーモンカード)の魔導士の大群へと突撃していくグレイ。

 

 

「こっちは500人!! 相手はたった1人だ!!! 数で囲んでぶっ潰せっ!!!」

 

 

「「「オォォォオ!!!」」」

 

 

大群の中のリーダー格の男がそう鼓舞すると同時に、500もの魔導士たちがグレイへと襲い掛かる。

 

 

「おおおおおおらぁ!!!」

 

 

「ぐあっ!」

 

 

「ぎゃっ!」

 

 

「うがっ!」

 

 

まずはグレイが冷気を纏った拳を大群の先頭にいた男の顔面に叩きつけ、その後ろにいた男達も纏めて吹き飛ばす。

 

 

「アイスメイク〝大槌兵(ハンマー)〟!!!」

 

 

「「「ぎゃあああああ!!!」」」

 

 

そしてすぐさま大群の頭上に氷のハンマーを作り出し、それを落として何人かを叩き潰す。

 

 

「怯むな!!! 囲め囲めーー!!!」

 

 

すると大群はグレイの周囲をグルリと囲み始める。しかし、それでもグレイの攻撃は止まらない。

 

 

「アイスメイク〝戦斧(バトルアックス)〟!!!!」

 

 

「「「ぐぁあああああ!!!」」」

 

 

氷の斧を回転切りの要領で振るい、周囲の大群を吹き飛ばし……

 

 

「アイスメイク〝(アロー)〟!!!」

 

 

「「「うわぁぁあああああ!!!」」」

 

 

氷で造り出した弓で、同時に何本もの氷の矢を発射して的確に敵を撃ち抜く。グレイは大群相手でも臆することなく確実に敵を減らしていく。

 

 

「喰らいやがれぇ!!!」

 

 

「ぐっ!!!」

 

 

すると、敵が放った魔法がグレイに直撃する。

 

 

「チィッ!!」

 

 

「「「脱いだ!!?」」」

 

 

しかしグレイは怯むことなく、バサァっと音を立てて上半身の服を脱ぎ捨てた。

 

 

「アイスメイク〝槍騎兵(ランス)〟!!!」

 

 

「「「うわぁぁあああ!!!」」」

 

 

そしてすぐさまいくつもの氷の槍を発射し、大群に攻撃する。

 

 

「相手は氷の魔導士だ!!! 炎の魔法で攻撃しろ!!!」

 

 

「「「おおっ!!!」」」

 

 

リーダー格の指示通り、何十人かの魔導士がグレイに向かって一斉に炎の魔法を発射する。

 

 

「〝(シールド)〟!!!」

 

 

しかしグレイはそれを造り出した巨大な氷の盾で難なく防御する。

 

 

「その程度の炎に、オレの氷が負けるかよぉ!!!」

 

 

そしてグレイは地面に両手を叩きつけるように置くと……

 

 

氷欠泉(アイスゲイザー)!!!!」

 

 

「「「ぐあぁぁあああああ!!!」」」

 

 

地面から噴き出した巨大な氷で、大群を纏めて吹き飛ばした。

 

 

「つ…強ェ……!!」

 

 

「なんだコイツは!!?」

 

 

次々と薙ぎ倒されていく仲間を見て、残った魔導士たちは動揺の声を上げる。

 

 

「ひ…怯むなっ!! こっちはまだ200人近くいる!!! 数で攻めるんだー!!!」

 

 

そう指示するリーダー格の声も、動揺のせいか最初ほどの覇気はなかった。そしてグレイは未だ大量に残っている魔導士の軍勢をギロリと睨む。

 

 

「(待ってろよヴィヴィオ……今すぐこいつらをぶっ潰して、絶対に助け出してやるからな!!!!)」

 

 

内心でそう強く決意したグレイは、再び目の前の軍勢に向かって駆け出していったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第八十三話

『ゲーム開始』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……ヴィネアの塔内部にある牢獄。

 

そこには誘拐され牢屋に閉じ込められたミラジェーンと、そんな彼女の見張り役であるディエチがいた。

 

 

「? 何だか外が騒がしいわね?」

 

 

「……さっき連絡があった。この塔に妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士がこっちに向かってきてるんだって」

 

 

「!! 誰が来たの!!?」

 

 

「そこまでは知らない」

 

 

ミラジェーンの問い掛けに首を横に振りながら答えるディエチ。

 

 

「でも、何人来ても捕まるのも時間の問題だと思うよ。今この塔には私たちナンバーズの半数と悪霊の札(デーモンカード)のほとんどの戦力が集まってるから」

 

 

「大丈夫よ」

 

 

ディエチの言葉に対し、ミラジェーンは間髪入れずにそう言い放った。

 

 

「私たちのギルドは妖精の尻尾(フェアリーテイル)だもの。そう簡単には捕まらないわよ、絶対」

 

 

そう言い放つミラジェーンの瞳には、一切の不安や迷いの色は見られなかった。

 

 

「ずいぶん信頼してるんだね」

 

 

「もちろんよ、仲間なんだから♪」

 

 

「仲間……」

 

 

ミラジェーンの言葉を、ディエチは反復するようにそう呟く。すると……

 

 

『ディエチちゃ~ん』

 

 

「! なに…クアットロ?」

 

 

部屋に備え付けてあった通信用魔水晶(ラクリマ)からクアットロの声が響き渡る。それを聞いたディエチは会話の内容をミラジェーンに聞き取られないように気を配りながら通信する。

 

 

『さっき連絡したとおり、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士がこの塔に向かってきてるの。もしかしたらその女を取り戻しに来るかもしれないから、ディエチちゃんも戦闘準備はしておいてね~』

 

 

「……了解」

 

 

クアットロの指示に静かに頷きながらそう答えるディエチ。

 

 

『お願いね~♪ あ、それともう1つ──その誘拐した女ももう用済みだからディエチちゃんが始末しておいてね♪』

 

 

「──え?」

 

 

そんなクアットロの残酷な言葉に、ディエチは一瞬言葉を失った。

 

 

「か…彼女を殺すの?」

 

 

『そうよ。だってその女も敵ですもの、当然でしょ? それともなぁに? ディエチちゃんには荷が重たかったかしら?』

 

 

「そ…そう言うわけじゃないけど……でも……!!」

 

 

『やりなさい。これはマスターからの直々の命令よ』

 

 

「──────!!!」

 

 

容赦の無いクアットロの言葉。その言葉にディエチはとうとう何も言えなくなってしまった。

 

 

『いつ始末するかはディエチちゃんに任せるわ。でも今日中にね~♪』

 

 

そんなクアットロの言葉も、今のディエチには呆然と聞くことしか出来ない。

 

 

『それじゃ、期待してるわよ~♪』

 

 

その言葉を最後にクアットロからの通信が切れた。

 

 

「…………っ!!!」

 

 

そしてディエチは、何か葛藤するような顔付きで、自身の拳を強く握り締めたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ……!!!」

 

 

戦闘が始まって約数十分……やはり500人もの魔導士を相手にするのは多少の無茶であったのか、グレイの姿はかなりボロボロであった。しかし……それでもその場に立っているのはグレイただ1人……敵魔導士は全滅していた。

 

 

「ハァ、ハァ……手間ァ…ハァ…取らせやがって……ハァ……」

 

 

絶え絶えになった息を整えながらそう呟くグレイ。しかしその姿は誰の目から見ても満身創痍だった。

 

 

「ヴィヴィオ……」

 

 

それでもグレイはボロボロになった体を無理矢理動かして塔の入り口へと向かって歩みを進める。

 

 

ガコンッ!!!

 

 

「!?」

 

 

するとその時……塔の入り口の門が大きな音を立ててゆっくりと開き始める。それを見たグレイは突然の事に思わず歩みを止め、開こうとしている門を凝視する。

 

 

ザッザッザッザッ……

 

 

「(!! 誰かいる!!!)」

 

 

開いた門の奥から聞こえてきた足音に、グレイは警戒心を露にしながら門の奥をさらに凝視する。そしてそこから現れたのは……

 

 

「ほう…驚いたな。たった1人で我がギルドの兵隊500人を仕留めるとは」

 

 

ガタイのいい巨体を持ち、顔には無精髭を生やして頭の金髪を逆立たせ、背中には身の丈ほどもある大剣を背負った1人の大男であった。

 

 

「……誰だ…テメェ……」

 

 

「貴様のような小物に名乗る必要はないが、まぁいい。兵隊どもを全員倒した褒美として答えてやろう」

 

 

大男はそう前置きをすると、自身の名を名乗った。

 

 

「オレは闇ギルド、悪霊の札(デーモンカード)のギルドマスター……ゲイル・レアグローブだ」

 

 

「なにっ!!? ギルドマスターだと!!?」

 

 

目の前にいる大男……ゲイルがギルドマスターと聞き、驚愕を露にするグレイ。

 

 

「さて小僧……オレのギルドの兵隊どもを随分と可愛がってくれたな」

 

 

「(ゾクッ!!!)」

 

 

ゲイルの睨みにグレイは背筋に不気味な寒気を感じ取る。

 

 

「……テメェらこそ、うちのギルドを荒らしたり…ギルドのモンを連れ去ったり…随分とナメたマネしてくれたじゃねえか」

 

 

しかしグレイはそれをグッと堪え、逆にゲイルを睨み返した。それを見たゲイルは言い返してくるとは思わなかったのか、「ほう…」と感心したような声をもらす。

 

 

「威勢がいいな小僧。で、ここに何の用だ?」

 

 

「決まってんだろ……ヴィヴィオを返してもらう!!!」

 

 

「ヴィヴィオ? あぁ、あの小娘か。それは出来ん相談だ。アレは既に我々の所有物だからな」

 

 

ゲイルがそう言ったその時……グレイの頭の中で何かがブチリとキレた。

 

 

ガキィィイイン!!!

 

 

そして次の瞬間……グレイが氷で造り出した斧がゲイルに向かって振り下ろされ、対するゲイルはそれを腕に装着していた甲冑で防いだ。

 

 

「オレたちの家族を…物扱いしてんじゃねえよっ!!!!」

 

 

「ぬっ!?」

 

 

そう叫びながらグレイは渾身の力で斧を振り切り、その衝撃でゲイルは後ろに飛ばされる。

 

 

「アイスメイク〝円盤(ソーサー)〟!!!!」

 

 

さらに追い討ちをかけるようにグレイは回転ノコのような氷を造りだし、ゲイルに向かって発射する。

 

 

「ふん!!!」

 

 

しかしゲイルはその攻撃を、腕の横振りで粉々に粉砕した。

 

 

「いいだろう、少し遊んでやる」

 

 

そう言うと、ゲイルは自身の右手人差し指をピッとグレイに向けると……

 

 

漆黒弾(ブラックゼニス)

 

 

その名の通り、漆黒の色をした魔力の球体をグレイに向けて発射した。

 

 

「こんなモン、オレの(シールド)で!!!」

 

 

そう言ってグレイはすぐさま氷の盾を造り出し、漆黒の球体を防ごうとする。しかし……

 

 

ズズズッ!!

 

 

「なに!!?」

 

 

なんと…その漆黒の球体はグレイが造り出した氷の盾を飲み込み、消滅させてしまった。

 

 

「くっ…おぉぉぉおお!!!」

 

 

それを見たグレイはすぐに思いっきり横に飛んで漆黒の球体を回避した。そして対象を失った漆黒の球体はそのまま消滅していった。

 

 

「よく避けたな。漆黒弾(ブラックゼニス)は触れた物体を全て消滅させる最上級の闇魔法……喰らっていれば今頃、お前はお陀仏だ」

 

 

「くそっ……ぐっ…ハァ…ハァ……!!!」

 

 

グレイは毒づきながらも立ち上がろうとするが、突如足元がふらつき、再び地面に膝をついてしまう。

 

 

「フラフラだな。無理もない…我が兵隊500人を相手にしたのだ、体力・魔力ともに既に限界だろう?」

 

 

そう…ゲイルの言う通りグレイは先ほどの戦闘でボロボロになっており、正直なところ立っているだけでもかなりしんどい状態なのである。

 

 

「うる…せえ……」

 

 

それでもグレイはボロボロの体に鞭打ち、ゆっくりと立ち上がる。

 

 

「強がりを……何もしてないのに息があがってるじゃねーか」

 

 

「うるせえって言ってんだ!!!!」

 

 

ゲイルの言葉をかき消すように大声を張り上げるグレイ。

 

 

「どんだけボロボロになろうと……オレは必ずヴィヴィオを助け出す!!!」

 

 

「そう言うのを無謀っつーんだよ。たった1人で何ができる……興醒めだな」

 

 

そう言うと、ゲイルは再び指先をグレイに向け、漆黒の球体を生成する。

 

 

「消えろ……漆黒弾(ブラックゼニス)

 

 

そしてそのまま……先程より一回り大きな漆黒の球体が放たれた。

 

 

「くっ…アイスメイク……ぐぅ!!」

 

 

それを迎え撃とうとしたグレイだが、体の疲労と痛みによりその場で膝をついてしまった。そしてそんなグレイにもお構い無しに迫り来る漆黒の球体。

 

 

「くそ……くそぉぉお!!!」

 

 

グレイの悲痛の叫びが木魂する。

 

そして漆黒の球体がグレイに直撃するかと思われたその時……

 

 

 

 

 

「1人じゃねえ!!!!」

 

 

 

 

 

「「!!?」」

 

 

グレイにとって聞き慣れた叫び声が聞こえてきた。そして次の瞬間……

 

 

「火竜の煌炎!!!!」

 

 

「ファントム・ブレイザー!!!!」

 

 

ドガァァァァアアアアン!!!!

 

 

漆黒の球体に……灼熱の炎の球体とオレンジ色の閃光が激突し、相殺された。

 

そして呆気に取られているグレイの目の前に、2人の人物が現れる。

 

 

「……何モンだ?」

 

 

突然現れ、乱入してきた2人にゲイルはそう問い掛ける。

 

 

「何者か…ですって? 決まってるじゃない!!」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)だコノヤロウ!!!!」

 

 

その問い掛けに対して2人の人物……ナツとティアナは高らかにそう答えたのであった。

 

 

「ナツ…ティアナ……!!!」

 

 

ナツとティアナの登場に、目を見開くグレイ。しかし問うの2人は、そんなグレイを睨みつける。

 

 

「テメェ何1人で乗り込んでやがんだ!!!! 抜け駆けしてんじゃねえ!!!!」

 

 

「そうですよ!!! そんなバカはナツ1人だけで十分なんです!!!!」

 

 

「なっ……!!!」

 

 

突然怒鳴られ、グレイは目を丸くする。

 

 

「2人の言う通りだ」

 

 

「!! エルザ……」

 

 

声がした方へと振り返ると、そこにはいつの間にかエルザが立っていた。いや……エルザだけではない。

 

 

「家族を助け出したいと思ってるのは、グレイだけじゃないんだよ?」

 

 

「抜け駆けはダメですよ!!!」

 

 

「漢として、抜け駆けは許さん!!!」

 

 

「ホンマ…1人で突っ走り過ぎやでグレイさん」

 

 

「しかし、兵隊とは言えこれほどの数を全て倒すとは…」

 

 

「だからと言ってフルバスターの行動は褒められたものではないがな」

 

 

「つーかもうボロボロじゃねーか。そんな状態で乗り込むなんざ無謀過ぎんだろ」

 

 

「もう…誰が治療すると思ってるの?」

 

 

「我らにも戦う理由はある」

 

 

「僕たちは仲間です!!!」

 

 

「最後まで一緒です!!」

 

 

「あい!!」

 

 

「ふん……」

 

 

フェイトやスバルやエルフマン、はやて率いるヴォルケンリッター…そしてエリオとウェンディにハッピーとシャルル。妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーが勢揃いしていた。

 

 

「どうやら間に合ったようですね」

 

 

「……………」

 

 

その中には彼らの協力者であるシャッハとマルスの姿もあった。

 

 

「抜け駆けの説教は後だ。シャマル、ウェンディ、グレイの治療を頼む」

 

 

「もちろん!」

 

 

「任せてください!!」

 

 

エルザの指示にシャマルとウェンディはすぐにグレイを少し離れた場所に運び、それぞれ治癒魔法をグレイにかける。

 

 

「……ワリィ」

 

 

「そう思ってるのなら、もうこんな無茶しちゃダメよ?」

 

 

「そうよ、あまりウェンディに魔法を使わせないでちょうだい!」

 

 

「シャルル、私は大丈夫だから!」

 

 

そんな会話をしながら大人しくシャマルとウェンディの治療を受けるグレイ。

 

そしてその間に、シャマルとウェンディ以外のメンバーが臨戦態勢でゲイルを睨みつけていた。

 

 

「気をつけろ、奴はゲイル・レアグローブ……悪霊の札(デーモンカード)のギルドマスターだ」

 

 

「関係ねーよ」

 

 

「誰が相手であろうと、私たちは引くわけにはいかん」

 

 

そう言ってマルスはメンバー全員に注意を促すが、ナツたちは特に気にした様子もなく構えていた。

 

 

「チッ……ワラワラと目障りな奴等だ。まぁいい…纏めて消してやる」

 

 

そんなナツたちを見て、ゲイルは忌々しげに舌打ちをし、ゆっくりと背中に背負った大剣の柄に手をかける。そしてその剣を引き抜こうとしたその時……

 

 

《まぁ待ちたまえ、ゲイル君》

 

 

『『『!!!』』』

 

 

空中にモニターが出現し、そのモニターにはスカリエッティの顔が映し出されていた。

 

 

《初めまして妖精の尻尾(フェアリーテイル)諸君。私は無限の欲望(アンリミテッドデザイア)のギルドマスター……ジェイル・スカリエッティだ》

 

 

「スカリエッティ……あいつが……!!!」

 

 

モニターに映し出されているスカリエッティの姿を見て、フェイトが憎々しげにそう呟く。だがそんなフェイトを気にもかけず、ゲイルはスカリエッティに問い掛けた。

 

 

「何のつもりだスカリエッティ? 魔水晶映像(ラクリマヴィジョン)まで使って」

 

 

《いやなに、君の力ならこのまま彼らを消す事は容易いだろうが、それでは面白くないと思ってね。そこで妖精の尻尾(フェアリーテイル)諸君に提案だ、私たちとゲームをしないかね?》

 

 

「ゲームだと?」

 

 

スカリエッティのゲームと言う言葉に、エルザは眉を顰める。

 

 

《ルールは簡単だ。この塔の最上階にいるヴィヴィオを救出できれば、君たちの勝ちだ》

 

 

「それだけかよ、簡単じゃねーか!!!」

 

 

「ヴィヴィオの居場所まで教えるとは……随分とナメられたものだな」

 

 

「とっとと乗り込んでヴィヴィオを取り戻してやる!!!」

 

 

《待ちたまえ、ナツ・ドラグニル》

 

 

「誰が待つかよ!!!」

 

 

スカリエッティの言葉を無視して塔の入り口へと向かって駆け出すナツ。しかし……

 

 

バチィン!!!

 

 

「へばっ!!?」

 

 

『『『!!?』』』

 

 

「なに…コレ……?」

 

 

その途中で、ナツは何やら見えない壁のようなモノに阻まれ、弾かれてしまった。

 

 

《だから待ちたまえと言ったんだ。この私が何の考えも無しにヴィヴィオの居場所を教えたとでも思っているのかい?》

 

 

「なんだと?」

 

 

「どういうことや?」

 

 

スカリエッティの意味深な言葉にエルザとはやてが問い掛ける。

 

 

《まずはコレを見たまえ》

 

 

そう言ってスカリエッティは指をパチンっと鳴らす。すると……

 

 

ゴゴゴゴゴ……!!!

 

 

「な…なんだ!!?」

 

 

「地震!!?」

 

 

突然の地響きにより地面が大きく揺れ、その場にいた全員が戸惑う。そして次の瞬間……

 

 

ボゴォォォオオオン!!!!

 

 

と…大きな轟音と共に、塔の周辺の地面から何かが出現した。それは……

 

 

「と…塔が生えたーーー!!!?」

 

 

「うぱーーー!!?」

 

 

ナツの言う通り…地面から出現したソレは、ヴィネアの塔より少し低めの塔であった。しかもそれは1つだけでなく、9つもの塔がヴィネアの塔をグルリと囲うように出現したのであった。

 

 

「と…塔がこんなにたくさん……」

 

 

「これは一体……!!?」

 

 

あまりの出来事に戸惑う妖精メンバーたち。すると、再びスカリエッティが口を開く。

 

 

《驚いたかね? あれらの塔は私が新たに建設したものでね、このヴィネアの塔を守る柱と言ってもいい》

 

 

「塔を守る柱だと?」

 

 

《その通り。あれら塔の最上階には、私が開発した結界の魔水晶(ラクリマ)が置いてあるのだよ》

 

 

「結界の魔水晶(ラクリマ)だと?」

 

 

「なるほどなぁ、ナツ君がぶつかったあの見えない壁は、その魔水晶(ラクリマ)から出現している結界やっちゅう事やな?」

 

 

「そしてヴィヴィオを助けたければ、それらの塔にある魔水晶(ラクリマ)を破壊しなければならない。そう言う事か」

 

 

《理解が早くて助かるよ、ハヤテ・ヤガミ…フェイト・テスタロッサ。そう、あられの塔に設置されている魔水晶《ラクリマ》を破壊しない限り、何人たりともこのヴィネアの塔に侵入する事はできない。我々2つのギルドのギルドマークを刻んでいる者は別だがね》

 

 

そう言ってスカリエッティは一呼吸置くと、再び口を開く。

 

 

《だがそれだけでは緊張感に欠ける。そこで、制限時間を設けよう》

 

 

すると、スカリエッティが映し出されているモニターとは別のモニター出現し、そこには何やら巨大な魔水晶(ラクリマ)が映し出されていた。

 

 

《見えるかね? これも私が開発した新たな魔水晶(ラクリマ)でね、簡単に言えば転送装置のようなモノだ》

 

 

「転送装置だと!!?」

 

 

《その通り。これを使えば、このヴィネアの塔ごと我々はどこか別の土地へと移動することが可能なのだよ》

 

 

「なんだと!!?」

 

 

「逃げる気かテメェ!!!」

 

 

スカリエッティの言葉にエルザは驚愕し、ナツは憤慨する。

 

 

《落ち着きたまえ。言っただろう? 制限時間を設けると。この魔水晶(ラクリマ)を発動させる為にはそれなりの魔力を充填させる必要がある。ここまで言えば、察しのいい君たちなら分かるだろう?》

 

 

「つまり、その魔水晶(ラクリマ)が発動できる魔力が溜まる前に塔の結界を解除し……」

 

 

「アタシら中に突入してヴィヴィオの救出、もしくはその魔水晶(ラクリマ)を破壊しろっつーことか」

 

 

《素晴らしい》

 

 

問い掛けに答えたシグナムとヴィータの言葉を聞いて、スカリエッティは素直に賞賛の言葉を送る。

 

 

《この魔水晶(ラクリマ)が魔力の充填を終えるのは2時間。つまり制限時間は2時間という事だね》

 

 

「2時間……長いようで短いわね……」

 

 

2時間という制限時間を聞いて、ティアナは小さくそう呟く。すると、今まで黙っていたゲイルが口を開く。

 

 

「ったく、こんな茶番に付き合わせやがって。オレぁもう戻るぜ」

 

 

《すまないね、ゲイル君》

 

 

そう言って妖精メンバーに背を向けてヴィネアの塔へと歩いて行くゲイル。追いかけたいという衝動に駆られるメンバーたちだが、すでにゲイルは結界内に居る為、それは叶わなかった。

 

 

「おい!! スカリエッティ!!!」

 

 

《ん?》

 

 

すると、突然エルフマンがスカリエッティに対して声を張り上げる。

 

 

「姉ちゃんはどこだ!!? 無事なんだろうな!!?」

 

 

《姉ちゃん……? あぁ、ひょっとしてミラジェーン・ストラウスの事かい? 彼女ならこの塔の牢屋に閉じ込めてあるよ。私にとってはもう用済みだからね、助け出すなり何なり好きにするといい》

 

 

「なんだとテメェ!!!!」

 

 

「落ち着けエルフマン」

 

 

魔水晶映像(ラクリマヴィジョン)に怒鳴りかかってもしゃーないやろ?」

 

 

スカリエッティの言葉に激怒したエルフマンを、エルザとはやてが宥める。

 

 

《質問は終わりかい? ならばそろそろゲームを始めようではないか。あぁそうそう、言い忘れていたがヴィヴィオは私たちの計画に必要不可欠な存在なのでね、こちらも全力で君たちを迎え撃たせてもらうよ。例えば……こんな風に》

 

 

そう言ってスカリエッティが再び指をパチンッと鳴らすと、ナツたちの周囲にいくつもの魔法陣が出現した。

 

 

「何だ!!?」

 

 

「これは……転送魔法陣!!?」

 

 

周囲に出現したいくつもの転送魔法陣。そしてその魔法陣から出現したのは……

 

 

「ガジェットだ!!!」

 

 

「こんなにたくさん……!!!」

 

 

ギルドが襲撃された時よりも多くのガジェットが転送されたのを見て、エリオとウェンディは驚愕の声を上げる。

 

 

《では、ゲームスタートだ。健闘を祈ってるよ》

 

 

そう言い残して、スカリエッティを映していた魔水晶映像(ラクリマヴィジョン)は消えた。そしてその瞬間、ガジェットがナツたちに向かって襲い掛かってきた。

 

 

「散開しろ!!!」

 

 

咄嗟にエルザはそう指示を出し、それを聞いたメンバーたちは各々の判断でガジェットを破壊しながら散開する。

 

 

「これだけのガジェットを相手にしていたら埒があかん!!! 全員各塔の魔水晶(ラクリマ)を破壊する事に集中しろ!!!」

 

 

『『『おう(はい)!!!』』』

 

 

エルザの指示にメンバーたちはそう返事を返すと、さっそく行動に移った。

 

 

「行くぞハッピー!!!」

 

 

「あいさー!!!」

 

 

ナツはハッピーに抱えられて猛スピードで塔の1つへと向かう。

 

 

「スバル!!!」

 

 

「うん!! ウィングロード!!!」

 

 

スバルは得意のウィングロードを2本まで出現させて2つの塔までの空の道を造り出し、ティアナとスバルはそれを伝ってそれぞれ別々の塔へと向かった。

 

 

「シャルル!!」

 

 

「しょうがないわね!」

 

 

エリオはシャルルの力を借り、ナツと同じく空から塔へ。

 

 

「リインフォースとザフィーラはここに残ってグレイさんの治療をしとるシャマルとウェンディちゃんを守ったってや」

 

 

「了解しました」

 

 

「お気をつけて、我が主」

 

 

「よっしゃ!! ほんなら行くで!!」

 

 

はやてはザフィーラとリインフォースにそう指示を出すと、自身の背中に三対六枚の小さな黒翼を広げ、それを羽ばたかせて空へと舞い上がり、そのまま塔の1つへと向かう。

 

 

「飛翔の鎧!!!」

 

 

音速(ソニックムーブ)!!!」

 

 

エルザとフェイトは音速のスピードで駆け出し、ガジェットを薙ぎ払いながら、2人別々の塔へと向かった。

 

 

「逆巻け!! ヴィンデルシャフト!!!」

 

 

シャッハはヴィンデルシャフトを振るってガジェットを破壊し、そのまま塔を目指して走り出す。

 

 

「…………」

 

 

マルスはガジェットの群れを上手く避けながら塔へと足を進めている。

 

 

「……ヴィータ」

 

 

「わかってる」

 

 

そんなマルスの後をシグナムとヴィータが追いかけて行った。

 

 

「我らはここで待機だな」

 

 

「待機など漢として性に合わんが、いち早く塔に乗り込んで姉ちゃんを助けるためなら仕方ねえ」

 

 

「シャマル、ウェンディ、お前たちはフルバスターの治療に専念しろ。周囲の敵は私たちで片付ける」

 

 

「はい!!」

 

 

「わかったわ」

 

 

「……………」

 

 

残ったザフィーラとエルフマンとリインフォースは、治療中のグレイとウェンディとシャマルを守るように円陣を組んで迫り来るガジェットを迎え撃っていたのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方…ヴィネアの塔へと戻ってきたゲイルは塔内部の広間へとやってきていた。

 

 

「オルバ」

 

 

「はっ」

 

 

ゲイルが呟くように名を呼ぶと、彼の側にオルバが膝をついた状態で姿を現す。

 

 

「四天王と手の空いてるナンバーズをここへ呼べ」

 

 

「わかりました」

 

 

そう言うと、オルバは自身の両手を叩いてパンッと乾いた音を鳴らす。その瞬間、その場に複数の人影が現れる。

 

 

「マスター、我ら四天王とナンバーズ…共に準備は万端です」

 

 

「あぁ。いいな、各塔にある結界の魔水晶(ラクリマ)の破壊に向かった連中を始末しろ。手段は問わねえ。だが注意しろ、相手はバラム同盟の一角を堕としたギルドの1つだからな」

 

 

「承知しました」

 

 

そんな会話をしているゲイルの視線の先には……

 

 

「お? やっと出番か」

 

 

悪霊の札(デーモンカード)・四天王

〝獄炎のグラン〟

 

 

「待ちくたびれたぜ」

 

 

〝幻獣のガワラ〟

 

 

「出撃」

 

 

〝武装姫のメイア〟

 

 

「チッ…メンドクセェ」

 

 

無限の欲望(アンリミテッドデザイア)・ナンバーズ

NO.9 ノーヴェ

 

 

「まぁまぁノーヴェ、せっかくだから楽しむっスよ~♪」

 

 

NO.10 ウェンディ

 

 

「ってゆーか、あたしはスタイル的に隠密タイプなのに何で戦闘にかり出されてんの?」

 

 

NO.6 セイン

 

 

「ドクターの命令だ、文句を言うな」

 

 

NO.5 チンク

 

 

「ん~♪ やっと暴れられよ!!」

 

 

〝番犬〟アルフ

 

 

以上の四天王とナンバーズ+α…合計9人が勢揃いしていた。

 

 

 

 

 

「ゲーム開始だ。妖精どもを血祭りに上げろ!!!!」

 

 

 

 

 

つづく

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